JP2971234B2 - 高Crオーステナイト系ステンレス鋼ガスシールドアーク溶接用ワイヤ及び被覆アーク溶接棒 - Google Patents

高Crオーステナイト系ステンレス鋼ガスシールドアーク溶接用ワイヤ及び被覆アーク溶接棒

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JP2971234B2
JP2971234B2 JP5940292A JP5940292A JP2971234B2 JP 2971234 B2 JP2971234 B2 JP 2971234B2 JP 5940292 A JP5940292 A JP 5940292A JP 5940292 A JP5940292 A JP 5940292A JP 2971234 B2 JP2971234 B2 JP 2971234B2
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晃 遠山
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高Crオーステナイト系
ステンレス鋼のガスシールドアーク溶接用ワイヤ及び被
覆アーク溶接棒に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
国内外で開発が進められている石炭焚き火力プラントで
は、蒸気条件の高温高圧化のため、従来の18Cr−8
Ni系ステンレス鋼よりも高クリープ強度の耐熱鋼が要
求されており、20〜25Crオーステナイト系ステン
レス鋼が開発されている。
【0003】しかしながら、従来、溶接材料において
は、高温特性を改良した19Cr−11.5Ni−0.1C
系のステンレス鋼の溶接用ワイヤ及び被覆アーク溶接棒
が開発されているものの、前述の如き、更なる高温高圧
化の環境変化に対応し得る材料の溶接に対しては、十分
な性能を有する溶接材料は未だ開発されていないのが現
状である。
【0004】本発明は、かゝる要請に応えるべく、上述
の高温高圧の条件下で使用される材料である高Crオー
ステナイト系ステンレス鋼の溶接材料を提供することを
目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
高Crオーステナイトステンレス鋼、特に20〜25Cr
系溶接用の材料として、クリープ特性の優れた溶接材料
を見い出すべく鋭意研究を重ねた結果、ここに本発明を
完成したものである。
【0006】すなわち、本発明は、C:0.02〜0.1
%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.5〜2.5%、Ni:1
3.00〜18.00%、Cr:20.00〜25.00%、
Nb:0.2〜1.5%、N:0.01〜0.20%を含有
し、かつ、不純物としてP≦0.010%、S≦0.00
5%、Al≦0.010%、Ti≦0.010%、B≦0.
0010%、O≦0.010%に抑制すると共に、Zr、
Mgの1種又は2種をZr≦0.10%、Mg≦0.10
%、Zr+Mg≦0.10%に抑制し、残部がFe及び他の
不純物からなることを特徴とする高Crオーステナイト
系ステンレス鋼ガスシールドアーク溶接用ワイヤを要旨
とするものである。
【0007】また、他の本発明は、被覆剤全重量に対し
て、金属炭酸塩:10〜45%、金属弗化物:5〜50
%、SiO2に換算したSi化合物:1〜10%、TiO2
換算したTi化合物:1〜15%、REM:0.5〜5%、
金属粉末≦20%を主成分とする被覆剤を、上記化学成
分のワイヤを心線としてその周囲に塗布してなることを
特徴とする高Crオーステナイト系ステンレス鋼被覆ア
ーク溶接棒を要旨とするものである。
【0008】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0009】
【作用】
【0010】まず、本発明のガスシールドアーク溶接用
ワイヤにおける心線の化学成分を限定した理由について
説明する。
【0011】C:0.02〜0.1% Cは耐食性を低下させる成分であり、0.1%を超える
と粒界腐食を引き起こし好ましくない。しかし、0.0
2%未満ではクリープ破断強度が低下してしまう。よっ
て、C量は0.02〜0.1%の範囲とする。
【0012】Si:0.1〜1.0% Siは脱酸剤として、また、溶融金属の流動性を改善し
てビードのなじみを良くする成分である。しかし、0.
1%未満ではその効果がなく、また1.0%を超えると
高温割れ感受性が高くなる。よって、Si量は0.1〜
1.0%の範囲とする。好ましくは0.6%以下である。
【0013】Mn:0.5〜2.5% Mnは脱酸剤として、また、Sと結合してMnSとなり、
Sの高温割れへの影響を低減するのに有効な成分であ
る。しかし、0.5%未満ではその効果がなく、また2.
5%を超えて添加しても、その効果が飽和し、それ以上
の改善が認められない。よって、Mn量は0.5〜2.5
%の範囲とする。
【0014】Ni:13.00〜18.00% Niは母材と同等の耐食性を持たせるため、少なくとも
14.00%以上が必要である。しかし、高価な成分で
あることから添加量増加に伴い製造コストが割高にな
る。よって、Ni量は13.00〜18.00%の範囲と
する。
【0015】Cr:20.00〜25.00% Crは母材と同等の耐食性、耐酸化性を持たせるため、
少なくとも20.00%以上が必要である。しかし、過
度のCr添加はδフェライトの形成を促進し、熱間加工
性を著しく低下させることから溶接用ワイヤ及び心線の
製作が困難になる。よって、Cr量は20.00〜25.
00%の範囲とする。
【0016】Nb:0.2〜1.5% NbはCの約8〜10倍添加することにより、耐粒界腐
食性を改善する効果がある。しかし、強力なフェライト
生成元素であることから、過度に添加すると、Crと同
様、熱間加工性を劣化させ、溶接用ワイヤ及び心線の製
作が困難になる。よって、Nb量は0.2〜1.5%の範
囲とする。
【0017】N:0.01〜0.20% Nはクリープ強度を向上させる作用があるため、0.0
1%以上が必要である。しかし、0.20%を超えて過
度に添加すると、Crと窒化物を作り、耐食性に有効に
作用するCr量を減少させることから、N量は0.01〜
0.20%の範囲とする。
【0018】以上の成分を必須成分とするが、不純物は
可及的に少ないことが好ましく、特に以下の元素の含有
量を抑制する必要がある。
【0019】P≦0.010%、S≦0.005% P、Sはいずれも耐高温割れ性に対して有害な成分であ
ることから、P≦0.010%、S≦0.005%に抑制
する。より好ましくは、P≦0.005%、S≦0.00
3%である。
【0020】Al≦0.010% Alは、0.010%を超えると溶融金属の流動性を著し
く阻害し、ビードのなじみを劣化させることから、Al
≦0.010%に抑制する。より好ましくはAl≦0.0
05%である。
【0021】Ti≦0.010% Tiは、0.010%を超えるとスラグ発生量を増加さ
せ、スラグ巻きなど溶接欠陥の原因となる。したがっ
て、Ti≦0.010%に抑制する。より好ましくはTi
≦0.005%である。
【0022】B≦0.0010% BはP、Sと同様に、耐高温割れ性に対して有害な成分
であることから、B≦0.0010%に抑制する。より
好ましくはB≦0.0005%である。
【0023】O≦0.010% Oは、0.010%を超えるとスラグ発生量を増加さ
せ、スラグ巻きなど溶接欠陥の原因となる。したがっ
て、O≦0.010%に抑制する。
【0024】Zr≦0.10%、Mg≦0.10%、Zr+
Mg≦0.10% Zr、Mgは、Tiと同様、スラグ発生量を増加させる成
分であることから、Zr≦0.10%又はMg≦0.10%
に抑制し、ZrとMgを同時に抑制する場合には、それぞ
れZr≦0.10%、Mg≦0.10%に抑制すると共にZ
r+Mg≦0.10%とする。
【0025】上記化学成分を有する溶接用ワイヤは、T
IG溶接、MIG溶接など種々のガスシールドアーク溶
接に利用できる。シールドガスの成分系及び組成も特に
制限されるものでないことは云うまでもない。
【0026】次に本発明の被覆アーク溶接棒の被覆剤の
限定理由について説明する。なお、成分量は被覆剤全重
量に対する重量%(以下、同じ)である。
【0027】金属炭酸塩:10〜45% 金属炭酸塩は、塩基性のスラグを形成し、溶接金属中の
P、S増加を抑制して耐高温割れ性を改善する作用があ
る。また、分解生成により生じたCO2ガスにより溶接
アークを大気からシールドすることで、ピット、ブロー
ホールなどの溶接欠陥を防止する作用もある。しかし、
10%未満ではその効果がなく、また45%を超えると
アーク安定性が劣化することから、金属炭酸塩の量は1
0〜45%の範囲とする。なお、金属炭酸塩としては炭
酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸
リチウム、炭酸ストロンチウムなどがあり、それらの1
種又は2種以上を用いることができる。
【0028】金属弗化物:5〜50% 金属弗化物は、スラグに適度な流動性を与え、ビード止
端を滑らかにする作用があり、融合不良やスラグ巻き込
みなどの溶接欠陥の低減に効果がある。しかし、5%未
満ではその効果がなく、また50%を超えるとアークが
不安定となる。したがって、金属弗化物の量は5〜50
%の範囲とする。なお、金属弗化物としては、弗化カル
シウム、弗化マグネシウム、弗化バリウム、弗化リチウ
ム、弗化ストロンチウム、弗化ソーダ、ケイ弗化カリ、
氷晶石などがあり、それらの1種又は2種以上を用いる
ことができる。
【0029】SiO2に換算したSi化合物:1〜10% Si化合物は、アーク安定剤、スラグ生成剤として有効
である。しかし、1%未満ではスラグの焼き付きが発生
し易くなり、スラグ巻き込みの原因となる。また、10
%を超えるとアーク安定性が損なわれることから、Si
化合物はSiO2に換算した量で1〜10%の範囲とす
る。なお、Si化合物としてはシリカ、ケイ砂、長石、
マイカ、珪酸ソーダ、珪灰石などがあり、それらの1種
又は2種以上を用いることができる。
【0030】TiO2に換算したTi化合物:1〜15% Ti化合物は、アーク安定剤、スラグ生成剤として有効
である。しかし、1%未満ではスラグの焼き付きが発生
し易くなり、スラグ巻き込みの原因となる。また、15
%を超えるとアーク安定性が損なわれるから、Ti化合
物はTiO2に換算した量で1〜15%の範囲とする。な
お、Ti化合物としてはルチール、チタン酸カリ、イル
ミナイト、白チタンなどがあり、それらの1種又は2種
以上を用いることができる。
【0031】REM:0.5〜5% REM(希土類元素)は、Sと結合して融点の高いREM
硫化物を作り、耐高温割れ性を改善する作用がある。し
かし、0.5%未満ではその効果がなく、また5%を超
えるとアーク安定性が損なわれることから、REMの量
は0.5〜5%の範囲とする。なお、REMとしては酸
化イットリウム、酸化セリウム、ミッシュメタルなどが
あり、それらの1種又は2種以上を用いることができ
る。
【0032】金属粉末≦20% 金属粉末は、溶接時の金属成分の酸化消耗分を補充した
り、心線成分の一部を被覆剤から添加する目的や、溶接
金属の機械的性能、耐食性の向上を図るために配合す
る。しかし、金属粉末が20%を超えた場合はアーク安
定性が損なわれることから、金属粉末の量は20%以下
とする。なお、金属粉末としては金属Mn、金属クロ
ム、金属ニッケル、Fe−Ti、Fe−Mn、Fe−Cr、
Fe−Nb、Fe−Siなどがあり、これらの1種又は2種
以上を用いることができる。
【0033】また、この被覆アーク溶接棒の心線として
は、上記ワイヤと同じ化学成分の鋼心線を用いるのが望
ましい。その理由は、被覆アーク溶接において被覆剤よ
り合金元素を多量に添加すると、溶接条件により被覆剤
より添加した合金元素の溶接金属への歩留りが変動し易
く、目標とする溶接金属の化学成分が安定して得られな
いためである。
【0034】なお、被覆剤の主成分は上記のとおりであ
るが、ジルコン酸化物、鉄粉などの他の成分は適宜添加
できることは云うまでもない。また、被覆剤の被覆率は
適宜決められるが、20〜40%が望ましい。心線成分
の一部を被覆剤に添加して同様の溶接金属を得ることも
可能である。
【0035】本発明の溶接材料が対象とする鋼は、高C
rオーステナイト系ステンレス鋼であり、特に20〜2
5Cr系に対して効果が顕著である。勿論、高温特性の
良い成分組成のものであれば、Crを主成分とし他の種
々の元素を添加したものが可能であることは云うまでも
ない。
【0036】次に本発明の実施例を示す。
【0037】
【実施例1】
【表1】 に示す最終化学成分を有するインゴットを製作し、これ
を溶接用ワイヤに加工した。これを溶接試験に供する前
に加工性について評価した。加工が容易な場合を○、加
工が極めて困難な場合を×として評価した。次に、この
溶接用ワイヤを用いてガスタングステンアーク溶接法
(溶接条件:
【表6】 )により全溶着金属を作成した。ビードのなじみ性、ス
ラグ発生量、耐割れ性、融合不良、スラグの巻き込みの
溶接欠陥を調べた結果を加工性と共に
【表2】 に示す。
【0038】なお、ビードのなじみ性は、極めて良好な
場合を◎、良好な場合を○、不良の場合を×として評価
した。また、スラグ発生量は、極めて少ない場合を◎、
少ない場合を○、多い場合を×として評価した。更に、
耐割れ性は、溶接時に割れが発生しなかった場合を○、
割れが発生した場合を×として評価した。融合不良、ス
ラグの巻き込みの溶接欠陥については、溶接終了後、J
IS Z 3106に定められた放射線透過試験を行い、
その等級が1級のものを○、1級でないものを×として
評価した。
【0039】表2より、本発明例は、いずれも、ビード
のなじみ性、スラグ発生量、耐割れ性、加工性が優れて
いることがわかる。特に本発明例のワイヤA、D、E、
FはTiが0.005%以下に抑制されているため、スラ
グ発生量が極めて少なかった。また、本発明例のワイヤ
B、C、EはAlが0.005%以下に抑制されているた
め、ビードのなじみ性が極めて良好であった。
【0040】一方、比較例のうち、ワイヤG〜Kについ
て検討してみると、ワイヤG、ワイヤHはそれぞれ、N
b、Crを多量に含むため、加工が極めて困難であった。
ワイヤIはSiが少なすぎ、またAlを過剰に含有してい
るため、ビードのなじみ性が不良であった。ワイヤJは
Si、Bが過剰なために割れが発生した。またTi、O、
Zr、Mgが過剰なためスラグ発生量が多く、スラグ巻き
が認められた。ワイヤKはP、Sが過剰であったため割
れが発生した。
【0041】
【実施例2】表1中の比較例Lに示す最終化学成分を有
するインゴットを製作し、これを溶接用ワイヤに加工し
た。次に、この溶接用ワイヤLを用いてガスタングステ
ンアーク溶接法(実施例1と同じ条件)により全溶着金属
を作成し、GL=30mm、外径6mmφのクリープ試験片
を作成した。また、実施例1の本発明例A〜Fで得られ
た全溶着金属からも同様にしてクリープ試験片を作成し
た。これらの試験片について650℃×30.0kgf/mm
2と650℃×22.0kgf/mm2の2条件でクリープ破断
試験を行い、クリープ破断時間を測定した。その試験結
果を図1に示す。この結果から、本発明例はいずれも、
従来溶接材料(ワイヤL)よりも飛躍的にクリープ破断時
間が延長されていることがわかる。
【0042】
【実施例3】表1中の本発明例(A〜F)に示す最終化学
成分を有するインゴットを製作し、これを被覆アーク溶
接用心線に加工した。心線寸法は直径3.2mmφとし
た。これらの被覆アーク溶接用心線と
【表3】 に示す組成の被覆剤とを組合せて被覆アーク溶接棒を作
成した。次にこれらの被覆アーク溶接棒を用いて
【表7】 に示す条件の溶接法により全溶着金属を作成した。アー
ク安定性、耐割れ性、ピット・ブローホールの有無、融
合不良、スラグの巻き込みの溶接欠陥について調べた結
果を
【表5】 に示す。
【0043】なお、アーク安定性は、良好な場合を○、
不良の場合を×として評価した。耐割れ性は、溶接時に
割れが発生しなかった場合を○、割れが発生した場合を
×として評価した。ピット・ブローホールの有無、融合
不良、スラグの巻き込みの溶接欠陥については、溶接終
了後、JIS Z 3106に定められた放射線透過試験
を行い、その等級が1級のものを○、1級でないものを
×として評価した。
【0044】表5において、本発明例No.1〜No.8
は、いずれもアーク安定性、耐割れ性に優れ、溶接欠陥
も認められなかった。一方、比較例No.9〜No.11に
ついて検討してみると、No.9は金属弗化物量が過剰な
ことからアークが不安定となり、TiO2換算値合計、S
iO2換算値合計がいずれも0であったことからスラグの
焼き付きが生じて、放射線透過試験においてスラグの巻
き込みが認められた。No.10は金属炭酸塩が過小なた
めシールド不良となり、放射線透過試験においてピット
が認められた。更に溶接金属中のP、Sを低減すること
ができなかったことに加えて、REM量が0だったた
め、高温割れが発生した。また金属粉末が過剰なことと
SiO2換算値合計が過剰であったためアーク安定性が不
良となった。No.11は金属炭酸塩、TiO2換算値合
計、REMが過剰なためにアーク安定性が不良となっ
た。また金属弗化物が過小であるためビード止端が滑ら
かにならず、放射線透過試験において融合不良が認めら
れた。
【0045】
【実施例4】
【表4】 に示す化学成分の心線(心線径:3.2mmφ)を用いて表
2中の比較例No.12に示す組成の被覆剤と組合せて被
覆アーク溶接棒No.12を作成した。次にこの被覆アー
ク溶接棒を用いて表7に示す条件の溶接法により全溶着
金属を作成し、GL=30mm、外径6mmφのクリープ試
験片を作成した。また、実施例3の本発明例No.1〜N
o.8で得られた全溶着金属からも同様にしてクリープ試
験片を作成した。これらの試験片について650℃×3
0.0kgf/mm2と650℃×22.0kgf/mm2の2条件で
クリープ破断試験を行い、クリープ破断時間を測定し
た。その試験結果を図2に示す。この結果から、本発明
例はいずれも、従来溶接材料No.12よりも飛躍的に破
断時間が延長されていることがわかる。
【0046】
【実施例5】
【表8】 に示す溶接棒を用いて、
【表9】 に示す溶接条件により溶接試験を行って試験板を作製し
た。母材としては
【表10】 に示す化学成分の高Crオーステナイト系ステンレス鋼
で図3に示す開先形状のものを用いた。X線透過試験、
曲げ試験(試験片寸法9.5mmt×10mmw×300mm
l)、引張試験(試験片寸法6mmφ:図4に示す位置より
採取)を行った結果をそれぞれ
【表11】
【表12】
【表13】 に示す。その結果、溶接金属は良好な継手性能を持つこ
とが確認された。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
高Crオーステナイト系ステンレス鋼の溶接、特に20
〜25Cr系の溶接において良好な溶接作業性と優れた
クリープ特性を持つ溶接材料を提供できる。特に石炭焚
き火力プラントのような高温高圧蒸気条件下で使用され
る鋼管の溶接に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で作成した全溶着金属の650℃×3
0.0kgf/mm2と650℃×22.0kgf/mm2の2条件で
のクリープ破断試験結果を示す図である。
【図2】実施例4で作成した全溶着金属の650℃×3
0.0kgf/mm2と650℃×22.0kgf/mm2の2条件で
のクリープ破断試験結果を示す図である。
【図3】実施例5に用いた母材の開先形状及び寸法を示
す図である。
【図4】引張試験片の採取位置を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 賢 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100−1株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 (72)発明者 田中真一 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100−1株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 (72)発明者 遠山 晃 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 南 雄介 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号日 本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭54−64038(JP,A) 特開 平1−233094(JP,A) 特開 昭58−6791(JP,A) 特開 昭63−13692(JP,A) 特公 昭61−9112(JP,B2) 特公 昭41−7939(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 35/30 B23K 35/36 - 35/368

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、C:0.02〜
    0.1%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.5〜2.5%、
    Ni:13.00〜18.00%、Cr:20.00〜25.0
    0%、Nb:0.2〜1.5%、N:0.01〜0.20%を
    含有し、かつ、不純物としてP≦0.010%、S≦0.
    005%、Al≦0.010%、Ti≦0.010%、B≦
    0.0010%、O≦0.010%に抑制すると共に、Z
    r、Mgの1種又は2種をZr≦0.10%、Mg≦0.10
    %、Zr+Mg≦0.10%に抑制し、残部がFe及び他の
    不純物からなることを特徴とする高Crオーステナイト
    系ステンレス鋼ガスシールドアーク溶接用ワイヤ。
  2. 【請求項2】 被覆剤全重量に対して、金属炭酸塩:1
    0〜45%、金属弗化物:5〜50%、SiO2に換算し
    たSi化合物:1〜10%、TiO2に換算したTi化合物:
    1〜15%、REM:0.5〜5%、金属粉末≦20%を
    主成分とする被覆剤を、請求項1に記載のワイヤを心線
    としてその周囲に塗布してなることを特徴とする高Cr
    オーステナイト系ステンレス鋼被覆アーク溶接棒。
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