JPH05111392A - 光学活性含硫黄化合物の製造法 - Google Patents

光学活性含硫黄化合物の製造法

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JPH05111392A
JPH05111392A JP30119691A JP30119691A JPH05111392A JP H05111392 A JPH05111392 A JP H05111392A JP 30119691 A JP30119691 A JP 30119691A JP 30119691 A JP30119691 A JP 30119691A JP H05111392 A JPH05111392 A JP H05111392A
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phenylthio
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butanol
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JP30119691A
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Takakazu Kojima
高和 児嶋
Takahiro Ishikawa
高広 石川
Takahiro Ando
孝浩 安藤
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Nippon Soda Co Ltd
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Nippon Soda Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式〔I〕 CH3 CH(OCOR1 )CH2 CH2 SR2 〔I〕 (式中R1 は、水素、直鎖または分岐鎖状のC1 〜C11
のアルキル基またはC2 〜C11のアルケニル基を示し、
2 は置換されていてもよいアリール基を示す)で表さ
れる化合物のエナンチオマー混合物を水の存在下に加水
分解酵素を作用させ、エステル基を立体選択滴に水酸基
に変換することを特徴とする、光学活性な4位置換-2-ブ
タノールの製造法。 【効果】 本発明は、農医薬の中間原料として有用であ
る光学活性な 4位置換-2-ブタノールを高純度で収率よ
く簡便に製造する工業的にも優れた製造法を提供でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学活性な 4位置換-2-
ブタノールの製造法に関するものである。光学活性な 4
位置換-2-ブタノールは、医薬・農薬に利用される光学
活性な生理活性化合物の合成中間体として重要性が高
い。
【0002】
【従来の技術】4位置換-2-ブタノールは分子内に不斉炭
素を一つ有している。光学活性な 4-アリールチオ-2-ブ
タノールの合成が最近報告された(Chem. Lett., 2227
頁(1987), 及び J. Chem. Soc. Chemm. commun., 662頁
(1991))。この化合物はカルバペネム系抗生物質等の光
学活性の医薬品合成の中間体としての利用が検討され
(特開昭 61-207373)、そのため経済的に高純度のもの
を製造する方法の確立が望まれている。光学活性な化合
物を製造する方法として、光学活性のない化合物からの
不斉誘導で得る方法、ラセミ混合物を光学分割する方
法、光学活性前駆体から誘導する方法などが考えられ
る。何れの方法にも一長一短があり、工業的に利用する
には経済性等で解決しなければならない問題点がある。
ラセミ混合物を光学分割して光学活性化合物を製造する
方法の一つとして酵素を利用する方法があり、適切な酵
素を見いだせば有効な方法を提供すると考えられ、最近
活発に利用研究が行われるようになってきた。エステル
加水分解酵素の中でも特にリパーゼ類は入手容易でもあ
るため多くの研究例がある(Angew. Chem. Int. Ed., 2
8巻 695頁(1989)、有機合成化学協会誌 49 巻657 頁(19
91)など)。リパーゼ類酵素基質のアルコール成分であ
るグリセリンの類縁体と考えられるブタンジオールの光
学活性誘導体の合成にリパーゼが用いられた例(特開平
2-39898, 特開平2-39899)が最近報告されたが、イオウ
のようなヘテロ原子を含んだ化合物に適用した例は少な
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】光学活性な 4位置換-2
-ブタノールを合成するのに安価で容易に入手できるラ
セミ体原料を、酵素を用いて経済的に光学分割する事を
検討した。リパーゼ類酵素の本来の基質である脂肪酸ト
リグリセリドとは異なる構造の 4位置換-2-ブタノール
のエステル類に対して、効率的にしかも立体特異的に作
用する酵素を見いだし、その酵素を利用して所望の光学
活性体を高純度で収率よく得る方法を創製することにし
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、簡便で経
済性に優れた方法で光学純度の高い 4位置換-2-ブタノ
ールを得る方法として容易に入手出来る安価なラセミ混
合物を原料としてそれに酵素を作用させて製造する新し
い方法を考案すべく、各種の酵素およびその反応条件を
鋭意検討した結果、数種のエステル加水分解酵素が 4位
置換-2-ブタノールのエステルに対して極めて高い不斉
認識能力を有しており、収率よく不斉加水分解を触媒す
ることを見いだし本発明を完成するに至った。即ち、本
発明は光学活性な 4位置換-2-ブタノールを酵素を用い
て製造する方法である。
【0005】以下、本発明を更に詳細に述べる。本発明
は、一般式〔I〕 CH3 CH(OCOR1 )CH2 CH2 SR2 〔I〕 (式中R1 は、水素、置換されていてもよいアルキル基
または置換されていてもよいアルケニル基を示し、R2
は置換されていてもよいアリール基を示す)で表される
4位置換-2-ブタノールの脂肪酸エステルのエナンチオ
マー混合物に水の存在下に加水分解酵素を作用させエス
テル基を立体選択的に水酸基に変換することを特徴とす
る光学活性な一般式〔II〕 CH3 CH(OH)CH2 CH2 SR2 〔II〕 (式中R2 は前記と同じ意味を示す)で表される 4位置
換-2-ブタノールの製造法である。この反応は、S-体の
エステルはそのまま反応系中に残し R-体の 4位置換-2-
ブタノールを生成するものである。前記一般式〔I〕
中、R1 の置換されていてもよいアルキル基または置換
されていてもよいアルケニル基は、例えばメチル基、エ
チル基、イソプロピル基、ウンデシル基のような直鎖ま
たは分岐鎖状のアルキル基、およびエテニル基、イソプ
ロペニル基、ウンデセニル基のような直鎖または分岐鎖
状のアルケニル基である。R2 の置換されていてもよい
アリール基は、フェニル基、アルキルフェニル基、アル
コキシフェニル基、もしくはハロフェニル基のようなア
リール基である。また使用する加水分解酵素は 4位置換
-2-ブタノール誘導体の中の (R)-立体配置の化合物に特
異的に作用する点が特徴である。
【0006】原料となる 4位置換-2-ブタノールは文献
記載の方法(Bull. Chem. Soc. Jpn., 53巻 3615頁(19
80))により容易に合成できる。また、この脂肪酸エス
テル類は、常法により 4位置換-2-ブタノールをカルボ
ン酸無水物またはカルボン酸クロリドと反応させて合成
出来る。これらの原料化合物は入手の容易な点でラセミ
体(対掌体の等量混合物)が好ましいが対掌体混合比率
は特に限定されるものではなく、いかなる混合比でもよ
い。本発明で使用される加水分解酵素は、エステル加水
分解酵素に分類されるものであり、微生物の生産するリ
パーゼ、微生物の生産するリポプロテインリパーゼ、動
物組織由来のエステラーゼ等が例示される。市販の酵
素、例えばシュードモナス菌由来のリパーゼ B(和光純
薬製)、リパーゼ PS (天野製薬製)、リポプロテイン
リパーゼ(和光純薬製)、耐熱性リパーゼ(栗田工業
製)、キャンディダ菌由来のリパーゼ AY (天野製薬
製)、アルカリゲネス菌由来のリポプロテインリパーゼ
(生化学工業製)、クロモバクテリウム菌由来のリパー
ゼ LP (東洋醸造製)、豚肝臓由来のエステラーゼ(シ
グマ製)等を利用する事ができる。使用される酵素は立
体特異性が高い点に特徴があり、例示した酵素はいずれ
も R-体に特異的に作用する。酵素の利用形態として、
精製酵素、粗製酵素あるいは菌体や組織に含まれた状態
等があり、いずれの形態を利用してもよい。また、固相
担体に固定して用いることも可能である。
【0007】本発明の酵素反応を行なう場合、通常は水
溶液中で反応を行なうが、基質である一般式〔I〕の化
合物の溶解度を上げるために有機溶媒を加えてもよい。
有機溶媒としては水と混和する不活性な溶媒例えばアセ
トンのようなケトン、テトラヒドロフランやジメトキシ
エタンのようなエーテル類、ジメチルスルホキシドのよ
うな非プロトン性極性溶媒等を例示することができる。
非極性な有機溶媒を加えて不均一系で反応させる事もで
きる。また、界面活性剤を加えて反応させてもよい。
水溶液中の基質濃度は通常は 0.1〜50% であり、好まし
くは 1〜20% である。この形式の反応を行なう際の pH
は使用する酵素の至適 pH 付近が最適であるが、それを
中心として±2 程度は許容される。この場合適切な緩衝
液を用いるのが好ましい。反応温度は、使用酵素によっ
て決まるが、通常 0 〜 60 ℃、好ましくは 5 〜 55 ℃
である。酵素の使用量は、酵素の種類や比活性、基質濃
度により異なるが基質に対して、通常 0.1〜50% で行な
う。反応は、攪拌下または振盪下に行なうことが好まし
いが、静置状態で行なってもよい。
【0008】反応終了後、不溶物を遠心分離または濾過
等の操作によって除いた後、水に不溶な有機溶媒で抽出
し、蒸留あるいはカラムクロマトグラフィー等の通常の
精製法を適用して残存物と生成物を分離精製し、光学活
性体を取得する事ができる。一旦得られた光学活性体は
アシル化または脱アシル化により立体配置を保ったまま
エステルと水酸基の間を相互に変換することも可能であ
る。
【0009】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
述べる。 実施例1 ラセミ体の酢酸 4-フェニルチオ-2-ブチル 215mg をア
セトン 3.5ml に溶解した溶液を、リパーゼPS(天野
製薬製、シュウドモナス菌由来)100mg 及び臭化 セチ
ルトリメチルアンモニウム 2mg を含んだ 50mM 燐酸緩
衝液( pH=7.0 ) 6ml 中に加えた。密栓をして 37 ℃
の振とう培養器で 28 時間反応させた。反応液中にアセ
トン 2.5ml を加え均一化した後、セライトを用いて濾
過し、大部分の有機溶媒を減圧留去した後クロロホルム
で抽出した。抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーに供して(n-ヘキサン−酢酸 エチルでグラジエン
ト溶出)、酢酸 4-フェニルチオ-2-ブチル画分 93mg
(回収率 43%、ラセミ体基準。以下同じ)と、 4-フェ
ニルチオ-2-ブタノール画分83mg(収率 47%)を得た。
前者は HPLC でキラルカラム(Chiralcel OB, ダイセル
化学工業製)を用いて分析した結果、光学純度 95.6%ee
(S-体)であった。また、比旋光度[α] D =7.3° (C=
1.11, EtOH) であった。一方、後者の比旋光度は、[α]
D =-29.3° (C=1.06, EtOH) であった。これは常法に
よりアセチル化した後、同様に HPLC で分析した結果、
光学純度 94.0%ee(R-体)であった。 (R)-4-フェニルチオ-2-ブタノール: NMRスペクトル; 7.25(m,5H), 3.90(m,H), 3.01(t,2
H), 2.27(S,H),1.75(m,2H), 1.18(d,3H) (CDCl3) 比旋光度; [α] D =-33.0 °(C=1.1, EtOH) 屈折率; nD (25)= 1.5623 (S)-酢酸 4-フェニルチオ-2-ブチル: NMRスペクトル; 7.20(m,5H), 4.95(m,H), 2.93(t,2
H), 2.00(S,3H),1.85(m,2H), 1.20(d,3H) (CDCl3) 比旋光度; [α] D = 7.6° (C=1.1, EtOH) 屈折率; nD (25)= 1.5286
【0010】実施例2 基質としてラセミ体のラウリン酸 4-フェニルチオ-2-ブ
チル 216mg を用いて実施例1と同様にして立体特異的
加水分解を行い、(S)-ラウリン酸 4-フェニルチオ-2-ブ
チル 88mg (回収率 41%、光学純度 81.3%ee、[α] D
= 8.13°(C=0.91, EtOH))及び (R)-4-フェニルチオ-2
-ブタノール 37mg(収率 34%、光学純度 91.1%ee、[α]
D =-30.6 °(C=1.03, EtOH))を得た。 (S)-ラウリン酸 4-フェニルチオ-2-ブチル: NMRスペクトル; 7.28(m,5H), 5.04(m,H), 2.98(t,2
H), 2.21(m,2H),1.90(m,2H), 1.30(s,21H), 1.27(d.3H)
(CDCl3) 比旋光度; [α] D = 10.0 °(C=0.9, EtOH) 屈折率; nD (25)= 1.5001
【0011】実施例3 実施例1と同様にして、酵素として耐熱性リパーゼ(栗
田工業製、シュウドモナス菌由来) 100mg 用いて立体
特異的加水分解を行い、(S)-酢酸 4-フェニルチオ-2-ブ
チル 99mg (回収率 46% 、光学純度 76.8%ee)及び
(R)-4-フェニルチオ-2-ブタノール 76mg(収率 43% 、
光学純度 85.0%ee)を得た。
【0012】実施例4 実施例1と同様にして、ラセミ体の酢酸 4-フェニルチ
オ-2-ブチルに対して各種酵素を用いて立体特異的加水
分解を行ない、 (R)-4-フェニルチオ-2-ブタノールと
(S)-酢酸 4-フェニルチオ-2-ブチルを得た。 37 ℃で
6 時間後の S-体原料の回収率と 24 時間後の回収物の
光学純度を表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】実施例5 実施例2と同様にして、ラセミ体のラウリン酸 4-フェ
ニルチオ-2-ブチルに対して各種酵素を用いて立体特異
的加水分解を行ない、 (R)-4-フェニルチオ-2-ブタノ
ールと (S)-ラウリン酸 4-フェニルチオ-2-ブチルを得
た。 37 ℃で 7 時間後の S-体原料の回収率と回収物の
光学純度を表2に示す。
【0015】
【表2】
【発明の効果】本発明は、農医薬の中間原料として有用
である光学活性な4位置換-2-ブタノールを高純度で収率
よく簡便に製造する工業的にも優れた製造法を提供でき
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式〔I〕 CH3 CH(OCOR1 )CH2 CH2 SR2 〔I〕 (式中R1 は、水素、置換されていてもよいアルキル基
    または置換されていてもよいアルケニル基を示し、R2
    は置換されていてもよいアリール基を示す)で表される
    化合物のエナンチオマー混合物に水の存在下に加水分解
    酵素を作用させエステル基を立体選択的に水酸基に変換
    することを特徴とする光学活性な一般式〔II〕 CH3 CH(OH)CH2 CH2 SR2 〔II〕 (式中R2 は前記と同じ意味を示す)で表される化合物
    の製造法。
JP30119691A 1991-10-22 1991-10-22 光学活性含硫黄化合物の製造法 Pending JPH05111392A (ja)

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