JP2710390B2 - 熱融着性ポリアミドフィルム - Google Patents

熱融着性ポリアミドフィルム

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JP2710390B2
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秀雄 笠谷
重光 村岡
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 奔発明は、ポリアミドフイルム、特にパラ配向性芳香
族ポリアミドからなるフイルムに関し、さらに詳しくは
フイルムの長尺方向(以下、MD方向と略す)および幅方
向(TD方向)とも優れた機械特性を示し、かつ熱融着性
を有するポリアミドフイルムに関するものである。
〔従来の技術〕
パラ配向性芳香族ポリアミドは、特に優れた結晶性や
高い融点を存し、また剛直な分子構造の故に、耐熱性で
高い機械的強度を有しており、近年、特に注目されてい
る高分子素材である。またその光学異方性を示す濃厚溶
液から紡糸された繊維は高い強度およびモジュラスを示
すことが報告され、すでに工業的に実施されるに到って
いるが、フイルムへの応用例の提案は少なく、実用化例
もいまだ知られていない。
パラ配向性芳香族ポリアミドの有する問題点として
は、その有用な高分子量のポリマーは有機溶媒に難溶で
あり、濃硫酸等の無機の強酸が溶媒として用いられねば
ならないということがあげられ、る。
このパラ配向性の芳香族ポリアミドの光学異方性ドー
プを押出し凝固させることによりフイルムを得る方法が
いくつか開示されている(特公昭59−14567号公報、特
公昭57−35088号公報、特公昭59−5407号公報および特
開昭54−132674号公報)。しかしながら、これらの方法
は、得られたフイルムの物性の異方性が大きすぎるこ
と、製造方法が複雑であること等の理由より実用的フイ
ルムの工業的製造方法としては難点がある。
特公昭57−17886号公報には、パラ配向性芳香族ポリ
アミドの光学異方性ドープを凝固直前に、光学等方性と
なるまで加熱した後、凝固させることによって、透明で
機械的物性が等方的であるフイルムを得ることが記載さ
れている。この方法は、従来の光学異方性ドープの活用
により高性能を得んとする大方の概念に逆らった独創的
なものであり、これにより光学異方性ドープの極端な1
軸配向性の緩和と同時に、光学異方性ドープの液晶ドメ
イン構造がドープを押出した後も残り、そのまま凝固し
て不透明なフイルムとなってしまうことを回避すること
に成功している。
この方法で製造したアラミドフイルムは、優れた機械
的性質、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性等を有するた
め、磁気テープ、写真フイルム、コンデンサー用フイル
ム、電気絶縁フイルム、サーマルプリンター用インクリ
ボン、フレキシブルプリント配線基板用フイルム等の素
材として使用することが期待されている。
しかしながら、パラ配向性芳香族ポリアミドは非常に
耐熱性が高く、軟化温度を有しないため、通常の熱可塑
性または熱軟化性ポリマーよりなるフイルムのような熱
融着性がないことによる利用上の不便を生ずることがあ
る。例えば、フイルムコンデンサーの製造における、フ
イルム巻き取り後の熱固定、電線被覆における被覆後の
熱固定等を行うことができない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、パラ配向性芳香族ポリアミドを用い
た高性能のフイルムであって、熱融着性のポリアミドフ
イルムを提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記目的に沿ったポリアミドフイルム
を得るべく鋭意研究を重ねた結果、例えば特公昭57−17
886号方向に開示された技術、すなわちパラ配向性芳香
族ポリアミドの光学異方性ドープをまずつくり、これを
光学等方化して凝固するという方法により得られる特定
のパラ配向性芳香族ポリアミドフイルムにおいて、フイ
ルムの表面または内部に熱可塑性フツ素系重合系を含有
させることにより、パラ配向性芳香族ポリアミドフイル
ムの有する高い性能を損なわずに熱融着性を付与できる
ことを見出し、さらに研究を重ねて本発明として完成さ
せたものである。
すなわち本発明は、対数粘度が3.5以上のパラ配向性
芳香族ポリアミドより実質的になり、フイルム面に平行
な方向の引張伸度が8%以上であり、かつフイルムの表
面及び/または内部に熱可塑性のフツ素系重合体を有す
ることを特徴とする熱融着性ポリアミドフイルム である。
本発明に用いられるパラ配向性の芳香族ポリアミドと
して (ここでRはメチル、エチル、フエニル等の炭化水素基
またはCl、Br等のハロゲン、Aは−O−、−S−、 −CH2−)等、主鎖を形成するベンゼン環のパラ位にア
ミド基が結合した成分から実質的になるまでポリアミド
である。
これらの中において、ハロゲン原子を含有する芳香族
ポリアミドは、長期間の使用によって導体の金属層に腐
植が発生することがあるため、ハロゲン原子を実質的に
含有しない芳香族ポリアミドフイルムが好ましく用いら
れる。特に好ましく用いられるのは、ポリ−p−フエニ
レンテレフタルアミド(略称PPTA)である。
本発明のポリマーの重合度は、あまり低いと機械的性
質の良好なフイルムが得られなくなるため、3.5以上、
好ましくは4.5以上の対数粘度ηinh(硫酸100mlにポリ
マー0.5gを溶解して30℃で測定した値)を与える重合度
のものが選ばれる。
本発明のフイルムは以下に述べる2つの要件を満たし
て初めてその目的を達せられるものである。
まず第1に、本発明のフイルムは、フイルム面に平行
な方向の引張伸度が8%以上である必要がある。8%よ
り小さい伸度をもつフイルムは裂けやすく実用的でな
い。好ましい引張伸度は10%以上である。本発明のフイ
ルムのもつ高伸度は、光学異方性のドープを支持面上に
流延したのち光学等方性化するというプロセスと関連し
ている。
第2に、本発明のフイルムはその表面及び/または内
部に熱可塑性のフツ素系重合体を有することが必要であ
る。
ここで熱可塑性フツ素系重合体とは、例えば、4フツ
化エチレン−6フツ化プロピレン共重合体 4フツ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテ
ル共重合体 3フツ化塩化エチレン 4フツ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE) フツ化ビニリデン(PVDF) 等の、融点以上で流動可能な重合体を意味する。このフ
ツ素系重合体は、フイルムの表面に層状に存在するか、
またはフイルムの内部に微粒子状に分散する必要があ
り、その両方の状態をとることも可能である。
フイルムの表面に層状に存在する場合、厚さは0.1μ
m〜25μmであることが好ましく、0.1μm〜5μmが
更に好ましい。一方、内部に微粒子状に分散する場合、
分散粒子の大きさは2μm以下が好ましく、1μm以下
が更に好ましい。またフツ素系重合体の含有量はパラ配
向性芳香族ポリアミドに対し0.1%〜20%とするのが好
ましい。
本発明のフイルムは、好ましくは、以下の性質も有し
ている。
例えば、本発明のフイルムは、その少なくとも1方向
のヤング率が800kg/mm2以上である。この条件は、フイ
ルムの変形抵抗性と密接に関連しており、さらに好まし
くは少なくとも1方向のヤング率が1300kg/mm2以上であ
り、最も好ましくは1500kg/mm2以上である。本発明のフ
イルムには、2つの態様があり、1つはタテ・ヨコのヤ
ング率が800kg/mm2以上でほぼ等しいバランスタイプの
ものであり、他の1つはタテ・ヨコのどらかがそのヤン
グ率が大きく、1000kg/mm2以上であるテンシライズドタ
イプのものである。
また、本発明のフイルムは、実質的にボイドを含まな
いことが好ましい。
さらに、本発明のフイルムは、通常、その密度が1.37
0〜1.420g/cm3の範囲にある。この密度の値は四塩化炭
素−トルエンを使用した密度勾配管法により30℃で測定
されたものである。
この密度の範囲は、公知のPPTA繊維のそれが1.43g/cm3
から1.46g/cm3の範囲にあるのに較べてかなり小さい値
である。該密度が1.370g/cm3未満になると機械的物性が
低下し、1.420g/cm3を超えると面配向性、したがって機
械的性質の等方性の損なわれたフイルムとなる。いずれ
にしてもこのように密度が小さいことから、軽くて高強
度のフイルムが得られることになる。
本発明のフイルムは、以下に述べるX線回折による結
晶配向角で定義される面配向性をもっていることが好ま
しい。すなわちフイルム表面に直角に入射したX線によ
る2θ≒23°のピークに関する結晶配向角が30°以上で
あり、フイルム表面に平行に入射したX線による2θ≒
18°のピークに関する結晶配向角が60°以下であること
が好ましい。
X線の入射は、フイルム表面に直角に入射する場合
(以下、TV方向と称する)と表面に並行に入射する場合
(以下、SV方向と称する)とに分けられる。本発明のフ
イルムはTV方向からのX線により2θ≒23°に大きな回
折ピークを持つが、この2θ≒23°における結晶配向角
が30°以上であることが好ましく、さらに50°以上であ
ることがより好ましい。さらにSV方向からの入射により
2θ≒18°の大きな回折ピークが赤道線上に現れるが、
この2θ≒18°における結晶配向角が60°以下であるこ
とが好ましい。これらの両方の結晶配向角が満たされた
とき本発明のフイルムがいわゆる面配向の構造を持つと
いうことがいえ、フイルムの引取方向およびそれと直角
な方向の双方ともに高い機械的性質を有し、また大きい
引裂き強度を有する上で非常に好ましい。
結晶配向角の測定方法としては公知の方法が採用で
き、例えば次のような方法によって行なわれる。所定の
2θの角度に計数管を置き、フイルムを180°回転する
ことにより、回折強度曲線を得る。なお、TVにおいて
は、最高強度を中心とし、前後90°の間を回転させる。
この曲線の最高強度の、最低強度点間に引いたベースラ
インに対する半分の強度を示す点に対応する、回折写真
における円弧長を度で表わした値(すなわち、最高強度
のベースラインに対する50%の点に対する角度)を測定
し、それを試料の結晶配向角とする。測定に際し、フイ
ルムは必要により何枚か重ねて回折強度を測ることがで
きる。
次に、このようなフイルムを得る方法について、ポリ
マーとしてPPTAを用いた場合を例にとって説明する。
PPTAフイルムを得るには、まず光学異方性ドープを調
整する必要がある。
PPTAフイルムの成型に用いるドープを調製するのに適
した溶媒は、95重量%以上の濃度の硫酸である。05%未
満の硫酸では溶解が困難であったり、溶解後のドープが
異常に高粘度になる。
ドープには、クロル硫酸、フルオロ硫酸、五酸化リ
ン、トリハロゲン化酢酸などが少し混入されていてもよ
い。硫酸は100重量%以上のものも可能であるが、ポリ
マーの安定性や溶解性などの点から98〜100重量%濃度
が好ましく用いられる。
ドープ中のポリマー濃度は、常温(約20〜30℃)また
はそれ以上の温度で光学異方性を示す濃度以上のものが
好ましく用いられ、具体的には約10重量%、好ましくは
約12重量%以上の濃度のものが用いられる。これ未満の
ポリマー濃度、すなわち常温またはそれ以上の温度で光
学異方性を示さないポリマー濃度では、成型されたPPTA
フイルムが好ましい機械的性質を持たなくなることが多
い。ドープのポリマー濃度の上限は特に限定されるもの
ではないが、通常は20重量%以下、特に高いηinhのPPT
Aに対しては16重量%以下が好ましく、13重量%以下が
さらに好ましい。
熱可塑性フツ素系重合体を、フイルムの内部に含有さ
せる場合、ドープに微粒子状のフツ素系重合体を添加す
る必要がある。添加方法としては例えば硫酸等の溶媒に
フツ素系重合体を分散させた後PPTAを溶解する方法、PP
TAとフツ素系重合体を粉末状で混入した後溶媒に溶解す
る方法等を用いることができる。
本発明に用いるドープには、例えば増量剤、除光沢
剤、紫外線安定化剤、熱安定化剤、抗酸化剤、顔料、溶
解助剤、滑剤などの添加剤を混入してもよい。
ドープが光学異方性か光学等方性であるかは、公知の
方法、例えば特公昭50−8474号公報記載の方法で調べる
ことができるが、その臨界点は、溶媒の種類、温度、ポ
リマー濃度、ポリマーの重合度、比溶媒の含有量等に依
存するので、これらの関係をあらかじめ調べることによ
って、光学異方性ドープをつくり、光学等方性ドープと
なる条件に変えることにより、光学異方性から光学等方
性に変えることができる。
このようにして調製されたドープは、光学異方性を保
ったまま、ダイ、例えばスリットダイから支持面上に流
延される。また、実験室的にはガラス板上にドクターナ
イフで流延することもできる。本発明において、流延お
よびそれに続く光学等方性への転化、凝固、洗浄、延
伸、乾燥などの工程を連続的に行なっても、これらの全
部または一部を断続的に、つまり回分式に行なってもよ
い。好ましい方法は、流延工程を連続的に、しかもドー
プを流延する支持面の移動速度をダイからのドープの吐
出線速度の2倍以上で行なう方法である。
本発明に用いられる支持面は、ベルトやドラムの形
状、または板状物であればよく、その材質は、耐酸性で
あり表面仕上げが可能なものであれば特に限定されず、
例えばガラス、ハステロイ、タンタル、金、白金、窒化
チタン等のメッキを施した金属などが好ましく用いら
れ、特にこれらの材料がいわゆる鏡面仕上げされている
ものが好ましい。
本発明のフイルムを得る方法においては、ドープを支
持面上に流延した後、凝固に先立ってドープが光学異方
性から光学等方性に転化される。
光学異方性から光学等方性に転化するには、具体的に
は支持面上に流延した光学異方性ドープを、凝固に先立
ち吸湿させてドープを形成する溶剤の濃度を下げ、溶剤
の溶解能力およびポリマー濃度の変化により光学等方性
域に転移させるか、または加熱することによりドープを
昇温し、ドープの相を光学等方性に転移させるか、また
は吸湿と加熱とを同時または逐次的に併用することによ
り達成できる。上記方法のうち特に吸湿を利用する方法
は、加熱を併用する方法も含めて、光学異方性の光学等
方化が効率よく、かつPPTAの分解を引き起こすことなく
できるので有用である。
ドープを吸湿させるには、通常の温度・湿度の空気で
もよいが、好ましくは、加湿または加温加湿された空気
を用いる。加湿空気は飽和蒸気圧を超えて霧状の水分を
含んでいてもよく、いわゆる水蒸気であってもよい。た
だし、約45℃以下の過飽和水蒸気は、大きい粒状の凝縮
水を含むことが多いので好ましくない。吸湿は通常、室
温〜約180℃、好ましくは50〜150℃の加湿空気によって
行なわれる。
加熱による方法の場合、加熱の手段は特に限定され
ず、上記のごとき加湿された空気を流延ドープに当てる
方法、赤外線ランプを照射する方法、誘電加熱による方
法などがあげられる。
支持面上で光学等方化された流延ドープは次に凝固を
うける。本発明において、ドープの凝固液としては30重
量%以上の硫酸水溶液が好ましい。30%未満の硫酸水溶
液は、水を含めて、ドープの凝固速度が大きすぎるため
か、表面精度の優れたフイルムを得るのが難しくなる。
凝固浴は40〜70重量%の硫酸水溶液が好ましい。
本発明において、凝固液の温度は10℃以下が好まし
い。これは温度が低いほど、凝固速度を小さくできるこ
と、およびフイルムに包含されるボイドが少なくなると
いう傾向とが見いだされ、したがってフイルムの表面精
度が向上するからである。凝固浴温度は好ましくは5℃
以下であり、さらに好ましくは0〜−40℃である。
凝固されたフイルムはそのままでは酸が含まれている
ため、加熱による機械的物性の低下の少ないフイルムを
製造するには酸分の洗浄、除去をできるだけ行なう必要
がある。酸分の除去は、具体的には約500ppm以下まで行
なうことが望ましい。洗浄液としては水が通常用いられ
るが、必要に応じて温水が行なったり、アルカリ水溶液
で中和洗浄した後、水などで洗浄してもよい。洗浄は、
例えば洗浄液中でフイルムを走行させたり、洗浄液を噴
霧する等の方法により行なわれる。
洗浄されたフイルムを、次に乾燥をうける前にもし望
むならば湿潤状態で延伸してもよい。延伸は、1方向ま
たは2方向に1.05倍以上の延伸倍率で行なわれる。この
とき、フイルム内に含有されている水分が汗のごとく出
ている現象がしばしば見受けられる。1方向の延伸の場
合は、それがMD方向であってもそれと直角の方向であっ
てもよく、延伸倍率は約1.1〜1.7倍が好ましい。
2方向の延伸は、同時2軸延伸であっても、逐次的に1
軸ずつ延伸してもよい。2方向延伸の場合の延伸倍率
は、約1.07〜1.5倍が好ましい。延伸によって延伸方向
にPPTA分子鎖を配向させることができるため、機械的性
質が向上する。
乾燥は、緊張下、定長下またはわずかに延伸しつつ、
フイルムの収縮を制限して行なう必要がある。もし、洗
浄液(例えば水)の除去とともに収縮する傾向を有する
フイルムを、何らの収縮の制限を行なうことなく、乾燥
した場合には、ミクロに不均一な構造形成(結晶化な
ど)が起るためか、得られるフイルムの光線透過率が小
さくなってしまう。また、フイルムの平面性が損なわれ
たり、カールしてしまうこともある。収縮を制限しつつ
乾燥するには、例えばテンター乾燥機や金属枠に挟んで
の乾燥などを利用することができる。乾燥に係る他の条
件は特に制限されるものではなく、加熱気体(空気、窒
素、アルゴンなど)や常温気体による方法、電気ヒータ
や赤外線ランプなどの輻射熱の利用法、誘電加熱法など
の手段から自由に選ぶことができ、乾燥温度も、特に制
限されるものではないが、常温以上であればよい。ただ
し、機械的強度を大にするためには、高温のほうが好ま
しく、100℃以上、さらに好ましくは200℃以上が用いら
れる。乾燥の最高温度は、特に限定されるものではない
が、乾燥エネルギーやポリマーの分解性を考慮すれば50
0℃以下が好ましい。
本発明において、フツ素系重合体をフイルム表面に層
状に存在させる場合には、前記のフイルムを製造する際
に、凝固によりフイルムが形成された後、乾燥および/
または熱処理された巻取られるまでの時点においてフツ
素系重合体を含む水性ディスパージョンをコーティング
した後乾燥するか、またはスリットダイより溶融押出し
たフツ素系重合体をパラ配向性芳香族ポリアミドフイル
ムにラミネートするなどの方法が採用される。
フツ素系重合体を含むデイスパージョンをコーテイン
する時点としては凝固したフイルムを水洗した後、乾燥
前の湿潤フイルムの状態、または乾燥後の乾燥フイルム
の状態が適当であるが、工程の簡便さの面から、湿潤フ
イルムの状態で接触するのがより好ましい。フイルムに
処理液を接触させる方法としては、処理液を入れた槽内
をフイルムを走行させる方法、または走行中のフイルム
の表面に処理液を塗布する方法、例えばリバースコート
(ボトムフィード3本リバース、ボトムフィード4本リ
バース、2本ロールリバースまたはトップフィード3本
リバース等)、キスマイヤーコート、グラビアコート
(ダイレクトグラビアまたはオフセットグラビア)、ス
ロットダイコートまたはカーテンコート等によって行な
うことができる。
本発明において、処理液の濃度は通常60wt%以下、粘
度は好ましくは50cps以下が適当である。
溶融押出したフツ素系重合体をラミネートする場合に
は、乾燥、熱処理して得たフイルムをそのまま、または
コロナ放電処理、プラズマ処理、プライマー処理、接着
剤塗布、乾燥等の前処理をした後、ラミネータを用いて
フツ素系重合体溶融物と重ね合せ、圧着する。
以上述べたフツ素系重合体の付与方法は2つ以上組み
合わせて行うこともでき、フイルム内部への分散と、表
面層の形成の両方を行うことにより熱融着性を強化する
ことができる。
(実施例) 以下に本発明の実施例を示すが、これらの実施例は本
発明を説明するものであって、本発明を限定するもので
はない。なお、実施例中特に規定しない場合は重量部ま
たは重量%を示す。
対数粘度ηinhは98%硫酸100mlにポリマー0.5gを溶解
し、30℃で常法で測定した値である。
ドープの粘度は、B型粘度計を用い1rpmの回転速度で
測定したものである。
フイルムの厚さは、直径2mmの測定面を持ったダイヤ
ルゲージで測定した。
強伸度およびヤング率は、定速伸長型強伸度測定機に
より、フイルム試料を100mm×10mmの長方形に切取り、
最初のつかみ長さ30mm、引張速度30mm/分で荷重/伸長
曲線を5回描き、これより算出したものである。
180°剥離力は、熱融着したフイルムを10mm幅の長方
形に切取り、定速伸長型強伸度測定機により引張速度30
mm/分で測定した。
実施例1 ηinhが5.5のPPTAポリマーを99.7%の硫酸にポリマー
濃度11.5%で溶解し、60℃で光学異方性のあるドープを
得た。このドープの粘度を常温で測定したところ、10,6
00ポイズだった。このドープを約70℃に加温して、真空
下に脱気した。この場合も上記と同じ光学異方性を有
し、粘度は4400ポンズであった。タンクから静止型混合
機を通じギアポンプを経てダイに到る1.5mの曲管を約70
℃に保ち、0.15mm×300mmのスリットを有するダイか
ら、鏡面に磨いたタンタル製のベルトにキャストし、相
対湿度約85%の約90℃の空気を吹きつけて、流延ドープ
を光学等方化し、ベルトと共に、−20℃の30重量%硫酸
水溶液の中に導いて凝固させた。次いで凝固フイルムを
ベルトからひきはがし、約40℃の温水中を走行させて洗
浄した。洗浄の終了したフイルムを水切りロールで表面
に付着した水分を除去した後、4フツ化エチレン−6フ
ツ化プロピレン共重合体(FEP)のデイスパージョン
(固形分55〜58%)を塗布させた後、テンターを用いて
横方向に1.1倍延伸しつつ240℃で熱風乾燥した後、巻取
り、厚さ7.8μのフイルムを得た。FEPの厚さは2.5μで
あり、強度20kg/mm2、伸度24%、弾性率900kg/mm2であ
った。このフイルムを2枚重ね、300℃で圧着した後、1
80°剥離力を測定した結果、0.4kg/cmであった。
実施例2 実施例1において、PPTAポリマーに対し重量比2%の
粉状FEP(平均粒径1μ)を添加してドープを作成
し、他の実施例1と同様にフイルムを製造した。このフ
イルムの強度18kg/mm2、伸度22%、弾性率900kg/mm2
あり、圧着後の180°剥離力は0.8kg/cmであった。
実施例3 実施例2において、FEPのディスパージョンのコーテ
イングを行わずにフイルムを製造した。このフイルムの
強度20kg/mm2、伸度24%、弾性率940kg/mm2であり、圧
着後の180°剥離力は0.2kg/cmであった。
〔発明の効果〕
本発明のフイルムは、実施例に示したように市販のフ
イルムには見られない高い強度と高いヤング率で表わさ
れる良好な機械的性質を有し、しかも耐熱性を有し、か
つすぐれた熱融着性を有している。またこれらの性質の
みならず、優れた電気絶縁性、耐油性、耐圧性、強酸以
外の耐薬品性、構造の緻密性を有する。
このため、本発明のフイルムは、モーター、コイル等
の電気絶縁用、電線被覆用、コンデンサー誘電体用、フ
レキシブルプリント配線板カバーレイ等の絶縁カバーフ
イルム用等に有用なものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対数粘度が3.5以上のパラ配向性芳香族ポ
    リアミドより実質的になり、フイルム面に平行な方向の
    引張伸度が8%以上であり、かつフイルムの表面及び/
    または内部に熱可塑性のフツ素系重合体を有することを
    特徴とする熱融着性ポリアミドフィルム
JP5966689A 1988-05-11 1989-03-14 熱融着性ポリアミドフィルム Expired - Lifetime JP2710390B2 (ja)

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