JP2731721B2 - α−L−イズロン酸−2−O−硫酸の2位が修飾されたヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成グリコサミノグリカンの合成方法 - Google Patents

α−L−イズロン酸−2−O−硫酸の2位が修飾されたヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成グリコサミノグリカンの合成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、α−L−イズロン酸−
2−O−硫酸の2位が修飾されたヘパリンまたはヘパラ
ン構造を有する半合成グリコサミノグリカンの合成方
法、より詳しくは、ヘパリンまたはヘパラン構造を有す
るグリコサミノグリカンを求核剤と反応させて、α−L
−イズロン酸−2−O−硫酸が2位において硫酸基の全
部もしくは一部が求核基で置換されることにより修飾さ
れたヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成グリコ
サミノグリカンの合成方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】米国
特許第5010063号明細書(以下、US−5010
063という)において、塩基性媒体中でヘパリンおよ
びヘパラン構造を有するグリコサミノグリカンの構造修
飾を行ない、つづいて化学的および物理的性質により、
とくに13C−NMRスペクトルにより間違いなく証明さ
れるように、当時の技術に関して新規な誘導体を反応混
合物から単離することが記載されている。
【0003】つづく米国特許第5104860号明細書
(以下、US−5104860という)において、塩基
性または中性媒体中、US−5010063に記載の反
応条件で形成される生成物から、およびUS−5010
063で出発物質として用いられるヘパリンまたはヘパ
ラン構造を有するグリコサミノグリカンから出発して、
化学的および物理的性質により、とくに13C−NMRス
ペクトルにより間違いなく証明されるように、US−5
010063に記載される化合物とは異なり、当時の技
術に関して新規な一組の生成物をつくるさらなる構造修
飾が記載されている。
【0004】US−5010063に記載されている生
成物の化学的および物理的性質、およびカナディアン
ジャーナル オブ ケミストリー(Can. J. Chem.) 67
1449〜56(1989)においてジャセイア エム(Jaseia M.)
、レジ アール(Rej R.)、ソウリオル エフ(Sauriol
F.)、パーリン エイエス(Perlin A.S.) により記載さ
れた塩基性媒体中での構造修飾の反応のメカニズムを説
明するという特定の目的をもったのちの構造研究の結果
により、これらの誘導体はヘパリンまたはヘパラン構造
を有するグリコサミノグリカンに特有な単糖の単位のう
ちただ1つ、さらに詳しくは2位が硫酸化されたα−L
−イズロン酸の単位に関する、2,3−エポキシグロニ
ック単位への変換を含む修飾を示すということが証明さ
れた。えられるエポキシドは一般式(IV):
【0005】
【化3】
【0006】で表わされる。
【0007】同様に、1つの2,3−エポキシグロニッ
ク単位を有する半合成グリコサミノグリカンならびにヘ
パリンまたはヘパラン構造を有するグリコサミノグリカ
ンも、US−5104860に記載されているのと同様
の反応条件で、2位が硫酸化されたα−L−イズロン酸
の糖単位に関する、用いられる反応条件にしたがってこ
の糖単位を非硫酸化α−L−イズロン酸またはα−L−
ガラクツロン酸の単位へ変換することを含む構造修飾を
受けることが証明されている。
【0008】それゆえ、US−5010063には出発
点として必要とされるα−L−イズロン酸−2−O−硫
酸の単位の2位と3位とのあいだにエポキシ基を含む半
合成グリコサミノグリカンならびにそれらをえるために
必要な反応条件が記載されている。一方、US−510
4860には、1単位の非硫酸化α−L−イズロン酸ま
たはα−L−ガラクツロン酸を有するとして確認され
る、エポキシドのさらなる変換に由来する生成物ならび
にエポキシド自体から出発して、またはその代わりにU
S−5010063において出発物質として用いられて
いるヘパリンまたはヘパラン構造を有するグリコサミノ
グリカン自体から出発して前記生成物をえるために必要
な反応条件が記載されている。
【0009】つぎに欧州特許出願公開第565863号
明細書(以下、EP−A−565863という)には、
ヘパリンまたはヘパラン構造を有するグリコサノミグリ
カンに特有な糖単位の1つ、さらに詳しくはα−L−イ
ズロン酸−2−O−硫酸を含んでいるものが、全体的ま
たは部分的に2位において構造修飾をうけ、硫酸基が求
核基で置換された半合成グリコサミノグリカンが記載さ
れている。前記EP−A−565863の特許請求の範
囲に記載の方法では、US−5010063に記載の一
般式(IV)のエポキシドを求核剤で処理することによ
って、一般式(III):
【0010】
【化4】
【0011】で示される半合成グリコサミノグリカンを
えることが記載されている。
【0012】本発明の目的は、一般式(I):
【0013】
【化5】
【0014】で示されるヘパリンまたはヘパラン構造を
有するグリコサミノグリカンから出発して直接、一般式
(III)で示される半合成グリコサミノグリカンを製
造する新規な方法である。
【0015】この新しい方法は、一般式(I)のグリコ
サミノグリカンを出発物質として用いているので、EP
−A−565863に記載の方法の克服を表わす。一
方、EP−A−565863では出発物質が、US−5
010063に記載の方法にしたがって一般式(I)の
グリコサミノグリカンからそのかわりに(in its tur
n)えられる、一般式(IV)のエポキシド誘導体であ
った。最初に一般式(I)のグリコサミノグリカンから
出発して一般式(IV)のエポキシドを合成、単離およ
び精製する方法を含む、連続する2回の反応によって一
般式(III)の化合物をえるかわりに、一般式(I)
のグリコサミノグリカンから出発するという1回の反応
だけで、直接一般式(III)の化合物をえることが有
利であるのは、全体的な収率および工業的なコストに関
しては明らかである。
【0016】
【課題を解決するための手段】一般式(I):
【0017】
【化6】
【0018】(式中、mおよびnは1〜100のいずれ
かの整数を表わし、Rは水素原子または硫酸残部(SO
3 - )を表わす)で示されるヘパリンまたはヘパラン構
造を有するグリコサミノグリカンを、一般式(I)で示
されるヘパリンまたはヘパラン構造を有するグリコサミ
ノグリカンの二量体単位に対して1〜200モル当量の
−Xで示される求核基を有する求核剤と、求核剤中に存
在するいかなる酸基も塩にするのにおよび(または)求
核剤が酸の性質を有する物質と形成しうるいかなる塩か
らも同じ求核剤を放出するのにおよび用いられる塩基に
関して0.01N〜1Nになるように反応混合物のアル
カリ度を過度にするのに充分な量の無機もしくは有機塩
基の存在下に、水溶液中で、求核剤が酸化されやすいば
あいは不活性ガス雰囲気中で、2〜120時間のあい
だ、0℃〜50℃の温度で撹拌下に反応させること、塩
酸水溶液を加えて冷たい水溶液のpHを中和すること、
その水溶液を流水および蒸留水で透折すること、ならび
にその水溶液を凍結乾燥または溶媒を加えて沈殿させる
ことにより生成物を単離することからなる、一般式(I
II):
【0019】
【化7】
【0020】(式中、pは0でない整数であって、p+
q=m、mおよびnは1〜100のいずれかの整数を表
わし、Rは水素原子または硫酸残部(SO3 - )を、−
Xは求核基を表わす)で示されるヘパリンまたはヘパラ
ン構造を有する半合成グリコサミノグリカンの合成方法
に関する。
【0021】
【実施例】本発明の分野をよりよく定義するために、
「ヘパリンまたはヘパラン構造を有するグリコサミノグ
リカン」の語は、スロンボシス アンド ヘモスタシス
(Thrombosis and Haemostasis)66,44〜48(19
91)においてリンダール ユー(Lindhal U.)、クジェ
レン エル(Kjellen L.)によりおよびバイオケミカル
ジャーナル(Biochem. J.) 273、553〜559(1
991)においてターンブル ジェイイー(Turnbull J.
E.)、ガラジャー ジェイ ティー(Gallagher J. T.)
により記載されているように、1,4−グリコシド結合
により互い違いに連なった、ウロン酸(α−L−イズロ
ン酸またはβ−D−グルクロン酸であってよい)とα−
D−グルコサミンとからなる二糖単位を有することを特
徴とする、約3,000〜約50,000ダルトンの分
子量を有する多糖類を示すことを意図するものであるこ
とを指摘しておきたい。α−L−イズロン酸は2位を硫
酸化することができ、グルコサミンはN−アセチル化、
N−硫酸化、6−O−硫酸化、3−O−硫酸化が可能で
あるので、置換基の様々な位置により、少なくとも10
の異なる二糖単位が可能であり、その組合せにより多数
の異なる配列がえられる。最も代表的な二糖単位および
最も頻繁な配列を心に留めつつ、適度に概質すると、ヘ
パリンまたはヘパラン構造を有するグリコサミノグリカ
ンは一般式(I):
【0022】
【化8】
【0023】(式中、Rは水素原子または硫酸残部(S
3 - )を表わし、mおよびnは1から100のあいだ
のいずれかの整数を表わす)で示されうると言うことが
できる。
【0024】天然のヘパリン構造のグリコサミノグリカ
ンでは、mの値は高く、二糖単位A(イズロン酸を含む
二糖単位)は二糖単位の約80%を示す。これに対して
天然のヘパラン構造のグリコサミノグリカンでは、nの
値が高く、二糖単位B(グルクロン酸を含む二糖単位)
が二糖単位の約80%を示す。
【0025】一般式(I)および(III)は主な糖単
位の組成を示すことを意図するものであり、それらの配
列に言及するものではない。
【0026】当業者に知られているように、天然のグリ
コサミノグリカンを、たとえばN−脱硫酸化反応によ
り、あるいはつづくN−アセチル化反応により、化学修
飾することが可能である。このようにして、半合成N−
脱硫酸化ヘパリンまたはN−脱硫酸化−N−アセチル化
ヘパリンをえることもできる。さらに、これらのグリコ
サミノグリカンは、天然であろうと半合成であろうと、
解重合の工程に付すことができ、それによって分子量は
概して3,000から10,000ダルトンのあいだの
水準をとる。
【0027】本発明に記載の、ヘパリンまたはヘパラン
構造を有する新規な半合成グリコサミノグリカンをえる
ための構造修飾は、どんなヘパリンまたはヘパラン構造
を有する所望の化合物であっても、求核基による2位の
O−硫酸基の部分的または全体的な選択的置換が起こる
ばあい、α−L−イズロン酸−2−O−硫酸の単位に関
係する。実際、選択的であるほかにも、本発明に記載の
化学的方法は、起こりうるすべての配列のヘパリンまた
はヘパラン構造を有するグリコサミノグリカンに適用可
能である。すなわち、構造修飾の反応の目的であるα−
L−イズロン酸−2−O−硫酸の単位の前または後に連
なる糖単位のタイプおよび官能基の水準によらない。
【0028】新規生成物の構造は、一般式(III):
【0029】
【化9】
【0030】(式中、pは0でない整数であって、p+
q=mである。m、nおよびRは前記と同じであり、−
Xは本発明の方法により導入される求核基を表わす)で
示される。このようにしてえられる化合物を、「一般式
(III)のヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合
成グリコサミノグリカン」として示す。
【0031】部分的にまたは全体的にα−L−イズロン
酸の2位に求核基を導入することを含む構造修飾の反応
の結果、グリコサミノグリカンの解重合またはそれらを
形成する多糖鎖の分子量分布の変換は起こらない。この
ため、本反応は、いかなる分子量のヘパリンまたはヘパ
ラン構造を有するグリコサミノグリカンに対しても適用
可能である。しかしながら、えられる生成物は既知の化
学的または酵素的解重合の工程に付すことができる。
【0032】本発明の目的は、ヘパリンまたはヘパラン
構造を有する半合成グリコサミノグリカンの新規な製造
方法であり、一般式(I):
【0033】
【化10】
【0034】(式中、Rは水素原子または硫酸残部(S
3 - )を表わし、mおよびnは1〜100のいずれか
の整数を表わす)で示される最初の構造が、α−L−イ
ズロン酸−2−O−硫酸の2位において、2−O−硫酸
基が−Xで示される求核基と部分的または全体的に変換
して、一般式(III):
【0035】
【化11】
【0036】(式中、pは0でない整数であって、p+
q=mである。m、n、RおよびXは前記と同じ)で示
されるヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成グリ
コサミノグリカンが形成されるという構造修飾をうける
ものである。すべての求核剤が本発明を行なうにおいて
有利に用いられうる。実際、−Z(R2 )R1 で表わさ
れる求核基−Xはあらゆるタイプの求核剤を包含する。
【0037】さらにくわしくは、Zは酸素原子、硫黄原
子またはチッ素原子を表わし、R1は置換されたまたは
非置換の、直鎖もしくは分枝鎖状C1〜12のアルキル
基、アミノ基、アリール基、ジアゾ基または水酸基を表
わし、ならびにR2 は存在しないか、または水素原子ま
たは直鎖もしくは分枝鎖状C1〜6のアルキル基を表わ
すかまたはR1 と共にヘテロ環を形成する。
【0038】前記の求核基としては、一級もしくは二級
アミン、二級ヘテロ環式アミン、アミノアルコール、ア
ミノチオール、アミノ酸、アミノエステル、ペプチド、
アルコール、フェノール、メルカプタン、ジチオール、
チオフェノール、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒ
ドラジドおよびアジ化ナトリウムに由来する基が本発明
を実施するうえで好ましい。
【0039】本発明を実施するうえでとくに好ましい一
般式(II):−Z(R2 )R1 で表わされる求核基
は、以下の求核剤から生じる基である:グリシン、グリ
シルグリシン、L−システイン、アセチル−L−システ
イン、L−システインエチルエステル、2−アミノチオ
フェノール、1,3−プロパンジチオール、システアミ
ン、アジ化ナトリウム、2−アミノエチル重硫酸塩、タ
ウリン、チオグリコール酸、β−アラニンエチルエステ
ル、L−シスチン、ヒドロキシルアミン、グリシルタウ
リン、システイニルタウリン、グリシルシステイン、グ
リシルフェニルアラニン、グリシルチロシン、2−アミ
ノエタノール、2−アミノエタノールとグリシンのエス
テル、2−アミノエタノールとグリシンのアミド、アル
ギニルリジン、アルギニン、リジン、酢酸と2−アミノ
エタノールのエステル、サリチル酸、メチオニン、グリ
シルプロリン、γ−アミノ酪酸、リジルプロリルアルギ
ニン、スレオニルリジルプロリン、スレオニルリジン、
プロリルアルギニン、リジルプロリン、コリン、4−
(3−アミノプロピル)−2−ヒドロキシ安息香酸また
は4−(2−アミノエチル)−2−ヒドロキシ安息香
酸。
【0040】一般式(III)のヘパリンまたはヘパラ
ン構造を有する半合成グリコサミノグリカンの製造方法
には、求核剤中に存在するいかなる酸基も塩にすること
および(または)求核剤が酸の性質を有する物質と形成
しうるいかなる塩からも同じ求核剤を放出することおよ
び用いられる塩基に関して0.01N〜1N、好ましく
は0.5N〜1Nになるように反応混合物のアルカリ度
を過度にすることのできる量の無機もしくは有機塩基の
存在下に水溶液中で、一般式(I)のヘパリンまたはヘ
パラン構造を有するグリコサミノグリカンを、−Xで表
わされる求核基を有する求核剤と反応させることが必要
である。その反応は、まず一般式(I)のヘパリンまた
はヘパラン構造を有するグリコサミノグリカンをえられ
る反応溶液の最終体積に関して1〜5重量%の濃度で水
に溶解させること、ならびにこの溶液に求核剤および無
機もしくは有機塩基を含有する水溶液を加えることによ
り行なわれる。
【0041】用いる求核剤の量は、一般式(I)で示さ
れるグリコサミノグリカンの二量体単位に対して、1〜
200モル当量、好ましくは10〜100モル当量であ
る。無機塩基としては、アルカリもしくはアルカリ土類
水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウムもしくは水酸化
カリウムが用いられ、一方、好ましい有機塩基としては
トリエチルアミンのような三級アミンが好ましく用いら
れる。
【0042】反応混合物は撹拌下に、求核剤が酸化され
やすいばあいはできる限り不活性ガス、好ましくはチッ
素雰囲気中で、0℃〜50℃、好ましくは10℃〜40
℃の温度に、2〜120時間、好ましくは24〜96時
間のあいだ保たれる。
【0043】反応の終わりに、必要であれば冷却後、反
応混合物は塩酸水溶液を加えてpHを中性にする。過量
の求核剤は、たとえば水と混和しない溶媒、クロロホル
ムまたはジエチルエーテルで抽出、または中性のpHで
は水性媒体に溶けないときは濾過により、除去してもよ
い。透明な水溶液を、まず流水中で、つぎに蒸留水中
で、3000ダルトン以下を除く透析を行なうことによ
り、のちの段階でさらに精製してもよい。最後に、一般
式(III)のヘパリンまたはヘパラン構造を有する半
合成グリコサミノグリカンを、それを含む水溶液を凍結
乾燥して、またはメタノールもしくはエタノールなどの
アルコールまたはアセトンなどの溶媒を加えて沈殿させ
ることにより単離する。
【0044】以下の実施例はさらに本発明を説明するも
のであり、本発明を限定するものではない。
【0045】実施例1 −Xがグリシルに相当する、一般式(III)のヘパリ
ン構造を有する半合成グリコサミノグリカン 22.5mlの水にグリシン3760mgおよび水酸化
ナトリウム2500mgを含有する溶液を、室温にて、
2.5mlの水にヘパリンのナトリウム塩を500mg
含有する溶液に加えた。
【0046】反応混合物を撹拌下に室温で48時間保
ち、つぎに塩酸を加えてpHを中性にし、その溶液を流
水中で12時間、蒸留水中で6時間、3000ダルトン
以下を除く透析に付した。最後にその溶液を凍結乾燥
し、480mgの生成物がえられた。
【0047】実施例2 −Xが(S)−L−システイニルに相当する、一般式
(III)のヘパリン構造を有する半合成グリコサミノ
グリカン 3760mgのグリシンのかわりに8780mgの塩酸
L−システイン1水和物および水酸化ナトリウムを25
00mgでなく4500mg用いて、実施例1に記載し
たのと同じ条件で反応を行なった。520mgの生成物
がえられた。
【0048】実施例3 −Xが(S)−2−アミノフェニルチオに相当する一般
式(III)のヘパリン構造を有する半合成グリコサミ
ノグリカン 3760mgのグリシンのかわりに6300mgの2−
アミノチオフェノールを用いて、反応時間を72時間に
延長して、実施例1に記載したのと同じ条件で反応を行
なった。反応の最後に、塩酸を加えてpHを中和したの
ち、クロロホルムで抽出することにより過量のアミノチ
オフェノールを除去した。つぎにその水溶液を実施例1
に記載したように透析および凍結乾燥に付して、530
mgの生成物がえられた。
【0049】実施例4 −Xが(S)−カルボキシメチルチオに相当する一般式
(III)のヘパリン構造を有する半合成グリコサミノ
グリカン 20mlの水に7416mgのチオグリコール酸および
6900mgの水酸化ナトリウムを含有する溶液を用い
て、反応時間を72時間に延長して、実施例1に記載し
たのと同じ条件でチッ素雰囲気中で反応を行なった。4
00mgの生成物がえられた。
【0050】
【発明の効果】本発明の方法によれば、ヘパリンまたは
ヘパラン構造を有するグリコサミノグリカンを出発物質
として、エポキシドの半合成グリコサミノグリカンを経
由することなく、1つの反応によってα−L−イズロン
酸−2−O−硫酸の2位が修飾されたヘパリンまたはヘ
パラン構造を有する半合成グリコサミノグリカンを直接
合成することができる。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I): 【化1】 (式中、mおよびnは1〜100のいずれかの整数を表
    わし、Rは水素原子または硫酸残部(SO3 - )を表わ
    す)で示されるヘパリンまたはヘパラン構造を有するグ
    リコサミノグリカンを、一般式(I)で示されるヘパリ
    ンまたはヘパラン構造を有するグリコサミノグリカンの
    二量体単位に対して1〜200モル当量の−Xで示され
    る求核基を有する求核剤と、求核剤中に存在するいかな
    る酸基も塩にするのにおよび(または)求核剤が酸の性
    質を有する物質と形成しうるいかなる塩からも同じ求核
    剤を放出するのにおよび用いられる塩基に関して0.0
    1N〜1Nになるように反応混合物のアルカリ度を過度
    にするのに充分な量の無機もしくは有機塩基の存在下
    に、水溶液中で、求核剤が酸化されやすいばあいは不活
    性ガス雰囲気中で、2〜120時間のあいだ、0℃〜5
    0℃の温度で撹拌下に反応させること、塩酸水溶液を加
    えて冷たい水溶液のpHを中和すること、その水溶液を
    流水および蒸留水で透折すること、ならびにその水溶液
    を凍結乾燥または溶媒を加えて沈殿させることにより生
    成物を単離することからなる、一般式(III): 【化2】 (式中、pは0でない整数であって、p+q=m、mお
    よびnは1〜100のいずれかの整数を表わし、Rは水
    素原子または硫酸残部(SO3 - )を、−Xは求核基を
    表わす)で示されるヘパリンまたはヘパラン構造を有す
    る半合成グリコサミノグリカンの合成方法。
  2. 【請求項2】 塩酸水溶液を加えて冷たい水溶液のpH
    を中和する工程にひきつづき、さらに水と混和しない溶
    媒で抽出することまたは濾過することによって過量の求
    核剤を除去する工程を行なう請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 求核剤の量が一般式(I)で示されるグ
    リコサミノグリカンの二量体単位に対して10〜100
    モル当量であり、水溶液中の該グリコサミノグリカンの
    濃度が1〜5重量%である請求項1または2記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 用いられる塩基が水酸化ナトリウム、水
    酸化カリウムおよびトリエチルアミンから選ばれたもの
    であり、用いられる塩基に関して0.5N〜1Nとなる
    ように反応混合物のアルカリ度が過度である請求項1ま
    たは2記載の製造法。
  5. 【請求項5】 −Xで示される求核基が一般式(I
    I):−Z(R2 )R1(式中、Zは酸素原子、硫黄原
    子またはチッ素原子であって、R1 は置換されたまたは
    非置換の、直鎖もしくは分枝鎖状C1〜12のアルキル
    基、アミノ基、アリール基、ジアゾ基または水酸基であ
    って、ならびにR2 は存在しないか、または水素原子ま
    たは直鎖もしくは分枝鎖状C1〜6のアルキル基である
    かまたはR1と共にヘテロ環を形成する)で表わされる
    請求項1、2、3または4記載の方法。
  6. 【請求項6】 一般式(II)で表わされる求核基が、
    一級もしくは二級アミン、二級ヘテロ環式アミン、アミ
    ノアルコール、アミノチオール、アミノ酸、アミノエス
    テル、ペプチド、アルコール、フェノール、メルカプタ
    ン、ジチオール、チオフェノール、ヒドロキシルアミ
    ン、ヒドラジン、ヒドラジドまたはアジ化ナトリウムに
    由来する請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 一般式(II)で表わされる求核基が、
    グリシン、グリシルグリシン、L−システイン、アセチ
    ル−L−システイン、L−システインエチルエステル、
    2−アミノチオフェノール、1,3−プロパンジチオー
    ル、システアミン、アジ化ナトリウム、2−アミノエチ
    ル重硫酸塩、タウリン、チオグリコール酸、β−アラニ
    ンエチルエステル、L−シスチン、ヒドロキシルアミ
    ン、グリシルタウリン、システイニルタウリン、グリシ
    ルシステイン、グリシルフェニルアラニン、グリシルチ
    ロシン、2−アミノエタノール、2−アミノエタノール
    とグリシンのエステル、2−アミノエタノールとグリシ
    ンのアミド、アルギニルリジン、アルギニン、リジン、
    酢酸と2−アミノエタノールのエステル、サリチル酸、
    メチオニン、グリシルプロリン、γ−アミノ酪酸、リジ
    ルプロリルアルギニン、スレオニルリジルプロリン、ス
    レオニルリジン、プロリルアルギニン、リジルプロリ
    ン、コリン、4−(3−アミノプロピル)−2−ヒドロ
    キシ安息香酸または4−(2−アミノエチル)−2−ヒ
    ドロキシ安息香酸に由来する請求項6記載の方法。
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