JP2867288B2 - 芳香族ポリアミドフイルム - Google Patents

芳香族ポリアミドフイルム

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JP2867288B2
JP2867288B2 JP9939790A JP9939790A JP2867288B2 JP 2867288 B2 JP2867288 B2 JP 2867288B2 JP 9939790 A JP9939790 A JP 9939790A JP 9939790 A JP9939790 A JP 9939790A JP 2867288 B2 JP2867288 B2 JP 2867288B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、パラ配向型芳香族ポリアミドから実質的に
なるフイルムに関する。
さらに詳しくは、本発明は、電気絶縁性に優れ、かつ
優れた面配向性により、フイルムの長尺方向(以下、MD
方向と略す)および幅方向(以下、TD方向と略す)共に
優れた機械特性を示し、かつ長期耐熱性の良好なパラ配
向型芳香族ポリアミドフイルムに関するものである。
(従来の技術) PPTAは、特に優れた結晶性や高い融点を有し、また剛
直な分子構造の故に、耐熱性で高い機械的強度を有して
おり、近年、特に注目されている高分子素材である。ま
た、その光学異方性を示す濃厚溶液から紡糸された繊維
は高い強度およびモジュラスを示すことが報告され、既
に工業的に実施されるに到っている。
パラ配向型芳香族ポリアミドの有する問題点として
は、その有用な高分子量のポリマーは有機溶媒に難溶で
あり、濃硫酸等の無機の強酸が溶媒として用いられねば
ならないということが挙げられる。これを回避するため
に、例えば特公昭56−45421号公報では、直線配向型芳
香族ポリアミドの芳香核にハロゲン基を導入した単位
と、芳香核に置換基を持たない芳香族ポリアミドとを共
重合することにより、有機溶媒に可溶とし、それからフ
イルムを得ようとする試みがなされている。しかし、こ
れはモノマーが高価なため、コストが高くなる上に、折
角のパラ配向型芳香族ポリアミドの耐熱性や結晶性を損
なう欠点がある。
一方、特開昭59−14567号公報には、光学異方性を有
する芳香族ポリアミド溶液をスリットから短い空気層を
介して凝固浴中に押出す方法が開示されているが、この
方法ではMD方向の機械的強度のみ強く、それと直交する
TD方向の機械的強度は極端に弱く、裂けやすいものしか
得られなかった。
このように単に芳香族ポリアミドの光学異方性ドープ
を押出し、そのまま凝固させただけでは、吐出方向に過
度に配向するために、フイブリル化し易くTD方向に弱い
ものとなってしまうため、これを改良しようとするフイ
ルム製造方法が種々検討された。
例えば、特公昭57−35088号公報には、光学異方性を
有する芳香族ポリアミド溶液を、環状ダイから押出し、
インフレーション法を用いてドープの状態で2軸方向に
同時流延させた後、湿式凝固させることにより等方性の
フイルムが得られるとしている。しかし、この方法では
均一な厚みの透明フイルムを得るのが難しく、機械的強
度、殊に引裂強度が低いという欠点がある。
また、特公昭59−5407号公報、特開昭54−132674号公
報では、パラ配向型芳香族ポリアミドの光学異方性また
は光学等方性のドープを、ダイ中で押出し方向と直角の
方向に機械的に剪断力を与えることにより、押出し時に
押出し方向とその直角方向の、2軸方向に配向させる提
案をしているが、ダイの構造が複雑で、工業的実施上の
難点がある。
さらに、ジャーナル オブ アプライド ポリマーサ
イエンス、第27巻(第8号)、第2965〜2985頁(1982)
には、ポリパラフェニレンテレフタルアミドの光学異方
性ドープを環状ダイより油塗布した円錐状のマンドレル
上に押出すことにより、2軸配向したフイルムを得るこ
とが提案されているが、このフイルムは、機械的強度が
低く、ドラフトをかけた場合に、MD方向の機械的強度は
高いが、TD方向のそれは著しく低いという欠点がある。
特公昭57−17886号公報には、パラ配向型芳香族ポリ
アミドの光学異方性ドープを凝固直前に、光学等方性と
なるまで加熱した後、凝固させることによって、透明で
機械的物性が等方的であるフイルムを得ることが記載さ
れている。この方法は、従来の光学異方性ドープの活用
により高性能を得んとする大方の概念に逆らった独創的
なものであり、これにより光学異方性ドープの極端な1
軸配向性の緩和と同時に、光学異方性ドープの液晶ドメ
イン構造がドープを押出した後も残り、そのまま凝固し
て不透明なフイルムとなってしまうことを回避すること
に成功している。
また、特開昭62−115036号公報には、特開昭57−1788
6号公報において凝固後の湿フイルムを、水酸化ナトリ
ウム溶液で中和することで透明性の優れたフイルムを得
ることに成功している。
この方法で得られたフイルムは長期耐熱性が良いが、
残ったナトリウムの影響のため電気絶縁性が低いことが
分かった。一方、水洗強化を行ってナトリウムを除いた
場合は、中和無しでフイルムを製造した場合と同様、機
械物性が著しく低下し、長期耐熱性が劣ることが確認さ
れた。従って、長期耐熱性および電気特性の両方に優れ
たフイルムについては具体的には開示していない。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、パラ配向型芳香族ポリアミドを用い
て、電気絶縁性及び長期耐熱性がともに優れたフイルム
を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記目的に沿った芳香族ポリアミドフ
イルムを得るべく鋭意研究を重ねた結果、次の知見を得
た。
即ち、特公昭57−17886号公報に開示された技術(パ
ラ配向型芳香族ポリアミドの光学異方性ドープをまず作
り、これを光学等方化して凝固するという方法により、
透明性のある機械的性能に優れた芳香族ポリアミドフイ
ルムが得られる技術)において、驚くべきことに凝固後
のフイルムを二価の金属イオンを含む溶液で処理した
後、水洗し、かつ乾燥工程において一般に収縮を制限し
て、更に150℃以上で乾燥することにより、二価の金属
を特定量含有させると電気絶縁性及び長期耐熱性に優れ
たフイルムが得られることが判った。
本発明者らは、これらの知見をもとに、更に研究を重
ねて本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は; 対数粘度ηinhが2.5以上の実質的にパラ配向型芳香族
ポリアミドからなり、密度が1.370g/cm3以上であり、し
かも二価の金属イオンを500〜3,000ppm含有することを
特徴とする、芳香族ポリアミドフイルムである。
本発明に用いられるパラ配向型芳香族ポリアミドは、
次の構成単位からなる群より選択された単位から実質的
に構成される。
−NH−Ar1−NH− ・・・(1) −CO−Ar2−CO− ・・・(2) −NH−Ar3−CO− ・・・(3) (ここで、Ar1、Ar2、及びAr3は各々2価の芳香族基で
あり、(1)と(2)はポリマー中に存在する場合は実
質的に等モルである。) 本発明において、良好な耐熱性を確保するためには、
Ar1、Ar2、及びAr3は各々、いわゆる直線配向性の基で
ある必要がある。
ここで、直線配向性とは、その分子鎖を成長させてい
る結合が芳香族の反対方向に同軸又は平行的に位置して
いることを意味する。
このような2価の芳香族基の具体例としては、パラフ
ェニレン、4,4′−ビフェニレン、1,4−ナフチレン、1,
5−ナフチレン、2,5−ピリジレン等が挙げられる。それ
らはハロゲン、低級アルキル、ニトロ、メトキシ、シア
ノ基などの非活性基で1または2以上置換されていても
よい。
また、これらの2価の芳香族の特別のものとして、一
般式: (ここで、Xは、4以下の偶数個の原子の連鎖により構
成され、かつ2価の基: が、全体として実質的に共役二重結合性を持つものであ
る。) で表わされる形の2価の基が挙げられる。
Xとしては、具体的には、トランス−CH=CH−、−N
=N−、−CH=N−、 などが挙げられる。Ar1、Ar2及びAr3は、いずれも2
種以上であってもよく、また相互に同じであっても異な
っていてもよい。
本発明に用いられるポリマーは、これまでに知られた
方法により、各々の単位に対応するジアミン、ジカルボ
ン酸、アミノカルボン酸より製造することが出来る。具
体的には、カルボン酸基をまず酸ハライド、酸イミダゾ
ライド、エステル等に誘導した後に、アミノ基と反応さ
せる方法が用いられ、重合の形式もいわゆる低温溶液重
合法、界面重合法、溶融重合法、固相重合法等を用いる
ことが出来る。
本発明に用いる芳香族ポリアミドには、上記した以外
の基が約10モル%以下共重合されたり、他のポリマーが
ブレンドされたりしていてもよい。
本発明の芳香族ポリアミドとして最も代表的なもの
は、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド(以下PPTA
と略称する)やポリ−p−ベンズアミドである。これら
の芳香環が核置換されていないホモポリマーを用いる
と、核置換されたコポリマーを用いた場合に比べ耐熱性
がはるかに良いため、耐熱性、機械的物性が高いフィル
ムが得られる。
本発明に用いる芳香族ポリアミドの重合度は、あまり
に低いと本発明の目的とする機械的性質の良好なフィル
ムが得られなくなるため、通常2.5以上、好ましくは3.5
以上、さらに好ましくは4.5以上の対数粘度ηinh(98.5
%濃硫酸100mlにポリマー0.2gを溶解して30℃で測定し
た値)を与える重合度のものが選ばれる。
本発明のフィルムは、実質的にパラ配向型芳香族ポリ
アミドからなるポリマーを硫酸等の強酸に溶解したドー
プから製膜するに際し、二価の金属イオンを含む溶液で
中和されたものである。ここで、二価の金属イオン濃度
としては、0.01重量%以上、0.2重量%以下が好ましく
用いられ、二価の金属イオンが未溶解状態で存在するこ
ともできる。
ここで二価の金属イオンは、Be2+、Mg2+、Ca2+、B
a2+、Ra2+等であり、Mg2+、Ca2+が好ましく用いられ
る。
本発明のフィルムは、二価の金属イオンを500〜3,000
ppm程度含むべきであり、これは主に高分子未満のカル
ボキシル基、または高分子中のスルホン基等に結合して
いると考えられるが、他にMgSO4、CaSO4等、遊離の塩と
して存在することもできる。
フイルム中に含有される二価の金属が3,000ppmを越え
るとフイルムの電気絶縁性が低下し、また500ppmより少
ないと高分子末端のカルボキシル基または高分子中のス
ルホン酸基等が中和されず存在するため、熱分解を促進
して耐熱性が低下すると共に機械的物性(強度や伸度)
もかなり低下する。
従来得られているフィルムは、ナトリウムを比較的多
量に含むものであるが、本発明のフィルムにおけるナト
リウムの含量は100ppm以下と少ない 本発明のフィルムは、電気特性の中でも主に、体積抵
抗率及び絶縁破壊電圧に優れている。
例えば、体積抵抗率については、従来の方法のフィル
ムの4×1013Ω・cmに対して、本発明のフィルムは約8
×1015Ω・cmであり、100倍以上高くなっている。
体積抵抗率は、電気絶縁材料として使用するために非
常に重要な性質であり、体積抵抗率が低いと高電圧下で
の絶縁不良の原因となるばかりでなく、長期間使用後の
マイグレーションの発生を引き起こすこともある。体積
抵抗率低下の原因として、不純物が影響することは従来
から知られているが、本発明のように中和に用いる金属
を変えることにより、このような大きな効果が得られる
ことは全く予想できないことであった。
本発明のフィルムは、機械的物性も極めて高く、例え
ば、強度、伸度、ヤング率はそれぞれ、15kg/mm2、20
%、400kg/mm2以上を有する。
また、本発明のフィルムは、好ましくは実質的にボイ
ドを含まない。
更に、本発明のフイルムは、通常、その密度が1.370
〜1.405g/cm3の範囲にある。この密度の値は四塩化炭素
−トルエンを使用した密度勾配管法により30℃で測定さ
れたものである。この密度の範囲は、公知のPPTA繊維の
それが1.43g/cm3から1.46g/cm3の範囲にあるのに比べて
かなり小さい値である。
該密度が1.370g/cm3未満になると機械的物性が低下
し、1.405g/cm3を越えると面配向性、従って機械的性質
の等方性の損なわれたフィルムとなる。何れにしても、
このように密度が小さいことから、軽くて高強度のフィ
ルムが得られることになる。
本発明のフィルムとして、以下に述べるX線回折によ
る結晶配向角で定義される面配向性を持っているのが好
ましい。すなわち、フィルム表面に直角に入射したX線
による2θ≒23゜のピークに関する結晶配向角が30゜以
上であり、フィルム表面に平行に入射したX線による2
θ≒18゜のピークに関する結晶配向角が60゜以下である
のが好ましい。
X線の入射は、フィルム表面に直角に入射する場合
(以下、TV方向と称する)と表面に平行に入射する場合
(以下、SV方向と称する)とに分けられる。
本発明のフィルムはTV方向からのX線により2θ≒23
゜に大きな回折ピークを持つが、この2θ≒23゜におけ
る結晶配向角が30゜以上であるのが好ましく、更に50゜
以上であるのがより好ましい。さらにSV方向からの入射
により2θ≒18゜の大きな回折ピークが赤道線上に現れ
るが、この2θ≒18゜における結晶配向角が60゜以下で
あるのが好ましい。これらの両方の結晶配向角が満たさ
れたとき、本発明のフィルムがいわゆる面配向の構造を
持つということが言え、フィルムの引取方向及びそれと
直角な方向の双方ともに高い機械的性質を有し、また大
きい引裂き強度を有する上で非常に好ましい。
結晶配向角の測定方法としては公知の方法が採用で
き、例えば次のような方法によって行われる。
所定の2θの角度に計数管を置き、フィルムを180゜
回転することにより、回折強度曲線を得る。
なお、TVにおいては、最高強度を中心とし、前後90゜
の間を回転させる。この曲線の最高強度の、最低強度点
間に引いたベースラインに対する半分の強度を示す点に
対する、回折写真における円弧長を度で表した値(すな
わち、最高強度のベースラインに対する50%の点に対す
る角度)を測定し、それを試料の結晶配向角とする。測
定に際し、フィルムは必要により何枚か重ねて回折強度
を測ることができる。
次に、このような芳香族ポリアミドフィルムを得る方
法についてパラ配向型芳香族ポリアミドとしてPPTAを用
いる場合を例にとって述べる。
本発明のフィルムの製造において、まずPPTAの光学異
方性ドープを調製する必要がある。
本発明のPPTAフィルムの成形に用いるドープを調製す
るのに適した溶媒は、95重量%以上の濃度の硫酸であ
る。95%未満の硫酸では溶解が困難であったり、溶解後
のドープが異常に高粘度になる。
本発明のドープには、クロル硫酸、フルオロ硫酸、五
酸化リン、トリハロゲン化酢酸などが少し混入されてい
てもよい。硫酸は100重量%以上のものも可能である
が、ポリマーの安定性や溶解性などの点から98〜100重
量%濃度が好ましく用いられる。
本発明に用いられるドープ中のポリマー濃度は、常温
(約20℃〜30℃)またはそれ以上の温度で光学異方性を
示す濃度以上のものが好ましく用いられ、具体的には約
10重量%以上、好ましくは約12重量%以上で用いられ
る。これ以下のポリマー濃度、すなわち常温またはそれ
以上の温度で光学異方性を示さないポリマー濃度では、
成形されたPPTAフィルムが好ましい機械的性質を持たな
くなることが多い。ドープのポリマー濃度の上限は特に
限定されるものではないが、通常は20重量%以下、特に
高いηinhのPPTAに対しては18重量%以下が好ましく用
いられ、更に好ましくは16重量%以下である。
本発明のドープには普通の添加剤、例えば、増量剤、
徐光沢剤、紫外線安定化剤、熱安定化剤、抗酸化剤、顔
料、溶解助剤などを混入してもよい。
ドープが光学異方性か光学等方性であるかは、公知の
方法、例えば特公昭50−8474号公報記載の方法で調べる
ことができるが、その臨界点は、溶媒の種類、温度、ポ
リマー濃度、ポリマーの重合度、非溶媒の含有量等に依
存するので、これらの関係を予め調べることによって、
光学異方性ドープを作り、光学等方性ドープとなる条件
に変えることで、光学異方性から光学等方性に変えるこ
とができる。
本発明に用いられるドープは、成形、凝固に先立っ
て、可能な限り不溶性のゴミ、異物等を濾過等によって
取り除いておくこと、溶解中に発生又は巻きこまれる空
気等の期待を取り除いておくことが好ましい。脱気は、
一旦ドープを調製したあとに行うこともできるし、調製
のための原料の仕込段階から一貫して真空(減圧)下に
行うことによっても達成しうる。ドープの調製は連続又
は回分で行うことができる。
このようにして調製されたドープは、光学異方性を保
ったまま、ダイ例えばスリットダイから、移動している
支持面上に流延される。本発明において、流延及びそれ
に続く光学等方性への転化、凝固、洗浄、延伸、乾燥な
どの工程は、好ましくは連続的に行われるが、もし必要
ならば、これらの全部又は一部を断続的に、つまり回分
式に行ってもよい。
本発明の機械的性質に優れた透明フィルムを得る方法
は、ドープを支持面上に流延した後、凝固に先立ってド
ープを光学異方性から光学等方性に転化するものであ
る。
光学異方性から光学等方性にするには、具体的には支
持面上に流延した光学異方性ドープを凝固に先立ち、吸
湿させてドープを形成する溶剤の濃度を下げ、溶剤の溶
解能力およびポリマー濃度の変化により光学等方性域に
転移させるか、または加熱することによりドープを昇温
し、ドープの相を光学等方性に転移させる、或いは吸湿
と加熱とを同時又は逐次的に併用することにより達成で
きる。
特に、吸湿を利用する方法は、加熱を併用する方法を
含めて、光学異方性の光学等方化が効率よく、かつPPTA
の分解を引き起こすことなく出来るので有用である。
ドープを吸湿させるには、通常の温度、湿度の空気で
もよいが、好ましくは加湿又は加温加湿された空気を用
いる。加湿空気は飽和蒸気圧を超えて霧状の水分を含ん
でいてもよく、いわゆる水蒸気であってもよい。ただ
し、約45℃以下の過飽和水蒸気は、大きい粒状の凝縮水
を含むことが多いので好ましくない。吸湿は通常、室温
〜約180℃、好ましくは50℃〜150℃の加湿空気によって
行われる。
加熱による方法の場合、加熱の手段は特に限定され
ず、上記の如き加熱された空気を流延ドープに当てる方
法、赤外線ランプを照射する方法、誘電加熱による方法
などである。
支持面上で光学等方化された流延ドープは、次に凝固
を受ける。本発明において、ドープの凝固液として使用
できるのは、例えば、水、約70重量%以下の希硫酸、約
20重量%以下の水酸化ナトリウム水溶液およびアンモニ
ア水、約10重量%以下の硫酸ナトリウム、塩化ナトリウ
ム水溶液および塩化カルシウム水溶液などである。
本発明において、凝固液の温度は、好ましくは15℃以
下であり、更に好ましくは5℃以下である。何故なら、
一般に、凝固液温度を低くした方が、フイルムに包含さ
れるボイドが少なくなるという傾向が見出されたからで
ある。
凝固されたフイルムは、そのままでは酸が含まれてい
るため、好ましくは水で或る程度酸分を除去し、その
後、二価の金属イオンを含む水溶液で中和する。中和液
の温度は、限定されるものではないが、100℃以下が好
ましい。中和液の濃度は、約0.01重量%以上、約0.20重
量%以下が好ましい。中和液との接触時間は通常5秒〜
20分程度である。
中和後の洗浄液としては、水が通常用いられるが、必
要に応じて温水で行ったりしてもよい。洗浄は、例えば
洗浄液中でフィルムを走行させたり、洗浄液を噴霧する
等の方法により行われる。洗浄されたフイルムは、乾燥
を受ける前に湿潤状態で延伸しても良く、機械的高物性
を得るためには好ましい実施態様である。
乾燥は、緊張下、定長下または僅かに延伸しつつ、フ
イルムの収縮を制限して行う必要がある。もし、洗浄液
(例えば水)の除去とともに収縮する傾向を有するフイ
ルムを、何らの収縮の制限を行うことなく乾燥した場合
には、フイルムの平面性が損なわれたり、カールしてし
まうこともある。収縮を制限しつつ乾燥するには、例え
ばテンター乾燥機や金属枠に挟んでの乾燥などを利用す
ることができる。
乾燥方法については特に制限されるものではなく、加
熱又は常温気体(空気、窒素、アルゴンなど)による方
法、電気ヒーターや赤外線ランプなどの輻射加熱法、誘
電加熱法などの手段から自由に選ぶことができる。
本発明の方法において、全工程を通して連続してフイ
ルムを走行させつつ製造することが好ましい実施態様の
1つであるが、望むならば部分的に回分式に行ってもよ
い。また、任意の工程で油剤、識別用の染料などをフイ
ルムに付与しても差し支えない。
(実施例) 以下に実施例を示すが、これらの参考例および実施例
は本発明を説明するものであって、本発明を限定するも
のではない。
なお、実施例中、特に規定しない場合は重量部または
重量%を示す。
対数粘度ηinh:98%硫酸100mlにポリマー0.2gを溶
解し、30℃で常法で測定した。
ドープの粘度:B型粘度計を用い、1rpmの回転速度で
測定したものである。
フイルムの厚さ:直径2mmの測定面を持ったダイヤ
ルゲージで測定した。
強伸度およびモジュラス:定速伸長型強伸度測定機
により、フイルム試料を100mm×10mmの長方形に切り取
り、最初のつかみ長さ30mm、引張り速度30mm/分で荷重
−伸長曲線を5回描き、これより算出したものである。
金属含有量: (イ)フイルムを数グラム取り出し、電気炉にて500℃
に加熱し、灰化する。
(ロ)塩酸処理を行った後、Naは原子吸光光度計、Ca、
Mgについては誘導結合プラズマ発光分光分析計にて測定
を行った。
体積抵抗率: (イ)フイルムを一辺が約100mmの正方形に切り出す。
(ロ)膜の厚みをマイクロメーターにて0.001mmまで正
確に測り、第1図−a、−bの斜線部をAlで約2,000Å
の厚さに蒸着する。
(ハ)蒸着されたサンプルは、23℃、60%RHの雰囲気下
に48時間放置後に、測定を行った。
(ニ)測定方法は、第2図に示すように接続し、1分間
充電して行った。
絶縁破壊電圧: (イ)フイルムを一辺が約100mmの正方形に切り出す。
(ロ)膜の厚みをマイクロメーターにて0.001mmまで正
確に測る。
(ハ)このサンプルを23℃、60%RHの雰囲気下に48時間
放置後に、測定を行った。
(ニ)測定方法は、耐電圧計で6mmφの円柱状電極を使
用し、電圧印加は、手動にて約1kv(AC)/約15秒の速
度で印加し、測定を行った。
実施例1〜3 ηinhが5.7のPPTAポリマーを99.7%の硫酸にポリマー
濃度12.0%で溶解し、60℃で光学異方性のあるドープを
得た。このドープの粘度を常温で測定したところ10,200
ポイズだった。製膜しやすくするために、このドープを
約70℃に保ったまま、真空下に脱気した。
この場合も上記と同じく光学異方性を有し、粘度は4,
800ポイズであった。タンクからフィルターを通し、ギ
アポンプを経てダイに到る1.5mの曲管を約70℃に保ち、
0.2mm×300mmのスリットを有するダイから、鏡面に磨い
たタンタル製のベルトにキャストし、相対湿度約85%の
約70℃の空気を吹きつけて、流延ドープを光学等方化
し、ベルトとともに、5℃の水の中に導いて凝固させ
た。次いで、凝固フイルムをベルトから引き剥がし、水
中に放置した。
濡れたままのフイルムを、各濃度の水酸化カルシウム
浴中に浸しておき、次いで流水で洗浄した。洗浄の終了
したフイルムを10cm角の金枠に挟み、収縮しないように
して390℃の熱風乾燥機で約5分間乾燥した。その時の
水酸化カルシウム水溶液濃度とフイルムの結果を第1表
に示す。
得られたフイルムの密度は1.40であった。
実施例4 実施例1と同じ方法で製膜し、水中に放置した濡れた
ままのフイルムを0.1%の水酸化マグネシウム浴中に浸
しておき、次いで流水で洗浄した。
洗浄の終了したフイルムを実施例1と同様に乾燥し
た。得られたフイルムの結果を第1表に示す。
得られたフイルムの密度は1.40であった。
比較例1 実施例2と同じ方法で製膜し、中和処理せずに1昼夜
流水で洗浄し、実施例2と同じ方法で乾燥した。得られ
たフイルムの結果を第1表に示す。
比較例2 実施例1と同じ方法で製膜し、0.1%NaOH浴に30分浸
しておき、次いで、流水で洗浄したフイルムを実施例1
と同様に乾燥した。その時得られたフイルムの結果を第
1表に示す。
(発明の効果) 本発明のフイルムは、優れた電気絶縁性を有してお
り、しかも、市販のフイルムには見られない高い強度と
高いモジュラスで表される良好な機械的性質を有し、し
かもMD方向とTD方向に極めてバランスの取れた物性を示
す。
また、これらの特性のみならず、優れた耐熱性、耐油
性、耐圧性、強酸以外の耐薬品性、構造の緻密性を有す
る。
このため、本発明のフイルムは、高速回転する電気機
器の絶縁材料や磁気テープ、フレキシブルプリント配線
基板、電線被覆材、濾過膜等に好適に使用することが出
来る。
【図面の簡単な説明】 第1図は、体積抵抗率を測定するためのサンプルを示す
図であり、図中の斜線部はAl蒸着電極である。 第2図は、第1図の断面図であり、図中の黒塗り部はAl
蒸着電極である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 5/00 - 5/02,5/12 - 5/22 B29C 41/00 - 41/52

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対数粘度ηinhが2.5以上の実質的にパラ配
    向型芳香族ポリアミドからなり、密度が1.370g/cm3以上
    であり、しかも二価の金属イオンを500〜3,000ppm含有
    することを特徴とする、芳香族ポリアミドフイルム。
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