JP2020164882A - 金属3dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤ - Google Patents

金属3dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】金属の溶着、積層による3次元造形による金属部品10の製造に使用したとき、造形した部品の熱変形,内部割れを抑制して均一な材質・金属組織や高靭性が得られる金属3Dプリンタ用の素材として好適で安価なオーステナイト系ステンレス鋼ワイヤを提供する。【解決手段】質量%で、C:0.1%以下、Si:4.0%以下、Mn:25.0%以下、S:0.0002〜0.4%、P:0.1%以下、Ni:30%以下、Cr:5.0〜35.0%、Mo:8.0%以下、Cu:5.0%以下、Mn+Ni+Cu:8.0〜30.0%、Nb+Ti+V:0.05〜2.0%、N:0.1%以下、O:0.03%以下、Al:5.0%以下であり、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学成分を有し、(a)式で表されるγ値が0%以下であることを特徴とする金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤである。【選択図】図1

Description

本発明は、金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤに関し、金属3Dプリンタ用素材として、積層による繰り返しの溶着・加熱・冷却においても十分な耐熱変形特性,均一な材料特性,耐内部割れ性,耐粒界腐食性や靭性に優れた信頼性の高い高耐久部品用とすることができる、オーステナイト系ステンレス鋼ワイヤに関するものである。
近年、金属3Dプリンタは革新的な生産技術として期待され、様々な技術が提案されている。主な技術方式として金属粉末を使用する場合と、金属ワイヤを使用する場合が提案されている。
金属粉末を使用する場合、例えば、SUS630の粉末を用いて電子ビームで照射して溶融固化させて3次元に積層する製造方法が開示されている(特許文献1)。また、SUS304,SUS316系の金属粉末とバインダーを3次元プリンティングし、その後、脱脂、焼結熱処理を行って部品を成型する製造方法が開示されている(特許文献2)。しかしながら、金属粉末を使用する場合、素材の価格が高く、空隙率が高いため部品の信頼性が低くなる。更に、バインダーを使用する場合、脱脂、焼結工程が必要になるばかりか焼結により大きな体積変化を生じるため部品寸法精度に誤差を生じ易い。また、靭性が低く衝撃を受ける構造部品等への適用ができない。
一方、金属ワイヤを使用する場合、例えば、金属ワイヤによる溶着ビードを積層して3次元部品に造形する方法が開示されている(特許文献3)。また、ステンレス鋼の金属ワイヤをアークやプラズマを制御して溶着し、3次元に積層させる製造方法が開示されている(特許文献4)。更に、ステンレス鋼の金属ワイヤを2つの堆積装置で溶着・積層させて堆積時の高熱による熱変形や応力、内部割れを低減する製造方法が開示されている(特許文献5)。加えて、複数のマルチワイヤによるアーク溶接による高効率な3次元積層造形に関する製造方法が開示されている(特許文献6)。金属ワイヤを溶着して3次元に積層する場合、寸法変動は抑制されるが、方法制御のみでは熱変形を十分には低減できない。更に、繰り返し積層による加熱・冷却により金属組織が変化し、材質が不均一になるという課題もある。特に、炭窒化物が析出し、鋭敏化を生じて耐食性(耐久性)劣化を引き起こす。また、繰り返し溶着・積層するため高い残留応力が残って靭性が低下する場合がある。
このように従来の3次元積層技術では、部品の寸法変動,熱変形,材質の不均一性、耐内部割れ性,耐粒界腐食性を抑制して高靭性の耐久性・信頼性の高い部品を得ることは難しい。
特開2018−176269号公報 特開2018−536770号公報 特開2003−266174号公報 特開2018−507317号公報 特開2018−87379号公報 特開2018−187679号公報
本発明の解決すべき課題は、金属の溶着、積層による3次元造形による金属部品の製造方法において、寸法変動を抑制できる金属ワイヤによる造形をベースとして、部品の耐久性・信頼性を向上し、部品の熱変形や内部割れを抑制して均一な材質,耐粒腐食性や高靭性が得られる、金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤであって、金属3Dプリンタ用の素材として好適で安価なオーステナイト系ステンレス鋼ワイヤを提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決するために種々検討した結果、金属ワイヤによる溶着、積層で3次元造形する3Dプリンタの製造方法において、Cr、Ni、Mn、Cuが含有して耐熱性,靭性と耐熱変形性に優れ、溶着時に安定的にほぼオーステナイト単相を得て内部割れを防止できるように成分調整されて材質均一性に優れ、Cr炭化物を抑制する安定化元素が添加されて耐粒界腐食性に優れる安価なオーステナイト鋼ワイヤを使用することで上記課題を解決する知見を得た。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)質量%で、
C:0.1%以下、
Si:4.0%以下、
Mn:25.0%以下、
S:0.0002〜0.4%、
P:0.1%以下、
Ni:30%以下、
Cr:5.0〜35.0%、
Mo:8.0%以下、
Cu:5.0%以下、
Mn+Ni+Cu:8.0〜30.0%、
Nb、Ti、Vの1種以上を合計で0.05〜2.0%、
N:0.1%以下、
O:0.03%以下、
Al:5.0%以下
であり、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学成分を有し、(a)式で表されるγ値が0%以下であることを特徴とする金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤ。
γ(%)=3Cr+Si+3Mo−3Ni−Mn−Cu−100C−50N−25・・・(a)
上記式中の元素記号は、当該元素の含有量(質量%)を意味する。
(2)更に質量%で、
Co:8.0%以下、
B:1.0%以下の内、1種類以上を含有することを特徴とする前記(1)に記載の金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤ。
(3)更に質量%で、
W:8.0%以下、
Sn:0.5%以下、
Sb:0.5%以下、
Au:0.5%以下、
In:0.5%以下の内、1種類以上を含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤ。
(4)更に質量%で、
Mg:0.02%以下、
Ca:0.02%以下、
Hf:0.02%以下、
REM:0.02%以下の内、1種類以上を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤ。
(5)更に質量%で、
Ta:2.0%以下、
Zr:2.0%以下の内、1種類以上を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載の金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤ。
(6)更に質量%で、
Bi:0.4%以下、
Pb:0.4%以下、
Ag:0.4%以下、
Se:0.4%以下、
Te:0.4%以下、
Zn:0.1%以下の内、1種類以上を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つに記載の金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤ。
本発明によれば、金属3Dプリンタの成型において、熱変形、耐内部割れ性、材質・金属組織均一性、耐応力腐食割れ性に優れ、部品の信頼性を向上させてコストを大幅に低減できる効果を発揮できる金属3Dプリンタ用のフェライト系ステンレス鋼ワイヤを提供できる。
金属3Dプリンタによ3次元造形した金属部品の斜視図である。
以下に本発明の各要件について説明する。なお、以下の説明における(%)は特に断りがない限り、質量(%)である。
本発明は、金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤを対象とする。金属3Dプリンタにより溶着積層造形を行って3次元造形を行う際、耐寸法変動と基本的な耐熱性(耐熱変形性)を確保することが必要である。金属ワイヤとしてCr,Mo,W含有のオーステナイト系ステンレス鋼ワイヤを用い、当該ワイヤによる溶着、積層造形をベースに考え、耐内部割れ性、材質均一性、耐粒界腐食性と耐応力腐食割れ性の確保のため低C,N等の成分を調整して繰り返し溶着、加熱、冷却されても安定的なフェライト単相組織が得られるように成分設計されたものであり、金属3Dプリンタ用の素材として好適である。
まず、本発明の金属ワイヤの必須成分組成について説明する。
C、Nは、溶着・積層時の結晶粒界へのCr炭窒化物の析出を抑制して鋭敏化防止し、且つ材質均一性や靭性を確保するため、それぞれ0.10%以下に限定する。好ましくは、0.06%以下である。C、Nは低いほど好ましく、下限を設けない。
Siは、溶着時の脱酸に有効であるが、過剰に添加すると繰り返しの溶着、加熱、冷却工程で結晶粒界へのCr炭窒化物の析出を促進して鋭敏化し、また、靭性が劣化する。そのため、4.0%以下に限定する。好ましくは、0.1%以上、2.0%以下である。
Mnは、溶着時の脱酸に有効であり、オーステナイト組織を安定的に得て材質均一性や靭性を確保するためにNi,Cuと合わせて添加する。しなしながら、25.0%を超えて過剰に添加するとその効果は飽和するばかりか靭性が逆に劣化し、内部割れも劣化する。そのため、25.0%以下に限定する。Mnは含有しなくても良い。好ましくは、0.2%以上、20%以下である。
Niは、オーステナイト組織を安定的に得て材質均一性や靭性を確保するためにMn,Cuと合わせて添加する。しなしながら、30%を超えて添加するとその効果は飽和するばかりか内部割れを助長する。そのため、30%以下に限定する。Niは含有しなくても良い。好ましくは1.0%以上、25%以下である。
Cuは、オーステナイト組織を安定的に得て材質均一性や靭性を確保するためにMn,Niと合わせて添加する。しなしながら、5.0%を超えて添加しても、その効果は飽和するばかりか内部割れを助長する。そのため、5.0%以下に限定する。Cuは含有しなくても良い。好ましくは0.05%以上、3.5%以下である。
Mn+Ni+Cuは、上記記載のようにオーステナイト組織を安定的に得て材質均一性や靭性を確保するために8.0%以上添加する。しかしながら、30.0%を超えて添加しても、その効果は飽和するばかりか内部割れを助長する。そのため、30.0%以下に限定する。好ましくは10.0〜25.0%以下である。Mn、Ni、Cuの1種以上を含有し、合計含有量が8.0%以上を満足すれば良い。
Sは、溶着時の湯流れ性を適度に確保して溶着金属を変形しないよう形状よく積層していくため、また、必要に応じてその後の機械加工時の切削加工性を向上させるため、0.0002%以上添加する。しかしながら、0.4%を超えて添加すると逆に湯流れ性が加速されて溶着時に変形し易いばかりか、靭性が劣化し、内部割れも発生しやすくなるため、上限を0.4%にする。好ましくは、0.0004〜0.10%である。
Pは、溶着時の靭性を確保し、内部割れを抑制するため0.1%以下に限定する。好ましくは、0.05%以下である。Pは低いほど好ましく、下限を設けない。
Crは、マトリックスに固溶することで耐熱性(耐熱変形)と耐食性(耐久性)を確保するために5.0%以上添加する。しかしながら、35.0%を超えて添加すると繰り返しの溶着、加熱、冷却工程時に短窒化物や金属間化合物が生成して材質均一性、耐粒界腐食性や靭性が劣化する。そのため、上限を35.0%に限定する。好ましくは、11.0〜28.0%である。
Moは,マトリックスに固溶することで耐熱性(耐熱変形)と耐食性(耐久性)を確保するために添加する。しなしながら、8.0%を超えて添加すると内部割れが発生し易くなる。そのため、上限を8.0%にする。好ましくは、0.05%以上、6.0%以下である。
Nb,Ti、Vは、繰り返しの溶着、加熱、冷却工程で結晶粒界へのCr炭窒化物の析出を抑制して鋭敏化や応力腐食割れを防止するために、Nb、Ti、Vの1種以上を合計で0.05%以上添加する。しかしながら、合計で2.0%を超えて添加すると靭性が劣化し、内部割れも発生する。そのため、上限を2.0%に限定する。好ましくは、Nb+Ti+Vが0.1〜1.5%である。
Oは、溶着時の湯流れ性を適度に確保して溶着金属を積層させるため、0.03%以下で含有させる。0.03%を超えて添加すると靭性が低下し、内部割れも発生しやすくなるため、上限を0.03%にする。好ましくは、0.001〜0.02%である。
Alは、耐熱性に有効であり、また、溶着時の脱酸に有効であるが、過剰に添加すると靭性が劣化し、内部割れも発生し易くなる。そのため、上限を5.0%にする。好ましくは、0.001〜2.5%である。
前記(a)式で表されるγ値は、溶着金属のオーステナイト組織の生成度合いを表し、γ値が0%以下であると、溶着金属が98%の面積率でほぼオーステナイト単相を示す。一方、0%を超えるとフェライト組織が生成して材質が不均一になるばかりか金属組織の界面に炭窒化物が析出して鋭敏化により耐粒界腐食性が低下する。そのため、(a)式で表されるγ値を0%以下に限定する。好ましくは、γ値が−2.0%以下である。
本発明の金属ワイヤは、選択的に以下の成分を含有すると好ましい。
Co、Bは、マトリックスの靭性を向上させるため、必要に応じて添加してもよい。しかしながら、Coが8.0%を超えて含有すると、繰り返しの溶着、加熱、冷却工程で金属間化合物が生成し、材質均一性が劣化する。そのため、Coの上限を8.0%にする。
また、Bが1.0%を超えて含有すると靭性が劣化し、内部割れが発生し易くなる。そのため、Bの上限を1.0%に限定する。好ましくは、Co:4.0%以下、B:0.3%以下である。
W、Sn、Sb、Au、Inは、マトリックスの耐食性を向上させるため、必要に応じて添加してもよい。しなしながら、Wは8.0%を超えて、Sn,Sb、Au、Inは0.5%を超えて添加すると内部割れが発生し易くなる。そのため、Wの上限を8.0%、Sn,Sn,Au,Inの上限を0.5%にする。好ましくは、Wの上限は6.0%、Sn、Sb、Au、Inの上限は0.4%以下である。
Mg、Ca,Hf、REMは、溶着時の脱酸に有効であるため、必要に応じて添加してもよい。しかしながら、過剰に添加すると繰り返しの溶着工程で粗大な酸化物が形成して内部割れが発生し易くなる。そのため、それぞれ0.02%以下に限定する。好ましくは、0.01%以下である。
Ta、Zrは、繰り返しの溶着、加熱、冷却工程でマトリクスに微細な析出物を形成して耐熱性(耐熱変形性)を高めるため、必要に応じて添加しておよい。しかしながら、それぞれ2.0%を超えて添加すると粗大な析出物を形成して、内部割れを助長する。そのため、上限を2.0%にする。好ましくは、1.0%以下である。
Bi、Pb、Ag,Se、TeやZnは、3D造形後の切削加工性を付与するために、必要に応じて添加してもよい。しかしながら、Bi,Pb,Ag,Se,Teはそれぞれ0.4%を超えて、Znは0.1%を超えて含有すると、内部割れを助長する。そのため、Bi、Pb、Ag,Se、Teの上限を0.4%、Znの上限を0.1%にする。好ましくは、Bi,Pb,Ag,Se,Teは0.3%以下、Zeは0.1%以下である。
本発明の金属ワイヤの成分組成は、上述してきた元素以外は、Feおよび不可避的不純物からなる化学成分から構成される。
代表的な不可避的不純物としては、Ge,Na、Be、F、Ga等が挙げられ、通常、鉄鋼の製造プロセスで不可避的不純物として、0.01%以下の範囲で混入する場合がある。
また、任意添加元素について、代表的なものを上記(2)〜(6)で規定しているが、本明細書中に記載されていない元素であっても、本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。
本発明の金属ワイヤは、金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の用途に用いられる。即ち、金属3Dプリンタにより、金属ワイヤの溶着ビードを積層して3次元部品に造形する際に材料として用いる金属ワイヤを意味する。
以上説明した本発明によれば、寸法変動、熱変形を抑制し、材質・金属組織均一性、耐応力腐食割れ性や靭性に優れた金属3Dプリンタ用による溶着積層造形用の金属ワイヤであってオーステナイト系ステンレス鋼ワイヤを安価に提供できる。
45kgの真空溶解炉にて表1〜表3に示す化学組成の鋼を溶解し、熱間鍛造と熱間押し出しにより直径11mmの棒鋼に加工した。その後、伸線と焼鈍を繰り返し、直径1.0mmの金属ワイヤに試作した。表1〜表3において、空欄部は積極的に添加していないことを意味する。また、本発明範囲から外れる数値に下線を付している。
Figure 2020164882
Figure 2020164882
Figure 2020164882
そして、ロボットのMIGのアーク溶接機を使用して、上記試作した金属ワイヤを渦巻き状に連続して積層しつつ繰り返し溶着し、図1に示す積層方向2に積層することにより3次元造形し、図1に示すような、中空の四角柱1(金属部品10)(1辺;50mm、高さ80mm)を製造した。アークによる溶着条件として、Ar+3%酸素のシールドガスを用い、溶接電流200A、アーク電圧30V、溶接速度:200cm/分とした。
その後、製造した四角柱1について、熱変形(耐熱性)、内部割れ、内部空隙および材質・金属組織均一性を調査した。表4〜表5に調査結果について示す。
Figure 2020164882
Figure 2020164882
熱変形(耐熱性)は、繰り返し積層時の熱変形で発生する四角柱の側面の最大凹凸量を測定した。最大凹凸量が5mm以下であれば◎、5mm超10mm以下であれば〇、10mmを超える場合は×とした。本発明の金属ワイヤを使用した場合、評価結果は◎および〇であり、耐熱変形性に優れていた。
内部割れと内部空隙は、四角柱1の任意の10か所で積層方向に垂直な断面を検査対象面とし、切り出した試料を樹脂に埋め込み、検査対象面を研磨し、光学顕微鏡観察にて内部割れおよび空隙を観察した。検査対象面に内部割れ、空隙が存在する場合を×、存在しない場合を〇として評価した。本発明の金属ワイヤを使用した場合、評価結果は〇であり、耐内部割れ性や耐内部空隙性に優れていた。
材質均一性は、前記埋め込み・研磨した試料のうち、積層造形の最下面、1/4、1/2、3/4高さ最上面の5か所において、Hv硬さ(加重1kgf)を測定した。5か所のHVの最大と最小の差を硬さのばらつきΔHvとし、ΔHvが40以下であれば◎、40超80以下であれば〇とし、80を超える場合を×とした。
金属組織の均一性について、耐食性(耐久性)に悪影響を及ぼす炭窒化物および鋭敏化の存在を確認するため、前記埋め込み・研磨した試料について、JIS G 0571のエッチテストを行った。溝状組織が認められない場合を〇、溝状組織が認められる場合を×として評価した。
本発明の金属ワイヤを使用した場合、材料均一性、金属組織の均一性はともに評価結果は〇であり、材質・金属組織の均一性に優れていた。
靭性は、四角柱を任意の5か所からJIS Z 2242に規定サイズに従い、幅2.5mm,高さ10mm,長さ55mm(長さ方向と積層方向が一致)で、四角柱の面方向に深さ2mmのVノッチを切り出し、25℃の常温で衝撃試験を実施し、吸収エネルギーを測定した。衝撃値が100J/cm2以上であれば〇、100J/cm2未満であれば×として評価した。
本発明の金属ワイヤを使用した場合、〇であり、靭性に優れていた。
一方、比較鋼である実施例46〜84では、本発明の規定範囲を満たしておらず、所要の特性を満足していないことがわかる。
耐寸法変動性に優れる金属ワイヤによる金属3Dプリンタを用いた3次元部品の成型において、以上の各実施例から明らかなように、金属ワイヤの溶着ビードを積層して3次元部品に造形する際に、材料として本発明の金属ワイヤを用いることにより、熱変形、内部割れを安定的に抑制でき、材質・金属組織を均一化や靭性を確保でき、部品の信頼性を高めることができ、産業上極めて有用である。
1 四角柱
2 積層方向
10 金属部品

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C:0.1%以下、
    Si:4.0%以下、
    Mn:25.0%以下、
    S:0.0002〜0.4%、
    P:0.1%以下、
    Ni:30%以下、
    Cr:5.0〜35.0%、
    Mo:8.0%以下、
    Cu:5.0%以下、
    Mn+Ni+Cu:8.0〜30.0%、
    Nb、Ti、Vの1種以上を合計で0.05〜2.0%、
    N:0.1%以下、
    O:0.03%以下、
    Al:5.0%以下
    であり、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学成分を有し、(a)式で表されるγ値が0%以下であることを特徴とする金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤ。
    γ(%)=3Cr+Si+3Mo−3Ni−Mn−Cu−100C−50N−25 ・・・(a)
    上記式中の元素記号は、当該元素の含有量(質量%)を意味する。
  2. 更に質量%で、
    Co:8.0%以下、
    B:1.0%以下の内、1種類以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤ。
  3. 更に質量%で、
    W:8.0%以下、
    Sn:0.5%以下、
    Sb:0.5%以下、
    Au:0.5%以下、
    In:0.5%以下の内、1種類以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤ。
  4. 更に質量%で、
    Mg:0.02%以下、
    Ca:0.02%以下、
    Hf:0.02%以下、
    REM:0.02%以下の内、1種類以上を含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤ。
  5. 更に質量%で、
    Ta:2.0%以下、
    Zr:2.0%以下の内、1種類以上を含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤ。
  6. 更に質量%で、
    Bi:0.4%以下、
    Pb:0.4%以下、
    Ag:0.4%以下、
    Se:0.4%以下、
    Te:0.4%以下、
    Zn:0.1%以下の内、1種類以上を含有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の金属3Dプリンタによる溶着積層造形用の金属ワイヤ。
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