JP4078465B2 - 光学活性アルコール化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
光学活性アルコール化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般式 化3
【0003】
【化3】
【0004】
(式中、R1及びR2は、同一又は相異なって、1個以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素原子7個から31個の脂肪族炭化水素を表し、R5及びR6は、少なくともその一方が水素原子を表し、他方は水素原子又は炭素原子2個から7個のアシル基を表す。)
で示される光学活性アルコール化合物は、毛髪及び肌の手入れ等の為の化粧品や医薬品又はそれらの製造中間体として有用である。
これらの化合物は、通常、牛やブタなどの動物の表皮組織から主に抽出分離されているが、その生産量が限定され、また、その安定供給が困難である等の問題点があった。
最近では、有機合成化学的手法による光学活性スフィンゴイドの不斉合成法が報告されており、また、該光学活性スフィンゴイドを、例えば、N−スクシミジルオクタデカノエイトを用いN−アシルスフィンゴイドに導く方法も知られている[R.Julina等、Helvetica Chemica Acta, 69, p.368(1986)]。
かかる有機合成化学的手法による光学活性スフィンゴイドの不斉合成法としては、例えば、式 化4をSharpless不斉エポキシ化して式 化5で示されるエポキシ化合物を合成し、式 化6で示されるオキサゾリジノン化合物を経由して、光学活性な式 化7を得る方法がR.Julina等、 Helevetica Chimica Acta, 69, p.368 (1986)等に記載されている。
【0005】
【化4】
【0006】
【化5】
【0007】
【化6】
【0008】
【化7】
【0009】
また、Z-ブテン-1,4-ジオールを出発原料に、Sharpless酸化、アジドによるエポキシドの開裂を経て、アルデヒドへの酸化、Wittig反応、光異性化を経て、光学活性な式 化7で示される化合物を合成する方法がH.Shibuya等、Tetrahedron Letters, 30, p.7205 (1989)等に、Evansのキラル補助剤を用いる方法がK.C.Nicolaou等、J.Am.Chem.Soc., 110, p.7910 (1988)等に、2-N-アシルアミノ-高級アシル酢酸エステル化合物をルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を触媒として不斉水素化を行うことにより不斉炭素を制御する方法が特開平6-80617等に記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの有機合成化学的手法による製法は、操作の煩雑性、必要工程数、反応資材の安全性および使用量等の点で、工業的に実施する方法としては、必ずしも満足できる方法とは言い難い。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような状況下、本発明者らは、より簡便で、また安全性に富み、工業的規模での実施にも好適な前記式 化3で示される光学活性アルコール化合物の製造方法につき鋭意検討を行った結果、特定の能力を有するエステル加水分解酵素を用いる生化学的手法を見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
1)一般式 化8
【0012】
【化8】
【0013】
(式中、R1及びR2は、同一又は相異なって、1個以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素原子7個から31個の脂肪族炭化水素基を表し、R3及びR4は、同一又は相異なって、炭素原子2個から7個のアシル基を表す。)
で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルの(2R,3S)体のエステル結合部位を不斉水解する能力を有するエステル加水分解酵素を、一般式 化8で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルに作用させ、これを不斉水解した後、反応液から未反応の前記N-アシルスフィンゴイドエステルの(2S,3R)体を回収し、これをエステル加水分解することにより、一般式 化9
【0014】
【化9】
【0015】
(式中、R1及びR2は、同一又は相異なって、1個以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素原子7個から31個の脂肪族炭化水素基を表し、R5及びR6は、少なくともその一方が水素原子を表し、他方は水素原子、又は炭素原子2個から7個のアシル基を表す。)
で示される光学活性アルコール化合物を得ることを特徴とする光学活性アルコール化合物の製造方法(以下、本発明製造方法と記す。)、
2)一般式 化8で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルがエリトロ体である前項1記載の光学活性アルコール化合物の製造方法、
3)エステル加水分解酵素が、配列番号1で示されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列における1もしくは複数のアミノ酸が付加、欠失、もしくは置換された配列を有する蛋白質であることを特徴とする前項1又は2記載の光学活性アルコール化合物の製造方法、
を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明製造方法の原料として用いられる、一般式 化10
【0017】
【化10】
【0018】
(式中、R1及びR2は、同一又は相異なって、1個以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素原子7個から31個の脂肪族炭化水素基を表し、R3及びR4は、同一又は相異なって、炭素原子2個から7個のアシル基を表す。)
で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルにおいて、
R1及びR2で表される1個以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素原子7個から31個の脂肪族炭化水素基としては、例えば、1個以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい、炭素原子7個から31個の直鎖又は分枝のアルキル基、1個以上の二重結合を有しかつ1個以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい、炭素原子7個から31個の直鎖又は分枝のアルケニル基等を挙げることができる。好ましくは、1個から3個程度のヒドロキシル基で置換されていてもよい、炭素原子7個から31個の直鎖又は分枝のアルキル基、1個から3個程度の二重結合を有しかつ1個から3個程度のヒドロキシル基等で置換されていてもよい、炭素原子7個から31個の直鎖又は分枝のアルケニル基等があげられる。具体的には、例えば、ヘプチル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、1−トリデセニル基、1−テトラデセニル基、1−ペンタデセニル基、1−ヘキサデセニル基、1−ヘプタデセニル基、1−オクタデセニル基、1−ノナデセニル基、1−エイコセニル基、1−ヒドロキシトリデシル基、1−ヒドロキシテトラデシル基、1−ヒドロキシペンタデシル基、1−ヒドロキシヘキサデシル基、1−ヒドロキシヘプタデシル基、1−ヒドロキシオクタデシル基、1−ヒドロキシノナデシル基、1−ヒドロキシエイコシル基、1−ヒドロキシヘンエイコシル基、1−ヒドロキシドコシル基、1−ヒドロキシトリコシル基、1−ヒドロキシテトラコシル基、1−ヒドロキシペンタコシル基、1−ヒドロキシヘキサコシル基、1−ヒドロキシヘプタコシル基、12−メチル−トリデシル基、14−メチル−ペンタデセニル基、メチルヘプタデシル基等を挙げることができる。
R3及びR4で表される炭素原子2個から7個のアシル基としては、例えば、式 化11
【0019】
【化11】
【0020】
(式中、R7は、炭素原子1個から6個のアルキル基を表す。)
で示されるアルキルカルボニル基等を挙げることができる。より具体的には例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等を挙げることができる。好ましくは、例えばアセチル基が挙げられる。
【0021】
一般式 化10で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルは、対応するN-アシルスフィンゴイドを、例えば、T.Kolter等、Tetrahedron, 50, p.13425 (1994)等に記載の方法に準じて合成し、これをエステル化することにより製造することができる。
【0022】
このようなN-アシルスフィンゴイドエステルの具体的な例としては、例えば、N-エイコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノヘキサデカン-1,3-ジオール、
N-エイコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノヘプタデカン-1,3-ジオール、
N-エイコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノ-4-オクタデセン-1,3-ジオール、
N-エイコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノオクタデカン-1,3,4-トリオール、
N-エイコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノエイコサン-1,3-ジオール、
N-エイコサノイル-1,3-O-ジブチリル-2-アミノエイコサン-1,3-ジオール、
N-エイコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノヘンエイコサン-1,3-ジオール、
N−オクタデカノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノ-15-メチルヘキサデカン-1,3-ジオ−ル、
N−オクタデカノイル-1,3-O−ジアセチル-2-アミノドコサン−1,3−ジオール、
N−オクタデカノイル-1,3-O-ジブチリル-2-アミノ-4-ヘキサデセン-1,3-ジオール、
N−オクタデカノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノ-4-オクタデセン-1,3-ジオール、
N−オクタデカノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノオクタデカン-1,3,4-トリオール、
N−オクタデカノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノ-4-ヘプタデセン-1,3-ジオール、
N−オクタデカノイル-1,3-O-ジブチリル-2-アミノ-4-エイコセン-1,3-ジオール、
N−2’-ヒドロキシオクタデカノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノ-15-メチルヘキサデカン-1,3-ジオール、
N−2’-ヒドロキシヘキサデカノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノヘキサデカン-1,3-ジオール、
N−2’-ヒドロキシヘキサデカノイル-1,3-O-ジブチリル-2-アミノヘキサデカン-1,3-ジオール、
N−2’-ヒドロキシエイコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノ-4-オクタデセン-1,3-ジオール、
N−2’-ヒドロキシエイコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノオクタデカン-1,3,4-トリオール、
N−2’-ヒドロキシテトラコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノエイコサン-1,3-ジオール、
N−2’-ヒドロキシヘキサコサノイル-1,3-O-ジブチリル-2-アミノヘプタコサン-1,3-ジオール、
N−ドコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノ-15-メチルヘキサデカン-1,3-ジオール、
N−テコラコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノヘキサデカン-1,3-ジオール、
N−ヘキサコサノイル-1,3-O-ジブチリル-2-アミノヘキサデカン-1,3-ジオール、
N−メチルオクタデカノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノ-4-オクタデセン-1,3-ジオール、
N−ペンタコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノ-4-ドコセン-1,3-ジオール、
N−ペンタコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノ-4-オクタデセン-1,3-ジオール、
N−ペンタコサノイル-1,3-O-ジアセチル-2-アミノエイコサン-1,3-ジオール等
を挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0023】
本発明製造方法において原料として用いられる、一般式 化10で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルとしては、好ましくは、エリトロ体でありその立体配置が(2S,3R)体および(2R,3S)体である異性体の任意の混合物をあげることができる。
【0024】
本発明製造方法に使用しうるエステル加水分解酵素としては、一般式 化10で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルの(2R,3S)体のエステル結合部位を選択的に不斉水解する能力を有する酵素であればよい。
このような能力を有するエステル加水分解酵素は、狭義のリパーゼを含むエステラーゼやプロテアーゼ等であり、ブタ、ヒト等の動物由来でも、ヒマ等の植物由来でも、アスペルギルス属、キャンディダ属、フザリウム属、ジオトリカム属、ムコール属、ノカルディア属、ペニシリウム属、リゾプス属、サッカロマイセス属、アクロモバクター属、アシネトバクター属、アルカリジェネス属、クロモバクテリウム属、エシェリヒア属、シュードモナス属、スフィンゴモナス属、バチルス属、バークホルデリア属、モレキセラ属、ラクトバチルス属、スタフィロコッカス属、セラチア属、ヤロウイア属等に属する微生物由来でもかまわない。また、これらのエステル加水分解酵素の遺伝子を組換えDNA技術により単離し、同じ属に属する宿主細胞又は異なる属に属する宿主細胞に導入することにより得られた形質転換体が産生するエステル加水分解酵素でもよい。
【0025】
より具体的なエステル加水分解酵素の例としては、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する蛋白質、又は配列番号1で示されるアミノ酸配列における1もしくは複数のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換された配列を有し、かつ、一般式 化10で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルの(2R,3S)体のエステル結合部位を不斉水解する能力を有する蛋白質を挙げることができる。「配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する蛋白質」は、例えば、ブダペスト条約下においてFERM-BP5740として通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託(受理日:平成8年11月7日)されている微生物(E.coli JM109 / pAL612株)から調製することができる。また、「配列番号1で示されるアミノ酸配列における1もしくは複数のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換された配列を有し、かつ、一般式 化10で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルの(2R,3S)体のエステル結合部位を不斉水解する能力を有する蛋白質」は、例えば、配列番号2で示される塩基配列またはその部分塩基配列を有するDNAをプローブとして、「クローニングとシークエンス」(渡辺格監修、杉浦昌弘編集、1989、農村文化社発行)等に記載されるハイブリダイゼーション方法を利用して上記の動物、植物、または微生物由来の遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることによりその遺伝子を特定、単離し、得られた遺伝子を微生物等の宿主細胞に発現させることにより、調製することができる。また、例えば、配列番号2で示される塩基配列を有する遺伝子に、Molecular Cloning, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)等に記載の通常の変異導入方法により、アミノ酸が付加、欠失、または置換される変異を導入し、得られた遺伝子を微生物等の宿主細胞に発現させることにより、調製することもできる。
【0026】
本発明製造方法において用いられるエステル加水分解酵素は、それ自体を含有する微生物又は細胞の培養物の形で反応に利用しても良いが、該培養物または当該エステル加水分解酵素を含有する組織から分離して粗酵素や精製酵素等の形で反応に利用しても良い。このような粗酵素や精製酵素等は、例えば、1)超音波処理、2)ガラスビーズ又はアルミナを用いる摩砕処理、3)フレンチプレス処理、4)リゾチーム等の酵素処理、5)ワーリングブレンダー処理等により菌体、細胞、または組織等を破砕し、得られた破砕物から6)硫安などを用いる塩析、7)有機溶媒、ポリエチレングリコール等の有機ポリマーによる沈澱、8)イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等の各種のクロマトグラフィー、9)電気泳動等の通常の方法により調製することができる。
さらにまた、エステル加水分解酵素を、共有結合、イオン結合、吸着などにより担体に結合させる担体結合法、高分子の網目構造の中に閉じ込める包括法等の固定化の方法によって不溶化し、反応液から容易に分離可能な状態に加工した固定物の形で利用することもできる。
【0027】
不斉水解時の反応温度としては、約20℃から約70℃、好ましくは、約25℃から約40℃の範囲を挙げることができる。また該反応は、前記の一般式 化10で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルを溶解する有機溶媒と前記エステル加水分解酵素を溶解する緩衝液の2層系で行うことがよい。必要に応じ、界面活性剤を添加してもよい。反応溶媒としては、例えばデカンなどを挙げることができ、緩衝液としては、pH約5〜pH約8の通常の緩衝液を挙げることができる。反応時間は、約1時間から約1週間である。
反応液からの前記N-アシルスフィンゴイドエステルの(2S,3R)体の回収に際しては、例えば、溶媒抽出、分別蒸留、カラムクラマトグラフィー等の方法を適宜用いることができる。このようにして回収されたN-アシルスフィンゴイドエステルの(2S,3R)体を、例えば、通常の方法でアルカリ加水分解することにより、前記一般式 化9で示される光学活性アルコール化合物を得ることができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
【0029】
実施例1
デカン10mlと100mM リン酸緩衝液(pH7.1)100mlの混合液に、ラセミ体でありかつエリトロ体であるエリトロ-3-アセトキシ-2-ステアロイルアミノヘキサデシル アセテート1.03gと後記参考例1により調製されるエステル加水分解酵素50mgを加え、30℃で、撹拌して反応を行った。反応は、TLC[シリカゲル、クロロホルム:メタノール(15:1)]で追跡した。
2日間反応後、反応液を酢酸エチルで抽出し、次いでクロロホルムで抽出を行った。回収された有機溶媒層を塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮を行うことにより残渣を得た。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離した。溶出は、ヘキサン:酢酸エチル(5:1)、次いでクロロホルム:メタノール(30:1)で行った。溶出された(+)-(2S,3R)-エリトロ-3-アセトキシ-2-ステアロイルアミノヘキサデシル アセテート(264.9mg)の一部を加水分解した後、p-トルエンスルホン酸、2,2-ジメトキシプロパン、アセトン存在下で(4R,5S)-エリトロ-2,2-ジメチル-5-ステアロイルアミノ-4-トリデシル-1,3-ジオキサンに変換し、1H-NMRにて光学純度を分析した結果、>95%e.e.であった。次に溶出された(-)-(2R,3S)-エリトロ-3-アセトキシ-2-ステアロイルアミノヘキサデカン-1-オール(481.8mg)の一部を加水分解した後、(-)-(2R,3S)-エリトロ-2-ステアロイルアミノ-1,3-ヘキサデカンジオールの旋光度と比較した結果、光学純度は16%e.e.であった。
さらに溶出された、(-)-(2R,3S)-エリトロ-2-ステアロイルアミノ-1,3-ヘキサデカンジオール(214.8mg)の一部をp-トルエンスルホン酸、2,2-ジメトキシプロパン、アセトン存在下で、(4S,5R)-エリトロ-2,2-ジメチル-5-ステアロイルアミノ-4-トリデシル-1,3-ジオキサンに変換し、1H-NMRにて光学純度を分析した結果、>95%e.e.であった。
【0030】
実施例2
デカン0.1mlと100mM リン酸緩衝液(pH7.1)1.0mlの混合液に、ラセミ体でありかつエリトロ体であるエリトロ-3-アセトキシ-2-ステアロイルアミノヘキサデシル アセテート10.2mgと参考例2により調製された固定化エステル加水分解酵素10.8mgを加え、30℃で、撹拌して反応を行った。反応は、TLC[シリカゲル、クロロホルム:メタノール(15:1)]で追跡した。
2日間反応後、実施例1に準じて、生成物(+)-(2S,3R)-エリトロ-3-アセトキシ-2-ステアロイルアミノヘキサデシル アセテートを分離した。分離されたアセテートの一部を加水分解した後、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジメチルアミノピリジンの存在下でα-メトキシ-α-トリフルオロメチルフェニルアセテート(以下、MTPAと記す。)と作用させ、bis-MTPAエステルに誘導してから1H-NMRにて光学純度を分析した。(+)-(2S,3R)-エリトロ-3-アセトキシ-2-ステアロイルアミノヘキサデシル アセテートが50%の収率で得られ、その光学純度は>95%e.e.であった。
【0031】
参考例1:エステル加水分解酵素の調製
大腸菌組換え体E.coli JM109/pAL612株(FERM-BP 5740)を、50mg/Lのアンピシリンと1mMのイソプロピル チオ-β-D-ガラクトシドを含む100mlのLB培地(ディフコ(株)社製)で、37℃、16時間培養した後、遠心分離(6000rpm、10分間)により集菌することにより菌体を回収した。回収された菌体を、10mlの100mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁した後、超音波破砕(10分間)し、該破砕物を遠心分離することにより粗酵素抽出液を得た。さらに得られた粗酵素抽出液を凍結乾燥することにより粗酵素粉末を得た。
【0032】
参考例2:エステル加水分解酵素の固定化
トライトンX-100(ユニオン カーバイド ケミカルズ アンド プラスティックス社登録商標)(300mg)を溶解した0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)10mlに、参考例1により得られた酵素粉末1gを加えた後、氷水中でフロリシル[U.S.Silica Company登録商標、シグマ アルドリッチ ジャパン(株)販売](8.7mg)を添加した。得られた混合物を-78℃で凍結した後、凍結乾燥することにより、固定化粉末酵素(1.4g)を得た。
【0033】
【発明の効果】
本発明により、操作が煩雑でなく、多工程を要さず、また安全性にも優れた生化学的手法による前記式 化3で示される光学活性アルコール化合物の製造方法を提供する。
【0034】
【配列表】
【0035】
Claims (3)
- 一般式 化1
で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルの(2R,3S)体のエステル結合部位を不斉水解する能力を有するエステル加水分解酵素であって、配列番号1で示されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列における1もしくは複数のアミノ酸が付加、欠失、もしくは置換された配列を有する蛋白質を、一般式 化1で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルに作用させ、これを不斉水解した後、反応液から未反応の前記N-アシルスフィンゴイドエステルの(2S,3R)体を回収し、これをエステル加水分解することにより、一般式 化2
)
で示される光学活性アルコール化合物を得ることを特徴とする光学活性アルコール化合物の製造方法。 - 一般式 化1で示されるN-アシルスフィンゴイドエステルがエリトロ体である請求項1記載の光学活性アルコール化合物の製造方法。
- 配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する蛋白質が、ブダペスト条約下においてFERM-BP5740として通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託(受理日:平成8年11月7日)されている微生物(E.coli JM109 / pAL612株)が産生するエステル加水分解酵素であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光学活性アルコール化合物の製造方法。
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