JP2536869B2 - ポリアミドフイルム - Google Patents

ポリアミドフイルム

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JP2536869B2
JP2536869B2 JP62103890A JP10389087A JP2536869B2 JP 2536869 B2 JP2536869 B2 JP 2536869B2 JP 62103890 A JP62103890 A JP 62103890A JP 10389087 A JP10389087 A JP 10389087A JP 2536869 B2 JP2536869 B2 JP 2536869B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ポリアミドフィルム、特にポリ(p−フェ
ニレンテレフタルアミド)(以下、PPTAと称する)から
なるフィルムに関し、さらに詳しくはフィルムの長尺方
向(以下、MD方向と略す)および幅方向(TD方向)とも
に優れた機械特性を示し、かつ優れた表面性と易滑性を
兼備するPPTAフィルムに関するものである。
〔従来の技術〕 PPTAは、特に優れた結晶性や高い融点を存し、また剛
直な分子構造の故に、耐熱性で高い機械的強度を有して
おり、近年、特に注目されている高分子素材である。ま
たその光学異方性を示す濃厚溶液から紡糸された繊維は
高い強度およびモジュラスを示すことが報告され、すで
に工業的に実施されるに到っているが、フィルムへの応
用例の提案は少なく、実用化例もいまだ知られていな
い。
PPTAの有する問題点としては、その有用な高分子量の
ポリマーは有機溶媒に難溶であり、濃硫酸等の無機の強
酸が溶媒として用いられねばならないということがあげ
られ、これを回避するために、例えば特公昭56−45421
号公報では、直線配位芳香族ポリアミドの芳香核にハロ
ゲン基を導入した単位と、PPTA以外の芳香族に置換基を
もたない芳香族ポリアミドを共重合することにより有機
溶媒に可溶とし、それからフィルムを得ようとする試み
がなされている。しかし、これはモノマーが高価なた
め、コストが高くなる上に、折角の直線配位芳香族ポリ
アミドの耐熱性や結晶性を損なう欠点がある。
このため、置換基を有しない、直線配向性の芳香族ポ
リアミドの光学異方性ドープを押出し凝固させることに
よりフィルムを得る方法がいくつか開示されている(特
公昭59−14567号公報、特公昭57−35088号公報、特公昭
59−5407号公報および特開昭54−132674号公報)。しか
しながら、これらの方法は、得られるフィルムの物性の
異方性が大きすぎること、製造方法が複雑であること等
の理由より実用的フィルムの工業的製造方法としては難
点がある。
特公昭57−17886号公報には、直線配位性芳香族ポリ
アミドの光学異方性ドープを凝固直前に、光学等方性と
なるまで加熱した後、凝固させることによって、透明で
機械的物性が等方的であるフィルムを得ることが記載さ
れている。この方法は、従来の光学異方性ドープの活用
により高性能を得んとする大方の概念に逆らった独創的
なものであり、これにより光学異方性ドープの極端な1
軸配向性の緩和と同時に、光学異方性ドープの液晶ドメ
イン構造がドープを押出した後も残り、そのまま凝固し
て不透明なフィルムとなってしまうことを回避すること
に成功している。
この方法で製造したアラミドフィルムは、優れた機械
的性質、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性等を有するた
め、磁気テープ、写真フィルム、コンデンサー用フィル
ム、電気絶縁フィルム、サーマルプリンター用インクリ
ボン、フレキシブルプリント配線板用フィルム等の素材
として使用することが期待されている。
しかしながら、ポリアミドフィルムの生産および上記
のごとき用途への適用を円滑に行なうためにはポリアミ
ドフィルムの滑り性を改善することが必要である。
すなわち、特に薄いポリアミドフィルムの場合にフィ
ルムの滑り性が不足すると、例えば巻取り、巻返し、塗
布、スリット等の作業に重大な支障を及ぼし、例えば巻
きしわの発生、静電気による塵芥吸着など工程上の障害
となる。
一方、特にビデオテープ、フロッピーディスク等の高
密度記録用磁気テープにおいては、テープ表面に凹凸が
あるとヘッドとの接触に際しスペースロスを発生し、ド
ロップアウト、記録ミス、カラーノイズ等をもたらすた
め、ベースフィルムとしては粗大突起のない極めて平滑
なものが要求される。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明の目的は、PPTAを用いた高性能のフィルムであ
って、特に平滑性および易滑性に優れたポリアミドフィ
ルムを提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、上記目的に沿ったPPTAフィルムを得る
べく鋭意研究を重ねた結果、例えば特公昭57−17886号
公報に開示された技術、すなわちPPTAの光学異方性ドー
プをまずつくり、これを光学等方化して凝固するという
方法により得られた特定のPPTAフィルム上に、架橋性の
シリコーン皮膜を形成することにより、易滑性の優れた
フィルムが得られることを見出し、さらに研究を重ねて
本発明として完成させたものである。
すなわち本発明は、対数粘度が3.5以上のポリ(p−
フェニレンテレフタルアミド)より実質的になり、フィ
ルム面に平行な方向の引張伸度が8%以上であり、かつ
フィルムの片面または両面に架橋されたシリコーン皮膜
を有することを特徴とするポリアミドフィルムである。
本発明に用いられるPPTAは、実質的に で表わされるポリマーであり、従来公知のパラフェニレ
ンジアミンとテレフタロイルクロライドから低温溶液重
合法により製造するのが好都合である。
本発明のポリマーの重合度は、あまり低いと機械的性
質の良好なフィルムが得られなくなるため、3.5以上、
好ましくは4.5以上の対数粘度ηinh(硫酸100mlにポリ
マー0.5gを溶解して30℃で測定した値)を与える重合度
のものが選ばれる。
本発明のフィルムは以下に述べる2つの要件を満たし
て初めてその目的を達せられるものである。
まず第1に、本発明のフィルムは、フィルム面に平行
な方向の引張伸度が8%以上である必要がある。8%よ
り小さい伸度をもつフィルムは裂けやすく実用的でな
い。好ましい引張伸度は10%以上である。本発明のフィ
ルムのもつ高伸度は、光学異方性のドープを支持面上に
流延したのち光学等方性化するというプロセスと関連し
ている。
本発明のフィルムは、第2に、片面または両面に架橋
されたシリコーン皮膜を有することが必要である。
皮膜を形成する架橋性シリコーン樹脂とは、シロキサ
ンの置換基が主としてメチル基よりなるポリオルガノシ
ロキサンを主成分とし、メチル基以外には水酸基、α−
メチルスチレン基、オキシアルキレン基、不飽和基、ク
ロロフェニル基、トリフルオロプロピル基、エポキシ
基、ビニル基、カルボン酸基、フェニル基、アミノ基、
シアノエチル基、α−オレフィン基、水素基、メルカプ
ト基、ハロゲン化アルキル基等を一部置換基として有し
てもよく、さらに末端にエポキシ基、アミノ基、水酸
基、その他官能性末端基を有するものである。
上記シリコーン皮膜は、上記オルガノポリシロキサン
を水性媒体中に乳化もしくは水溶化させるか、またはシ
ランもしくはシロキサンの乳化重合によって得られる水
性エマルジョン等公知の製造方法によって得られた水溶
液または乳化液をフィルムに塗布した後、加熱乾燥する
ことにより得られる。前記水溶液または乳化液には必要
に応じて硬化剤が添加される。
シリコーン皮膜には、主成分のシリコーン樹脂以外に
スチレン−ブタジエンゴム、塩化ビニル等の高分子、シ
ランカップリング剤、ワックス等の潤滑剤、界面活性
剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤等を重量割合と
して約30%程度まで含有するものであってもよい。
シリコーン皮膜の塗布量としては、0.001〜0.5g/m2
好ましく、0.002〜0.1g/m2がさらに好ましい。
シリコーン皮膜の形状は、製造条件を変えることによ
り種々のものを形成させることができ、全面に均一な厚
さを有するものでも、粒状、筋状、しわ状等の、非常に
小さな微細構造を有するものでもよい。なお、粗大な突
起を有するものはフィルムの平滑性を損なうので一般に
好ましくない。
本発明のフィルムは、好ましくは、以下の性質も有し
ている。
例えば、本発明のフィルムは、その少なくとも1方向
のヤング率が800kg/mm2以上である。この条件は、フィ
ルムの変形抵抗性と密接に関連しており、また例えば磁
気テープとして用いたときのジッター特性とも関連して
いる。さらに好ましくは少なくとも1方向のヤング率が
1300kg/mm2以上であり、最も好ましくは1500kg/mm2以上
である。本発明のフィルムには、2つの態様があり、1
つはタテ・ヨコのヤング率が800kg/mm2以上でほぼ等し
いバランスタイプのものであり、他の1つはタテ・ヨコ
のどちらかがそのヤング率が大きく、1000kg/mm2以上で
あるテンシライズドタイプのものである。
本発明のフィルムは、約12μm以下の薄いフィルムが
好ましく、特に10μm以下が好ましい。これは例えばビ
デオテープとして使ったとき同じ長さ当たりのかさ高さ
が厚みに比例して大きくなるため、小型・軽量でかつ録
画時間を長く、というニーズに合致するからである。
また、本発明のフィルムは、実質的にボイドを含まな
いことが好ましい。
さらに、本発明のフィルムは、通常、その密度が1.37
0〜1.420g/cm3の範囲にある。この密度の値は四塩化炭
素−トルエンを使用した密度勾配管法により30℃で測定
されたものである。この密度の範囲は、高知のPPTA繊維
のそれが1.43g/cm3から1.46g/cm3の範囲にあるのに較べ
てかなり小さい値である。該密度が1.370g/cm3未満にな
ると機械的物性が低下し、1.420g/cm3を超えると面配向
性、したがって機械的性質の等方性の損なわれたフィル
ムとなる。いずれにしてもこのように密度が小さいこと
から、軽くて高強度のフィルムが得られることになる。
本発明のフィルムは、以下に述べるX線回折による結
晶配向角で定義される面配向性をもっていることが好ま
しい。すなわちフィルム表面に直角に入射したX線によ
る2θ≒23゜のピークに関する結晶配向角が30゜以上で
あり、フィルム表面に並行に入射したX線による2θ≒
18゜のピークに関する結晶配向角が60゜以下であること
が好ましい。
X線の入射は、フィルム表面に直角に入射する場合
(以下、TV方向と称する)と表面に並行に入射する場合
(以下、SV方向と称する)とに分けられる。本発明のフ
ィルムはTV方向からのX線により2θ≒23゜に大きな回
折ピークを持つが、この2θ≒23゜における結晶配向角
が30゜以上であることが好ましく、さらに50゜以上であ
ることがより好ましい。さらにSV方向からの入射により
2θ≒18゜の大きな回折ピークが赤道線上に現れるが、
この2θ≒1Rにおける結晶配向角が60゜以下であること
が好ましい。これらの両方の結晶配向角が満たされたと
き本発明のフィルムがいわゆる面配向の構造を持つとい
うことがいえ、フィルムの引取方向およびそれと直角な
方向の双方ともに高い機械的性質を有し、また大きい引
裂き強度を有する上で非常に好ましい。
結晶配向角の測定方法としては高知の方法が採用で
き、例えば次のような方法によって行なわれる。所定の
2θの角度に係数管を置き、フィルムを180゜回転する
ことにより、回折強度曲線を得る。なお、TVにおいて
は、最高強度を中心とし、前後90゜の間を回転させる。
この曲線の最高強度の、最低強度点間に引いたベースラ
インに対する半分の強度を示す点に対応する、回折写真
における円弧長を度で表わした値(すなわち、最高強度
のベースラインに対する50%の点に対する角度)を測定
し、それを試料の結晶配向角とする。測定に際し、フィ
ルムは必要により何枚か重ねて回折強度を測ることがで
きる。
本発明のフィルムは、架橋性シリコーン皮膜を形成し
た面において、静摩擦係数(後述の方法で測定)が0.4
以下であることが好ましく、0.3以下であることがさら
に好ましい。また、動摩擦係数は、皮膜を形成した面に
おいて0.35以下が好ましく、0.25以下がさらに好まし
い。
本発明のフィルムは、表面粗度Ra(後述の方法で測
定)が、皮膜を形成した面において0.02μ以下が好まし
く、0.01μ以下がさらに好ましい。また皮膜を形成しな
い面については0.015以下が好ましく、0.010以下がさら
に好ましい。
次に、このようなPPTAフィルムを得る方法について説
明する。
本発明のフィルムを得るには、まずPPTAの光学異方性
ドープを調製する必要がある。
本発明のPPTAフィルムの成型に用いるドープを調製す
るのに適した溶媒は、95重量%以上の濃度の硫酸であ
る。95%未満の硫酸では溶解が困難であったり、溶解後
のドープが異常に高粘度になる。
本発明のドープには、クロル硫酸、フルオロ硫酸、五
酸化リン、トリハロゲン化酢酸などが少し混入されてい
てもよい。硫酸は100重量%以上のものも可能である
が、ポリマーの安定性や溶解性などの点から98〜100重
量%濃度が好ましく用いられる。
本発明に用いられるドープ中のポリマー濃度は、常温
(約20〜30℃)またはそれ以上の温度で光学異方性を示
す濃度以上のものが好ましく用いられ、具体的には約10
重量%以上、好ましくは約12重量%以上の濃度のものが
用いられる。これ未満のポリマー濃度、すなわち常温ま
たはそれ以上の温度で光学異方性を示さないポリマー濃
度では、成型されたPPTAフィルムが好ましい機械的性質
を持たなくなることが多い。ドープのポリマー濃度の上
限は特に限定されるものではないが、通常は20重量%以
下、特に高いηinhのPPTAに対しては16重量%以下が好
ましく、13重量%以下がさらに好ましい。
本発明に用いるドープには、例えば増量剤、除光沢
剤、紫外線安定化剤、熱安定化剤、抗酸化剤、顔料、溶
解助剤などの添加剤を混入してもよい。
ドープが光学異方性か光学等方性であるかは、公知の
方法、例えば特公昭50−8474号公報記載の方法で調べる
ことができるが、その臨界点は、溶媒の種類、温度、ポ
リマー濃度、ポリマーの重合度、非溶媒の含有量等に依
存するので、これらの関係をあらかじめ調べることによ
って、光学異方性ドープをつくり、光学等方性ドープと
なる条件に変えることにより、光学異方性から光学等方
性に変えることができる。
このようにして調製されたドープは、光学異方性を保
ったまま、ダイ、例えばスリットダイから支持面上に流
延される。また、実験質的にはガラス板上にドクターナ
イフで流延することもできる。本発明において、流延お
よびそれに続く光学等方性への転化、凝固、洗浄、延
伸、乾燥などの工程を連続的に行なっても、これらの全
部または一部を断続的に、つまり回分式に行なってもよ
い。好ましい方法は、流延工程を連続的に、しかもドー
プを流延する支持面の移動速度をダイからのドープの吐
出線速度の2倍以上で行なう方法である。
本発明に用いられる支持面は、ベルトやドラムの形
状、または板状物であればよく、その材質は、耐酸性が
あり表面仕上げが可能なものであれば特に限定されず、
例えばガラス、ハステロイ、タンタル、金、白金、窒化
チタン等のメッキを施した金属などが好ましく用いら
れ、特にこれらの材料がいわゆる鏡面仕上げされている
ものが好ましい。
本発明のフィルムを得る方法においては、ドープを支
持面上に流延した後、凝固に先立ってドープが光学異方
性から光学等方性に転化される。
光学異方性から光学等方性に転化するには、具体的に
は支持面上に流延した光学異方性ドープを、凝固に先立
ち吸湿させてドープを形成する溶剤の濃度を下げ、溶剤
の溶解能力およびポリマー濃度の変化により光学等方性
域に転移させるか、または加熱することによりドープを
昇温し、ドープの相を光学等方性に転移させるか、また
は吸湿と加熱とを同時または逐次的に併用することによ
り達成できる。上記方法のうち特に吸湿を利用する方法
は、加熱を併用する方法も含めて、光学異方性の光学等
方化が効率よく、かつPPTAの分解を引き起こすことなく
できるので有用である。
ドープを吸湿させるには、通常の温度・湿度の空気で
もよいが、好ましくは、加湿または加温加湿された空気
を用いる。加湿空気は飽和蒸気圧を超えて霧状の水分を
含んでいてもよく、いわゆる水蒸気であってもよい。た
だし、約45℃以下の過飽和水蒸気は、大きい粒状の凝縮
水を含むことが多いので好ましくない。吸湿は通常、室
温〜約180℃、好ましくな50〜150℃の加湿空気によって
行なわれる。
加熱による方法の場合、加熱の手段は特に限定され
ず、上記のごとき加湿された空気を流延ドープに当てる
方法、赤外線ランプを照射する方法、誘電加熱による方
法などがあげられる。
支持面上で光学等方化された流延ドープは次に凝固を
うける。本発明において、ドープの凝固液としては30重
量%以上の硫酸水溶液が好ましい。30%未満の硫酸水溶
液は、水を含めて、ドープの凝固速度が大きすぎるため
か、表面精度の優れたフィルムを得るのが難しくなる。
凝固浴は40〜70重量%の硫酸水溶液が好ましい。
本発明において、凝固液の温度は10℃以下が好まし
い。これは温度が低いほど、凝固速度を小さくできるこ
と、およびフィルムに包含されるボイドが少なくなると
いう傾向とが見出され、したがってフィルムの表面精度
が向上するからである。凝固浴温度は好ましくは5℃以
下であり、さらに好ましくは0〜−40℃である。
凝固されたフィルムはそのままでは酸が含まれている
ため、加熱による機械的物性の低下の少ないフィルムを
製造するには酸分の洗浄、除去をできるだけ行なう必要
がある。酸分の除去は、具体的には約500ppm以下まで行
なうことが望ましい。洗浄液としては水が通常用いられ
るが、必要に応じて温水で行なったり、アルカリ水溶液
で中和洗浄した後、水などで洗浄してもよい。洗浄は、
例えば洗浄液中でフィルムを走行させたり、洗浄液を噴
霧する等を方法により行なわれる。
洗浄されたフィルムを、次に乾燥をうける前にもし望
むならば湿潤状態で延伸してもよい。延伸は、1方向ま
たは2方向に1.05倍以上の延伸倍率で行なわれる。この
とき、フィルム内に含有されている水分が汗のごとく出
てくる現象がしばしば見受けられる。1方向の延伸の場
合は、それがMD方向であってもそれと直角の方向であっ
てもよく、延伸倍率は約1.1〜1.7倍が好ましい。2方向
の延伸は、同時2軸延伸であっても、逐次的に1軸ずつ
延伸してもよい。2方向延伸の場合の延伸倍率は、約1.
07〜1.5倍が好ましい。延伸によって延伸方向にPPTA分
子鎖を配向させることができるため、機械的性質が向上
する。
乾燥は、緊張下、定長下またはわずかに延伸しつつ、
フィルムの収縮を制限して行なう必要がある。もし、洗
浄剤(例えば水)の除去とともに収縮する傾向を有する
フィルムを、何らの収縮の制限を行なうことなく、乾燥
した場合には、ミクロに不均一な構造形成(結晶化な
ど)が起こるためか、得られるフィルムの光線透過率が
小さくなってしまう。また、フィルムの平面性が損なわ
れたり、カールしてしまうこともある。収縮を制限しつ
つ乾燥するには、例えばテンター乾燥機や金属枠に挟ん
での乾燥などを利用することができる。乾燥に係る他の
条件は特に制限されるものではなく、加熱気体(空気、
窒素、アルゴンなど)や常温気体による方法、電気ヒー
タや赤外線ランプなどの輻射熱の利用法、誘電加熱法な
どの手段から自由に選ぶことができ、乾燥温度も、特に
制限されるものではないが、常温以上にあればよい。た
だし、機械的強度を大にするためには、高温のほうが好
ましく、100℃以上、さらに好ましくは200℃以上が用い
られる。乾燥の最高温度は、特に限定されるものではな
いが、乾燥エネルギーやポリマーの分解性を考慮すれば
500℃以下が好ましい。
本発明においては、前記の方法によりフィルムを製造
する際に、凝固によりフィルムが形成された後、乾燥お
よび/または熱処理されて巻取られるまでの任意の時点
において、前述した架橋性ポリオルガノシロキサンを含
む水溶液または乳化液をフィルムに塗布させた後、加熱
乾燥させる。これによりフィルム表面に架橋性シリコー
ンよりなる皮膜が形成される。
架橋性ポリオルガノシロキサンを含む水溶液または乳
化液(以下、処理液と記す)をフィルムに接触させる時
点としては、凝固したフィルムを水洗した後、乾燥前の
湿フィルムの状態、または乾燥後の乾フィルムの状態で
適当であるが、工程の簡便さの面から、湿フィルムの状
態で接触するのがより好ましい。フィルムに処理液を接
触させる方法としては、処理液を入れた槽内をフィルム
を走行させる方法、また走行中のフィルムの表面に処理
液を塗布する方法、例えばリバースコート(ボトムフィ
ード3本リバース、ボトムフィード4本リバース、2本
ロールリバースまたはトップフィード3本リバース
等)、キスマイヤーコート、グラビアコート(ダイレク
トグラビアまたはオフセットグラビア)、スロットダイ
コードまたはカーテンコート等によって行なうことがで
きる。
本発明において、処理液の濃度は通常50wt%以下、好
ましくは30wt%以下、粘度は好ましくは50cps以下が適
当である。これらの処理液は、走行しているフィルム1m
2当たり固形分として0.002〜1.0、特に0.004〜0.2gの量
が付着するように調整することが好ましい。言い換えれ
ば、最終的に得られる乾燥フィルムにおいて単位表面積
1m2当たり0.001〜0.5g、好ましくは約0.002〜0.1gの固
形分が形成される量になるよう付着量を調整するのが好
適である。
処理液中には、前記のポリオルガノシロキサン、およ
びその水への分散、塗布後の硬化のために必要に応じて
添加される乳化剤、硬化剤以外に、高分子、シランカッ
プリング剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤、紫外線
吸収剤、難燃剤等を添加することもできる。
また、溶解性、分散性に向上させ、均質な塗布層を形
成させるために、アルコール、エステル、エーテル系溶
媒等を少量加えることもできる。
本発明においては、目的に応じてこのような皮膜をフ
ィルムの片面または両面に形成させることができる。片
面のみに皮膜を形成させた本発明の易滑性ポリアミドフ
ィルムは、一方の面が非常に走行性がよく、他方の面が
極めて平滑であるデュアルサーフェス構造を有し、磁気
テープ用素材として特に好適に使用できる。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例を示すが、これらの実施例は本
発明を説明するものであって、本発明を限定するもので
はない。なお、実施例中特に規定しない場合は重量部ま
たは重量%を示す。対数粘度ηinhは98%硫酸100mlにポ
リマー0.5gを溶解し、30℃で常法で測定した値である。
ドープの粘度は、B型粘度計を用い1rpmの回転速度で測
定したものである。フィルムの厚さは、直径2mmの測定
面を持ったダイヤルゲージで測定した。強伸度およびヤ
ング率は、定速伸長型強伸度測定機により、フィルム試
料を100mm×10mmの長方形に切取り、最初のつかみ長さ3
0mm、引張速度30mm/分で荷重−伸長曲線を5回描き、こ
れより算出したものである。
摩擦係数は、ガラスとフィルムの各面の間について、
ASTM−1894に準じて島津製作所製オートグラフを使用し
て測定した。
表面粗度(Ra)は、触針式表面粗さ計を使用して得ら
れる断面曲線からうねりを除いた粗さ曲線において、中
心線からの粗さ曲線の高さ(低さ)の絶対値の算術平均
であり(DIN 4768)、ここではカットオフ値0.08mm、
測定長さ0.8mmの条件で測定したものである。
実施例1 ηinhが5.5のPPTAポリマーを99.7%の硫酸にポリマー
濃度11.5%で溶解し、60℃で光学異方性のあるドープを
得た。このドープの粘度を常温で測定したところ、10,6
00ポイズだった。このドープを約70℃に加温して、真空
下に脱気した。この場合も上記と同じく光学異方性を有
し、粘度は4400ポイズであった。タンクから静止型混合
機を通じギアポンプを経てダイに到る1.5mの曲管を約70
℃に保ち、0.15mm×300mmのスリットを有するダイか
ら、鏡面に磨いたタンタル製のベルトにキャストし、相
対湿度約85%の約90℃の空気を吹きつけて、流延ドープ
を光学等方化し、ベルトともに、−20℃の30重量%硫酸
水溶液の中に導いて凝固させた。次いで凝固フィルムを
ベルトからひきはがし、約40℃の温水中を走行させて洗
浄した。洗浄の終了したフィルムを水切りロールで表面
に付着した水分を除去し後、コーターヘッドを用いて片
面にシリコーン樹脂エマルジョン(松本油脂製、商品名
ソフナー332)を2%水に分散させた液を1m2当たり0.05
g塗布させた後、テンターを用いて横方向に1.1倍延伸し
つつ240℃で熱風乾燥した後、巻取り、厚さ7.8μのフィ
ルムを得た。得られたフィルムの性能を第1表に示す。
実施例2 実施例1と同様に製膜し、シリコーンエマルジョンを
塗布したフィルムを、1.2倍に縦延伸した後、テンター
で横方向に1.1倍に延伸しつつ240℃で熱風乾燥した。30
0℃で定長熱処理した後、巻取った。得られたフィルム
の性能を第1表に示す。
実施例3 実施例1と同様に製膜した後、シリコーンエマルジョ
ンを塗布することなく、テンター乾燥して得たフィルム
に、実施例1と同様な方法でシリコーン樹脂エマルジョ
ンを塗布した後、再度テンターで定長下に220℃で熱風
乾燥した後巻取った。得られたフィルムの物性を第1表
に示す。
実施例4 シリコーン樹脂エマルジョンとして、トーレシリコー
ン(株)製トーレシリコーンSH8800(商品名)を使用
し、それ以外は実施例1と同様に製膜し、フィルムを得
た。フィルムの物性を第1表に示す。
実施例1と同様に製膜した後、シリコーンエマルジョ
ンを塗布することなく、テンター乾燥して得たフィルム
に、シリココーン樹脂エマルジョンとしてトーレシリコ
ーンSH8800を実施例1と同様な方法で塗布した後、再度
テンターで定長下に220℃で熱風乾燥した後巻取った。
得られたフィルムの物性を第1表に示す。
なお、比較として、上記実施例中、シリコーン樹脂エ
マルジョンを塗布しない面(非塗布面)について表面粗
度および動摩擦係数を測定した結果を第1表に併記し
た。
〔発明の効果〕 本発明のフィルムは、実施例に示したように市販のフ
ィルムには見られない高い強度と高いヤング率で表わさ
れる良好な機械的性質を有し、しかも表面精度が非常に
良好で、シリコーン皮膜を有しないフィルムと比較して
も優れた平滑面と易滑面とを合わせ持っている。またこ
れらの性質のみならず、優れた電気絶縁性、耐熱性、耐
油性、耐圧性、強酸以外の耐薬品性、構造の緻密性を有
する。このため、本発明のフィルムは、高速回転する電
気機器の絶縁材料や磁気テープ、フレキシブルプリント
配線基板、熱転写プリンター、電線被覆材、濾過膜等に
好適に使用することができ、さらにもう一つの特徴であ
る透明性に優れていることから、包装材料、製版材料、
写真フィルム等にも有用なものである。
特に、本発明のフィルムは、高いヤング率と強い耐引
裂性、高い表面精度と易滑性をすべて備えているので、
ビデオテープ、コンピュータテープ、オーディオテー
プ、フロッピーディスク、各種カード(電話、乗車券、
定期乗車券など)などの磁気テープとして有用で、特に
画像の鮮明性や安定性にも優れた高品質のビデオテープ
として有用である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対数粘度が3.5以上のポリ(p−フェニレ
    ンテレフタルアミド)より実質的になり、フィルム面に
    平行な方向の引張伸度が8%以上であり、かつフィルム
    の片面または両面に架橋されたシリコーン皮膜を有する
    ことを特徴とするポリアミドフィルム。
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