JP2681786B2 - 静電荷像現像用磁性トナー - Google Patents

静電荷像現像用磁性トナー

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JP2681786B2
JP2681786B2 JP63044358A JP4435888A JP2681786B2 JP 2681786 B2 JP2681786 B2 JP 2681786B2 JP 63044358 A JP63044358 A JP 63044358A JP 4435888 A JP4435888 A JP 4435888A JP 2681786 B2 JP2681786 B2 JP 2681786B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、電子写真,静電記録,静電印刷などにおけ
る静電荷像を現像するためのトナーに関し、特に熱混練
及び粉砕による製造方法で得られた熱ローラー定着に適
する静電荷像現像用磁性トナーに関する。
[従来の技術] 従来、電子写真法としては米国特許第2,297,691号明
細書、特公昭42−23910号公報及び特公昭43−24748号公
報等に記載されている如く多数の方法が知られている
が、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により
感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナー
を用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画
像を転写した後、加熱,圧力,加熱加圧或いは溶剤蒸気
などにより定着し複写物を得るものであり、そして感光
体上に転写せず残ったトナーは種々の方法でクリーニン
グされ、上述の工程が繰り返される。
近年このような複写装置は、単なる一般にいうオリジ
ナル原稿を複写するための事務処理用複写機というだけ
でなく、コンピューターの出力としてのプリンターある
いは個人向けのパーソナルコピーという分野で使われ始
めた。
そのため、より小型,より軽量そしてより高速,より
高信頼性,よる高耐久性が厳しく追究されてきており、
ちなみにプリンターにいたっては、同じ仕様の複写機の
3〜5倍のコピーボリュームがある。逆に機械は種々な
点でよりシンプルな要素で構成されるようになってきて
いる。特にその中でキャリアを用いない一成分系現像方
式、中でも磁性体を用いた一成分系磁性トナー現像方式
は、現像器がシンプルで軽量、小型化が実現でき、しか
も、キャリアとトナーの割合が変化して、現像性が変化
するなどの問題がないため、低速機から高速機まで広く
使うことができる。その結果、トナーに要求される性能
はより高度になり、トナーの性能向上が達成できなけれ
ばよりすぐれた機械が成り立たなくなってきている。
例えばトナー像を紙などのシートに定着する工程に関
して種々の方法や装置が開発されているが、現在最も一
般的な方法は熱ローラーによる圧着加工方式である。
加熱ローラーによる圧着加熱方式はトナーに対し離型
性を有する材料で表面を形成した熱ローラーの表面に被
定着シートのトナー像面を加圧下で接触してがら通過せ
しめることにより定着を行なうものである。この方法は
熱ローラーの表面と被定着シートのトナー像とが加圧下
で接触するため、トナー像を被定着シート上に融着する
際の熱効率が極めて良好であり、迅速に定着を行うこと
ができ、高速度電子写真複写機において非常に有効であ
る。しかしながら上記方法では、熱ローラー表面とトナ
ー像とが溶融状態で加圧下で接触するためにトナー像の
一部が定着ローラー表面に付着,転移し、次の被定着シ
ートにこれが再転移して所謂オフセット現象を生じ、被
定着シートを汚すことがある。熱定着ローラー表面に対
してトナーが付着しないようにすることが熱ローラー定
着方式の必須条件の1つとされている。
従来、定着ローラー表面にトナーを付着させない目的
で、例えばローラー表面をトナーに対して離型性のすぐ
れた材料、シリコンゴムや弗素系樹脂などで形成し、さ
らにその表面にオフセット防止及びローラー表面の疲労
を防止するためにシリコンオイルの如き離型性の良い液
体の薄膜でローラー表面を被服することが行われてい
る。しかしながら、この方法はトナーのオフセットを防
止する点では極めて有効であるが、オフセット防止用液
体を供給するための装置が必要なため、定着装置が複雑
になること等の問題点を有している。
これは小型化,軽量化と逆方向であり、しかもシリコ
ンオイルなどが熱により蒸発し、機内を汚染する場合が
ある。そこでシリコンオイルの供給装置などを用いない
で、かわりにトナー中から加熱時にオフセット防止液体
を供給しようという考えから、トナー中に低分子量ポリ
エチレン,低分子量ポリプロピレンなどの離型剤を添加
する方法が提案されている。充分な効果を出すために多
量にこのような添加剤を加えると、感光体へのフィルミ
ングやキャリアやスリーブなどのトナー担持体の表面を
汚染し、画像が劣化し実用上問題となる。そこで画像を
劣化させない程度に少量の離型剤をトナー中に添加し、
若干の離型性オイルの供給もしくはオフセットしたトナ
ーを巻きとり式の例えばウェブの如き部材を用いた装置
でクリーニングする装置を併用することが行われてい
る。
しかし最近の小型化,軽量化,高信頼性の要求を考慮
するとこれらの補助的な装置すら除去することが必要で
あり好ましい。従ってトナーの定着,オフセットなどの
さらなる性能向上がなければ対応しきれず、それはトナ
ーのバインダー樹脂のさらなる改良がなければ実現する
ことが困難である。また、電子写真方式は、普通紙を用
いることができ、また、複写スピードも速くできるた
め、プリンター、特にレーザービームプリンターなどに
使われている。これは、コンピューターのアウトプット
であるため、同様の仕様の複写機に比して、3〜5倍の
複写枚数があり、しかも、レーザー書き込みであるた
め、微細な潜像形成が可能で、そのため、高度の現像性
が要求される。すなわち、高画像での高耐久性が要求さ
れている。この要求に答えるためには、トナー材料、製
法も含め、改善しなければならない。トナーのバインダ
ー樹脂の改良に関する技術として、例えば特公昭51−23
354号公報に結着樹脂として架橋された重合体を用いた
トナーが提案されている。その方法に従えば耐オフセッ
ト性及び耐巻き付き性の改良には効果があるが、反面架
橋度をますと定着点が上昇してしまい、充分定着温度が
低くて耐オフセット性及び耐巻き付き性が良好で且つ十
分な定着特性のものは得られていない。一般的に定着性
を向上させるためには、バインダー樹脂を低分子量化し
て軟化点を低下させねばならず、耐オフセット性の改善
処置とは相反することになり、また低軟化点とするため
に必然的に樹脂のガラス転移点が低下し保存中のトナー
がブロッキングするという好ましくない現象もおこる。
これに対して、特開昭56−158340号公報に低分子量重
合体と高分子量重合体とよりなるトナーが提案されてい
るが、定着温度が低くて耐オフセット性が良好で且つ充
分な定着特性のものは得られていない。一般に耐オフセ
ット性を向上させるためには高分子量成分の分子量を大
きくするか、比率を増す必要があり、この方向は定着温
度が高くなる傾向にあり実用上満足するものは得られに
くい。
更に例えば特公昭60−20411号公報に高分子量重合体
の存在下に単量体を重合し、低分子量重合体と高分子量
重合体とからなる樹脂組成物が提案されているが、上記
と同様に耐オフセット性を向上させるためには高分子量
成分の分子量を大きくするか、比率を増す必要があり、
同様に定着温度が高くなる傾向にあり、実用上満足する
ものは得られにくい。さらに低分子量重合体と架橋した
重合体とをブレンドしたトナーに関し、例えば特開昭58
−86558号公報に低分子量重合体と不溶不融性高分子量
重合体を主要樹脂成分とするトナーが提案されている。
その方法に従えば定着性の改良は行われる傾向にある
が、低分子量重合体の重量平均分子量/数平均分子量
(Mw/Mn)が3.5以下と小さいこと及び不溶不融性高分子
量重合体の含有量が40〜90wt%と多量であることによ
り、耐オフセット性と定着性を共に高性能で満足するこ
とが難しく、実際上はオフセット防止用液体の供給装置
をもつ定着器用でなければ定着性,耐オフセット性を充
分満足するトナーを生成することは極めて困難である。
さらに不溶不融性高分子量重合体が多くなると、トナ
ー作成時の熱混練で溶融粘度が非常に高くなるため通常
よりはるかに高温で熱混練するか、あるいは高いシェア
で熱混練しなければならず、その結果前者は他の添加剤
の熱分解によるトナー特性の低下、後者はバインダー樹
脂の分子の過度な切断が起り、当初の耐オフセット性能
が出にくいという問題を有している。
またこのように高架橋成分と低分子量成分の混合され
ている状態に磁性体や、定着補助剤、例えばポリオレフ
ィン類などを分散するのは容易ではなく、従来の複写装
置では問題ないかも知れないが、より高耐久性を考慮し
たとき、かなり厳しいと言える。
また、特開昭60−166958号公報に、数平均分子量500
〜1,500である低分子量のポリα−メチルスチレンの存
在下で重合して得られる樹脂組成物からなるトナーが提
案されている。
特に、該公報では数平均分子量(Mn)が9,000〜30,00
0の範囲が好ましいとあるが、耐オフセット性をより向
上させるため、Mnを大きくしていくと定着性が実用上問
題となり、故に高性能に耐オフセット性と定着性を満足
することは難しい。
また、特開昭56−16144号公報に、GPCによる分子量分
布において、分子量103〜8×104及び分子量105〜2×1
06のそれぞれの領域に少なくとも1つの極大値をもつ結
着樹脂成分を含有するトナーが提案されている。この場
合、耐オフセット性,安定性,感光体へのフィルミング
や融着,画像性などがすぐれているが、さらにトナーに
おける耐オフセット性及び定着性の向上が要望されてい
る。特に定着性をより向上させて、他の種々の性能を保
つかあるいは向上させつつ、今日の厳しい要求に対応す
るのは、該樹脂ではむずかしい。
また、特開昭58−82258号公報に、GPCによる分子量分
布において、分子量103〜8×104,分子量105〜106,分
子量106以上のそれぞれの領域に少なくとも1つの極大
値乃至は肩を持つ結着樹脂成分を含有する乾式現像剤が
提案されている。
この場合、定着性,熱ロールへのトナーのオフセット
性,ローラよりの排紙性、すなわちローラへの耐巻き付
き性、適度な粉砕性など総合的にある程度すぐれた性能
を有しているが、今日の複写機は、はるかに高速化し、
そのため、定着性,オフセット性,巻き付き性など不充
分となっている。さらに、従来現像器内でトナーが微粉
化され、画像上のカブリなどの問題を生じるとして、適
度な硬さの結着樹脂が必要とされてきたが、今日では、
現像器が改善され、脆すぎて使えないということを実質
的に考慮する必要がなく、それ以上に省エネルギー、生
産効率の面から、より粉砕性の良い結着樹脂が望まれる
ようになってきている。
このように定着に関わる性能を高性能に実現すること
は極めて困難である。更にトナーが定着された複写物に
おいて、保存時の必要性から半分に又は四つ折り等に折
り曲げられることが多々ある。
かかる折り曲げにおいて折り曲げられた部分の画像が
複写物から剥ぎ取られ画像品質を悪くすることがあり、
かかる折り曲げに対しても良好な画像品質を保持するこ
とが要求される。
今日、装置の小型化,軽量化,信頼性の面からブレー
ドによるクリーニング(ブレードクリーニング)が一般
的になっている。感光体の高寿命化と感光体ドラムなど
の小型化及びシステムの高速化に伴い、トナーに要求さ
れる感光体に対する耐融着,耐フィルミング性などが厳
しくなっている。特に最近実用化されてきたアモルファ
スシリコン感光体はひじょうに高耐久性であり、またOP
C(有機感光体)も寿命が延びてきており、そのためト
ナーに要求される諸性能はより高度になってきている。
また小型化はせまい所に各要素をうまく納めていくこ
とをしなければならない。そのため空気がうまくながれ
る空間が少なくなる上、定着器や露光系の熱源がトナー
ホッパーやクリーナーと非常に接近するため、トナーは
高温雰囲気にさらされる。そのため、より優れた耐ブロ
ッキング性を有するトナーでないと実用化できなくなっ
てきた。
[発明が解決しようとする課題] さらに、1成分系磁性トナー現像方式で長期にわたっ
て安定に高濃度,高画像を維持するためには、磁性トナ
ーの主要成分である磁性体について考慮する必要があ
る。特に、磁性体のトナー中での均一分散性が悪いと長
期耐久において、質の良いトナー粒子ばかりが消費され
るため、徐々に画像劣化を起すことがあり、分散の良否
は高耐久性を実現するための重要な点である。
一般にバインダー樹脂への磁性体の分散性を良くする
目的で嵩密度の高い磁性体を仕様することが知られてい
る。例えば特公昭59−27901号公報、これは、磁性体の
嵩密度が高いと、磁性体間の空気が少ないということ
で、バインダー樹脂に分散するとき、樹脂と磁性体の界
面に空気などのジャマが入らず、よくぬれ,分散が良く
なるということである。
しかしながら嵩密度の高い磁性体は、また逆に、磁性
体間の凝集力が強いため、どのようなバインダー樹脂で
も均一分散するわけではなく、逆に分散性のかえって悪
くなるという場合すら出てくる。
嵩密度の高い磁性体を用いる提案として例えば、特開
昭56−91242号公報にカルボキシル基当りの炭素数が14
以上の脂肪族カルボン酸乃至は該カルボン酸の金属塩と
嵩密度0.45g/ml以上の磁性体を含有する現像剤が提案さ
れている。
これは、静電容量を小さくすることを目的としている
ため、嵩密度の高い磁性体の分散は充分とは言えず、よ
って、初期の高画像濃度及び画像の鮮鋭さは、長期耐久
で安定に維持されるとは言いがたい。
このように嵩密度の高い磁性体の性能を充分にひき出
し、バインダー樹脂の耐ブロッキング性が充分で、低温
定着性、耐オフセット性、耐折り曲げ性、耐保存性の実
現とともにそれに見合った高耐久現像性を、ともに満足
したトナーは得られていない。
本発明の目的は、上述の如き問題点を解決したトナー
を提供するものである。
以下に本発明の目的を列挙する。
本発明の目的は、オイルを塗布しない熱ロール定着方
式に適したトナーを提供することにある。
本発明の目的は、ブレードを用いたクリーニング方式
に適したトナーの製造方法を提供することにある。
本発明の目的は、低い温度で定着し得、且つ耐折り曲
げ性のすぐれたトナーを提供することにある。
本発明の目的は、低い温度で定着し、感光体への融
着,フィルミングが高速システムにおいても、また長期
間の使用でも発生しないトナーを提供することにある。
本発明の目的は、低い温度で定着し且つ耐ブロッキン
グ性がすぐれ、特に小型機の中の高温雰囲気中でも充分
使え得るトナーを提供することにある。
本発明の目的は、長期耐久において高濃度高画像が安
定に維持されるトナーを提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明は、(i)バインダー樹脂が実質的に球形もし
くは、球形粒子の集合体であり、その平均粒子径が0.1
〜0.7mmであるビニル系樹脂粒子であり、該バインダー
樹脂のTHF不溶分の含有量が10重量%未満(バインダー
樹脂基準)であり、バインダー樹脂のTHF可溶分のGPCに
よる分子量分布において、分子量10,000以下の成分の重
量W1が10〜50重量%であり、分子量500,000以上の成分
の重量W2が5〜30重量%であり、W2/W1の比が0.05〜2.
0であり、分子量10,000以下の領域にピークを有し、分
子量10,000以下の成分のガラス転移点が55℃以上である
バインダー樹脂と、(ii)嵩密度が0.35g/ml以上の磁性
微粒子とを用いて、少なくとも粉体混合工程、熱混練工
程及び粉砕工程を経て製造されたことを特徴とする静電
荷像現像用磁性トナーに関する。
本発明の構成について説明する。
前記のような目的を同時に達成する。ため種々のバイ
ンダー樹脂を用い、その構成と性能について、さまざま
の角度から鋭意検討した。その結果、バインダー樹脂TH
F不溶分の割合と、THF可溶分の分子量分布の特定の構成
のときに達成できることを見出した。バインダー樹脂を
THFなどの溶剤で溶かすと、不溶分と可溶分に分離で
き、可溶分は、GPCで分子量分布を測定することができ
る。
THF可溶分の分子量分布と定着可能温度が高いか低い
かという性質(以後、単に定着性という)、耐折り曲げ
性,耐ブロッキング性について検討した。その結果、GP
C分子量分布での分子量約10,000以下と約10,000以上の
分子量を有する成分の働きが異なることを見い出した。
すなわちバインダー樹脂全体に対する分子量約10,000以
下の分子量を有する成分の含有割合W1は、通常言われて
いるように定着性あるいは耐オフセット性を強く左右す
るのではなく、特定範囲ではどちらかというとほとんど
関係せず、かわりに粉砕性に強く関係していることが判
明した。
さらに他の検討などからバインダー樹脂は、基本的に
は500,000以上の成分の含有割合W2が主に耐オフセット
性,巻き付き性,耐折り曲げ性に影響を与え、そしてTH
F可溶分の分子量10,000以下の成分が主に粉砕性,ブロ
ッキング性,感光体への融着性,フィルミング性等に影
響を与え、さらにTHF可溶分の分子量10,000以上の成分
が主に定着性を左右していることが判明した。そして、
分子量10,000以下の成分の割合は、10〜50wt%が良く、
好ましくは10〜39wt%である。充分な性能を出すために
は、さらに分子量10,000以下であり2,000以上(好まし
くは2,000〜8,000)の領域にピークを有し、分子量15,0
00〜200,000(好ましくは2,000〜15,000)の領域にピー
クもしくは肩が必要である。2,000〜10,000にピークが
なく分子量2,000以下にピークがあるが、分子量10,000
以下の成分の割合が50wt%を超えると、耐ブロッキング
性,感光体への融着,フィルミング,などがやや問題と
なる。分子量10,000以下にピークがなく10,000を超える
領域にピークがあるが、分子量10,000以下の成分の割合
が10wt%未満であると特に粉砕性が問題となり、粗粒子
の生成も問題となる。
また分子量15,000以上の領域にピークもしくは肩がな
く、分子量15,000未満の領域のみにピークがある場合は
耐オフセット性が問題となる。分子量15,000〜200,000
の領域にピークもしくは肩がなく、かつ200,000を超え
る領域にメインピークがあると粉砕性が問題となる。
さらにTHF可溶分はMw/Mn≧5であることが必要であ
り、Mw/Mnが5未満になると耐オフセット性,耐折り曲
げ性が低下する傾向が高まり問題となる。
好ましくはMw/Mnが80以下が良く、さらに好ましくは1
0≦Mw/Mn≦60が良い。
特にMw/Mnが10≦Mw/Mn≦60であると定着性,耐オフセ
ット性,耐折り曲げ性,画像性など種々の特性において
特にすぐれた性能を示す。
なおここでMwとは後述のGPCによって測定された重量
平均分子量であり、Mnとは同様の測定による数平均分子
量である。
そして、さらにトナーのバインダー樹脂の500,000以
上の成分は5〜30wt%が必要である。500,000以上の成
分が5wt%未満だと耐オフセット性,耐折り曲げ性が問
題となり、30wt%を超えるとトナー製造時の熱混練によ
る分子鎖切断などの劣化の問題を生じる。好ましくは50
0、000以上の成分の含有量は5〜25wt%が耐オフセット
性,耐折り曲げ性の点で良い。
更にW2/W1の比が0.05〜2.0の範囲が必要である。0.0
5未満だと耐オフセット性,耐折り曲げ性が問題とな
り、2.0を超えると定着温度の高温化、及びトナー製造
時の熱混練による分子鎖切断などの劣化の問題を生じ
る。好ましくは、W2/W1の比が0.1〜2.0の範囲が良い。
更にトナーバインダー樹脂のTHF不溶分は10重量%未満
が必要である。10重量%以上だと耐折り曲げ性に関して
問題を生じる。かかるTHF不溶分は5重量%未満が好ま
しい。
またTHF可溶分の分子量分布の1万以下の分子量分の
樹脂のガラス転移点Tg1とトナー全体のガラス転移点Tgt
を比較したとき、Tg1が55℃以上、Tgtが55℃以上の関係
になると定着性,耐折り曲げ性,感光体への融着,フィ
ルミング性,耐ブロッキング性などがより良好になる。
ここでいうTg1とは次の方法により測定されたもので
ある。温度25℃にてTHFを毎分7mlの流速にて流し、トナ
ーのTHF可溶成分の濃度約3mg/mlのTHF試料溶液を3ml程
度分子量分布測定装置に注入し、分子量1万以下の成分
を分取する。分取の後、溶媒を減圧留去し、さらに90℃
雰囲気中減圧で24時間乾燥する。分子量1万以下の成分
が20mg程度得られるまで上記操作を繰り返し行い、50℃
で48時間のアニーリングを行い、この後に示差走査熱量
測定法によりTgを測定し、この値をTg1とする。この時
の測定は、一般に知られているASTM D3418−82法に準じ
行った。
すなわち、10℃/minの昇温測定で120℃以上に昇温
し、そこで約10分間保持し、これを0℃に急冷し、そこ
で10分間保持後、10℃/minで昇温し、吸熱カーブを得
る。Tgは、ベースラインの中間線と変曲線の交点をもっ
て定義する。
分取用カラムとしてはTSKgel G2000H,TSKgel G2500H,
TSKgel G3000H,TSKgel G4000H(共に東洋曹達工業
(株))等が用いられるが、本発明ではTSKgel G2000H
とTSKgel G3000Hを組み合せて用いた。
またトナーのTgであるTgtの値はトナーを50℃,48時間
アニーリングし、その後示差走査熱量測定法により求め
る。
本発明の最も好ましい態様は、第1図に示すように、
THF可溶分のPGC分子量分布において、分子量15,000〜20
0,000の領域にある最も高いピークの高さをh2,分子量
2,000〜10,000の領域にある最も高いピークの高さをh1
とすると、h1/h2の比が0.2〜3.0/1を有するバインダー
樹脂を含有するトナーである。また、さらにTHF可溶分
の数平均分子量について、2,000≦Mn≦9,000が好まし
い。Mn<2,000だとオフセット性,耐折り曲げ性などが
問題となり,9,000<Mnだと粉砕性及び定着性が問題とな
ってくる。
本発明でのTHF不溶分とは、トナー中の樹脂組成物中
のTHF溶媒に対して不溶性となったポリマー成分(実質
的に架橋ポリマー)の重量割合を示し、架橋成分を含む
樹脂組成物の架橋の程度を示すパラメーターとして使う
ことができる。THF不溶分とは、以下のように測定され
た値をもって定義する。
すなわち、トナーサンプル0.5〜1.0gを秤量し(W
1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.86R)に入れてソ
ックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF100〜200mlを
用いて6時間抽出し、溶媒によって抽出された可溶成分
をエバポレートした後、100℃で数時間真空乾燥し、THF
可溶樹脂成分量を秤量する(W2g)。トナー中の磁性体
あるいは顔料の如き樹脂成分以外の成分の重量を(W
3g)とする。THF不溶分は、下記式から求められる。
本発明において、GPC(ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィ)によるクロマトグラムのピーク又は/およ
びショルダーの分子量は次の条件で測定される。
すなわち、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定
化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHF(テ
トラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度
として0.05〜0.6重量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を
50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあ
たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリ
スチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカ
ウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポ
リスチレン試料としては、例えばPressure Chemical C
o.製或いは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102,2.1
×103,4×103,1.75×104,5.1×104,1.1×105,3.9×105,
8.6×105,2×106,4.48×106のものを用い、少なくとも1
0点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当であ
る。また検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
なお、カラムとしては103〜4×106の分子量領域を適
格に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを
複数組合せるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styr
agel 500,103,104,105の組み合せや、昭和電工社製の
Shodex KF−80Mや、KF−802,803,804,805の組み合せ、
あるいは東洋曹達製のTSKgel G1000H,G2000H,G2500H,G3
000H,G4000H,G5000H,G6000H,G7000H,GMHの組合せが好ま
しい。
本発明の分子量10,000以下のバインダー樹脂に対する
重量%及び50万以上のバインダー樹脂に対する重量%は
GPCによるクロマトグラムの分子量10,000以下を切りぬ
き、分子量10,000以上の切りぬきとの重量比を計算し、
前記のTHF不溶分の重量%を使い、全体のバインダー樹
脂に対する重量%を算出する。又、W2/W1は各成分にお
ける重量比の割合により示される。
折り曲げ性の評価は、全面黒画像を出し、画像面を重
ねる様にして折り曲げ約200g荷重で往復10回こすり、折
り曲げ部の画像をシルボン紙C紙で往復10回約200g荷重
でこすり、画像のはがれを反射濃度の低下率(%)で表
わした。
本発明の樹脂粒子は、実質的に球形もしくは球形粒子
の集合体である。これは、分散媒及び分散質を用いた重
合法において、ある程度自然に生成されるものである。
このため樹脂粉は、流動性が良く取り扱いやすいという
長所をもち、また、溶液重合法や、塊状重合法と異なり
塊を粉砕し細かくする工程が不必要なため、生産効率が
良い。しかしながら、トナー用の材料として若干問題と
なる。すなわち、樹脂粉と磁性体などと流動性比重が極
端に異なるため、熱混練の前段階の粉体混合時に充分混
ざらないという問題が生じる。従来知られる結着樹脂で
は、次の熱混練の工程でこれを補い通常の使用に耐える
トナーを作ることができる。本発明の構成の樹脂では、
通常の使用は良いが高耐久性ということを考慮すると、
従来の考え方では不充分ということを見出した。すなわ
ち、結着樹脂に、架橋成分及び50万以上の成分と分子量
10,000以下の低分子量成分を10〜50wt%含有する場合、
50万以上の成分及び架橋の網目の中に存在する低分子量
部分にも充分に他の材料が入り込み分散する必要がある
と考えられ、そのためには、熱混練の前工程の粉体混合
時に充分均一化しておくことが必要と考えられる。
検討の結果、そのバインダー樹脂の平均粒子径が0.10
mmより小さいと嵩が大きくなり分散しにくくなる上、粒
子径を小さくするために分散剤であるポリビニルアルコ
ールやリン酸カルシウムなどを多く含有させることにな
り、トナーの静電的性質、特に環境特性が悪くなる傾向
である。またバインダー樹脂の平均粒径が0.7mmより大
きいと、粉体混合時に、磁性体などとの分散が悪く、長
期耐久性が問題となる。好ましくは、バインダー樹脂の
平均粒径が0.15〜0.4mmである。
ここでいうバインダー樹脂の平均粒子径はふるいによ
り求めた分布の累積50重量%値であり、(以下D50%と
表わす)、さらに好ましい態様としては、累積10%値
(以下D10%と表わす)が0.09〜0.4mm、好ましくは0.1
〜0.2mm、以下同様に表現すると、D20%が0.12〜0.5m
m、好ましくは0.13〜0.25mm、D30%〜D50%が0.15〜0.7
mm、好ましくは0.15〜0.4mmであり、D60%〜D80%が0.1
5〜0.8mm、好ましくは0.25〜0.7mmであり、D90%〜D100
%が0.2〜0.8mm、好ましくは0.5〜0.8mmであり、20メッ
シュの上の割合が10wt%以下、好ましくは5wt%以下で
ある。
この粒子分布の測定方法は、以下に示す。
ロータップ式振動ふるい機に、JIS標準フルイの20,4
2,60,80,100,200メッシュを取り付け、振動数290rpm、
振動時間330秒、サンプル33gで行った。
磁性微粒子の嵩密度は、0.35g/ml以上が良い。0.35g/
mlより小さいと、画像濃度が若干低くなり、また分散性
もやや劣るため磁性体の着色力が劣りその分もやや不利
とある。しかし従来の使用に際しては、実用上問題な
く、特に高速機あるいはレーザービームプリンターで長
期にわたり多数枚の複写をする際にやや問題となた、機
械が将来さらに長寿命化することを考えると嵩密度0.35
g/ml以上がひじょうに有効である。
磁性体の嵩密度はさらに0.45g/ml以上が好ましく、さ
らに0.60g/ml以上が好ましく、さらに0.80g/ml以上が好
ましい。嵩密度の測定はJIS K−5101に準じる。
本発明の樹脂の構成成分としてはビニル系単量体を利
用したビニル系重合体、ビニル系共重合体、および該重
合体と該共重合体の組成物の如きビニル系樹脂を用い
る。
本発明に適用するビニル系単量体(モノマー)として
は例えば、スチレン,α−メチルスチレン,p−クロスチ
レンなどのスチレンおよびその置換体;アクリル酸、ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル,アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、メタク
リル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニ
トリル、、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のよ
うな二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換
体;例えばマレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸
メチル、マレイン酸ジメチルなどのような二重結合を有
するジカルボン酸およびその置換体;例えば塩化ビニ
ル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのようなビニルエ
ステル類;例えばビニルメチルケトン、ビニルエキシル
ケトンなどのようなビニルケトン類;例えばビニルメチ
ルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチル
エーテルなどのようなビニルエーテル類等のビニル単量
体が単独もしくは2つ以上用いられる。これらの中でも
スチレン重合体とスチレン系共重合体の組み合せが好ま
しい。
本発明の樹脂を製造する時の開始剤、溶剤の種類及び
反応条件の選択は本発明の目的とする樹脂を得る為に重
要な要素である。開始剤としては例えばベンゾイルパー
オキシド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t
−ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキシ
ド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシジイソプロ
ピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシクメン、ジ−t
−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソ
ブチロニトリル、ジアゾアミノアゾベンゼン等のアゾお
よびジアゾ化合物などが利用出来る。
架橋性単量体としては主として2個以上の重合可能な
二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、ジビニ
ルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ジビニル
化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エ
チレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレートなどの様な二重結合を2個有する
カルボン酸エステル、ジビニルアニリン、ジビニルエー
テル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルフォンなどの
ジビニル化合物および3個以上のビニル基を有する化合
物が、単独もしくは混合物として用いられる。なかでも
ジビニルベンゼンが有効である。
さらに本発明の樹脂は成分として含まれる単量体の種
類や組成よってかなり異なったガラス転移点の値を示し
はするが、ガラス転移点は55℃以上〜80℃が耐ブロッキ
ング性及び定着性の点で好ましい。ガラス転移点が55℃
よりも低くなると、トナー保存中の熱凝集ケーキングが
非常に起り易くなり、また、複写機中での凝集トラブル
が発生し易くなる。逆にガラス転移点が80℃を超える場
合にはやはり熱定着効率が悪くなる。
本発明に係るバインダー樹脂の合成方法は、基本的に
2種以上の重合体を合成する方法が好ましい。
すなわち、THFに可溶で且つ重合モノマーに可溶な第
1の重合体を重合モノマー中に溶解し、モノマーを重合
して樹脂組成物を得る方法である。この場合、前者と後
者の重合体が均一に混合している組成物が形成される。
THFに可溶な第1の重合体は、溶液重合もしくはイオ
ン重合などが好ましく、THFに不溶な成分を生成するた
めの第2の重合体は、第1の重合体を溶解している条件
下で架橋性モノマー存在下で懸濁重合もしくは塊状重合
で合成することが好ましい。第1の重合体は第2の重合
体を生成するための重合性単量体100重量部に対して10
〜100重量部使用するのが好ましい。
添付図面の第1図は、後述の合成例1で得られた樹脂
組成物のTHF可溶分のGPCのチャートを示している。第2
図は、合成例1における第1の重合である溶液重合で調
製されたポリスチレンのGPCのチャートを示している。
該ポリスチレンはTHFに可溶であり、重合単量体である
スチレンモノマー及びアクリル酸n−ブチルモノマーに
可溶であり、分子量3,500にメインピークを有してい
た。第3図は、該ポリスチレンを添加しない以外は同様
の条件で第2の重合で調製されるスチレン−シグリル酸
n−ブチル共重合体を懸濁重合で生成したもののTHF可
溶分のGPCのチャートを示している。該スチレン−アク
リル酸n−ブチル共重合体は、分子量37,000にメインピ
ークを有していた。
第4図は、第2図のチャートと第3図のチャートを組
み合わせたものである。
第5図は、第1図のチャートと第4図のチャート(実
線部分を破線で示した)を組み合わせて示したものであ
る。第5図からも明白な如く、本発明に係る合成例1で
得られた樹脂組成物は、別個に重合したポリスチレンと
スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体を単に混合し
たものと異なるGPCチャートを有していた。特に、高分
子量側に、スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体単
独では生成していなかった高分子成分が生成しているこ
とが知見される。この高分子量成分は、第2段目の重合
である懸濁重合時に、第1段目の溶液重合で調製された
ポリスチレンが存在しているために、該ポリスチレンが
重合調整剤の如き働きをし、その結果スチレン−アクリ
ル酸n−ブチル共重合体のTHF不溶分とTHF可溶分の合成
が調整されたと考えられる。本発明に係る樹脂組成物
は、THF不溶分、THF可溶な高分子量成分、THF可溶な中
間分子量成分及びTHF可溶な低分子量成分が均一に混合
されている。
さらに本発明において、トナーのTHF可溶分のGPCにお
いて分子量50万以上の成分がバインダー樹脂を基準とし
て5〜30重量%(好ましくは5〜25重量%)含有してい
るものが良い。また、トナーのTHF可溶分のGPCにおい
て、分子量50万以上に明確なピークを有するものがより
耐オフセット性及び耐折り曲げ性の改良という点で好ま
しい。
かかる重合方法において、前出の架橋剤を微量用いる
ことが好ましい。微量の架橋剤を併用することによりGP
Cの分子量分布における15,000〜200,000の範囲のピーク
位置に実用上影響を及ぼす程の変化を与えることなく、
50万以上の成分の含有割合を増やすことが可能となる。
一般にかかる目的で重合を行う場合、一般的には重合
温度の微妙な調整や、重合開始剤の添加量を調整するこ
とが行われるが、これらは装置面でコスト高の要因とな
ったり、又は重合反応時間が長くなるなどの問題を生じ
易い。更にはピーク位置も大きく高分子量側にシフトし
易く特定の範囲の分子量を調整することは難しい。本発
明になる微量の架橋剤を併用することにより比較的容易
に分子量の調整が可能となる。かかる架橋剤の好ましい
添加量は重合時の重合可能性物質に対し、0.1重量%以
下、更に好ましくは0.07重量%以下である。
本発明に係わる、溶液重合及び懸濁重合に関して以下
に述べる。
溶液重合で用いる溶媒としては、キシレン、トルエ
ン、クメン、酢酸セロソルブ、イソプロピルアルコー
ル、ベンゼン等が用いられる。スチレンモノマーの場合
はキシレン、トルエンまたはクメンが好ましい。重合生
成するポリマーによって適宜選択される。また、開始剤
は、ジ−tertブチルパーオキサイド、tert−ブチルパー
オキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、2,
2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス
(2,4ジメチルバレロニトリル)等がモノマー100重量部
に対して0.1重量部以上(好ましくは0.4〜15重量部)の
濃度で用いられる。反応温度としては、使用する溶媒、
開始剤、重合するポリマーによって異なるが、70℃〜18
0℃でおこなうのが良い。溶液重合においては溶媒100重
量部に対してモノマー30重量部〜400重量部で行うのが
好ましい。
懸濁重合においては、水系溶媒100重量部に対してモ
ノマー100重量部以下(好ましくは10〜90重量部)で行
うのが良い。使用可能な分散剤としては、ポリビニルア
ルコール、ポリビニルアルコール部分ケン化物、リン酸
カルシウム等が用いられ、水系溶媒に対するモノマー量
等で適当量があるが、一般に水系溶媒100重量部に対し
0.05〜1重量部で用いられる。重合温度は50〜95℃が適
当であるが、使用する開始剤、目的とするポリマーによ
って適宜選択すべきである。また開始剤種類としては、
水に不溶あるいは難溶のものであれば、用いることが可
能であるが、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert
−ブチルパーオキシヘキサノエート等が、モノマー100
重量部に対し0.5〜10重量部で用いられる。
本発明の樹脂を用いたトナー中には上記結着樹脂成分
の他に、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で、該結
着樹脂成分の含有量より少ない割合で以下の化合物を含
有させてもよい。
例えば、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリウレタ
ン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラー
ル、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹
脂、低分子量ポリエチレン又は低分子量ポリプロピレン
の如き脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹
脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどであ
る。
本発明に用いる磁性微粒子としては磁性を示すか磁化
可能な材料であればよく、例えば鉄、マンガン、ニッケ
ル、コバルト、クロムなどの金属、マグネタイト、ヘマ
タイト、各種フェライト、マンガン合金、その他の強磁
性合金などがあり、これらを平均粒径約0.05〜5μ(よ
り好ましくは0.1〜1μ)の微粉末としたものが使用で
きる。また、特に磁性粉末をフレットミルなどで処理
し、嵩密度を高めたものは好ましく、さらに球形のもの
も好ましい。磁性トナーの中に含有させる磁性微粒子の
量は、トナー総重量の15〜70重量%が良い。
また本発明に係わるトナーには着色・荷電制御等の目
的で種々の物質を添加することができる。例えば、カー
ボンブラック、鉄、黒、グラファイト、ニグロシン、モ
ノアゾ染料の金属錯体、群青、フタロシアニンブルー、
ハイザイエロー、ベンジジンイエロー、キナクリドン、
各種レーキ顔料などである。
上述した結着樹脂、磁性微粒子、着色剤、荷電制御剤
等から作製されたトナーは、現像器内でうける負荷に対
して強い耐性を有し、耐久試験において破砕されて劣化
することはなかった。
定着補助剤として、エチレン系オレフィン重合体を結
着樹脂とともに用いても良い。
ここでエチレン系オレフィン単重合体もしくはエチレ
ン系オレフィン共重合体として適用するものには、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重
合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチ
ルアクリレート共重合体、ポリエチレン骨格を有するア
イオノマーなどがあり、上記共重合体においてはオレフ
ィンモノマーを50モル%以上(より好ましくは60モル%
以上)含んでいるものが好ましい。
次に、本発明に係る樹脂及び磁性体を用いた現像剤を
適用する電子写真法について説明する。
米国特許第3,909,258号明細書に記載されている導電
性の磁性トナーを用いる方法、特開昭53−31136号公報
に記載されている高抵抗の磁性トナーを用いる方法など
がある。本発明に係わるトナーは、特に一成分系絶縁性
現像剤を用いる現像方法に適している。現像画像を被転
写部材に転写する工程には、コロナ転写方式、バイアス
転写方式などの静電転写方式などが用いられる。
さらに本発明の結着樹脂を使用したトナーにおいて、
感光層もしくは絶縁層上の残余のトナーを除去する工程
には、ブレードクリーニング方式、ファーブラシクリー
ニング方式などが適用されるが、特にブレードクリーニ
ング方式に適している。
また被転写部材上の粉像は該部材上に定着される必要
があるが、そのための方法としては、加熱定着方法、溶
剤定着方式、フラッシュ定着方式、ラミネート定着方式
などを用いうるが、特に加熱ローラ定着方式に適してい
る。
[実施例] 以下、実施例中、部は重量部を意味する。
合成例1 反応器にクメン200部を入れ、還流温度まで昇温し
た。これにスチレンモノマー100部及びジ−tert−ブチ
ルパーオキサイド8部の混合物をクメン還流下で4時間
かけて滴下した。さらにクメン還流下(146℃〜156℃)
で溶液重合を完了し、クメンを除去した。得られたポリ
スチレンはTHFに可溶であり、Mw=3,700、Mw/Mn=2.6
4、GPCのメインピークの位置する分子量は3,500,Tg=57
℃であった。該ポリスチレンのGPCチャートを第2図に
示す。
上記ポリスチレン30部を下記単量体混合物に溶解し、
混合溶液とした。
上記混合溶液に重合度2000のポリビニルアルコール部
分ケン化物0.2部を溶解した水170部を加え懸濁分散液と
した。水15部を入れ窒素置換した反応器に上記懸濁分散
液を添加し、攪拌スピードを200rpmとし、反応温度70〜
95℃で6時間懸濁重合反応させた。反応終了後に別
し、脱水,乾燥し、ポリスチレンとスチレン−アクリル
酸n−ブチル共重合体の組成物を得た。得られた樹脂粉
は、球状粒子及びその集合体であり、その粒度は累積50
%値で0.1mmであった。また20メッシュ上の樹脂粉は全
体の2wt%であった。該組成物は、THF不溶分とTHF可溶
分が均一に混合しており、且つポリスチレンとスチレン
−アクリル酸n−ブチル共重合体が均一に混合してい
た。得られた樹脂組成物のTHF不溶分(24メッシュパス,
60メッシュオンの粉体で測定)は、1wt%であった。ま
たTHF可溶分の分子量分布を測定したところGPCのチャー
トにおいて、約0.4万,約3.3万の位置にピークを有し、
Mn=0.59万,Mw=15万,Mw/Mn≒25、分子量1万以下が28w
t%であった。さらに樹脂のTgは59℃であり、GPCにより
分取された1万以下の成分のガラス転移点Tg1は56℃で
あった。W2/W1は約0.3であった。
THF可溶分のGPCクロマトグラムを第1図に示す。
尚、各樹脂及び樹脂組成物の分子量に関わる特性は下
記方法で測定した。
GPC測定用カラムとしてshodex KF−80Mを用い、GPC測
定装置(ウォーターズ社製150C ALC/GPC)の40℃のヒー
トチャンバーに組み込みTHF流速1ml/min,検出器はRIの
条件下、試料(THF可溶分の濃度約0.1重量%)を200μ
l注入することでGPCを測定した。分子量測定の検量線
としては分子量0.5×103,2.35×103,10.2×103,35×1
03,110×103,200×103,470×103,1200×103,2700×103,
8420×103の10点の単分散ポリスチレン基準物質(ウォ
ーターズ社製)のTHF溶液を用いた。
合成例2 反応器にクメン150部を入れ、還流温度まで昇温し
た。下記混合物をクメン還流下で4時間かけて滴下し
た。
さらにクメン還流下(146〜156℃)で重合を完了し、
クメンを除去した。得られたスチレン−アクリル酸n−
ブチル共重合体は、Mw=6,900、Mw/Mn=2.3、分子量7,1
00の位置にメインピークを有し、Tg=60℃であった。
上記スチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体40部を
下記単量体混合物に溶解し、混合物とした。
上記混合溶液にポリビニルアルコール部分ケン化物0.
15部を溶解した水170部を加え懸濁分散液とした。
水15部を入れ窒素置換した反応器に上記分散液を添加
し、攪拌スピードを200rpmとし、反応温度70〜95℃で6
時間反応させた。反応終了後、別,脱水,乾燥し、ス
チレン−アクリル酸n−ブチル共重合体とスチレン−メ
タアクリル酸n−ブチル共重合体の組成物を得た。得ら
れた樹脂粉は球状粒子及びその集合体であり、その粒度
は累積50%値で0.7mmであった。また20メッシュ上の樹
脂粉は全体の5wt%であった。
比較合成例1 合成例1のポリビニルアルコール部分ケン化物の量を
0.3部とし、攪拌を調整し、他は合成例1と同様に樹脂
粉を作成し、D50% 0.08mm,20メッシュ上1wt%の樹脂粉
を得た。他の特性はほぼ合成例1と同様であった。
比較合成例2 合成例2のポリビニルアルコール部分ケン化物の量を
0.05部とし、攪拌を調整し、他は合成例2と同様に樹脂
粉を作成し、D50% 0.81mm,20メッシュ上12wt%の樹脂
粉を得た。他の特性はほぼ合成例2と同様であった。
実施例1 上記材料をヘンシェルミキサーで3000rpmで30秒間前
混合した(この時、粉体の混合性は均一であった。その
後、150℃に熱した2本ロールミルで20分間混練した。
混練物を放冷後、カッターミルで粗粉砕した後、ジェッ
ト気流を用いた微粉砕機を用いて粉砕し、さらに風力分
級機を用いて分級し、体積平均粒径11.0μmの黒色微粉
体を得た。
該黒色微粉体100部に対しコロイダルシリカ微粉体0.4
部を乾式混合し、現像剤(トナー)を得た。
また、ブロッキング性は、約10gのトナーを100ccのポ
リコップに入れ、50℃で1日放置した時の凝集度の変化
で調べた。凝集度は、細川ミクロン製のパウダーテスタ
ーにより測定した。室温放置品と50℃1日放置品とでは
9重量%と12重量%でほぼ同じ値を示し、差(ΔG)が
3%であることから実質的にブロッキングしていないこ
とを確認した。
定着性と耐折り曲げ性及び画像性,耐久性について
は、キヤノン製複写機,NP−400REを用いて調べた。
10万枚耐久を行ったが安定に高濃度の高画像(1.45±
0.03)を維持した。更に定着性も良く、耐折り曲げ性も
良好で、さらに感光体へのフィルミング,融着もなかっ
た。
比較例1 実施例1の磁性微粒子のかわりに嵩密度0.3g/mlの磁
性微粒子を用い、実施例1と同様にトナーを作った。
これを実施例1と同様に評価したが、ほぼ同様の性能
を示した。ただ、耐久テストにおいては、50,000枚以降
やや画像濃度の低下が表われた。数値的には、初期も1.
40とやや画像濃度が低く、100,000枚では1.32となり、
実用上はほぼ問題ないが、実施例1よりは劣る結果とな
った。
比較例2 比較合成例1の樹脂を実施例1と同様の材料を用い同
様にトナー化した。
この時、粉体混合時、混合器の内側に磁性体比率の高
い層ができ、全体に均一性が良くなかった。また熱混練
物は実施例1ではなめらかで、分散性の良いことを感じ
させるが、比較例2ではややつやがなくわずかに分散性
が良くないように感じられた。
これを実施例1と同様に評価したが、ほぼ同様の性能
を示した。ただ、耐久テストにおいて、初期やや画像濃
度が低く、すなわち1.38で、50,000枚までは、ほぼ変化
がないが、50,000枚以降徐々に画像濃度が下がりはじめ
100,000枚では、画像濃度が1.30となった。実用上は、
ほぼ問題ないが、実施例1と比較し劣る結果となった。
実施例2 上記材料を実施例1と同様にトナー化した。この時、
粉体混合性は良好で、均一であった。また、熱混練物の
表面はなめらかで、分散が良いように感じられた。
これをキヤノン製複写機NP−3050で評価した。実施例
1と同様な結果が得られた。
比較例3 比較合成例1の樹脂組成物を用いる以外は、実施例2
と同様にトナーを作成した。この時、粉体混合性が不良
であったが、熱混練物は、比較例2よりやや悪いなめら
かさであった。
このトナーを実施例2と同様に評価した。
実施例3 上記材料を、実施例1と同様にトナー化した。この時
熱混練機には、エクストルーダーを用いた。この時の粉
体混合性は良好で、熱混練物の表面はなめらかで、分散
が良好なことを感じさせた。このトナーをキヤノン製複
写機NP−270Zで評価した。実施例1と同様な結果が得ら
れた。
実施例4 上記材料を実施例3と同様にトナー化した。この時粉
体混合性は良好で、熱混練物の表面はなめらかで、分散
が良好なことを感じさせた。
このトナーを実施例2と同様の機械で評価した。実施
例1と同様な結果が得られた。
比較例4 比較合成例4の樹脂を実施例2と同様の材料を用い同
様にトナー化した。
粉体混合において、磁性微粒子が、ヘンシェルミキサ
ーの内壁に選択的に付着し、また、離型剤も、分散の良
くないことが認められた。
次の2本ロールミルの熱混練工程において、混練物の
表面は、ややなめらかさにかけるが、熱混練工程でかな
り補われている感触を得た。
これを実施例2と同様に評価したが、ほぼ同様の性能
を示した。ただ、耐久テストにおいて、初期やや画像濃
度が低く、すなわち1.35で、40,000枚までは、ほぼ変化
がないが、40,000枚以降徐々に画像濃度が下がり始め
た。実用上は、ほぼ問題ないが、実施例2と比較し劣る
結果となった。
[発明の効果] 本発明によれば、低い温度で定着し得、耐折り曲げ性
のすぐれたトナーを得ることができる。また、耐ブロッ
キング性に優れ、特に小型機の中の高温雰囲気中でも充
分使用できるトナーを得ることができる。更に、このト
ナーは長期耐久において高濃度高画像が安定に維持でき
るものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は合成例1で調製された樹脂組成物のTHF可溶分
のGPCのチャートを示す。 第2図は合成例1で使用したポリスチレンのGPCのチャ
ートを示し、第3図は合成例1で使用したスチレン−ア
クリル酸n−ブチル共重合体を単独で懸濁重合して得た
もののTHF可溶分のGPCのチャートを示す。第4図は第2
図と第3図のチャートを組み合せたものであり、第5図
は第1図と第4図を比較説明するためのチャートを示
す。第6図は分子量10,000以下の成分の含有量とトナー
特性との相関関係に関わるグラフを示す図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−3644(JP,A) 特開 昭58−82258(JP,A) 特開 昭59−45449(JP,A) 特開 昭59−218459(JP,A) 特開 昭57−97546(JP,A) 特開 昭61−163347(JP,A) 特開 昭62−223765(JP,A) 特開 昭56−91242(JP,A) 特開 昭56−101150(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)バインダー樹脂が実質的に球形もし
    くは、球形粒子の集合体であり、その平均粒子径が0.1
    〜0.7mmであるビニル系樹脂粒子であり、該バインダー
    樹脂のTHF不溶分の含有量が10重量%未満(バインダー
    樹脂基準)であり、バインダー樹脂のTHF可溶分のGPCに
    よる分子量分布において、分子量10,000以下の成分の重
    量W1が10〜50重量%であり、分子量500,000以上の成分
    の重量W2が5〜30重量%であり、W2/W1の比が0.05〜2.
    0であり、分子量10,000以下の領域にピークを有し、分
    子量10,000以下の成分のガラス転移点が55℃以上である
    バインダー樹脂と、 (ii)嵩密度が0.35g/ml以上の磁性微粒子とを用いて、
    少なくとも粉体混合工程、熱混練工程及び粉砕工程を経
    て製造されたことを特徴とする静電荷像現像用磁性トナ
    ー。
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