JP2723064B2 - 芳香族ポリエステル組成物 - Google Patents
芳香族ポリエステル組成物Info
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- JP2723064B2 JP2723064B2 JP479295A JP479295A JP2723064B2 JP 2723064 B2 JP2723064 B2 JP 2723064B2 JP 479295 A JP479295 A JP 479295A JP 479295 A JP479295 A JP 479295A JP 2723064 B2 JP2723064 B2 JP 2723064B2
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- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は400℃以下で溶融成形
が可能で、優れた流動性と耐熱性および機械的特性を有
する成形品を提供しうる芳香族ポリエステル組成物に関
するものである。 【0002】 【従来の技術】近年プラスチックの高性能化に対する要
求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマが
数多く開発され、市場に供されているが、中でも特に分
子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶ポリマ
が優れた機械的性質を有する点で注目されている。 【0003】異方性溶融相を形成するポリマとしては例
えばp−ヒドロキシ安息香酸にポリエチレンテレフタレ
ートを共重合した液晶ポリマ(特開昭49−72393
号公報)、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−
2−ナフトエ酸を共重合した液晶ポリマ(特開昭54−
77691号公報)、またp−ヒドロキシ安息香酸に
4,4´−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸、イ
ソフタル酸を共重合した液晶ポリマ(特公昭57−24
407号公報)などが知られている。 【0004】また、非晶性の芳香族ポリエステルにオレ
フィン類とグリシジルメタアクリレートおよび/または
グリシジルアクリレートとの共重合体からなる組成物が
特開昭60−25046号公報に開示されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】前記液晶ポリマは液晶
性を示さない結晶性ポリマ、例えばポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレートなどに比してそ
の成形時の配向により、優れたアイゾット衝撃強度を示
すが、落球、落錘衝撃等の面衝撃は逆に劣っていること
が判った。また成形品の異方性の大きいことも知られて
いる。 【0006】前記非晶性の芳香族ポリエステルとオレフ
ィン系共重合体を配合した組成物において、このオレフ
ィン系共重合体は非晶性の芳香族ポリエステルの落球、
落錘衝撃などの面衝撃強度をほとんど向上せず、異方性
の減少効果も見出されない。よって、本発明は、異方性
溶融相を形成する芳香族ポリエステルが有するすぐれた
流動性、耐熱性を損なうことなく機械物性、とりわけ面
衝撃性および異方性を改良することを課題とするもので
ある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。す
なわち、本発明は下記構造単位[(I)+(II)+(II
I)+(IV)]または[(I)+(II)+(III)+(IV)
+(V)]からなる異方性溶融相を形成する芳香族ポリ
エステル100重量部に対してオレフィン系重合体0.
1〜60重量部を含有せしめてなる芳香族ポリエステル
組成物である。 【0008】 【化2】 本発明で用いる芳香族ポリエステルは上記構造単位
[(I)+(II)+(III)+(IV)]または[(I)+
(II)+(III)+(IV)+(V)]からなるものであ
り、好ましくは構造単位[(I)+(II)+(III)+
(IV)]からなるものである。 【0009】上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息
香酸または、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から選ば
れた一種以上、好ましくはp−ヒドロキシ安息香酸から
生成した構造単位を示す。 【0010】上記構造単位(II)は4,4´−ジヒドロ
キシビフェニルから生成した単位を示し、構造単位(II
I)はエチレングリコールから生成した構造単位を示す。 【0011】構造単位(IV)は、テレフタル酸および/
またはイソフタル酸から生成した構造単位を示す。 【0012】上記構造単位(V)は1,2−ビス(フェ
ノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、1,2−ビ
ス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカル
ボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および4,4
´−ジカルボキシジフェニルエーテルジカルボン酸から
選ばれた一種以上から生成した構造単位を示す。 【0013】上記構造単位からなる芳香族ポリエステル
は異方性溶融相を形成することが必要であり、350℃
以下の温度で光学異方性を示すことが可能な芳香族ポリ
エステルが好ましい。 【0014】なかでも、得られる成形品の耐熱性と流動
性の点から下記構造単位[(I)´+(II)+(III)+
(IV)]からなる芳香族ポリエステルが好ましく使用で
きる。 【0015】 【化3】 (ただし(IV)中のジカルボン酸成分中のカルボニル基
は互いにメタおよび/またはパラの関係にある。また構
造単位[(II)+(III)]と(IV)は実質的に等モルで
ある。) 上記本発明において好ましく使用できる芳香族ポリエス
テルにおいて、上記構造単位(I)´はp−ヒドロキシ
安息香酸から生成した構造単位を示す。 【0016】共重合量については特に制限はないが、流
動性の点から構造単位(I)´が[(I)´+(II)+
(III)]の40〜90モル%、構造単位[(II)+(II
I)]が[(I)´+(II)+(III)]の60〜10モル
%であることが好ましい。構造単位(II)/(III)のモ
ル比は1/9〜9/1であることが好ましく、流動性の
点から7.5/2.5〜9.5/0.5の範囲が好まし
い。 【0017】また、上記構造単位(IV)中のジカルボン
酸成分はテレフタル酸および/またはイソフタル酸であ
るが、テレフタル酸/イソフタル酸のモル比は10/0
〜6.5/3.5が好ましい。 【0018】さらに、上記(I)´、(II)、(III)、
(IV)を構成する成分以外に、1,2−ビス(フェノキ
シ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、1,2−ビス
(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボ
ン酸を共重合したものも好ましく使用できる。 【0019】また、前記構造単位(I)〜(V)から選
ばれる構造単位の各成分以外に4,4´−ジフェニルジ
カルボン酸、3,4´−ジフェニルジカルボン酸、2,
2´−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(クロル
フェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸などの芳
香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂
環式ジカルボン酸、ハイドロキノン、t−ブチルハイド
ロキノン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒド
ロキシナフタレン、クロルハイドロキノン、メチルハイ
ドロキノン、フェニルハイドロキノン、レゾルシン等の
芳香族ジヒドロキシ化合物、m−ヒドロキシ安息香酸な
どの芳香族ヒドロキシカルボン酸、p−アミノフェノー
ル、p−アミノ安息香酸およびβ−ヒドロキシエトキシ
安息香酸などを本発明の目的を損なわない程度の割合の
範囲でさらに共重合せしめることができる。 【0020】上記芳香族ポリエステルは従来のポリエス
テルの重縮合法に準じて製造でき、特に、制限はない
が、代表的な例としては例えば次の(1)〜(2)法が
挙げられる。 【0021】(1) エチレングリコールとテレフタル
酸などの芳香族ジカルボン酸とからのポリエステルの存
在下でp−アセトキシ安息香酸のアシル化物、4,4´
−ジアセトキシビフェニル等の芳香族ヒドロキシ化合物
のアシル化物とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸
から脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。 【0022】(2) エチレングリコールとテレフタル
酸などの芳香族ジカルボン酸とからのポリエステルの存
在下でp−ヒドロキシ安息香酸、4,4´−ジヒドロキ
シビフェニルなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とテレフ
タル酸などの芳香族ジカルボン酸および無水酢酸とから
脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。 【0023】重縮合反応に使用する触媒としては酢酸第
1錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、三酸化アンチ
モン、マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムお
よびリン酸三ナトリウムなどの金属化合物が代表的であ
り、とりわけ脱フェノール重縮合の際に有効である。 【0024】また、本発明に好ましく使用できる芳香族
ポリエステルは異方性溶融相を形成するが、異方性を示
し始める温度(液晶開始温度)より40℃高い温度で剪
断速度1,000(1/秒)の条件下で測定した溶融粘
度が10〜15,000ポイズのものが好ましく使用で
きる。 【0025】また、本発明において用いるオレフィン系
重合体としてはα−オレフィン類とα,β−不飽和酸の
グリシジルエステルとからなる共重合体、α−オレフィ
ン類、あるいは、エチレンと炭素数3以上のα−オレフ
ィン、または、エチレン、炭素数3以上のα−オレフィ
ンおよび非共役ジエンからなる重合体およびそれらに対
し、不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトして
得た変性エチレン系重合体などが好ましく用いられる。 【0026】α−オレフィン類としては炭素数2〜4の
ものが好ましく、具体的にはエチレン、プロピレン、ブ
テン−1などが挙げられ、なかでもエチレンが好ましく
使用できる。また、α,β−不飽和酸のグリシジルエス
テルとは、一般式 【化4】 (式中、Rは水素原子または低級アルキル基である。)
で示される化合物であり、具体的にはアクリル酸グリシ
ジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジ
ルなどであり、中でもメタクリル酸グリシジルが好まし
く用いられる。α,β−不飽和酸のグリシジルエステル
の共重合量は1〜50モル%の範囲が適当である。さら
に、40モル%以下であれば上記の共重合体と共重合可
能である不飽和モノマすなわちビニルエーテル類、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、
メチル、エチル、プロピル等のアクリル酸およびメタク
リル酸のエステル類、アクリロニトリル、スチレン等を
共重合せしめてもよい。 【0027】炭素数3以上のα−オレフィンとしては、
プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチルペ
ンテン−1、オクタセン−1などが挙げられ、中でもプ
ロピレンおよびブテン−1が好ましく用いられる。ま
た、非共役ジエンとしては5−メチリデン−2−ノルボ
ーネン、5−エチリデン−2−ノルボーネン、5−ビニ
ル−2−ノルボーネン、5−プロペニル−2−ノルボー
ネン、5−イソプロペニル−2−ノルボーネン、5−ク
ロチル−2−ノルボーネン、5−(2−メチル−2−ブ
テニル)−2−ノルボーネン、5−(2−エチル−2−
ブテニル)−2−ノルボーネン、5−メタクリルノルボ
ーネン、5−メチル−5−ビニルノルボーネンなどのノ
ルボーネン化合物、ジクロルペンタジエン、メチルテト
ラヒドロインデン、4,7,8,9−テトラヒドロイン
デン、1,5−シクロオクタジエン、1,4−ヘキサジ
エン、イソプレン、6−メチル−1,5−ヘプタジエ
ン、11−エチル−1,1,1−トリデカジエンなどで
あり、好ましくは5−メチリデン−2−ノルボーネン、
5−エチリデン−2−ノルボーネン、ジクロルペンタジ
エン、1,4−ヘキサジエンなどが使用できる。 【0028】エチレンと炭素数3以上のα−オレフィン
からなる未変性エチレン系共重合体の共重合比は40/
60〜99/1(モル比)の範囲が好ましく、特に70
/30〜95/5(モル比)が好ましい。 【0029】エチレン、炭素数3以上のα−オレフィン
および非共役ジエンからなる未変性エチレン系共重合体
における炭素数3以上のα−オレフィンの共重合量は5
〜80モル%が好ましく、特に、20〜60モル%が好
ましく、非共役ジエンの共重合量は0.1〜20モル%
が好ましく、特に0.5〜10モル%が好ましく用いら
れる。 【0030】未変性エチレン系共重合体の具体例として
はエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−
1共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジ
エン共重合体、エチレン/プロピレン/5−エチリデン
−2−ノルボーネン共重合体などが好ましく挙げられ、
中でも非共役ジエンを含有しないエチレン/プロピレン
共重合体およびエチレン/ブテン−1共重合体が耐熱性
がよく、より好ましく使用できる。 【0031】上記未変性エチレン系共重合体にグラフト
反応させて変性エチレン系共重合体を得る不飽和カルボ
ン酸としては、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、
エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸などであ
る。またそれらの誘導体としては、アルキルエステル、
グリシジルエステル、酸無水物またはイミド等が挙げら
れ、これらの中で、グリシジルエステル、酸無水物、イ
ミドが好ましい。 【0032】不飽和カルボン酸またはその誘導体の好ま
しい具体例としては、マレイン酸、フマル酸、アクリル
酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸
グリシジル、イタコン酸グリシジルエステル、シトラコ
ン酸ジグリシジルエステル、ブテンジカルボン酸ジグリ
シジルエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無
水シトラコン酸、マレイン酸イミド、イタコン酸イミ
ド、シトラコン酸イミドなどであり、特に、メタクリル
酸グリシジル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレ
イン酸イミドが好ましく使用できる。これらの不飽和エ
ポキシ単量体は2種以上を併用してもよい。 【0033】不飽和カルボン酸またはその誘導体のグラ
フト反応量は機械物性、とりわけ面衝撃性の改良効果の
点から0.01重量%以上、芳香族ポリエステルの耐熱
性の点から10重量%以下の範囲が好ましく、特に0.
05〜5重量%であることが好ましい。 【0034】なお、ここでいうグラフト反応とは、不飽
和カルボン酸またはその誘導体が未変性エチレン系共重
合体と化学的に結合することを意味する。 【0035】変性エチレン系共重合体は未変性エチレン
系共重合体に不飽和カルボン酸またはその誘導体および
未変性エチレン系共重合体に対して0.001〜0.1
重量%の有機酸化物を加え、150〜300℃で溶融混
練することによって、製造することができる。溶融混合
する場合の装置としては、スクリュー押出機、バンバリ
ーミキサー等を用いることができる。 【0036】このグラフト反応に好ましく使用できる有
機過酸化物は具体的には、tert−ブチルクミルパーオキ
サイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパ
ーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−
ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,
5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、α,
α´−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ジイソプロピル
ベンゼンなどである。 【0037】なお、異方性溶融相を形成する芳香族ポリ
エステルに対して、上記のオレフィン系重合体を2種以
上併用してもさしつかえない。 【0038】上記オレフィン系重合体の配合量は芳香族
ポリエステル100重量部に対して0.1〜60重量
部、特に0.5〜20重量部が好ましい。0.1重量部
未満では機械物性、とりわけ面衝撃性の改良効果が小さ
く、60重量部より多い場合は高弾性率、すぐれた成形
流動性、耐熱性など、異方性溶融相を形成する芳香族ポ
リエステルの長所が損なわれるためいずれの場合も好ま
しくない。 【0039】またさらに、上記芳香族ポリエステルに対
し、本発明の目的を損なわない範囲でさらにガラス繊
維、炭素繊維、アスベスト等の強化剤、充填剤、核剤、
顔料、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤およ
び難燃剤などの添加剤や外の熱可塑性樹脂を添加して、
所望の特性を付与することができる。 【0040】本発明の組成物の製造方法は特に限定され
るものではないが、芳香族ポリエステル、オレフィン系
重合体および必要に応じ、他の添加剤を押出機を用いて
溶融混練する方法が好ましい。 【0041】本発明により、得られた芳香族ポリエステ
ルは射出成形、押出成形などの方法により、容易に成形
することが可能であり、得られた成形品はすぐれた性能
を発揮する。 【0042】 【実施例】以下に実施例により本発明をさらに詳述す
る。 【0043】参考例1 p−アセトキシ安息香酸608重量部、4,4´−ジア
セトキシビフェニル122重量部、テレフタル酸75重
量部および固有粘度約0.6のポリエチレンテレフタレ
ート130重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に
仕込み、脱酢酸重合を行なった。 【0044】まず、窒素ガス雰囲気下に250〜300
℃で2.5時間反応させた後、300℃で0.2mmHgに
減圧し、さらに3.25時間反応させ、重縮合を完結さ
せたところ、ほぼ理論量の酢酸が留出し、下記の理論構
造式を有する樹脂Aを得た。 【化5】 l/m/n/o=75/10/15/25 また、このポリエステルを偏光顕微鏡の試料台にのせ、
昇温して光学異方性の確認を行なった結果、液晶開始温
度は264℃であり、良好な光学異方性を示した。 【0045】このポリエステルの対数粘度(0.1重量
%の温度でペンタフルオロフェノール中、60℃で測
定)は1.25であり、304℃、ずり速度1,000
(1/秒)での溶融粘度は300ポイズであった。 【0046】参考例2(変性エチレン系重合体の製造) エチレン/ブテン−1共重合体(ブテン−1の共重合量
10モル%)100重量部に対してメタクリル酸グリシ
ジル4重量部および2,5−ジメチル−2,5−(tert
−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3 0.015重量部
とを窒素を流通したヘンシェルミキサーに仕込み、6分
間撹拌して均一な混合物を作った。 【0047】この混合物をL/D28で先端ダルメージ
タイプのスクリューを装備した40mmφ押出機を使用し
て、スクリュー回転数80rpm、シリンダー温度20
0℃の条件で押出し、変性エチレン系共重合体のペレッ
ト(a)を得た。 【0048】このペレットを粉砕後、アセトンを添加
し、未反応のメタクリル酸グリシジルをソックスレー抽
出機にて20時間抽出処理した。さらにペレットを乾燥
後、p−キシレンに溶解し、紫外吸収スペクトルを測定
し、メタクリル酸グリシジルのグラフト反応量の定量を
行なった。その結果、メタクリル酸グリシジルが1.1
重量%グラフト反応していることがわかった。 【0049】参考例3〜5 参考例2と同様にして表1に示した各種の未変性エチレ
ン系共重合体に対してメタクリル酸グリシジルまたは無
水マレイン酸のグラフト反応を行ない、変性エチレン系
共重合体(b〜d)を得た。 【0050】結果を表1に示す。 【0051】 【表1】 実施例1 参考例1で得た樹脂A100重量部に対して、エチレン
−メタクリル酸グリシジル(90/10モル)共重合体
10重量部をドライブレンドし、300℃に設定した単
軸スクリュー押出機により溶融混合後、ペレタイズし
た。このようにして得られた芳香族ポリエステル組成物
ペレットを住友ネスタール射出成形機・プロマット40
/25(住友重機械工業(株)製)に供し、シリンダー
温度300℃、金型温度90℃の条件で2mm厚の円板お
よび3mm厚の角板を成形した。 【0052】得られた2mm厚の円板を用いてデュポン式
落球衝撃試験(球半径6mm、荷重250g)を行ない、
3mm厚の角板を用いて成形収縮率を測定した。結果を表
2に示す。 【0053】実施例2〜5 参考例1で得た樹脂A100重量部に対して、オレフィ
ン系重合体として参考例2〜5で得た変性エチレン系共
重合体a〜d10重量部をドライブレンドし、300℃
に設定した単軸スクリュー押出機により溶融混合後、ペ
レタイズした。得られたペレットを実施例1と同様の落
球衝撃試験および成形収縮率の測定を行なった。結果を
表2に示す。 【0054】比較例1 オレフィン系重合体を用いなかったこと以外は実施例1
と同様に成形し、評価した。結果を表2に示す。 【0055】 【表2】 実施例6 参考例1で得た樹脂A70重量部に対し、ガラス繊維
(3mm長、径10μ、チョップドストランド)30重量
部およびエチレン−メタクリル酸グリシジル(90/1
0モル比)共重合体10重量部をドライブレンドし、3
00℃に設定した単軸押出機で溶融混合後、ペレタイズ
した。得られたペレットを実施例1と同様に成形し、得
られた円板の落球試験を行なった。結果を表3に示す。 【0056】比較例2 オレフィン系重合体を用いなかったこと以外は実施例6
と同様に成形し、評価した。結果を表3に示す。 【0057】 【表3】 【0058】 【発明の効果】本発明の芳香族ポリエステル組成物は、
すぐれた流動性、耐熱性、衝撃強度と異方性の減少した
特性を有しているため自動車外板用途などの各種の分野
に用いることができる。
が可能で、優れた流動性と耐熱性および機械的特性を有
する成形品を提供しうる芳香族ポリエステル組成物に関
するものである。 【0002】 【従来の技術】近年プラスチックの高性能化に対する要
求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマが
数多く開発され、市場に供されているが、中でも特に分
子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶ポリマ
が優れた機械的性質を有する点で注目されている。 【0003】異方性溶融相を形成するポリマとしては例
えばp−ヒドロキシ安息香酸にポリエチレンテレフタレ
ートを共重合した液晶ポリマ(特開昭49−72393
号公報)、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−
2−ナフトエ酸を共重合した液晶ポリマ(特開昭54−
77691号公報)、またp−ヒドロキシ安息香酸に
4,4´−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸、イ
ソフタル酸を共重合した液晶ポリマ(特公昭57−24
407号公報)などが知られている。 【0004】また、非晶性の芳香族ポリエステルにオレ
フィン類とグリシジルメタアクリレートおよび/または
グリシジルアクリレートとの共重合体からなる組成物が
特開昭60−25046号公報に開示されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】前記液晶ポリマは液晶
性を示さない結晶性ポリマ、例えばポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレートなどに比してそ
の成形時の配向により、優れたアイゾット衝撃強度を示
すが、落球、落錘衝撃等の面衝撃は逆に劣っていること
が判った。また成形品の異方性の大きいことも知られて
いる。 【0006】前記非晶性の芳香族ポリエステルとオレフ
ィン系共重合体を配合した組成物において、このオレフ
ィン系共重合体は非晶性の芳香族ポリエステルの落球、
落錘衝撃などの面衝撃強度をほとんど向上せず、異方性
の減少効果も見出されない。よって、本発明は、異方性
溶融相を形成する芳香族ポリエステルが有するすぐれた
流動性、耐熱性を損なうことなく機械物性、とりわけ面
衝撃性および異方性を改良することを課題とするもので
ある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。す
なわち、本発明は下記構造単位[(I)+(II)+(II
I)+(IV)]または[(I)+(II)+(III)+(IV)
+(V)]からなる異方性溶融相を形成する芳香族ポリ
エステル100重量部に対してオレフィン系重合体0.
1〜60重量部を含有せしめてなる芳香族ポリエステル
組成物である。 【0008】 【化2】 本発明で用いる芳香族ポリエステルは上記構造単位
[(I)+(II)+(III)+(IV)]または[(I)+
(II)+(III)+(IV)+(V)]からなるものであ
り、好ましくは構造単位[(I)+(II)+(III)+
(IV)]からなるものである。 【0009】上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息
香酸または、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から選ば
れた一種以上、好ましくはp−ヒドロキシ安息香酸から
生成した構造単位を示す。 【0010】上記構造単位(II)は4,4´−ジヒドロ
キシビフェニルから生成した単位を示し、構造単位(II
I)はエチレングリコールから生成した構造単位を示す。 【0011】構造単位(IV)は、テレフタル酸および/
またはイソフタル酸から生成した構造単位を示す。 【0012】上記構造単位(V)は1,2−ビス(フェ
ノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、1,2−ビ
ス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカル
ボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および4,4
´−ジカルボキシジフェニルエーテルジカルボン酸から
選ばれた一種以上から生成した構造単位を示す。 【0013】上記構造単位からなる芳香族ポリエステル
は異方性溶融相を形成することが必要であり、350℃
以下の温度で光学異方性を示すことが可能な芳香族ポリ
エステルが好ましい。 【0014】なかでも、得られる成形品の耐熱性と流動
性の点から下記構造単位[(I)´+(II)+(III)+
(IV)]からなる芳香族ポリエステルが好ましく使用で
きる。 【0015】 【化3】 (ただし(IV)中のジカルボン酸成分中のカルボニル基
は互いにメタおよび/またはパラの関係にある。また構
造単位[(II)+(III)]と(IV)は実質的に等モルで
ある。) 上記本発明において好ましく使用できる芳香族ポリエス
テルにおいて、上記構造単位(I)´はp−ヒドロキシ
安息香酸から生成した構造単位を示す。 【0016】共重合量については特に制限はないが、流
動性の点から構造単位(I)´が[(I)´+(II)+
(III)]の40〜90モル%、構造単位[(II)+(II
I)]が[(I)´+(II)+(III)]の60〜10モル
%であることが好ましい。構造単位(II)/(III)のモ
ル比は1/9〜9/1であることが好ましく、流動性の
点から7.5/2.5〜9.5/0.5の範囲が好まし
い。 【0017】また、上記構造単位(IV)中のジカルボン
酸成分はテレフタル酸および/またはイソフタル酸であ
るが、テレフタル酸/イソフタル酸のモル比は10/0
〜6.5/3.5が好ましい。 【0018】さらに、上記(I)´、(II)、(III)、
(IV)を構成する成分以外に、1,2−ビス(フェノキ
シ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、1,2−ビス
(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボ
ン酸を共重合したものも好ましく使用できる。 【0019】また、前記構造単位(I)〜(V)から選
ばれる構造単位の各成分以外に4,4´−ジフェニルジ
カルボン酸、3,4´−ジフェニルジカルボン酸、2,
2´−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(クロル
フェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸などの芳
香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂
環式ジカルボン酸、ハイドロキノン、t−ブチルハイド
ロキノン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒド
ロキシナフタレン、クロルハイドロキノン、メチルハイ
ドロキノン、フェニルハイドロキノン、レゾルシン等の
芳香族ジヒドロキシ化合物、m−ヒドロキシ安息香酸な
どの芳香族ヒドロキシカルボン酸、p−アミノフェノー
ル、p−アミノ安息香酸およびβ−ヒドロキシエトキシ
安息香酸などを本発明の目的を損なわない程度の割合の
範囲でさらに共重合せしめることができる。 【0020】上記芳香族ポリエステルは従来のポリエス
テルの重縮合法に準じて製造でき、特に、制限はない
が、代表的な例としては例えば次の(1)〜(2)法が
挙げられる。 【0021】(1) エチレングリコールとテレフタル
酸などの芳香族ジカルボン酸とからのポリエステルの存
在下でp−アセトキシ安息香酸のアシル化物、4,4´
−ジアセトキシビフェニル等の芳香族ヒドロキシ化合物
のアシル化物とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸
から脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。 【0022】(2) エチレングリコールとテレフタル
酸などの芳香族ジカルボン酸とからのポリエステルの存
在下でp−ヒドロキシ安息香酸、4,4´−ジヒドロキ
シビフェニルなどの芳香族ジヒドロキシ化合物とテレフ
タル酸などの芳香族ジカルボン酸および無水酢酸とから
脱酢酸重縮合反応によって製造する方法。 【0023】重縮合反応に使用する触媒としては酢酸第
1錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、三酸化アンチ
モン、マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムお
よびリン酸三ナトリウムなどの金属化合物が代表的であ
り、とりわけ脱フェノール重縮合の際に有効である。 【0024】また、本発明に好ましく使用できる芳香族
ポリエステルは異方性溶融相を形成するが、異方性を示
し始める温度(液晶開始温度)より40℃高い温度で剪
断速度1,000(1/秒)の条件下で測定した溶融粘
度が10〜15,000ポイズのものが好ましく使用で
きる。 【0025】また、本発明において用いるオレフィン系
重合体としてはα−オレフィン類とα,β−不飽和酸の
グリシジルエステルとからなる共重合体、α−オレフィ
ン類、あるいは、エチレンと炭素数3以上のα−オレフ
ィン、または、エチレン、炭素数3以上のα−オレフィ
ンおよび非共役ジエンからなる重合体およびそれらに対
し、不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフトして
得た変性エチレン系重合体などが好ましく用いられる。 【0026】α−オレフィン類としては炭素数2〜4の
ものが好ましく、具体的にはエチレン、プロピレン、ブ
テン−1などが挙げられ、なかでもエチレンが好ましく
使用できる。また、α,β−不飽和酸のグリシジルエス
テルとは、一般式 【化4】 (式中、Rは水素原子または低級アルキル基である。)
で示される化合物であり、具体的にはアクリル酸グリシ
ジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジ
ルなどであり、中でもメタクリル酸グリシジルが好まし
く用いられる。α,β−不飽和酸のグリシジルエステル
の共重合量は1〜50モル%の範囲が適当である。さら
に、40モル%以下であれば上記の共重合体と共重合可
能である不飽和モノマすなわちビニルエーテル類、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、
メチル、エチル、プロピル等のアクリル酸およびメタク
リル酸のエステル類、アクリロニトリル、スチレン等を
共重合せしめてもよい。 【0027】炭素数3以上のα−オレフィンとしては、
プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチルペ
ンテン−1、オクタセン−1などが挙げられ、中でもプ
ロピレンおよびブテン−1が好ましく用いられる。ま
た、非共役ジエンとしては5−メチリデン−2−ノルボ
ーネン、5−エチリデン−2−ノルボーネン、5−ビニ
ル−2−ノルボーネン、5−プロペニル−2−ノルボー
ネン、5−イソプロペニル−2−ノルボーネン、5−ク
ロチル−2−ノルボーネン、5−(2−メチル−2−ブ
テニル)−2−ノルボーネン、5−(2−エチル−2−
ブテニル)−2−ノルボーネン、5−メタクリルノルボ
ーネン、5−メチル−5−ビニルノルボーネンなどのノ
ルボーネン化合物、ジクロルペンタジエン、メチルテト
ラヒドロインデン、4,7,8,9−テトラヒドロイン
デン、1,5−シクロオクタジエン、1,4−ヘキサジ
エン、イソプレン、6−メチル−1,5−ヘプタジエ
ン、11−エチル−1,1,1−トリデカジエンなどで
あり、好ましくは5−メチリデン−2−ノルボーネン、
5−エチリデン−2−ノルボーネン、ジクロルペンタジ
エン、1,4−ヘキサジエンなどが使用できる。 【0028】エチレンと炭素数3以上のα−オレフィン
からなる未変性エチレン系共重合体の共重合比は40/
60〜99/1(モル比)の範囲が好ましく、特に70
/30〜95/5(モル比)が好ましい。 【0029】エチレン、炭素数3以上のα−オレフィン
および非共役ジエンからなる未変性エチレン系共重合体
における炭素数3以上のα−オレフィンの共重合量は5
〜80モル%が好ましく、特に、20〜60モル%が好
ましく、非共役ジエンの共重合量は0.1〜20モル%
が好ましく、特に0.5〜10モル%が好ましく用いら
れる。 【0030】未変性エチレン系共重合体の具体例として
はエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−
1共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジ
エン共重合体、エチレン/プロピレン/5−エチリデン
−2−ノルボーネン共重合体などが好ましく挙げられ、
中でも非共役ジエンを含有しないエチレン/プロピレン
共重合体およびエチレン/ブテン−1共重合体が耐熱性
がよく、より好ましく使用できる。 【0031】上記未変性エチレン系共重合体にグラフト
反応させて変性エチレン系共重合体を得る不飽和カルボ
ン酸としては、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、
エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸などであ
る。またそれらの誘導体としては、アルキルエステル、
グリシジルエステル、酸無水物またはイミド等が挙げら
れ、これらの中で、グリシジルエステル、酸無水物、イ
ミドが好ましい。 【0032】不飽和カルボン酸またはその誘導体の好ま
しい具体例としては、マレイン酸、フマル酸、アクリル
酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸
グリシジル、イタコン酸グリシジルエステル、シトラコ
ン酸ジグリシジルエステル、ブテンジカルボン酸ジグリ
シジルエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無
水シトラコン酸、マレイン酸イミド、イタコン酸イミ
ド、シトラコン酸イミドなどであり、特に、メタクリル
酸グリシジル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレ
イン酸イミドが好ましく使用できる。これらの不飽和エ
ポキシ単量体は2種以上を併用してもよい。 【0033】不飽和カルボン酸またはその誘導体のグラ
フト反応量は機械物性、とりわけ面衝撃性の改良効果の
点から0.01重量%以上、芳香族ポリエステルの耐熱
性の点から10重量%以下の範囲が好ましく、特に0.
05〜5重量%であることが好ましい。 【0034】なお、ここでいうグラフト反応とは、不飽
和カルボン酸またはその誘導体が未変性エチレン系共重
合体と化学的に結合することを意味する。 【0035】変性エチレン系共重合体は未変性エチレン
系共重合体に不飽和カルボン酸またはその誘導体および
未変性エチレン系共重合体に対して0.001〜0.1
重量%の有機酸化物を加え、150〜300℃で溶融混
練することによって、製造することができる。溶融混合
する場合の装置としては、スクリュー押出機、バンバリ
ーミキサー等を用いることができる。 【0036】このグラフト反応に好ましく使用できる有
機過酸化物は具体的には、tert−ブチルクミルパーオキ
サイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジクミルパ
ーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−
ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,
5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、α,
α´−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ジイソプロピル
ベンゼンなどである。 【0037】なお、異方性溶融相を形成する芳香族ポリ
エステルに対して、上記のオレフィン系重合体を2種以
上併用してもさしつかえない。 【0038】上記オレフィン系重合体の配合量は芳香族
ポリエステル100重量部に対して0.1〜60重量
部、特に0.5〜20重量部が好ましい。0.1重量部
未満では機械物性、とりわけ面衝撃性の改良効果が小さ
く、60重量部より多い場合は高弾性率、すぐれた成形
流動性、耐熱性など、異方性溶融相を形成する芳香族ポ
リエステルの長所が損なわれるためいずれの場合も好ま
しくない。 【0039】またさらに、上記芳香族ポリエステルに対
し、本発明の目的を損なわない範囲でさらにガラス繊
維、炭素繊維、アスベスト等の強化剤、充填剤、核剤、
顔料、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤およ
び難燃剤などの添加剤や外の熱可塑性樹脂を添加して、
所望の特性を付与することができる。 【0040】本発明の組成物の製造方法は特に限定され
るものではないが、芳香族ポリエステル、オレフィン系
重合体および必要に応じ、他の添加剤を押出機を用いて
溶融混練する方法が好ましい。 【0041】本発明により、得られた芳香族ポリエステ
ルは射出成形、押出成形などの方法により、容易に成形
することが可能であり、得られた成形品はすぐれた性能
を発揮する。 【0042】 【実施例】以下に実施例により本発明をさらに詳述す
る。 【0043】参考例1 p−アセトキシ安息香酸608重量部、4,4´−ジア
セトキシビフェニル122重量部、テレフタル酸75重
量部および固有粘度約0.6のポリエチレンテレフタレ
ート130重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に
仕込み、脱酢酸重合を行なった。 【0044】まず、窒素ガス雰囲気下に250〜300
℃で2.5時間反応させた後、300℃で0.2mmHgに
減圧し、さらに3.25時間反応させ、重縮合を完結さ
せたところ、ほぼ理論量の酢酸が留出し、下記の理論構
造式を有する樹脂Aを得た。 【化5】 l/m/n/o=75/10/15/25 また、このポリエステルを偏光顕微鏡の試料台にのせ、
昇温して光学異方性の確認を行なった結果、液晶開始温
度は264℃であり、良好な光学異方性を示した。 【0045】このポリエステルの対数粘度(0.1重量
%の温度でペンタフルオロフェノール中、60℃で測
定)は1.25であり、304℃、ずり速度1,000
(1/秒)での溶融粘度は300ポイズであった。 【0046】参考例2(変性エチレン系重合体の製造) エチレン/ブテン−1共重合体(ブテン−1の共重合量
10モル%)100重量部に対してメタクリル酸グリシ
ジル4重量部および2,5−ジメチル−2,5−(tert
−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3 0.015重量部
とを窒素を流通したヘンシェルミキサーに仕込み、6分
間撹拌して均一な混合物を作った。 【0047】この混合物をL/D28で先端ダルメージ
タイプのスクリューを装備した40mmφ押出機を使用し
て、スクリュー回転数80rpm、シリンダー温度20
0℃の条件で押出し、変性エチレン系共重合体のペレッ
ト(a)を得た。 【0048】このペレットを粉砕後、アセトンを添加
し、未反応のメタクリル酸グリシジルをソックスレー抽
出機にて20時間抽出処理した。さらにペレットを乾燥
後、p−キシレンに溶解し、紫外吸収スペクトルを測定
し、メタクリル酸グリシジルのグラフト反応量の定量を
行なった。その結果、メタクリル酸グリシジルが1.1
重量%グラフト反応していることがわかった。 【0049】参考例3〜5 参考例2と同様にして表1に示した各種の未変性エチレ
ン系共重合体に対してメタクリル酸グリシジルまたは無
水マレイン酸のグラフト反応を行ない、変性エチレン系
共重合体(b〜d)を得た。 【0050】結果を表1に示す。 【0051】 【表1】 実施例1 参考例1で得た樹脂A100重量部に対して、エチレン
−メタクリル酸グリシジル(90/10モル)共重合体
10重量部をドライブレンドし、300℃に設定した単
軸スクリュー押出機により溶融混合後、ペレタイズし
た。このようにして得られた芳香族ポリエステル組成物
ペレットを住友ネスタール射出成形機・プロマット40
/25(住友重機械工業(株)製)に供し、シリンダー
温度300℃、金型温度90℃の条件で2mm厚の円板お
よび3mm厚の角板を成形した。 【0052】得られた2mm厚の円板を用いてデュポン式
落球衝撃試験(球半径6mm、荷重250g)を行ない、
3mm厚の角板を用いて成形収縮率を測定した。結果を表
2に示す。 【0053】実施例2〜5 参考例1で得た樹脂A100重量部に対して、オレフィ
ン系重合体として参考例2〜5で得た変性エチレン系共
重合体a〜d10重量部をドライブレンドし、300℃
に設定した単軸スクリュー押出機により溶融混合後、ペ
レタイズした。得られたペレットを実施例1と同様の落
球衝撃試験および成形収縮率の測定を行なった。結果を
表2に示す。 【0054】比較例1 オレフィン系重合体を用いなかったこと以外は実施例1
と同様に成形し、評価した。結果を表2に示す。 【0055】 【表2】 実施例6 参考例1で得た樹脂A70重量部に対し、ガラス繊維
(3mm長、径10μ、チョップドストランド)30重量
部およびエチレン−メタクリル酸グリシジル(90/1
0モル比)共重合体10重量部をドライブレンドし、3
00℃に設定した単軸押出機で溶融混合後、ペレタイズ
した。得られたペレットを実施例1と同様に成形し、得
られた円板の落球試験を行なった。結果を表3に示す。 【0056】比較例2 オレフィン系重合体を用いなかったこと以外は実施例6
と同様に成形し、評価した。結果を表3に示す。 【0057】 【表3】 【0058】 【発明の効果】本発明の芳香族ポリエステル組成物は、
すぐれた流動性、耐熱性、衝撃強度と異方性の減少した
特性を有しているため自動車外板用途などの各種の分野
に用いることができる。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.下記構造単位[(I)+(II)+(III)+(IV)]
または[(I)+(II)+(III)+(IV)+(V)]か
らなる異方性溶融相を形成する芳香族ポリエステル10
0重量部に対してオレフィン系重合体0.1〜60重量
部を含有せしめてなる芳香族ポリエステル組成物。 【化1】2.オレフィン系重合体がα−オレフィン類とα,β−
不飽和酸のグリシジルエステルとからなる共重合体であ
る請求項1記載の芳香族ポリエステル組成物。 3.オレフィン系重合体がエチレンと炭素数3以上のα
−オレフィンからなる共重合体に対し、0.01〜10
重量%の不飽和カルボン酸またはその誘導体をグラフト
して得た変性エチレン系重合体またはエチレン、炭素数
3以上のα−オレフィンおよび非共役ジエンからなる共
重合体に対し、0.01〜10重量%の不飽和カルボン
酸またはその誘導体をグラフトして得た変性エチレン系
重合体である請求項1記載の芳香族ポリエステル組成
物。
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---|---|---|---|
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- 1995-01-17 JP JP479295A patent/JP2723064B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|---|---|
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