JP2008079367A - 保護継電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電力系統の系統電気量を取得し、その電気量を用いて所定の保護A/D継電演算を自動的に行ない、電力系統を保護する保護継電装置を提供する。
【解決手段】この保護継電装置10は、電力系統の系統電気量aの電気量レベルを変換する入力変換手段12と、この入力変換手段12からのアナログ電気量bをディジタル電気量cに変換するA/D変換手段13と、このA/D変換手段13の特性値dを算出する第1の特性値算出手段15と、入力変換手段12の特性値eを算出する第2の特性値算出手段16と、算出されたA/D変換手段13の特性値dを保存する第1の記憶手段21と、算出された入力変換手段12の特性値eを保存する第2の記憶手段22と、第1の記憶手段21に保存されたA/D変換手段13の特性値dと第2の記憶手段22に保存された入力変換手段12の特性値eとから補正値hを求める補正値算出手段17と、この補正値hを用いて変換値を補正する補正手段18とを備えたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】この保護継電装置10は、電力系統の系統電気量aの電気量レベルを変換する入力変換手段12と、この入力変換手段12からのアナログ電気量bをディジタル電気量cに変換するA/D変換手段13と、このA/D変換手段13の特性値dを算出する第1の特性値算出手段15と、入力変換手段12の特性値eを算出する第2の特性値算出手段16と、算出されたA/D変換手段13の特性値dを保存する第1の記憶手段21と、算出された入力変換手段12の特性値eを保存する第2の記憶手段22と、第1の記憶手段21に保存されたA/D変換手段13の特性値dと第2の記憶手段22に保存された入力変換手段12の特性値eとから補正値hを求める補正値算出手段17と、この補正値hを用いて変換値を補正する補正手段18とを備えたものである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電力系統の系統電気量を取り扱う技術に係り、特に電力系統の系統電気量を取得し、その電気量を用いて保護継電演算を行ない、電力系統を保護するディジタル形の保護継電装置に関する。
この種の保護継電装置には、電力系統の系統電気量の入力部、いわゆるアナログ入力部の誤差を補正する手法が種々提案されている。例えば、特許文献1には、系統電気量を所定の大きさの電気量に変換する入力変換手段と、入力変換手段の出力(アナログ)電気量をディジタル電気量に変換するアナログ/ディジタル変換手段(以下、A/D変換手段という。)とを組み合せることなく、系統電気量の補正値を個別に手動にて算出できる構成が開示されている。
保護継電装置は、電力系統に設けられた電圧変成器や電流変成器を介して保護リレーの入力変換手段に系統電気量を入力している。入力変換手段は、電圧変成器や電流変成器で構成され、電力系統の系統電気量を所定の大きさの電気量に変換してA/D変換手段に出力している。A/D変換手段は入力変換手段からの出力電気量をフィルタ回路を通してフィルタリングした後、A/D変換し、ディジタル値の電気量として出力している。
特許文献1に記載された保護継電装置は、入力変換手段の誤差を格納する第1の記憶手段と、A/D変換手段の誤差を格納する第2の記憶手段とを有し、第1および第2の記憶手段に格納された誤差データ(以下、特性値という。)を用いて入力データを補正するものである。
特開2004−274930号公報
特許文献1に記載された保護継電装置では、第1の記憶手段にデータを手動で予め格納させておく必要がある。すなわち、入力変換手段の入力電気量と出力電気量との位相差の誤差、および利得(ゲイン)の誤差を、電圧計や電流計などの測定器を用いて測定し、その測定値に基づく値を記憶手段に格納している。
これらの測定器による電気量の位相差誤差、その利得誤差の測定値を第1の記憶手段に入力させるデータ格納は全て手動で予め行なう必要がある。データ格納作業に多大の労力や時間を費やすことになり、データ格納作業が複雑で、補正誤差を発生させる要因となっている。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、電力系統の系統電気量を取得し、その電気量を用いて所定の保護A/D継電演算を行なうことにより、電力系統を保護する保護継電装置を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、入力変換手段やA/D変換手段の故障時に、故障対象手段を変換する際、その交換時に、各手段を組み合せて補正値を算出する作業、すなわち較正作業を不要とした保護継電装置を提供するにある。
本発明の別の目的は、入力変換手段およびA/D変換手段の特性値を格納する作業労力を削減し、作業の軽減ならびに補正誤差を生じさせることがない保護継電装置を提供するにある。
本発明は、上述した課題を解決するために、電力系統の系統電気量をサンプリングしてA/D変換し、このA/D変換値を用いて保護継電演算を行なう保護継電装置において、前記系統電気量の電気量レベルを変換する入力変換手段と、前記入力変換手段からのアナログ電気量をディジタル電気量に変換するA/D変換手段と、前記A/D変換手段の特性値を算出する第1の特性値算出手段と、前記入力変換手段の特性値を算出する第2の特性値算出手段と、前記第1の特性値算出手段で算出された前記A/D変換手段の特性値を保存する第1の記憶手段と、前記第2の特性値算出手段で算出された前記入力変換手段の特性値を保存する第2の記憶手段と、前記第1の記憶手段に保存されたA/D変換手段の特性値と前記第2の記憶手段に保存された入力変換手段の特性値とから補正値を求める補正値算出手段と、前記補正値を用いて前記A/D変換値を補正する補正手段とを備えたものである。
本発明に係る保護継電装置において、電力系統の系統電気量を取得してA/D変換し、そのA/D変換値を用いて所定の保護継電演算を行なうことにより、電力系統を保護することができる。
入力変換手段やA/D変換手段が故障した場合には、故障対象手段が新しいものと交換される際、その交換時に、交換された新しい手段の特性値に対応する特性値も交換可能なので、故障対象手段のアナログ入力部の誤差を補正する較正作業が不要となり、迅速な交換作業を能率的に効率よく短時間で実施することができる。
また、所定の電圧の印加または電流の入力だけで、入力変換手段やA/D変換手段に対応する特性値を自動的に求めて記憶手段に記憶することができる。
本発明に係る保護継電装置の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る保護継電装置の第1の実施形態を示すブロック構成図である。
図1は、本発明に係る保護継電装置の第1の実施形態を示すブロック構成図である。
この保護継電装置10は、電力系統の系統電気量aが取り込まれる入力変換手段12を有し、この入力変換手段12で系統電気量aが所定の大きさの電気量(出力電気量)bに変換される。入力変換手段12からの出力(アナログ)電気量bは、A/D変換手段13に入力され、このA/D変換手段13でフィルタリングされた後、アナログ電気量がディジタル電気量cに変換されて演算手段14に入力される。
演算手段14は、MPU,CPU等のマイクロプロセッサ、メモリ等からなり、A/D変換手段13の特性値を算出する第1の特性値算出手段15と、入力変換手段12の特性値を算出する第2の特性値算出手段16と、入力変換手段12およびA/D変換手段13の補正値を求める補正値算出手段17と、この補正値算出手段17で求められた補正値を用いてA/D変換データを補正する補正手段18と、この補正手段18で補正後のA/D変換値のデータを用いてリレー演算等の保護継電演算を行なう保護継電演算手段19とから構成される。
第1の特性値算出手段15で算出されたA/D変換手段13の特性値dは第1の記憶手段21に入力され、保存される一方、第2の特性値算出手段16で算出された入力変換手段12の特性値eは第2の記憶手段22に入力され、保存される。第1および第2の記憶手段21,22は、例えば不揮発性メモリで構成される。
第1および第2の記憶手段21,22は保存値(特性値)f,gを補正値算出手段17にそれぞれ入力している。補正値算出手段17は保存値f,gを入力し補正値hを補正手段18に出力する。補正手段18には、A/D変換手段13の出力(ディジタル電気量)cおよび補正値算出手段17の補正値hがそれぞれ入力され、保護継電装置19に対して補正後のA/D変換値iを出力している。
保護継電装置10は、保護継電演算手段19にディジタル形入出力手段24が接続され、このディジタル形入出力手段24により、遮断器25を開閉作動させるようになっている。遮断器25の開閉作動により、電力系統の安全性を高め、保護することができる。
保護継電装置10は、電力系統を保護するディジタル形の保護継電装置を構成している。保護継電装置10から保護継電演算手段19およびディジタル形入出力手段24を取り除くと、電力系統の系統電気量aを取得する電気量取得装置が構成される。
保護継電装置10の入力変換手段12は図2に示すように構成され、複数の電圧変成器27や複数の電流変成器28から構成される。電流変成器28の出力側に抵抗器29が接続され、入力された電流値Iinは所定の電圧レベルの電圧値Voutとなって出力される。
また、図3は保護継電装置10のA/D変換手段13のブロック構成図を示すものである。A/D変換手段13は、演算に不要な高調波成分を除去する複数のフィルタ31と、フィルタリングにより高調波成分が除された複数の入力を順次切り替えて出力するマルチプレクサ32と、このマルチプレクサ32からの出力(アナログ信号)を演算処理可能なディジタル信号(電気量)cに変換するA/D変換器33とを備える。
図4は、入力変換手段12の電圧変成器27とA/D変換手段13のフィルタ31との接続関係を示す図である。電圧変成器27とフィルタ31とは、着脱可能なケーブル35を介して接続される。
図4において、ケーブル35を外した場合、A/D変換手段13のフィルタ31の入力部、すなわちA部に外部から電圧を直接印加することができる。入力変換手段12の電流変成器28とA/D変換手段13のフィルタ31との接続関係も同様である。
図5は、入力変換手段12とA/D変換手段13との接続関係の変形例を示すものである。
この変形例は、入力変換手段12の電圧変成器27をA/D変換手段13のフィルタ31にスイッチ36を介して開閉自在に接続したものである。スイッチ36を開路にした場合、A/D変換手段13のフィルタ31には、外部からA部に電圧を直接印加することができる。入力変換手段12の電流変成器28とA/D変換手段13のフィルタ31の場合の接続形態も同様である。
一方、A/D変換手段13に備えられるマルチプレクサ32は、図3および図6に示すように、複数のフィルタ31でフィルタリング処理された出力(アナログ信号)を順次切り替えてA/D変換器33に出力するものである。マルチプレクサ32の1入力には、フィルタ31等が接続されないB部が設けられる。B部には外部から電圧を直接印加できるようになっている。
また、A/D変換手段13でA/D変換されたディジタル電気量は、演算手段14に入力される。入力変換手段12やA/D変換手段13を構成する素子には、抵抗やコンデンサ等の素子やロジックIC等により個体的な差があるため、入力したデータと出力したデータとの間に位相や振幅値(利得:ゲイン)に差ができる。
入力変換手段12は、電力系統から得られた系統(入力)電気量aを所要のアナログ(出力)電気量bに変換し、この電気量bをA/D変換手段13にて高調波を除去した後サンプリングし、ディジタル電気量cに変換して演算手段14に入力される。演算手段14でディジタル電気量をリレー演算等の保護継電演算する場合、これらの位相や振幅値の差を補正処理する必要がある。
演算手段14は、A/D変換手段13からディジタル電気量cを入力して特性値dを算出する第1の特性値算出手段15を有する。第1の特性値算出手段15は、A/D変換手段13の特性値dを算出するものである。特性値dとは、A/D変換手段13に正弦波を入力したときの入力と出力の利得(振幅値)と位相差に関する値である。
A/D変換手段13の特性値を算出にするためには、外部から図示しないマンマシンインタフェース等を介して、「A/D変換手段特性値算出モード」に手動で設定する。
図7は、「A/D変換手段特性値算出モード」時の入力関係を説明する図である。「A/D変換手段特性値算出モード」に設定する前に予め、フィルタ31の入力はA部に所定の大きさで、かつ定格周波数の正弦波電圧を予め印加しておく。また、B部には所定の大きさで、かつA部に印加した正弦波電圧と同じ周波数で所定の位相差を持った電圧を印加しておく。所定の位相差の最も簡単な例は0度の場合である。
A/D変換手段13の特性値を算出する処理は図8のフローチャートに従って行なわれる。
A/D変換手段13の特性を算出する処理S1(ステップ1)が「A/D変換手段特性値算出モード」であるか否かがS2で判断される。「A/D変換手段特性値算出モード」である場合、振幅値計算S3が行なわれる。
振幅値計算S3では、A/D変換手段13のフィルタ31への入力、すなわちA部に入力された電圧に対応するA/D変換後のデータを用いて振幅値(電圧値)の計算をする。A/D変換後のデータ、すなわち瞬時値を用いた正弦波の振幅値の計算方法は、次式を用いて行なわれる。
位相計算S4では、A/D変換手段13のフィルタ31の入力、すなわちA部に入力された電圧に対応するA/D変換後のデータと、B部に入力された電圧に対応するA/D変換後のデータから位相差θadを算出する。
瞬時値を用いて2つの正弦波の位相差を計算する方法は、例えば公知のゼロクロス法を用いて位相差θadを計算する。振幅値計算S3および位相計算S4は、複数の各フィルタ31に対してそれぞれ行なう。
特性値保存S5では、各フィルタ31毎に振幅比Vradおよび位相差θadを特性値dとして第1の記憶手段21に保存する。
一方、演算手段14の第2の特性値算出手段16は、入力変換手段12の特性値eを算出するものである。入力変換手段12の特性値eを算出する場合には、「入力変換手段特性値算出モード」に設定する。
「入力変換手段特性値算出モード」の場合も、前述した「A/D変換手段特性値算出モード」の場合と同様に、外部からのマンマシンインタフェース等を介して手動で設定する。
図9は、「入力変換手段特性値算出モード」時の入力関係を説明する図である。「入力変換手段特性値算出モード」に設定する前に予め、図9に示すように、入力変換手段12に所定の大きさで、かつ定格周波数の正弦波電圧を印加するか、正弦波電流を入力しておく。
一方、A/D変換手段13のマルチプレクサ32にはB部から所定の大きさで、かつ入力変換手段12に印加した正弦波電圧または入力した正弦波電流と同じ周波数で所定の位相差を持った電圧を印加する。ここに、所定の位相差とは、第1の特性算出手段15におけるA部とB部に印加する両電圧との位相差と同じ値である。
入力変換手段12の特性値を算出する処理は、図10のフローチャートに従って行なわれる。
S8で「入力変換手段特性値算出モード」である場合には、振幅値計算がS9で行なわれる。振幅値計算では、入力変換手段12に印加された電圧または入力された電流に対応するA/D変換後のデータを用いて振幅値を計算する。この振幅値の計算は式(1)と同じである。
振幅値計算S9に続いて位相差を検出するために、位相計算がS10で実施される。位相計算S10では、入力変換手段12に印加された電圧または入力された電流に対応するA/D変換後のデータと、A/D変換手段13のマルチプレクサ32にB部から入力された電圧に対するA/D変換後のデータから位相差を算出する。この位相差算出についても、例えば公知のゼロクロス法により位相差θtotalを算出する。
なお、S9〜S11の振幅値計算、位相計算および入力変換手段特性値計算は、図2に示す複数の各電圧変成器27および電流変成器28に対してそれぞれ行なう。
各電圧変成器27および電流変成器28毎に計算された入力変換手段12の特性値e(Vript,θipt)は、特性値保存S12により第2の記憶手段22に保存される。
演算手段14に備えられた第1の特性値算出手段15および第2の特性値算出手段16は、ディジタル形保護継電装置10を運用する前に、「A/D変換手段特性値算出モード」もしくは「入力変換手段特性値算出モード」の状態で動作するものである。保護継電装置10を運用する際には、「A/D変換手段特性算出モード」か「入力変換手段特性値算出モード」の状態に設定することを必要としない。
演算手段14の補正値算出手段17は、入力変換手段12およびA/D変換手段13の特性の誤差を補正する補正値を求めるものである。補正値算出手段17は、第1の記憶手段21に保存された特性値f(Vrad,θad)、第2の記憶手段22に保存された特性値g(Vript,θipt)から、次式により入力変換手段12およびA/D変換手段13の総合特性値(Vrtotal,θtotal)を求めるものである。
補正手段18は、補正値算出手段17で求めた補正値h(k0,k1)を用いて(10)式によりA/D変換データを補正するものであり、補正手段18で補正されたA/D変換データ(A/D変換値i)は、保護継電演算手段19に入力され、保護継電演算が行なわれる。保護継電演算手段19での保護継電演算によりディジタル型入出力手段24を介して遮断器25が作動し、電力系統が保護される。
図1に示されたディジタル形の保護継電装置10から入力変換手段12、A/D変換手段13および第1,第2の記憶手段21,22を独立して取外し可能に接続することができ、入力変換手段12、A/D変換手段13、第1および第2の記憶手段21,22はそれぞれ独立させることができる。入力変換手段12、A/D変換手段13、第1および第2の記憶手段21,22の保護継電装置10の着脱はコネクタやソケット等の公知の結合素子を用いて行なわれる。
次に、保護継電装置10の作用を説明する。
保護継電装置10の入力変換手段12およびA/D変換手段13を構成する電気部品(素子)には、特性誤差がある。
保護継電装置10の入力変換手段12に、所定の大きさでかつ定格周波数の正弦波電圧を印加するか正弦波電波を入力し、例えば図9に示すB部からA/D変換手段13のマルチプレクサ32に所定の大きさでかつ前記入力変換手段12に印加または入力した正弦波電圧または正弦波電流と同じ周波数で所定の位相差を持った電圧を印加した場合、入力変換手段12の入力に対応するA/D変換後のデータは、その利得(ゲイン)、位相差ともに所定の値に対して誤差が生じる。
(14)式は(11)式と同じになり、(10)式の補正処理により、要求される理想的なA/D変換データY(m)が得られる。
また、特性値は入力変換手段12の特性値eとA/D変換手段13の特性値dに分けられる。
振幅比(利得の特性値)Vrtotalと位相差θtotalは、入力変換手段12およびA/D変換手段13を合せた総合特性値を示すものである。
入力変換手段12の特性値eを(Vript,θipt)とし、A/D変換手段13の特性値dを(Vrad,θad)とすると、総合特性値Vrtotal,θtotalは、(6)式および(7)式のように分解できる。
そして、第1の特性値算出手段15により、A/D変換手段13の特性値d(Vrad,θad)を直接求めることができる。
しかし、A/D変換手段13の特性値d(Vrad,θad)は、ケーブル35あるいはスイッチ36を外すことにより、入力変換手段12が切り離されて直接求めることができるが、入力変換手段12の特性値e(Vript,θipt)を直接求めることができない。
そこで、第2の特性値算出手段16の前半部分にて、入力変換手段12とA/D変換手段13とを合せた特性値(Vrtotal,θtotal)をまず求める。そして、(6)式,(7)式の変形である(4)式および(5)式を用いて間接的に入力変換手段12の特性値をe(Vript,θipt)を求める。
このようにして、第1の記憶手段21にはA/D変換手段13の特性値d(Vrad,θad)が格納され、第2の記憶手段22に入力変換手段12の特性値e(Vript,θipt)が格納される。A/D変換手段13の特性値dと入力変換手段12の特性値eは、第1および第2の記憶手段21,22に個別に保守管理される。
保護継電装置10の運用中に、入力変換手段12およびA/D変換手段13の少なくとも一方が故障した場合、故障した入力変換手段12やA/D変換手段13は正常な新しいものと交換される。
入力変換手段12が故障した場合には、正常な新しい入力変換手段12に交換するとともに、第2の記憶手段22も新たな入力変換手段12の特性値eが保存されたものに交換される。入力変換手段12を交換する際に、第2の記憶手段22も交換するので、アナログ入力部の誤差を補正する較正作業が不要となり、迅速な交換が可能となる。
また、A/D変換手段13を交換する場合も、同様に第1の記憶手段21を同時に交換することにより、同様の効果が得られる。
また、入力変換手段12の特性値を保存する際には、電圧計や電流計の測定器を用いて測定し、測定値を手動にて第2の記憶手段22に保存するという作業が不要となる。所定の電圧の印加または電流の入力だけで、入力変換手段12の特性値eが第2の記憶手段22に自動的に保存される。
[第2の実施形態]
図11は本発明に係る保護継電装置の第2実施形態を示すブロック構成図である。
図11は本発明に係る保護継電装置の第2実施形態を示すブロック構成図である。
第2の実施形態に示される保護継電装置10Aは、第1実施形態の保護継電装置10に第3の記憶手段40を追設したものであり、他の構成および作用は第1実施形態の保護継電装置10と実質的に異ならないので、同じ構成には同一符号を付して重複説明を省略する。
第3の記憶手段40は、第1の記憶手段21に保存されたA/D変換手段13の特性値dを複写保存する一方、第2の記憶手段22に保存された入力変換手段12の特性値eをも複写保存している。第3の記憶手段40に保存されたA/D変換手段13の特性値dは、第1の記憶手段21に複写保存させることが可能である。同様に、第3の記憶手段40に保存された入力変換手段12の特性値eは、第2の記憶手段22に複写保存させることも可能である。
図11に示されたディジタル形保護継電装置10Aは、図示しないマンマシンインタフェースからの指令に基づくCPUやMPUに内蔵されたプログラムにより、第1の記憶手段21と第3の記憶手段40との間のデータ複写保存が可能である。同様に第2の記憶手段22と第3の記憶手段40との間のデータ複写保存も可能である。
第2実施形態に示されたディジタル形保護継電装置10Aは、A/D変換手段13の特性値dを記録し、格納する第1の記憶手段21や入力変換手段12の特性値eを記録し、格納する第2の記憶手段22が故障した場合に優れた機能を有する。
保護継電装置10Aの運用中に、第1の記憶手段21が故障した場合には、正常な新しい第1の記憶手段21に交換される。しかし、新しい第1の記憶手段21にはA/D変換手段13の特性値dが保存されていない。
このため、第3の記憶手段40にA/D変換手段13の特性値dを予め複写保存しておき、この特性値dを交換された新たな第1の記憶手段21に複写保存される。新たな第1の記憶手段21に特性値dを複写保存させることで、A/D変換手段13のアナログ入力部の誤差を補正するための較正作業が不要となり、迅速な交換を行なうことができる。
第2の記憶手段22が故障した場合にも、第1の記憶手段21が故障した場合と同様な作業手順で第2の記憶手段22の交換が迅速に効率よく短時間に行なうことができる。
[第3の実施形態]
図12は本発明に係るディジタル形保護継電装置の第3の実施形態を示すブロック構成図である。
図12は本発明に係るディジタル形保護継電装置の第3の実施形態を示すブロック構成図である。
第3の実施形態に示されたディジタル形保護継電装置10Bは、第2の実施形態に示された保護継電装置10Aの変形例を示すものであり、通信インターフェース41以外の構成は、第2の実施形態と異ならないので、同じ構成には同一符号を付して重複説明を省略する。
通信インターフェース41は、第1の記憶手段21および第2の記憶手段22にそれぞれ接続される。通信インターフェース41は、無線あるいは有線の通信手段(図示せず)を介してパソコン等の外部通信機器(図示せず)と通信が可能である。
第3実施形態に示されたディジタル形保護継電装置10Bにおいては、第1の記憶手段21に保存されたA/D変換手段13の特性値dは、通信インターフェース41を介してパソコン等の外部通信機器との通信が可能であり、パソコン等の外部機器に保存しておいたA/D変換手段13の特性値dを新しい第1の記憶手段21に外部の遠隔地から転送保存が可能である。
第2の記憶手段22に保存された入力変換手段12の特性値eについても、通信インターフェース41を介して外部からの通信で、新しい第2の記憶手段22に転送保存させることができる。
第3実施形態に示されたディジタル形保護継電装置10Bも、第2実施形態に示された保護継電装置10Aと同様に、第1の記憶手段21や第2の記憶手段22が故障した場合に優れた機能を発揮し、故障した第1の記憶手段21や第2の記憶手段22を較正作業が不要で、迅速に交換させることができる。
保護継電装置10Bの運用中に、第1の記憶手段21が故障した場合には、正常な新しい第1の記憶手段21に交換される。しかし、新しい第1の記憶手段21には、A/D変換手段13の特性値dが保存されていない。
このため、第1の記憶手段21は、通信インターフェース41を介して外部通信機器に通信可能に接続しておき、第1の記憶手段21が故障して新しい第1の記憶手段21に交換されると、この新しい第1の記憶手段21にA/D変換手段13の特性値dを転送保存させるために、パソコン等の外部機器に保存しておいたA/D変換手段13の特性値dを第1の記憶手段21に転送保存させる。
この場合にも、パソコン等の外部機器に保存されたA/D変換手段13の特性値dを交換された新しい第1の記憶手段21に通信手段を介して複写保存させることができ、A/D変換手段13のアナログ入力部の誤差を補正するための較正作業が不要となり、迅速な交換作業を効率よく実施できる。
入力変換手段12の特性値eを格納し、保存された第2の記憶手段22を新しい第2の記憶手段22に交換する場合にも、パソコン等の外部機器に保存された入力変換手段12の特性値eを用いて通信手段を利用することで、交換された新しい第2の記憶手段22に入力変換手段12の特性値eを簡単かつ容易に転送保存させることができる。
10 保護継電装置
12 入力変換手段
13 A/D変換手段
14 演算手段
15 第1の特性値算出手段
16 第2の特性値算出手段
17 補正値算出手段
18 補正手段
19 保護継電演算手段
21 第1の記憶手段
22 第2の記憶手段
24 ディジタル形入出力手段
25 遮断器
27 電圧変成器
28 電流変成器
31 フィルタ
32 マルチプレクサ
33 A/D変換器
35 ケーブル
36 スイッチ
40 第3の記憶手段
41 通信インターフェース
12 入力変換手段
13 A/D変換手段
14 演算手段
15 第1の特性値算出手段
16 第2の特性値算出手段
17 補正値算出手段
18 補正手段
19 保護継電演算手段
21 第1の記憶手段
22 第2の記憶手段
24 ディジタル形入出力手段
25 遮断器
27 電圧変成器
28 電流変成器
31 フィルタ
32 マルチプレクサ
33 A/D変換器
35 ケーブル
36 スイッチ
40 第3の記憶手段
41 通信インターフェース
Claims (5)
- 電力系統の系統電気量をサンプリングしてA/D変換し、このA/D変換値を用いて保護継電演算を行なう保護継電装置において、
前記系統電気量の電気量レベルを変換する入力変換手段と、
前記入力変換手段からのアナログ電気量をディジタル電気量に変換するA/D変換手段と、
前記A/D変換手段の特性値を算出する第1の特性値算出手段と、
前記入力変換手段の特性値を算出する第2の特性値算出手段と、
前記第1の特性値算出手段で算出された前記A/D変換手段の特性値を保存する第1の記憶手段と、
前記第2の特性値算出手段で算出された前記入力変換手段の特性値を保存する第2の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に保存されたA/D変換手段の特性値と前記第2の記憶手段に保存された入力変換手段の特性値とから補正値を求める補正値算出手段と、
前記補正値を用いて前記A/D変換値を補正する補正手段とを備えたことを特徴とする保護継電装置。 - 前記入力変換手段、前記A/D変換手段、前記第1および第2の記憶手段は、それぞれ独立して保護継電装置から取外し可能に設けられた請求項1記載の保護継電装置。
- 前記第1の記憶手段に保存されたA/D変換手段の特性値および前記第2の記憶手段に保存された入力変換手段の特性値の少なくとも一方を複写保存する第3の記憶手段を備えた請求項1または2記載の保護継電装置。
- 前記第1の記憶手段に保存された前記A/D変換手段の特性値および前記第2の記憶手段に保存された入力変換手段の特性値の少なくとも一方を、外部機器とやり取りするための通信インターフェースを備えた請求項1または2記載の保護継電装置。
- 前記A/D変換手段の特性値を算出する第1の特性値算出手段と、
前記入力変換手段の特性値を算出する第2の特性値算出手段と、
前記第1の特性値算出手段で算出されたA/D変換手段の特性値と前記第2の特性値算出手段で算出された入力変換手段の特性値とから補正値を算出する補正値算出手段と、
前記補正値を用いて前記A/D変換値を求める補正手段と、
前記A/D変換値を用いて保護継電演算を行なう保護継電演算手段と
から構成される演算手段を備えた請求項1記載の保護継電装置。
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