JP2705098B2 - 積層型感光体 - Google Patents

積層型感光体

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JP2705098B2
JP2705098B2 JP10659588A JP10659588A JP2705098B2 JP 2705098 B2 JP2705098 B2 JP 2705098B2 JP 10659588 A JP10659588 A JP 10659588A JP 10659588 A JP10659588 A JP 10659588A JP 2705098 B2 JP2705098 B2 JP 2705098B2
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秀昭 植田
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、基板上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送
層を設けた積層型感光体に関する。
従来の技術 従来、電子写真法に使用される感光体の感光層を形成
する感光材料としては、セレン、酸化亜鉛、酸化チタ
ン、硫化カドミウムなどの無機系光導電性材料が用いら
れてきた。しかし、これらは数多くの欠点を有してお
り、一般に毒性が強いものが多く、また、耐湿性等にも
問題があった。
一方、有機系光導電性材料を用いた感光体は、成膜
性、軽量性、価格の点で優れているが、未だ十分な感
度、耐久性および環境変化による安定性の点で問題があ
る。
近年、電荷の発生と輸送という機能を分離した積層型
感光体が提案され、有機系光導電性材料を使用した従来
の感光体の欠点が大幅に改良された結果、有機感光体が
実用化され、急速な進歩を遂げつつある。
積層型感光体は金属アルミニウム、銅等の導電性基板
上に電荷発生層と電荷輸送層を順次積層した構成を有す
る。
これらの積層型感光体は、電荷保持性、高感度、繰り
返し安定性、耐絶縁破壊性、耐摩耗性、耐久性、耐湿
性、転写性、クリーニング性、保存安定性などの基本的
な条件を満足することが要求される。
さらに、積層型感光体はレーザープリンタ用として使
用され、反転現像時での高い画像信頼性、繰り返し安定
性が要求されるようになった。
発明が解決しようとする課題 従来の積層型感光体において、特に電荷発生層が樹脂
に顔料を分散させた分散膜の場合には、基板との接着性
や塗工性、基板から電荷輸送層への電荷注入など色々な
問題があった。これらは導電性基板の問題も大きく、基
板上の欠陥や、電荷注入性、接着性の改善が必要であ
る。これらの対策として特開昭58−30757号、特開昭58
−95744号において下引き層を用いて感光体が提案され
ている。特開昭58−14841号、特開昭59−41360号、特開
昭61−140947号においてアルミニウム支持体をアルマイ
ト処理した感光体が提案されている。
しかし、特開昭58−30757号、特開昭58−95744号に開
示されている下引き層はその電気抵抗が外部の環境の変
化、特に大気中の湿度の変化により大きな影響を受け、
低湿度になるとカブリが生じたりする。また、電気抵抗
が高いと下引き層に帯電電位が印加され、いわゆる残留
電位として、画像にカブリが発生する。下引き層にはこ
のようないろいろな特性が要求されるが、単一樹脂だけ
の場合には、良好なものが得がたいものであった。その
ため、樹脂膜の膜厚を非常に薄くするか、あるいは必要
に応じて導電性粉末(金属粉など)を樹脂に分散させて
いる。しかし、樹脂層の膜厚を薄くすることは、下引き
層としての性能が十分でなくなる欠点を有しており、一
方、金属粉を分散させた下引き層では、金属粒子が荒い
ため、下引き層の表面性が低下する欠点があった。
特に、従来の積層型感光体を、レーザープリンターに
応用しても、反転現像時白紙部で発生する微小な黒斑点
に対してはあまり効果がなかった。
一方、特開昭58−14841号は、アルミニウム支持体
を、比抵抗が106Ω・cm以上かつ温度が60℃以上である
水中に浸漬させる工程を含む感光体を開示する。特開昭
59−41360号は、フタロシアニン蒸着膜を電荷発生層と
し、アルミニウム支持体を処理して少なくとも4μmの
封孔処理を施さない陽極酸化膜を形成する感光体を開示
する。特開昭61−140947号はアルミニウム支持体の表面
にa−Siを形成する際に、アルミニウム支持体に予めア
ルマイト処理を施して、バリア層と多孔質層を設けた感
光体が開示されている。しかし、これらに開示された技
術は、電荷発生層が分散膜の場合、反転現像時に発生す
る黒斑点に対しての改良が示されておらず、また条件的
にも何等記載がない。
本発明は、上記欠点を解消した感光体を提供すること
を目的とし、具体的には、特定の導電性基板を用いるこ
とにより電子写真特性全般に優れた感光体を提供するこ
とを目的とする。
課題を解決するための手段 本発明は、アルミニウム基板上に少なくとも電荷発生
層と電荷輸送層を有する感光体において、該電荷発生層
が有機顔料の樹脂分散膜であり、該アルミニウム基板
が、アルマイト処理され、その後酢酸ニッケル法により
封孔処理を施されたアルマイト層を有し、該アルマイト
層に含まれるニッケルの含有量がアルマイト層に含まれ
る全金属量に対して0.1〜4.0wt%であることを特徴とす
る。
アルマイト層は接着性の付与、電荷注入防止性等の機
能が要求され、これらを満足させるためには、酢酸ニッ
ケル法によりアルマイト層を封孔処理する事が有効であ
る。封孔処理として他の方法、例えば蒸気法等で行う
と、電荷注入防止性が大きすぎるため、残留電位が上昇
してくる。
酢酸ニッケル法により本発明のアルマイト層に含ませ
るニッケルの量は、アルマイト層に含まれる全金属量に
対して、0.1〜4.0wt%、好ましくは0.3〜3.0wt%がよ
い。ニッケルの含有量が多すぎると、電荷注入防止性が
くずれてしまうので、上記した範囲でニッケルを含有さ
せるものである。
本発明の感光体は、該感光体の支持体として円筒状等
の適宜な形状に加工されているアルミニウム支持体を陽
極とし、電解液として硫酸あるいはシュウ酸等により電
解処理を行い、この表面にアルマイト層を形成する。そ
の後、酢酸ニッケルの水溶液で処理することにより、封
孔処理を行う。酢酸ニッケルの濃度は、1〜15wt%がよ
く、好ましくは5〜10wt%である。水溶液の温度は50〜
80℃が望ましい。より好ましくは50〜60℃である。又、
封孔処理を行なった後、充分な水洗を行なう必要があ
る。
また、本発明のアルマイト層を正孔移動型の積層型感
光体に用いるとき、つまり感光層で発生する電子をアル
ミニウム基板へうまく注入し、逆にアルミニウム基板か
らの電荷の注入を感光層にいかないように防止する整流
性の機能が必要とされるときには、本発明のアルマイト
層はN型の特性をもっていることが好ましく、具体的に
は酢酸ニッケルによる部分的な封孔処理を施すことが好
ましい。
アルマイト層は一般にバリアー層と多孔質層の二層よ
りなる。部分的に封孔処理を施すというのは、その多孔
質層中に空洞が残存した状態で、その表面のみを封孔す
るという意味である。封孔度は封孔処理する時間や、酢
酸ニッケルの濃度、溶液の温度などにより調整すること
ができる。この部分的封孔処理によってアルマイト層中
に入ったNi等の不純物によって感光層からの電子の注入
がスムーズに行われ、一方アルマイト層本来の電荷注入
防止性によって、正孔自体は注入が防止される結果、良
好な整流性を得ることができる。この場合においても、
ニッケル等の不純物があまり多いと、前述したようにア
ルマイト層の電荷注入防止性がくずれるので好ましくな
い。
得られるアルマイト層としては、特にバリアー層の厚
さが100〜1000Åであり、多孔質層の厚さが1〜15μm
のものが良好である。また、封孔処理を施すことによ
り、アルマイト層はより安定な膜となる効果も有する。
本発明の感光体は、上述したアルマイト層を有する基
板で構成することにより、反転現像を行うレーザープリ
ンター等で特に問題となる黒斑点発生の抑制された良好
なものとなる。
本発明の電荷発生層に用いられる有機顔料としては、
各種アゾ顔料、ペリレン系顔料、フタロシアニン系顔
料、多環キノン系顔料、インジコ系顔料、キナクリドン
系顔料などが挙げられる。
電荷発生層は、決着剤樹脂を適切な溶剤を用いて溶解
し、これに上記の顔料を結着樹脂100重量部に対して10
〜200重量部加え、ボールミル、振動ミル、サンドミ
ル、ロールミル等の方法で分散させた溶液を0.1〜1μ
mに塗布することにより得られる。
電荷輸送層は、ピラゾリン、トリフェニルメタン、オ
キサジアゾール、カルバゾール、ヒドラゾン、スチリ
ル、イミダゾール等の誘導体から成る電子供与性物質や
トリニトロフルオレノン、テトラニトロキサントン、テ
トラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン等の電
子受容性など、電荷輸送性のある物質を成膜性のある樹
脂に溶解させて5〜30μmに塗布することにより得られ
る。
電荷発生層や電荷輸送層に使用される結着剤樹脂とし
ては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリ
ル酸エステル、ポリビニルブチラール、シリコン樹脂、
エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ポリスチ
レン等が挙げられる。
本発明の感光体は、アルマイト処理されたアルミニウ
ム基板上に、電荷発生層ついで電荷輸送層を積層した構
成としてもよいし、電荷輸送層ついで電荷発生層を積層
した構成としてもよい。さらにそれらの感光体は必要に
応じて表面保護層、下引き層あるいは中間層を有しても
よい。
以下、実施例をあげて本発明を説明する。実施例中、
特に記載しない限り、「部」は総て「重量部」を示す。
実施例1 導電性基板として、旋盤加工により表面処理が施され
たアルミニウムドラムを使用し、その表面を液温20℃±
1℃の硫酸15vol%を有する電解浴にて表面にアルマイ
ト層を形成させた。
このアルマイト層のバリアー層は200Å、多孔質層は
7μmであった。その後、酢酸ニッケル水溶液(濃度7w
t%)中にて温度50℃で処理し、封孔処理を施した。得
られたドラムを脱イオン水で10回水洗し、フロンによる
蒸気洗浄を行なった。
このもののアルマイト層におけるNi含有量をX線マイ
クロアナライザー(XMA)で測定したところ、2.1wt%で
あった。
次に、この基板上に、電荷発生層として、チタニルフ
タロシアニン1部およびポリビニルブチラール1部とシ
クロヘキサノン50部をボールミルポットに入れて24時間
分散し、感光塗液を得た。これを、試料の基板上に塗
布、乾燥することにより、厚さ0.3μmの電荷発生層を
得た。
次に、この電荷発生層の上に下記式; で表されるヒドラゾン化合物を10部、ポリカーボネート
Z樹脂10部をテトラヒドロフラン100部に溶解させた塗
布液を乾燥後の膜厚が20μmとなるようにして塗布して
電荷輸送層を形成させ、感光体を作製した。
実施例2〜3 アルマイト層の水洗条件を変化させた以外は、実施例
1と同様に酢酸ニッケルによる封孔処理を行ない、Ni含
有量の異なるアルマイト層を形成した。その上に電荷発
生層と、電荷輸送層を形成して感光体を作製した。
実施例2 水洗5回 フロン蒸気洗浄あり Ni含有量 3.0wt% 実施例3 水洗10回 フロン蒸気洗浄なし Ni含有量 2.3wt% 比較例1 実施例と同様にしてアルミニウムドラム表面にアルマ
イト層を形成し、その後、酢酸ニッケル水溶液(濃度18
%)中にて温度50℃で処理し、封孔処理を施した。
得られたドラムを脱イオン水で5回水洗し、フロンに
よる蒸気洗浄を行なった。
このもののアルマイト層におけるNi含有量をXMAで測
定したところ8.2wt%であった。
比較例2 実施例1と同様にしてアルミニウムドラム表面にアル
マイト層を形成し、その後、酢酸ニッケル水溶液(濃度
7wt%)中にて温度50℃で処理し、封孔処理を施した。
得られたドラムを脱イオン水で1回水洗した。このも
ののアルマイト層におけるNi含有量はXMAで測定したと
ころ6.1wt%であった。
比較例3 実施例1と同様にしてアルミニウムドラム表面にアル
マイト層を形成し、その後酢酸ニッケル水溶液(濃度20
%)中にて温度80℃で処理し、封孔処理を施した。
得られたドラムを脱イオン水で10回水洗し、フロンに
より蒸気洗浄を行なった。
このもののアルマイト層におけるNi含有量はXMAで測
定したところ9.3wt%であった。
比較例4 アルマイト層のバリアー50Å、多孔質層3μmであ
り、封孔処理を施さないこと以外は実施例1と全く同様
にして感光体を作製した。
比較例5 アルマイト層のバリアー1500Å、多孔質6μmであ
り、水蒸気処理による封孔処理を施したこと以外は、実
施例1と全く同様にして感光体を作製した。
得られた感光体を(実施例1〜3、比較例1〜5)を
粉像転写型複写機(ミノルタカメラ社製;EP−470Z)を
用い、コロナ帯電させ、初期表面電位(Vo)を−750Vと
した時の、初期電位を1/2にするために要した露光量をE
1/2(lux・sec)、5秒間暗所に放置した時の初期電位
の減衰率DDR5(%)および残留電位VR(V)を測定し
た。
また、Vo=−750V、現像バイアスVb=−500Vで反転現
像したときの画像上の白紙部の黒斑点を測定した。白斑
点は黒ベタ部で測定した。その結果を表1に示す。
表1中、○は良好なことを、×は問題があることを表
わす。
また30℃、85%の高温高湿時の黒斑点ノイズを調べ
た。
結果を表1に示した。
発明の効果 本発明にかかる積層型感光体によれば、電荷注入防止
性が向上し、残留電位の低下等を達成し、かつ反転現像
時、白紙部で問題となる黒斑点の発生がおさえられ、電
荷発生層の顔料分散塗液の塗工性が改善され、良好な電
子写真特性が得られる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム基板上に少なくとも電荷発生
    層と電荷輸送層を有する感光体において、該電荷発生層
    が有機顔料の樹脂分散膜であり、該アルミニウム基板が
    アルマイト処理され、その後酢酸ニッケル法により封孔
    処理されたアルマイト層を有し、該アルマイト層に含ま
    れるニッケルの含有量がアルマイト層に含まれる全金属
    量に対して0.1〜4.0wt%であることを特徴とする積層型
    感光体。
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