JP2706707B2 - 薄膜フレキシブルプリント配線基板 - Google Patents

薄膜フレキシブルプリント配線基板

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JP2706707B2
JP2706707B2 JP63266090A JP26609088A JP2706707B2 JP 2706707 B2 JP2706707 B2 JP 2706707B2 JP 63266090 A JP63266090 A JP 63266090A JP 26609088 A JP26609088 A JP 26609088A JP 2706707 B2 JP2706707 B2 JP 2706707B2
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裕二 矢吹
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新概念のフレキシブルプリント配線基板(以
下、FPCと略す)に関するものであり、更に詳しくは絶
縁基板に、高強度高弾性率で且つ温度及び湿度に対する
寸法安定性に極めて優れ、且つ吸湿率が低く、裂けにく
く、且つハンダ耐熱性を有する、パラ配向性芳香族ポリ
アミドからなるフィルムを用いた薄膜FPCに関するもの
である。
〔従来の技術〕
近年、電子機器の小型、軽量化というニーズに支えら
れ、リジッドタイプに較べ軽量で自由な立体配線が可能
なFPCに対する需要がとみに高まってきた。しかし、最
近の技術進歩はすさまじく、これとて軽薄短小化には不
満足であり、更にFPCの薄膜化、及び高密度化が熱望さ
れている。
FPCは一般に導体としての金属箔上に絶縁層としての
プラスチックフィルムを適当な接着剤を介して積層した
構成からなり、この基板の金属箔上を公知の方法でエッ
チングし、必要に応じてメッキ、カバーコートなどの処
理を施して導体回路を有する配線板を得ている。
この接着剤としては、一般に熱硬化性接着剤が用いら
れるが、接着層厚みが20〜40μmと厚いこと、及び接着
剤の誘電特性が極めて悪く、ICの高速化やファインピッ
チ化等のためには問題となっている。
また、銅箔は電解銅箔と圧延銅箔があり、箔厚は35μ
mを中心に70μm、18μmが主流で、これ以下の極薄箔
においては、高コストによる経済性の問題、及び強度等
の物性低下が著しいことによる加工上の問題が生じてい
る。
これらの問題点を解決する方法として、該接着剤を用
いずに、スパッタリングやイオンプレーティング等の方
法で直接に該プラスチックフィルムに、銅に代表される
導電性金属を、銅箔相当もしくは、それ以下の厚みに積
層させることで、誘電特性の向上ばかりでなく、FPC全
体の厚みを薄くすることが可能な新概念のFPC製造技術
が提案されている。
しかしながら、現状では以下に示すようなプラスチッ
クフィルムにおける様々な問題があり、上記のような金
属薄膜を該フィルムに形成させる技術は、必ずしも満足
のいくものとなっていない。
絶縁層としてのプラスチックフィルムは、ポリエステ
ルやポリイミド或いは芳香族ポリアミドからなるフィル
ムが使用又は提案されている。
ポリエステルはハンダ耐熱性がないため、極めて限ら
れた用途にしか使用されていない。
また、ポリイミドは、その優れた耐熱性を生かしてFP
Cに大量に用いられているが、熱収縮率等の寸法安定性
や吸湿率等の点で不満が残っている。また、このポリイ
ミドのフィルム厚みは、25μmが主流であり、これ以下
の薄膜は高コストによる経済性の問題、及び弾性率が低
いことによる腰の弱さが製品FPCとして問題となってい
る。
また、芳香族ポリアミドとして代表的なパラ配向性芳
香族ポリアミドは、特に優れた結晶性や高い融点を有
し、また剛直な分子構造の故に、耐熱性で高い機械的強
度を有していて、近年、特に注目されている高分子素材
である。
このパラ配向性芳香族ポリアミドからなるフィルムを
製造する方法は、例えば特公昭57−17886号公報に開示
されており、光学異方性ドープを光学等方性ドープに相
交換させて凝固させるものであるが、この方法で製造さ
れたフィルムは、そのままでは寸法安定性の点でいまだ
不充分なことが判った。例えば、吸湿による膨張はかな
り大きくまた熱収縮率も大きいため、フィルム面に金属
薄膜を蒸着やスパッタリング等の方法で設けた、いわゆ
る金属化フィルムでは、環境の変化によって金属薄膜の
剥離、フィルムの反り、波打ちなどの変形が起こってし
まうことが判明した。そして、これらは従来公知のPPTA
フィルム全般に共通した課題といえる。
一方、パラ配向性芳香族ポリアミドフィルムの吸湿特
性を改良する試みとして例えば特公昭56−46421号公報
等に、芳香族基を塩基置換した芳香族ポリアミドフィル
ムが記載されており、導入された塩素原子の効果により
吸湿寸法安定性が増加するようであるが、熱寸法安定性
は却って低下してしまっている。また、高温では導入し
た塩素原子の腐食性により、金属薄膜が腐食されるとい
う問題を生じる。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、従来のFPCとは違って、接着剤を利
用しないことにより、薄く、誘電特性が優れた、且つ高
密度配線が可能なFPCを提供することにある。
本発明においては、その絶縁基板として、その簡潔な
化学構造故に、ポリイミドよりも安価に提供することが
可能であり、且つ強度、弾性率等の機械的物性が優れて
いるパラ配向性芳香族ポリアミドを用い、且つ従来公知
のパラ配向性芳香族ポリアミドフィルムよりも更に寸法
安定性及び吸湿率が改良されたフィルムを用い、それ故
に高温や高湿度雰囲気においても、反りや金属薄膜の剥
離などの問題がなく、高周波回路の使用にも問題がな
く、高密度配線が可能な薄膜FPCを提供せんとするとこ
ろにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは上記問題点の解決のために鋭意検討した
結果、特開昭61−248305号公報に記載されたようなPPTA
フィルムの製膜過程において、収縮させずに乾燥および
(又は)熱処理することが必要であって、場合によって
は、さらに緊張を緩和して熱処理することによって、吸
湿率が小さく、熱及び吸湿に対する寸法安定性に極めて
優れたフィルムが得られることを見出し、このフィルム
を絶縁基板として、一種又は二種以上の金属を一層又は
二層以上に、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティ
ング、又はメッキすることにより金属薄膜を設けること
で、上記目的に添った高性能のFPCが得られることを発
見すると共に、さらに研究を重ねて、本発明に到達した
ものである。
即ち、本発明は、対数粘度が3.5以上のパラ配向性芳
香族ポリアミドからなり、ヤング率が900kg/mm2以上で
あり、25℃〜250℃の熱膨張係数が(0〜15)×10-6mm/
mm/℃、250℃における熱収縮率が0.1%以下、25℃にお
ける吸湿膨張係数が30×10-6mm/mm/%RH以下、且つ25℃
50%RHにおける吸湿率が2.5重量%以下であるフィルム
を絶縁基板とし、そのフィルムの少なくとも片面に0.5
〜15μmの厚みの導電性金属薄膜が接着剤を介すること
なく実質的に直接に付着されてなるフレキシブルプリン
ト配線基板である。
本発明に用いられるパラ系芳香族ポリアミドとは、ア
ミド結合が芳香族環のパラ位又はそれに準じた配向位
(4,4′−ビフェニレン、1,5−ナフタレン、2,6−ナフ
タレンなどのような反対方向に同軸又は平行位に延びる
配向位)で結合される繰返し単位から実質的になるもの
で、例えば、ポリ(P−フェニレンテレフタルアミド)
(以下PPTAと略称する)、ポリ(p−ベンズアミド)、
ポリ(4,4′−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポ
リ(p−フェニレン−4,4′−ビフェニレンジカルボン
アミド)、ポリ(p−フェニレン−2,6−ナフタレンジ
カルボンアミド)等パラ配向型又はパラ配向型に近い構
造を有する芳香族ポリアミドを挙げることができる。
これらのポリアミドは、芳香族ジアミンと芳香族ジカ
ルボン酸クロリドから従来公知の低温溶液重合法で製造
するのが好都合である。特にポリ(p−フェニレンテレ
フタルアミド)は単純なモノマーから重合することが可
能なので安価であり、工業的見地から好ましい。なお、
本発明において、本発明の効果を損なわない範囲で、少
量の他の成分が共重合されたり、ブレンドされたりして
いてもよい。このような例としてはメタフェニレン、4,
4′−ジフェニレン、4,4′−ジフェニレンエーテル、3,
4′−ジフェニレンエーテル等を骨格にした芳香族ポリ
アミド、アルキル基やニロト基等で芳香環が置換された
パラ系芳香族ポリアミド等が挙げられる。
本発明のポリマーの重合度は、あまり低いと機械的性
質の良好なフィルムが得られなくなるため、3.5以上好
ましくは4.5以上の対数粘度ηinh(硫酸100mlにポリマ
ー0.5gを溶解して30℃で測定した値)を与える重合度の
ものが選ばれる。
本発明に用いられるフィルムは以下に述べる要件を満
たすべきである。
まず、第1に、本発明に用いられるフィルムの熱膨張
係数が25℃〜250℃の範囲で測定して(0〜15)×10-6m
m/mm/℃の範囲内に、好ましくは5〜15×10-6mm/mm/℃
の範囲にあることである。この範囲の熱膨張係数をもつ
ということは、250℃までの温度に加熱しても、殆ど長
さが変わらないことを意味している。そしてこの数字
は、セラミックスのそれに近く、金属のそれよりも少し
小さい。
このような熱に対する寸法安定性の非常に優れたフィ
ルムは、乾燥時の収縮を防止して分子鎖の面配向性を高
いレベルに保つこと、300℃以上での乾燥又は熱処理に
よって結晶性を高めることによってはじめて達成され
る。
このように小さい熱膨張係数を有する故に、高温での
使用、特にセラミックスや金属との積層体として、高温
や温度差の大きい用途で使用するとき、例えばカールな
ど全く起こさず、本発明のフィルムの特長が十二分に発
揮されることになる。
第2に、本発明に用いられるフィルムは、250℃にお
ける熱収縮率が0.1%以下であるべきである。このよう
に本発明に用いられるフィルムの熱収縮率が極めて小さ
く、現在耐熱性フィルムとして大きい地位を占めている
ポリイミドフィルムよりも優れている。熱収縮率は好ま
しくは0.05%以下である。
熱収縮率の極めて小さい本発明に用いられるフィルム
は、収縮させずに乾燥(および)又は熱処理することに
よって得られるが、場合によっては前記処理によって高
められた配向性及び結晶性を実質的に減少させることな
く、乾燥又は熱処理温度よりも少し低いが250℃以上の
ある温度で、無緊張下又は低張力下にフィルムを熱処理
(固定)することによってはじめて得られる。このよう
に本発明において熱収縮率が小さいフィルムを使用して
いるために、例えば、FPCの実装工程でハンダ溶に浸漬
しても、反りや剥離、導通・絶縁の変化等が起きないの
である。
第3に本発明に用いられるフィルムは、25℃における
吸湿膨張係数が30×10-6mm/mm/%RH以下である。吸湿膨
張係数は好ましくは20×10-6mm/mm/%RH以下である。こ
のように吸湿による寸法変化が小さいという特徴は、高
温多湿の夏と低湿乾燥の冬との季節間差に関係なく、FP
Cが一定の性能や機能を発揮する上で重要であり、高温
での乾燥又は熱処理による高い結晶性と配向性の確保に
よって達成される。
更に第4に、本発明に用いられるフィルムは、高温乾
燥又は熱処理による独特の高結晶性がもたらす25℃65%
RHにおける吸湿率が2.5重量%以下である。吸湿率が2.5
重量%より大きいフィルムを使用すると、FPCの電気特
性(例えば絶縁抵抗や誘電率、誘電正接など)が大幅に
変動したり、銅とフィルムとの接着が経時的に低下して
しまうという問題が生じる。
第5に、本発明に用いられるフィルムは、その少なく
とも一方向のヤング率が900kg/mm2以上である。より好
ましくは、全ての方向のヤング率が1,000kg/mm2以上で
ある。この特徴は、機械的な外力に対する寸法安定性と
関連を有している。
本発明に用いられるフィルムとしては、以上の如き必
須要件以外にも、以下の特徴を備えているものが好まし
い。
本発明に用いられるフィルムは、好ましくは、きわめ
て高い透明性を有している。高い透明性は、例えば、60
0nmの波長の可視光線の透過率が好ましくは55%以上、
より好ましくは70%以上を有する。
また、本発明に用いられるフィルムは、好ましくは、
実質的にボイドを含まない。
次に、このようなフィルムを得る方法について述べ
る。
フィルムの成型に用いるドープを調製するのに適した
溶媒は、95重量%以上の濃度の硫酸である。95%未満の
硫酸では溶解が困難であったり、溶解後のドープが異常
に高粘度になる。本発明のドープには、クロル硫酸、フ
ルオロ硫酸、五酸化リン、トリハロゲン化酢酸などが少
し混入されていてもよい。硫酸は100重量%以上のもの
も可能であるが、ポリマーの安定性や溶解性などの点か
ら98〜100重量%濃度が好ましく用いられる。
ドープ中のポリマー濃度は、常温(約20℃〜30℃)ま
たはそれ以上の温度で光学異方性を示す濃度以上のもの
であり、具体的には約10重量%以上で用いられる。これ
以下のポリマー濃度、すなわち常温またはそれ以上の温
度で光学異方性を示さないポリマー濃度では、成型され
たフィルムが好ましい機械的性質を持たなくなることが
多い。ドープのポリマー濃度の上限は特に限定されるも
のではないが、通常は20重量%以下、特に高いηinhの
ポリマーに対しては18重量%以下が好ましく用いられ、
更に好ましくは16重量%以下である。
ドープには普通の添加剤、例えば、増量剤、除光沢
剤、紫外線安定化剤、熱安定化剤、抗酸化剤、顔料、溶
解助剤などを混入してもよい。
ドープが光学異方性か光学等方性であるかは、公知の
方法、例えば特公昭50−8474号公報記載の方法で調べる
ことができるが、その臨界点は、溶媒の種類、温度、ポ
リマー濃度、ポリマーの重合度、非溶媒の含有量等に依
存するので、これらの関係を予め調べることによって、
光学異方性ドープを作り、光学等方性ドープとなる条件
に変えることで、光学異方性から光学等方性に変えるこ
とができる。
ドープは、成形・凝固に先立って可能な限り不溶性の
ゴミ、異物等を濾過等によって取り除いておくこと、溶
解中に発生又は巻きこまれる空気等の気体を取除いてお
くことが好ましい。脱気は、一旦ドープを調製したあと
に行うこともできるし、調製のための原料の仕込み段階
から一貫して真空(減圧)下に行うことによっても達成
しうる。ドープの調製は連続又は回分で行うことができ
る。
このようにして調製されたドープは、光学異方性を保
ったまま、ダイ例えばスリットダイから、移動している
支持面上に流延される。本発明において、流延及びそれ
に続く光学等方性への転化、凝固、洗浄、延伸、乾燥お
よび(又は)熱処理等の工程は、好ましくは連続的に行
われるが、もし必要ならば、これらの全部又は一部を断
続的に、つまり回分式に行ってもよい。
本発明に用いられる透明フィルムを得る方法は、ドー
プを支持面上に流延した後、凝固に先立ってドープを光
学異方性から光学等方性に転化するものである。
光学異方性から光学等方性にするには、具体的には支
持面上に流延した光学異方性ドープを凝固に先立ち、吸
湿させてドープを形成する溶剤の濃度を下げ、溶剤の溶
解能力およびポリマー濃度の変化により光学等方性域に
転移させるか、または加熱することによりドープを昇温
し、ドープの相を光学等方性に転移させるあるいは、吸
湿と加熱とを同時又は逐次的に併用することにより達成
できる。
特に、吸湿を利用する方法は、加熱を併用する方法も
含めて、光学異方性の光学等方化が効率よくかつPPTAの
分解を引き起こすことなく出来るので、有用である。
ドープを吸湿させるには、通常の温度・湿度の空気で
もよいが、好ましくは、加湿又は加温加湿された空気を
用いる。加湿空気は飽和蒸気圧を越えて霧状の水分を含
んでいてもよく、いわゆる水蒸気であってもよい。ただ
し、約45℃以下の過飽和水蒸気は、大きい粒状の凝縮水
を含むことが多いので好ましくない。吸湿は通常、室温
〜約180℃、好ましくは50℃〜150℃の加湿空気によって
行われる。
加熱による方法の場合、加熱の手段は特に限定され
ず、蒸気の如き加湿された空気を流延ドープに当てる方
法、赤外線ランプを照射する方法、誘電加熱による方法
などである。
支持面上で光学等方化された流延ドープは、次に凝固
をうける。ドープの凝固液として使用できるのは、例え
ば水、約70重量%以下の希硫酸、約20重量%以下の水酸
化ナトリウム水溶液およびアンモニア水、約10重量%以
下の硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム水溶液および塩化
カルシウム水溶液などである。
凝固液の温度は、好ましくは15℃以下であり、さらに
好ましくは5℃以下である。何故なら、一般に、凝固液
温度を低くした方が、フィルムに包含されるボイドが少
なくなるという傾向が見出されたからである。
凝固されたフィルムはそのままでは酸が含まれている
ために、加熱による機械的物性の低下の少ないフィルム
を製造するには酸分の洗浄、除去をできるだけ行う必要
がある。酸分の除去は、具体的には約500ppm以下まで行
うことが望ましい。洗浄液としては水が通常用いられる
が、必要に応じて温水で行ったり、アルカリ水溶液で中
和洗浄した後、水などで洗浄してもよい。洗浄は、例え
ば洗浄液中でフィルムを走行させたり、洗浄液を噴霧す
る等の方法により行われる。
洗浄されたフィルムは、次に乾燥をうける。
乾燥つまり水分の減少に伴って、フィルムを無張力下
に置くと、一般にフィルムが収縮を起こすが、本発明に
用いられるフィルムの取得に当たっては、乾燥工程でフ
ィルムを収縮させないことが肝要である。ここで、収縮
をさせないという表現は、定長のまま乾燥させることと
延伸しつつ乾燥させることの二つが含まれていると解す
べきである。そして、例えば、フィルムの一方向にのみ
延伸し、他方向は定長のままという態様も許される。乾
燥温度の選定も重量で、300℃以上の雰囲気温度T
1(℃)で実施するか、又は一旦任意の温度で乾燥を行
ったのち、300℃以上の温度T1(℃)で収縮をさせずに
熱処理することで実施される。ここで、乾燥とはフィル
ムからの水分の除去を意味し、それ以降のフィルムの物
理的構造(例えば、結晶状態)の変化をさせるのを熱処
理と称する。いずれにせよ、300℃以上の温度T1で緊張
下に構造の固定を行う必要があり、これによって、吸湿
膨張係数を小さくし、吸湿を抑えることができる。
上記のように、本願発明に使用するフィルムを得るに
は、収縮をさせずに乾燥および(又は)熱処理すること
が必要であるが、場合によっては、このように300℃以
上の温度T1(℃)で乾燥又は熱処理をした後、次いで26
0≦T2≦T1−20を満たすT2(℃)で0〜0.8kg/mm2の無緊
張下又は低張力下に熱処理を行うことも肝要である。こ
れは実質的無緊張下に、謂ゆる熱固定を行うことを意味
し、この熱固定によって熱収縮率を小さくでき、また副
次的に耐引裂性を向上できる。
上記した収縮をさせずに乾燥や熱処理を行うには、例
えばテンターや金属枠に挟んでオーブン中に入れるなど
の方法で;また無緊張(含む弛緩)下又は低張力下の乾
燥は、自由端の状態でオーブン中に入れる方法や,テン
ターを定長にして温度を約50℃より大きく下げる(つま
りT1−T2≧50(℃))方法、テンターの把持間隔を少し
せばめるなどの方法で実施できる。乾燥や熱処理に係る
他の条件は特に制限されるものではなく、加熱気体(空
気、窒素、アルゴンなど)や常温気体による方法、電気
ヒーターや赤外線ランプなどの輻射熱の利用法、誘電加
熱法などの手段から自由に選ぶことができる。
本発明の方法において、全工程を通して連続してフィ
ルムを走行させつつ製造することが好ましい実施態様の
1つであるが、望むならば部分的に回分式に行ってもよ
い。また任意の工程で油剤、識別用の染料などをフィル
ムに付与してもさしつかえない。
なお、透明性のすぐれた、即ち光線透過率の極めて大
きいフィルムを得るために、ドープは無論のこと、吸湿
用気体、加熱用気体、支持面体、凝固液、洗浄液、乾燥
気体等のゴミやチリの含有量が可及的に少なくなるよう
にすることが好ましく、この点、謂ゆるクリーンルーム
やクリーン水でフィルムを製造するのも好ましい実施態
様の1つである。
本発明のフィルムには、平滑剤として例えばシリカ、
タルク、硫酸カルシウムなどの無機物が分散含有されて
いてもよい。
また、本発明で用いられるフィルムは、次に述べる金
属薄膜層の形成に先立ち、接着力向上、易接着化、平面
性改良、着色、帯電防止、耐摩耗性付与等の目的で各種
の表面処理や前処理が施されてもよい。
以上の方法により得られる、特別な特性を持ったPPTA
フィルムを絶縁基板とすることにより初めて、本発明の
目的とする、苛酷な環境においても、変性や変質、反り
などの発生しない高信頼性でかつ高密度配線の可能なFP
Cが得られるのである。しかしこの基板フィルムの性能
をより十分に発揮させるためには、銅に代表される導電
性金属の積層に際して十分な注意を払う必要がある。
本発明の金属薄膜における金属の種類は導電性を有し
ておれば特に限定されるものでなく、導体回路の設計や
その加工法に応じて適宜用いられる。例えば、銅、アル
ミニウム、金、タンタル、チタン、クロム、モリブデ
ン、ニッケル、亜鉛、鉄、パラジウム等の単体或いはそ
れらの合金の他、透明導電性物質として、酸化インジウ
ム、酸化錫、酸化カドミウム、酸化アンチモン、酸化亜
鉛、酸化タングステン、酸化モリブデン、あるいはこれ
らの混合物、などが用いられる。
本発明に用いられる金属薄膜の厚みは、ファインパタ
ーン化する際の加工性の問題及びそれを実現する際の必
要電流密度の問題から、0.5〜15μmの範囲が有用であ
る。より好ましくは、0.5〜8μmの範囲が有用であ
る。
これらの金属薄膜をフィルム上に付着させる方法は既
知のものでよく、例えば真空蒸着法、イオンプレーティ
ング法、スパッタリング法、化学的気相蒸着法、レーザ
化学蒸着法、プラズマ蒸着法、メッキによる折出法、無
電解メッキ法などから選ぶことができる。これらの手法
の選択にあたっては、金属薄膜のフィルムへの密着力及
び膜厚を目安とすべきである。即ち、導体回路の設計に
より、金属薄膜をおよそ目安として1μm以内とする場
合には、該金属密着力の高いものがえられるイオンプレ
ーティング法、またはスパッタリング法が好ましく、更
に目安として1μmよりも厚い金属薄膜を形成させる場
合には、前記したイオンプレーティング法、またはスパ
ッタリング法により形成した金属薄膜上に、更に、上記
各種蒸着法または上記各種メッキ法により同種又は異種
の金属薄膜を形成させて膜厚みを高めることが好まし
い。尚、該金属密着力を更に高める手法として、その活
性度により極めて密着力が高い金属種であるチタン、ク
ロム、モリブデン等の単体又は混合物を、予め該フィル
ムに数百Å程度に上記のような公知の付着法のいずれか
により積層させて後、その上に目的とする導電性金属を
上記手法により積層させることも有効である。また、イ
オンシャワー等で積層界面のクリーニングをすることも
該密着力向上に有効である。
金属薄膜の密着力は好ましくは0.5kg f/cm以上が有用
である。より好ましくは1.0kg f/cm以上が有用である。
この密着力の測定法は、従来公知の接着法(引張法、引
はがし法、引倒し法、ねじり法等)、又は直接法(引っ
かき法、遠心力法、超音波法、レーザー破砕法等)のい
ずれかが適用される。
なお、金属の酸化劣化を防止する観点から劣化をうけ
にくい金属や樹脂で金属の表面を蒸着やCVD等の方法で
コーティングするのも望ましい態様である。
〔実施例〕
以下に実施例を示すが、実施例は本発明を説明するも
のであって、本発明を限定するものではない。
なお、実施例中特に規定しない場合は重量部または重
量%を示す。
実施例中の各特性の評価は下記の方法によった。
対数粘度ηinhは、98%硫酸100mlにポリマー0.5gを溶
解し、30℃で常法で測定した。
強伸度およびヤング率は、定速伸長型強伸度測定機に
より、フィルム試料を100mm×10mmの長方形に切り取
り、最初のつかみ長さ30mm、引張速度30mm/分で荷重−
伸長曲線を5回描き、これより算出した。
膨張係数の測定は、熱機械分析装置を用い、幅5mm、
把握部間長さ15mmの試料に0.05kg/mm2の荷重をかけて行
った。熱膨張係数の場合、25〜250℃の間で試料の寸法
変化を測定し、25〜250℃間の変化率を225で除して算出
した。
一方、吸湿膨張係数の場合には、25℃においてまず20
%の相対湿度に保持した後、加湿機から80%相対湿度に
上昇するまで加湿し、この間の寸法変化率を60で除して
算出した。
吸湿率は、25℃、50%相対湿度に48時間フィルムを静
置して測定した重量と、それを次いで120℃真空乾燥機
で恒量に達するまで乾燥して得たフィルムの重量とから
算出した。
250℃における熱収縮率は、0.05/mm2の張力を付与し
て250℃のオーブン中に30分間放置し、このオーブン処
理前後の室温(25℃)における寸法変化から計算したも
のである。
実施例1 ηinhが5.5のPPTAポリマーを98.5%の硫酸にポリマー
濃度11.8%で溶解し、60℃で光学異方性のあるドープを
得た。このドープの粘度を常温で測定したところ、1100
0ポイズであった。製膜しやすくするために、このドー
プを約70℃に保ったまま、真空下に脱気した。この場合
も上記と同じく光学異方性を有し、粘度は5,100ポイズ
であった。タンクからフィルターを通し、ギアポンプを
へてダイに到る1.5mの曲管を約70℃に保ち、0.1mm×300
mmのスリットを有するダイから、鏡面に磨いたタンタル
製のベルトにキャストし、相対湿度約12%の約105℃の
空気を吹きつけて、流延ドープを光学等方化し、ベルト
とともに、5℃の水の中に導いて凝固させた。ついで凝
固フィルムをベルトからひきはがし、約40℃の温水中を
走行させて洗浄した。洗浄の終了したフィルムを乾燥さ
せずにテンターで長さ方向及び幅方向に各々15%ずつ延
伸し、ついで別のテンターを用いて定長下に370℃で熱
風乾燥した。
更に、フィルムを第3のテンターに導き、幅方向及び
長さ方向の把持長が5%づつ小さくなるようにクリップ
状の把持部を調整して、340℃で熱固定した。このとき
第3テンターでの張力は殆ど0であった。
得られたフィルムは、厚み20μm、ηinh=5.0、強度
=30kg/mm2、伸度21%、ヤング率950kg/mm2、熱膨張係
数10×10-6mm/mm/℃、熱収縮率0.01%未満、吸湿膨張係
数18×10-6mm/mm/%RH、吸湿率1.5%、光線透過率77
%、密度1,405g/cm3であった。
上記フィルムに、スパッタリング法により、まずモリ
ブデンを300Åの厚さに積層させてのち、同法により銅
を0.3μm積層させ、更に無電解メッキ法により、銅厚
み12μmとした。
このようにして得られたFPCの特性を第1表に示す。
実施例2 実施例1において、第3テンター温度を310℃にした
以外は、実施例1と同じ方法、条件でPPTAフィルムを製
造した。
得られたフィルムは、厚み20μm、ηinh=5.2、強度
=33kg/mm2、伸度19%、ヤング率1030kg/mm2、熱膨張係
数9×10-6mm/mm/℃、熱収縮率0.01%未満、吸湿膨張係
数15×10-6mm/mm/%RH、吸湿率1.9%、光線透過率78
%、密度1,403g/cm3であった。
上記フィルムにイオンプレーティング法により銅を0.
5μm積層させ、更に無電解メッキ法により銅厚み7μ
mとした。
このようにして得られたFPCの特性を第1表に示す。
実施例3 ηinhが4.3のPPTAポリマーを99.8%の硫酸にポリマー
濃度12%で溶解し、40℃で光学異方性のある3,900ポイ
ズのドープを得た。脱気、濾過したのち、0.08mm×300m
mのスリットを有するダイから、このドープをタンタル
製のベルト上に流延した。相対湿度約80%の約75℃の空
気を吹きつけて、流延ドープを透明な光学等方性ドープ
に転化し、次いで0℃の10%硫酸水溶液で凝固させた。
凝固したフィルムをベルトからはがしたのち、常温の
水、2%カセイソーダ水溶液、約30〜40℃の水の順に洗
浄した。
洗浄されて約250〜350%の水を含有する湿潤フィルム
を180℃の熱風の循環するテンター中で、定長下に乾燥
した。
次いで、テンター出口に取りつけた410℃の熱板で、
フィルムの上下から定長熱処理し、更に300℃に保持し
た第2テンターにて幅方向および長さ方向に約8%把持
長さを減少させつつ熱固定した。得られたフィルムは厚
み15μm、ηinh4.2、光線透過率80%、密度1,400g/c
m3、強度35kg/mm2、伸度20%、ヤング率1050kg/mm2、吸
湿率1.0%、熱収縮率0.01%未満、熱膨張係数12×10-6m
m/mm/℃、、吸湿膨張係数15×10-6mm/mm/%RHの等方的
な性質を持つフィルムであった。
上記フイルムに実施例2と同様の方法により、厚み5
μmの銅層を形成した。更に、酸化インジウム錫をその
上から蒸着して銅の劣化防止を行った。
このようにして得られたFPCの特性を第1表に示す。
〔発明の効果〕 本発明のFPCは、トータルの厚みを薄くすることに成
功し、軽薄短小のニーズにみごとに答えることができ
た。
しかも、本発明のFPCは、温度、湿度に対する寸法安
定性が極めて優れており、且つ吸湿率も小さく、強靭で
ある。
このような理由から、本発明のFPCは、高周波回路へ
の適応性に優れ、かつ高密度配線も可能であるばかりで
なく、高温、高温高湿、寒冷などの苛酷な環境に置いて
も、変形、反り、剥離等は無論のこと、故障も発生しな
く、信頼性が高いものである。
加うるに、FPCに要求される種々の特性、例えば半田
耐熱性、可撓性、耐薬品性、電気特性など、多くの点で
非常に優れた特性を発揮することは実施例に示した通り
である。
更に、従来のFPCの絶縁基板材料であるポリイミドよ
りもフィルムが安価に提供できるという利点もある。
本発明のFPCは、これらの特徴を生かして、小型軽量
化のニーズが高まっている各種の電子機器類、カメラ、
時計等々に使用できる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対数粘度が3.5以上のパラ配向性芳香族ポ
    リアミドからなり、ヤング率が900kg/mm2以上であり、2
    5℃〜250℃の熱膨張係数が(0〜15)×10-6mm/mm/℃、
    250℃における熱収縮率が0.1%以下、25℃における吸湿
    膨張係数が30×10-6mm/mm/%RH以下、且つ25℃50%RHに
    おける吸湿率が2.5重量%以下であるフィルムを絶縁基
    板とし、そのフィルムの少なくとも片面に0.5〜15μm
    の厚みの導電性金属薄膜が接着剤を介することなく実質
    的に直接に付着されてなるフレキシブルプリント配線基
    板。
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