JP2712338B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2712338B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、粒状三方晶系セレン含有感光層を有する電
子写真感光体に関する。
従来の技術 電子写真複写機は、年々高速化し、多様な紙サイズを
複写できるものが開示されている。これに伴い、感光体
もそれに対応できるような高性能のものが要求されてい
る。
また、近年、感光体機能を複数の部材に分担させる機
能分離型電子写真感光体が、電荷保持特性、繰り返し安
定性、光応答性、分光特性、機械的強度などの電子写真
特性の改善のために、数多く提案されている。
従来、電子写真感光体の感光層における電荷発生剤と
しては、種々のものが使用されており、その一つは、セ
レン、酸化亜鉛、硫化カドミウムなどの無機光導電物質
であり、他の一つは、有機顔料などの有機光導電物資で
ある。特に、後者は、生産性、低コスト、安全性等の点
から広く使用されているが、有機顔料を用いた有機電子
写真感光体は、その感度、分光特性及び繰り返し安定性
に関して必ずしも満足し得るものではない。この点、セ
レンは感度の点で特に優れている。
セレンを電荷発生剤として使用する場合、特に三方晶
系セレンが、電荷発生剤の機能として要求される諸特性
に優れている。すなわち、広範囲の光波長域において、
光の吸収が大きく、高効率でキャリアを生成すること、
化学的安定性に優れ、熱や光などにより劣化しにくいこ
と等をあげることができる。
この様な三方晶系セレンを用い、バインダーとして、
従来、例えばポリ−N−ビニルカルバゾールを用いたも
のをあげることができる。(特開昭52-120834、同52-12
0835、同54-54038号公報) ところで、感光層を浸漬塗布法によってドラム上に形
成する場合には、良好な電気特性を得るだけでなく、更
に次のような特性が要求される。
(1)浸漬塗布液の経時安定性を向上させるため、成分
が凝集しないようにするための分散性、 (2)画質の荒れを防ぐための浸漬塗布した塗布面の均
一性、 (3)電荷発生層上に電荷輸送層を塗布する際に、電荷
発生層が溶け出さないようにするための、ある程度の耐
有機溶剤性、 (4)感光体としての機械的耐久性を付与するための密
着性。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、三方晶系セレンを電荷発生剤として用
いて形成された感光層を有する上記従来の電子写真感光
体は、それを浸漬塗布法によって製造する場合、上記
(1)〜(4)のような特性を全て満足するものではな
く、したがって、電子写真特性の点でも十分なものとは
ならなかった。
本発明は、上記浸漬塗布技術において要求される特性
を満足するような材料を用いて電子写真感光体を作成す
ることを目的としてなされたものであって、本発明は、
分散性及び分散安定性の改善された粒状三方晶系セレン
の分散液を用いて優れた電子写真特性を有する電子写真
感光体を製造することを目的とする。
すなわち、本発明の目的は、三方晶系セレンが本来的
に持つ優れた特性を引き出して、高感度、かつ繰り返し
安定性の高い電子写真感光体を提供することにある。
本発明の他の目的は、粒状三方晶系セレンの分散性が
改善され、良好な塗布面を有し、画質荒れを生じない電
子写真感光体を提供することにある。
課題を解決するための手段 本発明者等は、粒状三方晶系セレンのバインダーとし
て用いる結着樹脂について検討した結果、特性の樹脂を
用いると、上記目的が達成されることを見出だし、本発
明を完成するに至った。
本発明は、導電性支持体上に、粒状三方晶系セレンを
結着樹脂中に分散してなる感光層を有する電子写真感光
体において、該感光層が、結着樹脂として、塩化ビニル
を多量単量体成分とし、塩化ビニリデン、アクリル酸ま
たはメタクリル酸を共重合比3〜35%の少量単量体成分
とする塩化ビニル共重合体を含有することを特徴とす
る。
本発明において、塩化ビニル共重合体は、少量単量体
成分として更にマレイン酸を5重量%以下含有していて
もよい。
本発明における感光層は、単層構造でもよいが、電荷
発生層と電荷輸送層とに機能分離された積層構造を有す
るのが好ましい。第1図ないし第4図は、その場合の模
式的断面図である。
第1図において、導電性支持体1は、電荷発生層2及
び電荷輸送層3が順次積層されている。第2図において
は、第1図における導電性支持体1と電荷発生層2との
間に、下引き層4が設けられている。第3図において
は、導電性支持体1上に、電荷輸送層3及び電荷発生層
2が順次積層されている。第4図においては、第3図の
導電性支持体1と電荷輸送層3との間に、下引き層4が
設けられている。次に、本発明の電子写真感光体を構成
する各層について説明する。
本発明の電子写真感光体において、導電性支持体とし
ては、電子写真感光体用のとして周知のものならば、ど
の様なものでも使用することができ、また、その形状
は、例えばプレート状、パイプ状、可撓性のあるシート
状フィルムなど、種々のものが使用できる。
電荷発生層は、30〜80容量%の量の粒状三方晶系セレ
ンと、結着樹脂とを主成分としてなる。
三方晶系セレンは電荷発生剤として、ガラス質セレン
に比して感度及び分光特性に優れていることが知られて
おり、また三方晶系セレンにナトリウムなどをドープさ
せることも知られているが(特開昭54-54038号方法)、
本発明では、電荷発生剤としてドープされていない三方
晶系セレン単体を用いるのが好ましい。
一方、結着樹脂としては、塩化ビニルを多量単量体成
分とし、塩化ビニリデン、アクリル酸またはメタクリル
酸を少量単量体成分とする塩化ビニル共重合体が使用さ
れる。本発明において、塩化ビニル共重合体における少
量単量体成分の共重合体は3〜35%の範囲にある。少量
単量体成分の共重合比が35%よりも多くなると耐有機溶
剤性に乏しくなり、3%よりも少なくなると、浸漬塗布
液としての経時安定性が悪くなる。
また、少量単量体成分として、塩化ビニリデン、アク
リル酸またはメタクリル酸の外に、マレイン酸が含まれ
ると、電子写真特性がさらに改善されるので好ましい。
マレイン酸の共重合比は5%までの範囲で使用される。
5%よりも多くなると、暗減衰が大きくなり、環境変動
が大きくなる。
また、塩化ビニル共重合体は、数平均分子量4,000〜4
0,000を有することが必要である。数平均分子量4,000よ
り低いと、粘度が低くなり、顔料の沈降が起り易くな
る。40,000より高くなると、粘度が高くなり、塗布をす
ることが困難になる。
電荷発生層において、三方晶系セレンの含有量が、30
〜80容量%であり、特に40〜70容量%が好ましい。含有
量が30容量%より少なくないと、繰り返し安定性の効果
が少なく、逆に80容量%よりも多いと、電荷的特性、特
に帯電性が低下し、かつ電荷発生層の膜としての密着付
着力が著しく劣ることになる。
本発明のように、多量の光導電性物質を含ませた電荷
発生層を形成する場合には、最終的に得られるドラム或
いはベルト状電子写真感光体の電気特性、柔軟性や支持
基材への密着強度などの機械的特性等の特性が、その膜
厚によって大きく影響されるので、電荷発生層の膜厚は
薄いほうが望ましい。したがって、本発明においては、
電荷発生層の膜厚は、1μm以下が望ましく、より好ま
しくは0.05〜0.5μmである。
電荷発生層は、上記の材料を適当な溶媒に分散、溶解
させ、浸漬塗布法によって塗布することにより形成され
る。
粒状三方晶系セレンは、無機材料であるので、比重が
4.81もあり、有機溶剤に比べて相当に高く、分散しにく
い材料である。このため、使用する溶剤としては、粘度
の高いものを用いることが好ましい。また、溶剤自身の
粘度が高くなくても、結着樹脂を溶解したときの粘度が
高くなればよい。その様な溶剤としては、例えば、シク
ロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン類、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール等
のアルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミ
ド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリ
コールモノブチルエーテル等のエーテル類、クロロホル
ム、塩化メチレン、ジクロルエチレン、四塩化炭素、ト
リクロルエチレン等のハロゲン化炭化水素類、及びベン
ゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジク
ロルベンゼン等の芳香族炭化水素類等の溶媒をあげるこ
とができる。
これらの溶媒を用いて形成された塗布液の塗布は、浸
漬塗布法によって行われる。乾燥は、室温における指触
乾燥後、加熱乾燥する方法が好ましい。加熱乾燥は、30
〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲の時間で静止また
は送風下で行うことができる。
本発明の電子写真感光体における電荷輸送層は、例え
ば、下記一般式(I)で示される化合物、 ヒドラゾン系化合物、ピラゾリン系化合物等を電荷輸送
剤として用いて構成される。電荷輸送剤が電荷輸送層中
に占める割合は10〜75重量%、好ましくは35〜60重量%
である、電荷輸送剤が上記範囲より多く含有する場合に
は、電荷輸送層の機械的強度が低下し、また、逆に少な
く含有する場合には、感度が低下する。
本発明において、電荷輸送剤としては、前記一般式
(I)で示される化合物、特にN,N′−ジフェニル−N,
N′−ビス(30メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニ
ル]−4,4′−ジアミンが感度の点で優れているので好
ましい。
電荷輸送剤は、それ自体では成膜性がないため、成膜
性が良好な樹脂と組み合わせて使用し、電荷輸送層を形
成される必要があるが、本発明においては、その様な樹
脂として、機械的な強度の点から特にポリカーボネート
が好適に用いられる。
ポリカーボネートについては「プラスチック材料講座
5ポリカーボネート樹脂」(日刊工業新聞社 昭和44年
発行)に詳しく記載されており、原料モノマーの種類に
よって種々の性質のものがある。例えば、量的に最も多
く製造されているポリ(4,4′−イソプロピリデンジフ
ェニレンカーボネート)であるポリカーボネートA、或
いは下記一般式(II)で示されるのもが、本発明には入
手性やコストの点から有利に用いられる。
本発明の電子写真感光体における電荷輸送層の膜厚
は、2〜100μm、好ましくは10〜40μmである。
電荷輸送層は、前記の化合物と結着樹脂とを適当な溶
媒に溶解させた溶液を、例えば浸漬塗布法によって塗布
し、乾燥させることによって形成するのが好ましい。
また、電荷輸送層を形成させる際に用いる溶媒として
は、多数の有用な有機溶剤が使用できる。
代表的なものとして、例えばベンゼン、トルエン、キ
シレン、メシチレン、クロルベンゼン等の芳香族系炭化
水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メ
チレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂
肪族系炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、
エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状又は直
鎖状エーテル類など、或いはこれらの混合溶剤をあげる
ことができる。
本発明の電子写真感光体においては、導電性支持体
と、感光層との間に、下引き層を設けることが好まし
い。
下引き層の材料を適切に選択することにより、電荷注
入阻止層としての作用、或いは導電性支持体と感光層の
接着性を向上させることができる。下引き層の膜厚は、
0.001〜5μm程度であることが好ましい。これらの層
に用いられる材料は、ポリビニルアセタール、ポリアミ
ド、ポリビニルアルコール、セルロース類、ポリビニル
ピリジン、ポリビニルピロリドン、フェノール樹脂、ポ
リウレタン、カゼイン、ゼラチン等があげられる。
実施例 以下、本発明を実施例にしたがって具体的に説明する
が、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 粒状三方晶系セレン87重量部と、塩化ビニル−塩化ビ
ニリデン共重合体(塩化ビニル:89wt%、塩化ビニリデ
ン:11wt%、平均重合度430、商品名:デンカビニル#10
00W(電気化学工業(株)製))13重量部を、酢酸n−
ブチル200重量部に溶解した溶液とを、アトライターで2
4時間分散させた。次いで、この分散液30重量部に対し
酢酸n−ブチル57重量部を加えて希釈し、浸漬塗布液を
得た。得られた浸漬塗布液について、その分散性、分散
安定性を調べるために、平均粒径及び経時の平均粒径を
調べた。その結果を第1表に示す。
なお、分散粒子の平均粒径は、分散性の目安となり、
分散性が良好なものは、平均粒径が小さくなる。また、
分散性が良好でなく、凝集が生じた場合には、平均粒径
が非常に大きくなる。したがって、平均粒径の経時変化
を測定することにより、浸漬塗布液の分散性の変化を知
ることができる。
後記第1表に示すごとく、上記浸漬塗布液において
は、1日目の平均粒径は0.39μmであり、20日後でも0.
42μmであって、経時安定性は良好であることが分か
る。
電子写真感光体は次のようにして作成した。
アルミニウムパイプ(外径84mm、長さ360mm)を基材
とし、これに下記構造式のポリビニルアセタール樹脂の
5%n−プロピルアルコール/水混合溶液を浸漬塗布法
で塗布し、0.5μmの厚さの下引き層を設けた。
l=30〜36、m=63〜69、n=0.5〜3.0(いずれもモル
%) 次に、上記浸漬塗布液をアルミニウムパイプ上の下引
き層上に塗布した。すなわち、下引き層が形成されたア
ルミニウムパイプを浸漬塗布槽の塗布液に浸漬し、100m
m/分の速度で引上げ、100℃において5分間加熱乾燥
し、厚さ役0.1μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式(I′)で示される電荷輸送剤1重
量部と下記構造式(II′)で示されるポリカーボネート
樹脂1重量部とをモノクロルベンゼン8重量部に溶解し
た溶液を、浸漬塗布液として用意した。
電荷発生層の溶解テストを行うために、この溶液中
に、電荷発生層が形成されたアルミニウムパイプを10分
間浸漬した。取り出して電荷発生層の塗膜の変化を観察
したところ、目視上、変化は認められなかった。
上記の浸漬塗布液中に、電荷発生層が形成されたアル
ミニウムパイプを浸漬し、90mm/分の速度で引上げ、100
℃で1時間加熱乾燥して、厚さ約20μmの電荷輸送層を
形成させ、3層からなる電子写真感光層を有する電子写
真感光体を作成した。
上記と同様な塗布方法で得られたシート状電子写真感
光体を、静電複写紙試験装置SP428(川口電機(株)
製)を用いて、40μAでコロナ放電し、暗所で1秒間保
持した後、照度5ルックスで露光し、電子写真特性を調
べた。すなわち、初期電位:V0、1秒後の保持率:DD、半
減露光量:E 1/2(lux.sec)について測定した。それら
の結果を第1表に示す。この結果から、上記電子写真感
光体は、帯電性及び感度とも良好であることが分かっ
た。
また、この電子写真感光体を複写機(富士ゼロックス
(株)製4700を改良したもの)に装着し、コピー操作を
行ったところ、画像欠陥のない良好な画質の画像が得ら
れた。またこの操作を繰返10,000サイクルに至まで行っ
たところ、感光層は何等劣化しなかった。
実施例2 塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体の代わりに塩化
ビニル−アクリル酸−マレイン酸三元共重合体(塩化ビ
ニル:83wt%、アクリル酸:16wt%、マレイン酸1wt%、
平均重合度380、商品名:エスレックE-C110(積層化学
(株)製))を用いる以外は、実施例1におけると同様
に処理して、電荷発生層形成用塗布液を作成した。実施
例1におけると同様に評価した結果を第1表に示す。
次に、実施例1におけると同様にして電荷輸送層形成
用の浸漬塗布液を作成した。
電荷発生層について溶解テストを行うために、この溶
液中に、電荷発生層が形成されたアルミニウムパイプを
10分間浸漬した。取り出して電荷発生層の塗膜の変化を
観察したところ、目視上、変化は認められなかった。
上記の浸漬塗布液を用い、実施例1におけると同様に
形成された下引き層及び電荷発生層の上に、電荷輸送層
を形成させ、3層からなる電子写真感光層を有する電子
写真感光体を作成した。
得られた電子写真感光体について、実施例1に於ける
と同様にして電子写真特性を調べた。その結果を第1表
に示す。この結果から、上記電子写真感光体は、帯電性
及び感度とも良好である。
また、この電子写真感光体を用いて実施例1における
と同様にコピー操作を行ったところ、画像欠陥のない良
好な画質のコピーが得られた。また、コピー操作を10,0
00サイクル反復したところ、感光層は剥がれず、劣化し
ないことが分かった。
実施例3 塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体の代わりに塩化
ビニル−アクリル酸共重合体(塩化ビニル:85wt%、ア
クリル酸:15wt%、平均重合度400、商品名:デンカラッ
ク(電気化学工業(株)製))を用いる以外は、実施例
1におけると同様に処理して、電荷発生層形成用塗布液
を作成した。実施例1におけると同様に評価した結果を
第1表に示す。第1表に示すように、この分散液は、平
均粒径が小さく、また、経時においても殆ど変化がない
ことが分かった。
次に、実施例1におけると同様にして電荷輸送層形成
用の浸漬塗布液を作成した。
電荷発生層について溶解テストを行うために、この溶
液中に、電荷発生層が形成されたアルミニウムパイプを
10分間浸漬した。取り出して電荷発生層の塗膜の変化を
観察したところ、目視上、変化は認められなかった。
上記の浸漬塗布液を用い、実施例1におけると同様に
形成された下引き層及び電荷発生層の上に、電荷輸送層
を形成させ、3層からなる電子写真感光層を有する電子
写真感光体を作成した。
得られた電子写真感光体について、実施例1に於ける
と同様にして電子写真特性を調べた。その結果を第1表
に示す。この結果から、上記電子写真感光体は、帯電性
及び感度とも良好であり、光感度は実施例2におけるよ
りも更に優れていることが分かった。
また、この電子写真感光体を用いて実施例1における
と同様にコピー操作を行ったところ、画像欠陥のない良
好な画質のコピーが得られた。また、コピー操作を10,0
00サイクル反復したところ、感光層が剥がれず、劣化し
ないことが分かった。
比較例1 塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体の代わりに塩化
ビニルのホモポリマー(EXON 654、ファイヤーストーン
・プラスチック社製)を用いる以外は、実施例1におけ
ると同様に処理して、電荷発生層形成用塗布液を作成し
た。実施例1におけると同様に評価した結果を第1表に
示す。第1表に示すように、この塗布液においては、平
均粒径が実施例1〜3におけるよりも大きく、また、経
時安定性も悪く、凝集が起こることが分かった。
次に、実施例1におけると同様にして電荷輸送層形成
用の浸漬塗布液を作成した。
電荷発生層について溶解テストを行うために、この溶
液中に、電荷発生層が形成されたアルミニウムパイプを
10分間浸漬した。取り出して電荷発生層の塗膜の変化を
観察したところ、目視上、変化は認められなかった。
上記の浸漬塗布液を用い、実施例1におけると同様に
して電荷輸送層を形成させ、3層からなる電子写真感光
層を有する電子写真感光体を作成した。
得られた電子写真感光体について、実施例1に於ける
と同様にして電子写真特性を調べた。その結果を第1表
に示す。
また、この電子写真感光体を用いて実施例1における
と同様にコピー操作を行って画像を評価したところ、得
られたコピー画像には、白点が多発し、また黒筋も多発
した。また、コピー操作を繰り返し行ったところ、100
サイクル前後で、感光層の剥離が発生してくることが分
かった。
比較例2 塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体の代わりに塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体(塩化ビニル:45wt%、酢
酸ビニル:55wt%、平均重合度:約400、商品名:デンカ
ラック#41M(電気化学工業(株)製))を用いる以外
は、実施例1におけると同様に処理して、電荷発生層形
成用塗布液を作成した。実施例1におけると同様に評価
した結果を第1表に示す。第1表に示すように、この塗
布液においては、平均粒径が実施例1〜3におけるより
も大きく、また、経時安定性も悪く、凝集が起こること
が分かった。
次に、実施例1におけると同様にして電荷輸送層形成
用の浸漬塗布液を作成した。
電荷発生層について溶解テストを行うために、この溶
液中に、電荷発生層が形成されたアルミニウムパイプを
10分間浸漬した。取り出して電荷発生層の塗膜の変化を
観察したところ、目視上、変化は認められなかった。
上記の浸漬塗布液を用い、実施例1におけると同様に
して電荷輸送層を形成させ、3層からなる電子写真感光
層を有する電子写真感光体を作成した。
得られた電子写真感光体について、実施例1に於ける
と同様にして電子写真特性を調べた。その結果を第1表
に示す。第1表に示すごとく、この電子写真感光体の光
感度は良好でなかった。
また、この電子写真感光体を用いて実施例1における
と同様にコピー操作を行って画像を評価したところ、得
られたコピー画像には、白点が多発し、また黒筋も多発
した。
発明の効果 本発明の電子写真感光体においては、感光層が粒状三
方晶系セレンを上記した特定の塩化ビニル共重合体中に
分散して構成されているから、その製造に際して、粒状
三方晶系セレンの分散が容易に行われるようになり、ま
た、分散安定性も改善されるため、浸漬塗布操作が容易
に行われるようになる。したがって、形成された感光層
は滑らかな塗布面を有し、白点、黒点、白筋、黒筋等の
画像欠陥を生じない電子写真感光体が得られる。そし
て、この電子写真感光体は、帯電性がよく、高感度であ
り、また、繰り返し安定性も高い。
本発明による電子写真感光体は、電子写真複写機のほ
か、セログラフィー技術を応用した各種のプリンター、
マイクロフィルムリーダー、電子写真製版システム等に
も広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第4図は、それぞれ本発明の電子写真感光
体の構成を示す模式図である。 1……導電性支持体、2……電荷発生層、3……電荷輸
送層、4……下引き層。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性支持体上に、粒状三方晶系セレンを
    結着樹脂中に分散してなる感光層を有する電子写真感光
    体において、該感光層が、結着樹脂として、塩化ビニル
    を多量単量体成分とし、塩化ビニリデン、アクリル酸ま
    たはメタクリル酸を共重合比3〜35%の少量単量体成分
    とする塩化ビニル共重合体を含有することを特徴とする
    電子写真感光体。
  2. 【請求項2】塩化ビニル共重合体が、少量単量体成分と
    して更にマレイン酸を5重量%以下含有することを特徴
    とする請求項1記載の電子写真感光体。
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