JP2677722B2 - ディジタル保護継電器 - Google Patents

ディジタル保護継電器

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    • H02H3/006Calibration or setting of parameters

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電力系統のディジタル保
護継電器、特にアナログ入力部の誤差を補正する機能を
備えたディジタル保護継電器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のディジタル保護継電器を図3を参
照して説明する。図3に示すように、電力系統からの電
圧または電流がアナログ入力回路1に入力される。この
アナログ入力回路1は、一般に図4に示すように複数の
変成器2、フィルタ回路3、サンプルホールド回路4
びマルチプレクサ5とから構成されている。アナログ入
力回路1に入力された複数の電圧または電流はそれぞれ
対応する変成器2にてレベル変換され、フィルタ回路3
にて保護演算に不要な高調波を除去した後、サンプルホ
ールド回路4にて所定の時間間隔でサンプリングし所定
時間保持する。これらの複数チャネル入力のアナログ値
をマルチプレクサ5にて所定の時間間隔で選択切換した
ものを出力する。このアナログ値をアナログディジタル
変換器6にてディジタルデータに変換する。演算回路7
にて、前記ディジタルデータに所定の演算を行い、その
結果が所定の値を越えているか否かの判定を行い、越え
ていれば出力回路8を介して遮断器へのトリップ指令を
出力する。
【0003】ところで、図4のように構成されるアナロ
グ入力回路1は、それを構成する部品の定数のばらつき
により、入力に対する出力の特性即ち振幅ゲインや位相
に誤差が表れる。これらの誤差は、保護性能に直接影響
するため誤差を減少させる必要がある。そのために、図
5に示すような可変抵抗器9や可変コンデンサ10で構
成する補正回路11をアナログ入力回路1に設けてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】アナログ入力回路の特
性の誤差を補正するために、校正用の波形をアナログ入
力回路1に入力し、補正回路11を調整する必要があ
り、さらに部品の定数は時間的に変化するので、この調
整は定期的に行う必要があり、手数がかかるという問題
がある。
【0005】本発明は上記問題を解決するためになされ
たもので、その目的はアナログ入力回路の特性の誤差を
容易に校正できるディジタル保護継電器を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1は、電
力系統のアナログ電気量を所定の時間間隔でサンプリン
グした後、ディジタル変換して得られたディジタルデー
タを基に所定の保護継電演算を行い、その結果が所定の
条件を満たすときに遮断器へトリップ指令を出力するデ
ィジタル保護継電器において、基準となる信号が入力し
たと仮定したとき得られるべきディジタルデータを基準
波形データとして予め備えておき校正時に入力される前
記ディジタルデータから当該基準波形データに対する補
正値を演算する補正値演算部と、前記補正値演算部で演
算された補正値を記憶する補正値記憶部と、通常時前記
補正値記憶部に記憶される補正値を用いて入力される前
記ディジタルデータの補正処理を行うとともに今回補正
処理されたディジタルデータを使用し前記所定の保護継
電演算を行う保護継電演算部とを備えることを特徴とす
る。
【0007】
【作用】誤差が存在する実際のアナログ入力回路に所定
の波形を入力したときに得られたディジタルデータと、
アナログ入力回路に誤差がなく、上記と同じ波形を入力
したと仮定したときに得られるべきディジタルデータを
使って補正値演算部で所定の演算を行うことにより補正
値が得られる。校正時には、上記の所定の波形をアナロ
グ入力回路に入力すると同時に、校正/運用入力装置に
「校正中」の状態を入力する。補正値演算部では、「校
正中」のときに上記で得られた補正値を補正値記憶部に
記憶させ、補正部では「運用中」にその補正値を用い
て、ディジタルデータに補正を行うため、アナログ入力
回路に誤差がないときのデータと同等のデータが得られ
る。そのデータを保護継電演算部で用いるので、誤差を
取り除いた保護継電演算が行える。
【0008】
【実施例】本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0009】(第1実施例)図1は本発明の第1実施例
の構成図である。同図において、補正部12では、ディ
ジタルデータに対して、次の(1)式で補正処理を行
う。 xmo=xm ×K ……(1) ここで、xm は、ある時刻でサンプリングされたディジ
タルデータを表す。Kは補正値である。
【0010】補正値記憶部13は周知のメモリ回路であ
り、補正値Kを記憶しておく。校正/運用入力装置16
は、「校正中」か「運用中」かの状態を入力する機能を
もつ周知の装置である。補正値演算部15では、次の
(2)式の演算を行う。 K=XDC/xm ……(2) ここで、XDCは、アナログ入力回路1にゲイン誤差がな
く、所定の直流波形を入力したと仮定したときに得られ
るべきディジタルデータを表す。
【0011】そして、校正/運用入力装置16からの出
力が「校正中」であれば、補正値演算部15は、(2)
式で得られた補正値Kを補正値記憶部13に記憶する。
保護継電演算部14では、補正部12における(1)式
で得られた補正後のディジタルデータXmoを用いて所定
の保護継電演算を行う。
【0012】次に、本実施例の作用について説明する。
アナログ入力回路1にゲイン誤差がないと仮定したとき
に得られるべきディジタルデータをYm とすると、実際
にアナログ入力回路1に誤差があるときのディジタルデ
ータXm との関係は、 xm ×K=ym ……(3) で表せる。
【0013】アナログ入力回路1での誤差がなく、所定
の直流波形を入力したと仮定したときに得られるべきデ
ィジタルデータXDCは、予め求められる。アナログ入力
回路1に実際の誤差があり、上記と同じ所定の直流波形
を入力したときのディジタルデータxm とXDCとの関係
は、(3)式から分かるように xm ×K=XDC ……(4) である。したがって、XDC/xm を計算すれば、Kが求
められる。そして、求められたKを用いて、(1)式で
moを計算すれば、xmoはym に等しくなる。
【0014】なお、(2)式で得られたKは、校正/運
用入力装置17にて、「校正中」の状態を入力している
ときのみ補正値記憶部13の値を更新し、通常の運用で
はこの記憶された値を使用する。
【0015】アナログ入力回路1にゲイン誤差が存在し
ても、ゲイン誤差がないときと同等のディジタルデータ
を用いて保護継電演算が可能となる。
【0016】(第2実施例)上記第1実施例の補正値演
算部15において、(2)式の代わりに次の(5)式の
演算を行う。 K=XAC/XE ……(5) ここで、XACは、アナログ入力回路1に誤差がなく、所
定の交流波形入力したと仮定したときに得られるべきデ
ィジタルデータの実効値を表す。XE は、上記と同じ所
定の交流波形を入力したときに得られるディジタルデー
タを用いて計算した実効値である。このXE は、よく知
られている次の(6)(7)式などで計算する。
【0017】
【数1】
【0018】xm とxm-n は、交流波形の90度に相当
する時間だけ離れた時刻にサンプリングされたディジタ
ルデータである。
【0019】
【数2】
【0020】xm 〜xm-k は、交流波形の1周期に相当
する時間にサンプリングされたディジタルデータであ
る。
【0021】この構成により、交流波形を入力するアナ
ログ入力回路においても、上記第1実施例と同等の効果
が得られる。
【0022】(第3実施例)複数の入力チャネルがある
場合には、(5)式の演算を入力チャネル毎に行い、入
力チャネル毎の補正値を記憶しておくことにより、可能
である。
【0023】(第4実施例)以上の実施例は、アナログ
入力回路のゲインに関する誤差の補正であるが、複数の
入力チャネルがある場合には、それらの間での位相に関
する誤差も保護継電演算に影響を及ぼす。これに対して
は、以下の構成とする。
【0024】補正部12では、(1)式の代わりに次の
(8)式と等価な式で補正処理を行う。 xmo =K×(xm +A×xm-1 )……(8) ここで、xm はある時刻でサンプリングされたディジタ
ルデータを、xm-1 はさらに前にサンプリングされたデ
ィジタルデータを表す。KおよびAは入力チャネル毎に
固有の補正値である。
【0025】補正値記憶部13では補正値KおよびAを
記憶しておく。補正値演算部15では、(2)式の代わ
りに次の手順でKおよびAを求める。まず、複数の入力
チャネルの中で最も位相が遅れている入力チャネルを求
める。位相θを求める計算は(9)式で示す周知のゼロ
クロス法などによる。 θ={N+xn-1 /(xn-1 −xn )}×2π×TS /T……(9) ここで、図2のゼロクロス法による位相算出方法に示す
ように、xn-1 は負または零なる値のディジタルデー
タ、xn は正または零なるディジタルデータ、Nは基準
となるサンプリング点からn−1点のサンプリングまで
のサンプリング数、TS はサンプリング周期、Tは入力
する交流波形の周期を表す。
【0026】次に、上で求めた入力チャネル以外の全て
の入力チャネルについて、(9)式においてxn を(x
n +A×xn-1 )に置き換えて、位相を計算し、その値
が上で求めた入力チャネルの位相と等しくなるようにA
を求める。さらに、xm を(xm +A×xm-1 )と置き
換えて、(5)式,(6)式または(5)式,(7)式
の演算を行い、Kを求める。
【0027】以上の構成により、校正時に所定の交流波
形を全ての入力チャネルに同時に入力することにより、
各チャネルの位相特性の誤差を補正値Aで補正すること
ができ、さらにゲインの誤差を補正値Kで補正すること
ができる。
【0028】(第5実施例)上記第4実施例における補
正部12での(8)式の代わりに、一般的な次の式で補
正処理を行うことも可能である。
【0029】
【数3】
【0030】ここでxm ,xm-1 ,…,およびxNは、
それぞれ異なる時刻にサンプリングされたディジタルデ
ータを表す。K0 ,K1 ,…,およびKN は補正値であ
り、入力チャネル毎に固有である。すなわち、K0 ,K
1 ,…,およびKN の相対的な比により位相の補正の度
合いが決まり、K0 〜KN の絶対的な大きさによりゲイ
ンの補正の度合いが決まる。なお、以上の全ての実施例
における、補正部12および補正値演算部15は、ハー
ドウェアまたはソフトウェアで実現することができる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
アナログ入力回路の特性の誤差を容易に補正し、前記の
誤差に影響を受けない保護継電演算が可能なディジタル
保護継電器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディジタル保護継電器の演算回路を示
す構成図。
【図2】ゼロクロス法による位相算出を示す図。
【図3】従来のディジタル保護継電器の構成図。
【図4】従来のアナログ入力回路図。
【図5】従来のアナログ入力回路の補正回路図。
【符号の説明】
1…アナログ入力回路、2…変成器、3…フィルタ回
路、4…サンプルホールド回路、5…マルチプレクサ、
6…アナログディジタル変換器、7…演算回路、8…出
力回路、9…可変抵抗器、10…可変コンデンサ、11
…補正回路、12…補正部、13…補正値記憶部、14
…保護継電演算部、15…補正値演算部、16…校正/
運用入力装置。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電力系統のアナログ電気量を所定の時間
    間隔でサンプリングした後、ディジタル変換して得られ
    たディジタルデータを基に所定の保護継電演算を行い、
    その結果が所定の条件を満たすときに遮断器へトリップ
    指令を出力するディジタル保護継電器において、基準と
    なる信号が入力したと仮定したとき得られるべきディジ
    タルデータを基準波形データとして予め備えておき校正
    時に入力される前記ディジタルデータから当該基準波形
    データに対する補正値を演算する補正値演算部と、前記
    補正値演算部で演算された補正値を記憶する補正値記憶
    部と、通常時前記補正値記憶部に記憶される補正値を用
    いて入力される前記ディジタルデータの補正処理を行う
    とともに今回補正処理されたディジタルデータを使用し
    前記所定の保護継電演算を行う保護継電演算部とを備え
    ることを特徴とするディジタル保護継電器。
  2. 【請求項2】 複数の入力チャンネルで入力する電力系
    統のアナログ電気量を所定の時間間隔でサンプリングし
    た後、ディジタル変換して得られたディジタルデータを
    基に所定の保護継電演算を行い、その結果が所定の条件
    を満たすときに遮断器へトリップ指令を出力するディジ
    タル保護継電器において、校正時に入力される前記複数
    の入力チャンネルのディジタルデータから入力チャンネ
    ル間の位相補正値を演算し、また基準となる信号が入力
    したと仮定したとき得られるべきディジタルデータを基
    準波形データとして予め備えておき前記ディジタルデー
    タから当該基準波形データに対するそれぞれの入力チャ
    ンネルのゲイン補正値を演算する補正値演算部と、前記
    補正値演算部で演算されたそれぞれの入力チャンネルの
    位相補正値及びゲイン補正値を記憶する補正値記憶部
    と、通常時前記補正値記憶部に記憶される各補正値を用
    いて入力される前記ディジタルデータの補正処理を行う
    とともに今回補正処理されたディジタルデータを使用し
    前記所定の保護継電演算を行う保護継電演算部とを備え
    ことを特徴とするディジタル保護継電器。
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