JP2017024053A - 金型補修溶接材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】金型補修溶接材料において、金型の耐ヒートチェック性及び金型の寿命を確保しつつ、溶接材料の積層性を向上させること。
【解決手段】本発明に係る金型補修溶接材料は、質量%で、C:0.10〜0.30%、Si:0.20〜0.50%、Mn:0.20〜0.50%、Cr:3.6〜6.0%、Mo:0.01〜1.5%、V:0.002〜0.80%、Al:0.001〜1.50%、残部Fe及び不可避的元素を含有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、金型補修溶接材料に関し、さらに詳しくは、ダイカスト金型を補修溶接するための金型補修溶接材料に関する。
アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、鉛等の金属もしくは合金を鋳造するためのダイカスト金型として、JIS SKD61(以下、単にSKD61とすることがある)に代表される熱間工具鋼が広く用いられている。上記金属のダイカストでは、金型への高温の溶湯の射出及び冷却が繰り返され、金型にヒートチェック等の亀裂や割れなどの損傷が生じる。金型表面にこのような損傷が生じると、その損傷が製品に転写されてしまう。そこで、ダイカスト金型の損傷箇所に対して、溶接による補修が行われる。
また、溶接による補修後の金型の耐ヒートチェック性を高めるためには、補修溶接材料が、母材である熱間工具鋼と同程度又はそれ以上に高い熱伝導率を有していることが必要である。補修溶接材料の熱伝導率が母材である熱間工具鋼の熱伝導率と隔たった低い値となっていると、金型を使用し続ける間に、補修溶接を施した部位が、ヒートチェックによって母材よりも早く割れてしまい、金型の寿命が短くなってしまう。
一方、金型の寿命という観点では、金型にヒートチェック等の亀裂や割れなどの損傷が生じた場合、そこを起点に亀裂や割れが進展して、いわゆる大割れになることを防止しなければならない。さらに、高温の溶融アルミやマグネシウムなどの溶湯が金型に接触することで、金型が少しずつ溶け出す溶損にも耐え得る必要がある。すなわち、ダイカスト金型の補修溶接材料自体にも、靭性、耐衝撃性、耐溶損性などの特性を持たせ、金型の寿命を確保しなければならない。
特開2001−245488
ヒートチェック等の亀裂や割れなどの損傷が激しい場合、金型の表面から深く亀裂が入り、高く(厚く)補修溶接を施す(この場合、肉盛溶接とも言う)必要がある。実際の作業現場では、金型に生じた亀裂ないし割れの箇所を補修溶接する場合、先ず亀裂ないし割れの箇所を取り除き、この箇所を埋めるように補修溶接を行う。また、鋳造設備の稼動率を上げるためには、短時間内で補修溶接の作業を終えなければならない。しかし、従来の溶接材料は、溶接時に金型表面で広がってしまい、何度も溶接を繰り返さなければならず、溶接時における溶接材料の厚さが確保しにくいという問題が指摘されていた。つまり、肉盛溶接において、溶接材料の積層性が悪いという問題があった。
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、金型補修溶接材料において、金型の耐ヒートチェック性及び金型の寿命を確保しつつ、溶接材料の積層性を向上させることである。
本発明者らは、鋭意検討した結果この課題を解決できることを見い出した。その具体的手段は以下の通りである。まず、第1の発明は、質量%で(以下、同じ)、
C:0.10〜0.30%、Si:0.20〜0.50%、Mn:0.20〜0.50%、Cr:3.6〜6.0%、Mo:0.01〜1.5%、V:0.002〜0.80%、Al:0.001〜1.50%、残部Fe及び不可避的元素からなり、ダイカスト金型の補修溶接部に用いられる金型補修溶接材料である。
次に、第2の発明は、上記した第1の発明に係る金型補修溶接材料であって、N:0.0003〜0.20%、Ti:0.01〜0.5%、Nb:0.01〜0.5%、Zr:0.01〜0.5%、Ta:0.01〜0.5%、から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする。
次に、第3の発明は、上記した第1の発明又は第2の発明に係る金型補修溶接材料であって、Co:0.10〜1.0%、W:0.10〜5.0%、から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする。
次に、第4の発明は、上記した第1の発明から第3の発明のいずれかの発明に係る金型補修溶接材料であって、Ni:0.30〜1.0%、Cu:0.30〜1.0%、から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする。
次に、第5の発明は、上記した第1の発明から第4の発明のいずれかの発明に係る金型補修溶接材料であって、S:0.01〜0.15、Ca:0.001〜0.15%、Se:0.03〜0.35%、Te:0.01〜0.35%、Bi:0.01〜0.50%、Pb:0.03〜0.50%から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする。
次に、第6の発明は、上記した第1の発明から第5の発明のいずれかの発明に係る金型補修溶接材料であって、溶接金属の溶接ままの硬さが42〜49HRCとなることを特徴とする。
次に、第7の発明は、上記した第1の発明から第6の発明のいずれかの発明に係る金型補修溶接材料であって、室温の熱伝導率が22〜35W/m・Kであることを特徴とする。
上記発明にかかる金型補修溶接用材料によると、C、Si、Mn、Cr、Mo、Vの含有量が最適化されていることにより、優れた硬さに加えて、従来の熱間工具鋼と比較して同等以上の熱伝導率を有する。また、金型の寿命確保に必要な靭性、耐衝撃性、耐溶損性などの特性にも優れる。さらに、上記元素に加え、Alが積極的に添加されていることにより、溶接時に溶接材料が金型表面(損傷を生じた箇所)で広がり過ぎてしまうことがなく、溶接材料の厚さを確保し得る。以上より、本発明に係る金型補修溶接材料によれば、金型の耐ヒートチェック性及び金型の寿命を確保しつつ、溶接材料の積層性を向上させることができる。
肉盛高さとAlの添加量との関係を示した図である。
本発明の一実施形態に係る金型補修溶接材料(以下、本金型補修溶接材料と言う)について詳細に説明する。本金型補修溶接材料は、溶解したアルミ合金を金型の隙間に流し込み凝固させて部品を製造する際に使用するダイカスト金型に用いられる。例えば、金型の材料としては、SKD61及びこの改良鋼を用いることができる。また、本金型補修溶接材料は、自動車のエンジンケースやミッションケースなどのアルミ製品を製造する際に用いる金型へ適用し得る。
本金型補修溶接材料は、以下のような元素を含有する。添加元素の種類、その成分範囲及びその限定理由は、以下の通りである。
なお、本金型補修溶接材料は、不可避的元素として、N:0.0003%未満、Ti:0.01%未満、Nb:0.01%未満、Zr:0.01%未満、Ta:0.01%未満、Co:0.10%未満、W:0.10%未満、Ni:0.30%未満、Cu:0.30%未満、S:0.01%未満、Ca:0.001%未満、Se:0.03%未満、Te:0.01%未満、Bi:0.01%未満、Pb:0.03%未満、P:0.05%未満、O:0.01%未満、B:0.001%未満、、Mg:0.02%未満、REM:0.10%未満を含むことがある。
C:0.10〜0.30%
Cは、溶接部の硬さを左右する重要な元素であり、0.10%未満では硬さが不十分となってしまう。逆に、0.30%を超えると硬さが硬くなり過ぎてしまい、溶接後の割れの懸念が高くなってしまう。従って、本発明ではCを0.10〜0.30%の範囲内で含有させる。
Si:0.20〜0.50%
Siは、軟化抵抗を高める上で有用な働きをなす元素である。アルミダイカスト金型の補修溶接に用いられる溶接材料の場合、軟化抵抗が小さいとアルミダイカスト金型にて鋳造を繰り返しているうちに、溶湯による加熱によって溶接部が軟化してしまう。而して溶接部が軟化してしまうとそこでヒートチェックが発生し易くなる。従って、本発明では軟化抵抗を高めるためにSi量を0.20%以上含有させる。一方、0.50%を超えて多量に含有させると熱伝導率が低下しヒートチェックが発生しやすくなる。従って、本発明ではSiを0.20〜0.50%の範囲内で含有させる。
Mn:0.20〜0.50%
Mnは、0.20%未満では硬さが不十分となり、0.20%未満に下げようとすると原材料の配合を考慮する必要があり、製造コストが高くなってしまう。
一方、0.50%を超えて含有させると逆に溶接部の硬さが硬くなり過ぎてしまう。また、Mnを0.50%以下に低くすることでベイナイトの生成を促進することができ、耐Al溶損性の向上が可能となる。さらに、Mnを低くすることで熱伝導率の向上にもつながる。従って、本発明ではMnを0.20〜0.50%の範囲内で含有させる。
Cr:3.0〜6.0%
Crは、3.6%未満では高温硬度が低くなり、耐ヒートチェック性が低下する。また、6.0%を超えて多量に含有させると熱伝導率が低下し、表層と内部との温度勾配が大きくなって発生する熱応力が高くなり、ヒートチェックが発生しやすくなる。従って、本発明ではCrを3.0〜6.0%の範囲内で含有させる。
Mo:0.01〜1.5%
Moは、軟化抵抗に対して有用な元素である。但し、0.01%未満では軟化抵抗に対する効果が小さいため、本発明では0.01%以上含有させる。また、1.5%を超えて添加すると溶解コストが高くなる。また、Moは1.5%を超えて添加すると破壊靭性値が低下し、大割れを生じやすくなるため、1.5%以下にする必要がある。従って、本発明ではMoを0.01〜1.5%の範囲内で含有させる。
V:0.002〜0.80%
Vは、VC析出により結晶粒粗大化を防止する役割(ピン止め効果)を果たす。0.002%未満ではVC析出量が少なく、ピン止め効果を得にくい。そこで、本発明では0.002%以上含有させる。また、V量が多いほどV炭化物が増加し、高温強度が向上する。しかし、Vが0.80%より多く添加した場合に粗大な炭化物が増え、シャルピー衝撃値が低下してしまうため、Vは0.80%以下にする必要がある。従って、本発明ではVを0.002〜0.80%の範囲内で含有させる。
Al:0.001〜1.50%
Alは、0.001%以上添加することにより、Alが置換型元素として働き、溶接時の湯が横に流れてしまうことが抑制できる。このため、金型表面に高く肉盛することができる。すなわち、肉盛溶接時の積層性が向上し、溶接の作業性が向上できる。また、窒化物形成元素であるAlを添加したことで、表層の窒化物量が増加し、溶接部分の表層の硬さを向上することができる。その結果、耐ヒートチェック性の向上を図ることができる。ただし、Alが1.50%を超えて添加すると、溶解コストが高くなる。また、熱伝導率の低下も生じてしまう。そのため、各元素の含有量は、上記の範囲とした。特に、耐ヒートチェック性の向上を図る場合には、Alは、0.002〜0.01%とすることが好ましい。
N:0.0003〜0.20%、Ti:0.01〜0.5%、Nb:0.01〜0.5%、Zr:0.01〜0.5%、Ta:0.01〜0.5%
炭素又は窒素と結合し、炭化物、窒化物又は炭窒化物を形成し、結晶粒の粗大化を抑制に寄与する元素である。すなわち、析出物を生成し、オーステナイト結晶粒のピン止め粒子として働き、結晶粒粗大化を抑制する。また、微細粒となることで靭性を上げることができる。ただし、添加量が上記成分範囲以下では析出物の生成量が少なく、ピン止めの効果が表れない。一方、上記成分範囲を超えると析出物が凝集してしまい、ピン止め粒子として効かなくなってしまう。そのため、各元素の含有量は、上記の範囲とした。
Co:0.10〜1.0%、W:0.10〜5.0%
Co、Wを添加することで高温強度が高くなるが、必要以上に添加すると、コストが増加することや熱伝導率の低下につながる。そのため、各元素の含有量は、上記の範囲とした。
Ni:0.30〜1.0%、Cu:0.30〜1.0%
Cu、Niを添加することでパーライトの生成が遅延され、焼入れ性が向上するが、必要以上に添加すると、コストが高くなる。また、熱伝導率の低下につながる。さらに、Niについては残留オーステナイトの増長につながってしまう。そのため、各元素の含有量は、上記の範囲とした。
S:0.01〜0.15、Ca:0.001〜0.15%、Se:0.03〜0.35%、Te:0.01〜0.35%、Bi:0.01〜0.50%、Pb:0.03〜0.50%
S、Ca、Se、Te、Bi、Pbを添加することで溶接後の機械加工性が向上するが、入れ過ぎると溶接割れを促進してしまう。そのため、各元素の含有量は、上記の範囲とした。
本金型補修溶接材料は、溶接金属の溶接ままの硬さが42〜49HRCとなることが好ましい。金型の耐ヒートチェック性をより確保できるからである。ここで、「溶接まま」とは、溶接したままの状態で、溶接後に熱処理を施していない状態を言う。つまり、本金型補修溶接材料は、硬さを調質する溶接後の熱処理を省いた場合でも42〜49HRCの硬さが得ることができる。
本金型補修溶接材料は、室温の熱伝導率が22〜35W/m・Kであることが好ましい。熱伝導率が22W/m・K未満の低い場合には、ダイカスト鋳造時に金型の表面と内部の温度勾配が生じ、金型に発生する熱応力が高くなり、ヒートチェックが発生しやすくなる。35W/m・Kを超えた高い場合には、添加する合金元素を極端に減らす必要があるため、溶接ままで母材同等の硬さを出すことが困難となり、耐ヒートチェック性が悪くなってしまう。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
JIS SKD61の試験片を用意し、この試験片に対して、表1(発明例)、表2(比較例)に示す各種化学組成の溶接棒(φ1.6mm×1000mm)を用いてティグ溶接を行った。試験片は、予め焼入れ、焼戻し処理を2回行い、43HRCの硬さとした。なお、溶接材料(溶接棒)は、直径が0.2〜3.5mmであることが好ましい。0.2mmよりも直径が細いと溶接の際の熱が母材の方に多く加わって母材の溶融量が多くなり、溶接部の硬さを必要以上に硬くしてしまうことに繋がる。一方、3.5mmよりも太過ぎると溶接時の熱が溶接材料に奪われて母材側に十分加わらず、融合不良の原因となってしまう。
Figure 2017024053
Figure 2017024053
溶接条件は、Arをシールドガスとして、溶接棒をアーク内に挿入して加熱し、これを溶融させて溶接を行った。なお、溶接電流は、120A、溶接速度は、5cm/minの条件で行った。そして、溶接後の試験片を用いて、下記の各種試験を実施した。
<溶接後の組織観察>
30×30×15mmのSKD61の試験片を用いて、30×30mmの面に実施例と比較例をそれぞれ2層となる肉盛溶接した。その後、断面を切り出し、研磨および腐食を行い、肉盛溶接部のミクロ組織を観察し、ベイナイトの生成具合を比較した。視野の30%以上にベイナイトが認められないものを「○」、視野の10%以上にベイナイトが認められるものを「×」と評価した。
<耐Al溶損性評価>
Φ20×30mmの試験片のΦ20mmの面に実施例と比較例を15mm上に肉盛溶接を行い、その後に機械加工を施してΦ10×40mmの試験片を作成した。評価にはAl合金ADC12を用い、溶湯温度750℃で試験片を回転させた状態で、試験片のΦ10×10mm部分のみを30分間浸漬させ、浸漬前における浸漬前後の重量変化の割合を溶損率とした。耐Al溶損性としては、本試験条件における溶損率が35%未満を「○」、35%以上を「×」と評価した。
<積層性評価>
上記溶接後の組織観察に用いた試験片の断面から、母材に対する肉盛溶接部分の高さを測定し、積層性を評価した。溶接部分の高さが高くなるものを積層性が良いとし、本試験条件で積層性が3mm以上を「○」、3mm未満を「×」と評価した(クラックの深さとして長いもので3mmを想定した)。
<窒化特性評価>
金型を窒化した後の影響を確認するため、上記溶接後の組織観察と同様の方法で肉盛溶接を行い、溶接跡を平面研磨で除去後にガス窒化処理を施した。その試験片の断面を切り出して、研磨後、ビッカース硬さ試験を実施した。ガス窒化処理条件は、510℃の大気圧雰囲気中にNHガスを導入し、3時間保持後に冷却する条件を用いた。表層から20μm位置の硬さを表層硬さとして比較を行い、表層硬さが1100HV以上を「○」、1100HV未満を「×」と評価した。
<硬さ測定(溶接まま)>
30×30×15mmのSKD61の試験片を用いて、30×30mmの面に実施例と比較例を3mm肉盛溶接した。次に、試験片の表面を平面研磨し、溶接跡を除去した後のその表面に対し、ロックウェル硬さ試験を実施した。硬さが42〜49HRCになったものを「○」、それ以外を「×」と評価した。
<熱伝導率測定>
硬さ測定に用いた試験片において、溶接部分からΦ10×2mmを切り出し、熱伝導率測定用の試験片を作成した。熱伝導率はレーザーフラッシュ法で測定し、室温の熱伝導率を測定した。熱伝導率が22〜35W/m・Kになったものを「○」、それ以外を「×」と評価した。
<高温硬さ測定>
耐Al溶損性評価の試験片と同様の方法で肉盛溶接を行い、肉盛溶接部からΦ10×5mmの試験片を採取した。その試験片の表面を研磨後、試験片をヒーターにより加熱し、直接ビッカース圧痕をうち、その圧痕サイズからHV硬さを測定した。500℃時の高温硬さが300HV以上になったものを「○」、300HV未満を「×」と評価した。
<耐ヒートチェック性評価試験>
Φ62×50mmのSKD61試験片の上面に、実施例と比較例の2mmの肉盛溶接を行い、その後に平面研磨で溶接跡を除去および研磨で粗さを整えた試験片を用いた。耐ヒートチェック性の評価は、Φ62mmの面に対し、高周波加熱コイルを用いて7秒間で580℃まで上昇させ、その後に噴射水を用いて3秒間冷却し、エアブローで7秒間放冷させ、熱応力を負荷させた。この行程を1サイクルとし、溶接部分における25000サイクル時のヒートチェックの発生具合をカラーチェック(赤色)で評価した。発生具合を写真撮影し、視野の10%以上に赤色が認められなかった場合には「〇」、それ以外は「×」と評価した。
<結晶粒評価>
溶接後の組織観察に用いた試験片の切断面を研磨、腐食を行い、450mmの面積を観察し、その面積中にある最大粒径をJIS G 0551「鋼のオーステナイト結晶粒度試験方法」に規定されている粒度番号で表現し、結晶粒の粗大化の有無を評価した。本試験条件で粒度番号が4番以上を「○」、4番未満を「×」と評価した。
<シャルピー衝撃値評価>
100×15×30mmの試験片の2つを肉盛溶接で接合させ、その中央部が10mm×10mm×55mmのJIS 3号衝撃試験片のノッチ部分になるように試験片を採取し、シャルピー衝撃値を室温で測定した。衝撃値が大きいほど、金型となった場合に割れにくいため好ましく、本試験条件でシャルピー衝撃値が35J/cm以上を「○」、35J/cm未満を「×」と評価した。
<破壊靭性値評価>
シャルピー衝撃値の試験片採取と同様の方法で肉盛溶接を行い、ASTM E399(金属材料の線形弾性平面ひずみ破壊靭性KICのための標準試験方法)に準じて、試験片を採取し、予きれ裂を導入後に破壊靭性KIC(臨界応力拡大係数)を求め、本試験条件で破壊靭性値が25MPa・m0.5以上を「○」、25MPa・m0.5未満を「×」と評価した。
<溶接割れ評価>
耐ヒートチェック性の評価に用いたΦ62×50mmの試験片の研磨後の状態において、目視で溶接部分に割れがあるかを観察し、割れが見られないものは「○」、割れが有るものは「×」とした。
各種試験結果を表3〜表6に示す。
Figure 2017024053
Figure 2017024053
Figure 2017024053
Figure 2017024053
表1〜表6を比較すると、以下のことが分かる。すなわち、比較例1は、Cが0.30%超となっている。そのため、溶接部が硬くなりすぎて、硬さ測定、溶接割れ評価の試験結果が「×」となっている。なお、比較例1は、溶接割れ評価の試験で割れてしまったため、耐ヒートチェック性評価試験は、実施することができなかった。
また、比較例2は、Siが0.50%超となっている。そのため、熱伝導率測定、耐ヒートチェック性評価試験の試験結果が「×」となっている。
また、比較例3〜5は、Mnが0.50%超となっている。そのため、溶接後の組織観察、耐Al溶損性評価の試験結果が「×」となっている。
また、比較例6、7は、Crが3.6%未満となっている。そのため、高温硬さ測定、耐ヒートチェック性評価試験の試験結果が「×」となっている。
また、比較例8〜10は、Crが6.0%超となっている。そのため、熱伝導率測定、耐ヒートチェック性評価試験の試験結果が「×」となっている。
また、比較例11〜13は、Moが1.5%超となっている。そのため、破壊靭性値評価の試験結果が「×」となっている。
また、比較例14〜16は、Vが0.8%超となっている。そのため、結晶粒評価、シャルピー衝撃値評価の試験結果が「×」となっている。
また、比較例17は、Alが0.001%未満となっている。そのため、積層性評価、窒化特性評価の試験結果が「×」となっている。図1は、肉盛高さとAlの添加量との関係(積層性)を示した図である。図1を見ると、Alの添加により、溶接材料の積層性を向上し得ることがわかる。
上記比較例に対し、発明例は、いずれの試験結果においても良好な結果を得ている。上記結果から、金型の耐ヒートチェック性及び金型の寿命を確保しつつ、溶接材料の積層性を向上させることができる、と言える。
以上、本発明の実施形態、実施例について説明した。本発明は、これらの実施形態、実施例に特に限定されることなく、種々の改変を行うことが可能である。

Claims (7)

  1. 質量%で、
    C:0.10〜0.30%、
    Si:0.20〜0.50%、
    Mn:0.20〜0.50%、
    Cr:3.6〜6.0%、
    Mo:0.01〜1.5%、
    V:0.002〜0.80%、
    Al:0.001〜1.50%、
    残部Fe及び不可避的元素からなり、ダイカスト金型の補修溶接部に用いられる金型補修溶接材料。
  2. N:0.0003〜0.20%、
    Ti:0.01〜0.5%、
    Nb:0.01〜0.5%、
    Zr:0.01〜0.5%、
    Ta:0.01〜0.5%、
    から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の金型補修溶接材料。
  3. Co:0.10〜1.0%、
    W:0.10〜5.0%、
    から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の金型補修溶接材料。
  4. Ni:0.30〜1.0%、
    Cu:0.30〜1.0%、
    から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の金型補修溶接材料。
  5. S:0.01〜0.15、
    Ca:0.001〜0.15%、
    Se:0.03〜0.35%、
    Te:0.01〜0.35%、
    Bi:0.01〜0.50%、
    Pb:0.03〜0.50%
    から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の金型補修溶接材料。
  6. 溶接金属の溶接ままの硬さが42〜49HRCとなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の金型補修溶接材料。
  7. 室温の熱伝導率が22〜35W/m・Kであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の金型補修溶接材料。
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