JP2699422B2 - 液晶パネル用カラーフィルターおよび液晶装置 - Google Patents

液晶パネル用カラーフィルターおよび液晶装置

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,液晶パネルに用いられるカラーフィルター
(以下CFと略記する)およびそれを具備する液晶装置に
関する。
〔従来の技術〕
液晶デイスプレイやプラズマデイスプレイ等のカラー
化を目的として、デイスプレイパネルの内側に、CFを配
置する方式が一般に取られている。
これら従来のCFの構造は種々提案されているが、近年
一般に用いられているものは、レリーフ染色法と呼ばれ
る製法で作られたCFである。
レリーフ染色法とは、透明な基板上にゼラチン等の染
色可能な透明樹脂を塗布し、フォトマスクを使用して所
定のパターンに、現像、露光することにより、所定のパ
ターンに形成された透明樹脂を酸性染料等の染料により
染色する方法である。
上記工程を繰り返すことにより、赤、緑、青、黒等の
染色部からなるCFを得ることができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述のようにレリーフ染色法により製造されたCFを用
いた液晶パネルを作る場合、液晶駆動のための透明電極
が、 1)染色層と透明基板の間に形成される場合 2)染色層の上に形成される場合 の2通りがある。
1)の場合は液晶パネルは第2図の構成になり、液晶
パネルの等価回路は第3図の様になる。このため、液晶
パネルの上下基板の透明電極間に駆動電圧Vを印加して
も、実際の液晶にかかる電圧VLCは、 VLC=(CCF/(CLC+CCF))V となり、この電圧降下の影響により、従来の液晶パネル
と比較して((CLC+CCF)/CCF)倍の駆動電圧を印加す
ることが必要となっている。
この駆動電圧の上昇率は、液晶層の厚さ、液晶の誘電
率、CFの厚さ、CFの誘電率によって決定される。一般に
液晶層の厚さは、5〜30ミクロン、液晶の誘電率は1〜
10、染色C.F.の膜厚は1〜2ミクロン、この誘電率は染
色層の材質によっても異なるが1〜10ミクロンである。
このため、駆動電圧の上昇率は数10%となる。
一方、時分割駆動で多数の画素表示を行う場合、デュ
ーティ比が上がり、駆動電圧パルスを大きくする必要が
ある。
ところが、液晶駆動用ICの耐圧限界により、従来の液
晶パネルの駆動電圧パルスに対し、((CLC+CCF)/
CCF)倍の駆動電圧パルスを印加することができなかっ
た。このため、液晶表示のオン・オフコントラストが悪
化するという問題があった。
また、2)の場合は染色層がゼラチン等の有機膜であ
り、柔らかいため、直接染色層上に透明電極を形成する
ことができなかった。これは、液晶パネル製造時に配向
処理工程で用いられるラビングによる圧力のため、透明
電極にクラックが入るという問題があった。
さらに、この問題を解決するために染色層上に硬い保
護膜を形成した後透明電極を形成する方法も使用されて
いる。しかし、この方法の欠点は、透明電極の製造時に
基板(CFの形成されている透明電極基板)の加熱を200
℃前後までしかできないことである。このため、一般に
はITO(インヂウム・スズ酸化物合金)の結晶化がすす
まず、比抵抗が高くなること、及び、液晶パネルのITO
配線の電食が起こりやすくなり、信頼性に欠ける液晶パ
ネルになりやすいという問題が有った。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の液晶パネル用カラーフィルターは,ミセルの
電解酸化によって析出された有機顔料粒子からなる着色
薄膜が,基板上に形成された液晶駆動用電極の上に形成
されてなることを特徴とする。
また,本発明の液晶装置は,一対の基板間に液晶が挟
持されてなり,ミセルの電解酸化によって析出された有
機顔料粒子からなる着色薄膜が,一方の基板上に形成さ
れた液晶駆動用電極の上に形成されてなるを特徴とす
る。
本発明の液晶CFの構成は、ガラス、石英等の透明基板
の上にITOや酸化スズ合金を透明電極として形成したも
のである。ITOや酸化スズ合金は、スパッタ、CVD等によ
り成膜するとき300℃以上の高温で成膜するため非抵抗
の減少、及び化学的安定性が増す。
さらに、染色法と異なり、透明電極上に直接有機顔料
層を形成するため、染色法による染色層と比較してバイ
ンダーとなる樹脂層が不要になるため、膜厚を薄くする
ことができる。有機顔料の種類、及び、CFの使用用途に
よって有機顔料層の膜厚は決定されるが、0.05〜0.5ミ
クロンで充分な分光特性が得られる。有機顔料の誘電率
は一般に1〜10であり、染色CFの誘電率とほぼ変わらな
いため、駆動電圧の上昇率を低くすることができ、この
ため液晶表示のオン・オフコントラストの悪化を防ぐこ
とができる。
次に、本発明のCFの概製造工程について述べる。
本発明のCFの製造は、界面活性剤によるミセル水溶液
を調製し、この水溶液中に有機顔料を分散し、懸濁さ
せ、更に長時間攪拌を行い、有機顔料からわずかに遊離
してくる分子を徐々にミセルに可溶化してゆき有機顔料
のミセル水溶液を作る。
界面活性剤としては、限界ミセル濃度が低く容易にミ
セル化するもので、好ましくは、酸化によりプラスに荷
電し正極と反発することによりミセルの崩壊が起こり、
可溶化した有機顔料分子を正極上に析出させるものがよ
い。この観点からは、分子の疎水性末端基としてメタロ
セン基一般式[M(C2H5(M=Ti、V、Fe、Co、N
i、Ru、Os、Pd等)をもつ界面活性剤がよい。又濃度
は、ミセル化濃度以上であれば良い。
分散、懸濁させる有機顔料分子は極力微粉砕したもの
が望ましいが、数十ミクロン程度でも問題はない。粒子
径が小さいほど、ミセルへの溶解時間が短くなる。
水溶液は10〜200時間程攪拌し有機顔料からわずかに
溶解してくる分子を徐々にミセルに溶解し、飽和させ
る。有機顔料としては、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、酸
性染料レーキ、塩基性染料レーキ、媒染染料レーキアゾ
顔料、アゾ錯塩顔料、縮合アゾ顔料、ベンズイミダゾロ
ン顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、チ
オインヂゴ顔料、ベリイノン顔料、ペリレン顔料、キナ
クリドン顔料、ジオキサジン顔料、キノフタロン顔料が
ある。
さらに、支持電解質としてLiBr、Li2SO4等を0.01〜5M
加える。
支持電解質としては、この水溶液を静置して上澄みを
とるか、もしくは遠心分離にかけることにより不溶物を
分離する。
この溶液中に、所定のパターンに形成された透明電極
を持つ透明基板と対極を浸浙する。透明電極としては、
CVD法、スパッタ法等で成膜された酸化スズ合金、ITO、
酸化亜鉛等がある。
次に脱酸素雰囲気下で対極に対し、透明電極に正電位
をかけ、ミセル破壊電位にすることで電解酸化によりミ
セルを破壊し、透明電極上で過飽和になった有機顔料分
子を析出させるものである。電解電位は、界面活性剤と
有機顔料分子の組み合わせで決まる。また、電解中は液
を攪拌すると顔料分子の析出速度が速くなり効果的であ
る。
脱酸素雰囲気下で電解を行う理由は、界面活性剤の還
元生成物の分解を防止する目的で実施する。
次に実施例を用いて詳細に説明する。
(実施例1) ソーダガラス上に、ITO膜をスパッタにより300℃の基
板加熱を行ないながら1000Åの膜厚に形成する。これを
フォオトリソ法を用いて所定のパターンにパターニング
する。あらかじめ決められたITOのパターンと電源を接
続し、対極としてプラチナ板を、供にミセル水溶液に浸
せきする。
ミセル溶液は、メタロセン基を持つ界面活性剤として
フェロセニルPEG(同人化学製)を用いた。この界面活
性剤の2mMの水溶液100mlを調製し、さらに、支持電界質
として02MのLiBrを加え有機顔料として、アントラキノ
ン系顔料として、クロモフタールA3B(チバガイギー
製、赤色)を250mg加え15分間超音波により攪拌し水溶
液中に顔料分子を懸濁させた。
次に、この懸濁液を約30時間厳しく攪拌し、つづいて
24時間静置後。上澄み液を採取することで上記ミセル水
溶液とした。
ITOパターンを正極とし、プラチナ板を負極とし、参
照極として飽和カロメル電極をもちい電圧を印加した。
電解電位は参照極に対し+0.5Vとし、液を攪拌しながら
30分間電解を行った。
この操作により、クロモフタールA3Bの赤色の被膜が4
500Åの厚さで形成された。同様に、界面活性剤として
フェロセニルPEG(同人化学製)を用い、この界面活性
剤の2mMの水溶液100mlを調製し、さらに、支持電界質と
して0.2MのLiBrを加え青色の有機顔料として、アントラ
キノン系顔料、インダンスロンブルー(Pigment Blue 6
0、CI69800)を250mg加え15分間超音波により攪拌し水
溶液中に顔料分子を懸濁させた。
次に、この懸濁液を約30時間厳しく攪拌し、つづいて
24時間静置後、上澄み液を採取しミセル水溶液を作っ
た。このミセル溶液にプラチナ板と参照極と上記ITO基
板を浸せきした。上記ITOパターンとは別の所定のITOパ
ターンに参照極基準で+0.6Vの電位を30分間印加した。
これにより、青色の被膜が1500Åの厚さで形成された。
次に同様の方法で、緑色の有機顔料として金属フタロ
シアニン系顔料として、Heliogen Green L19140(BASF
製)を300mg上記と同様のミセル溶液に同様の方法で懸
濁させた。
次にこの懸濁液を約30時間激しく攪拌し、続いて24時
間静置後上澄み液を採取しミセル水溶液を作った。この
ミセル水溶液にプラチナ板と参照極と上記ITO基板を浸
漬した。上記、赤色、青色の有機顔料層の形成されてい
ないITOパターンに参照極基準で+0.5Vの電位を40分間
印加することで、緑色の金属フタロシアニン被膜を3000
Åの厚さで形成した。
以上のようにして、赤、青、緑の有機顔料被膜が所定
のITOパターン上に形成されたCFが得られた。これらの
顔料層は、樹脂のバインダー層がないために、CFとして
十分な色濃度を示していた。
このCFを一方の透明基板として用い、厚さ10μmで液
晶パネルを作成した。赤色の画素上に64Hzの正弦波を印
加し、液晶パネルの実効印加電圧と液晶パネルの透過光
強度を調べた。
比較のために、レリーフ染色法によるCFを用いた液晶
パネルと、CF層のない液晶パネルを作成し、実効印加電
圧と液晶パネルの透過強度を調べた。染色層は透明電極
パターンを有するガラス基板上に感光性ゼラチン層をス
ピンコート法により1.5μmの膜厚で形成し、酸性染料
により赤色に染色したものである。1.5μmの膜厚は、
本発明のCFの赤色層の色濃度とほぼ同等の色濃度を得る
目的で前もって厚さが決定されている。
上記結果を第4図に示す。横軸は実効印加電圧縦軸は
透過率として示した。比較を容易にするために、印加電
圧0Vの時の透過率を0とし、各パネルの最大光透過率を
100として、電圧と透過率の関係を示した。本発明の結
果41はCF層なしの場合42に比較して約5%の閾値の増加
がみられるが、レリーフ染色法によるCFを用いた場合43
と比較して大巾な閾値の向上がみられ、十分に実用に耐
えるものである。
〔発明の効果〕
本発明の液晶パネル用カラーフィルターは,従来のレ
リーフ染色カラーフィルターと比較して液晶駆動電極上
に直接有機顔料粒子が形成されているために,バインダ
ーとなる樹脂層が不要である,よって,膜厚を薄くする
ことができ,駆動電圧の上昇率を低くすることができ
る。さらには,薄い膜厚であっても,十分な分光特性が
得られる。また,このような液晶パネル用カラーフィル
ターを具備した液晶装置では,液晶駆動電極上にカラー
フィルター層を形成しているにもかかわらず,駆動電圧
上昇の問題は極めて小さいので,従来のIC(液晶駆動用
の集積回路)をその耐圧の範囲内で使用可能とするほ
か,液晶表示のオン・オフ比のコントラストの悪化を防
止できるといった優れた効果を有している。
【図面の簡単な説明】
第1図、本発明のCFを用いた液晶パネルの断面図。 第2図、従来のレリーフ染色CFを用いた液晶パネルの断
面図。 第3図、CFを用いた液晶パネルの等価回路図。 第4図液晶パネルに印加する実効電圧と、その液晶パネ
ルの光透過の関係の図。 11……透明基板 12……透明電極 13……シール材 14……液晶 15……有機顔料層 21……透明基板 22……透明電極 23……シール材 24……液晶 25……染色層 41……本発明のCFを用いた場合の関係 42……CFのない場合の関係 43……レリーフ染色CFを用いた場合の関係
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−113030(JP,A) 特開 昭63−243298(JP,A) Katsuyoshi Hoshin o and Tetsuo Saj i,”Electrochemical Formation of an O rganic Thin Film b y Disruption of Mi celles”,Journal of the American Chem ical Society,109(No. 19)(1987)p.5881−5883

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ミセルの電解酸化によって析出された有機
    顔料粒子からなる着色薄膜が,基板上に形成された液晶
    駆動用電極の上に形成されてなることを特徴とする液晶
    パネル用カラーフィルター。
  2. 【請求項2】複数の液晶駆動用電極に複数色の有機顔料
    粒子からなる着色薄膜が選択的に形成されてなることを
    特徴とする請求項1に記載の液晶パネル用カラーフィル
    ター。
  3. 【請求項3】前記着色薄膜には樹脂バインダーが含まれ
    ていないことを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル
    用カラーフィルター。
  4. 【請求項4】一対の基板間に液晶が挟持されてなり, ミセルの電解酸化によって析出された有機顔料粒子から
    なる着色薄膜が,一方の基板上に形成された液晶駆動用
    電極の上に形成されてなるカラーフィルターを具備する
    ことを特徴とする液晶装置。
  5. 【請求項5】前記着色薄膜には樹脂バインダーが含まれ
    ていないことを特徴とする請求項4に記載の液晶装置。
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