JPH072118B2 - エステル交換による酵素的ラセミ分割法 - Google Patents

エステル交換による酵素的ラセミ分割法

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JPH072118B2
JPH072118B2 JP63322246A JP32224688A JPH072118B2 JP H072118 B2 JPH072118 B2 JP H072118B2 JP 63322246 A JP63322246 A JP 63322246A JP 32224688 A JP32224688 A JP 32224688A JP H072118 B2 JPH072118 B2 JP H072118B2
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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P41/00Processes using enzymes or microorganisms to separate optical isomers from a racemic mixture
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はビニルエステルを用いてまたはビニルエステル
中でラセミアルコールをエステル交換により酵素的にラ
セミ分割する方法に関するものであり、その場合ビニル
エステルはケトンまたはアルデヒドおよび「酸残基」に
分解され、残留する酸残基が添加されたラセミアルコー
ルと鏡像異性体選択的にエステルを形成しそしてアルコ
ールの鏡像異性体の一方のみが未変化のまま残る。エス
テルおよび未反応アルコール、従つて2種の鏡像異性体
アルコールが相互に容易に分離されうる。アルコールの
第二の鏡像異性体は場合によりエステルの分解により取
得することもできる。
多くの光学活性アルコールが生物学的に活性な物質(医
薬、天然物質、植物保護剤)の重要なキラール前駆体で
あり、それゆえそれらの経済的な製法が大へん重要であ
る。本発明方法により容易に調製されうるいくつかの薬
理活性物質の例をあげれば、イブプロフエンおよびナプ
ロクサンのようなNSAID(非ステロイド系抗炎症薬
物)、ニフエナロール(nifenalol)およびペンブトロ
ール(penbutolol)のようなβ−遮断剤、トルブテロー
ル(tolubuterol)およびビトルテロール(bitoltero
l)のような気管支痙攣鎮痙剤、チオコナゾール(tioco
nazole)のような抗真菌剤、アレスリンのようなピレス
ロイド、それらに加えテトラミソール(tetramisol
e)、テトラヒドロゾリン(tetrahydrozoline)、
(R)−(−)−トモキセチン(tomoxetine)および
(S)−(+)−フルオキセチン(fluoxetine)ならび
にプロスタグランジンおよび炭水化物である。
テトラヒドロフランのような溶媒の存在下にアルコール
を添加して酵素触媒の下ビニルエステルをエステル交換
できることは知られている(M.Degueil−Castaing他、T
etrahedron Letters、28、(9)、953〜954頁、(198
7))。酵素としてはPPL(豚膵臓リパーゼ)が用いられ
た。この反応においては立体選択性は何ら観察されなか
つた。
Atushi Makita他は、Tetrahedron Letters、28、No7、8
05〜808頁、(1987)においてシクロヘキサン、クロロ
ホルム、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエンまた
はジメチルスルホキシドのような有機溶媒中におけるω
−ヒドロキシカルボン酸メチルエステルの「ラクトン
化」へのリパーゼPの使用を記載している。
西ドイツ特許出願P 36 24 703.0においては、プロキラ
ールジオールからヒドロラーゼの存在下にビニルアセテ
ートと反応させることによる光学的に純粋なキラール化
合物の調製が提案されている。この反応は2種のエナン
チオトロピー第一OH基のうちの一方のみが選択的にエス
テル化される。
今、驚くべきことに、ラセミアルコールを酵素により触
媒されたビニルエステルとの選択的なエステル交換反応
にかけるとラセミアルコールが酵素的に分割されうるこ
とが見出された。その際溶媒は使用しなくてもよい。酵
素としては豚の肝臓および豚の膵臓からのリパーゼ、な
らびに微生物例えばカンジダ、ムコール、リゾプス、ペ
ニシリウムからのリパーゼそして特にシュードモナス種
からのリパーゼ例えばリパーゼPおよびリパーゼFP(Am
ano、Japan)が使用されうる。
これまで、遊離されたカルボニル化合物(アルデヒドま
たはケトン)がリパーゼと反応してこれを不活性化する
と考えられていたので、前記のことはなおさら驚くべき
ことであつた。
それゆえ本発明はラセミアルコールを酵素的にラセミ分
割するに当り下記のことからなる方法に関する、すなわ
ち 式I (式中、 R1は場合によりハロゲンで置換されていてもよいC1〜C
18−アルキルであるか、またはフェニルであるか、また
はC1〜C3−アルコキシ−C1〜C4−アルキルであり、そし
て R2は水素またはメチルである) を有するビニルエステルを、豚の肝臓からのリパーゼ、
豚の膵臓からのリパーゼ、または例えばカンジダ、ムコ
ール、リゾプス、ペニシリウム、アスペルギルスおよび
シュードモナスのような微生物からのリパーゼの存在下
に式II 〔式中、 R3はハロゲンにより置換されていてもよいC1〜C18−ア
ルキルまたはC3〜C10−シクロアルキルであり、そして R4はエポキシ−C1〜C5−アルキルであつて、このエポキ
シ基は式IIを有する残基中のOH基に対してβ−位に存在
するものであるか、または R4は場合によりCOOH、ハロゲン、NO2、CN、C1〜C4−ア
ルコキシカルボニルまたはフェニル(このフェニルはま
たハロゲン、NO2、CNまたはC1〜C4−アルコキシで置換
されていることができる)で置換されていてもよいC1
C10−アルキル、C2〜C10−アルケニル、C2〜C10−アル
キニルまたはC3〜C8−シクロアルケニルであるか、また
は R4は場合によりC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキ
シ、ハロゲン、NO2、CNまたはNPg(ここでPgはアミノ保
護基を表わす)で置換されていてもよいアリールまたは
ヘテロアリール基であるか、または R3とR4は一緒になつて式IIIaまたはIIIb (式中、 nは1、2または3であり、そして R5およびR6は同一または相異なつて水素、C2〜C4−アル
ケニルまたはC1〜C4−アルキルであるか、または R5とR6は一緒になつて場合によりC1〜C4−アルキル、C1
〜C4−アルコキシ、NO2、CNまたはハロゲンにより置換
されていてもよい縮合されたフェニルまたは縮合された
ナフチルを表わし、 ここでアルケニレン鎖中の1個のメチレン単位がカルボ
ニル基によつて置換されていてもよいものとする)を有
するアルキレンまたはアルケニレン基を表わす〕を有す
るアルコールと反応させ、そして次に生成した光学的に
純粋な式IIのアルコールを単離し、そして所望の場合は
もう一方の鏡像異性体を残留するエステルから取得す
る。
ハロゲンとはF、Cl、BrおよびI、特にClおよびBrを意
味する。「アリール」とは例えばフエニル、ナフチル、
フエナントリル、アントリルおよびフルオレニル、特に
フエニル、ナフチルおよびフエナントリルを意味する。
「ヘテロアリール」とは例えばフリル、チエニル、ピロ
リル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、テミダゾリ
ル、オキサゾリル、チアゾリルおよびインドリル、特に
フリル、チエニル、ピロリルおよびピリジルを意味す
る。アミノ保護基「Pg」はペプチド化学に慣用に用いら
れるアミノ保護基、例えばベンジルオキシカルボニル
(Cbz=Z)、ベンゾイル、ベンジル、ブチルオキシカ
ルボニル(Boc)、9−フルオレニルメトキシカルボニ
ル(Fmoc)、ベンズヒドリル、アリルオキシカルボニル
(Aloc)、トシル、メトキシメチル(MOM)、テトラヒ
ドロピラニル(THP)、アセチル、ならびにアルキルま
たはシクロアルキル基例えばN−メチル、N,N−ジメチ
ルまたはピペリジンまたはモルホリンを意味する。「縮
合されたフエニル」および「縮合されたナフチル」は式
IIIを有する残基のC−C二重結合がフエニルまたはナ
フチル基の一部分を構成するフエニルまたはナフチル基
を意味する。場合により置換されていてもよい基R1
R3、R4、R5およびR6はモノ置換が好ましい。
3個またはそれ以上の炭素原子を有するアルキルおよび
アルケニル基、および4個またはそれ以上の炭素原子を
有するアルキニル基は直鎖でも分枝状でもよい。式IIの
ラセミアルコールとして第1表に示される化合物が使用
されるのが特に好ましい。
本発明による方法は慣用のアルコールのラセミ分割法に
比較して以下の長所を有する。
a)少くとも一方の鏡像異性体が常に(光学的に)高度
に純粋であり、大抵の場合は両方共がそうである。
b)使用された酵素の回収が容易である。
c)分割に際して生成する「エステル」から「アルコー
ル」を非常に簡単に分離でき、理想的な場合は両者共蒸
留により分離されうる。
d)溶媒の添加を省ける。
e)比較的少ない酵素量の添加で高度にかつ迅速に変換
が起る。
本発明方法においては式Iのビニルエステルはカルボン
酸および対応するビニルアルコールに分解される。この
ビニルアルコールは直ちにケトンまたはアルデヒドに転
位する。従つて逆反応は完全に抑制される。前記したリ
パーゼの触媒作用の下に、この方法でラセミアルコール
から一方の鏡像異性体のみが迅速かつ高収率で選択的に
エステル化され、もう一方の鏡像異性体は未変化のまま
反応混合物中に残存する。
本発明による方法はOH基に対してβ−位にC−C二重結
合または三重結合を有するアルコール、またはその位置
にエポキシドまたは二重結合等価物例えばC3環を有する
アルコールの分割に特に適する。
本発明による方法にとつて最善の操作は、式Iのビニル
エステル、好ましくはビニルアセテートまたはビニルク
ロロアセテートの溶液を調製し、そしてこの溶液に酵素
ならびに分割すべきアルコールを加えるものである。酵
素としてはシュードモナス種からのリポタンパク質リパ
ーゼ、特に商業的に入手しうるリパーゼPまたはリパー
ゼFP(Amano Pharmaceuticals,名古屋)が用いられるの
が好ましい。さらに、酵素はまた固定された形態で使用
することもでき、この目的にはすべての慣用の固定化法
および担体が適する。固定化された酵素および遊離の酵
素はカラム法においても使用されうる。酵素量は反応バ
ツチの寸法、アルコールの反応性、要望される反応時間
および酵素の種類(遊離または固定)の如何により自由
に選択できそして個個の場合に簡単な予備試験により容
易に判定されうる。分割すべきアルコールは用いられる
ビニルエステルまたはメチルビニルエステルの量に基づ
き1%〜200%、好ましくは10%〜40%の濃度で用いら
れる。いくつかの場合にはビニルエステルを鏡像異性体
の一方に対し化学量論的量でのみ使用することすらもで
きる。
反応温度は−10℃〜+100℃、好ましくは15℃〜50℃で
ある。溶液を反応期間中攪拌するのが好都合である。反
応時間は用いられるラセミアルコールおよび酵素量の如
何により2〜3時間〜4週間まで変動する。しかしなが
ら大多数の場合3時間〜3日間である。
式Iを有するビニルエステルまたはメチルビニルエステ
ルはそれを購入できない場合は、例えばビニルアセテー
トを適当なカルボン酸を用いてエステル交換することに
より簡単な方法で調製されうる。
式IIのラセミアルコールは、それを購入できない場合は
例えば大部分が購入できる相当するケトンからの還元に
よるか、または相当するケトンをα−プロム化し続いて
アルコールに還元することにより得られる。購入できな
い他のアルコールまたはケトンは文献上知られた方法に
従い、例えばグリニヤール反応または他の慣用の付加反
応により簡単に調製されうる。
本発明による方法において生ずる生成物であるアセトア
ルデヒドまたはアセトン、カルボン酸エステルおよびア
ルコールは知られた方法で分離されうる。理想的には、
未反応のアルコールを蒸留により分離することにより取
得する。蒸留による分離が不可能な場合は、クロマトグ
ラフイーによるかまたは抽出または結晶化により分離さ
れる。酵素的に生成された低級エステルと未反応アルコ
ールとの間の沸点の差を大きくするには、ビニルエステ
ルの代りに適当なα−ハロゲノ−カルボン酸ビニルエス
テルを用いる(例えばビニルα−クロロアセテート)。
もう一方の鏡像異性体をも純粋に調製する必要がある場
合は、はじめにそのエステルを単離しそしてこれを知ら
れた方法で酸およびアルコールに分解させる。
かくしてアルコールが95%をこえる鏡像異性体純度(ee
値)で得られる。
反応に使用される酵素は過により容易に回収されう
る。
以下の実施例により本発明を詳細に説明する。
実施例 一般的操作 ラセミアルコールをビニルエステル中に溶解または懸濁
させる。これにリパーゼP(またはリパーゼFP)を遊離
または固定化された形態で加えてこの混合物を第1表に
示される温度で攪拌する。反応終了後酵素を去し(遊
離の酵素も固定化酵素も再使用できる)、残留する溶液
を真空下に濃縮乾固し、そして残留するアルコール/エ
ステル混合物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフイ
ーによるかまたは抽出、結晶化または残留により分離す
る。
第1表には、得られる生成物、操作パラメーター変数
(酵素量、アルコール量、ビニルエステル量、反応温
度、反応時間)ならびに生成物特性および化学的収率が
示される。
フロントページの続き (72)発明者 マンフレート・シュナイダー ドイツ連邦共和国デー5600 ヴッパタール トリベルスハイダウェーク47

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式I (式中、 R1は場合によりハロゲンで置換されていてもよいC1〜C
    18−アルキルであるか、またはフェニルであるか、また
    はC1〜C3−アルコキシ−C1〜C4−アルキルであり、そし
    て R2は水素またはメチルである) を有するビニルエステルを、豚の肝臓からのリパーゼ、
    豚の膵臓からのリパーゼ、またはカンジダ、ムコール、
    リゾプス、ペニシリウム、アスペルギルスおよびシュー
    ドモナスのような微生物からのリパーゼの存在下に式II 〔式中、 R3はハロゲンにより置換されていてもよいC1〜C18−ア
    ルキルまたはC3〜C10−シクロアルキルであり、そして R4はエポキシ−C1〜C5−アルキルであって、このエポキ
    シ基は式IIを有する残基中のOH基に対してβ−位に存在
    するものであるか、または R4は場合によりCOOH、ハロゲン、NO2、CN、C1〜C4−ア
    ルコキシカルボニルまたはフェニル(このフェニルはま
    たハロゲン、NO2、CNまたはC1〜C4−アルコキシで置換
    されていることができる)で置換されていてもよいC1
    C10−アルキル、C2〜C10−アルケニル、C2〜C10−アル
    キニルまたはC3〜C8−シクロアルケニルでるか、または R4は場合によりC1〜C4−アルキル、C1〜C4−アルコキ
    シ、ハロゲン、NO2、CNまたはNPg(ここでPgはアミノ保
    護基を表わす)で置換されていてもよいアリールまたは
    ヘテロアリール基であるか、または R3とR4は一緒になって式IIIaまたはIIIb (式中、nは1、2または3であり、そして R5およびR6は同一または相異なって水素、C2〜C4−アル
    ケニルまたはC1〜C4−アルキルであるか、または R5とびR6は一緒になって場合によりC1〜C4−アルキル、
    C1〜C4−アルコキシ、NO2、CNまたはハロゲンにより置
    換されていてもよい縮合されたフェニルまたは縮合され
    たナフチルを表わし、ここで式IIIを有するアルケニレ
    ン基はさらに1個のケト基を有することもできるものと
    する)を有するアルキレンまたはアルケニレン基を表わ
    す〕 を有するアルコールと反応させ、そして次に生成した光
    学的に純粋な式IIのアルコールを単離し、そして場合に
    よりもう一方の鏡像異性体を残留するエステルから取得
    することからなる、ラセミアルコールの酵素的ラセミ分
    離法。
JP63322246A 1987-12-23 1988-12-22 エステル交換による酵素的ラセミ分割法 Expired - Lifetime JPH072118B2 (ja)

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DE3743824.7 1987-12-23

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