JP2664965B2 - 高易滑性ポリアミドフィルムおよびその製法 - Google Patents

高易滑性ポリアミドフィルムおよびその製法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)
(以下、PPTAと称する)に代表されるパラ系芳香族ポリ
アミドからなるフィルムに関し、さらに詳しくは、フィ
ルムの長尺方向(以下、MD方向と略す)および幅方向
(以下、TD方向と略す)ともに優れた機械特性を示し、
かつ優れた易滑性と良好な平滑性を兼備するパラ系芳香
族ポリアミドフィルムに関するものである。
〔従来の技術〕
パラ系芳香族ポリアミドは、特に優れた結晶性や高い
融点を存し、また剛直な分子構造の故に、耐熱性で高い
機械的強度を有しており、近年、特に注目されている高
分子素材である。また、その光学異方性を示す濃厚溶液
から紡糸された繊維は、高い強度およびモジュラス(ヤ
ング率)を示すことが報告され、すでに工業的に実施さ
れるに到っているが、フィルムへの応用例の提案は少な
い。
パラ系芳香族ポリアミドの有する課題としては、その
有用な高分子量のポリマーは有機溶媒に難溶であり、濃
硫酸等の無機の強酸が溶媒として用いる必要があること
が挙げられ、これを回避するために、例えば特公昭56−
45421号公報では、パラ系芳香族ポリアミドの芳香核に
ハロゲン基を導入した単位と、PPTA以外の芳香族に置換
基を持たない芳香族ポリアミドを共重合することにより
有機溶媒に可溶とし、それからフィルムを得ようとする
試みがなされている。しかし、これはモノマーが高価な
ため、コストが高くなる上に、せっかくのパラ系芳香族
ポリアミドの耐熱性や結晶性を損なう欠点がある。
このため、置換基を有しないパラ系芳香族ポリアミド
の光学異方性ドープを押出し凝固させることによりフィ
ルムを得る方法が幾つか開示されている(特公昭59−14
567号公報、特公昭57−35088号公報、特公昭59−5407号
公報および特開昭54−132674号公報)。しかしながら、
これらの方法は得られるフィルムの物性の異方性が大き
すぎること、製造方法が複雑であること等の理由より実
用的フィルムの工業的製造方法としては難点がある。
特公昭57−17886号公報には、パラ系芳香族ポリアミ
ドの光学異方性ドープを凝固直前に、光学等方性となる
まで加熱した後、凝固させることによって、透明で機械
的物性が等方的であるフィルムを得ることが記載されて
いる。この方法は、従来の光学異方性ドープの活用によ
り高性能を得んとする大方の概念に逆らった独創的なも
のであり、これにより光学異方性ドープの極端な1軸配
向性の緩和と同時に、光学異方性ドープの液晶ドメイン
構造がドープを押出した後も残り、そのまま凝固して不
透明はフィルムとなってしまうことを回避することに成
功している。
この方法で製造したパラ系芳香族ポリアミドフィルム
は、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性
等を有するため、磁気テープ、写真フィルム、コンデン
サ用フィルム、電気絶縁フィルム、サーマルプリンター
用インクリボン、フレキシブルプリント配線板用フィル
ム等の素材として使用することが期待されている。
しかしながら、パラ系芳香族ポリアミドフィルムの生
産および上記のごとき用途への適用を円滑に行なうため
には、パラ系芳香族ポリアミドフィルムの滑り性を改善
することが必要である。すなわち、特に薄いフィルムの
場合にフィルムの滑り性が不足すると、例えば巻取り、
巻返し、塗布、スリット等の作業に重大な支障を及ぼ
し、例えば巻しわの発生、静電気による塵芥吸着など工
程上の障害となる。
このようなフィルムの易滑性を高めるために、特開昭
62−119024号公報では、無機粒子を添加したフィルムお
よびその製法が記載されている。しかし、このフィルム
は摩擦係数は低いものの、熱転写プリンター用テープ等
の高温物との接触および高速走行で滑り性等に問題があ
り、また表面の平滑性が比較的悪く、高精度の表面性が
要求される磁気記録媒体用等では品質上の要求を充分満
たすことはできなかった。すなわち、高い易滑性と優れ
た平滑性を兼備したフィルムは未だ得られていないのが
現状である。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、パラ系芳香族ポリアミドを用いた高
性能のフィルムであって、従来よりも一段と易滑性およ
び平滑性に優れたポリアミドフィルムおよびその製法を
提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記目的に沿ったパラ系芳香族ポリア
ミドフィルムを得るべく鋭意研究を重ねた結果、例えば
特公昭57−17886号公報に開示された技術、すなわちパ
ラ系芳香族ポリアミドの光学異方性ドープをまず作り、
これを光学等方化して凝固するという方法でパラ系芳香
族ポリアミドフィルムを得るのに際し、無機粒子により
フィルム表面に特定の形状を持ち、かつ特定の数の突起
を付与することにより易滑性のフィルムになることを発
見し、さらに研究を重ねて本発明として完成させたもの
である。
すなわち、本発明の第1は、対数粘度が3.5以上のパ
ラ系芳香族ポリアミドよりなるフィルムであって、全て
の方向の引張伸度が8%以上であり、また動摩擦係数が
0.08〜0.27および表面粗度が0.013〜0.018μmであり、
かつフィルム表面に無機粒子より形成された高さ0.06〜
0.25μmの突起が104〜105個/mm2存在することを特徴と
する高易滑性ポリアミドフィルムであり、本発明の第2
は、対数粘度が3.5以上のパラ系方向族ポリアミドと、
濃度が95重量%以上の硫酸およびパラ系芳香族ポリアミ
ドに対して0.1〜2重量%の平均粒子径が0.1〜0.50μm
の微粒状無機粒子とから実質的になる光学異方性ドープ
を、光学異方性を保ったまま支持面上に平滑剪断速度が
50秒-1以上になるように流延し、吸湿または/および加
熱により該ドープを光学等方性に転化したのち、10℃以
下に保持した30重量%以上の硫酸水溶液中で凝固させ、
次いで洗浄をし、さらにフィルムを1.1倍以上に延伸し
つつ乾燥することを特徴とするポリアミドフィルムの製
法である。
本発明に用いられるパラ系芳香族ポリアミドとは、ア
ミド結合が芳香族環のパラ位またはそれに準じた配向位
(4,4′−ビフェニレン、1,5−ナフタレン、2,6−ナフ
タレンなどのような反対方向に同軸または平行位に延び
る配向位)で結合される繰返し単位から実質的になるも
ので、例えば、PPTA、ポリ(p−ベンズアミド)、ポリ
(4,4′−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ
(p−フェニレン−4,4′−ビフェニレンジカルボンア
ミド)、ポリ(p−フェニレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボンアミド)等、パラ配向型またはパラ配向型に近い
構造を有する芳香族ポリアミドを挙げることができる。
これらのポリアミドは、芳香族ジアミンと芳香族ジカル
ボン酸クロリドから従来公知の低温溶液重合法で製造す
るのが好都合である。特に、PPTAは単純なモノマーから
重合することが可能なので安価であり、工業的見地から
好ましい。
本発明のポリマーの重合度は、あまり低いと機械的性
質の良好なフィルムが得られなくなるため3.5以上、好
ましくは4.5以上の対数粘度ηinh(硫酸100mlにポリマ
ー0.5gを溶解して30℃で促成した値)を与える重合度の
ものが選ばれる。
本発明のフィルムは、以下に述べる2つの要件を満た
して始めて目的を達せられるものである。
まず第1に、本発明のフィルムは、全ての方向の引張
伸度が8%以上であり、また動摩擦係数が0.08〜0.27お
よび表面粗度が0.013〜0.018μmである必要がある。8
%より小さい伸度を持つフィルムは裂け易く実用的でな
いからである。引張伸度は好ましくは10%以上である。
これに対して、特公昭55−14170号公報に記載された方
法で作ったPPTAフィルムは、MD方向の伸度が低く4〜6
%である上に、TD方向の伸度は1%未満で極めて裂け易
い。
本発明のフィルムのもつ高伸度は、光学異方性のドー
プを支持面上に流延したのち光学等方性化するというプ
ロセスと関連している。
また本発明のフィルムは、優れた機械特性とともに優
れた易滑性を得る点から、動摩擦係数が0.08〜0.27、表
面粗度が0.013〜0.018μmであることが必要である。
本発明のフィルムは第2に、その表面に無機粒子より
形成された高さ0.06〜0.25μmの突起が104〜105個/mm2
存在する必要がある。
ここで、突起部分の表面は、無機粒子が露出していて
も、パラ系芳香族ポリアミドが無機粒子を被覆していて
無機粒子が内部に存在していてもよい。突起の高さが0.
25μmを超える場合には、滑り性はよいものの表面精度
が悪くなるため、例えば磁気記録媒体用途において、ド
ロップアウト等のノイズが増加し、性能が低下する。一
方、突起の高さが0.06μm未満では充分な滑り性を得る
ことができない。突起の数が多くなるに伴って滑り性は
よくなる傾向があるが、105個/mm2を超えるとそれ以上
滑り性はよくならず、製造時に延伸性の低下等のトラブ
ルが発生し易くなるため、105個/mm2以下にすべきであ
る。一方、104個/mm2未満では充分な滑り性を得ること
ができない。
本発明において突起の形は、球状や円柱状が好まし
く、このような均質な突起が存在することにより、平滑
性を保ちつつ滑り性を改良することが可能である。
本発明に用いられる無機粒子としては、濃硫酸に対し
て実質的に非活性のものから選ばれ、例えばSiO2、Ti
O2、CaSO4等が使われる。無機粒子の形は、一般に球状
であり、例えば乳化重合法で得られた球状のSiO2シーホ
スターKE(日本触媒化学工業社製)等が使われる。
無機粒子の含有量は、フィルムの性能(易活性、機械
的性能など)およびフィルム製造上の操作性(ドープ粘
度、吐出性など)の双方から適宜決定される。本発明の
フィルムは、好ましく以下の性質も有している。
例えば、本発明のフィルムは、その少なくとも1方向
のヤング率が1000kg/mm2以上である。この条件は、フィ
ルムの変形抵抗性と密接に関連している。そして、例え
ば磁気テープとして用いたときのジッター特性と関連し
ていて、さらに好ましくは少なくとも1方向のヤング率
が1300kg/mm2以上であり、最も好ましくは1500kg/mm2
上である。本発明のフィルムには2つの態様があり、1
つはタテ・ヨコのヤング率が1000kg/mm2以上でほぼ等し
いバランスタイプであり、他の1つはタテ・ヨコのどち
らかがそのヤング率が大きく1000kg/mm2以上であるテン
シライズドタイプである。
本発明のフィルムとしては、約12μm以下の薄いフィ
ルムが好ましい。特に好ましくは10μm以下である。例
えば、ビデオテープとして使ったとき同じ長さ当たりの
かさ高さが厚みに比例して大きくなるため、小型・軽量
でかつ録画時間を長く、というニーズに合致するからで
ある。
また、本発明のフィルムは、好ましくは実質的にボイ
ドを含まない。
さらに、本発明のフィルムは、通常、その密度が1.37
0〜1.420g/cm2の範囲にある。この密度の値は四塩化炭
素−トルエンを使用した密度勾配管法により30℃で測定
されたものである。この密度の範囲は、公知のPPTA繊維
のそれが1.43g/cm3から1.46g/cm3の範囲にあるのに較べ
てかなり小さい値である。該密度が1.370g/cm3未満にな
ると機械的物性が低下し、1.420g/cm3を超えると面配向
性を有し、したがって機械的性質の等方性の損なわれた
フィルムとなる。いずれにしてもこのように密度が小さ
いことから、軽くて高強度のフィルムが得られることに
なる。
次に、このようなパラ系芳香族ポリアミドフィルムを
得る方法について説明する。
本発明の方法において、まずパラ系芳香族ポリアミド
の光学異方性ドープを調製する必要がある。
本発明のパラ系芳香族ポリアミドフィルムの成型に用
いるドープを調製するのに適した溶媒は、95重量%以上
の濃度の硫酸である。95重量%未満の硫酸では溶解が困
難であったり、溶解後のドープが異常に高粘度になる。
本発明のドープには、クロル硫酸、フルオロ硫酸、五
酸化リン、トリハロゲン化酢酸などが少し混入されてい
てもよい。硫酸は100重量%以上のものも可能である
が、ポリマーの安定性や溶解性などの点から98〜100重
量%濃度が好ましく用いられる。
本発明に用いられるドープ中のポリマー濃度は、常温
(約20〜30℃)またはそれ以上の温度で光学異方性を示
す濃度以上のものが好ましく用いられ、具体的には約10
重量%以上、好ましくは約12重量%以上で用いられる。
これ以下のポリマー濃度、すなわち常温またはそれ以上
の温度で光学異方性を示さないポリマー濃度では、成型
されたパラ系芳香族ポリアミドフィルムが好ましい機械
的性質を持たなくなることが多い。ドープのポリマー濃
度の上限は、特に限定されるものではないが、通常は20
重量%以下、特に高いηinhのパラ系芳香族ポリアミド
に対しては18重量%以下が好ましく用いられ、さらに好
ましくは16重量%以下である。
本発明においては、ドープに平均粒子径が0.11〜0.50
μmの無機粒子を添加しておく必要があり、好ましくは
形状が球形のものが用いられる。平均粒子径が0.50μm
以上ではフィルムの突起が大きいため平滑性が損なわ
れ、0.11μm以下では充分な滑り性が得られない。
無機粒子は、パラ系芳香族ポリアミドを添加する前の
硫酸に添加する、パラ系芳香族ポリアミドと同時に添加
する、光学異方性ドープを形成させたのちに添加する、
または一部のパラ系芳香族ポリアミドを添加溶解したの
ちに添加し、次いで残余のパラ系芳香族ポリアミドを添
加するなどの任意の方法で行なうことができる。無機粒
子か凝集したりすることを防ぎ分散性をよくするため
に、例えばホモジナイザーやスタティックミキサーを使
用することも好ましい態様の1つである。また、光学異
方性ドープを作ったのちに無機粒子を添加する方法の場
合、添加に先立って可能な限り不溶性のゴミ、異物等を
濾過等によって取除いておくこと、溶解中に発生または
巻込まれる空気等の気体を取除いておくことが好まし
い。脱気は、一旦ドープを調製したあとに行なうことも
できるし、調製のための原料の仕込み段階から一貫して
真空(減圧)下に行なうことによっても達成し得る。ド
ープの調製は連続また回分で行なうことができる。
本発明において、無機粒子のドープ中への添加量は、
パラ系芳香族ポリアミドに対して0.1〜2重量%、好ま
しくは0.2〜1重量%の範囲である。
本発明のドープには、その他の普通の添加剤、例えば
増量剤、除光沢剤、紫外線安定化剤、熱安定化剤、抗酸
化剤、顔料、溶解助剤などを混入してもよい。
ドープが光学異方性か光学異方性であるかは、公知の
方法、例えば特公昭50−8474号公報記載の方法で調べる
ことができるが、その臨界点は溶媒の種類、温度、ポリ
マー濃度、ポリマーの重合度、非溶媒の含有量等に依存
するので、これらの関係をあらかじめ調べることによっ
て光学異方性ドープを作り、光学異方性ドープとなる条
件に変えることで、光学異方性から光学異方性に変える
ことができる。
このようにして調製されたドープは、光学異方性を保
ったままダイ、例えばスリットダイから支持面上に流延
される。流延においては、ダイからの吐出速度を、ダイ
を通過するときの平均剪断速度が50秒-1以上になるよう
にすることが重要である。50秒-1未満では、無機粒子の
分散が不充分なためか突起の形成にバラツキが生じるこ
とが多い。剪断速度は好ましくは100秒-1以上である。
本発明において、流延およびそれに続く光学等方性へ
の転化、凝固、洗浄、延伸、乾燥などの工程を連続的に
行なっても、これらの全部または一部を断続的に、つま
り回分式に行なってもよい。
本発明に用いられる支持面は、ベルトやドラムの形状
で、あるいは板状物として用いられる。その材質は耐酸
性があり、表面仕上げが可能なものであれば特に限定さ
れず、例えばガラス、ハステロイ、タンタル、金、白
金、窒化チタン等のメッキを施した金属などが好ましく
用いられ、特に好ましくはこれらの材料がいわゆる鏡面
仕上げされているものである。
本発明のフィルムを得る方法は、ドープを支持面上に
流延した後、凝固に先立ってドープを光学異方性から光
学等方性に転化するものである。光学異方性から光学等
方性にするには、具体的には支持面上に流延した光学異
方性ドープを凝固に先立ち、吸湿させてドープを形成す
る溶剤の濃度を下げ、溶剤の溶解能力およびポリマー濃
度の変化により光学等方性域に転移させるか、または加
熱することによりドープを昇温し、ドープの相を光学異
方性に転移させる、あるいは吸湿と加熱とを同時または
逐次的に併用することにより達成できる。特に、吸湿を
利用する方法は、加熱を併用する方法も含めて光学異方
性の光学等方化が効率よく、かつパラ系芳香族ポリアミ
ドの分解を引き起こすことなくできるので有用である。
ドープを吸湿させるには、通常の温度・湿度の空気で
もよいが、好ましくは加湿または加温加湿された空気を
用いる。加湿空気は飽和蒸気圧を超えて霧状の水分を含
んでいてもよく、いわゆる水蒸気であってもよい。ただ
し、約45℃以下の過飽和水蒸気は、大きい粒状の凝縮水
を含むことが多いので好ましくはない。吸湿は通常、室
温〜約180℃、好まくは50〜150℃の加湿空気によって行
なわれる。
加熱による方法の場合、加熱の手段は得に限定され
ず、上記のごとき加湿された空気を流延ドープに当てる
方法、赤外線ランプを照射する方法、誘電加熱による方
法などである。
支持面上で光学等方化された流延ドープは、次に凝固
を受ける。本発明において、ドープの凝固液として使用
できるのは、30重量%以上の硫酸水溶液である。30重量
%未満の硫酸水溶液は、水を含めてドープの凝固速度が
大きすぎるためか、表面精度の優れたフィルムを得るの
が難しくなる。凝固浴は好ましくは40〜70重量%の硫酸
水溶液である。
本発明において、凝固液の温度は10℃以下にする必要
がある。これは、この温度が低いほど凝固速度を小さく
できることと、フィルムに包含されるボイドが少なくな
るという傾向が見出され、したがってフィルムの表面精
度が向上するからである。凝固浴温度は好ましくは5℃
以下であり、さらに好ましくは0〜−40℃である。
凝固されたフィルムは、そのままでは酸が含まれてい
るため、加熱による機械的物性の低下の少ないフィルム
を製造するには酸分の洗浄、除去をできるだけ行なう必
要がある。酸分の除去は、具体的には約500ppm以下まで
行なうことが望ましい。洗浄液としては水が通常用いら
れるが、必要に応じて温水で行なったり、アルカリ水溶
液で中和洗浄した後、水などで洗浄してもよい。洗浄
は、例えば洗浄液中でフィルムを走行させたり、洗浄液
を噴霧する等の方法により行なわれる。
洗浄されたフィルムを、次に乾燥を受ける前に湿潤状
態で延伸する必要がある。延伸は2方向に1.1倍以上の
延伸倍率で行なう。このとき、フィルム内に含有されて
いる水分が汗のごとく出てくることがしばしば見受けら
れる。延伸はMD方向とTD方向でその倍率が異なっていて
もよいが、少なくとも1.1倍以上に延伸することがフィ
ルムの表精度を上げるために大切である。好ましくは1.
15倍以上の延伸倍率をとったほうがよい。2方向の延伸
は、同時2軸延伸であっても、逐次的に1軸ずつ延伸し
てもよい。延伸によって延伸方向にパラ系芳香族ポリア
ミド分子鎖を配向させることができるため、機械的性質
が向上するとともに表面精度が向上する。
乾燥は、緊張下、定長下またはわずかに延伸しつつ、
フィルムが収縮しないように行なう必要がある。もし洗
浄液(例えば水)の除去とともに収縮する傾向を有する
フィルムを、何らの収縮の制限を行なうことなく乾燥し
た場合には、ミクロに不均一な構造形成(結晶化など)
が起こるためか、得られるフィルムの光線透過率が小さ
くなってしまう。また、フィルムの平面性が損なわれた
り、カールしてしまうこともある。収縮を制限しつつ乾
燥するには、例えばテンター乾燥機や金属枠に挟んでの
乾燥などを利用することができる。乾燥にかかる他の条
件は特に制限されるものではなく、加熱気体(空気、窒
素、アルゴンなど)や常温気体による方法、電気ヒータ
ーや赤外線ランプなどの輻射熱の利用法、誘電加熱法な
どの手段から自由に選ぶことができ、乾燥温度も特に制
限されるものではないが、常温以上であればよい。ただ
し、機械的強度を大にするためには高温のほうが好まし
く、100℃以上、さらに好ましくは200℃以上が用いられ
る。乾燥の最高温度は特に限定されるものではないが、
乾燥エネルギーやポリマーの分解性を考慮すれば500℃
以下が好ましい。
〔実施例〕
以下に実施例を示すが、これらの実施例は本発明を説
明するものであって、本発明を限定するものではない。
なお、実施例中特に規定しない場合は重量部または重量
%を示す。対数粘度ηinhは98%硫酸100mlにポリマー0.
5gを溶解し、30℃で常法で測定した。ドープの粘度は、
B型粘度計を用い1rpmの回転速度で測定したものであ
る。フィルムの厚さは、直径2mmの測定面を持ったダイ
ヤルゲージで測定した。強伸度およびヤング率は、定速
伸長型強伸度測定機によりフィルム試料を100mm×10mm
の長方形に切り取り、最初のつかみ長さ30mm、引張速度
30mm/分で荷重−伸長曲線を5回描き、これより算出し
たものである。
フィルム表面の突起の大きさおよび表面粗度(Ra)
は、東京精密社製三次元表面形状測定器(サーフコム55
0)を用いて測定した。突起の数は日本電子製走査型電
子顕微鏡を用い、3500倍で撮影した写真を用い、一定面
積内の突起の数をカレントし、mm2当たりの数を計算に
よって求めた。また動摩擦係数はASTM D 1894により測
定した。
実施例1 一時粒子径0.25μmの粒度のSiO2を99.6%の硫酸に添
加して激しく撹拌した。SiO2のPPTAに対する割合は0.3
重量%とした。次いでこの分散液に、ηinh5.8のPPTAを
ポリマー濃度12重量%になるように溶解し、60℃で光学
異方性を持つドープを得た。このドープは、約30℃で96
00ポイズであった。このドープを55〜65℃で約4時間真
空下に脱気した。
このドープを、タンクから静止型混合機を通しギアポ
ンプを経てダイに到る1.5mの約70℃に保った曲管中を通
し、0.15mm×250mmのスリットを有するダイから、鏡面
に磨いたタンタル製のベルトに剪断速度750秒-1でキャ
ストし、相対湿度約85%の約90℃の空気を吹きつけて流
延ドープを光学等方化し、ベルトとともに0℃の30重量
%硫酸水溶液の中に導いて凝固させた。次いで凝固フィ
ルムをベルトから引き剥がし、約40℃の温水中を走行さ
せて洗浄した。洗浄の終了したフィルムを、テンターを
用いてMD、TDに1.15倍ずつ延伸し、次いで200℃で熱風
乾燥した。その後、ホットプレートを用いて定長下に35
0℃で熱処理した。その結果を第1表に示す。
実施例2、3、4および比較例1、2、3 ドープに添加するSiO2粒子の大きさ、量を変え、実施
例1と同様にフィルムを製造した結果を第1表に示す。
〔発明の効果〕 本発明のフィルムは、実施例に示したように市販のフ
ィルムには見られない高い強度と高いヤング率で表わさ
れる良好な機械的性質を有し、しかも表面精度が非常に
良好な面と易滑性の面とを併せ持っている。またこれら
の性質のみならず、優れた電気絶縁性、耐熱性、耐油
性、耐圧性、強酸以外の耐薬品性、構造の緻密性を有す
る。このため本発明のフィルムは、高速回転する電気機
器の絶縁材料や磁気テープ、フレキシブルプリント配線
基板、熱転写プリンター用テープ、電線被覆材、濾過膜
等に好適に使用することができ、さらにもう1つの特徴
である透明性に優れていることから、包装材料、製版材
料、写真フィルム等にも有用なものである。
特に、本発明のフィルムは高いヤング率と強い耐引裂
性、高い易滑性と平滑性を全て備えているので、ビデオ
テープ、コンピュータテープ、オーディオテープ、フロ
ッピィディスク、各種カード(電話、乗車券、定期乗車
券など)などの磁気テープとして有用で、ことに画像の
鮮明性や安定性にも優れた高品質のビデオテープとして
有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // G11B 5/704 G11B 5/704 B29K 77:00 B29L 7:00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対数粘度が3.5以上のパラ系芳香族ポリア
    ミドよりなるフィルムであって、全ての方向の引張伸度
    が8%以上であり、また動摩擦係数が0.08〜0.27および
    表面粗度が0.013〜0.018μmであり、かつフィルム表面
    に無機粒子より形成された高さ0.06〜0.25μmの突起が
    104〜105個/mm2存在することを特徴とする高易滑性ポリ
    アミドフィルム。
  2. 【請求項2】対数粘度が3.5以上のパラ系芳香族ポリア
    ミドと、濃度が95重量%以上の硫酸およびパラ系芳香族
    ポリアミドに対して0.1〜2重量%の平均粒子径が0.11
    〜0.50μmの微粒状無機粒子とから実質的になる光学異
    方性ドープを、光学異方性を保ったまま支持面上に平均
    剪断速度が50秒-1以上になるように流延し、吸湿または
    /および加熱により該ドープを光学等方性に転化したの
    ち、10℃以下に保持した30重量%以上の硫酸水溶液中で
    凝固させ、次いで洗浄し、さらにフィルムを1.1倍以上
    に延伸しつつ乾燥することを特徴とするポリアミドフィ
    ルムの製法。
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