JP2565998B2 - 耐火性に優れた全姿勢用低水素系被覆アーク溶接棒 - Google Patents

耐火性に優れた全姿勢用低水素系被覆アーク溶接棒

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JP2565998B2 JP64001007A JP100789A JP2565998B2 JP 2565998 B2 JP2565998 B2 JP 2565998B2 JP 64001007 A JP64001007 A JP 64001007A JP 100789 A JP100789 A JP 100789A JP 2565998 B2 JP2565998 B2 JP 2565998B2
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    • B23K35/22Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting characterised by the composition or nature of the material
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、建築、土木および海洋構造物等の分野にお
いて、各種建造物に用いる耐火性の優れた鋼の全姿勢用
低水素系被覆アーク溶接棒に関するものである。
[従来の技術] 一般建築、土木および海洋構造物などの分野における
各種の構造物用構築材として一般構造用圧延鋼材(JIS
G 3101)溶接構造用圧延鋼材(JIS G 3106)、溶接構造
用耐候性熱間圧延鋼材(JIS G 3114)高耐候性圧延鋼材
(JIS G 3125)一般構造用炭素鋼関(JIS G 3444)およ
び一般構造用角形鋼板(JIS G 3466)などが用いられ
る。
そして、これ等の鋼材に見合った被覆アーク溶接棒と
して軟鋼用被覆アーク溶接棒(JIS Z 3211)、高張力鋼
用被覆アーク溶接棒(JIS Z 3212)、低合金高張力鋼用
被覆アーク溶接棒(JIS Z 3213)および耐候性鋼用被覆
アーク溶接棒(JIS Z 3214)等が広く使用されているこ
とは周知のとおりである。
例えば特公昭60−36878号公報にはスパッタの発生量
を少なくした被覆アーク溶接棒が、特公昭54−4331号公
報には耐割れ性を向上させた被覆アーク溶接棒が開示さ
れている。
ところで、各種建造物のうち、特に生活に密着したビ
ルや事務所および住居などの建築物に前記被覆アーク溶
接棒を用いて構築した場合は、火災における安全性を確
保するため充分な耐火被覆を施すことが義務づけられて
おり、建築関係諸法令では、火災時に鋼材、溶接部温度
が350℃以上にならぬように規定している。これは350℃
程度で耐力が常温時の60〜70%に低下し、建築物の倒壊
を引き起こす恐れがあるためである。このため、鋼材、
溶接部の表面にスラグウール、ロックウール、ガラスウ
ール、アスベスト等を基材とする吹き付け材やフェルト
を貼着するほか、防火モルタルで包被する方法および前
記断熱材層の上に、さらに金属薄板即ちアルミニウムや
ステンレススチール薄板等で保護する方法等耐火被覆を
入念に施し、火災時における熱的損傷を防止するように
している。
そのため、溶接材料価格に比し耐火被覆施工費が高額
になり、建築コストが大幅に上昇することを避けること
が出来ない。
[発明が解決しようとする課題] 前述のように建築物に周知の被覆アーク溶接棒を利用
する場合、価格は安いが高温特性が低いため、鋼材、溶
接部の表面を軽被覆あるいは無被覆で利用することが出
来ず、割高な耐火被覆を施さねばならないため、建設コ
ストを高くすることと共に建築物の利用空間を狭くし、
経済効率を低下させているという問題がある。
一方、特開昭62−224493号公報や特開昭63−140797号
公報に開示された低合金耐熱鋼用被覆アーク溶接棒によ
れば、所謂、耐熱鋼の溶接に使用して効果的であるが価
格が非常に高く特に経済性を重要視する建築分野への利
用は非常に困難であり、ほとんど使用されていないのが
実状である。
また、近似建築物の高層化が進展し、設計技術の向上
とその信頼性の高さから、耐火設計について見直しが行
われ、昭和62年建築物の新耐火設計法が制定されるに至
り、前述の350℃の温度制限によることなく、鋼材、溶
接部の高温強度と建物の実際に加わってくる荷重によ
り、耐火被覆の能力を決定できるようになり、場合によ
っては無被覆で使用することも可能になった。
しかしながら、経済性に富み、耐火性の優れた溶接金
属を得るための被覆アーク溶接棒は現在存在しない。
本発明は以上のような状況に鑑みて600℃での高温特
性が良好でかつ溶接作業性に優れた被覆アーク溶接棒を
提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明は前述の課題を解消して目的を達成するもので
その要旨とするところは重量比で(1).金属炭酸塩30
〜60%,金属弗化物10〜30%,Si2〜10%,Mn2〜8%,Ni
0.05〜2.5%,Mo0.3〜2.5%,Nb0.02〜0.1%で(0.5Mo+1
0Nb)が0.4〜1.8%であり、残部は合金中の鉄、スラグ
生成剤、アーク安定剤および粘結剤からなる被覆剤を鋼
心線に被覆してなることを特徴とする耐火性の優れた鋼
の全姿勢用低水素系被覆アーク溶接棒と、(2).金属
炭酸塩30〜60%,金属弗化物10〜30%,Si2〜10%,Mn2〜
8%,Ni0.05〜2.5%,Mo0.3〜2.5%,Nb0.02〜0.1%で
(0.5Mo+10Nb)が0.4〜1.8%であり、Cu,Crの1種また
は2種の合計0.7〜3.0%であり、残部は合金中の鉄、ス
ラグ生成剤、アーク安定剤および粘結剤からなる被覆剤
を鋼心線に被覆してなることを特徴とする耐火性に優れ
た鋼の全姿勢用低水素系被覆アーク溶接棒にある。
[作用] 本発明者等は、火災時における溶接金属強度について
研究の結果、無被覆使用を目標とした場合、火災時の最
高到達温度が約1000℃であることから該温度で常温耐力
の70%以上の耐力を備えるためには、周知の被覆アーク
溶接棒に高価な金属元素を多量に添加せねばならず、実
際的に利用することが出来ない。
そこで、耐火性の優れた鋼材として現在開発されてい
るものは、600℃での高温耐力が常温時の70%以上とな
るよう成分設計され製造されている。
このため、溶接部もこの耐火性の優れた鋼材の高温耐
力以上を有すれば、建築物全体からみても安全かつ経済
的であることから、高価な添加元素の量を少なくし、さ
らに溶接部の耐火被覆を薄くすることが可能で、火災荷
重が小さい場合は、無被覆で使用することが出来る耐火
性能の優れた被覆アーク溶接棒を開発した。
本発明の特徴は、微量NbとMoを複合添加し、(0.5Mo
+10Nb)の和を0.4〜1.8%に限定することにある。
次に、本発明に係わる特徴的な成分元素とその添加量
について説明する。
Nb,Moは微細な炭窒化物を形成し、さらにMoは固溶体
強化によって高温強度を増加させるが、Mo単独添加では
600℃という高温領域において充分な耐力を得ることが
難しい。
本発明者らは、各種試作溶接棒による試験研究の結
果、該高温領域における耐力増加には、NbとMoを複合添
加させることが極めて有効なことを見出した。しかしな
がら、Nb,Mo量が多すぎると溶接金属の靭性が悪くな
り、さらに耐割れ性が劣化するのでNb,Mo含有量の上限
はそれぞれ0.1%、2.5%とする必要があり、また下限は
複合効果が得られる最小量としてそれぞれ0.02%、0.3
%を含有せしめる。
さらに、Nb,Mo量は前述する範囲内において、(0.5Mo
+10Nb)の和が0.4〜1.8%の場合に、600℃での高温耐
力が鋼材と同等かそれ以上の強度を示すと共に衝撃靭性
が良好になるので、(0.5Mo+10Nb)の和を0.4〜1.8%
の範囲に限定した。
なお、高温強度を上昇せしめるために、Moを利用する
ことは将来の耐熱鋼用被覆アーク溶接棒では知られてい
るが、建築用に用いる被覆アーク溶接棒として微量のNb
にMoを複合添加した耐火性に優れた鋼の全姿勢用低水素
系被覆アーク溶接棒は知られていない。
次に、本発明における前記Nb,Mo以外の成分限定理由
について詳細に説明する。
本発明において金属炭酸塩とはCaCO3,BaCO3,MgCO3
を指し、これ等は単独又は2種以上の復合で用いられ
る。その作用はガス発生剤としてアーク雰囲気を大気か
らシールドするが1種以上の合計が30%未満ではシール
ド不足を起こして溶接金属にブローホールが発生し易く
なり、また60%を超えるとスラグの流動性が不足して特
に立向上進溶接でのビート形状が乱れる。
本発明において金属弗化物とはCaF2,MgF2,AlF3などを
指し、スラグの溶融点を下げ流動性を高める。10%未満
では立向上進溶接でスラグの流動性が悪くビード形状が
乱れる。30%を超えて添加するとアークが不安定となり
アーク切れが生じるので不適当である。
SiおよびMnは脱酸剤あるいは合金剤として添加するが
Siが2%未満では脱酸不足となって溶接金属にブローホ
ールが生じやすくなり、10%を超えて添加すると溶接金
属中のSiが過剰となって衝撃じん性が悪くなるので不適
当である。
Mnは2%未満では衝撃じん性が悪くなる。8%こ超え
て添加すると溶接金属に高温割れが発生するので不適当
である。
Niは低温じん性の改善およびNb,Moの添加効果を発揮
させるために必要であり、0.05%未満の添加では安定し
たじん性が得られず、さらには強度確保が難しく、Nb,M
oの添加効果も薄れる。2.5%を超えると溶接金属の硬化
が著しく耐割れ性に悪影響を及ぼすので不適当である。
本発明においては、さらに耐候性を付与するためにCu
およびまたはCrを添加することができる。Cu,Crは耐候
性を良好にするために有効であり1種または2種の合計
が0.7%未満ではその効果は薄く、3%を超えて添加す
ると耐候性効果は維持されるが溶接金属の耐割れ性が劣
化するので不適当である。
本発明で使用する被覆剤の成分組成は上記成分の他に
通常の被覆アーク溶接棒同様合金中の鉄、SiO2などのス
ラグ生成剤、TiO2などのアーク安定剤、粘結剤(珪酸ソ
ーダや珪酸カリ)を加えたものである。
また、被覆される鋼心線の組成は通常の被覆アーク溶
接棒用心線すなわち、JIS G 3523に示されるものを使用
するが溶接金属強度を増すためにSiやMnなどの合金元素
を増加せしめた鋼心線を使用しても同効果が得られるこ
とを実験的に確かめている。
[実 施 例] 第1表に試験に用いた耐火性に優れた鋼の代表的な鋼
材成分を第2表には本発明溶接棒および比較溶接棒に用
いた鋼心線の化学成分を、第3表には前記心線と被覆剤
の組合せによる常温および600℃における高温引張試験
結果および溶接作業性の評価を示す。
溶接棒は心線径4mm、長さ400mm、被覆率は約30%であ
り、常温および高温引張試験は第1図に示す開先形状
(T=25mm D=10φ=60゜)に加工した試験板に第4
表に示す溶接条件により立向上進溶接し、機械加工によ
って試験片を採取し0.2%耐力および引張強さを測定し
た。
また溶接作業性は通常使用される厚さ12.7mmの鋼板を
用い下向溶接は平板で水平すみ肉、立向上進溶接は鋼板
をT形に組立てて溶接作業性を評価した。
第3表で明らかなように本発明にかかる被覆アーク溶
接棒が、すべて良好な常温および高温強度を有すると共
に溶接作業性も極めて優れているのに対し、比較被覆ア
ーク溶接棒は、高温強度が不足し、また溶接作業性が劣
っており、耐火建築溶接材料として不適である。
[発明の効果] 本発明にかかる被覆アーク溶接棒は、高温特性が優
れ、溶接作業性も良好であり、溶接部への耐火施工にか
かるコストを大幅に引き下げることが可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例に用いた開先形状を示す正面断面図であ
る。
フロントページの続き (72)発明者 平野 侃 神奈川県相模原市淵野辺5―10―1 新 日本製鐵株式會社第2技術研究所内 (56)参考文献 特公 平4−55794(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量比で 金属炭酸塩 30〜60 % 金属弗化物 10〜30 % Si 2〜10 % Mn 2〜 8 % Ni 0.05〜2.5% Mo 0.3〜2.5% Nb 0.02〜0.1% でかつ(0.5Mo+10Nb)が0.4〜1.8%であり、残部は合
    金中の鉄、スラグ生成剤、アーク安定剤および粘結剤か
    らなる被覆剤を鋼心線に被覆してなることを特徴とする
    耐火性に優れた鋼の全姿勢用低水素系被覆アーク溶接
    棒。
  2. 【請求項2】重量比で 金属炭酸塩 30〜60 % 金属弗化物 10〜30 % Si 2〜10 % Mn 2〜 8 % Ni 0.05〜2.5% Mo 0.3〜2.5% Nb 0.02〜0.1% でかつ(0.5Mo+10Nb)が0.4〜1.8%であり、Cu,Crの1
    種または2種の合計0.7〜3.0%、残部は合金中の鉄、ス
    ラグ生成剤、アーク安定剤および粘結剤からなる被覆剤
    を鋼心線に被覆してなることを特徴とする耐火性に優れ
    た鋼全姿勢用低水素系被覆アーク溶接棒。
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JP2010110817A (ja) * 2008-10-11 2010-05-20 Kobe Steel Ltd 低水素系被覆アーク溶接棒
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