JP3258128B2 - 液晶表示パネルの製造方法 - Google Patents

液晶表示パネルの製造方法

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JP3258128B2
JP3258128B2 JP9199893A JP9199893A JP3258128B2 JP 3258128 B2 JP3258128 B2 JP 3258128B2 JP 9199893 A JP9199893 A JP 9199893A JP 9199893 A JP9199893 A JP 9199893A JP 3258128 B2 JP3258128 B2 JP 3258128B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示パネルの製造
方法に関する。さらに詳しくは、パソコン、ワープロ、
壁掛テレビ、ポケット液晶テレビ、液晶プロジェクター
等のカラー液晶ディスプレイ、オーロラビジョン、固体
撮像素子(CCD)、及びオーディオ、車載用インパ
ネ、時計、電卓、ビデオデッキ、ファックス、通信機、
ゲーム、測定機器等の表示用カラーディスプレイ等に好
適に利用できる、アクティブマトリックス駆動素子を備
えた透明基板(アクティブマトリックス基板)を有する
液晶表示パネルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、アクティブマトリックスカラー
液晶表示パネルは、アクティブマトリックス基板とカラ
ーフィルタ基板を組み合わせて液晶パネルを構成する。
この場合、位置合わせの精度が必要であり、その歩留り
を落とす原因となっている。これを防ぐ方法として、ア
クティブマトリックス基板上にカラーフィルタを形成す
ることが開示されている(特開昭64−21481
号)。この場合、電着法では、電解電位が高いため、駆
動することが困難であり、また、分散法や染色法では、
フォトリソグラフィーによりRGBの位置合わせが必要
となり作業性の面で問題がある。従って、電解電位の低
い、ミセル電解法が好適である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ミセル電解法
で上記問題を解決しようとした場合、まず、アクティブ
マトリックス基板上に色素層を形成しようとしても、電
位の高いゲート電極やソース電極と反応してしまい、目
的の表示電極部分に製膜できないという問題があった。
また、アクティブマトリックス基板では、液晶駆動電位
を印加しない状態で黒色の表示、すなわちノーマリーブ
ラックの表示が多く、薄膜トランジスタ(TFT)やメ
タルインシュレーテッドメタル(MIM)等の機能に欠
陥がある場合は、その画素が常に白色表示され、暗い画
面では非常に目立つ欠陥となる。そこで、この白欠陥部
分を簡易に修正することが望まれている。本発明は、上
述の問題に鑑みてなされたものであり、高精細化を可能
とし、カラー液晶ディスプレイ等の画質の向上を図り、
かつ、生産効率(歩留り)の向上を図ることができる液
晶パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によって、アクテ
ィブマトリックス駆動素子と表示透明電極とを備えたア
クティブマトリックス基板、及びその基板上に形成した
カラーフィルターを有する液晶表示パネルの製造方法に
おいて、アクティブマトリックス基板上に絶縁性黒色レ
ジストを塗布し、その後露光、及び現像して、表示透明
電極部分以外のアクティブマトリックス基板上にブラッ
クマトリックスを形成する工程、及び、この基板をミセ
ル電解液に浸漬し、RGBの各色ごとに対応する表示透
明電極のアクティブマトリックス駆動素子のみを選択的
に駆動させ、表示透明電極部分に0.1〜1.5Vの電
位を印加し、RGBの各色ごとに電解処理し、表示透明
電極部分に、各色の色素層を分離して積層し、色素パタ
ーンを形成する工程を含むことを特徴とする液晶表示パ
ネルの製造方法が提供される。
【0005】また、前記アクティブマトリックス駆動素
子が、素子の駆動時に、少なくともその一部に、表示状
態が白欠陥となりうる部分を有するものであり、かつ、
前記色素層を積層し、色素パターンを形成する際、白欠
陥部分を含むアクティブマトリックス駆動素子に対して
RGBの各色に対応する電解電位を各色ごとに印加し
て、RGBの全色の色素層を同一部分に積層して、黒欠
陥とする液晶表示パネルの製造方法が提供される。
【0006】さらに、前記アクティブマトリックス駆動
素子を備えたアクティブマトリックス基板が、薄膜トラ
ンジスタ(TFT)もしくは薄膜ダイオード(TFD)
又はメタルインシュレーテッドメタル(MIM)基板で
ある液晶表示パネルの製造方法が提供される。
【0007】以下、本発明を具体的に説明する。 1.ブラックマトリックスの形成 概要 本発明で得られる液晶表示パネルは、アクティブマトリ
ックス駆動素子と、表示透明電極とを備えたアクティブ
マトリックス基板を有する。このアクティブマトリック
ス基板としては、通常の絶縁性透明基板上に、透明導電
性薄膜からなる表示透明電極と、TFT又はMIMもし
くはTFD等の駆動素子を設けたものを用いることがで
きる。
【0008】ここで、アクティブマトリックス基板を付
図をもって説明する。図1(a)は駆動素子としてTF
T回路を有するアクティブマトリックス基板の概略平面
図であり、図1(b)はそのA−A線概略断面図であ
る。図2(a)は駆動素子としてMIM回路を有するア
クティブマトリックス基板の概略平面図であり、図2
(b)はそのB−B線概略断面図である。図1に示すよ
うに、TFT回路は、概略、ソース電極の信号をα-シ
リコン等の半導体スイッチにより、ドレイン電極へ伝え
る回路である。ドレイン電極には、表示用ITOが接続
されており、液晶の駆動制御が可能となる。スイッチン
グは、ゲート電極により行なう。このようにフィールド
効果を利用したトランジスタ構成となっている。また図
2に示すように、MIM回路は、概略、ソース電極から
絶縁膜を通過してドレイン電極へ信号を伝える。このと
き、メタル/絶縁膜(インシュレーテッド)/メタルの
トンネル効果を利用した構成となっている。また、図示
しないがTFD回路は、概略、ソース電極にN型半導
体、ドレイン電極にP型半導体が接続され、ダイオード
の整流効果(逆電位をあるレベル以上にすると電流が流
れる効果)を利用した構成となっている。
【0009】このようなアクティブマトリックス基板を
用いて、液晶表示パネルを製造する本発明の工程の具体
例を、図5及び図6によって説明する。まず、基板上に
アクティブマトリックス駆動素子1及び表示透明電極2
とを備えたアクティブマトリックス基板10を用意する
(図5(a))。次に、光硬化型の絶縁性黒色レジスト
を塗布する(図5(b))。次に、所定の形状を有す
るCr膜5を備えたマスク4を用いて露光する(図5
(c))。次に、現像をし、表示透明電極部分2以外の
アクティブマトリックス基板上に、ブラックマトリック
ス3を形成する。次に、表示透明電極部分2上にミセル
電解法を用いて赤色(R),緑色(G),及び青色
(B)をそれぞれ分離して製膜し(色素層を積層)、色
素パターンを形成する(図6(a),(b),
(c))。
【0010】使用材料及びその使用方法 以下、本発明の工程で使用される各種材料及びその使用
方法について詳細に説明する。 (ア)絶縁性基板 本発明で用いる絶縁性基板としては、特に制限はなく、
ガラス板やプラスチック板を用いることができる。具体
的に、ガラス板としては、低膨張ガラス(コーニング社
製7059),ノンアルカリガラス(HOYA製NA4
5),石英ガラス,ソーダライムガラス等を挙げること
ができる。プラスチック板としては、ポリカーボネー
ト、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等を
挙げることができる。中でも、ガラス板が好適で、その
研磨品が特に好ましいが無研磨品でもよい。
【0011】(イ)表示透明電極 表示透明電極としては、透明導電性薄膜を挙げることが
できる。たとえばミセル化剤のフェロセン誘導体の酸化
電位より卑な金属または導電体の薄膜を挙げることがで
きる。具体的には、インジウムとスズの混合酸化物(I
TO),二酸化スズ,透明導電性ポリマーを挙げること
ができる。透過率は80%以上(薄膜のみ)、膜厚は1
000〜2000Å、シート抵抗は500Ω/□以下で
ることが好ましい。その形成方法は、特に制限はなく、
スパッタ法、蒸着法、CVD法、コーティング法、パイ
オゾル法等を用いることができる。以上の透明導電性薄
膜は、共通の電極取り出し部を有し、かつマスキンング
の手法により、少なくとも表示部(ブラックマトリック
スの存在する領域およびカラーフィルターの色素パター
ンの存在する領域をさし、すなわちカラー液晶ディスプ
レイとしての表示領域を指す。)全面に形成する。ま
た、この透明導電性薄膜および導電性薄膜は、表示部に
おいて、所定のマスクを介して、フォトリソグラフィー
法などで、例えば短冊状もしくは串刺し状にパターニン
グされていてもよい。これはMIM方式、STN方式の
液晶カラーディスプレイの駆動方式に用いられる。この
場合透明導電性薄膜のパターニングは必要であるが、少
なくとも電極取り出し形成工程は行う必要がない。
【0012】(ウ)絶縁性黒色レジスト 絶縁性黒色レジスト は、後述のように、アクティブマト
リックス基板上に色素層を積層する場合に、その導電性
部分のうち表示透明電極部分のみをミセル電解液に接触
させ、その他の導電性部分を被覆して保護するために用
いる。絶縁性レジストとしては、光硬化性レジストを挙
げることができる。この光硬化性レジストとしては、ア
クリル、メタクリル酸誘導体とその共重合体(バインダ
ー)の単体又はその混合物を挙げることができる。上記
アクリル、メタクリル酸誘導体にエポキシ基、シロキサ
ン基、ポリイミド前駆体を導入したものであってもよ
い。光開始剤としては、トリアジン系、アセトフォノン
系、ベンジイン系、ベンゾフェノン系、チオキサンソン
系等を挙げることができる。分散剤としては非イオン
性、イオン性界面活性剤、有機顔料誘導体、ポリエステ
ル系の単品および二種以上の混合物を挙げることができ
る。溶剤としてはセロソルブ系、シクロヘキサノンジエ
チレングリコールエーテルおよびエステル系の単品およ
び二種以上の混合物を挙げることができる。
【0013】黒色色素としてはカーボンブラック、チタ
ンブラック、アニリンブラックのうち単品および、少な
くとも二種以上を混合してなる顔料および顔料混合物
(A)、及び黒色,赤色,青色,緑色,紫色,シアニ
ン,マゼンタ有機顔料(主にミセル電解法製膜色素層に
用いられる顔料を使用してよい)のうち、少なくとも二
種以上を混合してなる擬似黒色顔料混合物(B)、並び
に(A)と(B)の混合物を挙げることができる。この
黒色色素を含有する光硬化性レジスト硬化物(絶縁性黒
色レジスト)はブラックマトリックスとしても用いるこ
とができる。
【0014】以上を混合、分散、瀘過後、フォトリソグ
ラフィー法によりパターニングを行う。すなわち、上記
レジストを塗布し、必要に応じて酸素遮断膜(ポリビニ
ルアルコール)を塗布し、露光し(ブラックマトリック
ス形成用マスク使用)、現像し、ポストベークする。な
お、基板の裏面より露光する(バック露光)により、ブ
ラックマトリックス形成用マスクを使用する必要がない
場合もある。例えば、RGB色素層(色素パターン)が
すでに形成されている場合には、RGB色素層をブラッ
クマトリックス形成用のマスクとすることができる。光
学純度は、2.0以上(膜厚3.0μm)で、絶縁性
は、抵抗値が10MΩ/□以上あることが好ましい。具
体的な商品名としては、CK−2000(富士ハントエ
レクトロニクステクノロジー社製)、V−259ブラッ
ク(新日鉄社製)等に、他の有機顔料分散レジストを混
合したもの(例えば、富士ハントエレクトロニクステク
ノロジー社製CR,CB,CG)等を挙げることができ
る。
【0015】2.ミセル電解法による色素層の積層(色
素パターンの形成) 概要 本発明においては、ブラックマトリックスを形成したア
クティブマトリックス基板をミセル電解液に浸漬し、ア
クティブマトリックス駆動素子のみを駆動させ、表示透
明電極部分に0.1〜1.5Vの電位を印加し、RGB
の各色ごとに電解処理し、表示透明電極部分に各色の色
素層を離隔して積層し、色素パターンを形成する。その
後、後処理をし、保護層を形成する。また、必要に応じ
て、液晶駆動用透明導電性薄膜をさらに積層してもよ
い。
【0016】使用材料及びその使用方法 (ア)ミセル電解液 本発明に用いられるミセル電解(分散)液としては、R
GB顔料又は透明粒子と、界面活性剤、たとえばフェロ
セン誘導体界面活性剤とを混合し、水性媒体中に分散さ
せたものを用いることができる。ここで、 赤色(R)
顔料としては、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔
料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アン
トラセン系顔料、イソインドリン系顔料等の単品および
少なくとも二種以上の混合物を挙げることができる。緑
色(G)顔料としては、ハロゲン多置換フタロシアニン
系顔料、ハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料、アゾ
系顔料、ジスアゾ系顔料、トリフェニルメタン系塩基性
染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料
等の単品および少なくとも二種以上の混合物を挙げるこ
とができる。青色(B)顔料としては、銅フタロシアニ
ン系顔料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系
顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等の単品お
よび少なくとも二種以上の混合物を挙げることができ
る。また、透明粒子としては、チタニア、アルミナ、シ
リカ、酸化亜鉛、疎水性チタニア、ポリシロキサン等を
挙げることができる。上記の顔料をミセル電解法で製膜
する。
【0017】ミセル電解法の条件としては、上述のよう
に、前記色素(顔料)を、フェロセン誘導体からなる界
面活性剤(ミセル化剤)を用い水性媒体中に分散させ
て、ミセル分散液を調製する。この際に用いられる水性
媒体としては、水をはじめ、水とアルコールとの混合
液、水とアセトンとの混合液など種々の媒体を挙げるこ
とができる。ミセル化剤(フェロセン誘導体界面活性
剤)の代表例として以上のものを挙げることができる。
【0018】
【化1】
【0019】なお、フェロセン誘導体としては、このほ
か国際公開WO89/0193号明細書、特開平1−4
5370号公報、特開平1−226894号公報、特開
平2−83387号公報、特開平2−250892号公
報などに記載された方法によって製造されるものを使用
することができる。本発明の方法においては、界面活性
剤(ミセル化剤)として前記フェロセン誘導体を1種用
いてもよいし、2種以上を組合せてもよく、また、所望
により、前記フェロセン誘導体と他の界面活性剤とを組
み合せて用いてもよい。他の界面活性剤としては、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレン
脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンア
ルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤、アルキル硫
酸塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩,塩
化アルキルトリメチルアンモニウム,脂肪酸ジエチルア
ミノエチルアミド等のカチオン性およびアニオン性界面
活性剤を挙げることができる。
【0020】ミセル分散液の調製は、たとえば下記のよ
うにする。水性媒体中に前記フェロセン誘導体、所望に
応じて用いられる他の界面活性剤および所望の前記色素
(顔料)を入れて、メカニカルホモジナイザー,超音波
ホモジナイザー,ボールミル,サンドミル,スターラー
などにより十分攪拌する。この操作で顔料は界面活性剤
の作用で、水媒体中に均一に分散またはミセル化して、
分散液またはミセル溶液となる。その平衡濃度は0.1
〜2.8ミリモル/リットルの範囲で選ばれる。この際
のミセル化剤の濃度については、特に制限はないが、通
常は該フェロセン誘導体および所望により用いられる他
の界面活性剤の合計濃度が臨界ミセル濃度以上、好まし
くは0.1ミリモル/リットル〜1モル/リットルの範
囲で選ばれる。一方、顔料濃度は通常1〜500グラム
/リットルの範囲で選ばれる。また、水性媒体の電気伝
導度を調節するために、支持塩(支持電解質)を必要に
応じて加えることができる。この支持塩の添加量は、分
散している顔料の析出を妨げない範囲であればよく、通
常は0.05〜10モル/リットルの範囲で選ばれる。
【0021】この支持塩を加えずに電解を行うこともで
きるが、この場合支持塩を含まない純度の高い薄膜(色
素層)が得られる。また支持塩を用いる場合、その支持
塩の種類は、ミセルの形成や、電極への前記顔料の析出
を妨げることなく、水性媒体の電気伝導度を調節しうる
ものであれば特に制限はない。
【0022】具体的には、一般に広く支持塩として用い
られている硫酸塩(リチウム,カリウム,ナトリウム,
ルビジウム,アルミニウムなどの塩),酢酸塩(リチウ
ム,カリウム,ナトリウム,ルビジウム,ベリリウム,
マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウ
ム,アルミニウムなどの塩)、更にはアンモニウム塩な
どが好適であり、例えば、LiBr,KCl,Na2
4,Li2SO4,(NH4)BF4などを挙げることが
できる。
【0023】このうようにして、前記赤色色素(顔
料),緑色色素(顔料),青色色素(顔料)それぞれを
分散した三種のミセル分散液を調製する。なお、混合顔
料のミセル分散液は、水性媒体中に混合すべき顔料をミ
セル化剤とともに一度加え、分散させることにより調製
してもよいし、又は水性媒体中に混合すべき単一顔料を
ミセル化剤とともに加え、分散させて得られたそれぞれ
のミセル分散液を混合させることにより、調製してもよ
い。
【0024】ミセル電解法製膜は、たとえば下記のよう
にする。前記のミセル分散液のいずれか一つに、前述の
絶縁膜又はブラックマトリックスを形成したアクティブ
マトリックス基板を挿入し、これを通電してミセル電解
を行い、この基板の透明導電性薄膜上に所望の、たとえ
ば、ドット又はストライプ状に、色素層を形成する。
【0025】電解条件は、各種状況に応じて適宜選べば
よいが、通常液温は0〜90℃、好ましくは20〜70
℃の範囲で選ぶことができ、電圧は0.03〜1V、好
ましくは0.1〜0.9Vの範囲で選ぶことができる。
また、電流密度は通常10mA/cm2以下好ましくは
50〜300μA/cm2の範囲で選ぶことができる。
この電解処理を行うと、ミセル電解法の原理にしたがっ
た反応が進行する。これをフェロセン誘導体のFeイオ
ンの挙動に着目すると陽極ではフェロセンのFe2+がF
3+となって、ミセルが崩壊し、顔料粒子が陽極(透明
導電性薄膜)上に析出する。一方、陰極では陽極で酸化
されたFe3+がFe2+に還元されてもとのミセルに戻る
ので、繰り返し同じ溶液で製膜操作を行うことができ
る。
【0026】それぞれの色素層の膜厚と透過率は下記と
することが好ましい。赤色(R)は、膜厚が0.5〜
1.5μm(透過率が60%以上/610nm),緑色
(G)は、膜厚が0.5〜1.5μm(透過率が60%
以上/545nm),青色(B)は、膜厚が0.2〜
1.5μm(透過率が60%以上/460nm)。な
お、透過率はエアリフェレンスによる。次に、ミセル電
解処理により形成された色素層は、後処理として導電率
調整液洗浄、純水洗浄、電解洗浄等を行った後、室温で
の風乾や温水乾燥を行ってもよいし、必要に応じて20
0℃までの温度範囲で加熱処理を行ってもよい。
【0027】(イ)保護膜 保護膜は、例えば、前述の透明光硬化性レジスト、及び
透明熱硬化性樹脂剤を必要に応じて用いて形成すること
ができる。カラーフィルタの膜面上から見て、フォトリ
ソグラフィー法によりブラックマトリックスの存在する
領域から基板全面領域にわたる部分をパターニングして
熱硬化すること、及び、基板全面領域をパターニングせ
ずに熱硬化することのいずれでもよい(このフォトリソ
グフィー法は、保護膜用マスクを使用すること以外は、
前述の黒色色素含有光硬化性レジストの場合と同様であ
る)。
【0028】また、透明熱硬化性樹脂剤としては、アク
リル、メタクリル酸誘導体とその共重合体(バインダ
ー)の混合物、及び上記アクリル、メタクリル酸誘導体
にエポキシ基、シロキサン基、ポリイミド前駆体を導入
したものを挙げることができる。この場合、配向膜材料
を用いてもよい。溶剤としては、セロソルブ系、シクロ
ヘキサノン、ジエチレングレコールエーテルおよびエス
テル系の単品および二種以上の混合物を挙げることがで
きる。
【0029】以上を混合、濾過後、レジストとして、塗
布し、熱処理により硬化させる。この際、塗布は、ロー
ルコーターもしくはスピンコーターで少なくとも表示部
全面に行うが、オフセット印刷機により、表示部のみに
選択的に印刷して、保護膜を形成することができる。具
体例としては、商品名として、オプトマ−SS726
5,JFR−8484、JSS−819、JSS715
(日本合成ゴム)、OS−808(長瀬産業),LC2
001(三洋化成)等を挙げることができる。
【0030】透明熱硬化性樹脂硬化物の膜厚と透過率
は、膜厚が0.1〜4.0μm,透過率が90%以上/
460nmであることが好ましい。なお、透過率はエア
リファレンスによる。
【0031】膜厚については、各色素層の膜厚に応じて
透明熱硬化性樹脂剤の粘度およびスピンコートの回転数
等によりコントロール可能である。
【0032】(ウ)液晶駆動用透明導電性薄膜 液晶駆動用透明導電性薄膜としては、前記透明導電性薄
膜と同様の材料および形成方法を用いることができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明する。製造例1〜8 分散液調整工程 界面活性剤の吸着量の決定 ペリレンレッドの添加量を15.65gとし、水溶液中
におけるペリレンレッド15.65gへのFPEGの吸
着量を決定するため、500mlの純水にペリレンレッ
ド15.65g、FPEGの濃度2.0mmol,Li
Br10.4g(0.1mol)それぞれ添加し、1l
となるように純水をさらに加える。十分に平衡になるよ
うにスターラーで3日間攪拌し、1日間静置する。その
後、50,000rpmで遠心分離し、顔料のみを分離
する。上澄み液をICPを用いて金属鉄元素分析を行な
い、吸着量を測定する。 界面活性剤の添加量の決定 その結果、ペリレンレッド(和光純薬)15.65gへ
のFPEGの吸着量は1.05mmolであり、フェロ
セン誘導体ミセル化剤FPEGの平衡濃度を、任意に選
んだ濃度である0.46mmol/lとするためFPE
Gは合計1.51mmol/l添加することとした。こ
のようにして添加量を決定した。 平衡濃度の調整されたミセル分散液の調製 次に、実際に1lの純水にフェロセン誘導体ミセル化剤
FPEG(同仁化学)を1.51mmol(1.416
g)、LiBr(和光純薬)を0.1mol(10.4
g)とペリレンレッド(和光純薬)を15.65g加
え、ミセル化剤FPEGは合計1.51mmol/l添
加し、超音波ホモジナイザーで30分間分散させ、分散
液とした。同様に、表1に示す顔料を表1に示す条件で
製造例2〜8のR、G、Bの顔料分散液を調製した。支
持塩はいずれもLiBr(和光純薬)を0.1mol/
l(10.4g)の濃度になるよう添加した。
【0034】
【表1】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】実施例1 ブラックマトリックス作製工程 ブラックマトリックス形成レジスト剤として富士ハント
エレクトロニクステクノロジー社のカラーモザイクCK
に同CR、CG、CBをそれぞれ、3:1:1:1重量
部混合したものを用いた。図2のMIM回路を備えた基
板を10rpmで回転させ、この上にこのレジスト剤3
0cc噴霧した。次にスピンコートの回転数を700r
pmにし、基板上に均一に製膜した。この基板を80℃
で15分間プリベークした。そして、高圧水銀灯2kW
のアライメント機能のある露光機で位置合わせしなが
ら、ブラックマトクックスのデザイン(MIMのITO
表示部)のマスクを用いて露光した。光源は2kWの高
圧水銀灯を用いた。プロキシミティギャップ70μmを
とり、120mJ/cm2 露光した後、アルカリ現像液
にて現像した。その後、富士ハントCK(現像液)を純
水4倍希釈し、30秒現像した。さらに、純水でリンス
し、200℃、100分間ポストベークした。
【0041】混合分散工程 Rの混合分散ミセル溶液として、製造例2で調製した分
散液と製造例6で調製した分散液を各々超音波ホモジナ
イザーで30分間分散させた後、9:1の割合でそれぞ
れの液を混合し、さらに、混合液を超音波ホモジナイザ
ーで30分間分散させた。Gの混合分散ミセル溶液とし
て、製造例3で調製した分散液と製造例6で調製した分
散液を各々超音波ホモジナイザーで30分間分散させた
後、7:3の割合でそれぞれの液を混合し、さらに、混
合液を超音波ホモジナイザーで30分間分散させた。B
の混合分散ミセル溶液として、製造例7で調製した分散
液と製造例8で調製した分散液を各々超音波ホモジナイ
ザーで30分間分散させた後、8:2の割合でそれぞれ
の液を混合し、さらに、混合液を超音波ホモジナイザー
で30分間分散させRGBの混合分散ミセル溶液を得
た。
【0042】色素膜製造工程 前記MIM基板をRの前記ミセル溶液に挿入し、R表示
画素部の信号電位として、0.5V印加し、20分間の
定電位電解を行い、カラーフィルタRの薄膜を表示部の
みに得た。その後、純水で洗浄後、オーブンにてプリベ
ーク(120℃×10分間)した。次に、この基板をG
の前記ミセル溶液に挿入し、同様にG表示部の信号電位
として、0.5V、15分間の定電位電解を行い、カラ
ーフィルタRGの薄膜を得た。製膜後、Rの製膜と同じ
条件で後処理を行った。最後に、この基板をBの前記ミ
セル溶液に挿入し、同様にB表示部の信号電位として、
0.5V、12分間の定電位電解を行い、カラーフィル
タRGBの薄膜を得た。製膜後、Rの製膜と同じ条件で
後処理を行った。こうして、RGBカラーフィルタ色素
薄膜を得た。
【0043】保護膜の形成 前記色素薄膜基板をスピンコーターにセットし、平坦膜
剤としてJSS−7265(JSR)をディスペンサー
を用いて塗布した。この時、基板を10rpmの回転数
でゆっくり回転し、基板全体に斑が生じないように塗布
した。さらに、1,200rpmで1分間回転し、均一
な薄膜を得た。その後、220℃、1時間ベークし硬化
させた。こうして保護膜を形成した。
【0044】評価結果 薄膜の評価を以下のように行った。RGB各画素の段差
(凹凸の差)はディックタック(触針式接触膜厚計)を
用いて走査距離10mm(10mmスキャン)にて測定
した結果、色間段差0.18μm以内であった。薄膜の
透過率は大塚電子MCPD分光光度計を用いて測定し
た。結果を図3に示す。測定の結果のように分光特性
(RGB透過率%)も大変優れ、均一な膜厚のカラーフ
ィルタが製造された。さらに、目視検査の結果、粗大粒
子の発生や、色分離、薄膜の剥離といった問題がない良
好なカラーフィルタを得ることができた。
【0045】カラー液晶ディスプレイの作製 前記カラーフィルタ付きアクティブマトリックス(MI
M)基板の表面にポリアミック酸樹脂モノマーをディス
ペンサーを用いて塗布した。この時、基板を10rpm
の回転数でゆっくり回転し、基板全体に斑が生じないよ
うに塗布した。さらに、1,200rpmで1分間回転
し、均一な薄膜を得た。その後、ポリアミック酸樹脂モ
ノマーを180℃、1時間硬化させポリイミド樹脂化し
た後、ラビングを行い、配向させた。対極は10Ω/□
のITOを積層し、ストライプ上にパターニングしたガ
ラス基板にポリアミック酸樹脂モノマーをスピンコート
し、180℃、1時間硬化させポリイミド樹脂化させ、
ラビングした後、前記カラーフィルタ基板との間にガラ
スビーズを入れ、接着剤にて封止し、TN液晶を真空注
入し、パネルを完成させた。FPCにドライバーICを
搭載した取り出し電極を接続し、偏光板を両面に接着し
た後、アクティブマトリックス(MIM)を作動させ、
良好な液晶駆動を確認した。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、液晶表示パネルの高精
細化を可能とし、カラー液晶ディスプレー等の画質の向
上を図ることができるとともに、真空注入等の工程数の
多い方法を用いる必要はないため、簡易で効率のよい液
晶表示パネルの製造が可能となる。また、アクティブマ
トリックス基板の白欠陥を黒色化し、目立たなくするこ
とが可能となる。すなわち、ノーマリーブラックのアク
ティブマトリックス(TFT、MIM)の白欠陥箇所
は、駆動の有無にかかわらず、常に電位が印加されるた
め、液晶が駆動したままの白色の状態になっている。こ
の駆動素子の、いつでも電位が印加されるという性質を
利用し、本発明により、RGBの3色、製膜を繰り返す
と、白欠陥素子は、画素を選択していないにもかかわら
ず、RGBの3回とも製膜されるため、黒色になり、欠
陥として目立たなくすることができる。一方、正常な素
子は前述のように1つの画素でRGBの1色のみ製膜さ
れる。こうして、RGBカラーフィルタの製造時に同時
に、アクティブマトリックス素子の表示部の白欠陥を黒
色化し、欠陥を目立たなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1aは、TFT回路の構成を示す概略平面図
であり、図1bは、そのA−A線の概略断面図である。
【図2】図2aはMIM回路の構成を示す概略平面図で
あり、図2bは、そのB−B線の概略断面図である。
【図3】 本発明の液晶表示パネルの他の一実施例の分光
特性(透過率)を示す説明図である。
【図4】 本発明の液晶表示パネルの製造工程を示す模式
的断面図である。
【図5】 本発明の液晶表示パネルの製造工程を示す模式
的断面図である。
【符号の説明】
1…アクティブマトリックス駆動素子 2…表示透明電極(表示用ITO) 3…絶縁性黒色レジスト(ブラックマトリックス) 4…マスク 5…マスク上のクロム膜 6…ミセル電解法製膜赤色(R)色素層 7…ミセル電解法製膜赤色(G)色素層 8…ミセル電解法製膜赤色(B)色素層 10…アクティブマトリックス基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1335 505 G02F 1/1362 G02B 5/20 101

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクティブマトリックス駆動素子と表示
    透明電極とを備えたアクティブマトリックス基板、及び
    その基板上に形成したカラーフィルターを有する液晶表
    示パネルの製造方法において、 アクティブマトリックス基板上に絶縁性黒色レジスト
    塗布し、その後露光、及び現像して、表示透明電極部分
    以外のアクティブマトリックス基板上にブラックマトリ
    ックスを形成する工程、及び、この基板をミセル電解液
    に浸漬し、RGBの各色ごとに対応する表示透明電極の
    アクティブマトリックス駆動素子のみを選択的に駆動さ
    せ、表示透明電極部分に0.1〜1.5Vの電位を印加
    し、RGBの各色ごとに電解処理し、表示透明電極部分
    に、各色の色素層を分離して積層し、色素パターンを形
    成する工程を含むことを特徴とする液晶表示パネルの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記アクティブマトリックス駆動素子
    が、素子の駆動時に、少なくともその一部に、表示状態
    が白欠陥となりうる部分を有するものであり、かつ、前
    記色素層を積層し、色素パターンを形成する際、白欠陥
    部分を含むアクティブマトリックス駆動素子に対してR
    GBの各色に対応する電解電位を各色ごとに印加して、
    RGBの全色の色素層を同一部分に積層して、黒欠陥と
    することを特徴とする請求項1記載の液晶表示パネルの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記アクティブマトリックス駆動素子を
    備えたアクティブマトリックス基板が、薄膜トランジス
    タ(TFT)もしくは薄膜ダイオード(TFD)又はメ
    タルインシュレーテッドメタル(MIM)基板であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示パネルの
    製造方法。
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