JP2687006B2 - 耐火鋼用ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents
耐火鋼用ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤInfo
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は建築、土木及び海洋構造物の分野において使
用される耐火鋼を溶接するガスシールドアーク溶接用フ
ラックス入りワイヤ(以下ワイヤという)に関するもの
でさらに詳しくは、600℃での高温耐力に優れたワイヤ
に係るものである。
用される耐火鋼を溶接するガスシールドアーク溶接用フ
ラックス入りワイヤ(以下ワイヤという)に関するもの
でさらに詳しくは、600℃での高温耐力に優れたワイヤ
に係るものである。
(従来の技術) 建築、土木及び海洋構造物の分野における各種構造物
用フラックス入りワイヤは軟鋼及び高張力鋼用アーク溶
接フラックス入りワイヤ(JIS Z 3313)、耐候性鋼用炭
酸ガスアーク溶接フラックス入りワイヤ(JIS Z 3320)
が広く使用されている。例えば特公昭59−44159号公
報、特開昭59−64195号公報、特公昭63−7879号公報等
にはチタニア系のワイヤが開示されている。また特公昭
46−24124号公報,特開昭52−125437号公報等に示され
るように金属弗化物を主成分としたワイヤが開示されて
いる。
用フラックス入りワイヤは軟鋼及び高張力鋼用アーク溶
接フラックス入りワイヤ(JIS Z 3313)、耐候性鋼用炭
酸ガスアーク溶接フラックス入りワイヤ(JIS Z 3320)
が広く使用されている。例えば特公昭59−44159号公
報、特開昭59−64195号公報、特公昭63−7879号公報等
にはチタニア系のワイヤが開示されている。また特公昭
46−24124号公報,特開昭52−125437号公報等に示され
るように金属弗化物を主成分としたワイヤが開示されて
いる。
ところで各種構造物のうち、特に生活に密着したビル
や事務所及び住居などの建築物に前記溶接ワイヤを用い
て構築した溶接部は、火災における安全性を確保するた
め十分な耐火被覆を施すことが義務付けられており建築
関係諸法例では、火災時に溶接部温度が350℃以上にな
らぬように規定されている。これは350℃程度で耐力が
常温時の60〜70%に低下し建築物の倒壊を引き起こす恐
れがあるためである。このため溶接部の表面にスラグウ
ール,ロックウール,ガラスウール,アスベストなどを
基材とする吹き付け材やフェルトを展着するほか、防火
モルタルで包被する方法及び前記断熱材層の上に更に金
属薄膜即ちアルミニウムやステンレススチール薄板等で
保護する方法など耐火被覆を入念に施し火災時における
熱的損害を防止するようにしている。そのため溶接材料
価格そのものより耐火被覆施工費が高額になり建設コス
トが大幅に上昇することを避けることができない。
や事務所及び住居などの建築物に前記溶接ワイヤを用い
て構築した溶接部は、火災における安全性を確保するた
め十分な耐火被覆を施すことが義務付けられており建築
関係諸法例では、火災時に溶接部温度が350℃以上にな
らぬように規定されている。これは350℃程度で耐力が
常温時の60〜70%に低下し建築物の倒壊を引き起こす恐
れがあるためである。このため溶接部の表面にスラグウ
ール,ロックウール,ガラスウール,アスベストなどを
基材とする吹き付け材やフェルトを展着するほか、防火
モルタルで包被する方法及び前記断熱材層の上に更に金
属薄膜即ちアルミニウムやステンレススチール薄板等で
保護する方法など耐火被覆を入念に施し火災時における
熱的損害を防止するようにしている。そのため溶接材料
価格そのものより耐火被覆施工費が高額になり建設コス
トが大幅に上昇することを避けることができない。
(発明が解決しようとする課題) 前述のように建築物に周知のワイヤを利用する場合、
価格は安いが高温特性が低いため無被覆や軽被覆で利用
することができず割高な耐火被覆を施さねばならないた
め建設コストを高くするとともに建築物の利用空間を狭
くし、経済効率を低下させているという課題がある。
価格は安いが高温特性が低いため無被覆や軽被覆で利用
することができず割高な耐火被覆を施さねばならないた
め建設コストを高くするとともに建築物の利用空間を狭
くし、経済効率を低下させているという課題がある。
一方モリブデン鋼及びクロムモリブデン鋼マグ溶接フ
ラックス入りワイヤ(JIS Z 3318)に示された耐熱鋼用
ワイヤによれば、高温特性は良好であるが価格が非常に
高く溶接施工面での利用が困難である。また近年建築物
の高層化が進み設計技術の向上とその信頼性の高さから
耐火設計について見直しが行われ、昭和62年建築物の新
耐火設計法が制定されるに至り前述の350℃の温度制限
によることなく溶接部の高温強度と建物に実際に加わる
荷重により耐火被覆の能力を決定できるようになり場合
によっては無被覆で使用することも可能になった。しか
しながら耐火性能の優れた溶接金属が得られるワイヤは
現在はない。
ラックス入りワイヤ(JIS Z 3318)に示された耐熱鋼用
ワイヤによれば、高温特性は良好であるが価格が非常に
高く溶接施工面での利用が困難である。また近年建築物
の高層化が進み設計技術の向上とその信頼性の高さから
耐火設計について見直しが行われ、昭和62年建築物の新
耐火設計法が制定されるに至り前述の350℃の温度制限
によることなく溶接部の高温強度と建物に実際に加わる
荷重により耐火被覆の能力を決定できるようになり場合
によっては無被覆で使用することも可能になった。しか
しながら耐火性能の優れた溶接金属が得られるワイヤは
現在はない。
本発明の目的は600℃での高温特性が優れ、かつ衝撃
靭性も良好で、耐候性を有する溶接金属が得られるワイ
ヤを提供することにある。
靭性も良好で、耐候性を有する溶接金属が得られるワイ
ヤを提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明の要旨は下記のとおりである。
(1) 鋼製外皮の腔部にワイヤ全重量に対して金属弗
化物を1.0〜10.0%(wt%:以下同じ),脱酸剤を1.0〜
6.0%,その他、鉄粉,スラグ生成剤,アーク安定剤,
不可避的不純物からなるフラックスをワイヤ全重量に対
して8〜25%充填してなるガスシールドアーク溶接用フ
ラックス入りワイヤにおいて、鋼製外皮と充填フラック
スの一方又は両方においてワイヤ全重量に対して Mo:0.10〜0.50%, Nb:0.005〜0.025% を含有し、(0.5Mo+10Nb)が0.1〜0.4%であることを
特徴とする耐火鋼用ガスシールドアーク溶接用フラック
ス入りワイヤ。
化物を1.0〜10.0%(wt%:以下同じ),脱酸剤を1.0〜
6.0%,その他、鉄粉,スラグ生成剤,アーク安定剤,
不可避的不純物からなるフラックスをワイヤ全重量に対
して8〜25%充填してなるガスシールドアーク溶接用フ
ラックス入りワイヤにおいて、鋼製外皮と充填フラック
スの一方又は両方においてワイヤ全重量に対して Mo:0.10〜0.50%, Nb:0.005〜0.025% を含有し、(0.5Mo+10Nb)が0.1〜0.4%であることを
特徴とする耐火鋼用ガスシールドアーク溶接用フラック
ス入りワイヤ。
(2) 付加成分としてTi:0.05〜0.35%, B:0.005〜0.015% の1種又は2種を鋼製外皮と充填フラックスの一方又は
両方に含有してなる前項1記載の耐火鋼用ガスシールド
アーク溶接用フラックス入りワイヤ。
両方に含有してなる前項1記載の耐火鋼用ガスシールド
アーク溶接用フラックス入りワイヤ。
(3) 付加成分としてCu:0.20〜0.60%, Cr:0.30〜0.75%, Ni:0.05〜0.70% の1種又は2種以上を鋼製外皮と充填フラックスの一方
又は両方に含有してなる前項1又は2記載の耐火鋼用ガ
スシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
又は両方に含有してなる前項1又は2記載の耐火鋼用ガ
スシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
(作 用) 現在開発されている耐火鋼材は600℃での高温耐力が
常温時の70%以上となるよう成分設計され製造されてい
るので溶接部もこの耐火鋼材の高温耐力値以上を有すれ
ば建築物全体から見ても経済的であり、高価な金属元素
の添加量が微量ですみかつ溶接部の耐火被覆を薄くする
ことが可能になる。また火災荷重が小さい場合は、無被
覆で使用することができる。
常温時の70%以上となるよう成分設計され製造されてい
るので溶接部もこの耐火鋼材の高温耐力値以上を有すれ
ば建築物全体から見ても経済的であり、高価な金属元素
の添加量が微量ですみかつ溶接部の耐火被覆を薄くする
ことが可能になる。また火災荷重が小さい場合は、無被
覆で使用することができる。
本発明はこのような条件に合致する耐火性能の優れた
溶接部が得られるワイヤを開発した。
溶接部が得られるワイヤを開発した。
ここで本発明に係る特徴的な成分元素とその添加量に
ついて説明する。
ついて説明する。
本発明の特徴は、少量のMoとNbを複合添加し(0.5Mo
+10Nb)の和を0.1〜0.4%に限定することにある。
+10Nb)の和を0.1〜0.4%に限定することにある。
Nb,Moは微細な炭窒化物を形成しさらにMoは固溶体強
化によって高温強度を増加させるが、Mo単独添加では60
0℃という高温領域においては十分な耐力を得ることが
難しい。本発明者らは各種試作ワイヤによる試験研究の
結果、該高温領域における耐力増加にはNbとMoを複合添
加させることが極めて有効であることを見いだした。し
かしNb,Mo量が多すぎると溶接性が悪くなるとともに靭
性が劣化するのでNb,Mo含有量の上限はそれぞれ0.025
%,0.50%とする必要があり、また下限は複合効果が得
られる最少量としてそれぞれ0.005%,0.10%を含有せし
める。
化によって高温強度を増加させるが、Mo単独添加では60
0℃という高温領域においては十分な耐力を得ることが
難しい。本発明者らは各種試作ワイヤによる試験研究の
結果、該高温領域における耐力増加にはNbとMoを複合添
加させることが極めて有効であることを見いだした。し
かしNb,Mo量が多すぎると溶接性が悪くなるとともに靭
性が劣化するのでNb,Mo含有量の上限はそれぞれ0.025
%,0.50%とする必要があり、また下限は複合効果が得
られる最少量としてそれぞれ0.005%,0.10%を含有せし
める。
Nb,Mo量は前述する範囲内において(0.5Mo+10Nb)の
和が0.1〜0.4%の場合に600℃での高温耐力が耐火鋼材
と同等かそれ以上の強度を示すとともに衝撃靭性が良好
になるので(0.5Mo+10Nb)の和を0.1〜0.4%の範囲に
限定した。Nb,Moの添加方法は外皮、フラックスの一方
又は両方に添加しても良い。なお、高温強度を高めるた
めにはMoを利用することは従来の耐熱鋼用ワイヤでは知
られているが、建築用に用いるワイヤとして微量Moに加
えてNbを複合添加した耐火鋼溶接用フラックス入りワイ
ヤは知られていない。
和が0.1〜0.4%の場合に600℃での高温耐力が耐火鋼材
と同等かそれ以上の強度を示すとともに衝撃靭性が良好
になるので(0.5Mo+10Nb)の和を0.1〜0.4%の範囲に
限定した。Nb,Moの添加方法は外皮、フラックスの一方
又は両方に添加しても良い。なお、高温強度を高めるた
めにはMoを利用することは従来の耐熱鋼用ワイヤでは知
られているが、建築用に用いるワイヤとして微量Moに加
えてNbを複合添加した耐火鋼溶接用フラックス入りワイ
ヤは知られていない。
つぎに前記ワイヤに加えてTi,Bを添加する理由を説明
する。
する。
TiはTi酸化物を形成し溶接金属のミクロ組織を微細化
し靭性改善に有効であるが、0.05%未満ではこの効果は
望めず下限を0.05%とする。また0.35%を越えると靭性
を著しく損なうので上限を0.35%とする。
し靭性改善に有効であるが、0.05%未満ではこの効果は
望めず下限を0.05%とする。また0.35%を越えると靭性
を著しく損なうので上限を0.35%とする。
Bは強力な脱酸性炭化物生成元素であるからこれをワ
イヤに添加することによって溶接金属における結晶核生
成作用が促進され柱状晶の成長が阻止されることにより
結晶粒は微細化する。又、溶接金属の焼入れ性を高める
効果が有りこのような効果を得るためには最小限0.005
%のB量が必要でそれ未満では効果がなく、多すぎると
溶接金属に高温割れが発生し易くなるので上限を0.015
%とする。なおTi,BもNb,Moと同様に外皮、フラックス
の一方又は両方に添加しても良い。
イヤに添加することによって溶接金属における結晶核生
成作用が促進され柱状晶の成長が阻止されることにより
結晶粒は微細化する。又、溶接金属の焼入れ性を高める
効果が有りこのような効果を得るためには最小限0.005
%のB量が必要でそれ未満では効果がなく、多すぎると
溶接金属に高温割れが発生し易くなるので上限を0.015
%とする。なおTi,BもNb,Moと同様に外皮、フラックス
の一方又は両方に添加しても良い。
以上が耐火性能を向上させる手段であるが本発明者ら
は更に耐火被覆しない無被覆で使用すること(利用分野
の拡大)を考え耐候性を合わせ持つことができないか検
討した。
は更に耐火被覆しない無被覆で使用すること(利用分野
の拡大)を考え耐候性を合わせ持つことができないか検
討した。
その結果、耐候性鋼用炭酸ガスアーク溶接フラックス
入りワイヤ(JIS Z 3320)のP,Wタイプの成分範囲であ
れば溶接のままでの強度はやや高いものの本発明の目的
である600℃での高温特性は十分満足することが確認で
きた。従ってCu:0.20〜0.60%,Cr:0.30〜0.75%,Ni:0.0
5〜0.70%の1種又は2種以上を鋼製外皮と充填フラッ
クスの一方又は両方に含有させることができる。なおCu
はワイヤ表面のメッキ成分として添加することもでき
る。
入りワイヤ(JIS Z 3320)のP,Wタイプの成分範囲であ
れば溶接のままでの強度はやや高いものの本発明の目的
である600℃での高温特性は十分満足することが確認で
きた。従ってCu:0.20〜0.60%,Cr:0.30〜0.75%,Ni:0.0
5〜0.70%の1種又は2種以上を鋼製外皮と充填フラッ
クスの一方又は両方に含有させることができる。なおCu
はワイヤ表面のメッキ成分として添加することもでき
る。
本発明では上記特性を踏まえ各成分の含有率を下記の
ように定めた。
ように定めた。
金属弗化物:1.0〜10.0% 金属弗化物はスラグ剤として溶接金属を被包しビード
形状を良好にするとともに溶融金属内の不純物を浮上さ
せて溶接金属を清浄化し靭性を向上させる。金属弗化物
としては、CaF2,MgF2,MnF2等が有効であるがアルカリ金
属弗化物のK2SiF6,NaF,Na2SiF6等を用いるとアークの安
定性が向上する。本発明ではこれらを1種又は2種以上
使用する。ワイヤ全重量に対する含有率が1.0%未満で
はこれらの効果が十分発揮されず、一方10.0%を越える
とアークが不安定となる他、スラグ生成量が過剰となり
溶接作業性を劣化させる。従って金属弗化物の添加量は
1.0〜10.0%の範囲とする。シールドガスとしてAr等を
混合させて使用する場合は、安価なCaF2のみでもスパッ
タの発生を減少させることができるので金属弗化物とし
てCaF2のみを用いることができる。しかしシールドガス
としてCO2ガスを用いる場合はCaF2のみではスパッタの
発生が多くなるのでアルカリ金属弗化物との併用が望ま
しい。
形状を良好にするとともに溶融金属内の不純物を浮上さ
せて溶接金属を清浄化し靭性を向上させる。金属弗化物
としては、CaF2,MgF2,MnF2等が有効であるがアルカリ金
属弗化物のK2SiF6,NaF,Na2SiF6等を用いるとアークの安
定性が向上する。本発明ではこれらを1種又は2種以上
使用する。ワイヤ全重量に対する含有率が1.0%未満で
はこれらの効果が十分発揮されず、一方10.0%を越える
とアークが不安定となる他、スラグ生成量が過剰となり
溶接作業性を劣化させる。従って金属弗化物の添加量は
1.0〜10.0%の範囲とする。シールドガスとしてAr等を
混合させて使用する場合は、安価なCaF2のみでもスパッ
タの発生を減少させることができるので金属弗化物とし
てCaF2のみを用いることができる。しかしシールドガス
としてCO2ガスを用いる場合はCaF2のみではスパッタの
発生が多くなるのでアルカリ金属弗化物との併用が望ま
しい。
脱酸剤:1.0〜6.0% 脱酸剤はその名の通り脱酸作用によって溶接金属中の
非金属介在物を減少し溶接金属の物性を高めるのに有効
な成分であり代表的なものとしてはSi,Mn,Al,Mg等の金
属あるいはこれらの鉄合金が挙げられる。脱酸剤がワイ
ヤ全重量に対して1.0%未満では脱酸不足となってX線
性能等が悪くなるので下限を1.0%とした。又6.0%を越
えると脱酸過剰となって溶接金属の靭性及び耐割れ性が
低下するので上限を6.0%とした。
非金属介在物を減少し溶接金属の物性を高めるのに有効
な成分であり代表的なものとしてはSi,Mn,Al,Mg等の金
属あるいはこれらの鉄合金が挙げられる。脱酸剤がワイ
ヤ全重量に対して1.0%未満では脱酸不足となってX線
性能等が悪くなるので下限を1.0%とした。又6.0%を越
えると脱酸過剰となって溶接金属の靭性及び耐割れ性が
低下するので上限を6.0%とした。
以上が必須成分であるが溶接能率の向上を目的として
鉄粉を添加する。又スラグ生成剤としてはスラグの粘性
を調整すると共にアーク安定剤としても効果があるSi
O2,Al2O3,CaO,TiO2,MnO,MgO,FeO,ZrO2等の酸化物が有効
である。アーク安定剤としてはアーク中で電離しやすい
物質例えばLi,Na,K,Ca,Sr,Ba等の酸化物、弗化物、炭酸
塩等を必要に応じて添加することができる。
鉄粉を添加する。又スラグ生成剤としてはスラグの粘性
を調整すると共にアーク安定剤としても効果があるSi
O2,Al2O3,CaO,TiO2,MnO,MgO,FeO,ZrO2等の酸化物が有効
である。アーク安定剤としてはアーク中で電離しやすい
物質例えばLi,Na,K,Ca,Sr,Ba等の酸化物、弗化物、炭酸
塩等を必要に応じて添加することができる。
本発明ではフラックスの充填率をワイヤ全重量に対し
て8〜25%とする。8%未満では十分な量のスラグ生成
剤を含ませることができず良好な溶接作業性を得ること
ができない。一方25%を越えると逆にスラグ量が多くな
りすぎ溶接作業性を劣化させるとともにワイヤ製造時に
断線等のトラブルが多発する。
て8〜25%とする。8%未満では十分な量のスラグ生成
剤を含ませることができず良好な溶接作業性を得ること
ができない。一方25%を越えると逆にスラグ量が多くな
りすぎ溶接作業性を劣化させるとともにワイヤ製造時に
断線等のトラブルが多発する。
ワイヤの断面形状には何の制限もなく、2mmφ以下の
細径の場合は比較的単純な円筒状のものが又、2.4〜3.2
mmφ程度の太径のワイヤの場合は靭材を内部に複雑に折
り込んだ構造のものが一般的である。又シームレスワイ
ヤにおいては表面にCu等のメッキ処理を施すことも有効
である。
細径の場合は比較的単純な円筒状のものが又、2.4〜3.2
mmφ程度の太径のワイヤの場合は靭材を内部に複雑に折
り込んだ構造のものが一般的である。又シームレスワイ
ヤにおいては表面にCu等のメッキ処理を施すことも有効
である。
(実施例) 第1表に試験に用いた代表的な耐火鋼材を、第2表に
試験に用いた鋼製外皮成分を、第3表に耐火鋼溶接用フ
ラックス入りワイヤの成分構成を、第4表に溶接作業性
と機械的性能の調査結果を示す。No.1〜16は本発明例
で、No.17〜24が比較例である。
試験に用いた鋼製外皮成分を、第3表に耐火鋼溶接用フ
ラックス入りワイヤの成分構成を、第4表に溶接作業性
と機械的性能の調査結果を示す。No.1〜16は本発明例
で、No.17〜24が比較例である。
いずれのワイヤも1.2mmφに仕上げ、溶接作業性の調
査要領は、鋼種JIS SM−41B 12.7tを用いビードオンプ
レートで実施し、溶接条件は電流270A、電圧29V、シー
ルドガス80%Ar−20%CO2とした。機械的性能の調査要
領は、板圧25mmの第1表に示す鋼板を用い開先はJIS開
先、溶接条件は前述の溶接作業性調査要領の条件と同じ
にした。
査要領は、鋼種JIS SM−41B 12.7tを用いビードオンプ
レートで実施し、溶接条件は電流270A、電圧29V、シー
ルドガス80%Ar−20%CO2とした。機械的性能の調査要
領は、板圧25mmの第1表に示す鋼板を用い開先はJIS開
先、溶接条件は前述の溶接作業性調査要領の条件と同じ
にした。
第4表の調査結果からも明らかなように本発明例ワイ
ヤNo.1〜16はすべて良好な常温及び高温強度を有すると
ともに衝撃靭性も高い値を示し溶接作業性も良好であ
る。これに対し比較例ワイヤNo.17はワイヤ成分の構成
は本発明例内であるが充填率が低いためにスラグの被包
性が悪くアークが不安定となった。又No.21とNo.24は金
属弗化物の量が多すぎてスラグ生成量が過剰となりメタ
ルが垂れ易く溶接作業性が悪化し機械的性能も悪い。N
o.18,19,20,22,23は悉く常温での強度が高すぎたりある
いは高温強度が不足し衝撃靭性値も低く耐火鋼用ワイヤ
としては不適である。
ヤNo.1〜16はすべて良好な常温及び高温強度を有すると
ともに衝撃靭性も高い値を示し溶接作業性も良好であ
る。これに対し比較例ワイヤNo.17はワイヤ成分の構成
は本発明例内であるが充填率が低いためにスラグの被包
性が悪くアークが不安定となった。又No.21とNo.24は金
属弗化物の量が多すぎてスラグ生成量が過剰となりメタ
ルが垂れ易く溶接作業性が悪化し機械的性能も悪い。N
o.18,19,20,22,23は悉く常温での強度が高すぎたりある
いは高温強度が不足し衝撃靭性値も低く耐火鋼用ワイヤ
としては不適である。
(発明の効果) 以上の実施例からも明らかなように、本発明に従い、
鋼製外皮と充填フラックスの一方又は両方にMo,Nbを複
合添加することにより、得られる溶接金属の高温特性を
改善でき、又これに加えてTi,Bを添加することにより、
溶接金属の衝撃靭性をも向上させることができる。更に
Ni,Cr,Cuを添加することにより、溶接金属に耐候性を付
与することができ、耐火被覆せずに無被覆で使用でき、
溶接施工時の溶接作業性も良好で溶接部への耐火施工に
かかるコストを大幅に引き下げること可能である。
鋼製外皮と充填フラックスの一方又は両方にMo,Nbを複
合添加することにより、得られる溶接金属の高温特性を
改善でき、又これに加えてTi,Bを添加することにより、
溶接金属の衝撃靭性をも向上させることができる。更に
Ni,Cr,Cuを添加することにより、溶接金属に耐候性を付
与することができ、耐火被覆せずに無被覆で使用でき、
溶接施工時の溶接作業性も良好で溶接部への耐火施工に
かかるコストを大幅に引き下げること可能である。
従って、本発明のガスシールドアーク溶接用フラック
ス入りワイヤは産業上極めて有用である。
ス入りワイヤは産業上極めて有用である。
Claims (3)
- 【請求項1】鋼製外皮の腔部にワイヤ全重量に対して金
属弗化物を1.0〜10.0%(wt%:以下同じ),脱酸剤を
1.0〜6.0%,その他、鉄粉,スラグ生成剤,アーク安定
剤,不可避的不純物からなるフラックスをワイヤ全重量
に対して8〜25%充填してなるガスシールドアーク溶接
用フラックス入りワイヤにおいて、鋼製外皮と充填フラ
ックスの一方又は両方においてワイヤ全重量に対して Mo:0.10〜0.50%, Nb:0.005〜0.025% を含有し、(0.5Mo+10Nb)が0.1〜0.4%であることを
特徴とする耐火鋼用ガスシールドアーク溶接用フラック
ス入りワイヤ。 - 【請求項2】付加成分としてTi:0.05〜0.35%, B:0.005〜0.015% の1種又は2種を鋼製外皮と充填フラックスの一方又は
両方に含有してなる請求項1記載の耐火鋼用ガスシール
ドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。 - 【請求項3】付加成分としてCu:0.20〜0.60%, Cr:0.30〜0.75%, Ni:0.05〜0.70% の1種又は2種以上を鋼製外皮と充填フラックスの一方
又は両方に含有してなる請求項1又は2記載の耐火鋼用
ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3895889A JP2687006B2 (ja) | 1989-02-18 | 1989-02-18 | 耐火鋼用ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3895889A JP2687006B2 (ja) | 1989-02-18 | 1989-02-18 | 耐火鋼用ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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