JP2004507562A - 抗血栓性組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、一般に、トロンビン産生または活性を防止または阻害する組成物および方法に関する。
Description
【0001】
(技術分野)
本発明は、一般に、トロンビン産生または活性を阻害または防止する化合物および方法に関する。
【0002】
(従来技術)
トロンビンの産生亢進は、心不全、心臓発作および深静脈血栓症を含む疾患に特有であるが、生命を脅かすものであって有効な治療が必要である。トロンビンの効果を遮断する様々な市販の製剤がある。ヘパリン、硫酸化された多糖類は、抗トロンビン(AT)によるトロンビンおよびXa因子の阻害を促進することによって抗凝固剤として作用する(1)。ヘパリンは急性冠状血管虚血性症候群の治療に広く使用されるが、経皮冠動脈インターベンションを行う患者(2)、または血栓崩壊治療法の補助剤として使用される場合(3)に限られる。これらの制限は血栓成分に結合する凝固酵素、特にフィブリンに結合するトロンビンを不活化するAT−ヘパリン複合体の失活によるものであった(4、5)。
デルマタン硫酸(DS)は、実験動物(6−9)およびヒト(10−13)において抗血栓活性を有する硫酸化されたグリコサミノグリカンであるが、ヘパリン補因子II(HCII)のみを触媒することによって抗凝固剤として作用する。トロンビンはHCIIの唯一の血漿標的(plasma target)であるので、DSはトロンビンの選択的阻害剤であると考えられる(14)。フィブリン結合トロンビンはヘパリン−HCII複合体による不活化から保護されているが(15)、血漿系で行われた間接的な研究ではフィブリン結合トロンビンはDS−HCII複合体による不活化に感受性があるということが示されている(16)。しかしながら、デルマタン硫酸はその高い粘性に伴う特異性の低い生物学的活性のため臨床での実用には制限がある。
市販の低分子量ヘパリン(エノキサパリンまたはフラグミンのどちらか)にデルマタン硫酸を添加することによってインビトロにおいてトロンビン阻害に付加的な効果が得られた(17)。しかしながら、試験された組み合わせはフィブリン結合トロンビンに対して有効でなく、DSは有効性が低く難溶性であるので臨床には有用ではない。
【0003】
(発明の開示)
ヘパリンから得られるオリゴ糖分画(本明細書では「ヘパリンオリゴ糖分画」ともいう)およびデルマタン硫酸から得られるオリゴ糖分画(本明細書では「デルマタン硫酸オリゴ糖分画」ともいう)の組み合わせは流動相トロンビンおよびフィブリン結合トロンビンの両方に有利な阻害効果を提供するということが示された。選択された該ヘパリンオリゴ糖分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせは予想していた付加的な阻害効果以上の、例えば相乗阻害効果を提供した。本発明の新規の意図は該オリゴ糖分画を組み合わせて出血の危険性を上げることなくヘパリンおよびデルマタン硫酸の最大抗凝固活性を保証することである。
組み合わせ処置における各オリゴ糖分画は異なる機構でトロンビンを阻害すると考えられる。理論上の作用機構に縛られたくはないが、該ヘパリンオリゴ糖分画は抗トロンビンを活性化することによって流動相トロンビンと同様にフィブリン結合トロンビンを阻害し、抗トロンビンによるXa因子不活化を触媒してトロンビン産生を阻害することが可能である。該デルマタン硫酸オリゴ糖分画はHCIIを活性化することによってフィブリン結合トロンビンを阻害することが可能である。その活性コンフォメーションにおいて、HCIIのアミノ基末端領域がエキソサイトI(exosite I)に結合する。トロンビンはエキソサイトIを介してフィブリンと結合するので、活性HCIIはトロンビン結合に関してフィブリンと競合してフィブリンからトロンビンを除去する。除去されたフィブリンはヘパリン/HCII、デルマタン硫酸/HCIIまたはヘパリン/抗トロンビンによって不活化されうる。
【0004】
最大限の効果を達成するために異なる機構によってトロンビンを阻害する療法の組み合わせは、治療に対する耐性を改善し、単剤療法における薬剤の多量および長期間使用により引き起こされる副作用の危険性を軽減することになるだろう。それゆえ、本発明の組み合わせ処置は各成分の少量の使用を可能にし(例えば、実施例2において説明されるような少なくとも5ないし10分の1以下の投与量)、一方、各成分の副作用を軽減することができる。少量投与は単剤として使用される場合の各成分における安全域に比べて広範囲の安全域を提供する。加えて、好都合な単一組み合わせ投与単位が患者に提供される場合、利便性の増加は患者の応諾の増加をもたらし、ならびに薬剤の多剤単位投与形に伴うことが多い患者の混乱の可能性を減らすことが一般に認められる。
概して、本発明は患者に有効量の(a)少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画;および(b)少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画を投与することを含む患者におけるトロンビン産生または活性を阻害または防止する組み合わせ処置に関する。本発明のある態様において該組み合わせ処置は相乗活性を提供する。別の態様において、有効量(好ましくは相乗効果量)の少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画および少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画を、それを必要とする患者に対して、組み合わせて投与することを含む、患者におけるトロンビン産生または活性を阻害または防止する方法が提供される。
【0005】
「組み合わせ処置」または「組み合わせて投与する」は活性成分を治療対象の患者に対して同時に投与することを意味する。組み合わせて投与される場合、各要素を同時にまたはいずれの順序でもよいが連続して投与しても、異なる時間に投与してもよい。それゆえ、各成分を別々に投与してもよいが、所望の効果(好ましくは相乗効果)を提供するためには十分に近い時間で投与してもよい。
本発明はまた(a)少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画;および(b)少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画と、任意に医薬上許容される賦形剤、担体または媒体との組み合わせを含む組成物も提供する。本発明はまた各含有物において医薬組成物も意図して、ヘパリンオリゴ糖分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画を、任意に医薬上許容される賦形剤、担体または媒体とともに含む同時または連続投与も意図する。
別の具体例において、本発明は少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画の単位投与;および少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画の単位投与を、任意に医薬上許容される賦形剤、担体または媒体とともに含む医薬組成物を提供する。
上記の組成物はまた該ヘパリンオリゴ糖およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画のナトリウム、カリウム、アンモニア、マグネシウムおよびカルシウム塩のような、医薬上許容される塩も含む。
【0006】
一の態様に関して、医薬組成物はトロンビン産生または活性の防止または阻害において相乗効果を及ぼすのに有効な(a)少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画;および(b)少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせを含んで提供される。該方法はまた医薬上許容される賦形剤、担体または媒体中に、相乗効果量の少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画および少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせを含む医薬組成物も提供する。
好ましい具体例において、該医薬組成物は患者におけるトロンビン産生または活性を防止または阻害するのに要する各々の分画の投与量と比べて少なくとも5ないし10分の1以下の投与量でヘパリンオリゴ糖分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画を含む。
別の態様において本発明はトロンビン産生または活性の防止または阻害に関する医薬の調製において(a)少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画および(b)少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせを含む組成物の使用に関するものである。別の態様において本発明は患者におけるトロンビン産生または活性の防止または阻害に関する医薬組成物の調製における相乗効果量の少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画および少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画の使用に関する。
【0007】
本発明は別々に投与されてもよい活性物質の組み合わせを含む治療法に関するものであり、本発明はまたキット形態で該活性物質を含む別々の組成物を組み合わせることに関する。
本発明はまた本発明のオリゴ糖分画に関するものであって、一般に本明細書に記載されるような上記の分画を使用する組成物および治療に関する。
本発明はまた過度のトロンビン産生または活性に付随する疾患の重症度、疾患の症状および/または疾患の再発の周期性を防止および/または改善するための本発明の組成物または本発明の組み合わせ処置の使用を意図する。
上記および他の本発明の態様、特徴および利点は以下の図面および詳細な説明から当業者に公知である。
【0008】
(図面の簡単な説明)
本発明は以下の図面を参照するとより理解されるだろう:
図1は可溶性フィブリン(Fm)のDS触媒(パネルA)またはヘパリン触媒(パネルB)HCIIによるトロンビン阻害の二次速度定数に対する効果を示す。DSまたはヘパリン触媒下100nM HCIIによる10nMトロンビンの阻害に関するFmのある場合またはない場合の二次速度定数を擬一次条件下で定量した。各点は四つの定量の平均を表し、棒線は標準誤差を表す。
図2は4μMフィブリンモノマーの抗トロンビン(AT)トロンビン阻害における効果であって、ヘパリナーゼ誘導ヘパリンオリゴ糖分画の分子量を増加させていった場合の効果を示す棒グラフである。
図3はヘパリンおよびDSのフィブリンへのトロンビンの結合における効果を示す。フィブリン凝塊へのトロンビンの結合をヘパリン(・)またはDS(o)の存在下、濃度を増加させて定量した。各点は二つの定量の平均を表して棒線は標準誤差を表す。
図4はヘパリンまたはヘパリナーゼ誘導分画のフィブリン凝塊へのトロンビン結合における効果を示すグラフである。
図5はDSまたは標準ヘパリン(SH)存在下HCIIによるフィブリンからのトロンビンの除去を示すグラフである。
【0009】
図6Aはヘパリンオリゴ糖分画単独対ヘパリンオリゴ糖分画:デルマタン硫酸オリゴ糖分画の5:1の組み合わせのウサギ動脈血栓症防止モデルにおける開通性の蓄積効果を示すグラフである。
図6Bはヘパリンオリゴ糖分画単独対ヘパリンオリゴ糖分画:デルマタン硫酸オリゴ糖分画の5:1の組み合わせのウサギ動脈血栓症モデルにおける出血の蓄積効果を示すグラフである。
図7はヘパリン、LMWH、ヘパリンオリゴ糖分画およびヒルジンの開通性における効果の比較を示すグラフ(パネルA)および出血における効果の比較を示すグラフ(パネルB)である。
図8はヘパリンオリゴ糖分画のヒヒ動脈血栓症モデルにおける血管移植片上血小板沈着に対する効果を示すグラフである。
図9はデルマタン硫酸オリゴ糖分画のヒヒ動脈血栓症モデルにおける血管移植片上血小板沈着に対する効果を示すグラフである。
図10はヘパリンオリゴ糖分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせのヒヒ動脈血栓症モデルにおける血管移植片上血小板沈着に対する効果を示すグラフである。
【0010】
(発明を実施するための最良の形態)
ヘパリンオリゴ糖分画
「ヘパリンから得られるオリゴ糖分画」または「ヘパリンオリゴ糖分画」とはインビトロで抗トロンビン活性およびHCII関連抗凝固活性を有するヘパリンから誘導されるオリゴ糖の混合物のことを言う。該分画はトロンビンをフィブリンと架橋するには短すぎるが、抗トロンビンまたはHCIIをトロンビンに架橋するには十分な長さであるヘパリン鎖を含む。該分画は以下の特性:
(a) インビトロで抗トロンビンおよびヘパリン補因子II(HCII)関連抗凝固活性を有する;
(b) 該オリゴ糖はトロンビンをフィブリンと架橋するには短すぎるが、抗トロンビンまたはHCIIをトロンビンに架橋するには十分な長さである;
(c) 少なくとも一つまたはそれ以上の五糖配列を有するオリゴ糖を少なくとも15%、20%、25%、30%、35%または40%有する;
(d) 約6000から約12000まで、6000ないし11000、または6000ないし10000の分子量の範囲を有するオリゴ糖に富む;
(e) 該オリゴ糖は約7000ないし10000、7500ないし9700または8000から9000のピーク分子量を有する;
(f) 該オリゴ糖の少なくとも30%、35%、40%、45%、50%または55%が6000ダルトンより大きなまたはそれに等しい分子量を有する;
(g) 少なくとも20%、25%、30%、35%または40%が8000ダルトンより大きなまたはそれに等しい分子量を有する;
(h) 1.1ないし1.8の多分散度;および
(i) 抗Xa因子および抗IIa因子様活性を有し、好ましくは抗Xa因子活性の抗IIa因子活性に対する比率が約2:1から1:1までである;
のうち一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つまたは七つまたはそれ以上を有するヘパリンから誘導されるオリゴ糖の混合物を含んでいてもよい。
本発明のある態様に関して、本発明において使用される分画は上記の特性(a)、(b)、(c)および(d);(a)(b)、(c)および(e);(a)、(b)、(e)および(f);(a)、(b)、(e)および(g);(a)、(b)、(e)、(f)、(g)、(h)および(i);(b)、(c)、(e)および(g);(b)、(d)、(c)、(h)および(i);(b)、(c)、(d)および(h);(b)、(e)、(h)および(i);(b)、(e)、(f)、(h)および(i);(b)、(e)、(g)、(h)および(i);または(a)から(i)すべてを有する。
【0011】
「オリゴ糖に富む」とは特定のまたは制限した分子量の範囲内で少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%のオリゴ糖を含む分画のことを言う。
「五糖配列」とは三つのD−グルコサミンおよび二つのウロン酸残基から成るヘパリンの基本構造単位のことを言う(下記の構造を参照)。中央のD−グルコサミン残基は唯一3−O−硫酸部分を含有する。
五糖配列は抗トロンビンに対して高親和性のヘパリンの最小構造を表す(Choay,Jら、Biochem Biophys Res Comm 1983;116:492−499)。ヘパリンの抗トロンビンへの該五糖配列を介しての結合は、反応性に富む中央ループにおいて抗トロンビンを緩慢な阻害剤から非常に速い阻害剤へ転換させる立体配座の変化をもたらす。
ヘパリンオリゴ糖分画はトロンビンをフィブリンと架橋するには短すぎるが、抗トロンビンまたはHCIIをトロンビンに架橋するには十分な長さであるヘパリン鎖を含む。結果、本発明において選択的に使用される分画は抗トロンビンを触媒して流動相トロンビン同様フィブリン結合トロンビンを阻害し、抗トロンビンによるXa因子不活化を触媒してトロンビン産生を阻害することが可能だろう。好ましくは、本発明で選択的に使用される分画はフィブリン結合トロンビンおよび流動相トロンビンを十分に等しく阻害するものである。
本発明において使用してもよい可溶性ヘパリンオリゴ糖分画の特性は表1および表2で説明される。
【0012】
本発明において使用されるヘパリンオリゴ糖分画は抗Xa因子様および抗IIa因子様活性を有していてもよい。ある具体例において、抗Xa因子活性の抗IIa因子活性に対する比率は約2:1から1:1の範囲である。好ましい具体例において、抗Xa因子活性は約80IU/mgないし約155IU/mg、好ましくは90IU/mgないし140IU/mgの範囲である。好ましい具体例において、抗IIa因子活性は約20IU/mgないし約150IU/mg;さらに好ましくは40IU/mgないし約130IU/mgの範囲である。
本発明の組成物、方法およびキットはPCT/CA98/00548(WO98/55515、1998年12月10日公開)、1999年6月30日登録米国出願番号60/141,865または1999年9月17日登録米国出願番号60/154,744、これらはその出典を明示することにより本明細書の一部とする、に記載の修飾ヘパリン組成物を使用してもよい。
上記の(d)、(e)、(h)および(i)で説明される範囲内にあるより好ましい特性を有する本発明において使用されるヘパリンオリゴ糖分画を製造することは可能であるとわかるだろう。例えば、該分画は約7000ないし10000;7500ないし10000;7800ないし10000;7800ないし9800;7800ないし9600;7800ないし9000;7800ないし8800;7800ないし8600;7800ないし8500;または8000ないし8500の範囲の分子量を有していてもよい。また7800ないし10000;7800ないし9800;7800ないし9600;7800ないし9000;7800ないし8800;7800ないし8600;7800ないし8500;または8000ないし8500のピーク分子量を有するヘパリンオリゴ糖分画を使用することも可能であるだろう。本発明の組成物および方法において使用される分画を1.3ないし1.6の多分散度を有するように開発してもよい。加えて、以下の好ましい特性:(i)約1.5:1から約1:1の抗Xa因子活性の抗IIa因子活性に対する比率;(ii)約95IU/mgから約120IU/mgまでまたは100IU/mgから110IU/mgまでの抗Xa因子活性;(iii)約80IU/mgから約100IU/mgまでまたは90IU/mgから約100IU/mgまでの抗IIa因子活性の一つまたはそれ以上を有する分画を本発明で使用するのに開発してもよい。
【0013】
本発明の具体例において、該ヘパリンオリゴ糖分画は以下の特性:
(a) 6000から10000ダルトンまでの範囲および平均約8500の分子量を有するオリゴ糖に富む;
(b) 白色ないし黄白色の結晶固体である;
(c) 室温で安定である;および
(d) 約1.2ないし1.5、好ましくは1.5の多分散度を有する;
のうち一つまたはそれ以上を有する。
本発明で使用されるヘパリンオリゴ糖分画は上記ヘパリンのオリゴ糖の調製に関して従来技術で組織から得られ、またはそれ以外に合成されてもよい。特に、ヘパリンオリゴ糖分画は未分画ヘパリンからまたは、代わりに、低分子量ヘパリン(LMWH)から調製されてもよい。
一例として、ヘパリンオリゴ糖分画はまず未分画ヘパリンを解重合して低分子量ヘパリンを得て、所望のヘパリンオリゴ糖分画を単離または分離することによって未分画ヘパリンから得ることができる。未分画ヘパリンは医薬効果のある市販のヘパリン製剤または哺乳類の組織または器官から活性ヘパリンを抽出して得られるような、粗ヘパリン製剤のどちらかとすることができる。市販のヘパリン製品(USPヘパリン)は数種の販売元(例えば、シグマケミカル社、St.Louis、Missouri)から、一般にアルカリ金属塩またはアルカリ土類塩として(最も一般的にはナトリウムヘパリンとして)、入手可能である。別法として、未分画ヘパリンは哺乳類の組織または器官から、特に、例えば、ウシ、ブタおよびヒツジからの腸管粘膜または肺から、当業者に公知の様々な方法(例えば、Coyen,Erwin,Chemistry and Biology of Heparin、(Lundblad,R.L.ら、(Eds.)、pp.9−17,Elsevier/North−Holland,New York(1981)を参照)を使用して抽出してもよい。好ましい具体例において、未分画ヘパリンはブタ腸管粘膜ヘパリンである。
【0014】
多くのヘパリンの解重合に関する方法が既知であって、それらは一般に化学または酵素反応のいずれかに基づく。例えば、本発明のヘパリンオリゴ糖分画は、標体の未分画ヘパリンをベンジル化してさらにアルカリ金属解重合;亜硝酸解重合;ヘパリナーゼによる酵素解重合;過酸化物解重合等の操作により調製可能である。特に、ヘパリンオリゴ糖分画はPCT/CA98/00548(WO98/55515)に記載の亜硝酸解重合法または過ヨウ素酸酸化加水分解法を使用して調製されてもよい。
一の具体例において、ヘパリンオリゴ糖分画は、ヘパリナーゼ解重合(例えば、U.S.3,766,167およびU.S.4,396,762を参照)を使用して未分画ヘパリンから調製される。好ましい具体例において、分画はヘパリナーゼ解重合を制御することによって調製される。
【0015】
デルマタン硫酸オリゴ糖分画
「デルマタン硫酸から得られるオリゴ糖分画」または「デルマタン硫酸オリゴ糖分画」とは抗トロンビン関連活性をほとんどまたは全く有しないが、インビトロでHCII関連抗凝固活性を有するデルマタン硫酸から誘導されるオリゴ糖の混合物のことを言う。デルマタン硫酸は交互のウロン酸およびN−アセチルガラクトサミン残基からなる。大部分のグルクロン酸残基をC5−エピマー化してイズロン酸残基を得る。さらに、O−硫酸化がGalNAcのC4位またはC6位にまたはIdoAのC2位に起こってもよい。本発明で使用される分画は天然の未分画デルマタン硫酸と比べてHCIIに対しより高い親和性を示す。
本発明で使用選択されるデルマタン硫酸オリゴ糖分画は以下:
(a) 硫黄含有率が6.0%ないし10%(w/w)、例えば6.0ないし8.0%(w/w)、好ましくは6.5%ないし8%(w/w);
(b) 硫酸基/カルボキシル基の比率が1.2ないし2.5、例えば1.2から2.0まで、例えば1.3ないし1.8、好ましくは1.3ないし1.6;
(c) 一硫酸化された二糖含有率のうち二硫酸化された二糖含有率が20%ないし60%(w/w)、好ましくは30%ないし60%(w/w);
(d) トロンビンに対するヘパリン補因子II介在活性が20−60IU/mg、好ましくは30−60IU/mgの範囲;
の一つまたはそれ以上、好ましくは全ての特性を有する。
【0016】
本発明のある具体例において、90%またはそれ以上で約1600ないし約20000ダルトンの範囲である分子量を有し、約4500ないし約8000ダルトンのピーク分子量を有するデルマタン高分子鎖の混合物を含むデルマタン硫酸オリゴ糖分画が選択される。
本発明の好ましい具体例において、該デルマタン硫酸オリゴ糖分画は以下の特性:
(a) 5000から8000ダルトンまでの範囲の分子量を有するオリゴ糖に富む;
(b) 白色ないし黄白色の結晶固体である;
(c) 室温で安定である;および
(d) 6.2重量%より多くがスルホン化されている;
の一つまたはそれ以上を有する。
デルマタン硫酸オリゴ糖分画は未分画デルマタン硫酸からの上記オリゴ糖の調製に関して従来技術で組織から得られ、またはそれ以外に適当な単糖から最初から合成可能である。好ましくは、未分画デルマタン硫酸の高電荷領域の単離を保護し容易にする解重合法が未分画デルマタン硫酸に比較して改善した可溶性および有効性を有する本発明での使用に適した分画を提供するのに使用される。例えば、デルマタン硫酸オリゴ糖分画は以下の工程:過ヨウ素酸酸化によるデルマタン硫酸の酸化および解重合、水素化ホウ素還元、酸加水分解およびイオン交換クロマトグラフィーで調製されてもよい。
【0017】
該分画を調製するのに使用可能なデルマタン硫酸の供給源は哺乳類の組織、例えば、ブタまたはウシ供給源からの血管組織および皮膚を含む、哺乳類の皮膚を含む。好ましくは腸管粘膜がデルマタン硫酸供給源として使用される。
好ましくは、本発明の組成物、方法およびキットは、PCT/EP98/03007(WO98/55514、1998年12月10日公開、出典明示により本明細書の一部とする)に記載の、デルマタン硫酸オリゴ糖混合物およびかかる混合物の製法を使用する。
【0018】
オリゴ糖分画の性質の定量
本発明で使用されるヘパリンまたはデルマタン硫酸オリゴ糖分画の分子量特性は当業者に公知のおよび当業者によって使用される標準技術を使用して定量可能である。上記技術は、例えば、GPC−HPLC、粘性測定、散光、解重合過程で造られる官能基の化学的または物理化学的定量、などを含む。好ましい具体例において、オリゴ等分画の分子量特性は高性能サイズ排除クロマトグラフィーによって定量される。
特に、以下の方法は本発明で使用されるヘパリンまたはデルマタンオリゴ糖分画の性質および特性を確認するのに使用されるだろう:
(a) Dedem、Pharmeuropa、3,202−218,1991の方法に従うGPC−HPLCによる分子量。
(b) Ph.Eur.2.ed.V.3.5.3に従う硫黄含有率。
(c) Ph.Eur.1997:0828に従う硫酸基/カルボキシル基の比率。
(d) 基準として4.国際ヘパリン標準(識別番号82/502)を用いる血漿遊離系での色素アッセイ(Diagnostica Stago, France)によるHCII介在抗トロンビン活性
(e) Ph.Eur.1997:0828に従う抗Xa因子および抗IIa因子、両方法とも傾斜比アッセイに関する統計学的方法を使用する点を修飾。
【0019】
組成物および方法
本発明の組成物および方法はトロンビン産生または活性亢進および/または補体活性亢進を特徴とする状態または疾患の防止または治療に関する治療法として有用である。上記の状態は患者が外傷に曝された場合、例えば外科手術を受けた患者にしばしば生じる。創傷または外科手術によって生じる外傷は血管損傷および血液凝固の二次的な活性化を引き起こす。これらの望ましくない効果は一般または整形外科手術、婦人科手術、心臓血管手術または他の手術法の後に生じるだろう。過剰なトロンビンはまた心不全、心臓発作または四肢の壊死を引き起こすアテローム性動脈硬化のような本来の疾患の進行も複雑にするだろう。それゆえ、本発明の方法および組成物は、不安定狭心症、急性心筋梗塞、(心不全)、脳血管障害(発作)、肺動脈塞栓症、深在静脈血栓症、動脈血栓症、などを含む、多くの主要な心臓血管の合併症を治療、防止または阻害するのに使用可能である。本発明の組成物および方法は透析中の凝固を減らしまたは防止して心臓切開外科手術中の血管内凝固を減らしまたは防止するのに使用されるだろう。それらはまた静脈内注入装置などの医療器具の開通性を維持するのにも使用されるだろう。
【0020】
本発明のある態様において、方法および組成物は、止血の破綻した医学的状態(medical condition)(例えば、冠状動脈疾患、アテローム性動脈硬化等)のために血栓を形成する危険性の高い患者にてトロンビンの産生または活性を防止または阻害するために提供される。別の態様において、方法および組成物は心臓手術、血管手術または経皮冠動脈インターベンションのような、医学的操作の後で血栓を形成する危険性の高い患者に対して提供される。ある具体例において、本発明の方法および組成物は心肺バイパスにおいて使用される。本発明の方法における組成物またはオリゴ糖分画は、医学的操作の前、間または後に投与されてもよい。
治療の効果および毒性はED50(母集団の50%にて治療上有効な用量)またはLD50(母集団の50%に及ぶ致死量)統計を計測するような細胞培地中または実験動物を用いる標準の医薬的方法で定量される。治療指数は治療作用の毒性作用に対する用量比であって、ED50/LD50比として表すことができる。高い治療指数を示す医薬組成物が好ましい。
【0021】
組み合わせ処置を受けてもよいまたは本発明の組成物を投与されてもよい患者は哺乳類、特にヒトを含む動物を含む。動物はまたウマ、ウシ、ヒツジ、鳥類、魚類、ブタ、ネコ、イヌおよび動物園の動物を含む、家畜動物も含む。
本発明の組成物、ヘパリンオリゴ糖分画またはデルマタン硫酸オリゴ糖分画は、患者の体内で活性物質を物質の作用部位と接触させるいずれかの方法によって投与可能である。該ヘパリンおよびデルマタン硫酸オリゴ糖分画は所望の効果を提供するために、同時にまたはいずれの順序でもよいが連続して投与しても、異なる時間に投与してもよい。本発明の組成物および方法の効果を最大限にする投与法の選択は熟練の内科医または獣医の器量の範疇である。該組成物は錠剤、カプセル(その各々は持続放出または時間放出処方を含む)、丸剤、散剤、顆粒、エリキシル、チンキ、懸濁液、シロップおよび乳剤のような経口剤形で投与されてもよい。それらはまた静脈内(ボーラスまたは注入)、腹腔内、皮下または筋内形態で投与されてもよく、使用する剤形はすべて当医薬業者に通常の技術として公知である。本発明の組成物は適当な鼻内媒体の局所的使用を介する、または経皮経路を介する、例えば従来の皮膚パッチを使用する鼻内形態で投与されてもよい。経皮放出系における投与形は投与法全般において間欠的というよりむしろ継続的であるだろう。
【0022】
本発明は相乗活性を提供するまたは相乗効果量のデルマタン硫酸またはヘパリンオリゴ糖分画を供給する組み合わせ処置を含む。本発明に適した医薬組成物は活性成分が相乗効果量だけ包含される組成物を含む。「相乗活性」または「相乗効果量」とは十分な量の該ヘパリンオリゴ糖分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画が各分画単独で達成される効果より優れた所望の効果、例えば、上記のような、血栓関連心臓血管状態を治療する際のトロンビン付着の阻害改善、例えば、血餅結合トロンビンの不活化改善、抗トロンビンによるXa因子不活化を触媒することによるトロンビン産生の阻害改善、などを達成するために提供されるということを意味する。
本発明の投与法は特定の物質およびその投与形態および投与経路という薬力学的な特性;患者の人種、年齢、性別、健康状態、医学的状態、および体重、症状の種類および程度、同時治療の種類、治療の頻度、投与経路、患者の腎および肝機能、および所望の効果のような既知の因子によって変化するだろう。状態の進行を防止、対抗または阻止するのに要する有効量の薬剤は通常の熟練の内科医または獣医によって容易に定量される。
【0023】
本発明の組成物または方法は少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画の単位投与形および少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画の単位投与形を含むだろう。「単位投与形」は単位、例えば患者に投与可能な、および上記の活性物質またはそれの固体または液体医薬賦形剤、担体または媒体との混合物を含む物理的および化学的に安定な単位投与量のまま、容易に扱われ封入される一回投与量について言う。
典型的には、活性物質例えば、該ヘパリンオリゴ糖分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画は、各々医薬組成物として一回投与量当たり約2mgから一回投与量当たり1000mgまでの範囲の濃度内におよび、より好ましくは、一回投与量当たり約5mgから一回投与量当たり500mgまでの範囲の濃度内にあるだろう(または本発明の方法で使用される)。一日投与量は広範囲に変化するが、通常一日一回投与量当たり約20mgから一日一回投与量当たり約100mgまでの範囲の濃度内におよび、より好ましくは、一日一回投与量当たり約40mgから一日一回投与量当たり約80mgまでの範囲の濃度内にあるだろう。
本発明の組成物または方法におけるヘパリンオリゴ糖分画のデルマタン硫酸オリゴ糖分画に対する比率は1:1ないし10:1、好ましくは1:1ないし8:1、より好ましくは2:1ないし6:1、最も好ましくは5:1であるだろう。
【0024】
本発明の組成物またはその分画は典型的には意図される投与形態に基づき、従来の医薬製法に一致して選択される適当な医薬希釈剤、賦形剤、媒体または担体を含む。担体、媒体などは患者におけるトロンビン産生または活性を阻害または防止するために相乗効果量の活性分画を提供するのに調整されるだろう。
適当な医薬希釈剤、賦形剤、媒体および担体は標準参考書、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Companyに記載される。カプセルまたは錠剤の形態での経口投与の例では、該活性要素をラクトース、スターチ、スクロース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、グルコース、硫酸カルシウム、リン酸二カルシウム、マンニトール、ソルビタールおよびその類似物のような経口、無毒の医薬上許容される不活性の担体で合してもよい。液体形態での経口投与では、薬剤要素はエタノール、グリセロール、水およびその類似物のようないずれの経口、無毒の、医薬上許容される不活性の担体で合してもよい。適当な結合剤(例えば、ゼラチン、スターチ、コーン甘味料、グルコースを含む天然糖;天然および合成ガムおよびワックス)、潤滑剤(例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムおよび塩化ナトリウム)、崩壊剤(例えば、スターチ、メチルセルロース、寒天、ベントナイトおよびキサンタンガム)、芳香剤および着色料をまた該組成物またはその要素内に合してもよい。
本発明の組成物の非経口投与での処方は綿実油、ココナッツ油またはピーナッツ油のような食用油とともに水溶液、シロップ、水性または油性懸濁液および乳液を含むだろう。水性懸濁液として使用可能な分散または懸濁剤は、トラガカント、アルギナート、アカシア、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ゼラチン、メチルセルロースおよびポリビニルピロリドンのような、合成または天然ガムを含む。
【0025】
非経口投与の組成物は、水、等張性食塩水、等張性グルコース溶液、緩衝液または治療活性物質の非経口投与で有利に使用される他の溶媒のような、無菌の水性または非水性溶媒を含むだろう。非経口投与で意図される組成物はまた安定剤、緩衝液または保存料のような従来の添加物、例えば、メチルヒドロキシベンゾエートまたは類似添加物のような抗酸化剤も含むだろう。
本発明の組成物は、例えば、細菌留めフィルタを通す濾過、該組成物への無菌化剤の添加、該組成物の照射または該組成物の加熱によって無菌化されてもよい。別法として、本発明の分画は無菌固体製剤、例えば、凍結乾燥散剤、それは使用直前に無菌溶媒に容易に溶ける、として提供されてもよい。
上記の処方に加えて、該組成物はまた貯留(depot)製剤として処方されてもよい。上記の長期作用処方は埋め込み(例えば、皮下または筋内)でまたは筋内注射で処方されてもよい。それゆえ、例えば、該分画は適当なポリマーまたは疎水性物質(例えば、許容される油状物質内の乳剤のような)またはイオン交換樹脂または、例えばやや溶けにくい塩のような、やや溶けにくい誘導体として処方されてもよい。
【0026】
本発明の組成物およびその要素は適当な薬剤担体として可溶性ポリマーを含んでもよい。
医薬組成物を調製した後、それらは適当な含有物で置換されても意図した状態の治療に関して標識されてもよい。本発明の組成物の投与に関して、上記の標識は投与量、投与頻度および投与法を含むだろう。
本発明はまたアスピリン、プリオキシカム(prioxicam)、クロピドグレル(clopidogrel)、チクロピジンまたはグリコプロテインIIb/IIIa受容体アンタゴニストのような抗血小板または血小板阻害剤、ボロペプチド(boropeotides)、ヒルジンまたはアルガトロバンのようなトロンビン阻害剤;またはプラスミノゲンアクチベーター(組織プラスミノゲンアクチベーターのような)、アニストレプラーゼ(anistreplase)、ウロキナーゼまたはストレプトキナーゼのような、血栓崩壊またはフィブリン溶解剤;またはその組み合わせに限らず含む一つまたはそれ以上の別の治療薬と本発明の組成物の併用法も含む。
上記の心臓血管状態の治療に関する医薬組成物において有用であることに加えて、当業者は該活性製剤がインビトロで血液凝固の機構を説明するのに試薬として使用可能であることが容易にわかるだろう。
本発明は特定の実施例によって比較的詳細に記載されるものである。以下の実施例は説明の目的で提供され、いかなる方法においても本発明を制限することを意図するものではない。当業者には変化させてまたは修正して本質的に同様の結果を得られる様々な決定的でないパラメーターが容易にわかるだろう。
【0027】
実施例1
本発明で使用される数種類のヘパリンオリゴ糖分画および他のヘパリン分画(シグマ製UFHおよびRhoune−Poulenc Rorer製エノキサパリン)の特性は表2において開示される。表の数値は平均分子量、活性、抗IIa活性、多分散度およびKd値を含む。多分散度はMW/Mn(数平均分子量で割った重量平均分子量)であってヘパリン標本のゲル濾過ピークプロフィールに関する積分表(integration tables)のデータを分析して定量される。Kd値はATまたはIIaの一方をヘパリン標本で滴定する際に観察される蛍光(280nm励起、340nm発光)の増加を平均して、I/I0対(verses)ヘパリン濃度の滴定曲線を結合等温式(binding isotherm equation)に適応させて、α(最大蛍光変化量)、Kd(解離定数)およびn(リガンド一モルに結合すのに要するヘパリンのモル数)を解いて得られた。結合リガンドの化学量論量(1/n)を得、各ヘパリン分画内の五糖配列含有鎖の割合と解釈される。
選択されるヘパリンオリゴ糖分画は、ヘパリンとは異なり、トロンビンのフィブリンへの結合を安定化しない。これはフィブリンモノマーの添加によってAtおよびHCII存在下の未分画ヘパリンによるトロンビン不活化の比率が減るという研究で実証された。対照的に、フィブリンモノマーは等モル濃度の該ヘパリンオリゴ糖分画存在下のATまたはHCIIによるトロンビン不活化の比率に対して最小の阻害効果のみを有する。選択されるヘパリンオリゴ糖分画はフィブリンに結合するトロンビンを増加させないというさらなる研究が0から7500nMまでの範囲の濃度内で該ヘパリンオリゴ糖分画または未分画ヘパリンの一方がある場合またはない場合でフィブリン凝塊に結合するI125標識トロンビンの量を測定することによって得られた。
【0028】
実施例2
ヘパリン分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画の抗トロンビン活性
ヘパリンオリゴ糖分画、デルマタン硫酸オリゴ糖分画およびヘパリンおよびデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせの抗トロンビン活性を比較するために体外循環を使用した。上記の循環はWeitzら、1999に詳細に記載される。要するに、異なる濃度の試験化合物をI125標識ヒトフィブリノゲンで標識したカルシウム再沈着ヒト全血液に加えて水槽内に37℃で維持する。蠕動ポンプで全血液を40μ血液フィルタに通して循環させる。フィルタ内の血餅を内圧力計(in−line pressure gauge)でフィルタに近い圧力を測定して検出する。一連の血液標本を内貯蔵器(in−line reservoir)から除去してフィブリノゲン消費量および血餅形成の指標として残留放射能を数える。さらに、凝固活性化開始時間を測定した。
二つの重要な基準、開通性および凝固過程において消費されるフィブリノゲンの割合は、このモデルで試験される化合物の効果を評価するのに使用される。開通性は濾過終了までの時間として測定される。実験は90分で終了するため、開通性の時間の上限を定義する。
実験において使用されるデルマタン硫酸オリゴ糖分画(実施例および表3ではLMWDSとしても記載)は以下の特性:Mp:5000Da、Mw:7600Daおよび1.4の多分散度を有する。ヘパリナーゼ誘導ヘパリンオリゴ糖分画は本明細書記載のヘパリナーゼ解重合によって得られ、8000のピーク分子量、約100IU/mgの抗IIa活性、約134IU/mgの抗Xa活性および約1.5の多分散度を有する。一酸化二窒素誘導ヘパリンオリゴ糖分画はPCT/CA98/00548記載の一酸化二窒素解重合によって得られ、7700の分子量、84IU/mgの抗IIa活性、123IU/mgの抗Xa活性および約1.3の多分散度を有する。過ヨウ素酸塩誘導ヘパリンオリゴ糖分画はPCT/EP98/03007(1998年12月10日公開、WO98/55514)記載の過ヨウ素酸塩解重合によって得られ、7900のピーク分子量、19IU/mgの抗IIa活性、43IU/mgの抗Xa活性および約1.5の多分散度を有する。
【0029】
約8000ダルトンのピーク分子量を有するヘパリン分画を選択した。というのも、この分画が約27糖単位から成る鎖に一致するからである。最小18糖単位の長さがトロンビンを抗トロンビンに架橋するのに必要とされる。ほとんど全てのこれら分画の鎖は18以上の糖単位から成るので、それらは抗トロンビンによるトロンビンの不活化を触媒するのに十分な長さである。対照的に、これらの鎖はトロンビンをフィブリンに架橋するには短すぎる、なぜならこの架橋反応は40糖単位またはそれ以上(例えば12000Daまたはそれ以上)から成る鎖を必要とするからである。結果的に、8000の平均分子量を有するヘパリン分画は抗トロンビンを活性化する能力によってトロンビンに対して優れた阻害活性を有し、トロンビンをフィブリンに架橋せずヘパリン/抗トロンビンまたはヘパリン/HCII複合体に対抗しないのでフィブリン結合トロンビンを不活化できる。対照的に、エノキサパリン、約5000の分子量を有する市販の低分子量ヘパリン(Rhoune−Poulenc Porer、モントリオール、PQ)は、トロンビンを抗トロンビンに架橋するにはほとんど短すぎる鎖から成るので、なぜそのトロンビンに対する阻害活性がXa因子に対する阻害活性に比べて低いのかが説明される。
上記(Weitz JIら、Circulation 1999;99:682−689)の通り、異なる濃度の各分画をI125標識ヒトフィブリノゲンで標識したカルシウム再沈着ヒト全血液に加えて水槽内に37℃で維持した。全血液を40μ血液フィルタに通して循環させるのに蠕動ポンプを使用した。(a)フィルタ内の血餅を内圧力計でフィルタに近い圧力を測定し、(b)一連の血液標本を内貯蔵器から除去してフィブリノゲン消費量の指標として残留放射能を数えて検出した。さらに、凝固活性化開始時間もまた測定した。
【0030】
表3に説明されるように、単独で使用される場合、250μg/mlのデルマタン硫酸オリゴ糖分画濃度が濾過開通性を維持して<10%までフィブリノゲン消費量を減らすのに必要とされた。これは上記の操作で、未分画デルマタン硫酸が4mg/mlの濃度でさえ上記の循環では無効であったという報告(Weitzら、Circulation、1999)からも顕著である。
低分子量デルマタン硫酸および8000Daヘパリナーゼ誘導ヘパリン分画またはエノキサパリンの組み合わせもまた評価した。LMWDSは1μg/mlの8000Daヘパリナーゼ誘導ヘパリン分画と併用した場合100μg/mlで、または2μg/mlの該ヘパリン分画と併用した場合50μg/mlで有効であった。対照的に、50μg/mlのLMWDSは3μg/mlのエノキサパリンと併用した場合無効であり、80分で濾過終了、フィブリノゲン消費量は85%であった。これはヘパリナーゼ誘導分画がエノキサパリンに比べて有効であることを示す。
LMWDSおよび8000Daヘパリナーゼ誘導ヘパリン分画が併用される場合、二つの薬剤は、各々、薬剤が単独で使用される場合開通性を維持するのに要する投与量に比べて5および10分の一の投与量で有効である(例えば、50対250μg/mlのLMWDSおよび1対10μg/mlの8000Daヘパリナーゼ誘導分画)。
LMWDS(50μg/ml)、ヘパリナーゼ、亜硝酸および過ヨウ素酸塩誘導ヘパリン分画およびエノキサパリンの組み合わせを比較した(全て2μg/ml)。LMWDSおよびヘパリナーゼまたは亜硝酸誘導ヘパリン分画の組み合わせは有効であった。他の二つの組み合わせは有効ではなかった(表4参照)。
さらにヘパリナーゼ誘導分画およびエノキサパリンを評価するために、二つを等重量投与量で比較した(表5)。30μg/mlでさえ、エノキサパリンは10μg/mlのヘパリナーゼ誘導分画に比べて効果が低かった。
【0031】
実施例3
HCIIによるヘパリンおよびDS触媒トロンビン阻害率に対するフィブリンモノマーの効果の比較
可溶性フィブリン、上記の通り調製される(15)、のHCIIによるトロンビンの阻害率に対する効果をまずDSまたはヘパリンの濃度を増加させてある場合またはない場合で試験した。HCIIによるトロンビンの阻害に関する二次速度定数(k2)を擬一次状態下3.3μMのヘパリンまたはDSまたは4μMSF、または両方のある場合またはない場合で定量した。トロンビン(10nM)をTBS含有0.6%PEG−8000内で様々な濃度のヘパリンまたはDS(0ないし11μM)、SF(0ないし4μM)、10mMGPRP−NH2および15mMトリス塩酸、pH7.5存在下5分間室温でインキュベートした。反応混合物(10μl)を96ウェル丸底マイクロタイタープレートにアリコートして同体積のHCII(トロンビンの少なくとも10倍の濃度)を2から5秒の範囲の時間間隔で各ウェルに加えた。全反応を10mg/mlポリブレン(polybrene)含有200μlTBS中200μMの色素基質(tGPR−pNA)を加えて終了した。残留トロンビン活性をSpectra Max 340 Microplate Reader(Molecular Devices、Menlo Park、CA)を使用して405nmで吸光度を5分間測定して計測した。データを方程式:k1t=ln([P]0/[P]t)(式中、[P]0は開始トロンビン活性であって[P]tは時間tにおけるトロンビン活性である)に適合させることによりトロンビン阻害に関する擬一次速度定数(k1)を定量した。k1をHCII濃度で割って二次速度定数、k2を定量した(15)。図1(パネルA)で示されるように、可溶性フィブリン(Fm)は、2または4μMの濃度で、HCIIによるトロンビン阻害のDS触媒比率において3倍弱の減少を引き起こすにすぎない。対照的に、FmはHCIIによるトロンビン阻害のヘパリン触媒比率において投与量依存性減少を引き起こす(パネルB)。1μMヘパリンおよび4μMFmでは、比率において最大240倍の減少が観察され、上記の報告(15)の値に一致する。
【0032】
抗トロンビンによるトロンビン不活化の比率に対するヘパリンおよびヘパリナーゼ誘導分画存在下フィブリンモノマーの効果の比較
類似の方法を使用して、ヘパリンまたは8000Daヘパリナーゼ誘導分画存在下での抗トロンビンによるトロンビン不活化の比率に対する可溶性フィブリンモノマーの効果を比較した。図2に説明されるように、ヘパリン存在下で、トロンビン不活化の比率は4μMフィブリンモノマーの存在下で約45倍減少した。対照的に、フィブリンモノマーは8000Daヘパリナーゼ誘導分画存在下でのトロンビン不活化の比率において10倍の減少のみであった。
【0033】
125I−FPR−トロンビンのフィブリンへの結合に対するヘパリン、DSまたは8000ヘパリナーゼ誘導分画の効果
ヘパリンはトロンビンのフィブリンへの結合を高めること、ATへの親和性が高いまたは低いに関わらず生じるが、11200Daまたはそれ以上のヘパリン鎖のみで生じる効果が以前に示された(18)。この研究では、DSのフィブリンへのトロンビン結合を促進する能力がヘパリンの能力と比較された。これを行うために、活性部位遮断トロンビン(FPRトロンビン)および125I−FPRトロンビンが記載される通りに調製された(19)。ヘパリンまたはDSの一方のある場合またはない場合での125I−FPRトロンビンのフィブリン凝塊への結合がTBS含有0.6%PEG−8000および0.01%Tween−20内で研究された。フィブリノゲン(7.5μM)を総体積40μlで上昇する濃度(0から2.5μMまで)のいずれかのヘパリンまたはDSと一緒に一連の微小沈殿管(カタログ番号72.702、Sarstedt Inc.、St.Laurent、PQ)内でインキュベートした。10mM塩化カルシウム、500mM125I−FPRトロンビンおよび10nMトロンビン含有株A10μlを加えて凝固を開始させた。室温で45分インキュベートした後、フィブリンを5分間15000×gで遠心分離してペレット状にし、上澄みのアリコートをガンマ計数機で除去した。フィブリンに結合するトロンビン分画をグリコサミノグリカンを含有しない対照と比較して125I−FPRトロンビン結合における変化として計測した。図3に示されるように、DSは1μM以下の濃度でさえフィブリン凝塊に結合する125I−FPRトロンビンに対する効果を有しない。対照的に、250nMまでの濃度では、ヘパリンは投与量依存性にフィブリン凝塊に結合する125I−FPRトロンビンを増加させる。250nM以上のヘパリン濃度では、凝塊に結合する125I−FPRトロンビンは減少し、明瞭なヘパリン−フィブリンおよびヘパリン−トロンビン集団が蓄積するだろう。トロンビンおよびFm−セファロースを低分子量(LMW)ヘパリン(エノキサパリン)で滴定する場合、DSで観察されたものに比較してトロンビン結合量において少量しか増加しなかった。エノキサパリンでの発見は予期したものである、なぜなら該ヘパリン鎖はトロンビンをフィブリンに架橋するには短すぎるためである。
トロンビンのフィブリンへの結合を促進する8000Daヘパリナーゼ分画の能力もまたヘパリンの能力と比較した。図4で示されるように、ヘパリナーゼ誘導分画はトロンビン結合において少ししか増加させなかったのに対し、ヘパリンは大幅な増加を引き起こした。これらの発見はエノキサパリンのように、ヘパリナーゼ誘導分画内の鎖もまたトロンビンをフィブリンに架橋するには短すぎるということを示す。
【0034】
HCIIによるFmセファロースからのIIaの除去
HCIIによるトロンビン阻害の触媒はDSの存在下ではフィブリンによって損なわれないので、トロンビン上のエキソサイトIは仮にトロンビンがこの部位を介してフィブリンに結合していてもDS−HCII複合体に接触可能でなければならない。この観察はDS−HCII複合体がトロンビンをフィブリンから除去できることが必要であることを前提とする。これはDSのある場合またはない場合でHCIIの濃度を増加させてFmセファロースから除去した125I−FPRトロンビンの量をモニターすることによって試験された(図5)。HCII単独、生理的濃度の三倍までの濃度で、ではトロンビンをFmセファロースから除去する能力は制限される。DSが2.5μMで存在する場合、トロンビンの除去が観察された。HCIIの生理的濃度で除去は最大であって、約250nMHCIIで最大効果の半分であった。それゆえ、DSの存在下では、HCIIのアミノ基末端はトロンビンエキソサイトIへの結合に関してフィブリンと有効に競合することができる。これらの発見はDS/HCII複合体が不活化させることによってフィブリンからトロンビンを除去できるということを示す。
【0035】
実施例4
効果対出血研究
ウサギ動脈血栓症防止モデル
ウサギ動脈血栓症防止モデル(Greenら、J.Lab Clin Med.127:583−587、1996;Klementら、1998 J.Lab Clin Med.132:181−185、1998;Klementら、Blood.94:2735−2743、1999)本発明の分画および組成物の効果および安全性を試験するのに使用した。該モデルにおいて、ウサギは試験抗凝固剤および少量の125Iフィブリノゲンを注入される。対照動物は抗凝固剤の代わりに食塩水を投与される。5分後、遠位にある大動脈をバルーン内皮露出(balloon endothelial denudation)に付し、血流量を低下させるために狭窄(結紮緊縛)を施して、大動脈壁を16鉗子による外部圧迫損傷に付す。抗凝固剤のない場合、外部血管壁損傷および血流量低下の組み合わせが急速な凝固を引き起こす。凝固の程度は狭窄部位から遠位に置かれた超音波流量消息子(ultrasonic flow probe)を使用して血流量を測定することによって継続的にモニター可能である。実験を抗凝固剤の注入後合計90分間続けた。主要効果評価項目は血管が合計90分の観察を通して開通している時間の百分率である。様々な抗血栓剤の安全性は耳出血モデルを使用して同様の動物で定量可能であって、それはウサギの耳に5ヶ所の十分な深さの切り傷を作って30分間の観察を通して出血の蓄積を測定することを含む。これは二つの動物モデルの組み合わせ(耳出血モデルを有する動脈血栓症防止モデル)を提供して必要な動物の数を50%まで減らす。動脈血栓症防止を研究するために設計された、このモデルは、不安定狭心症または頚動脈内膜切除後の凝固のような臨床状態を模倣する。
【0036】
ヘパリンオリゴ糖分画
ヘパリンオリゴ糖分画(本明細書では「V21」として記載)の効果および安全性をウサギ動脈血栓症防止モデルにおいて未分画ヘパリン、LMWH、ヒルジンまたは対照食塩水で比較した。試験化合物を動脈狭窄および損傷前に5分投与した。90分を通しての血流量(%開通性として表される)を効果として測定して、一方ウサギ耳出血モデルを安全性の測定に使用した。抗凝固剤(SAL)のない場合でヘパリン(UFH)を多量投与した場合急速な凝固が観察された。V21およびヒルジン(HIR)は開通性を維持するのにLMWHに比べて非常に有効であった。図7で示されるように、V21は最小限の出血を引き起こす投与量で100%開通性を提供し(下パネル)、一方ヒルジンはその効果に要する投与量では非常に大きな出血傾向を示した。
【0037】
デルマタン硫酸オリゴ糖分画
デルマタン硫酸オリゴ糖分画(本明細書では「H2403」として記載)の効果をウサギ動脈血栓症防止および耳出血モデルにおいて試験した。合計20のウサギを四つの群に割り当てた。表6に記載されるようにH2403の1mg/kgから10mg/kgまでの濃度でウサギに投与した。
H2403は開通性において投与量依存的な増加を示した。開通性は2.5ないし10mg/kgのH2403投与量では全て76ないし96%であったが、1mg/kgの投与量ではたった14%であった。一次閉塞までの平均時間は2.5ないし10mg/kgのH2403−123投与量では44ないし54分であったが、1mg/kgの投与量ではほんの1分であった。
これらの発見に一致して、大動脈の総血液量は2.5ないし10mg/kgのH2403投与量では160ないし288ml/時であったが、1mg/kgの投与量では20ml/時以下であった。血流量の範囲および形態はウサギによって大きく変化し、標準偏差が大きいことで説明される。しかしながら、少量のH2403−123投与量で大動脈の血流量が低いという傾向は平均追跡調査同様個々のウサギ集団追跡調査で容易に確認できる。このデータは開通性が2.5mg/kgおよびそれ以上のH2403投与量で生じるという一般的な結論を支持するものである。
【0038】
H2403投与量を5mg/kgから2.5mg/kgまで減少させた場合凝固+の血管壁放射能において少しの増加(基準値の15%ないし19%)が確認されたが、H2403投与量を1mg/kgまで減少させた場合大幅な増加(基準値の33%まで)が確認された。このデータもまた効果における有意な増加はこのモデルでは2.5mg/kgおよびそれ以上のH2403投与量で生じるという一般的な結論を支持するものである。
LMWDSの安全性は耳出血モデルを使用して同一のウサギで定量された。H2403の投与は出血において投与量依存的な増加を示し、2.5mg/kg以上の投与量で有意に増加した出血(80μlおよびそれ以上)が生じた。開通性および閉塞データは両方ともLMWDS効果が2.5mg/kg以上またはそれに等しい投与量で生じるということを支持する。
要するに、開通性、閉塞時間、総血液量および放射性物質で標識したフィブリノゲン沈着に基づくと、全てのパラメーターを測定することによって、H2403は2.5mg/kgまたはそれ以上の投与量でウサギ動脈血栓症モデルにおいて効果を示す。しかしながら、有意に増加した出血が2.5mg/kg以上の投与量で生じた。
【0039】
V21およびH2403−123の組み合わせ(マトリックス研究)
V21+LMWDS処方の安全性および効果の両方をウサギ動脈血栓症および防止モデルで試験した。100匹のニュージーランドオスウサギを各5ウサギの20治療群に分割し(表7参照)、群当たり一つのV−21/LMWDS処方のボーラス静注量を投与してさらに90分の実験の残り時間に注入で反復投与した。
V21およびLMWDS要素に関する投与量反応曲線は上記の研究に矛盾の無いものであり、以下の研究の投与量範囲を拡大するものである。
V21はLMWDSに比べて安全性プロフィールに対して優れた効果を有し、投与量試験では、V21およびLMWDSともに出血に関して浅い投与量反応曲線を有した。
LMWDSのV21への添加は出血を有意に増加させない。
出血ではなく、効果に関してLMWDSのV21に対する付加的効果または相乗効果があった。
V21−LMWDSの投与量組み合わせに関して最も適した組み合わせを探すために血栓重量、開通性および出血を同時に試験した。以下のV21:LMWDSの比率が有用であることが確認された:1:1、4:1および5:1。開通性および出血は5:1組み合わせで試験された。開通性はV21:LMWDSの5:1組み合わせを投与したウサギでV21単独の同量を投与したウサギに比べて優れていた(図6A)、一方出血は増加しなかった(図6B)。
【0040】
実施例5
ヒヒ血栓症モデル
V21、LMWDSおよびこれらの組み合わせの危険性プロフィールに対する利益を定量するためにヒヒ研究を行った。ヒヒモデルは動静脈シャント内への置換後60分間に及ぶダクロン製血管移植片での急性血栓症形成の評価に関連するものである(Hansonら、Arteriosclerosis 5:595−603、1985)。
まず、全ての動物は慢性の体外シリコンゴムシャントを外科的に大腿動静脈間に移植される。これらのシャントは測定可能な血小板活性を作らない。血栓形成を評価するために、中央部に展開されるダクロン移植片の試験管部分をシャント系に挿入して1時間血流に曝した。シャントの管状部分は標準のシリコンゴム、4.0mmi.d.、であって、それは本質的に非トロンボゲン形成物質である。血流量を試験部分から遠くに置かれた鉗子によって100ml/分に維持して超音波流量計を継続的に使用して維持した。ヒヒの自己血小板を1mCi111インジウム−オキシンで標識した。標識効率は平均>90%であった。ガンマシンチレーションカメラ(General Electric 400T)を継続的に使用して111In標識血小板の蓄積を測定した。5分間隔でデータを保存し、インターフェースでカメラと連結したコンピュータ補助画像処理システム(computer−assisted image processing system)を使用して分析した。沈着血小板の放射能(一分当たりの数)を全血液111In血小板活性(一分当たりの数/ml)で割って循環血小板数(血小板/ml)を掛けることによって沈着した血小板の総数を計測した。
【0041】
血液曝露60分後に形成される全血栓のフィブリン含有量を以下のように測定した。血栓形成開始10分前に、5μCiの125I標識同種ヒヒフィブリノゲンを静脈内に注入する。1時間の血液曝露後、トロンボゲン形成ダクロン移植片を等張性食塩水で完全に濯ぐ。111Inおよび125I発光スペクトルの間で重なるために、ガンマカウンタを使用して血栓を125I活性に関して計測する前に111Inが崩壊するのに(半減期=2.8日)少なくとも30日要する。沈着した125I放射能(一分当たりの数)を凝固可能なフィブリノゲン放射能(一分当たりの数/ml)で割って各実験で測定されるような循環フィブリン濃度(ミリグラム/ml)を掛けることによってフィブリン総蓄積量を計測する。
安全性はHansonら、Arteriosclerosis 5:595−603、(1985)に記載されるように、出血時間を直接測定して評価される。
6体の未治療の動物で同時対照研究を行った。ダクロン移植片上の血栓形成を上記の通り評価して、凝固時間(APTT、PT)、Xa因子活性(Spectrozyme assay;American Diagnostica)および出血時間(BT)を移植片移植直後および移植片移植1時間後の両方で測定した。さらに、0.5mlのクエン酸塩加ヒヒ血漿(各時間で)をトロンビン時間の定量のために除去した。
【0042】
V21およびLMWDSに関する研究
最初に0.5mg/kg、1mg/kgおよび2mg/kg(総投与量の50%をボーラスとして投与して残りを継続的な注入として65分以上投与した)の総投与量で、V21をまず研究した。ボーラス薬剤投与5分後に、ダクロン移植片を移植してさらに60分間血小板画像化を行い、その後、移植片を除去して研究を終了した。
最初に2mg/kg、5mg/kgおよび10mg/kgの投与量で、LMWDSを同様の方法で研究した。2mg/kgでは総投与量の50%をボーラスとして投与して残りを継続的な注入として65分以上投与した。ボーラスの注入LMWDSに対する相対比率をその後安定した凝固時間を得るために調整した。このようにして、5mg/kgの投与量ではボーラス/注入量の比率は二体のヒヒにおいて50%/50%および33%/67%であった。10mg/kgの投与量では比率は20ないし25%ボーラス対75ないし80%注入であって60分以上の注入時間で安定したAPTT値が得られた。
その後、V21およびLMWDSを0.5mg/kgV21+0.5mg/kgLMWDS;1mg/kgV21+1mg/kgLMWDS;2mg/kgV21+5mg/kgLMWDS;および2mg/kgV21+10mg/kgLMWDSの投与量で併用した(V21投与量の50%およびLMWDS投与量の20%をボーラス注入として投与して残りの量を継続的な注入として65分以上投与した。この投与法では60分の注入の間でほとんど安定したAPTT値が得られた。血小板血栓画像化、出血時間および実験室測定もまた本明細書記載の通りに行った。
血液曝露60分後の(またはいずれのより早い時間で)血小板血栓形成の測定結果をスチューデントt−試験(両側検定)を使用して比較した。
【0043】
結果:
ダクロン製移植片血栓に対するV21の効果は図8に示される。少量のV21、0.5mg/kgでは血液曝露60分後平均2.96±0.85x109皿である対照値以下まで血小板沈着を減少させなかった。中間量である1mg/kgでは60分で血小板沈着を24%まで減少させて一方多量である2mg/kgでは血小板沈着を57%まで減少させた(図8)。
V21による投与量依存的な方法でフィブリンを減少させた。最多量では、フィブリン総蓄積量を59%まで減少させた(対照では2.54±0.37mg、対して2mg/kg治療群では1.05±0.52mg)。V21はまた2mg/kgで投与量依存的な方法によって>200秒までAPTTを延長した。PTの測定値は大きく影響されなかった。出血時間はV21によって有意に増加せず、2mg/kg群の研究において平均5.1分に留まった。0.5mg/kg群において一体の動物が12分の出血時間を記録したことは注目されるだろう;しかしながら、このおよび別の投与群における他の観察と照らすとこの結果は偽性として見なされた。
ダクロン製移植片血栓形成に対するLMWDSの効果は図9に示される。2ないし10mg/kgの範囲にわたって、血小板沈着における減少はなかった。同様に、LMWDSはダクロン移植片においてフィブリン形成を減少させず、または出血時間を延長させなかった。APTT凝固時間はLMWDSによって延長し、10mg/kg投与量では約2倍であった(平均:60分で59.1秒、対28.7秒Pre)。PT凝固時間は影響されなかった。
【0044】
V21およびLMWDS組み合わせのダクロン移植片血栓形成に関する結果は図10に示される。2mg/kgのV21と組み合わせて、二体のヒヒに10mg/kgのLMWDSを注入してさらにもう一体の動物に5mg/kgのLMWDSを投与した。2mg/kgのV21+(5ないし10mg/kg)LMWDSの投与量で血小板沈着において有意な減少が確認された;しかしながら、この効果は同量のV21単独で得られた効果と比較したものであった(図8および10参照)。同様に、組み合わせ処置で確認されたフィブリン沈着減少はV21単独で得られたものと比較したものであった。出血時間は大きく影響されなかった。PT値は大きく影響されなかったのに対し(最多量で2秒までPT延長)、APTT値は平均>500秒であった(対して2mg/kgのV21単独では平均269秒)。
本研究において使用されるヒヒモデルは流動が速く、血小板の輸送および利用が速くなっており、強度な開始刺激を提供する高度なトロンボゲン形成表面(ダクロン移植片)と併用した。これらの条件下ではフィブリン形成は広範囲なものではなく抗凝固は一般に無効であった(例えば、標準ヘパリン、五糖、標準デルマタン硫酸)。それにも関わらず、本モデルにおいてV21は出血時間を延長することなく動脈血小板およびフィブリン血栓形成を>50%まで実際減少させたのである。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【0052】
【表8】
【0053】
本発明は本明細書記載の特定の具体例によって範囲を制限されるものではなく、上記の具体例は本発明のある態様における単なる例示であるのでいかなる機能的に同一の具体例も本発明の範疇であるものとする。確かに、本明細書に開示され記載されるものに加えた本発明の多様な修正は上述の説明および添付図から当業者に明白であるだろう。このような修正は添付した請求の範囲に入るものとする。
本明細書で参照したすべての刊行物、特許および特許出願は、たとえ各々個々の刊行物、特許または特許出願がその出典を明示することにより本明細書の一部とするとしていても、同様にその出典を明示することにより本明細書の一部とするものである。本明細書記載のいかなる参照の引用もこのような参照が本発明に先立って入手可能であるという意味ではない。
本明細書および添付した請求で使用される、「a」、「an」および「the」なる単数形は本文脈が明確に指示していなければ複数の意味を含むことを注意しなければならない。
【0054】
本明細書で引用される参考文献
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【図面の簡単な説明】
【図1】可溶性フィブリン(Fm)のDS触媒(パネルA)またはヘパリン触媒(パネルB)HCIIによるトロンビン阻害の二次速度定数に対する効果を示す。
【図2】4μMフィブリンモノマーの抗トロンビン(AT)トロンビン阻害における効果であって、ヘパリナーゼ誘導ヘパリンオリゴ糖分画の分子量を増加させていった場合の効果を示す棒グラフである。
【図3】ヘパリンおよびDSのフィブリンへのトロンビンの結合における効果を示す。
【図4】ヘパリンまたはヘパリナーゼ誘導分画のフィブリン凝塊へのトロンビン結合における効果を示すグラフである。
【図5】DSまたは標準ヘパリン(SH)存在下HCIIによるフィブリンからのトロンビンの除去を示すグラフである。
【図6A】ヘパリンオリゴ糖分画単独対ヘパリンオリゴ糖分画:デルマタン硫酸オリゴ糖分画の5:1の組み合わせのウサギ動脈血栓症防止モデルにおける開通性の蓄積効果を示すグラフである。
【図6B】ヘパリンオリゴ糖分画単独対ヘパリンオリゴ糖分画:デルマタン硫酸オリゴ糖分画の5:1の組み合わせのウサギ動脈血栓症モデルにおける出血の蓄積効果を示すグラフである。
【図7】ヘパリン、LMWH、ヘパリンオリゴ糖分画およびヒルジンの開通性における効果の比較を示すグラフ(パネルA)および出血における効果の比較を示すグラフ(パネルB)である。
【図8】ヘパリンオリゴ糖分画のヒヒ動脈血栓症モデルにおける血管移植片上血小板沈着に対する効果を示すグラフである。
【図9】デルマタン硫酸オリゴ糖分画のヒヒ動脈血栓症モデルにおける血管移植片上血小板沈着に対する効果を示すグラフである。
【図10】ヘパリンオリゴ糖分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせのヒヒ動脈血栓症モデルにおける血管移植片上血小板沈着に対する効果を示すグラフである。
(技術分野)
本発明は、一般に、トロンビン産生または活性を阻害または防止する化合物および方法に関する。
【0002】
(従来技術)
トロンビンの産生亢進は、心不全、心臓発作および深静脈血栓症を含む疾患に特有であるが、生命を脅かすものであって有効な治療が必要である。トロンビンの効果を遮断する様々な市販の製剤がある。ヘパリン、硫酸化された多糖類は、抗トロンビン(AT)によるトロンビンおよびXa因子の阻害を促進することによって抗凝固剤として作用する(1)。ヘパリンは急性冠状血管虚血性症候群の治療に広く使用されるが、経皮冠動脈インターベンションを行う患者(2)、または血栓崩壊治療法の補助剤として使用される場合(3)に限られる。これらの制限は血栓成分に結合する凝固酵素、特にフィブリンに結合するトロンビンを不活化するAT−ヘパリン複合体の失活によるものであった(4、5)。
デルマタン硫酸(DS)は、実験動物(6−9)およびヒト(10−13)において抗血栓活性を有する硫酸化されたグリコサミノグリカンであるが、ヘパリン補因子II(HCII)のみを触媒することによって抗凝固剤として作用する。トロンビンはHCIIの唯一の血漿標的(plasma target)であるので、DSはトロンビンの選択的阻害剤であると考えられる(14)。フィブリン結合トロンビンはヘパリン−HCII複合体による不活化から保護されているが(15)、血漿系で行われた間接的な研究ではフィブリン結合トロンビンはDS−HCII複合体による不活化に感受性があるということが示されている(16)。しかしながら、デルマタン硫酸はその高い粘性に伴う特異性の低い生物学的活性のため臨床での実用には制限がある。
市販の低分子量ヘパリン(エノキサパリンまたはフラグミンのどちらか)にデルマタン硫酸を添加することによってインビトロにおいてトロンビン阻害に付加的な効果が得られた(17)。しかしながら、試験された組み合わせはフィブリン結合トロンビンに対して有効でなく、DSは有効性が低く難溶性であるので臨床には有用ではない。
【0003】
(発明の開示)
ヘパリンから得られるオリゴ糖分画(本明細書では「ヘパリンオリゴ糖分画」ともいう)およびデルマタン硫酸から得られるオリゴ糖分画(本明細書では「デルマタン硫酸オリゴ糖分画」ともいう)の組み合わせは流動相トロンビンおよびフィブリン結合トロンビンの両方に有利な阻害効果を提供するということが示された。選択された該ヘパリンオリゴ糖分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせは予想していた付加的な阻害効果以上の、例えば相乗阻害効果を提供した。本発明の新規の意図は該オリゴ糖分画を組み合わせて出血の危険性を上げることなくヘパリンおよびデルマタン硫酸の最大抗凝固活性を保証することである。
組み合わせ処置における各オリゴ糖分画は異なる機構でトロンビンを阻害すると考えられる。理論上の作用機構に縛られたくはないが、該ヘパリンオリゴ糖分画は抗トロンビンを活性化することによって流動相トロンビンと同様にフィブリン結合トロンビンを阻害し、抗トロンビンによるXa因子不活化を触媒してトロンビン産生を阻害することが可能である。該デルマタン硫酸オリゴ糖分画はHCIIを活性化することによってフィブリン結合トロンビンを阻害することが可能である。その活性コンフォメーションにおいて、HCIIのアミノ基末端領域がエキソサイトI(exosite I)に結合する。トロンビンはエキソサイトIを介してフィブリンと結合するので、活性HCIIはトロンビン結合に関してフィブリンと競合してフィブリンからトロンビンを除去する。除去されたフィブリンはヘパリン/HCII、デルマタン硫酸/HCIIまたはヘパリン/抗トロンビンによって不活化されうる。
【0004】
最大限の効果を達成するために異なる機構によってトロンビンを阻害する療法の組み合わせは、治療に対する耐性を改善し、単剤療法における薬剤の多量および長期間使用により引き起こされる副作用の危険性を軽減することになるだろう。それゆえ、本発明の組み合わせ処置は各成分の少量の使用を可能にし(例えば、実施例2において説明されるような少なくとも5ないし10分の1以下の投与量)、一方、各成分の副作用を軽減することができる。少量投与は単剤として使用される場合の各成分における安全域に比べて広範囲の安全域を提供する。加えて、好都合な単一組み合わせ投与単位が患者に提供される場合、利便性の増加は患者の応諾の増加をもたらし、ならびに薬剤の多剤単位投与形に伴うことが多い患者の混乱の可能性を減らすことが一般に認められる。
概して、本発明は患者に有効量の(a)少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画;および(b)少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画を投与することを含む患者におけるトロンビン産生または活性を阻害または防止する組み合わせ処置に関する。本発明のある態様において該組み合わせ処置は相乗活性を提供する。別の態様において、有効量(好ましくは相乗効果量)の少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画および少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画を、それを必要とする患者に対して、組み合わせて投与することを含む、患者におけるトロンビン産生または活性を阻害または防止する方法が提供される。
【0005】
「組み合わせ処置」または「組み合わせて投与する」は活性成分を治療対象の患者に対して同時に投与することを意味する。組み合わせて投与される場合、各要素を同時にまたはいずれの順序でもよいが連続して投与しても、異なる時間に投与してもよい。それゆえ、各成分を別々に投与してもよいが、所望の効果(好ましくは相乗効果)を提供するためには十分に近い時間で投与してもよい。
本発明はまた(a)少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画;および(b)少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画と、任意に医薬上許容される賦形剤、担体または媒体との組み合わせを含む組成物も提供する。本発明はまた各含有物において医薬組成物も意図して、ヘパリンオリゴ糖分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画を、任意に医薬上許容される賦形剤、担体または媒体とともに含む同時または連続投与も意図する。
別の具体例において、本発明は少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画の単位投与;および少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画の単位投与を、任意に医薬上許容される賦形剤、担体または媒体とともに含む医薬組成物を提供する。
上記の組成物はまた該ヘパリンオリゴ糖およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画のナトリウム、カリウム、アンモニア、マグネシウムおよびカルシウム塩のような、医薬上許容される塩も含む。
【0006】
一の態様に関して、医薬組成物はトロンビン産生または活性の防止または阻害において相乗効果を及ぼすのに有効な(a)少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画;および(b)少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせを含んで提供される。該方法はまた医薬上許容される賦形剤、担体または媒体中に、相乗効果量の少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画および少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせを含む医薬組成物も提供する。
好ましい具体例において、該医薬組成物は患者におけるトロンビン産生または活性を防止または阻害するのに要する各々の分画の投与量と比べて少なくとも5ないし10分の1以下の投与量でヘパリンオリゴ糖分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画を含む。
別の態様において本発明はトロンビン産生または活性の防止または阻害に関する医薬の調製において(a)少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画および(b)少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせを含む組成物の使用に関するものである。別の態様において本発明は患者におけるトロンビン産生または活性の防止または阻害に関する医薬組成物の調製における相乗効果量の少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画および少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画の使用に関する。
【0007】
本発明は別々に投与されてもよい活性物質の組み合わせを含む治療法に関するものであり、本発明はまたキット形態で該活性物質を含む別々の組成物を組み合わせることに関する。
本発明はまた本発明のオリゴ糖分画に関するものであって、一般に本明細書に記載されるような上記の分画を使用する組成物および治療に関する。
本発明はまた過度のトロンビン産生または活性に付随する疾患の重症度、疾患の症状および/または疾患の再発の周期性を防止および/または改善するための本発明の組成物または本発明の組み合わせ処置の使用を意図する。
上記および他の本発明の態様、特徴および利点は以下の図面および詳細な説明から当業者に公知である。
【0008】
(図面の簡単な説明)
本発明は以下の図面を参照するとより理解されるだろう:
図1は可溶性フィブリン(Fm)のDS触媒(パネルA)またはヘパリン触媒(パネルB)HCIIによるトロンビン阻害の二次速度定数に対する効果を示す。DSまたはヘパリン触媒下100nM HCIIによる10nMトロンビンの阻害に関するFmのある場合またはない場合の二次速度定数を擬一次条件下で定量した。各点は四つの定量の平均を表し、棒線は標準誤差を表す。
図2は4μMフィブリンモノマーの抗トロンビン(AT)トロンビン阻害における効果であって、ヘパリナーゼ誘導ヘパリンオリゴ糖分画の分子量を増加させていった場合の効果を示す棒グラフである。
図3はヘパリンおよびDSのフィブリンへのトロンビンの結合における効果を示す。フィブリン凝塊へのトロンビンの結合をヘパリン(・)またはDS(o)の存在下、濃度を増加させて定量した。各点は二つの定量の平均を表して棒線は標準誤差を表す。
図4はヘパリンまたはヘパリナーゼ誘導分画のフィブリン凝塊へのトロンビン結合における効果を示すグラフである。
図5はDSまたは標準ヘパリン(SH)存在下HCIIによるフィブリンからのトロンビンの除去を示すグラフである。
【0009】
図6Aはヘパリンオリゴ糖分画単独対ヘパリンオリゴ糖分画:デルマタン硫酸オリゴ糖分画の5:1の組み合わせのウサギ動脈血栓症防止モデルにおける開通性の蓄積効果を示すグラフである。
図6Bはヘパリンオリゴ糖分画単独対ヘパリンオリゴ糖分画:デルマタン硫酸オリゴ糖分画の5:1の組み合わせのウサギ動脈血栓症モデルにおける出血の蓄積効果を示すグラフである。
図7はヘパリン、LMWH、ヘパリンオリゴ糖分画およびヒルジンの開通性における効果の比較を示すグラフ(パネルA)および出血における効果の比較を示すグラフ(パネルB)である。
図8はヘパリンオリゴ糖分画のヒヒ動脈血栓症モデルにおける血管移植片上血小板沈着に対する効果を示すグラフである。
図9はデルマタン硫酸オリゴ糖分画のヒヒ動脈血栓症モデルにおける血管移植片上血小板沈着に対する効果を示すグラフである。
図10はヘパリンオリゴ糖分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせのヒヒ動脈血栓症モデルにおける血管移植片上血小板沈着に対する効果を示すグラフである。
【0010】
(発明を実施するための最良の形態)
ヘパリンオリゴ糖分画
「ヘパリンから得られるオリゴ糖分画」または「ヘパリンオリゴ糖分画」とはインビトロで抗トロンビン活性およびHCII関連抗凝固活性を有するヘパリンから誘導されるオリゴ糖の混合物のことを言う。該分画はトロンビンをフィブリンと架橋するには短すぎるが、抗トロンビンまたはHCIIをトロンビンに架橋するには十分な長さであるヘパリン鎖を含む。該分画は以下の特性:
(a) インビトロで抗トロンビンおよびヘパリン補因子II(HCII)関連抗凝固活性を有する;
(b) 該オリゴ糖はトロンビンをフィブリンと架橋するには短すぎるが、抗トロンビンまたはHCIIをトロンビンに架橋するには十分な長さである;
(c) 少なくとも一つまたはそれ以上の五糖配列を有するオリゴ糖を少なくとも15%、20%、25%、30%、35%または40%有する;
(d) 約6000から約12000まで、6000ないし11000、または6000ないし10000の分子量の範囲を有するオリゴ糖に富む;
(e) 該オリゴ糖は約7000ないし10000、7500ないし9700または8000から9000のピーク分子量を有する;
(f) 該オリゴ糖の少なくとも30%、35%、40%、45%、50%または55%が6000ダルトンより大きなまたはそれに等しい分子量を有する;
(g) 少なくとも20%、25%、30%、35%または40%が8000ダルトンより大きなまたはそれに等しい分子量を有する;
(h) 1.1ないし1.8の多分散度;および
(i) 抗Xa因子および抗IIa因子様活性を有し、好ましくは抗Xa因子活性の抗IIa因子活性に対する比率が約2:1から1:1までである;
のうち一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つまたは七つまたはそれ以上を有するヘパリンから誘導されるオリゴ糖の混合物を含んでいてもよい。
本発明のある態様に関して、本発明において使用される分画は上記の特性(a)、(b)、(c)および(d);(a)(b)、(c)および(e);(a)、(b)、(e)および(f);(a)、(b)、(e)および(g);(a)、(b)、(e)、(f)、(g)、(h)および(i);(b)、(c)、(e)および(g);(b)、(d)、(c)、(h)および(i);(b)、(c)、(d)および(h);(b)、(e)、(h)および(i);(b)、(e)、(f)、(h)および(i);(b)、(e)、(g)、(h)および(i);または(a)から(i)すべてを有する。
【0011】
「オリゴ糖に富む」とは特定のまたは制限した分子量の範囲内で少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%のオリゴ糖を含む分画のことを言う。
「五糖配列」とは三つのD−グルコサミンおよび二つのウロン酸残基から成るヘパリンの基本構造単位のことを言う(下記の構造を参照)。中央のD−グルコサミン残基は唯一3−O−硫酸部分を含有する。
五糖配列は抗トロンビンに対して高親和性のヘパリンの最小構造を表す(Choay,Jら、Biochem Biophys Res Comm 1983;116:492−499)。ヘパリンの抗トロンビンへの該五糖配列を介しての結合は、反応性に富む中央ループにおいて抗トロンビンを緩慢な阻害剤から非常に速い阻害剤へ転換させる立体配座の変化をもたらす。
ヘパリンオリゴ糖分画はトロンビンをフィブリンと架橋するには短すぎるが、抗トロンビンまたはHCIIをトロンビンに架橋するには十分な長さであるヘパリン鎖を含む。結果、本発明において選択的に使用される分画は抗トロンビンを触媒して流動相トロンビン同様フィブリン結合トロンビンを阻害し、抗トロンビンによるXa因子不活化を触媒してトロンビン産生を阻害することが可能だろう。好ましくは、本発明で選択的に使用される分画はフィブリン結合トロンビンおよび流動相トロンビンを十分に等しく阻害するものである。
本発明において使用してもよい可溶性ヘパリンオリゴ糖分画の特性は表1および表2で説明される。
【0012】
本発明において使用されるヘパリンオリゴ糖分画は抗Xa因子様および抗IIa因子様活性を有していてもよい。ある具体例において、抗Xa因子活性の抗IIa因子活性に対する比率は約2:1から1:1の範囲である。好ましい具体例において、抗Xa因子活性は約80IU/mgないし約155IU/mg、好ましくは90IU/mgないし140IU/mgの範囲である。好ましい具体例において、抗IIa因子活性は約20IU/mgないし約150IU/mg;さらに好ましくは40IU/mgないし約130IU/mgの範囲である。
本発明の組成物、方法およびキットはPCT/CA98/00548(WO98/55515、1998年12月10日公開)、1999年6月30日登録米国出願番号60/141,865または1999年9月17日登録米国出願番号60/154,744、これらはその出典を明示することにより本明細書の一部とする、に記載の修飾ヘパリン組成物を使用してもよい。
上記の(d)、(e)、(h)および(i)で説明される範囲内にあるより好ましい特性を有する本発明において使用されるヘパリンオリゴ糖分画を製造することは可能であるとわかるだろう。例えば、該分画は約7000ないし10000;7500ないし10000;7800ないし10000;7800ないし9800;7800ないし9600;7800ないし9000;7800ないし8800;7800ないし8600;7800ないし8500;または8000ないし8500の範囲の分子量を有していてもよい。また7800ないし10000;7800ないし9800;7800ないし9600;7800ないし9000;7800ないし8800;7800ないし8600;7800ないし8500;または8000ないし8500のピーク分子量を有するヘパリンオリゴ糖分画を使用することも可能であるだろう。本発明の組成物および方法において使用される分画を1.3ないし1.6の多分散度を有するように開発してもよい。加えて、以下の好ましい特性:(i)約1.5:1から約1:1の抗Xa因子活性の抗IIa因子活性に対する比率;(ii)約95IU/mgから約120IU/mgまでまたは100IU/mgから110IU/mgまでの抗Xa因子活性;(iii)約80IU/mgから約100IU/mgまでまたは90IU/mgから約100IU/mgまでの抗IIa因子活性の一つまたはそれ以上を有する分画を本発明で使用するのに開発してもよい。
【0013】
本発明の具体例において、該ヘパリンオリゴ糖分画は以下の特性:
(a) 6000から10000ダルトンまでの範囲および平均約8500の分子量を有するオリゴ糖に富む;
(b) 白色ないし黄白色の結晶固体である;
(c) 室温で安定である;および
(d) 約1.2ないし1.5、好ましくは1.5の多分散度を有する;
のうち一つまたはそれ以上を有する。
本発明で使用されるヘパリンオリゴ糖分画は上記ヘパリンのオリゴ糖の調製に関して従来技術で組織から得られ、またはそれ以外に合成されてもよい。特に、ヘパリンオリゴ糖分画は未分画ヘパリンからまたは、代わりに、低分子量ヘパリン(LMWH)から調製されてもよい。
一例として、ヘパリンオリゴ糖分画はまず未分画ヘパリンを解重合して低分子量ヘパリンを得て、所望のヘパリンオリゴ糖分画を単離または分離することによって未分画ヘパリンから得ることができる。未分画ヘパリンは医薬効果のある市販のヘパリン製剤または哺乳類の組織または器官から活性ヘパリンを抽出して得られるような、粗ヘパリン製剤のどちらかとすることができる。市販のヘパリン製品(USPヘパリン)は数種の販売元(例えば、シグマケミカル社、St.Louis、Missouri)から、一般にアルカリ金属塩またはアルカリ土類塩として(最も一般的にはナトリウムヘパリンとして)、入手可能である。別法として、未分画ヘパリンは哺乳類の組織または器官から、特に、例えば、ウシ、ブタおよびヒツジからの腸管粘膜または肺から、当業者に公知の様々な方法(例えば、Coyen,Erwin,Chemistry and Biology of Heparin、(Lundblad,R.L.ら、(Eds.)、pp.9−17,Elsevier/North−Holland,New York(1981)を参照)を使用して抽出してもよい。好ましい具体例において、未分画ヘパリンはブタ腸管粘膜ヘパリンである。
【0014】
多くのヘパリンの解重合に関する方法が既知であって、それらは一般に化学または酵素反応のいずれかに基づく。例えば、本発明のヘパリンオリゴ糖分画は、標体の未分画ヘパリンをベンジル化してさらにアルカリ金属解重合;亜硝酸解重合;ヘパリナーゼによる酵素解重合;過酸化物解重合等の操作により調製可能である。特に、ヘパリンオリゴ糖分画はPCT/CA98/00548(WO98/55515)に記載の亜硝酸解重合法または過ヨウ素酸酸化加水分解法を使用して調製されてもよい。
一の具体例において、ヘパリンオリゴ糖分画は、ヘパリナーゼ解重合(例えば、U.S.3,766,167およびU.S.4,396,762を参照)を使用して未分画ヘパリンから調製される。好ましい具体例において、分画はヘパリナーゼ解重合を制御することによって調製される。
【0015】
デルマタン硫酸オリゴ糖分画
「デルマタン硫酸から得られるオリゴ糖分画」または「デルマタン硫酸オリゴ糖分画」とは抗トロンビン関連活性をほとんどまたは全く有しないが、インビトロでHCII関連抗凝固活性を有するデルマタン硫酸から誘導されるオリゴ糖の混合物のことを言う。デルマタン硫酸は交互のウロン酸およびN−アセチルガラクトサミン残基からなる。大部分のグルクロン酸残基をC5−エピマー化してイズロン酸残基を得る。さらに、O−硫酸化がGalNAcのC4位またはC6位にまたはIdoAのC2位に起こってもよい。本発明で使用される分画は天然の未分画デルマタン硫酸と比べてHCIIに対しより高い親和性を示す。
本発明で使用選択されるデルマタン硫酸オリゴ糖分画は以下:
(a) 硫黄含有率が6.0%ないし10%(w/w)、例えば6.0ないし8.0%(w/w)、好ましくは6.5%ないし8%(w/w);
(b) 硫酸基/カルボキシル基の比率が1.2ないし2.5、例えば1.2から2.0まで、例えば1.3ないし1.8、好ましくは1.3ないし1.6;
(c) 一硫酸化された二糖含有率のうち二硫酸化された二糖含有率が20%ないし60%(w/w)、好ましくは30%ないし60%(w/w);
(d) トロンビンに対するヘパリン補因子II介在活性が20−60IU/mg、好ましくは30−60IU/mgの範囲;
の一つまたはそれ以上、好ましくは全ての特性を有する。
【0016】
本発明のある具体例において、90%またはそれ以上で約1600ないし約20000ダルトンの範囲である分子量を有し、約4500ないし約8000ダルトンのピーク分子量を有するデルマタン高分子鎖の混合物を含むデルマタン硫酸オリゴ糖分画が選択される。
本発明の好ましい具体例において、該デルマタン硫酸オリゴ糖分画は以下の特性:
(a) 5000から8000ダルトンまでの範囲の分子量を有するオリゴ糖に富む;
(b) 白色ないし黄白色の結晶固体である;
(c) 室温で安定である;および
(d) 6.2重量%より多くがスルホン化されている;
の一つまたはそれ以上を有する。
デルマタン硫酸オリゴ糖分画は未分画デルマタン硫酸からの上記オリゴ糖の調製に関して従来技術で組織から得られ、またはそれ以外に適当な単糖から最初から合成可能である。好ましくは、未分画デルマタン硫酸の高電荷領域の単離を保護し容易にする解重合法が未分画デルマタン硫酸に比較して改善した可溶性および有効性を有する本発明での使用に適した分画を提供するのに使用される。例えば、デルマタン硫酸オリゴ糖分画は以下の工程:過ヨウ素酸酸化によるデルマタン硫酸の酸化および解重合、水素化ホウ素還元、酸加水分解およびイオン交換クロマトグラフィーで調製されてもよい。
【0017】
該分画を調製するのに使用可能なデルマタン硫酸の供給源は哺乳類の組織、例えば、ブタまたはウシ供給源からの血管組織および皮膚を含む、哺乳類の皮膚を含む。好ましくは腸管粘膜がデルマタン硫酸供給源として使用される。
好ましくは、本発明の組成物、方法およびキットは、PCT/EP98/03007(WO98/55514、1998年12月10日公開、出典明示により本明細書の一部とする)に記載の、デルマタン硫酸オリゴ糖混合物およびかかる混合物の製法を使用する。
【0018】
オリゴ糖分画の性質の定量
本発明で使用されるヘパリンまたはデルマタン硫酸オリゴ糖分画の分子量特性は当業者に公知のおよび当業者によって使用される標準技術を使用して定量可能である。上記技術は、例えば、GPC−HPLC、粘性測定、散光、解重合過程で造られる官能基の化学的または物理化学的定量、などを含む。好ましい具体例において、オリゴ等分画の分子量特性は高性能サイズ排除クロマトグラフィーによって定量される。
特に、以下の方法は本発明で使用されるヘパリンまたはデルマタンオリゴ糖分画の性質および特性を確認するのに使用されるだろう:
(a) Dedem、Pharmeuropa、3,202−218,1991の方法に従うGPC−HPLCによる分子量。
(b) Ph.Eur.2.ed.V.3.5.3に従う硫黄含有率。
(c) Ph.Eur.1997:0828に従う硫酸基/カルボキシル基の比率。
(d) 基準として4.国際ヘパリン標準(識別番号82/502)を用いる血漿遊離系での色素アッセイ(Diagnostica Stago, France)によるHCII介在抗トロンビン活性
(e) Ph.Eur.1997:0828に従う抗Xa因子および抗IIa因子、両方法とも傾斜比アッセイに関する統計学的方法を使用する点を修飾。
【0019】
組成物および方法
本発明の組成物および方法はトロンビン産生または活性亢進および/または補体活性亢進を特徴とする状態または疾患の防止または治療に関する治療法として有用である。上記の状態は患者が外傷に曝された場合、例えば外科手術を受けた患者にしばしば生じる。創傷または外科手術によって生じる外傷は血管損傷および血液凝固の二次的な活性化を引き起こす。これらの望ましくない効果は一般または整形外科手術、婦人科手術、心臓血管手術または他の手術法の後に生じるだろう。過剰なトロンビンはまた心不全、心臓発作または四肢の壊死を引き起こすアテローム性動脈硬化のような本来の疾患の進行も複雑にするだろう。それゆえ、本発明の方法および組成物は、不安定狭心症、急性心筋梗塞、(心不全)、脳血管障害(発作)、肺動脈塞栓症、深在静脈血栓症、動脈血栓症、などを含む、多くの主要な心臓血管の合併症を治療、防止または阻害するのに使用可能である。本発明の組成物および方法は透析中の凝固を減らしまたは防止して心臓切開外科手術中の血管内凝固を減らしまたは防止するのに使用されるだろう。それらはまた静脈内注入装置などの医療器具の開通性を維持するのにも使用されるだろう。
【0020】
本発明のある態様において、方法および組成物は、止血の破綻した医学的状態(medical condition)(例えば、冠状動脈疾患、アテローム性動脈硬化等)のために血栓を形成する危険性の高い患者にてトロンビンの産生または活性を防止または阻害するために提供される。別の態様において、方法および組成物は心臓手術、血管手術または経皮冠動脈インターベンションのような、医学的操作の後で血栓を形成する危険性の高い患者に対して提供される。ある具体例において、本発明の方法および組成物は心肺バイパスにおいて使用される。本発明の方法における組成物またはオリゴ糖分画は、医学的操作の前、間または後に投与されてもよい。
治療の効果および毒性はED50(母集団の50%にて治療上有効な用量)またはLD50(母集団の50%に及ぶ致死量)統計を計測するような細胞培地中または実験動物を用いる標準の医薬的方法で定量される。治療指数は治療作用の毒性作用に対する用量比であって、ED50/LD50比として表すことができる。高い治療指数を示す医薬組成物が好ましい。
【0021】
組み合わせ処置を受けてもよいまたは本発明の組成物を投与されてもよい患者は哺乳類、特にヒトを含む動物を含む。動物はまたウマ、ウシ、ヒツジ、鳥類、魚類、ブタ、ネコ、イヌおよび動物園の動物を含む、家畜動物も含む。
本発明の組成物、ヘパリンオリゴ糖分画またはデルマタン硫酸オリゴ糖分画は、患者の体内で活性物質を物質の作用部位と接触させるいずれかの方法によって投与可能である。該ヘパリンおよびデルマタン硫酸オリゴ糖分画は所望の効果を提供するために、同時にまたはいずれの順序でもよいが連続して投与しても、異なる時間に投与してもよい。本発明の組成物および方法の効果を最大限にする投与法の選択は熟練の内科医または獣医の器量の範疇である。該組成物は錠剤、カプセル(その各々は持続放出または時間放出処方を含む)、丸剤、散剤、顆粒、エリキシル、チンキ、懸濁液、シロップおよび乳剤のような経口剤形で投与されてもよい。それらはまた静脈内(ボーラスまたは注入)、腹腔内、皮下または筋内形態で投与されてもよく、使用する剤形はすべて当医薬業者に通常の技術として公知である。本発明の組成物は適当な鼻内媒体の局所的使用を介する、または経皮経路を介する、例えば従来の皮膚パッチを使用する鼻内形態で投与されてもよい。経皮放出系における投与形は投与法全般において間欠的というよりむしろ継続的であるだろう。
【0022】
本発明は相乗活性を提供するまたは相乗効果量のデルマタン硫酸またはヘパリンオリゴ糖分画を供給する組み合わせ処置を含む。本発明に適した医薬組成物は活性成分が相乗効果量だけ包含される組成物を含む。「相乗活性」または「相乗効果量」とは十分な量の該ヘパリンオリゴ糖分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画が各分画単独で達成される効果より優れた所望の効果、例えば、上記のような、血栓関連心臓血管状態を治療する際のトロンビン付着の阻害改善、例えば、血餅結合トロンビンの不活化改善、抗トロンビンによるXa因子不活化を触媒することによるトロンビン産生の阻害改善、などを達成するために提供されるということを意味する。
本発明の投与法は特定の物質およびその投与形態および投与経路という薬力学的な特性;患者の人種、年齢、性別、健康状態、医学的状態、および体重、症状の種類および程度、同時治療の種類、治療の頻度、投与経路、患者の腎および肝機能、および所望の効果のような既知の因子によって変化するだろう。状態の進行を防止、対抗または阻止するのに要する有効量の薬剤は通常の熟練の内科医または獣医によって容易に定量される。
【0023】
本発明の組成物または方法は少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画の単位投与形および少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画の単位投与形を含むだろう。「単位投与形」は単位、例えば患者に投与可能な、および上記の活性物質またはそれの固体または液体医薬賦形剤、担体または媒体との混合物を含む物理的および化学的に安定な単位投与量のまま、容易に扱われ封入される一回投与量について言う。
典型的には、活性物質例えば、該ヘパリンオリゴ糖分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画は、各々医薬組成物として一回投与量当たり約2mgから一回投与量当たり1000mgまでの範囲の濃度内におよび、より好ましくは、一回投与量当たり約5mgから一回投与量当たり500mgまでの範囲の濃度内にあるだろう(または本発明の方法で使用される)。一日投与量は広範囲に変化するが、通常一日一回投与量当たり約20mgから一日一回投与量当たり約100mgまでの範囲の濃度内におよび、より好ましくは、一日一回投与量当たり約40mgから一日一回投与量当たり約80mgまでの範囲の濃度内にあるだろう。
本発明の組成物または方法におけるヘパリンオリゴ糖分画のデルマタン硫酸オリゴ糖分画に対する比率は1:1ないし10:1、好ましくは1:1ないし8:1、より好ましくは2:1ないし6:1、最も好ましくは5:1であるだろう。
【0024】
本発明の組成物またはその分画は典型的には意図される投与形態に基づき、従来の医薬製法に一致して選択される適当な医薬希釈剤、賦形剤、媒体または担体を含む。担体、媒体などは患者におけるトロンビン産生または活性を阻害または防止するために相乗効果量の活性分画を提供するのに調整されるだろう。
適当な医薬希釈剤、賦形剤、媒体および担体は標準参考書、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Companyに記載される。カプセルまたは錠剤の形態での経口投与の例では、該活性要素をラクトース、スターチ、スクロース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、グルコース、硫酸カルシウム、リン酸二カルシウム、マンニトール、ソルビタールおよびその類似物のような経口、無毒の医薬上許容される不活性の担体で合してもよい。液体形態での経口投与では、薬剤要素はエタノール、グリセロール、水およびその類似物のようないずれの経口、無毒の、医薬上許容される不活性の担体で合してもよい。適当な結合剤(例えば、ゼラチン、スターチ、コーン甘味料、グルコースを含む天然糖;天然および合成ガムおよびワックス)、潤滑剤(例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムおよび塩化ナトリウム)、崩壊剤(例えば、スターチ、メチルセルロース、寒天、ベントナイトおよびキサンタンガム)、芳香剤および着色料をまた該組成物またはその要素内に合してもよい。
本発明の組成物の非経口投与での処方は綿実油、ココナッツ油またはピーナッツ油のような食用油とともに水溶液、シロップ、水性または油性懸濁液および乳液を含むだろう。水性懸濁液として使用可能な分散または懸濁剤は、トラガカント、アルギナート、アカシア、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ゼラチン、メチルセルロースおよびポリビニルピロリドンのような、合成または天然ガムを含む。
【0025】
非経口投与の組成物は、水、等張性食塩水、等張性グルコース溶液、緩衝液または治療活性物質の非経口投与で有利に使用される他の溶媒のような、無菌の水性または非水性溶媒を含むだろう。非経口投与で意図される組成物はまた安定剤、緩衝液または保存料のような従来の添加物、例えば、メチルヒドロキシベンゾエートまたは類似添加物のような抗酸化剤も含むだろう。
本発明の組成物は、例えば、細菌留めフィルタを通す濾過、該組成物への無菌化剤の添加、該組成物の照射または該組成物の加熱によって無菌化されてもよい。別法として、本発明の分画は無菌固体製剤、例えば、凍結乾燥散剤、それは使用直前に無菌溶媒に容易に溶ける、として提供されてもよい。
上記の処方に加えて、該組成物はまた貯留(depot)製剤として処方されてもよい。上記の長期作用処方は埋め込み(例えば、皮下または筋内)でまたは筋内注射で処方されてもよい。それゆえ、例えば、該分画は適当なポリマーまたは疎水性物質(例えば、許容される油状物質内の乳剤のような)またはイオン交換樹脂または、例えばやや溶けにくい塩のような、やや溶けにくい誘導体として処方されてもよい。
【0026】
本発明の組成物およびその要素は適当な薬剤担体として可溶性ポリマーを含んでもよい。
医薬組成物を調製した後、それらは適当な含有物で置換されても意図した状態の治療に関して標識されてもよい。本発明の組成物の投与に関して、上記の標識は投与量、投与頻度および投与法を含むだろう。
本発明はまたアスピリン、プリオキシカム(prioxicam)、クロピドグレル(clopidogrel)、チクロピジンまたはグリコプロテインIIb/IIIa受容体アンタゴニストのような抗血小板または血小板阻害剤、ボロペプチド(boropeotides)、ヒルジンまたはアルガトロバンのようなトロンビン阻害剤;またはプラスミノゲンアクチベーター(組織プラスミノゲンアクチベーターのような)、アニストレプラーゼ(anistreplase)、ウロキナーゼまたはストレプトキナーゼのような、血栓崩壊またはフィブリン溶解剤;またはその組み合わせに限らず含む一つまたはそれ以上の別の治療薬と本発明の組成物の併用法も含む。
上記の心臓血管状態の治療に関する医薬組成物において有用であることに加えて、当業者は該活性製剤がインビトロで血液凝固の機構を説明するのに試薬として使用可能であることが容易にわかるだろう。
本発明は特定の実施例によって比較的詳細に記載されるものである。以下の実施例は説明の目的で提供され、いかなる方法においても本発明を制限することを意図するものではない。当業者には変化させてまたは修正して本質的に同様の結果を得られる様々な決定的でないパラメーターが容易にわかるだろう。
【0027】
実施例1
本発明で使用される数種類のヘパリンオリゴ糖分画および他のヘパリン分画(シグマ製UFHおよびRhoune−Poulenc Rorer製エノキサパリン)の特性は表2において開示される。表の数値は平均分子量、活性、抗IIa活性、多分散度およびKd値を含む。多分散度はMW/Mn(数平均分子量で割った重量平均分子量)であってヘパリン標本のゲル濾過ピークプロフィールに関する積分表(integration tables)のデータを分析して定量される。Kd値はATまたはIIaの一方をヘパリン標本で滴定する際に観察される蛍光(280nm励起、340nm発光)の増加を平均して、I/I0対(verses)ヘパリン濃度の滴定曲線を結合等温式(binding isotherm equation)に適応させて、α(最大蛍光変化量)、Kd(解離定数)およびn(リガンド一モルに結合すのに要するヘパリンのモル数)を解いて得られた。結合リガンドの化学量論量(1/n)を得、各ヘパリン分画内の五糖配列含有鎖の割合と解釈される。
選択されるヘパリンオリゴ糖分画は、ヘパリンとは異なり、トロンビンのフィブリンへの結合を安定化しない。これはフィブリンモノマーの添加によってAtおよびHCII存在下の未分画ヘパリンによるトロンビン不活化の比率が減るという研究で実証された。対照的に、フィブリンモノマーは等モル濃度の該ヘパリンオリゴ糖分画存在下のATまたはHCIIによるトロンビン不活化の比率に対して最小の阻害効果のみを有する。選択されるヘパリンオリゴ糖分画はフィブリンに結合するトロンビンを増加させないというさらなる研究が0から7500nMまでの範囲の濃度内で該ヘパリンオリゴ糖分画または未分画ヘパリンの一方がある場合またはない場合でフィブリン凝塊に結合するI125標識トロンビンの量を測定することによって得られた。
【0028】
実施例2
ヘパリン分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画の抗トロンビン活性
ヘパリンオリゴ糖分画、デルマタン硫酸オリゴ糖分画およびヘパリンおよびデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせの抗トロンビン活性を比較するために体外循環を使用した。上記の循環はWeitzら、1999に詳細に記載される。要するに、異なる濃度の試験化合物をI125標識ヒトフィブリノゲンで標識したカルシウム再沈着ヒト全血液に加えて水槽内に37℃で維持する。蠕動ポンプで全血液を40μ血液フィルタに通して循環させる。フィルタ内の血餅を内圧力計(in−line pressure gauge)でフィルタに近い圧力を測定して検出する。一連の血液標本を内貯蔵器(in−line reservoir)から除去してフィブリノゲン消費量および血餅形成の指標として残留放射能を数える。さらに、凝固活性化開始時間を測定した。
二つの重要な基準、開通性および凝固過程において消費されるフィブリノゲンの割合は、このモデルで試験される化合物の効果を評価するのに使用される。開通性は濾過終了までの時間として測定される。実験は90分で終了するため、開通性の時間の上限を定義する。
実験において使用されるデルマタン硫酸オリゴ糖分画(実施例および表3ではLMWDSとしても記載)は以下の特性:Mp:5000Da、Mw:7600Daおよび1.4の多分散度を有する。ヘパリナーゼ誘導ヘパリンオリゴ糖分画は本明細書記載のヘパリナーゼ解重合によって得られ、8000のピーク分子量、約100IU/mgの抗IIa活性、約134IU/mgの抗Xa活性および約1.5の多分散度を有する。一酸化二窒素誘導ヘパリンオリゴ糖分画はPCT/CA98/00548記載の一酸化二窒素解重合によって得られ、7700の分子量、84IU/mgの抗IIa活性、123IU/mgの抗Xa活性および約1.3の多分散度を有する。過ヨウ素酸塩誘導ヘパリンオリゴ糖分画はPCT/EP98/03007(1998年12月10日公開、WO98/55514)記載の過ヨウ素酸塩解重合によって得られ、7900のピーク分子量、19IU/mgの抗IIa活性、43IU/mgの抗Xa活性および約1.5の多分散度を有する。
【0029】
約8000ダルトンのピーク分子量を有するヘパリン分画を選択した。というのも、この分画が約27糖単位から成る鎖に一致するからである。最小18糖単位の長さがトロンビンを抗トロンビンに架橋するのに必要とされる。ほとんど全てのこれら分画の鎖は18以上の糖単位から成るので、それらは抗トロンビンによるトロンビンの不活化を触媒するのに十分な長さである。対照的に、これらの鎖はトロンビンをフィブリンに架橋するには短すぎる、なぜならこの架橋反応は40糖単位またはそれ以上(例えば12000Daまたはそれ以上)から成る鎖を必要とするからである。結果的に、8000の平均分子量を有するヘパリン分画は抗トロンビンを活性化する能力によってトロンビンに対して優れた阻害活性を有し、トロンビンをフィブリンに架橋せずヘパリン/抗トロンビンまたはヘパリン/HCII複合体に対抗しないのでフィブリン結合トロンビンを不活化できる。対照的に、エノキサパリン、約5000の分子量を有する市販の低分子量ヘパリン(Rhoune−Poulenc Porer、モントリオール、PQ)は、トロンビンを抗トロンビンに架橋するにはほとんど短すぎる鎖から成るので、なぜそのトロンビンに対する阻害活性がXa因子に対する阻害活性に比べて低いのかが説明される。
上記(Weitz JIら、Circulation 1999;99:682−689)の通り、異なる濃度の各分画をI125標識ヒトフィブリノゲンで標識したカルシウム再沈着ヒト全血液に加えて水槽内に37℃で維持した。全血液を40μ血液フィルタに通して循環させるのに蠕動ポンプを使用した。(a)フィルタ内の血餅を内圧力計でフィルタに近い圧力を測定し、(b)一連の血液標本を内貯蔵器から除去してフィブリノゲン消費量の指標として残留放射能を数えて検出した。さらに、凝固活性化開始時間もまた測定した。
【0030】
表3に説明されるように、単独で使用される場合、250μg/mlのデルマタン硫酸オリゴ糖分画濃度が濾過開通性を維持して<10%までフィブリノゲン消費量を減らすのに必要とされた。これは上記の操作で、未分画デルマタン硫酸が4mg/mlの濃度でさえ上記の循環では無効であったという報告(Weitzら、Circulation、1999)からも顕著である。
低分子量デルマタン硫酸および8000Daヘパリナーゼ誘導ヘパリン分画またはエノキサパリンの組み合わせもまた評価した。LMWDSは1μg/mlの8000Daヘパリナーゼ誘導ヘパリン分画と併用した場合100μg/mlで、または2μg/mlの該ヘパリン分画と併用した場合50μg/mlで有効であった。対照的に、50μg/mlのLMWDSは3μg/mlのエノキサパリンと併用した場合無効であり、80分で濾過終了、フィブリノゲン消費量は85%であった。これはヘパリナーゼ誘導分画がエノキサパリンに比べて有効であることを示す。
LMWDSおよび8000Daヘパリナーゼ誘導ヘパリン分画が併用される場合、二つの薬剤は、各々、薬剤が単独で使用される場合開通性を維持するのに要する投与量に比べて5および10分の一の投与量で有効である(例えば、50対250μg/mlのLMWDSおよび1対10μg/mlの8000Daヘパリナーゼ誘導分画)。
LMWDS(50μg/ml)、ヘパリナーゼ、亜硝酸および過ヨウ素酸塩誘導ヘパリン分画およびエノキサパリンの組み合わせを比較した(全て2μg/ml)。LMWDSおよびヘパリナーゼまたは亜硝酸誘導ヘパリン分画の組み合わせは有効であった。他の二つの組み合わせは有効ではなかった(表4参照)。
さらにヘパリナーゼ誘導分画およびエノキサパリンを評価するために、二つを等重量投与量で比較した(表5)。30μg/mlでさえ、エノキサパリンは10μg/mlのヘパリナーゼ誘導分画に比べて効果が低かった。
【0031】
実施例3
HCIIによるヘパリンおよびDS触媒トロンビン阻害率に対するフィブリンモノマーの効果の比較
可溶性フィブリン、上記の通り調製される(15)、のHCIIによるトロンビンの阻害率に対する効果をまずDSまたはヘパリンの濃度を増加させてある場合またはない場合で試験した。HCIIによるトロンビンの阻害に関する二次速度定数(k2)を擬一次状態下3.3μMのヘパリンまたはDSまたは4μMSF、または両方のある場合またはない場合で定量した。トロンビン(10nM)をTBS含有0.6%PEG−8000内で様々な濃度のヘパリンまたはDS(0ないし11μM)、SF(0ないし4μM)、10mMGPRP−NH2および15mMトリス塩酸、pH7.5存在下5分間室温でインキュベートした。反応混合物(10μl)を96ウェル丸底マイクロタイタープレートにアリコートして同体積のHCII(トロンビンの少なくとも10倍の濃度)を2から5秒の範囲の時間間隔で各ウェルに加えた。全反応を10mg/mlポリブレン(polybrene)含有200μlTBS中200μMの色素基質(tGPR−pNA)を加えて終了した。残留トロンビン活性をSpectra Max 340 Microplate Reader(Molecular Devices、Menlo Park、CA)を使用して405nmで吸光度を5分間測定して計測した。データを方程式:k1t=ln([P]0/[P]t)(式中、[P]0は開始トロンビン活性であって[P]tは時間tにおけるトロンビン活性である)に適合させることによりトロンビン阻害に関する擬一次速度定数(k1)を定量した。k1をHCII濃度で割って二次速度定数、k2を定量した(15)。図1(パネルA)で示されるように、可溶性フィブリン(Fm)は、2または4μMの濃度で、HCIIによるトロンビン阻害のDS触媒比率において3倍弱の減少を引き起こすにすぎない。対照的に、FmはHCIIによるトロンビン阻害のヘパリン触媒比率において投与量依存性減少を引き起こす(パネルB)。1μMヘパリンおよび4μMFmでは、比率において最大240倍の減少が観察され、上記の報告(15)の値に一致する。
【0032】
抗トロンビンによるトロンビン不活化の比率に対するヘパリンおよびヘパリナーゼ誘導分画存在下フィブリンモノマーの効果の比較
類似の方法を使用して、ヘパリンまたは8000Daヘパリナーゼ誘導分画存在下での抗トロンビンによるトロンビン不活化の比率に対する可溶性フィブリンモノマーの効果を比較した。図2に説明されるように、ヘパリン存在下で、トロンビン不活化の比率は4μMフィブリンモノマーの存在下で約45倍減少した。対照的に、フィブリンモノマーは8000Daヘパリナーゼ誘導分画存在下でのトロンビン不活化の比率において10倍の減少のみであった。
【0033】
125I−FPR−トロンビンのフィブリンへの結合に対するヘパリン、DSまたは8000ヘパリナーゼ誘導分画の効果
ヘパリンはトロンビンのフィブリンへの結合を高めること、ATへの親和性が高いまたは低いに関わらず生じるが、11200Daまたはそれ以上のヘパリン鎖のみで生じる効果が以前に示された(18)。この研究では、DSのフィブリンへのトロンビン結合を促進する能力がヘパリンの能力と比較された。これを行うために、活性部位遮断トロンビン(FPRトロンビン)および125I−FPRトロンビンが記載される通りに調製された(19)。ヘパリンまたはDSの一方のある場合またはない場合での125I−FPRトロンビンのフィブリン凝塊への結合がTBS含有0.6%PEG−8000および0.01%Tween−20内で研究された。フィブリノゲン(7.5μM)を総体積40μlで上昇する濃度(0から2.5μMまで)のいずれかのヘパリンまたはDSと一緒に一連の微小沈殿管(カタログ番号72.702、Sarstedt Inc.、St.Laurent、PQ)内でインキュベートした。10mM塩化カルシウム、500mM125I−FPRトロンビンおよび10nMトロンビン含有株A10μlを加えて凝固を開始させた。室温で45分インキュベートした後、フィブリンを5分間15000×gで遠心分離してペレット状にし、上澄みのアリコートをガンマ計数機で除去した。フィブリンに結合するトロンビン分画をグリコサミノグリカンを含有しない対照と比較して125I−FPRトロンビン結合における変化として計測した。図3に示されるように、DSは1μM以下の濃度でさえフィブリン凝塊に結合する125I−FPRトロンビンに対する効果を有しない。対照的に、250nMまでの濃度では、ヘパリンは投与量依存性にフィブリン凝塊に結合する125I−FPRトロンビンを増加させる。250nM以上のヘパリン濃度では、凝塊に結合する125I−FPRトロンビンは減少し、明瞭なヘパリン−フィブリンおよびヘパリン−トロンビン集団が蓄積するだろう。トロンビンおよびFm−セファロースを低分子量(LMW)ヘパリン(エノキサパリン)で滴定する場合、DSで観察されたものに比較してトロンビン結合量において少量しか増加しなかった。エノキサパリンでの発見は予期したものである、なぜなら該ヘパリン鎖はトロンビンをフィブリンに架橋するには短すぎるためである。
トロンビンのフィブリンへの結合を促進する8000Daヘパリナーゼ分画の能力もまたヘパリンの能力と比較した。図4で示されるように、ヘパリナーゼ誘導分画はトロンビン結合において少ししか増加させなかったのに対し、ヘパリンは大幅な増加を引き起こした。これらの発見はエノキサパリンのように、ヘパリナーゼ誘導分画内の鎖もまたトロンビンをフィブリンに架橋するには短すぎるということを示す。
【0034】
HCIIによるFmセファロースからのIIaの除去
HCIIによるトロンビン阻害の触媒はDSの存在下ではフィブリンによって損なわれないので、トロンビン上のエキソサイトIは仮にトロンビンがこの部位を介してフィブリンに結合していてもDS−HCII複合体に接触可能でなければならない。この観察はDS−HCII複合体がトロンビンをフィブリンから除去できることが必要であることを前提とする。これはDSのある場合またはない場合でHCIIの濃度を増加させてFmセファロースから除去した125I−FPRトロンビンの量をモニターすることによって試験された(図5)。HCII単独、生理的濃度の三倍までの濃度で、ではトロンビンをFmセファロースから除去する能力は制限される。DSが2.5μMで存在する場合、トロンビンの除去が観察された。HCIIの生理的濃度で除去は最大であって、約250nMHCIIで最大効果の半分であった。それゆえ、DSの存在下では、HCIIのアミノ基末端はトロンビンエキソサイトIへの結合に関してフィブリンと有効に競合することができる。これらの発見はDS/HCII複合体が不活化させることによってフィブリンからトロンビンを除去できるということを示す。
【0035】
実施例4
効果対出血研究
ウサギ動脈血栓症防止モデル
ウサギ動脈血栓症防止モデル(Greenら、J.Lab Clin Med.127:583−587、1996;Klementら、1998 J.Lab Clin Med.132:181−185、1998;Klementら、Blood.94:2735−2743、1999)本発明の分画および組成物の効果および安全性を試験するのに使用した。該モデルにおいて、ウサギは試験抗凝固剤および少量の125Iフィブリノゲンを注入される。対照動物は抗凝固剤の代わりに食塩水を投与される。5分後、遠位にある大動脈をバルーン内皮露出(balloon endothelial denudation)に付し、血流量を低下させるために狭窄(結紮緊縛)を施して、大動脈壁を16鉗子による外部圧迫損傷に付す。抗凝固剤のない場合、外部血管壁損傷および血流量低下の組み合わせが急速な凝固を引き起こす。凝固の程度は狭窄部位から遠位に置かれた超音波流量消息子(ultrasonic flow probe)を使用して血流量を測定することによって継続的にモニター可能である。実験を抗凝固剤の注入後合計90分間続けた。主要効果評価項目は血管が合計90分の観察を通して開通している時間の百分率である。様々な抗血栓剤の安全性は耳出血モデルを使用して同様の動物で定量可能であって、それはウサギの耳に5ヶ所の十分な深さの切り傷を作って30分間の観察を通して出血の蓄積を測定することを含む。これは二つの動物モデルの組み合わせ(耳出血モデルを有する動脈血栓症防止モデル)を提供して必要な動物の数を50%まで減らす。動脈血栓症防止を研究するために設計された、このモデルは、不安定狭心症または頚動脈内膜切除後の凝固のような臨床状態を模倣する。
【0036】
ヘパリンオリゴ糖分画
ヘパリンオリゴ糖分画(本明細書では「V21」として記載)の効果および安全性をウサギ動脈血栓症防止モデルにおいて未分画ヘパリン、LMWH、ヒルジンまたは対照食塩水で比較した。試験化合物を動脈狭窄および損傷前に5分投与した。90分を通しての血流量(%開通性として表される)を効果として測定して、一方ウサギ耳出血モデルを安全性の測定に使用した。抗凝固剤(SAL)のない場合でヘパリン(UFH)を多量投与した場合急速な凝固が観察された。V21およびヒルジン(HIR)は開通性を維持するのにLMWHに比べて非常に有効であった。図7で示されるように、V21は最小限の出血を引き起こす投与量で100%開通性を提供し(下パネル)、一方ヒルジンはその効果に要する投与量では非常に大きな出血傾向を示した。
【0037】
デルマタン硫酸オリゴ糖分画
デルマタン硫酸オリゴ糖分画(本明細書では「H2403」として記載)の効果をウサギ動脈血栓症防止および耳出血モデルにおいて試験した。合計20のウサギを四つの群に割り当てた。表6に記載されるようにH2403の1mg/kgから10mg/kgまでの濃度でウサギに投与した。
H2403は開通性において投与量依存的な増加を示した。開通性は2.5ないし10mg/kgのH2403投与量では全て76ないし96%であったが、1mg/kgの投与量ではたった14%であった。一次閉塞までの平均時間は2.5ないし10mg/kgのH2403−123投与量では44ないし54分であったが、1mg/kgの投与量ではほんの1分であった。
これらの発見に一致して、大動脈の総血液量は2.5ないし10mg/kgのH2403投与量では160ないし288ml/時であったが、1mg/kgの投与量では20ml/時以下であった。血流量の範囲および形態はウサギによって大きく変化し、標準偏差が大きいことで説明される。しかしながら、少量のH2403−123投与量で大動脈の血流量が低いという傾向は平均追跡調査同様個々のウサギ集団追跡調査で容易に確認できる。このデータは開通性が2.5mg/kgおよびそれ以上のH2403投与量で生じるという一般的な結論を支持するものである。
【0038】
H2403投与量を5mg/kgから2.5mg/kgまで減少させた場合凝固+の血管壁放射能において少しの増加(基準値の15%ないし19%)が確認されたが、H2403投与量を1mg/kgまで減少させた場合大幅な増加(基準値の33%まで)が確認された。このデータもまた効果における有意な増加はこのモデルでは2.5mg/kgおよびそれ以上のH2403投与量で生じるという一般的な結論を支持するものである。
LMWDSの安全性は耳出血モデルを使用して同一のウサギで定量された。H2403の投与は出血において投与量依存的な増加を示し、2.5mg/kg以上の投与量で有意に増加した出血(80μlおよびそれ以上)が生じた。開通性および閉塞データは両方ともLMWDS効果が2.5mg/kg以上またはそれに等しい投与量で生じるということを支持する。
要するに、開通性、閉塞時間、総血液量および放射性物質で標識したフィブリノゲン沈着に基づくと、全てのパラメーターを測定することによって、H2403は2.5mg/kgまたはそれ以上の投与量でウサギ動脈血栓症モデルにおいて効果を示す。しかしながら、有意に増加した出血が2.5mg/kg以上の投与量で生じた。
【0039】
V21およびH2403−123の組み合わせ(マトリックス研究)
V21+LMWDS処方の安全性および効果の両方をウサギ動脈血栓症および防止モデルで試験した。100匹のニュージーランドオスウサギを各5ウサギの20治療群に分割し(表7参照)、群当たり一つのV−21/LMWDS処方のボーラス静注量を投与してさらに90分の実験の残り時間に注入で反復投与した。
V21およびLMWDS要素に関する投与量反応曲線は上記の研究に矛盾の無いものであり、以下の研究の投与量範囲を拡大するものである。
V21はLMWDSに比べて安全性プロフィールに対して優れた効果を有し、投与量試験では、V21およびLMWDSともに出血に関して浅い投与量反応曲線を有した。
LMWDSのV21への添加は出血を有意に増加させない。
出血ではなく、効果に関してLMWDSのV21に対する付加的効果または相乗効果があった。
V21−LMWDSの投与量組み合わせに関して最も適した組み合わせを探すために血栓重量、開通性および出血を同時に試験した。以下のV21:LMWDSの比率が有用であることが確認された:1:1、4:1および5:1。開通性および出血は5:1組み合わせで試験された。開通性はV21:LMWDSの5:1組み合わせを投与したウサギでV21単独の同量を投与したウサギに比べて優れていた(図6A)、一方出血は増加しなかった(図6B)。
【0040】
実施例5
ヒヒ血栓症モデル
V21、LMWDSおよびこれらの組み合わせの危険性プロフィールに対する利益を定量するためにヒヒ研究を行った。ヒヒモデルは動静脈シャント内への置換後60分間に及ぶダクロン製血管移植片での急性血栓症形成の評価に関連するものである(Hansonら、Arteriosclerosis 5:595−603、1985)。
まず、全ての動物は慢性の体外シリコンゴムシャントを外科的に大腿動静脈間に移植される。これらのシャントは測定可能な血小板活性を作らない。血栓形成を評価するために、中央部に展開されるダクロン移植片の試験管部分をシャント系に挿入して1時間血流に曝した。シャントの管状部分は標準のシリコンゴム、4.0mmi.d.、であって、それは本質的に非トロンボゲン形成物質である。血流量を試験部分から遠くに置かれた鉗子によって100ml/分に維持して超音波流量計を継続的に使用して維持した。ヒヒの自己血小板を1mCi111インジウム−オキシンで標識した。標識効率は平均>90%であった。ガンマシンチレーションカメラ(General Electric 400T)を継続的に使用して111In標識血小板の蓄積を測定した。5分間隔でデータを保存し、インターフェースでカメラと連結したコンピュータ補助画像処理システム(computer−assisted image processing system)を使用して分析した。沈着血小板の放射能(一分当たりの数)を全血液111In血小板活性(一分当たりの数/ml)で割って循環血小板数(血小板/ml)を掛けることによって沈着した血小板の総数を計測した。
【0041】
血液曝露60分後に形成される全血栓のフィブリン含有量を以下のように測定した。血栓形成開始10分前に、5μCiの125I標識同種ヒヒフィブリノゲンを静脈内に注入する。1時間の血液曝露後、トロンボゲン形成ダクロン移植片を等張性食塩水で完全に濯ぐ。111Inおよび125I発光スペクトルの間で重なるために、ガンマカウンタを使用して血栓を125I活性に関して計測する前に111Inが崩壊するのに(半減期=2.8日)少なくとも30日要する。沈着した125I放射能(一分当たりの数)を凝固可能なフィブリノゲン放射能(一分当たりの数/ml)で割って各実験で測定されるような循環フィブリン濃度(ミリグラム/ml)を掛けることによってフィブリン総蓄積量を計測する。
安全性はHansonら、Arteriosclerosis 5:595−603、(1985)に記載されるように、出血時間を直接測定して評価される。
6体の未治療の動物で同時対照研究を行った。ダクロン移植片上の血栓形成を上記の通り評価して、凝固時間(APTT、PT)、Xa因子活性(Spectrozyme assay;American Diagnostica)および出血時間(BT)を移植片移植直後および移植片移植1時間後の両方で測定した。さらに、0.5mlのクエン酸塩加ヒヒ血漿(各時間で)をトロンビン時間の定量のために除去した。
【0042】
V21およびLMWDSに関する研究
最初に0.5mg/kg、1mg/kgおよび2mg/kg(総投与量の50%をボーラスとして投与して残りを継続的な注入として65分以上投与した)の総投与量で、V21をまず研究した。ボーラス薬剤投与5分後に、ダクロン移植片を移植してさらに60分間血小板画像化を行い、その後、移植片を除去して研究を終了した。
最初に2mg/kg、5mg/kgおよび10mg/kgの投与量で、LMWDSを同様の方法で研究した。2mg/kgでは総投与量の50%をボーラスとして投与して残りを継続的な注入として65分以上投与した。ボーラスの注入LMWDSに対する相対比率をその後安定した凝固時間を得るために調整した。このようにして、5mg/kgの投与量ではボーラス/注入量の比率は二体のヒヒにおいて50%/50%および33%/67%であった。10mg/kgの投与量では比率は20ないし25%ボーラス対75ないし80%注入であって60分以上の注入時間で安定したAPTT値が得られた。
その後、V21およびLMWDSを0.5mg/kgV21+0.5mg/kgLMWDS;1mg/kgV21+1mg/kgLMWDS;2mg/kgV21+5mg/kgLMWDS;および2mg/kgV21+10mg/kgLMWDSの投与量で併用した(V21投与量の50%およびLMWDS投与量の20%をボーラス注入として投与して残りの量を継続的な注入として65分以上投与した。この投与法では60分の注入の間でほとんど安定したAPTT値が得られた。血小板血栓画像化、出血時間および実験室測定もまた本明細書記載の通りに行った。
血液曝露60分後の(またはいずれのより早い時間で)血小板血栓形成の測定結果をスチューデントt−試験(両側検定)を使用して比較した。
【0043】
結果:
ダクロン製移植片血栓に対するV21の効果は図8に示される。少量のV21、0.5mg/kgでは血液曝露60分後平均2.96±0.85x109皿である対照値以下まで血小板沈着を減少させなかった。中間量である1mg/kgでは60分で血小板沈着を24%まで減少させて一方多量である2mg/kgでは血小板沈着を57%まで減少させた(図8)。
V21による投与量依存的な方法でフィブリンを減少させた。最多量では、フィブリン総蓄積量を59%まで減少させた(対照では2.54±0.37mg、対して2mg/kg治療群では1.05±0.52mg)。V21はまた2mg/kgで投与量依存的な方法によって>200秒までAPTTを延長した。PTの測定値は大きく影響されなかった。出血時間はV21によって有意に増加せず、2mg/kg群の研究において平均5.1分に留まった。0.5mg/kg群において一体の動物が12分の出血時間を記録したことは注目されるだろう;しかしながら、このおよび別の投与群における他の観察と照らすとこの結果は偽性として見なされた。
ダクロン製移植片血栓形成に対するLMWDSの効果は図9に示される。2ないし10mg/kgの範囲にわたって、血小板沈着における減少はなかった。同様に、LMWDSはダクロン移植片においてフィブリン形成を減少させず、または出血時間を延長させなかった。APTT凝固時間はLMWDSによって延長し、10mg/kg投与量では約2倍であった(平均:60分で59.1秒、対28.7秒Pre)。PT凝固時間は影響されなかった。
【0044】
V21およびLMWDS組み合わせのダクロン移植片血栓形成に関する結果は図10に示される。2mg/kgのV21と組み合わせて、二体のヒヒに10mg/kgのLMWDSを注入してさらにもう一体の動物に5mg/kgのLMWDSを投与した。2mg/kgのV21+(5ないし10mg/kg)LMWDSの投与量で血小板沈着において有意な減少が確認された;しかしながら、この効果は同量のV21単独で得られた効果と比較したものであった(図8および10参照)。同様に、組み合わせ処置で確認されたフィブリン沈着減少はV21単独で得られたものと比較したものであった。出血時間は大きく影響されなかった。PT値は大きく影響されなかったのに対し(最多量で2秒までPT延長)、APTT値は平均>500秒であった(対して2mg/kgのV21単独では平均269秒)。
本研究において使用されるヒヒモデルは流動が速く、血小板の輸送および利用が速くなっており、強度な開始刺激を提供する高度なトロンボゲン形成表面(ダクロン移植片)と併用した。これらの条件下ではフィブリン形成は広範囲なものではなく抗凝固は一般に無効であった(例えば、標準ヘパリン、五糖、標準デルマタン硫酸)。それにも関わらず、本モデルにおいてV21は出血時間を延長することなく動脈血小板およびフィブリン血栓形成を>50%まで実際減少させたのである。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
【表7】
【0052】
【表8】
【0053】
本発明は本明細書記載の特定の具体例によって範囲を制限されるものではなく、上記の具体例は本発明のある態様における単なる例示であるのでいかなる機能的に同一の具体例も本発明の範疇であるものとする。確かに、本明細書に開示され記載されるものに加えた本発明の多様な修正は上述の説明および添付図から当業者に明白であるだろう。このような修正は添付した請求の範囲に入るものとする。
本明細書で参照したすべての刊行物、特許および特許出願は、たとえ各々個々の刊行物、特許または特許出願がその出典を明示することにより本明細書の一部とするとしていても、同様にその出典を明示することにより本明細書の一部とするものである。本明細書記載のいかなる参照の引用もこのような参照が本発明に先立って入手可能であるという意味ではない。
本明細書および添付した請求で使用される、「a」、「an」および「the」なる単数形は本文脈が明確に指示していなければ複数の意味を含むことを注意しなければならない。
【0054】
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19.Fredenburgh JCら,J.Biol.Chem.1997:272:25493−25499.
【図面の簡単な説明】
【図1】可溶性フィブリン(Fm)のDS触媒(パネルA)またはヘパリン触媒(パネルB)HCIIによるトロンビン阻害の二次速度定数に対する効果を示す。
【図2】4μMフィブリンモノマーの抗トロンビン(AT)トロンビン阻害における効果であって、ヘパリナーゼ誘導ヘパリンオリゴ糖分画の分子量を増加させていった場合の効果を示す棒グラフである。
【図3】ヘパリンおよびDSのフィブリンへのトロンビンの結合における効果を示す。
【図4】ヘパリンまたはヘパリナーゼ誘導分画のフィブリン凝塊へのトロンビン結合における効果を示すグラフである。
【図5】DSまたは標準ヘパリン(SH)存在下HCIIによるフィブリンからのトロンビンの除去を示すグラフである。
【図6A】ヘパリンオリゴ糖分画単独対ヘパリンオリゴ糖分画:デルマタン硫酸オリゴ糖分画の5:1の組み合わせのウサギ動脈血栓症防止モデルにおける開通性の蓄積効果を示すグラフである。
【図6B】ヘパリンオリゴ糖分画単独対ヘパリンオリゴ糖分画:デルマタン硫酸オリゴ糖分画の5:1の組み合わせのウサギ動脈血栓症モデルにおける出血の蓄積効果を示すグラフである。
【図7】ヘパリン、LMWH、ヘパリンオリゴ糖分画およびヒルジンの開通性における効果の比較を示すグラフ(パネルA)および出血における効果の比較を示すグラフ(パネルB)である。
【図8】ヘパリンオリゴ糖分画のヒヒ動脈血栓症モデルにおける血管移植片上血小板沈着に対する効果を示すグラフである。
【図9】デルマタン硫酸オリゴ糖分画のヒヒ動脈血栓症モデルにおける血管移植片上血小板沈着に対する効果を示すグラフである。
【図10】ヘパリンオリゴ糖分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせのヒヒ動脈血栓症モデルにおける血管移植片上血小板沈着に対する効果を示すグラフである。
Claims (23)
- 医薬として使用される(a)少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画および(b)少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせを含む組成物。
- ヘパリンオリゴ糖分画が以下の特性:
(a) インビトロで抗トロンビンおよびヘパリン補因子II(HCII)関連抗凝固活性を有する;
(b) 該オリゴ糖はトロンビンをフィブリンと架橋するには短すぎるが、抗トロンビンまたはHCIIをトロンビンに架橋するには十分な長さである;
(c) 少なくとも一つまたはそれ以上の五糖配列を有するオリゴ糖を少なくとも15%、20%、25%、30%、35%または40%有する;
(d) 約6000から約12000まで、6000ないし11000または6000ないし10000の範囲の分子量を有するオリゴ糖に富む;
(e) 該オリゴ糖は約7000ないし10000、7500ないし9700または8000ないし9000のピーク分子量を有する;
(f) 該オリゴ糖の少なくとも30%、35%、40%、45%、50%または55%が6000ダルトンより大きなまたはそれに等しい分子量を有する;
(g) 少なくとも20%、25%、30%、35%または40%が8000ダルトンより大きなまたはそれに等しい分子量を有する;
(h) 1.1ないし1.8の多分散度;および
(i) 抗Xa因子および抗IIa因子様活性を有する;
のうち一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つまたは七つまたはそれ以上の特性により特徴付けられるヘパリンから誘導されるオリゴ糖の混合物を含むところの、請求項1記載の組成物。 - ヘパリンオリゴ糖分画が上記の特性(a)、(b)、(c)および(d);(a)(b)、(c)および(e);(a)、(b)、(e)および(f);(a)、(b)、(e)および(g);(a)、(b)、(e)、(f)、(g)、(h)および(i);(b)、(c)、(e)および(g);(b)、(d)、(c)、(h)および(i);(b)、(c)、(d)および(h);(b)、(e)、(h)および(i);(b)、(e)、(f)、(h)および(i);(b)、(e)、(g)、(h)および(i);または(a)から(i)すべてを有するところの、請求項2記載の組成物。
- ヘパリンオリゴ糖分画が以下の特性:
(a) 6000から10000ダルトンまでの範囲の、および約8500の平均値の分子量を有するオリゴ糖に富む;
(b) 白色ないし黄白色の結晶固体である;
(c) 室温で安定である;および
(d) 約1.2ないし1.5の多分散度を有する;
のうち一つまたはそれ以上を有するところの、請求項2記載の組成物。 - デルマタン硫酸オリゴ糖分画が以下の特性:
(a) 硫黄含有率が6.0%ないし10%(w/w)、好ましくは6.0ないし8.0%(w/w)、より好ましくは6.5%ないし8%(w/w)である;
(b) 硫酸基/カルボキシル基の比率が1.2ないし2.5、好ましくは1.2から2.0まで、より好ましくは1.3ないし1.8、最も好ましくは1.3ないし1.6である;
(c) 一硫酸化された二糖含有率のうち二硫酸化された二糖含有率が20%ないし60%(w/w)、好ましくは30%ないし60%(w/w)である;
(d) トロンビンに対するヘパリン補因子II介在活性が20ないし60IU/mg、好ましくは30ないし60IU/mgの範囲にある;
のうち一つまたはそれ以上の特性を有するところの、請求項2、3または4記載の組成物。 - デルマタン硫酸オリゴ糖分画が以下の特性:
(a) 5000から8000ダルトンまでの範囲の分子量を有するオリゴ糖に富む;
(b) 白色ないし黄白色の結晶固体である;
(c) 室温で安定である;および
(d) 6.2重量%より多くがスルホン化されている;
のうち一つまたはそれ以上を有するところの、請求項2,3または4記載の組成物。 - デルマタン硫酸オリゴ糖分画が90%またはそれ以上で約1600ないし約20000ダルトンの範囲にある分子量および約4500ないし約8000ダルトンのピーク分子量を有するデルマタン高分子鎖の混合物を含むところの、請求項2,3または4記載の組成物。
- (a)および(b)の量がトロンビン産生または活性の防止または阻害において相乗効果を及ぼすのに有効であるところの、請求項1ないし7のいずれか一つに記載の組成物。
- ヘパリンオリゴ糖分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画の投与量が患者におけるトロンビン産生または活性を防止または阻害するのに要する各々の分画の投与量と比べて少なくとも5ないし10分の1以下であるところの、請求項1ないし8のいずれか一つに記載の組成物。
- 医薬上許容される担体中に相乗効果量の少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画および少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせを含む、医薬組成物。
- 医薬上許容される担体が患者におけるトロンビン産生または活性を阻害または防止するための相乗効果量の分画を提供するのに適合されるところの、請求項10記載の医薬組成物。
- 有効量の(a)少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画;および(b)少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画を患者に投与することを含む患者におけるトロンビン産生または活性を防止または阻害する組み合わせ処置。
- 相乗効果を提供するところの、請求項12記載の組み合わせ処置。
- ヘパリンオリゴ糖分画およびデルマタン硫酸オリゴ糖分画が同時にまたは別々に投与されるところの、請求項12または13記載の組み合わせ処置。
- ヘパリンオリゴ糖分画が以下の特性:
(a) インビトロで抗トロンビンおよびヘパリン補因子II(HCII)関連抗凝固活性を有する;
(b) 該オリゴ糖はトロンビンをフィブリンと架橋するには短すぎるが、抗トロンビンまたはHCIIをトロンビンに架橋するには十分な長さである;
(c) 少なくとも一つまたはそれ以上の五糖配列を有するオリゴ糖を少なくとも15%、20%、25%、30%、35%または40%有する;
(d) 約6000から約12000まで、6000ないし11000または6000ないし10000の範囲の分子量を有するオリゴ糖に富む;
(e) 該オリゴ糖は約7000ないし10000、7500ないし9700、または8000から9000のピーク分子量を有する;
(f) 該オリゴ糖の少なくとも30%、35%、40%、45%、50%または55%が6000ダルトンより大きなまたはそれに等しい分子量を有する;
(g) 少なくとも20%、25%、30%、35%または40%が8000ダルトンより大きなまたはそれに等しい分子量を有する;
(h) 1.1ないし1.8の多分散度;および
(i) 抗Xa因子および抗IIa因子様活性を有する;
のうち一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つまたは七つまたはそれ以上の特性により特徴付けられるヘパリンから誘導されるオリゴ糖の混合物を含むところの、請求項12、13または14記載の組み合わせ処置。 - ヘパリンオリゴ糖分画が、特性(a)、(b)、(c)および(d);(a)(b)、(c)および(e);(a)、(b)、(e)および(f);(a)、(b)、(e)および(g);(a)、(b)、(e)、(f)、(g)、(h)および(i);(b)、(c)、(e)および(g);(b)、(d)、(c)、(h)および(i);(b)、(c)、(d)および(h);(b)、(e)、(h)および(i);(b)、(e)、(f)、(h)および(i);(b)、(e)、(g)、(h)および(i);または(a)から(i)すべてを有するところの、請求項15記載の組み合わせ処置。
- デルマタン硫酸オリゴ糖分画が以下の特性:
(a) 硫黄含有率が6.0%ないし10%(w/w)、好ましくは6.0ないし8.0%(w/w)、より好ましくは6.5%ないし8%(w/w)である;
(b) 硫酸基/カルボキシル基の比率が1.2ないし2.5、好ましくは1.2から2.0まで、より好ましくは1.3ないし1.8、最も好ましくは1.3ないし1.6である;
(c) 一硫酸化された二糖含有率のうち二硫酸化された二糖含有率が20%ないし60%(w/w)、好ましくは30%ないし60%(w/w)である;
(d) トロンビンに対する活性が20ないし60IU/mg、好ましくは30ないし60IU/mgの範囲にある;
のうち一つまたはそれ以上の特性により特徴付けられるところの、請求項12ないし16のいずれか一つに記載の組み合わせ処置。 - デルマタン硫酸オリゴ糖分画が90%またはそれ以上で約1600ないし約20000ダルトンの範囲にある分子量を有し、約4500ないし約8000ダルトンのピーク分子量を有するデルマタン高分子鎖の混合物を含むところの、請求項12ないし16のいずれか一つに記載の組み合わせ処置。
- 相乗効果量の少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画および少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画を、それを必要とする患者に対して、組み合わせて投与することを含む患者におけるトロンビン産生または活性を阻害または防止する方法。
- 過剰なトロンビン産生または活性に付随した疾患の重症度、疾患の症状および/または疾患の再発の周期性を防止および/または改善するための上記の請求項のいずれかに記載の組成物または組み合わせ処置の使用。
- トロンビン産生または活性の防止または阻害に関する医薬の調製において(a)少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画および(b)少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画の組み合わせを含む組成物の使用。
- 患者におけるトロンビン産生または活性の阻害または防止に関する医薬組成物の調製における相乗効果量の少なくとも一つのヘパリンオリゴ糖分画および少なくとも一つのデルマタン硫酸オリゴ糖分画の使用。
- 上記の請求項のいずれかに記載の組成物のキット形態。
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