JP2593670B2 - カラー表示装置の製造方法 - Google Patents

カラー表示装置の製造方法

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高和 福地
均 釜森
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、カラーテレビ,パーソナルコンピューター
の表示装置,ビデオ表示装置,計測機器の表示パネル等
に利用され、小型から大型まであらゆる用途に応用可能
な高画質の表示装置の製造方法に関するものである。
〔発明の概要〕
本発明は、カラー表示装置のうちTFT(Tin−Film−Tr
ans:ster)素子基板の対向基板であるカラーフィルター
の製造方法のうち、前記カラーフィルター上にオーバー
コート及び透明導電膜を設けたのち、前記カラーフィル
ターをマスクして光感光性の遮光性樹脂をアライメント
不要で前記カラーフィルターの間隙部位置に形成するこ
とを特徴としたカラー表示装置の製造方法を提供するも
のである。
〔従来の技術〕
近年液晶,EL,プラズマ,LED等薄型表示装置の進展は著
しく、CRTに匹敵する高精細な画室が得られるようにな
った。特にカラー化技術も進み、染色法,印刷法,電着
法等によるカラーフィルターが極めて精度よく鮮やかな
色調を有するまでに至っているが、更に画室の向上のた
めの手段として、透明電極間に遮光膜を設ける方式が考
案されている。これは、透明電極間隙の電圧が印加され
ない部分、すなわち表示に寄与しない部分の光の漏れを
防ぎ、見掛け上のコントラストを高めるためである。特
にカラー化の場合には、コントラストが表示色の彩度に
なるため、この遮光膜は画質向上のための重要な手段に
なる。さらにスイッチング素子を用いるアクティブ型表
示装置の場合には、この遮光膜により不要の光を除去で
るためスイッチング素子の光リークを低減できる効果を
有する。
従来、この遮光膜を形成する方法として次の3つが考
案されている。
第一の方法は印刷によるものであり、透明電極間隙に
黒色インキを印刷することにより遮光膜を形成する方法
である。
第二の方法は染色法によるものであり、カラーフィル
ターの形成に利用されている方法を応用したものであ
る。パターニングされた透明電極を有する基板上にゼラ
チン等被染色性の感光性樹脂を塗布し、透明電極のパタ
ーンに対応したフォトマスクを用い露光する。現像によ
り等位電極上のゼラチンを除去し、最後に黒色の染料を
用いてゼラチンを染色し遮光膜を得るものである。
第三の方法は、第3図に示すメタルマスク方式であ
る。まず初めに、パターニングされた透明電極上に、選
択的に金属メッキを被覆し、その上に光感光性の遮光性
樹脂を塗布した後、ガラス基板の背面から露光する。次
いで、現像し、金属メッキ上の遮光性樹脂を除去した
後、透明電極上の金属メッキをエッチングにより除去す
る方法である。TFT素子基板をスイッチング素子にする
場合は、カラーフィルター及び遮光膜上全面に透明導電
膜を形成する工程が次に行われる。この際、透明導電膜
がカラーフィルター及び遮光性樹脂上に密着よく形成さ
れるため、オーバーコート層を設けられる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
従来技術の第一の印刷法は、粗いパターンの場合は極
めて簡便な方法として優れているが、遮光膜の幅が100
ミクロン以下になると均一な遮光膜形成が難しく、また
印刷精度も悪い。
第二の染色法は、遮光膜の均一性が良く、また露光法
を用いるための位置精度も高い。しかし、露光時にアラ
イメントの必要が有り、しかも透明電極とのアライメン
トになるため作業性が悪く、コストアップの大きな要因
となっている。
第三の方法は、パターニングされた透明電極上の金属
メッキが露光時のマスクに利用されるためアライメント
をしないで極めて位置精度が高い遮光膜が形成できるメ
リットがある。しかし、透明電極上への金属メッキをし
た上、後にエッチングにより除去するという実質上余計
な工程が付加されるため、その分コストアップ要因にな
るばかりでなく、金属エッチングという極めて化学的に
強力な方法を採用するため、せっかく形成した遮光膜の
剥離や、透明導電膜表面の汚染等品質上の問題を有して
いる。
このように従来の技術は、それぞれに問題点や弱点を
有しており、本発明はこれらの問題を解決するために発
明されたものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の詳細な説明を第2図を用いて行う。
第2図(a)は、パターニングされた透明電極が形成
されたガラス基板で、前記透明電極上に、電着法により
カラーフィルターを形成する(b)。この電着法は、高
分子溶液により電極上に高分子を不溶化、析出させる方
法で高分子電着法と呼ばれる。この一例として高分子水
溶中に顔料を分散させ、金属を浸漬し電極として用い該
金属上に着色層を電着させる電着塗装と呼ばれる方法が
工業的に知られており、自動車ボディーのプレコーティ
ング等に用いられている。この方法の原理は、高分子に
親水性基、たとえばカルボキシル基を導入し、そのカル
ボキシル基を無機アルカリ、有機アミン等で中和、水溶
化したものを用いる。水溶化した高分子水溶液に電極を
浸漬し電圧を印加すると、水溶液中で解離しているカル
ボキシアニオンが陽極に向かって電気泳動し、電極上で
水の電気分解で生じたプロトンと反応することによって
高分子が不溶化、析出してくる。すなわち、陽極上では
次式に示す反応が起こり、高分子の析出が現れることに
なる。
また、親水性基に塩基性塩をたとえばポリアミンを用
い、酸により中和、水溶化すれば逆に陰極上で高分子の
析出が見られることになる。
このようにして得られた高分子膜は電気浸透の効果に
より水分含量が少なく、塗布法等で作製した膜よりも密
着性の良い均一な膜となる。
以上述べたような電着法により複数の着色層を形成す
るための工程は概略以下の工程になる。ガラス基板へ
の給電材の接着→電着→洗浄・乾燥→給電材の剥
脱→熱硬化→以下〜の繰り返し。
このように形成された電着カラーフィルター基板上
に、オーバーコート層として透明性の高分子樹脂を塗布
する。このオーバーコート剤はカラーフィルターにより
凹凸が拡大されたガラス基板の表面を平坦化させると同
時にこの後に形成される透明導電膜の密着性が得らえる
ものを選択すれば良い。たとえば、ポリアミド樹脂,ポ
リイミド樹脂,エポキシ系樹脂等があ。塗布方法は、一
般に印刷法が採用されているが、平坦かつ均一に塗布で
きる方法であれば、いずれも採用可能である。オーバー
コート剤の上に形成される透明導電膜は、通常ITOと呼
ばれ、酸化インジウムと少量の酸化スズが含有されたも
ので、スパッタリング法や真空蒸着法で形成できる(第
2図)。
次に、光感光性の遮光性樹脂を均一に塗布する。この
光感光性の遮光性樹脂は感光性樹脂中に通常は複数の色
素を混合分散させて得られるものである。また、カーボ
ン顔料を樹脂中に分散させた遮光性樹脂も使うことがで
きる。塗布方法は、印刷法、シピンコート等平滑な均一
塗膜が得られる方法ならいずれも可能である()。次
の露光は、前記電着カラーフィルターをマスクとして、
ガラス基板の背面、すなわちガラス面の方から光を照射
する。この方法によって、カラーフィルター上の感光性
樹脂には光が当たらず、カラーフィルターの間隙部の感
光性樹脂のみが感光され、現像後に、遮光膜として残る
ことになる(,)。
〔作用〕
以上のような工程を経て形成された第3図及び第1
図の9に示された遮光性樹脂を有するカラーフィルター
基板を用いて製造された液晶表示装置は、カラーフィル
ター5の間隙からの光の漏れがなくなり、遮光性機能の
十分発揮することが可能となる。
〔実施例1〕 パターニングされた透明電極上に、厚さがそれぞれ1.
5ミクロンの電着カラーフィルターを赤,緑,青の3色
を設けた後、0.3ミクロンのエポキシ系のオーバーコー
ト及び0.1ミクロンの透明導電膜(ITO)を形成した。感
光性のある遮光性樹脂として、カーボン顔料含有のブラ
ックレジスタ(富士ムント製COPAC−K)をスピンナー
で1.0ミクロン塗布した。露光光源としてウシオ製VS−5
00のランプを使用し10秒間露光し現像して遮光膜9を形
成したブラックレジストは現像により多少の膜減りをし
たが、ポストベーク後の厚みは1.4ミクロンの厚みがあ
り、極めてシャープな形状を有していた。
〔実施例2〕 パターニングされた透明導電膜上に、赤,緑の電着カ
ラーフィルターの厚みがそれぞれ1.8ミクロン,2.0ミク
ロンある2色カラーフィルターを形成した後、0.5ミク
ロンのオーバーコートと0.2ミクロンの透明導電膜(IT
O)を形成した。感光性の遮光性樹脂としてネガ型レジ
スト中にR,G,Bの3顔料を混合させた材料をロールコー
ターで2.0ミクロン塗布した後、露光,現像し遮光膜9
を形成した 〔発明の効果〕 以上のような製造方法で形成された遮光膜の遮光率
は、実施例1のものが99%,実施例2のものが98%と極
めて高く、カラー液晶表示装置の見掛けのコントラスト
及び色調が大幅に改善されると同時に、アクティブ素子
であるTFTの光リーク現象が完全に防止でき、信頼性の
高いカラー液晶表示装置の製造が可能になった。
また、本発明によれば、透明電極上に遮光膜が形成さ
れるので、遮光膜となる感光性樹脂とオーバーコート樹
脂が全面にわたって接触しないため、樹脂同士の相互融
着が発生する割合が極めて少なくなり、現像精度を保つ
ことができる。さらに、透明電極が遮光膜上ではなくオ
ーバーコート上に形成されるので、透明電極の断線や浮
きが発生することがない。
また、従来の遮光膜の製造方法と比較して、遮光膜の
位置精度が極めて高く、いかなるサイズの高精細なカラ
ー液晶表示装置にも適用でき、かつ製造工程を大幅に簡
略化できるので製造コストの大幅ダウンも可能になると
同時に、製品の歩留りが向上でき、工業的・経済的寄与
は多大である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による液晶表示装置の模式断面図、第2
図(a)〜(f)は本発明による遮光膜製造方法の模式
工程図、第3図(a)〜(h)は従来の遮光膜製造方法
の模式工程図である。 1……偏光板 2……ガラス基板 2′……TFT基板 3,4……透明電極 5……カラーフィルター 6……オーバーコート 7……透明電極 8……光感光性樹脂 9……遮光膜 10……液晶

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに対向する2枚の基板間に電気光学材
    料が挟持されるとともに、 前記基板のうち少なくとも一方にパターニング形成され
    た電着用電極と、 前記電極上に電着されたカラーフィルターと、 前記カラーフィルター上に形成されたオーバーコート
    と、 前記オーバーコート上に形成された透明電極と、 前記透明電極上の、カラーフィルター間隙部に対応する
    位置に形成された遮光膜と、を備えるカラー表示装置の
    製造方法において、 電着用電極がパターニング形成された基板に、カラーフ
    ィルターを電着形成する工程と、 前記カラーフィルター上にオーバーコートを形成する工
    程と、 前記オーバーコート上に透明電極を形成する工程と、 前記透明電極上に感光性の遮光性樹脂を塗布する工程
    と、 基板の背面より前記感光性の遮光性樹脂を露光する工程
    と、 前記感光性の遮光性樹脂を現像して遮光膜を形成する工
    程と、 を備えることを特徴とするカラー表示装置の製造方法。
  2. 【請求項2】前記遮光膜が、感光性樹脂中に複数の色素
    を混合分散された樹脂か、カーボン顔料を樹脂中に分散
    させた樹脂のうちいずれか一方の樹脂により形成された
    ことを特徴とする請求項1に記載のカラー表示装置の製
    造方法。
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