JP2692084B2 - (s)−(−)−2,3−ジクロロー1−プロパノール及び(r)−(+)−酪酸2,3−ジクロロプロピルの製造法 - Google Patents
(s)−(−)−2,3−ジクロロー1−プロパノール及び(r)−(+)−酪酸2,3−ジクロロプロピルの製造法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、ラセミ型の2,3−ジクロロ−1−プロパノ
ールとトリブチリンに特定のリパーゼを作用させて
(S)−(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパノールと
(R)−(+)−酪酸2,3−ジクロロプロピルを製造す
る方法に関するものである。本発明でえられるこれらの
化合物は容易に光学活性エピクロルヒドリンに導くこと
ができるので、エピクロルヒドリンから合成される医
薬、農薬等の有用な光学活性化合物の合成中間体として
極めて有用なものである。 〔従来の技術〕 従来、光学活性の2,3−ジクロロ−1−プロパノール
の製法としてはラセミ体を基質として、シユードモナス
属の微生物を作用させ、R体を選択的に分解利用させて
利用されないS体を残す方法が特許出願されている(特
許出願公開昭61−132196)。この方法は反応させる基質
の濃度が低いことおよびR体はえられない点が不利であ
る。さらにラセミ体の2,3−ジクロロ−1−プロパノー
ルのエステルをエステラーゼにより不斉水解させて未反
応のS体のエステルをえる方法(特許出願公開昭56−48
888)が知られているが、実施例についてみると、収量
が低いことと光学純度が低い。またKlibanovら(J.Am.C
hem.Sco.,106,2687,(1984))は、Candida cylindrace
a由来のリパーゼをクロモソルブに固定し、ラセミ体の
2,3−ジクロロ−1−プロパノールとトリブチリンの間
のエステル化反応によりR体のアルコールとS体のエス
テルがえられることを報告している。しかし、Klibanov
らのえたアルコールはR体でエステルがS体であり光学
純度が低かつた。 〔本発明が解決しようとする問題点と問題を解決するた
めの手段〕 本発明者らは有機溶媒中で高濃度で行える酵素による
不斉エステル化反応に注目し、需要の多い光学活性体で
ある(R)−(−)−エピクロルヒドリンに直接変換で
きる(S)−(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパノー
ルを生成せしめるべく種々の起源のリパーゼについて有
機溶媒中のエステル化反応を研究した結果、この目的に
適当な特定のリパーゼと反応条件を見出して本発明を完
成するに至つた。 〔作用〕 本発明は、合成化学的に安価にえられる(R,S)−2,3
−ジクロロ−1−プロパノールと安価に入取しうるトリ
ブチリンの混合溶液中に、特定のリパーゼをけん濁し
て、(R,S)−2,3−ジクロロ−1−プロパノールとトリ
ブチリンの間で不斉的にエステル化反応を行わせ、生成
した(R)−(+)−酪酸2,3−ジクロロプロピルと、
反応しないで残留する(S)−(−)−2,3−ジクロロ
−1−プロノールを適当な手段、例えば分別蒸溜,分別
抽出などの方法の組合せにより分離し、回収する、
(S)−(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパノールと
(R)−(+)−酪酸2,3−ジクロロプロピルの製造法
である。エステル化反応に利用されるリパーゼは種々の
ものがあるが、酵素の起源により、R体およびS体のア
ルコールに対する挙動がことなり、例えば、Candida cy
lindracea由来のリパーゼはKlibanovらが明らかにした
ようにS−エステルを生成し、R−アルコールを残留す
るので本発明の目的には適しない。本発明者らは多数の
起源を異にするリパーゼについて研究した結果、ムコー
ル属、シユードモナス属の微生物に由来するリパーゼ、
及び動物臓器由来のリパーゼが、R−エステルを生成
し、S−アルコールを残留して、本発明の目的に適する
ことをはじめて見出したのである。本発明ではこれらの
酵素を使用する。動物臓器由来のリパーゼとしてはバン
クレアチンが特にすぐれている。本発明ではこれら特定
起源のリパーゼを使用する。またリパーゼを有機溶媒に
不溶の形で固定化したものも使用できる。 反応系に微量の水分の存在が望ましいが、この要求
は、特に水を系に加えなくても、酵素あるいは固定化担
体に附着している水によつて満足されるので、特に水を
加えることは必須要件ではない。本発明の方法では、基
質である(R,S)−2,3−ジクロロ−1−プロパノールと
トリブチリン自体が有機溶媒系として働くので、別の有
機溶媒を加える必要はないが、別に有機溶媒を加えて反
応を行なうことも可能である。 基質の混合溶媒系にリパーゼをけん濁して、ゆるく振
盪あるいは撹拌することにより反応は行われる。反応温
度はリパーゼの作用温度であればよいが、通常15〜40℃
が望ましい。反応の進行は反応液の一部についてガスク
ロマトグラフイーによる分析を行なつて追跡することが
できる。 反応終了後、反応液よりの(R)−(+)−酪酸2,3
−ジクロロプロピルと(S)−(−)−2,3−ジクロロ
−1−プロパノールの分離回収は、分別蒸溜、分別抽
出、濃縮を組合せて行う。 次に本発明の実施例を示す。 実施例1 (R,S)−2,3−ジクロロ−1−プロパノール0.5M、ト
リブチリン0.5Mをふくむエーテル溶液200ml中に、第1
表に示した起源のリパーゼを100mg/mlの濃度に分散さ
せ、26℃でゆるく振盪しながら第1表に示した時間反応
させた。反応後反応液から酵素を除いた液をエーテル
で2倍に稀釈後、0.2M燐酸緩衝液(pH7.0)で、反応副
生物である酪酸がほぼなくなる迄抽出する。その後エー
テル層を濃縮し、ヘキサンに溶解する。その後蒸溜水で
抽出すると反応後に残留する2,3−ジクロロ−1−プロ
パノールが水層に移行し、反応生成物である酪酸2,3−
ジクロロプロピルがヘキサン層に残る。ヘキサン層を硫
酸マグネシウムで脱水後、濃縮し、2,3−ジクロロ−1
−プロパノール・ブチルエステル画分をえた。この画分
は該エステルに対し83%量のジブチリンおよび181%量
のトリブチリンをふくむ。一方水層をジクロロメタンで
抽出し、えられたジクロロメタン層を脱水、濃縮して2,
3−ジクロロ−1−プロパノール画分をえた。この画分
はジブチリンを2,3−ジクロロ−1−プロパノールの75
%量を含む。これら2つの画分についてガスクロマトグ
ラフイーにより、2,3−ジクロロ−1−プロパノール及
び酪酸2,3−ジクロロプロピルの含量(純度)を分析
し、また各画分の旋光度(▲〔α〕25 D▼(正味))を
測定した結果を第1表に示す。酪酸2,3−ジクロロプロ
ピル画分については分析した純度から純度100%とした
場合の換算値も表示した。この画分は混在するトリブチ
リンに旋光性なく、ジブチリンはα,β−ジブチリンと
考えられる(リパーゼはグリセロール・エステルの1,3
位に早く、2位に遅く反応するので)。α,β−ジブチ
リンの旋光度は、▲〔α〕18 D▼=−2.31゜(l体)お
よび▲〔α〕18 D▼=+1.01゜(d体)であり、その含
量から計算して酪酸2,3−ジクロロプロピルの旋光性が
右旋性(即ちR型)であるとの結論に影響はない。ジブ
チリンがこの画分の右旋性に寄与しているとしてももつ
とも濃度の高いPseudomonas起源のリパーゼを用いた場
合でも、その濃度は24.4%×83%=20.2%で、旋光度と
して約+1.01゜×0.20=+0.20゜で、実測値+0.45゜か
ら2,3−ジクロロ−1−プロパノール・ブチルエステル
の旋光性は右旋性との結論には影響ない。 即ちムコール属、シユードモナス属微生物からのリパ
ーゼ、ブタ膵臓からのリパーゼでは(R)−(+)−酪
酸2,3−ジクロロプロピルと(S)−(−)2,3−ジクロ
ロ−1−プロパノールの生成が認められた。 実施例2 リパーゼとしてブタ膵臓由来のパンクレアチン(パン
クレアチン アマノ(天野製薬製))を用いて、実施例
1と同様に反応を行い、えられた反応液からの2,3−ジ
クロロ−1−プロパノールおよび酪酸2,3−ジクロロプ
ロピルの精製を次の如く行つた。 反応液(200ml)をエーテルで2倍に稀釈し、0.2M燐
酸緩衝液(pH7.0)で抽出する。その後、エーテル層を
脱水濃縮し、減圧蒸溜で2,3−ジクロロ−1−プロパノ
ール画分(I)と、酪酸2,3−ジクロロプロピル画分
(I)に分溜した。酪酸2,3−ジクロロプロピル画分
(I)をヘキサンに溶解し、水で抽出し、ヘキサン層を
脱水濃縮して酪酸2,3−ジクロロプロピル画分(II)を
えた。水抽出液をジクロロメタンで抽出し、抽出液を脱
水、濃縮して、2,3−ジクロロ−1−プロパノール画分
(II)をえた。それぞれの画分の分析値を第2表に示
す。 表示された如く、(S)−(−)−2,3−ジクロロ−
1−プロパノール及び(R)−(+)−酪酸2,3−ジク
ロロプロピルを収率よくえることができた。 〔発明の効果〕 本発明は、上述したように、医薬、農薬などとして有
用な光学活性有機化合物の合成中間体である(S)−
(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパノールおよび
(R)−(+)−酪酸2,3−ジクロロプロピルを効率よ
く製造する方法であり、特に、いわゆるキラル・シント
ンとして重要な(R)−(−)エピクロルヒドリンの直
接原料であるS(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパノ
ールを製造する方法を提供し、同時に生成するR(+)
−2,3−ジクロロ−1−プロパノールからはS(+)−
エピクロルヒドリンを合成できる。本発明の方法は、有
機溶媒中高濃度で常温で収率よく反応が行われ、分離回
収も分別蒸溜,分別抽出,濃縮の組合せで簡単に行うこ
とができるので、きわめて効率的である。
ールとトリブチリンに特定のリパーゼを作用させて
(S)−(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパノールと
(R)−(+)−酪酸2,3−ジクロロプロピルを製造す
る方法に関するものである。本発明でえられるこれらの
化合物は容易に光学活性エピクロルヒドリンに導くこと
ができるので、エピクロルヒドリンから合成される医
薬、農薬等の有用な光学活性化合物の合成中間体として
極めて有用なものである。 〔従来の技術〕 従来、光学活性の2,3−ジクロロ−1−プロパノール
の製法としてはラセミ体を基質として、シユードモナス
属の微生物を作用させ、R体を選択的に分解利用させて
利用されないS体を残す方法が特許出願されている(特
許出願公開昭61−132196)。この方法は反応させる基質
の濃度が低いことおよびR体はえられない点が不利であ
る。さらにラセミ体の2,3−ジクロロ−1−プロパノー
ルのエステルをエステラーゼにより不斉水解させて未反
応のS体のエステルをえる方法(特許出願公開昭56−48
888)が知られているが、実施例についてみると、収量
が低いことと光学純度が低い。またKlibanovら(J.Am.C
hem.Sco.,106,2687,(1984))は、Candida cylindrace
a由来のリパーゼをクロモソルブに固定し、ラセミ体の
2,3−ジクロロ−1−プロパノールとトリブチリンの間
のエステル化反応によりR体のアルコールとS体のエス
テルがえられることを報告している。しかし、Klibanov
らのえたアルコールはR体でエステルがS体であり光学
純度が低かつた。 〔本発明が解決しようとする問題点と問題を解決するた
めの手段〕 本発明者らは有機溶媒中で高濃度で行える酵素による
不斉エステル化反応に注目し、需要の多い光学活性体で
ある(R)−(−)−エピクロルヒドリンに直接変換で
きる(S)−(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパノー
ルを生成せしめるべく種々の起源のリパーゼについて有
機溶媒中のエステル化反応を研究した結果、この目的に
適当な特定のリパーゼと反応条件を見出して本発明を完
成するに至つた。 〔作用〕 本発明は、合成化学的に安価にえられる(R,S)−2,3
−ジクロロ−1−プロパノールと安価に入取しうるトリ
ブチリンの混合溶液中に、特定のリパーゼをけん濁し
て、(R,S)−2,3−ジクロロ−1−プロパノールとトリ
ブチリンの間で不斉的にエステル化反応を行わせ、生成
した(R)−(+)−酪酸2,3−ジクロロプロピルと、
反応しないで残留する(S)−(−)−2,3−ジクロロ
−1−プロノールを適当な手段、例えば分別蒸溜,分別
抽出などの方法の組合せにより分離し、回収する、
(S)−(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパノールと
(R)−(+)−酪酸2,3−ジクロロプロピルの製造法
である。エステル化反応に利用されるリパーゼは種々の
ものがあるが、酵素の起源により、R体およびS体のア
ルコールに対する挙動がことなり、例えば、Candida cy
lindracea由来のリパーゼはKlibanovらが明らかにした
ようにS−エステルを生成し、R−アルコールを残留す
るので本発明の目的には適しない。本発明者らは多数の
起源を異にするリパーゼについて研究した結果、ムコー
ル属、シユードモナス属の微生物に由来するリパーゼ、
及び動物臓器由来のリパーゼが、R−エステルを生成
し、S−アルコールを残留して、本発明の目的に適する
ことをはじめて見出したのである。本発明ではこれらの
酵素を使用する。動物臓器由来のリパーゼとしてはバン
クレアチンが特にすぐれている。本発明ではこれら特定
起源のリパーゼを使用する。またリパーゼを有機溶媒に
不溶の形で固定化したものも使用できる。 反応系に微量の水分の存在が望ましいが、この要求
は、特に水を系に加えなくても、酵素あるいは固定化担
体に附着している水によつて満足されるので、特に水を
加えることは必須要件ではない。本発明の方法では、基
質である(R,S)−2,3−ジクロロ−1−プロパノールと
トリブチリン自体が有機溶媒系として働くので、別の有
機溶媒を加える必要はないが、別に有機溶媒を加えて反
応を行なうことも可能である。 基質の混合溶媒系にリパーゼをけん濁して、ゆるく振
盪あるいは撹拌することにより反応は行われる。反応温
度はリパーゼの作用温度であればよいが、通常15〜40℃
が望ましい。反応の進行は反応液の一部についてガスク
ロマトグラフイーによる分析を行なつて追跡することが
できる。 反応終了後、反応液よりの(R)−(+)−酪酸2,3
−ジクロロプロピルと(S)−(−)−2,3−ジクロロ
−1−プロパノールの分離回収は、分別蒸溜、分別抽
出、濃縮を組合せて行う。 次に本発明の実施例を示す。 実施例1 (R,S)−2,3−ジクロロ−1−プロパノール0.5M、ト
リブチリン0.5Mをふくむエーテル溶液200ml中に、第1
表に示した起源のリパーゼを100mg/mlの濃度に分散さ
せ、26℃でゆるく振盪しながら第1表に示した時間反応
させた。反応後反応液から酵素を除いた液をエーテル
で2倍に稀釈後、0.2M燐酸緩衝液(pH7.0)で、反応副
生物である酪酸がほぼなくなる迄抽出する。その後エー
テル層を濃縮し、ヘキサンに溶解する。その後蒸溜水で
抽出すると反応後に残留する2,3−ジクロロ−1−プロ
パノールが水層に移行し、反応生成物である酪酸2,3−
ジクロロプロピルがヘキサン層に残る。ヘキサン層を硫
酸マグネシウムで脱水後、濃縮し、2,3−ジクロロ−1
−プロパノール・ブチルエステル画分をえた。この画分
は該エステルに対し83%量のジブチリンおよび181%量
のトリブチリンをふくむ。一方水層をジクロロメタンで
抽出し、えられたジクロロメタン層を脱水、濃縮して2,
3−ジクロロ−1−プロパノール画分をえた。この画分
はジブチリンを2,3−ジクロロ−1−プロパノールの75
%量を含む。これら2つの画分についてガスクロマトグ
ラフイーにより、2,3−ジクロロ−1−プロパノール及
び酪酸2,3−ジクロロプロピルの含量(純度)を分析
し、また各画分の旋光度(▲〔α〕25 D▼(正味))を
測定した結果を第1表に示す。酪酸2,3−ジクロロプロ
ピル画分については分析した純度から純度100%とした
場合の換算値も表示した。この画分は混在するトリブチ
リンに旋光性なく、ジブチリンはα,β−ジブチリンと
考えられる(リパーゼはグリセロール・エステルの1,3
位に早く、2位に遅く反応するので)。α,β−ジブチ
リンの旋光度は、▲〔α〕18 D▼=−2.31゜(l体)お
よび▲〔α〕18 D▼=+1.01゜(d体)であり、その含
量から計算して酪酸2,3−ジクロロプロピルの旋光性が
右旋性(即ちR型)であるとの結論に影響はない。ジブ
チリンがこの画分の右旋性に寄与しているとしてももつ
とも濃度の高いPseudomonas起源のリパーゼを用いた場
合でも、その濃度は24.4%×83%=20.2%で、旋光度と
して約+1.01゜×0.20=+0.20゜で、実測値+0.45゜か
ら2,3−ジクロロ−1−プロパノール・ブチルエステル
の旋光性は右旋性との結論には影響ない。 即ちムコール属、シユードモナス属微生物からのリパ
ーゼ、ブタ膵臓からのリパーゼでは(R)−(+)−酪
酸2,3−ジクロロプロピルと(S)−(−)2,3−ジクロ
ロ−1−プロパノールの生成が認められた。 実施例2 リパーゼとしてブタ膵臓由来のパンクレアチン(パン
クレアチン アマノ(天野製薬製))を用いて、実施例
1と同様に反応を行い、えられた反応液からの2,3−ジ
クロロ−1−プロパノールおよび酪酸2,3−ジクロロプ
ロピルの精製を次の如く行つた。 反応液(200ml)をエーテルで2倍に稀釈し、0.2M燐
酸緩衝液(pH7.0)で抽出する。その後、エーテル層を
脱水濃縮し、減圧蒸溜で2,3−ジクロロ−1−プロパノ
ール画分(I)と、酪酸2,3−ジクロロプロピル画分
(I)に分溜した。酪酸2,3−ジクロロプロピル画分
(I)をヘキサンに溶解し、水で抽出し、ヘキサン層を
脱水濃縮して酪酸2,3−ジクロロプロピル画分(II)を
えた。水抽出液をジクロロメタンで抽出し、抽出液を脱
水、濃縮して、2,3−ジクロロ−1−プロパノール画分
(II)をえた。それぞれの画分の分析値を第2表に示
す。 表示された如く、(S)−(−)−2,3−ジクロロ−
1−プロパノール及び(R)−(+)−酪酸2,3−ジク
ロロプロピルを収率よくえることができた。 〔発明の効果〕 本発明は、上述したように、医薬、農薬などとして有
用な光学活性有機化合物の合成中間体である(S)−
(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパノールおよび
(R)−(+)−酪酸2,3−ジクロロプロピルを効率よ
く製造する方法であり、特に、いわゆるキラル・シント
ンとして重要な(R)−(−)エピクロルヒドリンの直
接原料であるS(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパノ
ールを製造する方法を提供し、同時に生成するR(+)
−2,3−ジクロロ−1−プロパノールからはS(+)−
エピクロルヒドリンを合成できる。本発明の方法は、有
機溶媒中高濃度で常温で収率よく反応が行われ、分離回
収も分別蒸溜,分別抽出,濃縮の組合せで簡単に行うこ
とができるので、きわめて効率的である。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.(R,S)−2,3−ジクロロ−1−プロパノールとトリ
ブチリンを含有する混合液中に、ムコール(Mucor)
属、またはシュードモナス(Pseudomonas)属の微生物
に由来するリパーゼ、あるいは動物臓器由来のリパーゼ
を添加して、不斉的エステル化反応により(R)−
(+)−酪酸2,3−ジクロロプロピルと(S)−(−)
−2,3−ジクロロ−1−プロパノールを反応液中に生成
せしめ、該反応液から(R)−(+)−酪酸2,3−ジク
ロロプロピルと(S)−(−)2,3−ジクロロ−1−プ
ロパノールを分離回収することを特徴とする(S)−
(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパノール及び(R)
−(+)−酪酸2,3−ジクロロプロピルの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20356187A JP2692084B2 (ja) | 1987-08-18 | 1987-08-18 | (s)−(−)−2,3−ジクロロー1−プロパノール及び(r)−(+)−酪酸2,3−ジクロロプロピルの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20356187A JP2692084B2 (ja) | 1987-08-18 | 1987-08-18 | (s)−(−)−2,3−ジクロロー1−プロパノール及び(r)−(+)−酪酸2,3−ジクロロプロピルの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6447397A JPS6447397A (en) | 1989-02-21 |
JP2692084B2 true JP2692084B2 (ja) | 1997-12-17 |
Family
ID=16476175
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20356187A Expired - Lifetime JP2692084B2 (ja) | 1987-08-18 | 1987-08-18 | (s)−(−)−2,3−ジクロロー1−プロパノール及び(r)−(+)−酪酸2,3−ジクロロプロピルの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2692084B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2726114B2 (ja) * | 1989-07-21 | 1998-03-11 | ダイセル化学工業株式会社 | 光学活性3―クロロ―1,2―プロパンジオールおよびそのエステルの製造法 |
JP4822797B2 (ja) * | 2005-10-18 | 2011-11-24 | 株式会社稲本製作所 | ベルト式ロールアイロナー |
-
1987
- 1987-08-18 JP JP20356187A patent/JP2692084B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6447397A (en) | 1989-02-21 |
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