JP2628900B2 - 易滑性ポリアミドフイルム - Google Patents

易滑性ポリアミドフイルム

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JP2628900B2
JP2628900B2 JP25483288A JP25483288A JP2628900B2 JP 2628900 B2 JP2628900 B2 JP 2628900B2 JP 25483288 A JP25483288 A JP 25483288A JP 25483288 A JP25483288 A JP 25483288A JP 2628900 B2 JP2628900 B2 JP 2628900B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、パラ系芳香族ポリアミドフイルムに関し、
さらに詳しくはフイルムの長尺方向(以下、MD方向と略
す)および幅方向(以下、TD方向と略す)共に優れた機
械特性を示し、かつ優れた表面性と易滑性を兼備し、低
吸湿性のパラ系芳香族ポリアミドに関するものである。
(従来の技術) パラ系芳香族ポリアミドは、特に優れた結晶性や高い
融点を存し、また剛直な分子構造の故に、耐熱性で高い
機械的強度を有しており、近年、特に注目されている高
分子素材である。またその光学異方性を示す濃厚溶液か
ら紡糸された繊維は高い強度およびモジユラスを示すこ
とが報告され、すでに工業的に実施されるに到つている
が、フイルムへの応用例の提案は少なく、実用化例もい
まだ知られていない。
パラ系芳香族ポリアミドの代表的なポリマーであるポ
リ−p−フエニレンテレフタルアミド(以下、PPTAと称
する。)の有する問題点としては、その有用な高分子量
のポリマーは有機溶媒に難溶であり、濃硫酸等の無機の
強酸が溶媒として用いらねばならないということがあげ
られ、これを回避するために、例えば特公昭56−45421
号公報では、パラ系芳香族ポリアミドの芳香核にハロゲ
ン基を導入した単位と、PPTA以外の芳香核に置換基をも
たない芳香族ポリアミドを共重合することにより有機溶
媒に可溶とし、それからフイルムを得ようとする試みが
なされている。しかし、これはモノマーが高価なため、
コストが高くなる上、折角のパラ系芳香族ポリアミドの
耐熱性や結晶性を損なう欠点がある。
このため、置換基を有しないパラ系芳香族ポリアミド
の光学異方性ドープを押出し凝固させることによりフイ
ルムを得る方法がいくつか開示されている(特公昭59−
14567号公報、特公昭57−35088号公報、特公昭59−5407
号公報および特開昭54−132674号公報)。しかしなが
ら、これらの方法は、得られるフイルムの物性の異方性
が大きすぎること、製造方法が複雑であること等の理由
より実用的なフイルムの工業的製造方法としては難点が
ある。
特公昭57−17886号公報には、パラ系芳香族ポリアミ
ドの光学異方性ドープを凝固直前に、光学等方性となる
まで加熱した後、凝固させることによつて、透明で機械
的物性が等方的であるフイルムを得ることが記載されて
いる。この方法は、従来の光学異方性ドープの活用によ
り高性能を得んとする大方の概念に逆らつた独創的なも
のであり、これにより光学異方性ドープの極端な1軸配
向性の緩和と同時に、光学異方性ドープの液晶ドメイン
構造がドープを押出した後も残り、そのまま凝固して不
透明なフイルムとなつてしまうことを回避することに成
功している。この方法で製造したフイルムは、優れた機
械的性質、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性等を有するた
め、磁気テープ、写真フイルム、コンデンサー用フイル
ム、電気絶縁フイルム、サーマルプリンター用インクリ
ボン、フレキシブルプリント配線板用フイルム等の素材
として使用することが期待されている。
しかしながら、上記芳香族ポリアミドフイルムの生産
および上記のごとき用途への適用を円滑に行なうために
はフイルムの滑り性を改善することが必要である。
すなわち、特に薄いフイルムの場合にフイルムの滑り
性が不足すると、例えば巻取り、巻返し、塗布、スリツ
ト等の作業に重大な支障を与え、例えば巻きしわの発
生、静電気による塵芥吸着など工程上の障害となる。
一方、特にビデオテープ、フロツピーデイスク等の高
密度記録用磁気テープにおいては、テープ表面に凹凸が
あるとヘツドとの接触に際してスペースロスを発生し、
ドロツプアウト、記録ミス、カラーノイズ等をもたらす
ため、ベースフイルムとしては粗大突起のない極めて平
滑なものが要求される。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、パラ系芳香族ポリアミドを用いた高
性能のフイルムであつて、特に平滑性および易滑性に優
れ、吸湿性の少ないポリアミドフイルムを提供すること
にある。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記目的に沿つたパラ系芳香族ポリア
ミドフイルムを得るべく鋭意研究を重ねた結果、次の知
見を得た。
即ち、特公昭57−17886号公報に開示された技術(パ
ラ系芳香族ポリアミドの光学異方性ドープを硫酸等を溶
媒にしてまずつくり、これを光学等方化して凝固すると
いう方法により、透明性のある機械的性能にすぐれたフ
イルムが得られること)において、パラ系芳香族ポリア
ミドの硫酸ドープに溶解せず、かつ硫酸と反応しないフ
ツ素系ポリマー粒子をドープに添加しこのドープからフ
イルムを製造すると易滑性で吸湿率の小さいフイルムに
なることを発見し、更に研究を重ねて本発明として完成
させたものである。
即ち、本発明は、対数粘度が3.5以上のパラ系芳香族
ポリアミドを主成分とするフイルムであつて、全ての方
向の引張伸度が8%以上であり、かつ硫酸に難溶性で硫
酸と非反応性の2μm以下のフツ素系ポリマー粒子を含
んでなる易滑性ポリアミドフイルムである。
本発明に用いられるパラ系芳香族ポリアミドとは、ア
ミド結合が芳香族環のパラ位又はそれに準じた配向位
(4,4′−ビフエニレン、1,5−ナフタレン、2,6−ナフ
タレンなどのような反対方向に同軸又は平行位に伸びる
配向位)で結合されるくり返し単位から実質的になるも
ので、例えば、ポリ−p−フエニレンテレフタルアミド
(PPTA)、ポリ−p−ベンズアミド、ポリ−4,4′−ベ
ンズアニリドテレフタルアミド、ポリ−p−フエニレン
−4,4′−ビフエニレンジカルボンアミド、ポリ−p−
フエニレン−2,6−ナフタレンジカルボンアミド等パラ
配向型又はパラ配向型に近い構造を有する芳香族ポリア
ミドを挙げることができる。
これらのポリアミドには、本発明の効果を損なわない
範囲で上記以外の成分(例えばポリ−m−フエニレンイ
ソフタルアミド、ポリ−m−フエニレンテレフタルアミ
ド、ポリ−4,4′−ジフエニレンエーテルテレフタルア
ミド、ポリ−4,4′−ジフエニレンスルホンテレフタル
アミド、ポリ−3,4′−ジフエニレンエーテルテレフタ
ルアミド等)が少量(例えば30モル%以下。)共重合さ
れたり、ブレンドされていてもよい。また、あまり好ま
しいことではないが芳香環がアルキル基やハロゲンで少
し置換されていてもよい。上記したポリアミドは、芳香
族ジアミンと芳香族ジカルボン酸クロリドから従来公知
の低温溶液重合法で製造するのが好都合である。特にPP
TAは単純なモノマーから重合することが可能なので安価
であり、工業的見地から好ましい。
本発明のポリマーの重合度は、あまり低いと機械的性
質の良好なフイルムが得られなくなるため、3.5以上好
ましくは4.5以上の対数粘度ηinh(硫酸100mlにポリマ
ー0.5gを溶解して30℃で測定した値)を与える重合度の
ものが選ばれる。
本発明のフイルムは以下に述べる2つの要件を満たし
て初めて目的を達せられるものである。
まず第1に、本発明のフイルムは、全ての方向の引張
伸度が8%以上である必要がある。8%より小さい伸度
をもつフイルムは裂けやすく実用的でないからである。
引張伸度は好ましくは10%以上である。
本発明のフイルムのもつ高伸度は、光学異方性のドー
プを支持面上に流延したのち光学等方性化するというプ
ロセスと関連している。
本発明のフイルムは、硫酸に難溶性で硫酸と非反応性
の2μm以下の大きさのフツ素系ポリマー粒子を含有し
ている。粒子の大きさは好ましくは1μm以下、更に好
ましくは0.5μm以下である。粒子の大きさが2μmを
超えると平滑性が損なわれ、例えば磁気テープとして使
用するのに都合が悪くなるとともに、厚みが5μm以下
のフイルムにおいては機械特性がいちじるしく低下す
る。
本発明のフイルムに含まれるフツ素系ポリマー粒子の
量は、パラ系芳香族ポリアミドに対して0.05〜10重量%
の範囲が好ましく、更に好ましくは0.5〜5重量%の範
囲である。含有量は、フイルムの性能(易滑性、機械的
性能など)及び製造上の操作性(ドープ粘度、吐出性な
ど)の双方から決定されるべきである。本発明に用いら
れるフツ素系ポリマーとしては、ポリテトラフルオロエ
チレン(以下、PTFEと略称することがある)、ポリフロ
ロトリフルオロエチレン、ポリフツ化ビニリデン、ポリ
フツ化ビニル、ポリヘキサフルオロプロピレン、及びこ
れらの共重合体がある。
本発明のフイルムは、好ましくは、以下の性質も有し
ている。
例えば、本発明のフイルムは、その少くとも一方向の
ヤング率が700kg/mm2以上である。この条件は、フイル
ムの変形抵抗性と密度に関連している。そして、例え
ば、磁気テープとして用いたときのジツター特性と関連
していて、更に好ましくは、少くとも一方向のヤング率
が1000kg/mm2以上であり、最も好ましくは1300kg/mm2
上である。本発明のフイルムには、2つの態様があり、
1つは、タテ・ヨコのヤング率が700kg/mm2以上でほぼ
等しいバランスタイプであり、他の1つは、タテ・ヨコ
のどちらかがそのヤング率が大きく700kg/mm2以上であ
るテンシライズドタイプである。
本発明のフイルムとしては、約15μm以下の薄いフイ
ルムが好ましい。特に好ましくは10μm以下である。例
えば、ビデオテープとして使つたとき同じ長さ当りのか
さ高さが厚みに比例して大きくなるため、小型・軽量で
かつ録画時間を長く、というニーズに合致するからであ
る。
また、本発明のフイルムは、好ましくは実質的にボイ
ドを含まない。
更に、本発明のフイルムは、通常その密度が1.370〜
1.420g/cm3の範囲にある。この密度の値は四塩化炭素−
トルエンを使用した密度勾配管法により30℃で測定され
るものである。この密度の範囲は、公知のPPTA繊維のそ
れが1.43g/cm3から1.46g/cm3の範囲にあるのに較べてか
なり小さい値である。該密度が1.370g/cm3未満になると
機械物性が低下し、1.420g/cm3を越えると面配向性、従
つて機械的性質の等方性の損なわれたフイルムとなる。
何れにしても、このように密度が小さいことから、軽く
て高強度のフイルムが得られることになる。
本発明のフイルムは好ましくは、0.02μm以下の中心
線平均粗さ(Ra)で表わされる平滑性を有している。
次に、このようなパラ系芳香族ポリアミドフイルムを
得る方法について説明する。
本発明の方法において、まずパラ系芳香族ポリアミド
の光学異方性ドープを調製する必要がある。本発明のフ
イルムの成型に用いるドープを調製するのに適した溶媒
は、95重量%以上の濃度の硫酸である。95%未満の硫酸
では溶解が困難であつたり、溶解後のドープが異常に高
粘度になる。本発明のドープは、クロル硫酸、フルオロ
硫酸、五酸化リン、トリハロゲン化酢酸などが少し混入
されていてもよい。硫酸は100重量%以上のものも可能
であるが、ポリマーの安定性や溶解性などの点から98〜
100重量%濃度が好ましく用いられる。
本発明に用いられるドープ中のポリマー濃度は、常温
(約20℃〜30℃)またはそれ以上の温度で光学異方性を
示す濃度以上のものが好ましく用いられ、具体的には約
10重量%以上、好ましくは約12重量%以上で用いられ
る。これ以下のポリマー濃度、すなわち常温またはそれ
以上の温度で光学異方性を示さないポリマー濃度では、
成型されたフイルムが好ましい機械的性質を持たなくな
ることが多い。ドープのポリマー濃度の上限は特に限定
されるものではないが、通常は20重量%以下、特に高い
ηinhのパラ系芳香族ポリアミドに対しては18重量%以
下が好ましく用いられ更に好ましくは16重量%以下であ
る。
本発明のドープには、前記した硫酸に難溶性で硫酸と
非反応性の2μm以下のフツ素系ポリマー粒子を添加し
ておく必要がある。フツ素系ポリマー粒子の添加方法
は、パラ系芳香族ポリアミドを添加する前の硫酸に添加
する、パラ系芳香族ポリアミドの添加と同時に添加す
る、光学異方性ドープを形成させた後に添加する、一部
のパラ系芳香族ポリアミドを添加溶解したのちフツ素系
ポリマー粒子を添加し次いで残余のパラ系芳香族ポリア
ミドを添加するなどの任意の方法で行うことができる。
フツ素系ポリマーが凝集したりすることを防ぎ分散性を
良くするために、例えばホモジナイザーやスタテイツク
ミキサーを使用することも好ましい態様の1つである。
フツ素系ポリマー粒子のドープ中への添加量は、前述し
たとおりパラ系芳香族ポリアミドに対して0.05〜10重量
%の範囲である。
ドープの脱気は、一旦ドープを調製したのちに行うこ
ともできるし、調製のための原料の仕込段階から一貫し
て真空(減圧)下に行うことによつても達成しうる。ド
ープの調製は連続又は回分で行うことができる。
本発明のドープにはその他の普通の添加剤、例えば、
増量剤、除光沢剤、紫外線安定化剤、熱安定化剤、抗酸
化剤、顔料、溶解助剤などを混入してもよい。
ドープが光学異方性か光学等方性であるかは、公知の
方法、例えば特公昭50−8474号公報記載の方法で調べる
ことができるが、その臨界点は、溶媒の種類、温度、ポ
リマー濃度、ポリマーの重合度、非溶媒の含有量等に依
存するので、これらの関係を予め調べることによつて、
光学異方性ドープを作り、光学等方性ドープとなる条件
に変えることで、光学異方性から光学等方性に変えるこ
とができる。
このようにして調製されたドープは、光学異方性を保
つたまま、ダイ例えばスリツトダイから、支持面上に流
延される。また、実験室的には、ガラス板上にドクター
ナイフで流延できる。本発明において、流延及びそれに
続く光学等方性への転化、凝固、洗浄、延伸、乾燥など
の工程を連続的に行つても、これらの全部又は一部を断
続的に、つまり回分式に行つてもよい。好ましくは、流
延工程を連続的に行う方法である。
本発明に用いられる支持面は、ベルトやドラムの形状
で、或いは板状物として用いられる。その材質は、耐酸
性があり表面仕上が可能なものであれば特に限定され
ず、例えばガラス、ハステロイ、タンタル、金、白金、
窒化チタン等のメツキを施した金属などが好ましく用い
られ、特に好ましくは、これらの材料がいわゆる鏡面仕
上げされているものである。
本発明のフイルムを得る方法は、ドープを支持面上に
流延した後、凝固に先立つてドープを光学異方性から光
学等方性に転化するものである。
光学異方性から光学等方性にするには、具体的には支
持面上に流延した光学異方性ドープを凝固に先立ち、吸
湿させてドープを形成する溶剤の濃度を下げ、溶剤の溶
解能力およびポリマー濃度の変化により光学等方性域に
転移させるか、または加熱することによりドープを昇温
し、ドープの相を光学等方性に転移させる或いは、吸湿
と加熱とを同時又は逐次的に併用することにより達成で
きる。特に、吸湿を利用する方法は、加熱を併用する方
法も含めて、光学異方性の光学等方化が効率よく、かつ
パラ系芳香族ポリアミドの分解をひきおこすことなく出
来るので有用である。
ドープを吸湿させるには、通常の温度・湿度の空気で
もよいが、好ましくは、加湿又は加温加湿された空気を
用いる。加湿空気は飽和蒸気圧をこえて霧状の水分を含
んでいてもよく、いわゆる水蒸気であつてもよい。ただ
し、約45℃以下の過飽和水蒸気は、大きい粒状の凝縮水
を含むことが、多いので好ましくない。吸湿は通常、室
温〜約180℃、好ましくは50〜150℃の加湿空気によつて
行われる。
加熱による方法の場合、加熱の手段は特に限定され
ず、上記の如き加湿された空気を流延ドープに当てる方
法、赤外線ランプを照射する方法、誘電加熱による方法
などである。
支持面上で光学等方化された流延ドープは、次に凝固
をうける。本発明において、ドープの凝固液として使用
できるのは、30重量%以上の硫酸水溶液である。30%未
満の硫酸水溶液は、水を含めて、ドープの凝固速度が大
きすぎるためか、表面精度のすぐれたフイルムを得るの
が難しくなる。凝固浴は好ましくは40〜70重量%の硫酸
水溶液である。
本発明において、凝固液の温度は10℃以下にする必要
がある。これは、この温度が低い程、凝固速度を小さく
できることと、フイルムに包含されるボイドが少くなる
という傾向とが見出され、従つてフイルムの表面精度が
向上するからである。凝固浴温度は好ましくは5℃以下
であり、更に好ましくは0℃〜−40℃である。
凝固されたフイルムはそのままでは酸が含まれている
ため、加熱による機械的物性の低下の少ないフイルムを
製造するには酸分の洗浄、除去をできるだけ行う必要が
ある。酸分の除去は、具体的には約500ppm以下まで行う
ことが望ましい。洗浄液としては水が通常用いられる
が、必要に応じて温水で行つたり、アルカリ水溶液で中
和洗浄した後、水などで洗浄してもよい。洗浄は、例え
ば洗浄液中でフイルムを走行させたり、洗浄液を噴霧す
る等の方法により行われる。
洗浄されたフイルムを、次に乾燥をうける前にもし望
むならば湿潤状態で延伸してもよい。延伸は、1方向又
は2方向に1.05倍以上の延伸倍率で行う。このとき、フ
イルム内に含有されている水分が汗の如く出てくること
がしばしば見受けられる。1方向の延伸の場合、MD方向
であつてもそれと直角の方向であつてもどちらでもよ
く、好ましくは約1.1〜1.7倍の延伸を行う。2方向の延
伸は、同時に2軸延伸であつても、逐次的に1軸づつ延
伸してもよい。2方向延伸の場合、好ましくは約1.07〜
1.5倍の延伸倍率で行われる。延伸によつて延伸方向に
パラ系芳香族ポリアミドの分子鎖を配向させることがで
きるため、機械的性質が向上する。
乾燥は、緊張下、定長下または僅かに延伸しつつ、フ
イルムの収縮を制限して行う必要がある。収縮を制限し
つつ乾燥するには、例えばテンター乾燥機や金属枠に挟
んでの乾燥などを利用することができる。乾燥に係る他
の条件は特に制限されるものではなく、加熱気体(空
気、窒素、アルゴンなど)や常温気体による方法、電気
ヒーターや赤外線ランプなどの輻射熱による方法、誘電
加熱法などの手段から任意に選べる。乾燥の温度も、特
に制限されるものではなく、常温以上であればよい。た
だし機械的強度を大にするためには、高温の方が好まし
く、100℃以上、さらに好ましくは200℃以上が用いられ
る。乾燥の最高温度は、特に制限されるものではない
が、乾燥エネルギーやポリマーの分解性を考慮すれば、
500℃以下が好ましい。
(実施例) 以下に実施例を示すが、これらの実施例は本発明を説
明するものであつて、本発明を限定するものではない。
なお、実施例中特に規定しない場合は重量部または重量
%を示す。対数粘度ηinhは98%硫酸100mlにポリマー0.
5gを溶解し、30℃で常法で測定した。ドープの粘度は、
B型粘度計を用い1rpmの回転速度で測定したものであ
る。フイルムの厚さは、直径2mmの測定面を持つたダイ
ヤルゲージで測定した。引張伸度および引張弾性率は、
定速伸長型強伸度測定機により、フイルム試料を100mm
×10mmの長方形に切り取り、最初のつかみ長さ30mm、引
張り速度30mm/分で荷重−伸長曲線を5回描き、これよ
り算出したものである。
摩擦係数は、フイルム間について、ASTM D−1894に準
じて島津製作所製オートグラフを使用して測定した。
表面組度(Ra)は、触針式表面粗さ計を使用して得ら
れる断面曲線からうねりを除いた粗さ曲線において、中
心線からの粗さ曲線の高さ(低さ)の絶対値の算術平均
であり(DIN 4768)、ここではカツトオフ値0.08mm、測
定長さ0.8mm、の条件で測定したものである。
実施例1 約0.1〜0.5μm粒度のPTFE(ポリテトラフルオロエチ
レン)を99.6%の硫酸に添加して激しく攪拌した。PTFE
のPPTAに対する割合は1.0重量%とした。次いでこの分
散液に、ηinh=5.8のPPTAをポリマー濃度12重量%にな
るように溶解し、60℃で光学異方性をもつドープを得
た。このドープの粘度を常温で測定したところ、10,600
ポイズだつた。このドープを約70℃に加温して、真空下
に脱気した。この場合も上記と同じく光学異方性を有
し、粘度は4400ポイズであつた。タンクから静止型混合
機を通じギアポンプを経てダイに到る1.5mの曲管を約70
℃に保ち、0.15mm×300mmのスリツトを有するダイか
ら、鏡面に磨いたタンタル製のベルトにキヤストし、相
対湿度約75%の約90℃の空気を吹きつけて、流延ドープ
を光学等方化し、ベルトとともに、−20℃の30重量%硫
酸水溶液の中に導いて凝固させた。次いで凝固フイルム
をベルトからひきはがし、約40℃の温水中を走行させて
浄化した。次いでテンターを用いて横方向に1.1倍延伸
しつつ240℃で熱風乾燥した後、巻取り、厚さ8.5μのフ
イルムを得た。得られたフイルムの性能を第1表に示
す。
更にフイルムを顕微鏡で観察したところ、0.5μm以
下のPTFE粒子が均一に分散していた。
実施例2,3及び比較例1,2 実施例1のPTFE粒子の含有量と延伸条件、熱処理温度
(熱処理はテンターの出口で行つた。)を変更した以外
は同様に製膜した。
得られたフイルムの物性を第1表に示す。
実施例4 PPTAの代りに、次の構造を有するηinh=4.3のコポリ
アミド; を用いた以外は実施例2と同様にフイルムを製造した。
得られたフイルムは、厚さ8.0μm、表面粗度0.004μ
m、動摩擦係数0.20、吸湿率2.3%、引張強度(MD/TD)
23/21kg/mm2、引張伸度(MD/TD)25/28%、引張弾性率
(MD/TD)1070/980kg/mm2であつた。
(発明の効果) 本発明のフイルムは、実施例に示したように市販のフ
イルムには見られない高い強度と高い引張弾性率で表わ
される良好な機械的性質を有し、しかも表面精度が非常
に良好であり、滑り性がよく、しかも吸湿率が低いとい
う特徴をもつている。またこれらの性質のみならず、優
れた電気絶縁性、耐熱性、耐油性、耐圧性、強酸以外の
耐薬品性、構造の緻密性を有する。このため、本発明の
フイルムは、高速回転する電気機器の絶縁材料や磁気テ
ープ、フレキシブルプリント配線基板、熱転写プリンタ
ー用ベースフイルム、電線被覆材、濾過膜等に好適に使
用することができ、さらにもう一つの特徴である透明性
に優れていることから、包装材料、製版材料、写真フイ
ルム等にも有用なものである。
特に、本発明のフイルムは、高い引張弾性率と強い耐
引裂性、高い表面精度と易滑性をすべて備えているの
で、ビデオテープ、コンピユータテープ、オーデイオテ
ープ、フロツピーデイスク、各種カード(電話、乗車
券、定期乗車券など)などの磁気テープとして有用で、
とくに画像の鮮明性や安定性にも優れた高品質のビデオ
テープとして有用である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対数粘度が3.5以上のパラ系芳香族ポリア
    ミドを主成分とするフイルムであつて、全ての方向の引
    張伸度が8%以上であり、かつ硫酸に難溶性で硫酸と非
    反応性の2μm以下のフツ素系ポリマー粒子を含んでな
    る易滑性ポリアミドフイルム
JP25483288A 1987-10-22 1988-10-12 易滑性ポリアミドフイルム Expired - Lifetime JP2628900B2 (ja)

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