JP2702376B2 - α−L−イズロン酸−2−O−硫酸が修飾されたヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成グリコサミノグリカン - Google Patents

α−L−イズロン酸−2−O−硫酸が修飾されたヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成グリコサミノグリカン

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    • C07H5/00Compounds containing saccharide radicals in which the hetero bonds to oxygen have been replaced by the same number of hetero bonds to halogen, nitrogen, sulfur, selenium, or tellurium
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、α−L−イズロン酸−
2−O−硫酸が修飾されたヘパリンまたはヘパラン構造
を有する新規半合成グリコサミノグリカン、より詳しく
は、α−L−イズロン酸−2−O−硫酸が2位において
硫酸基の全部もしくは一部が求核基で置換されることに
より修飾されたヘパリンまたはヘパラン構造を有する新
規半合成グリコサミノグリカンおよびその製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】欧州
特許出願公開第0347588号明細書(以下、EP−
0347588という)において、塩基性媒体中ヘパリ
ンおよびヘパラン構造を有するグリコサミノグリカンの
構造修飾を行ない、つづいて化学的および物理的性質に
より、とくに13C−NMRスペクトルにより間違いなく
証明されるように、当時の技術に関して新規な誘導体を
反応混合物から単離することが記載されている。
【0003】つづく欧州特許出願公開第0380943
号明細書(以下、EP−0380943という)におい
て、塩基性または中性媒体中、EP−0347588に
記載の反応条件で形成される生成物から、およびEP−
0347588で出発物質として用いられるヘパリンま
たはヘパラン構造を有するグリコサミノグリカンから出
発して、化学的および物理的性質により、とくに13C−
NMRスペクトルにより間違いなく証明されるように、
EP−0347588に記載される化合物とは異なり、
当時の技術に関して新規な一組の生成物をつくるさらな
る構造修飾が記載されている。
【0004】EP−0347588に記載されている生
成物の化学的および物理的性質およびカナディアン ジ
ャーナル オブ ケミストリー(Can. J. Chem.) 67,14
49〜56(1989)においてジャセイア エム(Jaseia M.) 、
レジ アール(Rej R.)、ソウリオル エフ(Sauriol
F.)、パーリン エイエス(Perlin A.S.) により記載さ
れた塩基性媒体中の構造修飾の反応のメカニズムを説明
するという特定の目的をもったのちの構造研究の結果に
より、これらの誘導体はヘパリンまたはヘパラン構造を
有するグリコサミノグリカンに特有な糖単位のうちただ
1つ、さらに詳しくは2位において硫酸化されたα−L
−イズロン酸の単位に関する、2,3−エポキシグロニ
ック単位への変換を含む修飾を示すということが証明さ
れた。
【0005】同様に、1つの2,3−エポキシグロニッ
ク単位を有する半合成グリコサミノグリカンならびにヘ
パリンまたはヘパラン構造を有するグリコサミノグリカ
ンも、EP−0380943に記載されているのと同様
の反応の条件で、2位において硫酸化されたα−L−イ
ズロン酸糖単位に関する、用いられる反応の条件に従っ
てこの糖単位を非硫酸化α−L−イズロン酸またはα−
L−ガラクツロン酸の単位へ変換することを含む構造修
飾を受けることが証明されている。
【0006】それゆえ、EP−0347588には出発
点として必要とされるα−L−イズロン酸−2−o−硫
酸の単位の2および3位の間にエポキシ基を含む半合成
グリコサミノグリカンならびにそれらをえるために必要
な反応の条件が記載されている。一方、EP−0380
943には、1単位の非硫酸化α−L−イズロン酸また
はα−L−ガラクツロン酸を有するとして確認される、
エポキシドのさらなる変換に由来する生成物ならびにエ
ポキシド自体から出発して、またはその代わりにEP−
0347588において出発物質として用いられている
ヘパリンまたはヘパラン構造を有するグリコサミノグリ
カン自体から出発して前記生成物をえるために必要な反
応の条件が記載されている。
【0007】本発明の主題は、求核基によって2位を置
換されたα−イズロン酸を含むことを特徴とするヘパリ
ンまたはヘパラン構造を有する新規な半合成グリコサミ
ノグリカンである。
【0008】この出願の特許請求の範囲に記載の新規誘
導体は、技術水準に関して、とくに前記の公開された2
つの欧州特許出願に関してさらなる進歩を表わすもので
ある。実際、後者の特許においては、塩基性水性媒体
中、水を求核剤として用いてえられた生成物が特許請求
の範囲に記載されている。この特許出願では、一連の、
注意深く選択された求核剤で、ウロニック単位の2位に
おいて対応する求核基の導入がえられるような条件で反
応させることにより新規生成物がえられる。
【0009】本発明の別の目的は、適切な求核剤からお
よびEP−0347588に記載のエポキシ化合物から
出発して前記生成物をえるための方法からなる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(I
V):
【0011】
【化5】
【0012】(式中、pは0でない整数であって、p+
q=mで表わされるmおよびnは1から100の間のい
ずれかの整数を表わす。Rは水素原子または硫酸残部
(SO3 - )を、−Z(R2 )R1 は求核基を表わす。
ただし、この一般式は主な糖単位の組成を示すことを意
図するものであり、それらの配列に言及するものではな
い)で示されるヘパリンまたはヘパラン構造を有する半
合成グリコサミノグリカン、ならびにEPO−3475
88記載の製法によりえられる一般式(III):
【0013】
【化6】
【0014】(式中、pは0でない整数であって、p+
q=mで表わされるmおよびnは1から100の間のい
ずれかの整数を表わす。Rは水素原子または硫酸残部
(SO3 - )を表わす。ただし、この一般式は主な糖単
位の組成を示すことを意図するものであり、それらの配
列に言及するものではない)で示される2,3−エポキ
シグロニック構造を有する半合成グリコサミノグリカン
を、一般式(II):
【0015】
【化7】
【0016】で示される求核基を有する求核剤と、溶媒
ならびに求核剤中に存在するいかなる酸基も塩にするの
におよび(または)求核剤が酸性の物質と形成しうるい
かなる塩からも同じ求核剤を放出するのに充分な量の無
機もしくは有機塩基の存在下で、任意に不活性ガス雰囲
気中で、2から120時間の間、0℃から70℃の間の
温度で撹拌下に保って反応させて、反応溶媒が水以外で
あるときには水で反応混合物を希釈し、塩酸水溶液を加
えて水溶液のpHを中和し、任意に水に混和しない溶媒
で抽出するかまたは濾過によって過量の求核剤を除き、
任意にその水溶液を流水および蒸留水で透析し、ならび
にその水溶液を凍結乾燥または適切な溶媒を加えて沈殿
させることにより単離する一般式(IV):
【0017】
【化8】
【0018】(式中、pは0でない整数であって、p+
q=mで表わされるmおよびnは1から100の間のい
ずれかの整数を表わす。Rは水素原子または硫酸残部
(SO3 - )を、−Z(R2 )R1 は求核基を表わす)
で示されるヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成
グリコサミノグリカンの製造法に関する。
【0019】
【実施例】本発明の分野をよりよく定義するために、
「ヘパリンまたはヘパラン構造を有するグリコサミノグ
リカン」の語は、スロンボシス アンド ヘモスタシス
(Thrombosis and Haemostasis)66,44〜48(1991)におい
てリンダール ユー(Lindhal U.)、クジェレン エル(K
jellen L.)によりおよびバイオケミカル ジャーナル(B
iochem. J.) 273 、553 〜559(1991) においてターンブ
ル ジェイイー(Turnbull J. E.)、ガラジャー ジェイ
ティー(Gallagher J. T.) により記載されているよう
に、1,4−グリコシド結合により互い違いに連なっ
た、ウロン酸(α−L−イズロン酸またはβ−D−グル
クロン酸であってよい)とα−D−グルコサミンとから
なる二糖単位を有することを特徴とする、約 3,000から
約50,000ダルトンの間の分子量を有する多糖類を示すこ
とを意図するものであることを指摘しておきたい。α−
L−イズロン酸は2位を硫酸化することができ、グルコ
サミンはN−アセチル化、N−硫酸化、6−O−硫酸
化、3−O−硫酸化が可能であるので、置換基の様々な
位置により、少なくとも10の異なる二糖単位が可能で
あり、その組合せにより多数の異なる配列がえられる。
最も代表的な二糖単位および最も頻繁な配列を心に留め
つつ、合理的な近似でもって、ヘパリンまたはヘパラン
構造を有するグリコサミノグリカンは一般式(I):
【0020】
【化9】
【0021】(式中、Rは水素原子または硫酸残部(S
3 - )を表わし、mおよびnは1から100の間のい
ずれかの整数を表わす)で示されうると言うことができ
る。
【0022】天然のヘパリン構造のグリコサミノグリカ
ンでは、mの値は高く、二糖単位Aは二糖単位の約80
%を示す。これに対して天然のヘパラン構造のグリコサ
ミノグリカンでは、nの値が高く、二糖単位Bが二糖単
位の約80%を示す。
【0023】一般式(I)および後述の一般式(II
I)および(IV)は主な糖単位の組成を示すことを意
図するものであり、それらの配列に言及するものではな
い。
【0024】当業者に知られているように、天然のグリ
コサミノグリカンを、たとえばN−脱硫酸の反応によ
り、あるいはつづくN−アセチル化反応により、化学修
飾することが可能である。このようにして、半合成N−
脱硫酸化ヘパリンまたはN−脱硫酸化−N−アセチル化
ヘパリンをえることもできる。さらに、これらのグリコ
サミノグリカンは、天然であろうと半合成であろうと、
解重合の工程に付すことができ、それによって分子量は
概して3,000 から10,000ダルトンの間の水準をとる。
【0025】ヘパリンまたはヘパラン構造を有する新規
な半合成グリコサミノグリカンをえるための本発明にお
いて記載される構造修飾は、どんなヘパリンまたはヘパ
ラン構造を有する所望の化合物であっても、求核基によ
る2位のO−硫酸基の部分的または全体的選択的置換が
起こるα−L−イズロン酸−2−O−硫酸の単位に帰す
る。実際、選択的であるほかにも、本発明において記載
される化学的方法は、起こりうるすべての配列のヘパリ
ンまたはヘパラン構造を有するグリコサミノグリカンに
適用可能である。すなわち、構造修飾の反応の目的であ
るα−L−イズロン酸−2−O−硫酸の単位の前または
後に連なる糖単位のタイプおよび官能基の水準によらな
い。
【0026】新規生成物の構造は、一般式(IV):
【0027】
【化10】
【0028】(式中、pは0でない整数であって、p+
q=mである。m、nおよびRは前記と同じ、−Z(R
2 )R1 はこの発明の方法により導入される求核基を表
わす)で示される。このようにしてえられる化合物を、
「一般式(IV)のヘパリンまたはヘパラン構造を有す
る半合成グリコサミノグリカン」として示す。
【0029】部分的にまたは全体的にα−L−イズロン
酸の2位にの求核基を導入することを含む構造修飾の反
応の結果、グリコサミノグリカンの解重合またはそれら
を形成する多糖鎖の分子量分布の変換は起こらない。こ
のため、本反応は、いかなる分子量のヘパリンまたはヘ
パラン構造を有するグリコサミノグリカンに対しても適
用可能である。しかしながら、えられる生成物は既知の
化学的または酵素的解重合の工程に付すことができる。
【0030】本発明の主題は、ヘパリンまたはヘパラン
構造を有する、新規な半合成グリコサミノグリカンおよ
び、一般式(I):
【0031】
【化11】
【0032】(式中、Rは水素原子または硫酸残部(S
3 - )を表わし、mおよびnは1から100の間のい
ずれかの整数を表わす)で示される最初の構造が、α−
L−イズロン酸−2−O−硫酸の2位で−O−硫酸基の
一般式(II):
【0033】
【化12】
【0034】で示される求核基への部分的または全体的
変換が起こって、一般式(IV):
【0035】
【化13】
【0036】(式中、pは0でない整数であって、p+
q=mで表わされるmおよびnは1から100の間のす
べての整数を表わす。Rは水素原子または硫酸基(SO
3 - )を、−Z(R2 )R1 は求核基を表わす)で示さ
れるヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成グリコ
サミノグリカンが形成されることに関する。すべての求
核剤が本発明を行なうにおいて役に立つ。実際、−Z
(R2 )R1 基はあらゆるタイプの求核剤を含む。
【0037】または、Zは酸素原子、硫黄原子、または
チッ素原子、R1 は置換されたまたは非置換の、直鎖も
しくは分枝鎖状C1〜12のアルキル基、アミノ基、アリ
ール基、ジアゾ基または水酸基であって、ならびにR2
は存在しないか、または水素原子または直鎖もしくは分
枝鎖状C1〜6のアルキル基を表わすかまたはR1 と共
にヘテロ環を形成する。R1 で表わされる置換基は、置
換されたもしくは非置換の、ハロゲン原子、アミノ基、
アリール基、カルボキシル基、グアニジノ基、ニトロ
基、水酸基、スルホン基、スルフリック(sulfuric)基、
チオール基またはウレイド基でありうる。
【0038】前記の求核基としては、一級もしくは二級
アミン、二級ヘテロ環式アミン、アミノアルコール、ア
ミノチオール、アミノ酸、アミノエステル、ペプチド、
アルコール、フェノール、メルカプタン、ジチオール、
チオフェノール、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒ
ドラジドおよびアジ化ナトリウムから誘導される基が本
発明を実施するうえで好ましい。
【0039】本発明を実施するうえで実際に好ましいの
は、以下の求核剤から生じる、−Z(R2 )R1 であ
る:グリシン、グリシルグリシン、L−システイン、ア
セチル−L−システイン、L−システインエチルエステ
ル、2−アミノチオフェノール、1,3−プロパンジチ
オール、システアミン、アジ化ナトリウム、2−アミノ
エチル重硫酸塩、タウリン、チオグリコール酸、β−ア
ラニンエチルエステル、L−シスチン、ヒドロキシルア
ミン、グリシルタウリン、システイニルタウリン、グリ
シルシステイン、グリシルフェニルアラニン、グリシル
チロシン、2−アミノエタノール、2−アミノエタノー
ルとグリシンのエステル、2−アミノエタノールとグリ
シンのアミド、アルギニルリジン、アルギニン、リジ
ン、酢酸と2−アミノエタノールのエステル、サリチル
酸、メチオニン、グリシルプロリン、γ−アミノ酪酸、
リジルプロリルアルギニン、スレオニルリジルプロリ
ン、スレオニルリジン、プロリルアルギニン、リジルプ
ロリン、コリン、4−(3−アミノプロピル)−2−ヒ
ドロキシ安息香酸または4−(2−アミノエチル)−2
−ヒドロキシ安息香酸。
【0040】本発明の別の目的は、EP−034758
8記載の製法によりえられる一般式(III):
【0041】
【化14】
【0042】(式中、p、q、nおよびRは前記と同
じ)で示される2,3−エポキシグロニック構造を有す
る半合成グリコサミノグリカンから出発する、一般式
(IV)のヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成
グリコサミノグリカンの合成のために用いる方法であ
る。
【0043】一般式(IV)のヘパリンまたはヘパラン
構造を有する半合成グリコサミノグリカンをえるための
方法は、溶媒ならびに求核剤中に存在するいかなる酸基
も塩にするのにおよび(または)求核剤が酸の性質を有
する物質と形成しうるいかなる塩からも同じ求核剤を放
出するのに充分な量の無機もしくは有機塩基の存在下
で、一般式(III)の2,3−エポキシグロニック構
造を有する半合成グリコサミノグリカンを、一般式(I
I)に含まれる基を有する求核剤と反応させることを包
含する。求核剤は酸の性質を有する基を含まず、および
(または)酸の性質を有する物質で塩化されないばあい
は、いかなる塩基を用いることも明らかに不要である。
その反応は、一般式(III)の2,3−エポキシグロ
ニック構造を有するグリコサミノグリカンを溶媒に溶解
させること、ならびに求核剤および無機もしくは有機塩
基を含有する溶液を加えることにより行なわれる。
【0044】反応混合物は撹拌下に、求核剤は容易に酸
化されうるばあいはできる限り不活性ガス、好ましくは
チッ素中で、0℃から70℃、好ましくは10℃から3
0℃の間の温度に、2から120時間、好ましくは24
から96時間の間保たれる。
【0045】反応の終わりに、用いられる溶媒が水でな
いときには反応混合物を水で希釈し、つぎに水溶液に塩
酸の水溶液を加えてpHを中性にする。過量の求核剤は
任意に、たとえば水と混和しない溶媒、クロロホルムま
たはジエチルエーテルで抽出するか、または中性のpH
では水性媒体に溶けないときは濾過により除いてもよ
い。澄明な水溶液を、最初流水中で、つぎに蒸留水中
で、3000ダルトン以下を除く透析を行なうことによ
り、のちの段階で精製してもよい。最後に、一般式(I
V)のヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成グリ
コサミノグリカンを、それを含む水溶液の凍結乾燥によ
り、または適切な溶媒を加えて沈殿させることにより単
離する。
【0046】用いる求核剤の量は、エポキシ基を有する
一般式(III)で示される半合成グリコサミノグリカ
ンの二量体単位に関して、1から200モル当量の間で
あり、好ましくは10から100当量が用いられる。溶
媒は、水ならびに、ジメチルアセトアミド、ジメチルホ
ルムアミド、アセトニトリル、ジオキサン、テトラヒド
ロフランのような極性溶媒またはそれらと水との混合物
から選ばれる。好ましい無機塩基は、アルカリもしくは
アルカリ土類水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウムも
しくは水酸化カリウムであり、一方、好ましい有機塩基
はトリエチルアミンのような三級アミンである。
【0047】本発明の好ましい態様では、反応は、まず
一般式(III)のヘパリンまたはヘパラン構造を有す
る半合成グリコサミノグリカンを水中に溶解し、撹拌
下、エポキシ基を含む一般式(III)のグリコサミノ
グリカンの二量体単位に関して10から100モル当量
の求核剤ならびに求核剤中に存在するいかなる酸基も塩
にするのにおよび(または)求核剤が酸の性質を有する
物質と共に形成しうる塩から同じ求核剤を放出するのに
充分な量の水酸化ナトリウムを含有する水溶液に加える
ことにより行なわれる。反応混合物中、半合成グリコサ
ミノグリカンの濃度は、好ましくは1%から5%の間で
あり、その反応混合物を撹拌下、任意に不活性ガス雰囲
気中で、24から96時間の間室温に保つ。反応の最後
に、混合物のpHを塩酸水溶液にて中和し、水と混合し
ない溶媒による受動抽出によるかまたは濾過によって過
量の求核剤を除いてもよく、反応溶液を最初に流水でつ
ぎに蒸留水で6から24時間の間3000ダルトン以下
を除く透析に付してもよい。その溶液を凍結乾燥に付す
ことより、または適切な溶媒をそれに加えることによ
り、一般式(IV)のヘパリンまたはヘパラン構造を有
する半合成グリコサミノグリカンをえる。
【0048】このようにしてえられる半合成グリコサミ
ノグリカンの特徴は、α−L−イズロン酸の2−O−硫
酸基を欠いており、これがアミン、アミノ酸、アミノエ
ステル、ペプチド、アルコール、メルカプタン、フェノ
ール、チオフェノールのような求核剤の一部である、ヘ
テロ原子、チッ素、硫黄もしくは酸素原子により置換さ
れていることである。このようにして共有結合が、ヘパ
リンまたはヘパラン構造を有するグリコサミノグリカン
の分子と求核基の間に導入される。求核基で前記グリコ
サミノグリカンの構造特性を修飾することにより、グリ
コサミノグリカンの経口で吸収される可能性が向上し、
かつ出血時間および抗凝血活性の有意な減少を示すとい
う利点と共に抗血栓特性を維持する。こうして本発明に
記載されるヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成
グリコサミノグリカンは、動物においてインビボで行な
われる薬理学的出血テストにより明らかに証明されるよ
うに、出血の危険性が低くありながら天然のヘパリンま
たはヘパラン構造を有するグリコサミノグリカンに関し
て、根本的に等しい抗血栓および血栓溶解活性という、
および経口で吸収されるという利点を有している。
【0049】本発明の課題である新規半合成グリコサミ
ノグリカンの生物学的活性は、いくつかの典型的ヘパリ
ンテストで明らかにされた;より詳しくは、APTTに
関するテスト、出血時間に関するテストおよび抗血栓活
性に関するテストを行なった。
【0050】APTT活性は、ラリー エムジェイ(Lar
rieu M. J.) およびウェイランドジー(Weiland G.)のレ
ビュー ド エマトロジー(Rev. Hematol.) 12、 199、
(1957)に従って定義された。
【0051】試験する各生成物を、絶食ラットより採集
した血漿中に溶かし、つぎにスカラー希釈を行なって、
この方法に必要な濃度とする。各生成物につき10測定
を行ない、各生成物の活性を、APTTの時間を二倍に
する濃度mcg/mlによって表わした。
【0052】えられた値により、新規な半合成グリコサ
ミノグリカンは標準ヘパリンに関して、抗凝血力におい
て減少が見られることが確かめられる。
【0053】出血時間は、デジャナー イー(Dejana
E.) らによりスロンボシス アンドヘモスタシス48、 1
08、(1982)に記載された方法に従ってラットで測定し、
結果は、コントロールのラットに対して新規半合成グリ
コサミノグリカンで処置されたラットにおける出血の時
間の延長の割合を計算することにより表わした。
【0054】新規半合成グリコサミノグリカンでは、標
準ヘパリンに対して出血時間における減少が見られる。
抗血栓活性は、ラットにおけるレイヤーズ エス(Reyer
s S.) らによりスロンボシス リサーチ(Thromb. Res.)
18、 669〜 674(1980)に記載された、うっ血静脈血栓テ
スト(stasis venous thrombosis test) によって測定さ
れた。血栓の形成を妨げる能力を評価するため、生成物
を、下大静脈の結紮を行なう10分前、大腿部へ静脈注
射する。2時間後に血栓を除き、乾燥させて重量を測定
する。
【0055】抗血栓活性は発生率(血栓を示すラットの
割合)として、およびコントロール血栓に対する血栓の
重量の減少としての両方により表わされた。
【0056】いずれのばあいにも、結果はED50(mg
/kg)として表わされた。
【0057】えられた結果より、新規半合成グリコサミ
ノグリカンの抗血栓活性は標準ヘパリンの活性と同様で
あることが証明された。
【0058】遊離アミノ基の測定は、サタケ ケー(Sat
ake K.) らによりジャーナル オブバイオケミストリー
(J. Biochem.) 、47、 654、(1960)に記載された方法に
従って、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)と
反応させることによりえられた生成物について358n
mで紫外/可視分光測光により行なった。一方、硫黄の
測定は電位差測定によって行なった。比施光度は1%濃
度の水溶液で測定した。
【0059】13C−NMRスペクトルは、50.3MH
zにて、バリアン ジェミニ200スペクトロメーター
(商品名、バリアン アソシエーツ アナリティカル
インスツルメンツ(VARIAN ASSOCIATES ANALYTICAL INST
RUMENTS)社製)で、2,2位および3,3位で重水素化
(D4 )された3−(トリメチルシリル)プロピオン酸
のナトリウム塩を内部標準試料として用いて行なった。
【0060】本発明に記載された新規グリコサミノグリ
カンの生物学的活性を評価するために基準として採用さ
れた標準ヘパリンは、前記のテストにより以下の薬理学
的活性の値を示した: APTT(2T)=2.5mcg/ml 出血時間:0.5mg/kgで111% 抗血栓活性(ED50): 重量減少=0.20mg/kg 発生率%=0.40mg/kg 基準として採用された標準ヘパリンに関する、前記の方
法で測定された化学的および物理的データは:
【0061】
【化15】
【0062】以下の実施例は本発明の限定としてではな
く、説明として考えられなくてはならない。
【0063】実施例1 −Z(R2 )R1 がグリシルに相当する一般式(IV)
のヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成グリコサ
ミノグリカン 22.5mlの水に3760mgのグリシンおよび20
00mgの水酸化ナトリウムを含有する溶液を、室温に
て、2.5mlの水に、後述の参考例1でえられた2,
3−エポキシグロニック構造を有する半合成グリコサミ
ノグリカン(ヘパリン由来2,3−エポキシグロン酸含
有グリコサミノグリカン)を500mg含有する溶液に
加えた。
【0064】反応混合物を撹拌下に室温で48時間保
ち、つぎに塩酸を加えてpHを中性にし、その溶液を流
水中で12時間、蒸留水中で6時間、3000ダルトン
以下を除く透析に付し、最後に凍結乾燥した。以下の分
析的、薬理学的特性を有する、520mgの標題の生成
物がえられた:
【0065】
【化16】
【0066】実施例2 −Z(R2 )R1 がグリコシルグリシルに相当する一般
式(IV)のヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合
成グリコサミノグリカン 3760mgのグリシンのかわりに6600mgのグリ
シルグリシンを用いて、反応時間を96時間に延長し
て、実施例1に記載したと同じ条件で反応を行なった。
【0067】以下の分析的特性を有する630mgの標
題の生成物がえられた:
【0068】
【化17】
【0069】実施例3 −Z(R2 )R1 が(S)−L−システイニルに相当す
る一般式(IV)のヘパリンまたはヘパラン構造を有す
る半合成グリコサミノグリカン 3760mgのグリシンのかわりに8780mgの塩酸
L−システイン1水和物および水酸化ナトリウムを20
00mgでなく4000mg用いて、実施例1に記載し
たと同じ条件で反応を行なった。
【0070】以下の分析的および薬理学的特性を有する
570mgの標題の生成物がえられた:
【0071】
【化18】
【0072】実施例4 −Z(R2 )R1 が(S)−L−システイニルエチルエ
ステルに相当する一般式(IV)のヘパリンまたはヘパ
ラン構造を有する半合成グリコサミノグリカン 3760mgのグリシンのかわりに9280mgの塩酸
L−システインエチルエステルを用いて、実施例1に記
載したと同じ条件で反応を行なった。
【0073】以下の分析的および薬理学的特性を有する
550mgの標題の生成物がえられた:
【0074】
【化19】
【0075】実施例5 −Z(R2 )R1 が(S)−2−アミノフェニルチオに
相当する一般式(IV)のヘパリンまたはヘパラン構造
を有する半合成グリコサミノグリカン 3760mgのグリシンのかわりに6300mgの2−
アミノチオフェノールを用いて、反応時間を72時間に
延長して、実施例1に記載したと同じ条件で反応を行な
った。反応の最後に、塩酸を加えてpHを中和したの
ち、クロロホルムで抽出することにより過量のアミノチ
オフェノールを除去した。つぎにその水溶液を実施例1
に記載したように透析および凍結乾燥に付して、以下の
分析的および薬理学的特性を有する690mgの標題の
生成物がえられた:
【0076】
【化20】
【0077】実施例6 −Z(R2 )R1 が1,3−プロパンジチオ−1−イル
に相当する一般式(IV)のヘパリンまたはヘパラン構
造を有する半合成グリコサミノグリカン 3760mgのグリシンのかわりに5390mgの1,
3−プロパンジチオールを用いて、反応時間を90時間
に延長して、チッ素雰囲気中実施例1に記載したと同じ
条件で反応を行なった。
【0078】以下の分析的特性を有する630mgの標
題の生成物がえられた:
【0079】
【化21】
【0080】実施例7 −Z(R2 )R1 が(N)−2−アミノエチル二硫酸に
相当する一般式(IV)のヘパリンまたはヘパラン構造
を有する半合成グリコサミノグリカン 3760mgのグリシンのかわりに7050mgの2−
アミノエチル二硫酸塩を用いて、反応混合物を透析する
前に濾過して、実施例1に記載したと同じ条件で反応を
行なった。
【0081】以下の分析的および薬理学的特性を有する
510mgの標題の生成物がえられた:
【0082】
【化22】
【0083】実施例8 −Z(R2 )R1 がタウリニルに相当する一般式(I
V)のヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成グリ
コサミノグリカン 3760mgのグリシンのかわりに6260mgのタウ
リンを用いて、反応時間を72時間に延長して、実施例
1に記載したと同じ条件で反応を行なった。
【0084】以下の分析的および薬理学的特性を有する
560mgの標題の生成物がえられた:
【0085】
【化23】
【0086】実施例9 −Z(R2 )R1 が(S)−カルボキシメチルチオに相
当する一般式(IV)のヘパリンまたはヘパラン構造を
有する半合成グリコサミノグリカン 20mlの水に7416mgのチオグリコール酸および
6450mgの水酸化ナトリウムを含有する溶液を用い
て、反応時間を72時間に延長して、チッ素雰囲気中
で、実施例1に記載したと同じ条件で反応を行なった。
【0087】以下の分析的および薬理学的特性を有する
450mgの標題の生成物がえられた:
【0088】
【化24】
【0089】実施例10 −Z(R2 )R1 が(S)−2−アミノエチルチオに相
当する一般式(IV)のヘパリンまたはヘパラン構造を
有する半合成グリコサミノグリカン 3760mgのグリシンのかわりに5700mgの塩酸
システアミンを用いて、反応時間を72時間に延長し
て、チッ素雰囲気中で、実施例1に記載したと同じ条件
で反応を行なった。
【0090】以下の分析的および薬理学的特性を有する
490mgの標題の生成物がえられた:
【0091】
【化25】
【0092】実施例11 −Z(R2 )R1 がβ−アラニンエチルエステルに相当
する一般式(IV)のヘパリンまたはヘパラン構造を有
する半合成グリコサミノグリカン 3760mgのグリシンのかわりに7680mgの塩酸
β−アラニンエチルエステルを用いて、反応時間を72
時間に延長して、実施例1に記載したと同じ条件で反応
を行なった。
【0093】以下の分析的特性を有する480mgの標
題の生成物がえられた:
【0094】
【化26】
【0095】実施例12 −Z(R2 )R1 がアジドに相当する一般式(IV)の
ヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成グリコサミ
ノグリカン チッ素雰囲気中で、20mlの水に後述の参考例1でえ
られた2,3−エポキシグロニック構造を有する半合成
グリコサミノグリカン(ヘパリン由来2,3−エポキシ
グロン酸含有グリコサミノグリカン)500mgおよび
6500mgのアジ化ナトリウムを溶解させた。反応混
合物を撹拌下に室温で96時間保ち、つぎに塩酸水溶液
で中和したのちにその溶液を12時間流水中で、および
6時間蒸留水中で透析に付した。えられた溶液を凍結乾
燥して、以下の分析的および薬理学的特性を有する41
0mgの標題の生成物がえられた:
【0096】
【化27】
【0097】実施例13 −Z(R2 )R1 が(N)−ヒドロキシアミノに相当す
る一般式(IV)のヘパリンまたはヘパラン構造を有す
る半合成グリコサミノグリカン 3760mgのグリシンのかわりに3470mgの塩酸
ヒドロキシルアミンを用いて、実施例1に記載したと同
じ条件で反応を行なった。反応の最後に、溶液のpHは
中性になるので、塩酸水溶液を加えて溶液を中和するこ
とは必要でない。
【0098】以下の分析的および薬理学的特性を有する
500mgの標題の生成物がえられた。
【0099】
【化28】
【0100】実施例14 −Z(R2 )R1 がL−シスチニルに相当する一般式
(IV)のヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成
グリコサミノグリカン 70mlの水に4000mgの水酸化ナトリウムおよび
12010mgのL−シスチンを溶解させ、2.5ml
の水に後述の参考例1でえられた2,3−エポキシグロ
ニック構造を有する半合成グリコサミノグリカン(ヘパ
リン由来2,3−エポキシグロン酸含有グリコサミノグ
リカン)を500mg含んだ溶液を加えた。反応混合物
を撹拌下に室温で48時間保ち、つぎに塩酸水溶液を加
えることにより中和した。生じた固体残渣を濾過して除
き、澄明な溶液を流水で12時間、蒸留水で6時間透析
し、最後に凍結乾燥した。
【0101】以下の分析的および薬理学的特性を有する
730mgの標題の生成物がえられた:
【0102】
【化29】
【0103】実施例15 −Z(R2 )R1 がグリシルに相当する一般式(IV)
のヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成グリコサ
ミノグリカン 後述の参考例2記載の2,3−エポキシグロニック構造
を有する半合成グリコサミノグリカン(ヘパリン由来
2,3−エポキシグロン酸含有グリコサミノグリカン)
を500mgを用いて実施例1に記載したと同じ条件で
反応を行なった。
【0104】以下の分析的特性を有する510mgの標
題の生成物がえられた:
【0105】
【化30】
【0106】実施例16 −Z(R2 )R1 がグリシルに相当する一般式(IV)
のヘパラン構造を有する半合成グリコサミノグリカン 市販のヘパリンナトリウムに代えて、ウシ脾臓からえら
れた市販ヘパラン(オポクリン(OPOCRIN)、商
品名、オポクリン エッセ ピー アー(OPOCRI
N S.p.A)製)を用いて後述の参考例1の方法に
したがって以下の分析的特性を有する、一般式(II
I)の2,3−エポキシグロニック構造を有する半合成
グリコサミノグリカンが製造された:
【0107】
【化31】
【0108】この一般式(III)の2,3−エポキシ
グロニック構造を有する半合成グリコサミノグリカン5
00mgを、実施例1に記載したと同じ条件でグリシン
と反応させる。
【0109】以下の分析的特性を有する480mgの標
題の生成物がえられた:
【0110】
【化32】
【0111】参考例1 2,3−エポキシグロニック構造を有する半合成グリコ
サミノグリカン 市販のヘパリンナトリウム25gを水2000mlに溶
解し、水2000mlに溶解させた酢酸カルシウム一水
和物111.2g、酢酸57mlおよびエチルアルコー
ル600mlを含有する溶液中に、前記水溶液を温度を
8〜10℃に保ちながら、約30分間かけて注いだ。5
℃で15時間放置したのち、えられた懸濁液をろ過し、
ろ液にエチルアルコール1000mlを加える。5℃で
3時間放置したのち、えられた沈殿をろ過した。沈殿物
を水200mlに溶解し、1N水酸化ナトリウム溶液を
用いてpH 7.0にした。そののち、Dowex 5
0WX8(ナトリウム型)樹脂100mlおよび水70
mlを用いて20分間処理した。溶液および樹脂を、同
じ樹脂80mlをつめたクロマトグラフィー用のカラム
(直径:1.6cm、長さ:10cm)に移した。溶液
を浸出し、全溶液量が400mlになるまで蒸留水で溶
出したのち、この溶液と、酢酸ナトリウム三水和物12
gおよびエチルアルコール1000mlとを合わせた。
沈殿をろ過し、真空下で乾燥して、精製されたヘパリン
ナトリウムを19.2gえ、ALFA 87−78とし
た。以下に用いた市販のヘパリンナトリウムおよびえら
れたALFA 87−78の物理化学的特性を示す。
【0112】
【化33】
【0113】ヘパリンALFA 87−78 1.8g
を水酸化ナトリウム4.8g(1N)を含有する水溶液
120mlに加えた。3.5時間60℃に保温し、酢酸
で中性にしたのち、流水で一夜、および蒸留水で6時間
透析した。溶液に酢酸ナトリウム3.5gを加え、酢酸
で中性にし、エタノールを2.5倍量加えた。沈殿をろ
過し、エタノール6に対して水1の割合の混合液で洗浄
したのち、乾燥して生成物を1.7gえた。以下に特徴
的なシグナルをもつ13C−NMRスペクトルを示す。
【0114】δ(ppm): 177.4、 104.6、 101.7、
98.6、98.4、97.2、96.8、79.7、79.1、78.6、73.5、7
2.5、72.3、72.1、71.5、68.8、62.6、60.4、60.2、54.
0、53.1 参考例2 2,3−エポキシグロニック構造を有する半合成グリコ
サミノグリカン 低分子量ヘパリンナトリウムLMW ALFA 86−
02は、国際特許公開公報(international patent publ
ication)第86/06729 号明細書記載の方法にしたがっ
て、銅イオンの存在下、過酸化水素を用いた解重合反応
によってえた。以下に物理化学的特性を示す。
【0115】
【化34】
【0116】ヘパリンLMW ALFA 86−02
1.8gを、水酸化ナトリウム0.08g(0.04
N)、酢酸ナトリウム2.6g(0.625N)および
水素化ホウ素ナトリウム10mgを含有する水溶液50
mlに加えた。210分間60℃に保温し、室温に冷却
したのち、まずアニオン樹脂Dowex 1 X4(O
- 型)をつめたカラム(直径:1.2cm、長さ:1
0cm)で、次にカチオン樹脂Dowex 50 WX
8(H+ 型)をつめたカラムで浸出を行なった。浸出液
および洗液を2N水酸化ナトリウム水溶液で中性にした
のち、酢酸ナトリウム4gを加えて、エタノールを2.
5倍量加えた。えられた沈殿を、エタノール6に対して
水1の割合の混合液で洗浄したのち、乾燥して生成物
1.4gをえた。特徴的なピークを示す13C−NMRス
ペクトルを以下に示す。
【0117】δ(ppm): 177.4、 104.6、 101.9、
99.4、98.6、98.4、97.2、96.8、79.9、78.6、72.3、7
1.9、68.8、62.6、60.3、54.1、53.1
【0118】
【発明の効果】本発明により、経口的にも吸収可能で、
出血の危険性が低く、抗凝血活性の少ない良好な抗血栓
性を有する新規なグリコサミノグリカンがえられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジャンフランコ タマニョーネ イタリア共和国、40033 カサレッキオ ジ レーノ ボローニャ、ビア ロン ザニ、55 (72)発明者 ファブリツィオ ウンガレルリ イタリア共和国、40134 ボローニャ、 ビア デルラ クロセッタ、11

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(IV): 【化1】 (式中、pは0でない整数であって、p+q=mで表わ
    されるmおよびnは1から100の間のいずれかの整数
    を表わす。Rは水素原子または硫酸残部(SO3 -
    を、−Z(R2 )R1 は求核基を表わす。ただし、この
    一般式は主な糖単位の組成を示すことを意図するもので
    あり、それらの配列に言及するものではない)で示され
    るヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成グリコサ
    ミノグリカン。
  2. 【請求項2】 Zが酸素原子、硫黄原子またはチッ素原
    子であって、R1 が置換されたまたは非置換の、直鎖も
    しくは分枝鎖状C1〜12のアルキル基、アミノ基、アリ
    ール基、ジアゾ基または水酸基であって、ならびにR2
    が存在しないか、または水素原子または直鎖もしくは分
    枝鎖状C1〜6のアルキル基であるかまたはR1 と共に
    ヘテロ環を形成する請求項1記載のヘパリンまたはヘパ
    ラン構造を有する半合成グリコサミノグリカン。
  3. 【請求項3】 R1 で表わされる置換基が、置換された
    もしくは非置換の、ハロゲン原子、アミノ基、アリール
    基、カルボキシル基、グアニジノ基、ニトロ基、水酸
    基、スルホン基、スルフリック基、チオール基またはウ
    レイド基である請求項1記載のヘパリンまたはヘパラン
    構造を有する半合成グリコサミノグリカン。
  4. 【請求項4】 −Z(R2 )R1 で表わされる基が、一
    級もしくは二級アミン、二級ヘテロ環式アミン、アミノ
    アルコール、アミノチオール、アミノ酸、アミノエステ
    ル、ペプチド、アルコール、フェノール、メルカプタ
    ン、ジチオール、チオフェノール、ヒドロキシルアミ
    ン、ヒドラジン、ヒドラジドまたはアジ化ナトリウムに
    由来する請求項1、2または3記載のヘパリンまたはヘ
    パラン構造を有する半合成グリコサミノグリカン。
  5. 【請求項5】 −Z(R2 )R1 で表わされる基が、グ
    リシン、グリシルグリシン、L−システイン、アセチル
    −L−システイン、L−システインエチルエステル、2
    −アミノチオフェノール、1,3−プロパンジチオー
    ル、システアミン、アジ化ナトリウム、2−アミノエチ
    ル重硫酸塩、タウリン、チオグリコール酸、β−アラニ
    ンエチルエステル、L−シスチン、ヒドロキシルアミ
    ン、グリシルタウリン、システイニルタウリン、グリシ
    ルシステイン、グリシルフェニルアラニン、グリシルチ
    ロシン、2−アミノエタノール、2−アミノエタノール
    とグリシンのエステル、2−アミノエタノールとグリシ
    ンのアミド、アルギニルリジン、アルギニン、リジン、
    酢酸と2−アミノエタノールのエステル、サリチル酸、
    メチオニン、グリシルプロリン、γ−アミノ酪酸、リジ
    ルプロリルアルギニン、スレオニルリジルプロリン、ス
    レオニルリジン、プロリルアルギニン、リジルプロリ
    ン、コリン、4−(3−アミノプロピル)−2−ヒドロ
    キシ安息香酸または4−(2−アミノエチル)−2−ヒ
    ドロキシ安息香酸に由来する請求項4記載のヘパリンま
    たはヘパラン構造を有する半合成グリコサミノグリカ
    ン。
  6. 【請求項6】 一般式(III): 【化2】 (式中、pは0でない整数であって、p+q=mで表わ
    されるmおよびnは1から100の間のいずれかの整数
    を表わす。Rは水素原子または硫酸残部(SO3 - )を
    表わす。ただし、この一般式は主な糖単位の組成を示す
    ことを意図するものであり、それらの配列に言及するも
    のではない)で示される2,3−エポキシグロニック構
    造を有する半合成グリコサミノグリカンを、一般式(I
    I): 【化3】 で示される求核基を有する求核剤と、溶媒、ならびに求
    核剤中に存在するいかなる酸基も塩にするのにおよび
    (または)求核剤が酸の性質を有する物質と形成しうる
    いかなる塩からも同じ求核剤を放出するのに充分な量の
    無機もしくは有機塩基の存在下で、2ないし120時間
    の間、0℃から70℃の間の温度で撹拌下に保って反応
    させて、反応溶媒が水以外であるときには水で反応混合
    物を希釈し、塩酸水溶液を加えて水溶液のpHを中和
    し、その水溶液を流水および蒸留水で透折し、ならびに
    その水溶液を凍結乾燥または適切な溶媒を加えて沈殿さ
    せることにより生成物を単離する一般式(IV): 【化4】 (式中、pは0でない整数であって、p+q=mで表わ
    されるmおよびnは1から100の間のいずれかの整数
    を表わす。Rは水素原子または硫酸残部(SO3 -
    を、−Z(R2 )R1 は求核基を表わす。ただし、この
    一般式は主な糖単位の組成を示すことを意図するもので
    あり、それらの配列に言及するものではない)で示され
    るヘパリンまたはヘパラン構造を有する半合成グリコサ
    ミノグリカンの製造法。
  7. 【請求項7】 求核剤の量が、エポキシ基を有する一般
    式(III)で示される半合成グリコサミノグリカンの
    二量体単位に関して1から200モル当量の間である請
    求項6記載の製造法。
  8. 【請求項8】 溶媒が、水ならびに、ジメチルアセトア
    ミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジオキ
    サン、テトラヒドロフランから選ばれた極性溶媒または
    それらと水との混合物から選ばれたものである請求項6
    記載の製造法。
  9. 【請求項9】 用いられる塩基が、水酸化ナトリウム、
    水酸化カリウム、またはトリエチルアミンから選ばれた
    ものである請求項6記載の製造法。
  10. 【請求項10】 一般式(III)の2,3−エポキシ
    グロニック構造を有する半合成グリコサミノグリカンを
    水中に溶解し、撹拌下、エポキシ基を有する一般式(I
    II)のグリコサミノグリカンの二量体単位に関して1
    0から100モル当量の求核剤ならびに求核剤中に存在
    するいかなる酸基も塩にするのにおよび(または)求核
    剤が酸の性質を有する物質と形成しうる塩から求核剤を
    放出するのに充分な量の水酸化ナトリウムを含有する水
    溶液に加え、つぎにその反応混合物を24から96時間
    の間室温に保ち、その時間ののち、反応混合物のpHが
    中性でないときには反応混合物のpHを塩酸水溶液で中
    和し、その反応溶液を流水および蒸留水で6から24時
    間の間透折し、生成物を凍結乾燥により、または適切な
    溶媒を加えることによりその水溶液から単離する、請求
    項6記載の製造法。
  11. 【請求項11】 反応後に反応混合物のpHを中和した
    のち、水と混和しない溶媒で抽出するかまたは濾過によ
    って過量の求核剤を除いてからその水溶液を流水および
    蒸留水で透析し、生成物の単離を行なう請求項6または
    10記載の製造法。
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