JP2624528B2 - フィルムおよびその製造法 - Google Patents

フィルムおよびその製造法

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JP2624528B2 JP26914788A JP26914788A JP2624528B2 JP 2624528 B2 JP2624528 B2 JP 2624528B2 JP 26914788 A JP26914788 A JP 26914788A JP 26914788 A JP26914788 A JP 26914788A JP 2624528 B2 JP2624528 B2 JP 2624528B2
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隆 藤原
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)
(以下、PPTAと称する)から実質的になるフィルムおよ
びその製造法に関し、さらに詳しくは寸法安定性に優れ
た耐熱性のPPTAから実質的になるフィルムおよびそれを
得る製造法に関するものである。
〔従来の技術〕
PPTAは、特に優れた結晶性や高い融点を有し、また剛
直な分子構造の故に、耐熱性で高い機械的強度を有して
おり、近年、特に注目されている高分子素材である。
PPTAを含むパラ配向性の芳香族ポリアミドからフィル
ムをつくる方法としては、例えば特公昭57−17886号公
報に開示されているように、光学異方性ドープを光学等
方性ドープに相変換させて凝固させるという独特の方法
がとられている。しかし、該公報に開示されたフィルム
は、そのままでは、寸法安定性の点でいまだ不充分なこ
とがわかった。例えば、吸湿による膨脹はかなり大き
く、また熱収縮率も大きいため、厳しい寸法安定性の要
求される用途にはそのままのフィルムでは使えないこと
が判明した。そして、これらは、従来高知のPPTAフィル
ム全般に共通した課題といえよう。
一方、パラ配向性の芳香族ポリアミドフィルムの吸湿
特性を改良する試みが、例えば特公昭56−46421号公報
等に開示されている。該公報には芳香族基を塩素置換し
た芳香族ポリアミドフィルムが記載されており、これに
よれば導入された塩素原子の効果による吸湿寸法安定性
が増加するようである。しかしながら、熱寸法安定性は
かえって低下してしまうという欠点がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、機械的性能および耐熱性に優れたPP
TAから実質的になるポリマーを用いて、熱および湿度の
双方に対する寸法安定性に優れたフィルムと、その工業
的な製造法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記目的に沿ったフィルムを得るべく
鋭意研究を重ねた結果、次の知見を得た。
特公昭57−17886号公報に開示された技術、すなわち
パラ配向性の芳香族ポリアミドの光学異方性ドープをま
ずつくり、これを光学等方化して凝固することにより、
透明性のある機械的性能に優れたフィルムを得る方法に
おいて、乾燥を高温でかつ収縮させずに行うことによ
り、フィルムの結晶性および分子鎖配向性を高め、その
後乾燥温度よりも若干低い温度で熱固定することによっ
て、熱、湿度および外力のすべてに対して極めて寸法安
定性の優れたフィルムが得られるという予想外の発見を
した。
本発明者らは、この知見をもとに、さらに研究を重ね
た結果、本発明を結実させたものである。
すなわち、本発明の第1は、対数粘度が3.5以上の実
質的にポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)よりな
るフィルムであって、25℃から250℃までの熱膨脹係数
が(5±10)×10-6mm/mm/℃、250℃における熱収縮率
が0.1%以下、25℃における吸湿膨脹係数が30×10-6mm/
mm/%RH以下、かつ25℃ 65%RHにおける吸湿率が2.5重
量%以下であることを特徴とするフィルムである。
また本発明の第2は、対数粘度が3.5以上の実質的に
ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)よりなるポリ
マーと95重量%以上の硫酸とから実質的になる光学異方
性ドープを支持面上に流延し、該ドープを光学等方性に
転化したのち凝固させるフィルムの製造法において、凝
固・洗浄後の湿潤フィルムを収縮させずに350℃以上の
温度T1(℃)で乾燥し、または任意の温度で収縮させず
に乾燥したのち収縮させずに350℃以上の温度T1(℃)
で熱処理し、次いで250℃≦T2≦(T1−20)℃なる式を
満足する温度T2(℃)で、0〜0.8kg/mm2の張力下に熱
処理を行うことを特徴とするフィルムの製造法である。
本発明に用いられるPPTAは、実質的に で表わされるポリマーであり、従来公知のパラフェニレ
ンジアミンとテレフタロイルクロライドから、低温溶液
重合法により製造するのが好都合である。なお、本発明
に用いるポリマーには、PPTA以外の成分が、少量共重合
されたり、ブレンドされていてもよく、例えばメタフェ
ニレン、4,4′−ジフェニレン、4,4′−ジフェニレンエ
ーテル、3,4−ジフェニレンエーテル等を含む芳香族ポ
リアミド、芳香環置換されたPPTAなどがそれらの成分と
して挙げられる。
本発明のポリマーの重合度は、あまり低いと機械的性
質の良好なフィルムが得られなくなるため、3.5以上、
好ましくは4.5以上の対数粘度ηinh(硫酸100mlにポリ
マー0.5gを溶解して30℃で測定した値)を与える重合度
のものが選ばれる。
本発明のフィルムは以下に述べる要件を満たすべきで
ある。
まず第1に、本発明のフィルムの熱膨脹係数が25〜25
0℃の範囲で測定して−5×10-6〜15×10-6mm/mm/℃の
範囲内にあることである。この範囲の熱膨脹係数を持つ
ということは、250℃までの温度に加熱しても、ほとん
ど長さが変わらないことを意味している。そして、この
数字は、セラミックスのそれに近く、金属のそれよりも
少し小さい。このような熱に対する寸法安定性の非常に
優れたフィルムは、乾燥時の収縮を防止して分子鎖の面
配向性を高いレベルに保つこと、350℃以上での乾燥ま
たは熱処理によって結晶性を高めることによって得るこ
とができる。本発明のフィルムは、このように小さい熱
膨脹係数を有するため、高温での使用、ことにセラミッ
クスや金属との積層体として高温や温度差の大きい用途
に使用するとき、例えばカールなどを全く起こさず、そ
の効果を十二分に発揮することができる。
第2に、本発明のフィルムの250℃における熱収縮率
は0.1%以下、好ましくは0.05%以下であるべきであ
る。本発明のフィルムは、熱収縮率が極めて小さく、現
在耐熱性フィルムとして大きい地位を占めているポリイ
ミドフィルムよりも優れている。このように熱収縮率の
極めて小さい本発明のフィルムは、乾燥または熱処理に
よって高められた配向性および結晶性を実質的に減少さ
せることなく、乾燥または熱処理温度よりも少し低い
が、250℃以上の温度で、無緊張下または低張力下にフ
ィルムを熱固定することによって得られる。
第3に、本発明のフィルムの25℃における吸湿膨脹係
数は30×10-6mm/mm/%RH以下、好ましくは20×10-6mm/m
m/%RH以下である。このように吸湿による寸法変化が小
さいという特徴は、高温多湿の夏と低湿乾燥の冬との季
節間差に関係なく、フィルムが一定の性能や機能を発揮
する上で重要であり、高温での乾燥または熱処理によっ
て高い結晶性と配無性を保持することにより達成され
る。
第4に、本発明のフィルムの25℃ 65%RHにおける吸
湿率は2.5重量%以下である。これは、高温乾燥または
熱処理によって独特の高結晶性を与えることにより得ら
れる。吸湿率が2.5重量%より大きいフィルムは、蒸着
等の加工が施しにくいという欠点に加えて、電気特性
(例えば絶縁抵抗や誘電率など)が大幅に変動し、電気
用途での有用さが減少してしまう。
本発明のフィルムとしては、以上のごとき必須要件以
外にも、以下の特徴を備えているものが好ましい。
本発明のフィルムは、その少なくとも一方向のヤング
率が700kg/mm2以上であることが好ましく、特にすべて
の方向のヤング率が800kg/mm2以上であることがより好
ましい。この特徴は、機械的な外力に対する寸法安定性
と関連がある。このような大きなヤング率は、フィルム
の製造において、水洗後、乾燥前に有効な延伸を施すこ
とによって容易に達成することができる。
本発明のフィルムは、好ましくは極めて高い透明性を
有している。高い透明性は、例えば600nmの波長の可視
光線の透過率が好ましくは55%以上、より好ましくは70
%以上である。
また、本発明のフィルムは、好ましくは、実質的にボ
イドを含まない。
さらに、本発明のフィルムは、通常、その密度が1.37
0〜1.405g/cm3の範囲にある。この密度の値は四塩化炭
素−トルエンを使用した密度勾配管法により30℃で測定
されたものである。この密度の範囲は、公知のPPTA繊維
のそれが1.43g/cm3から1.46g/cm3の範囲にあるのに較べ
てかなり小さい値である。該密度が1.370g/cm3未満にな
ると機械的物性が低下し、1.405g/cm3を超えると脆くな
り、したがってタフさの損なわれたフィルムとなり易
い。いずれにしても、このように密度が小さいことか
ら、軽くて高強度のフィルムが得られることになる。
本発明のフィルムとして、以下に述べるX線回折によ
る結晶配向角で定義される面配向性を持っているのが好
ましい。すなわちフィルム表面に直角に入射したX線に
よる2θ≒23゜のピークに関する結晶配向角が30゜以上
であり、フィルム表面に並行に入射したX線による2θ
≒18゜のピークに関する結晶配向角が60゜以下であるの
が好ましい。
X線の入射はフィルム表面に直角に入射する場合(以
下、TV方向と称する)と表面に並行に入射する場合(以
下、SV方向と称する)とに分けられる。
本発明のフィルムはTV方向からのX線により2θ≒23
゜に大きな回折ピークを持つが、この2θ≒23゜におけ
る結晶配向角が30゜以上であるのが好ましく、さらに50
゜以上であることがより好ましい。さらにSV方向からの
入射により2θ≒18゜の大きな回折ピークが赤道線上に
現れるが、この2θ≒18゜における結晶配向角が60゜以
下であるのが好ましい。これらの両方の結晶配向角が満
たされたとき本発明のフィルムがいわゆる面配向の構造
を持つということがいえ、フィルムの引取方向およびそ
れと直角な方向の双方ともに高い機械的性質(例えば強
度、伸度、ヤング率)を有し、また大きい引裂き強度を
有する上で非常に好ましい。そしてこの点において、特
公昭55−14170号公報に開示された「フィルム」と明確
に区別できる。
結晶配向角の測定方法としては公知の方法が採用で
き、例えば次のような方法によって行われる。所定の2
θの角度に計数管を置き、フィルムを180゜回転するこ
とにより、回折強度曲線を得る。なお、TVにおいては、
最高強度を中心とし、前後90゜の間を回転させる。この
曲線の最高強度の、最低強度点間に引いたベースライン
に対する半分の強度を示す点に対応する。回折写真にお
ける円弧長を度で表わした値(すなわち、最高強度のベ
ースラインに対する50%の点に対する角度)を測定し、
それを試料の結晶配向角とする。測定に際し、フィルム
は必要により何故か重ねて回折強度を測ることができ
る。
次に、このようなPPTAから実質的になるフィルムを得
る方法について述べる。
本発明の方法において、まずPPTAから実質的になるポ
リマーの光学異方性ドープを調製する必要がある。
本発明のフィルムの成型に用いるドープを調製するの
に適した溶媒は、95重量%以上の濃度の硫酸である。95
%未満の硫酸では溶解が困難であったり、溶解後のドー
プが異常に高粘度になる。本発明のドープには、クロル
硫酸、フルオロ硫酸、五酸化リン、トリハロゲン化酢酸
などが少し混入されていてもよい。硫酸は100重量%以
上のものも可能であるが、ポリマーの安定性や溶解性な
どの点から98〜100重量%濃度が好ましく用いられる。
本発明に用いられるドープ中のポリマー濃度は、常温
(約20〜30℃)またはそれ以上の温度で光学異方性を示
す濃度以上のものであり、具体的には約10重量%以上の
濃度が好ましい。これ以下のポリマー濃度、すなわち常
温またはそれ以上の温度で光学異方性を示さないポリマ
ー濃度では、成型されたフィルムが好ましい機械的性質
を持たなくなることが多い。ドープのポリマー濃度の上
限は特に限定されるものではないが、通常は20重量%以
下、特に高いηinhのポリマーに対しては18重量%以下
が好ましく、さらに好ましくは16重量%以下である。
本発明のドープには普通の添加剤、例えば、増量剤、
除光沢剤、紫外線安定化剤、熱安定化剤、抗酸化剤、顔
料、溶解助剤などを混入してもよい。
ドープが光学異方性か光学等方性であるかは、公知の
方法、例えば特公昭50−8474号公報記載の方法で調べる
ことができるが、その臨界点は、溶媒の種類、温度、ポ
リマー濃度、ポリマーの重合度、非溶媒の含有量等に依
存するので、これらの関係を予め調べることによって、
光学異方性ドープをつくり、光学等方性ドープとなる条
件に変えることで、光学異方性から光学等方性に変える
ことができる。
本発明に用いられるドープは、成形・凝固に先立って
可能な限り不溶性のゴミ、異物等を濾過等によって取除
いておくこと、溶解中に発生または巻き込まれる空気等
の気体を取除いておくことが好ましい。脱気は、一旦ド
ープを調製したあとに行うこともできるし、調製のため
の原料の仕込み段階から一貫して真空(減圧)下に行う
ことによっても達成し得る。ドープの調製は連続または
回分で行うことができる。
このようにして調製されたドープは、光学異方性を保
ったまま、ダイ、例えばスリットダイから、移動してい
る支持面上に流延される。本発明において、流延および
それに続く光学等方性への転化、凝固、洗浄、延伸、乾
燥などの工程は、好ましくは連続的に行われるが、もし
必要ならば、これらの全部または一部を断続的に、つま
り回分式に行ってもよい。
本発明の機械的性質に優れた透明フィルムを得る方法
は、ドープを支持面上に流延した後、凝固に先立ってド
ープを光学異方性から光学等方性に転化するものであ
る。
光学異方性から光学等方性にするには、具体的には支
持面上に流延した光学異方性ドープを凝固に先立ち、吸
湿させてドープを形成する溶剤の濃度を下げ、溶剤の溶
解能力およびポリマー濃度の変化により、光学等方性域
に転移させるか、または加熱することによりドープを昇
温し、ドープの相を光学等方性に転移させるか、または
吸湿と加熱とを同時もしくはこれらを逐次的に併用する
ことにより達成することができる。
特に、吸湿を利用する方法は、加熱を併用する方法も
含めて、光学異方性の光学等方化が効率よく、かつポリ
マーの分解を引き起こすことなくできるので、有用であ
る。
ドープを吸湿させるには、通常の温度・湿度の空気で
もよいが、好ましくは、加湿または加温加湿された空気
を用いる。加湿空気は飽和蒸気圧を超えて霧状の水分を
含んでいてもよく、いわゆる水蒸気であってもよい。た
だし、約45℃以下の過飽和水蒸気は、大きい粒状の凝縮
水を含むことが多いので好ましくない。吸湿は通常、室
温〜約180℃、好ましくは50〜150℃の加湿空気によって
行われる。
加熱による方法の場合、加熱の手段は特に限定され
ず、上記のごとき加湿加熱された空気を流延ドープに当
てる方法、赤外線ランプを照射する方法、誘電加熱によ
る方法などがあげられる。
支持面上で光学等方化された流延ドープは、次に凝固
をうける。本発明において、ドープの凝固液として使用
できるのは、例えば水、約70重量%以下の希硫酸、約20
重量%以下の水酸化ナトリウム水溶液およびアンモニア
水、約10重量%以下の硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム
水溶液および塩化カルシウム水溶液などである。
本発明において、凝固液の温度は、好ましくは15℃以
下であり、さらに好ましくは5℃以下である。一般に、
凝固液温度を低くしたほうが、フィルムに包含されるボ
イドが少なくなる傾向があることがわかった。
凝固されたフィルムはそのままでは酸が含まれている
ため、加熱による機械的物性の低下の少ないフィルムを
製造するには、酸分の洗浄、除去をできるだけ行う必要
がある。酸分の除去は、具体的には約500ppm以下まで行
うことが望ましい。洗浄液としては水が通常用いられる
が、必要に応じて温水で行ったり、アルカリ水溶液で中
和洗浄した後、水などで洗浄してもよい。洗浄は、例え
ば洗浄液中でフィルムを走行させたり、洗浄液を噴霧す
る等の方法により行われる。
洗浄されたフィルムは、次に乾燥をうける。乾燥、つ
まり水分の減少に伴って、フィルムを無張力下に置く
と、一般にフィルムは収縮を起こすが、本発明の実施に
当たっては、乾燥工程でフィルムを収縮させないことが
肝要である。ここで、収縮をさせないという表現は、定
長のまま乾燥させることと、延伸しつつ乾燥させること
の両方の意味を含む。そして、例えば、フィルムの一方
向にのみ延伸し、他方向は定長のままという態様も含ま
れる。本発明において、乾燥温度の選定も重要であり、
350℃以上の雰囲気温度(T1℃)で実施するか、または
一旦任意の温度で乾燥したのち、350℃以上の温度(T1
℃)で収縮をさせずに熱処理する。ここで、乾燥とはフ
ィルムからの水分の除去を意味し、それ以降のフィルム
の物理的構造(例えば結晶状態)を変化させるのを熱処
理と称する。いずれにせよ、350℃以上の温度T1で緊張
下に構造の固定を行う必要があり、これによって、熱膨
脹係数や吸湿膨脹係数を小さくし、吸湿を抑えることが
できる。
本発明において、350℃以上の温度T1(℃)で乾燥
(または熱処理)をしたのち、250℃≦T2≦(T1−20)
℃を満たす温度T2(℃)で0〜0.8kg/mm2の無緊張下、
または低張力下に熱処理を行うことも肝要である。これ
はいわゆる実質的無緊張下に熱固定を行うことを意味
し、この熱固定によって熱収縮率を小さくでき、また副
次的に耐引裂性を向上できる。
上記した収縮をさせずに乾燥や熱処理を行うには、例
えばテンターや金属枠に挟んでオーブン中に入れるなど
の方法により、また、弛緩下または低張力下の乾燥は、
自由端の状態でオーブン中に入れる方法やテンターを定
長にして温度を約50℃より大きく下げる(つまりT1−T2
≧50(℃))方法、テンターの把持間隔を少し狭めるな
どの方法により実施できる。乾燥や熱処理に係る他の条
件は特に制限されるものではなく、加熱気体(空気、窒
素、アルゴンなど)や常温気体による方法、電気ヒータ
や赤外線ランプなどの輻射熱の利用法、誘電加熱法など
の手段から自由に選ぶことができる。
本発明の方法において、全工程を通して連続してフィ
ルムを走行させつつ製造することが好ましい実施態様の
1つであるが、望むならば部分的に回分式に行ってもよ
い。また任意の工程で油剤、識別用の染料などをフィル
ムに付与しても差し支えない。
なお、本発明において、透明性の優れた、すなわち光
線透過率の極めて大きい、フィルムを得るために、ドー
プ無論のこと、吸湿用気体、加熱用気体、支持面体、凝
固液、洗浄液、乾燥気体等のゴミやチリの含有量が可及
的に少なくなるようにすることが好ましく、この点、い
わゆるクリーンルームやクリーン水で本発明のフィルム
を製造するのも好ましい実施態様の1つである。
〔実施例〕
以下に実施例を示すが、これらの実施例は本発明を説
明するものであって、本発明を限定するものではない。
なお、実施例中特に規定しない場合は重量部または重量
%を示す。体数粘度ηinhは98%硫酸100mlにポリマー0.
5gを溶解し、30℃で常法で測定した。ドープの粘度は、
B型粘度計を用い1rpmnの回転速度で測定したものであ
る。フィルムの厚さは、直径2mmの測定面を持ったダイ
ヤルゲージで測定した。強伸度およびヤング率は、定速
伸長型強伸度測定機により、フィルム試料を100mm×10m
mの長方形に切取り、最初のつかみ長さ30mm、引張速度3
0mm/分で荷重−伸長曲線を5回描き、これより算出した
ものである。
膨脹係数の測定には、熱機械分析装置を用い、幅5mm
把持部間長さ15mmの試料に0.05kg/mm2の荷重をかけて行
った。熱膨脹係数の場合、25〜250℃の間で試料の寸法
変化を測定し、25〜250℃間の変化率を225で除いて算出
した。一方、吸湿膨脹係数の場合には、25℃において、
まず20%相対湿度に保持したのち、加湿機から80%相対
湿度に上昇するまで加湿し、この間の寸法変化率を60で
除して算出した。
吸湿率は、25℃、65%相対湿度に48時間フィルムを静
置して測定した重量と、それを次いで120℃真空乾燥機
で恒量に達するまで乾燥して得たフィルムの重量とから
算出した。
250℃における熱収縮率は、0.05kg/mm2の張力を付与
して250℃のオーブン中に30分間放置し、このオーブン
処理前後の室温(25℃)における寸法変化から計算した
ものである。
実施例1〜5および比較例1〜2 ηinhが5.5のPPTAポリマーを99.7%の硫酸にポリマー
濃度11.5%で溶解し、60℃で光学異方性のあるドープを
得た。このドープの粘度を常温で測定したところ、10,6
00ポイズだった。製膜し易くするために、このドープを
約70℃に保ったまま、真空下に脱気した。この場合も上
記と同じく光学異方性を有し、粘度は4400ポイズであっ
た。タンクからフィルタを通し、ギアポンプを経てダイ
に到る1.5mの曲管を約70℃に保ち、0.1mm×300mmのスリ
ットを有するダイから、鏡面に磨いたタンタル製のベル
トにキャストし、相対湿度約12%の約105℃の空気を吹
き付けて、流延ドープを光学等方化し、ベルトともに、
5℃の水の中に導いて凝固させた。次いで凝固フィルム
をベルトから引きはがし、約40℃の温水中を走行させて
洗浄した。洗浄の終了したフィルムを乾燥させずにテン
ターで長さ方向および幅方向に各々15%ずつ延伸し、次
いで別のテンターを用いて定長下に370℃で熱風乾燥し
た。さらに、フィルムを第3のテンターに導き、幅方向
および長さ方向の把持長が5%ずつ小さくなるようにク
リップ状把持部を調整して第1表に示す温度で熱処理
(熱固定)した。第3テンターでの張力は0〜0.3kg/mm
2の範囲内にあった。
得られたフィルムは、厚み20μm、ηinh5.0〜5.2、
光線透過率70〜77%、密度1.390〜1.405の間に合った。
実施例6 ηinhが4.8のPPTAを99.5%硫酸に12%で溶解し45℃で
光学異方性のある3600ポイズのドープを得た。脱気、濾
過したのち、0.08mm×300mmのスリットを有するダイか
ら、このドープをタンタル製のベルト上に流延した。相
対湿度約80%の約75℃の空気を吹き付けて流延ドープを
透明な光学等方性ドープに転化し、次いで0℃の10%硫
酸水溶液で凝固させた。凝固したフィルムをベルトから
はがしたのち、常温の水、2%カセイソーダ水溶液、約
30〜40℃の水の順に洗浄した。
洗浄されて約250〜350%の水を含有する湿潤フィルム
を180℃の熱風の循環するテンター中で、定長下に乾燥
した。
乾燥の終了したフィルムを取出し、ステンレス製の枠
に固定して、400℃のオーブン中に約45秒入れ、さらに
ステンレス枠からフィルムを取外して、荷重や張力を全
くかけない状態で、300℃のオーブンに約1分間入れて
熱固定した。
得られたフィルムは、厚み13.0μm、ηinh4.4、光線
透過率81%、密度1.401g/cm3、強度32kg/mm2、伸度23
%、ヤング率940kg/mm2、吸湿率0.9%、熱収縮率0.01%
以下、熱膨脹係数13×10-6mm/mm/℃、吸湿膨脹係数12×
10-6mm/mm/%RHの等方的な性質を持つフィルムであっ
た。
〔発明の効果〕
本発明のフィルムは、実施例に示したように市販のフ
ィルムには見られない高い強度と高いヤング率で表わさ
れる良好な機械的性質を有している。またこれらの機械
的特性のみならず、優れた電気絶縁性、耐熱性、耐油
性、耐圧性、強酸以外の耐薬品性、構造の緻密性を有す
る。このため、本発明のフィルムは、高速回転する電気
機器の絶縁材料や磁気テープ、フレキシブルプリント配
線基板、電線被覆材、濾過膜等に好適に使用することが
でき、さらにもう一つの特徴である透明性に優れている
ことから、包装材料、製版材料、写真フィルム等にも有
用なものである。
特に本発明のフィルムは、温度および湿度に対する寸
法安定性に優れ、吸湿率も相当低いレベルにあるため、
フレキシブルプリント配線基板、磁気テープ、電気絶縁
材、コンデンサ用誘電体、サーマルプリンターテープと
して特に有用である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対数粘度が3.5以上の実質的にポリ(p−
    フェニレンテレフタルアミド)よりなるフィルムであっ
    て、25℃から250℃までの熱膨脹係数が(5±10)×10
    -6mm/mm/℃、250℃における熱収縮率が0.1%以下、25℃
    における吸湿膨脹係数が30×10-6mm/mm/%RH以下、かつ
    25℃ 65%RHにおける吸湿率が2.5重量%以下であるこ
    とを特徴とするフィルム。
  2. 【請求項2】対数粘度が3.5以上の実質的にポリ(p−
    フェニレンテレフタルアミド)よりなるポリマーと95重
    量%以上の硫酸とから実質的になる光学異方性ドープを
    支持面上に流延し、該ドープを光学等方性に転化したの
    ち凝固させるフィルムの製造法において、凝固・洗浄後
    の湿潤フィルムを収縮させずに350℃以上の温度T
    1(℃)で乾燥し、または任意の温度で収縮させずに乾
    燥したのち収縮させずに350℃以上の温度T1(℃)で熱
    処理し、次いで250℃≦T2≦(T1−20)℃なる式を満足
    する温度T2(℃)で、0〜0.8kg/mm2の張力下に熱処理
    を行うことを特徴とするフィルムの製造法。
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