JP6230489B2 - デジタル保護リレー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、デジタル保護リレー装置に関する。
一般に、デジタル保護リレー装置は、定格周波数の整数倍であるサンプリング周波数で得られたデジタルデータを用いてリレー演算を行う。たとえば、サンプリング周波数が定格周波数の12倍の場合は、定格周波数で電気角30°毎のデータがリレー演算に使用される。
したがって、電力系統の周波数が定格周波数に等しい場合は、正確に電気角30°毎のデータがリレー演算に用いられるが、系統周波数が変動すると電気角30°毎とは異なるタイミングで取得されたデータがリレー演算に用いられる。たとえば、系統周波数が定格周波数よりも5%増加すると、30°×1.05、すなわち31.5°毎に得られたデータがリレー演算に用いられる。このため、適用されるリレー演算アルゴリズムによっては演算結果に誤差が生じ、リレー要素に要求された規格をはずれ、結果として、保護リレー装置の動作に問題が生じる場合がある。
これまで、系統周波数の変動に起因する誤差を補正するための方法がいくつか提案されている。たとえば、特開平1−298914号公報(特許文献1)は、リレー演算に2つのベクトルの位相差の余弦量を使用する場合に、入力された交流周波数が変動しても、その余弦量の算出誤差を小さくすることができる補正方法を開示する。特開2002−186167号公報(特許文献2)は、フーリエ変換演算によって交流入力の基本波から正弦成分と余弦成分とを抽出し、抽出された成分に基づいて、電力系統の周波数変動の影響を補正する演算を実行する。
特開平1−298914号公報 特開2002−186167号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載された補正方法は、余弦量を演算する場合に限定されたものであるので、リレー演算に適用する各種の演算アルゴリズムの全てに適用することはできない。上記の特許文献2に記載された補正方法は、フーリエ変換演算を利用するために、デジタル保護リレー装置に搭載されるCPU(Central Processing Unit)への負荷が大きくなる。この結果、実際の適用が困難な場合があり得る。
この発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、電力系統に周波数変動が生じた場合の影響を比較的簡単な補正演算によって抑制することが可能なデジタル保護リレー装置を提供することである。
この発明によるデジタル保護リレー装置は、AD(Analog to Digital)変換器と、データ格納部と、補正演算部と、リレー演算部とを備える。AD変換器は、電力系統で検出された電流または電圧のアナログ値をデジタル値に変換する。データ格納部は、AD変換器の出力に基づいて、定格周波数の2×k倍(kは1以上の整数)の周波数に対応したサンプリング周期ごとに電気量(電流または電圧)のデジタル値を順次格納する。補正演算部は、電力系統の周波数変動の影響を抑制するために、データ格納部に格納された電気量のデジタルデータを補正する。リレー演算部は、補正された電気量のデジタルデータに基づいてリレー演算を行う。補正演算部は、現時点よりもg個前(gは1以上の整数)にデータ格納部に格納された電気量のデジタル値を補正する場合には、現時点よりも(g+k)個前にデータ格納部に格納された電気量のデジタル値を用いて、g個前に格納された電気量のデジタル値を補正するように構成される。
この発明によれば、g個前にデータ格納部に格納された電気量のデジタル値を補正する場合には、それよりもさらにk個前に(k個前とは定格周波数で180°前に相当する)データ格納部に格納された電気量のデジタル値を用いて補正演算が実行される。このように、周波数変動の影響を抑制するのに電力系統の現在の周波数を検出する必要がなく、比較的簡単な補正演算で周波数変動の影響を抑制することができる。
第1の実施形態によるデジタル保護リレー装置の構成を示すブロック図である。 補正前の時系列データと補正後の時系列データとの対応関係を示す図である。 デジタル保護リレー装置に入力される電圧信号の周波数が定格周波数よりも増加した場合の電圧ベクトル図である。 データ補正時の誤差計算の方法について説明するためのベクトル図である。 図4を一般化したベクトル図である。 入力周波数が定格周波数よりも5%ずれた場合について、位相誤差および振幅誤差の計算結果を表形式で示した図である。 第1の実施形態によるデジタル保護リレー装置の動作を示すフローチャートである(電圧および電流のデジタルデータが補正前データ格納部に格納されるまでの手順を示す)。 第1の実施形態によるデジタル保護リレー装置の動作を示すフローチャートである(補正前データ格納部に格納されたデータを用いてリレー演算を行う手順を示す)。 第2の実施形態において補正係数を決定する方法を説明するためのベクトル図である。 第2の実施形態の場合において、位相誤差および振幅誤差の計算結果を表形式で示した図である。 第3の実施形態によるデジタル保護リレー装置の構成を示すブロック図である。 第3の実施形態において補正係数を決定する方法を説明するためのベクトル図である。 入力周波数が定格周波数に対して1〜5%ずれている場合にそれぞれ計算された補正係数の値を表形式で示す図である。 図11の補正係数記憶部28に格納される補正テーブルの例を示す図である。 第3の実施形態によるデジタル保護リレー装置の動作を示すフローチャートである。
以下、各実施形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
<第1の実施形態>
[デジタル保護リレー装置の構成]
図1は、第1の実施形態によるデジタル保護リレー装置10の構成を示すブロック図である。
図1を参照して、デジタル保護リレー装置10は、電力系統の電線路2に設置された電流変成器(CT:Current Transformer)6および電圧変成器(PT:Potential Transformer)4によって、電線路2上の電流および電圧の瞬時値を検出し、検出した電流信号および電圧信号をデジタルデータにAD(Analog to Digital)変換する。デジタル保護リレー装置10は、AD変換されたデジタルデータに基づいて、対応する保護区間(保護すべき領域)の故障の有無を判定し、故障を検出した場合には当該故障区間を電力系統から切り離すために電力系統に設置される遮断器(図示しない)に対して開放指令を出力する。なお、電流および電圧のいずれか一方のみしかリレー演算に使用しない場合は、デジタル保護リレー装置10は、リレー演算に必要な電流または電圧を取り込むように構成されていてもよい。この明細書では、電流および電圧を総称して電気量と称する場合がある。
具体的に、デジタル保護リレー装置10は、アナログ回路12と、AD変換器14と、演算処理部16と、出力処理部18とを含む。
アナログ回路12は、補助変成器で構成される入力変換器、アンチエイリアスフィルタ、およびサンプル・ホールド回路などを含む。入力変換器は、電流変成器6および電圧変成器4からそれぞれ入力された電流信号および電圧信号の電圧レベルをデジタル保護リレー装置10の内部で処理可能な電圧レベルに変換する。アンチエイリアスフィルタは、AD変換の際の折り返し誤差を除去するためのローパスフィルタである。サンプル・ホールド回路は、たとえば、電力系統の定格周波数fnの96倍のサンプリング周波数(96×fn)で、レベル変換後の電流信号および電圧信号をサンプリングする。サンプリングされた電流信号および電圧信号は、AD変換器14によってデジタルデータに変換される。
演算処理部16は、CPU、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などのメモリ、ならびにインターフェース回路などを含むマイクロコンピュータをベースに構成される。演算処理部16は、AD変換された電流信号および電圧信号に対してリレー演算を行い、リレー演算の結果に基づいて系統故障の有無を判定し、保護すべき領域(保護区間)に故障を検出するとその故障区間を電力系統から切り離すための信号を出力する。
演算処理部16は、機能的に見ると、フィルタ処理部22と、補正前データ格納部24と、補正演算部26と、補正係数記憶部28と、補正後データ格納部30と、リレー演算部32と、ロジック処理部34とを含む。これらの各構成要素の機能は、ROMに格納されたプログラムがCPUで実行されることによって実現される。
フィルタ処理部22は、AD変換器14から入力された電圧データおよび電流データを予め定められたサンプリング周期Ts毎に平均化することによって、周期Ts毎に電圧および電流のデジタル値を生成する。生成されたデジタル値(電圧値および電流値)は、メモリ内部の補正前データ格納部24に順次格納され、リレー演算に用いられる。
上記のサンプリング周期Tsは、定格周波数fnのK倍(Kは偶数)のサンプリング周波数fs(fs=K×fn)に対応するものである(Ts=1/fs)。たとえば、K=12の場合、定格周波数で電気角30°毎のデータが生成され、K=16の場合、定格周波数で電気角22.5°毎のデータが生成される。なお、上記のサンプリング周波数fs(12×fnまたは16×fn)は、AD変換の際のサンプリング周波数(たとえば、96×fn)よりも当然に小さい。
補正前データ格納部24には、リレー演算に必要な現時点から数サイクル前までの電圧データおよび電流データが格納されている(適用されるリレー演算によって蓄積されるデータ数は異なる)。たとえば、現時点の電圧値(電圧のデジタル値)をV(m)とし、1サンプリング周期(Ts=1/fs)前の電圧値をV(m−1)とし、2サンプリング周期前の電圧値をV(m−2)とする。以下同様に、nサンプリング周期前の電圧値をV(m−n)とする。現時点からnサンプリング周期前までの電圧値がリレー演算に必要であるとすると、V(m)、V(m−1)、V(m−2)、…、V(m−n)のn+1個の電圧値を含む時系列データが補正前データ格納部24に蓄積される。この時系列データは、サンプリング周期Ts毎に順次更新される。最新の電圧値V(m)が入力されると、以前のデータは順次1個ずつ繰り下げられる。電流データI(m)、I(m−1)、I(m−2)、…についても同様である。
補正演算部26は、この時系列データV(m)、V(m−1)、…を使って、補正された時系列データV*(m−1)、V*(m−2)、…をサンプリング周期Ts毎に生成する。この補正は、電流系統の周波数変動の影響を抑制するため行われる。電流データについても同様に、補正演算部26は、時系列データI(m)、I(m−1)、…を使って、補正された時系列データI*(m−1)、I*(m−2)、…をサンプリング周期Ts毎に生成する。補正後の時系列データは補正後データ格納部30に格納される。
図2は、補正前の時系列データと補正後の時系列データとの対応関係を示す図である。以下では、電圧データの補正方法について説明するが、電流データについても同様の方法で補正できる。
図2に示すように、フィルタ処理部22で生成された時系列データV(m)、V(m−1)、…は、補正前データ格納部24に格納される。図1の補正演算部26は、サンプリング周期Ts毎に、補正前データ格納部24に格納されている時系列データV(m)、V(m−1)、…を補正する。補正後の時系列データV*(m−1)、V*(m−2)、…は、補正後データ格納部30に格納される。なお、現時点のデータV(m)は補正の必要がないので、そのまま補正後データ格納部30に格納される。
具体的に、現時点よりも1個前に補正前データ格納部24に格納された電圧値V(m−1)は、V(m−1)よりもさらにk個前に補正前データ格納部24に格納された電圧値V(m−1−k)と補正係数P1とを用いて補正される。ここで、定数kは、定格周波数で電気角180°に対応するものであり、定格周波数時の1サンプリング周期に相当する電気角をφとすると、k=180°/φで表される。サンプリング周波数fsが定格周波数fnのK倍であるとすると、k=K/2の関係がある。たとえば、K=12の場合(すなわち、fs=12×fnの場合)、k=6、φ=30°となる。
補正後の電圧値V*(m−1)の具体的な表式は、
V*(m-1)=V(m-1)+(V(m-1)+V(m-1-k))・P1 …(1A)
=(1+P1)・V(m-1)+P1・V(m-1-k) …(1B)
によって表される。式(1B)は式(1A)の右辺を書き直したものである。
補正係数P1は、補正後の電圧値V*(m−1)が、現時点よりも電気角φ(電気角φは、定格周波数時の1サンプリング周期に相当する)だけ前の電圧値V(m−φ)にほぼ等しくなるように設定される。第1の実施形態の場合、補正係数P1は1/kに設定される(補正係数P1の導出方法については、図3を参照して後述する)。
現時点よりも2個前に補正前データ格納部24に格納された電圧値V(m−2)は、V(m−2)よりもさらにk個前に格納された電圧値V(m−2−k)と補正係数P2(=2/k)とを用いることによって、
V*(m-2)=V(m-2)+(V(m-2)+V(m-2-k))・P2 …(2A)
=(1+P2)・V(m-2)+P2・V(m-2-k) …(2B)
に従って補正される。式(2B)は式(2A)の右辺を書き直したものである。
同様に、現時点よりも3個前の電圧値V(m−3)は、V(m−3)よりもさらにk個前の電圧値V(m−3−k)と補正係数P3(=3/k)とを用いることによって、
V*(m-3)=V(m-3)+(V(m-3)+V(m-3-k))・P3 …(3A)
=(1+P3)・V(m-3)+P3・V(m-3-k) …(3B)
に従って補正される。式(3B)は式(3A)の右辺を書き直したものである。
より一般的には、現時点よりもg個前(gは1以上の整数)の電圧値V(m−g)は、V(m−g)よりもさらにk個前の電圧値V(m−g−k)と補正係数Pg(=g/k)とを用いることによって、
V*(m-g)=V(m-g)+(V(m-g)+V(m-g-k))・Pg …(4A)
=(1+Pg)・V(m-g)+Pg・V(m-g-k) …(4B)
に従って補正される。式(4B)は式(4A)の右辺を書き直したものである。
式(4A)によれば、補正後の電圧値V*(m−g)は、補正前の電圧値V(m−g)に補正項を加算することによって得られる。補正項は、補正前の電圧値V(m−g)とV(m−g−k)との線形結合によって与えられる。
なお、過去のデータとの位相関係がリレー演算に必要とされない場合には、上式(4A)に従った補正演算は、半サイクル前まで(1≦g<k)でよい。半サイクル前から1サイクル前まで(k≦g<2k)の補正後の電圧値には、現時点から半サイクル前までの補正後の電圧値の符号を反転したものを用いることができる。
具体的に、現時点から半サイクル前の電圧値V(m−k)を補正することによって得られる電圧値V*(m−k)として、現時点の電圧値V(m)の符号を反転させたものを用いることができる。半サイクルから1サイクル前までの補正後の電圧値V*(m−k−1)、V*(m−k−2)、…、V*(m−2k+1)として、それぞれ半サイクル前の補正後の電圧値V*(m−1)、V*(m−2)、…、V*(m−k+1)の符号を反転したものを用いることができる。具体的な表式は、
V*(m-k)=−V(m) …(5)
V*(m-k-1)=−V*(m-1)=−V(m-1)−(V(m-1)+V(m-1-k))・P1 …(6)
V*(m-k-2)=−V*(m-2)=−V(m-2)−(V(m-2)+V(m-2-k))・P2 …(7)
・・・
V*(m-(2k-1))=−V*(m-(k-1))
=−V(m-(k-1))−(V(m-(k-1))+V(m-(k-1)-k))・Pk-1 …(8)
で与えられる。
なお、距離リレーなどにおいてリレー設置点から見た事故点の方向を判別する場合にように、過去の位相データを必要とする場合には、前述の式(4A)に従って電圧値を補正する。たとえば、2サイクル前の電圧値V(m−4k)を補正した電圧値V*(m−4k)は、2.5サイクル前の電圧値V(m−5k)と補正係数P4k(=4k/k=4)とを用いて、
V*(m-4k)=V(m-4k)+(V(m-4k)+V(m-5k))・P4k …(9)
に従って補正される。
再び図1を参照して、リレー演算部32は、補正前データ格納部24に格納されたデータまたは補正後データ格納部30に格納されたデータを用いてリレー要素演算を実行する。具体的に、リレー演算部32は、位相特性を重視するリレー要素の演算では補正後データ格納部30に格納されたデータを用いてリレー要素演算を実行し、位相特性に関係ないリレー要素の演算では補正前データ格納部24に格納されたデータを用いてリレー要素演算を実行する。
ロジック処理部34は、リレー演算部32の演算結果を用いて論理演算を行うことによって、電力系統に故障があるか否かの故障判定を行い、判定結果を出力する。ロジック処理部34によって電力系統に故障ありと判定された場合には、出力処理部18は、対応する保護区間を電力系統から切り離すために遮断器に開放指令を出力する。
[補正係数の導出について]
次に、電圧データおよび電流データを補正する際の補正係数(たとえば、前述の式(4A)のPg)の導出方法について説明する。具体例として、サンプリング周期が定格周波数時の電気角30°の場合で、現時点よりも90°遅れの電圧値が必要な場合について説明する。データ補正を行わない場合には、電力系統の周波数が定格周波数よりも5%増加すると、現時点よりも94.5°遅れた電圧値がリレー演算に用いられることになる。
以下の説明では、現時点の電圧値をV(m)と記載し、90°遅れの電圧値をV(m−90°)と記載し、270°遅れの電圧値をV(m−270°)と記載し、サンプリング周期単位で3個前(定格周波数で90°前に相当する)の電圧値をV(m−3)と記載し、サンプリング周期単位で9個前(定格周波数で270°前に相当する)の電圧値をV(m−9)と記載する。デジタル保護リレー装置10に入力される電圧信号および電流信号の周波数(以下、入力周波数とも称する)をfとし、定格周波数をfnとする。
図3は、デジタル保護リレー装置に入力される電圧信号の周波数が定格周波数よりも増加した場合の電圧ベクトル図である。図3を参照して、電圧ベクトルV(m−3)とV(m−90°)とのなす角度をθ1(f)とし、電圧ベクトルV(m−9)とV(m−270°)とのなす角度をθ2(f)とする。なお、θ1(f)およびθ2(f)は、θ1およびθ2が入力周波数fの関数であることを表す。入力周波数fが定格周波数fnに等しい場合は、θ1=θ2=0である。
角度θ1(f)およびθ2(f)は、入力周波数fおよび定格周波数fnを用いて、
θ1(f)=90°・(f−fn)/fn …(10)
θ2(f)=270°・(f−fn)/fn=3・θ1(f) …(11)
でそれぞれ求められる。したがって、角度θ2とθ1との差Δθ(f)は、
Δθ(f)=2・θ1(f) …(12)
で与えられる。
前述の式(3A)(ただし、k=6)は、周波数ずれで生じたV(m−3)の角度誤差θ1(f)をベクトル(V(m−3)+V(m−9))×P3によって補正するものである。図3に示すように、ベクトル(V(m−3)+V(m−9))は、周波数fが定格周波数の場合には零であり、定格周波数より変化した(図では増加)した場合にはV(m−3)の位相ずれを補正する方向にある。Δθがθ1の2倍であるので、その逆数の1/2を係数P3としてベクトル(V(m−3)+V(m−9))に乗じて補正するようにした。定格周波数からの周波数変化が小さく、したがってθ1が小さい場合には、補正による誤差は小さくなる。
より一般的に、サンプリング周期が定格周波数時の電気角φの場合で、現時点よりもg×φ遅れ(ただし、gは1≦g<kを満たす整数、k=180°/φ)電圧値が必要な場合について説明する。現時点の電圧値をV(m)と記載し、g×φ遅れの電圧値をV(m−g・φ)と記載し、g×φよりもさらに180°遅れた電圧値をV(m−(g+k)・φ)と記載し、サンプリング周期単位でg個前の電圧値をV(m−g)と記載し、サンプリング周期単位で(g+k)個前の電圧値をV(m−(g+k))と記載する。
電圧ベクトルV(m−g)とV(m−g・φ)とのなす角度θ1(f)と、電圧ベクトルV(m−(g+k))とV(m−(g+k)・φ)とのなす角度θ2(f)とは、
θ1(f)=g・φ・(f−fn)/fn …(13)
θ2(f)=(g+k)・φ・(f−fn)/fn=(1+k/g)・θ1(f) …(14)
でそれぞれ与えられる。
したがって、角度θ2と角度θ1との差Δθ(f)は、
Δθ(f)=k/g・θ1(f) …(15)
で与えられる。
電圧値V(m−g)は、前述の式(4A)に従って電圧値V(m−(g+k))と補正係数Pgとを用いて補正されるので、補正係数Pgは、
Pg=θ1(f)/Δθ(f)=g/k …(16)
で与えられる。
[位相誤差および振幅誤差の計算]
前述の式(3A)に従って補正されたデータV(m−3)は、リレー演算に必要なV(m−90°)と完全には一致せず、両者には誤差がある。次にこの誤差(位相誤差および振幅誤差)の計算方法について説明する。
図4は、データ補正時の誤差計算の方法について説明するためのベクトル図である。図4のベクトル図は、前述の式(3B)などにおける電圧ベクトルV(m−3)、V(m−9)、V(m−90°)、およびV(m−3)の相互の関係を示している。ここで、補正前の電圧ベクトルV(m−3)、V(m−9)、V(m−90°)の各々の振幅を1とし、補正後の電圧ベクトルV(m−3)の振幅をXとする。電圧ベクトルV(m−3)とV(m−3)とのなす角度をθxとする。図4では簡単のために補正係数P3の添え字を省略して単にPと記載している。
図4において、電圧ベクトル(1+P)×V(m−3)、P×V(m−9)、およびV(m−3)によって構成される三角形に対して余弦定理および正弦定理を適用することによって、
X2=(1+P)2+P2−2・(1+P)・P・cosΔθ …(17)
X/sinΔθ=P/sinθx …(18)
で表される関係式が得られる。
入力周波数fが分かれば、前述の式(10)および(12)に従ってΔθ(f)が計算できるので、上式(17)および(18)に従ってXおよびθxを計算することができる。これによって、位相誤差θ1−θx、および振幅誤差X−1を計算することができる。
図5は、図4を一般化したベクトル図である。図5のベクトル図は、前述の式(4B)などにおける電圧ベクトルV(m−g)、V(m−g−k)、V(m−g・φ)、およびV(m−g)の相互の関係を示している。ここで、補正前の電圧ベクトルV(m−g)、V(m−g−k)、V(m−g・φ)の各々の振幅を1とし、補正後の電圧ベクトルV(m−g)の振幅をXとする。電圧ベクトルV(m−g)とV(m−g)とのなす角度をθxとする。図5では簡単のために補正係数Pgの添え字を省略して単にPと記載している。
図5において、電圧ベクトル(1+P)×V(m−g)、P×V(m−g−k)、およびV(m−g)によって構成される三角形に対して余弦定理および正弦定理を適用することによって、図4の場合と同様に前述の式(17)および(18)の関係が得られる。入力周波数fが分かれば、前述の式(13)および(15)に従ってΔθ(f)が計算できるので、上式(17)および(18)に従ってXおよびθxを計算することができる。
図6は、入力周波数が定格周波数よりも5%ずれた場合について、位相誤差および振幅誤差の計算結果を表形式で示した図である。なお、周波数で5%の変化量は、通常運転状態であり得ない値であり、JEC(電気規格調査会:Japanese Electrotechnical Committee)で定められている規格の最大値である。
図6を参照して、一番左の欄から順に、リレー演算に必要な位相角、補正前の電圧データ、周波数が5%ずれた場合の補正前の電圧データの位相誤差、補正式、補正係数(P値とも称する)、補正後の電圧データの位相誤差、補正後の電圧データの振幅誤差が示されている。サンプリング周期は定格周波数時で電気角30°の場合であり、前述のk=6(K=12)に相当する。図6から明らかなように、本実施形態によれば位相誤差の改善が顕著であり、振幅値誤差を考慮してもリレー演算としては問題ないレベルである。
[デジタル保護リレー装置の動作のまとめ]
図7および図8は、第1の実施形態によるデジタル保護リレー装置の動作を示すフローチャートである。図7は、電圧および電流のデジタルデータが補正前データ格納部に格納されるまでの手順を示し、図8は、補正前データ格納部に格納されたデータを用いてリレー演算を行う手順を示す。以下、図1、図7、図8を参照してこれまでの説明を総括する。
まず、デジタル保護リレー装置10は、電圧変成器4および電流変成器6を介して、電力系統の電線路2の電圧および電流の瞬時値を検出する(ステップS100)。アナログ回路12において、検出された電圧信号および電流信号に対してレベル変換およびフィルタ処理等のアナログ信号処理が行われる(ステップS110)。アナログ信号処理後の電圧信号および電流信号は、AD変換器14によってAD変換される(ステップS120)。AD変換器14から出力されたデジタルデータに対して予め定められた周期Tsごとにデジタルフィルタ処理が実施されることによって、最終的に定格周波数fnの2×k倍(kはk≧1を満たす整数)のサンプリング周波数fs(fs=1/Ts)で電圧データおよび電流データが生成される(S130)。生成された電圧データおよび電流データは、補正前データ格納部24に格納される(ステップS140)。
次に、補正演算部26は、補正前データ格納部24に格納されたデータを補正する(ステップS300)。具体的には、前述の式(4A)に従って、現時点よりもg個前の電気量のデジタル値(電圧値または電流値)は、現時点よりも(g+k)個前の電気量のデジタル値(k個前は定格周波数で180°前に相当する)と、式(16)で表される補正係数Pgとを用いて補正される。補正されたデータは補正後データ格納部30に格納される(ステップS310)。
次に、リレー演算部32は、補正前データ格納部24に格納されたデータまたは補正後データ格納部30に格納されたデータを用いてリレー要素演算を実行する(ステップS320)。位相特性が重要となるリレー要素の演算では補正後データ格納部30に格納されたデータがリレー演算に用いられる。
続いて、ロジック処理部34は、リレー演算結果に基づいて保護区間の故障判定を行う(ステップS330)。出力処理部18は、故障区間を電力系統から切り離すために遮断器の開放指令を出力する(ステップS340)。
[第1の実施形態の効果]
図6から明らかなように、第1の実施形態のデジタル保護リレー装置によれば、位相角の誤差を保護リレー装置の特性として問題ないレベルまで減らすことが可能となり、周波数特性を改善できるという効果がある。
さらに、前述の式(4A)に示すように、現時点よりもg個前のデジタル値(電圧値または電流値)を補正する補正項として、g個前のデジタル値と(g+k)個前のデジタル値(k個前は、定格周波数で電気角180度前に相当する)との加算結果に補正係数を乗じた値が用いられる。したがって、入力周波数と定格周波数とにずれがない場合の補正項の値は零になるのでリレー演算結果に影響はない。このように、入力周波数が不明の場合でもリレー演算に必要な電気量のデジタル値(電圧値および電流値)を簡単な補正式で補正することができる。
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、補正係数Pgを前述の式(16)で与えられる値に設定することによって、位相誤差を保護リレー装置の特性として問題ないレベルに減らした。第2の実施形態では、位相誤差をさらに少なくするために、予め定められた入力周波数fにおいて位相誤差が零になるように第1の実施形態とは異なる値に補正係数Pgを定めたものである。
図9は、第2の実施形態において補正係数Pgを決定する方法を説明するためのベクトル図である。図9のベクトル図は、図5のベクトル図に対応するものである。ただし、図9では、予め定められた入力周波数fにおいて位相誤差(すなわち、図5のθ1(f)−θx)が零となるように補正係数Pgが定められる。なお、図9では、補正係数Pgの添え字gが省略されている。
具体的に、入力周波数fが定格周波数fnよりも5%増加した場合において位相誤差が零となるように、すなわち、図9において電圧ベクトルV(m−g・φ)の方向と、電圧ベクトルV*(m−g)の方向とが一致するように補正係数Pを定める。なお、電圧ベクトルV*(m−g)の大きさ(X)は、電圧ベクトルV(m−g・φ)の大きさ(ここでは、1とする)と異なっている。
補正係数Pを決定するために、電圧ベクトル(1+P)×V(m−g)、P×V(m−g−k)、およびV(m−g)によって構成される三角形に対して正弦定理を適用する。これによって、
X/sinΔθ(f)=P/sinθ1(f)=(1+P)/sin(180°−θ1(f)−Δθ(f)) …(19)
で表される関係式が得られる。
ここで、入力周波数を定格周波数のfnの5%増しに設定した場合、前述の式(13)および(15)に従ってθ1(f)およびΔθ(f)が計算できる。したがって、前述の式(17)と上式(19)とによって、XとPgとを計算することができる。
図10は、第2の実施形態の場合において、位相誤差および振幅誤差の計算結果を表形式で示した図である。図10には、入力周波数fが定格周波数よりも5%ずれた場合と3%ずれた場合とで、位相誤差と振幅誤差の計算結果が示されている。定格周波数でのサンプリング周期Tsは30°としている。すなわち、k=6の場合に相当する。
図10に示すように、第2の実施形態のデジタル保護リレー装置によれば、位相誤差を零とする周波数を決める(上記の例では必要な周波数帯の最大のずれとなる周波数として5%で位相誤差を零にした)ことによって、必要とする周波数帯で、位相誤差をさらに減らすことが可能になり、周波数特性のさらなる改善が可能となる。
以下、リレー演算に2サイクル前の電圧値または電流値の位相が必要な場合を例に挙げて、第2の実施形態の効果についてさらに説明する。仮に、入力周波数fが定格周波数fnに対して5%ずれているとすると、補正前の電圧データまたは電流データでは、2サイクル前の電圧値または電流値の位相角誤差は、720°×0.05=36°になる。
第1の実施形態では、補正係数Pgは式(16)で与えられるので、2サイクル前の電圧値または電流値を補正する際の補正係数Pgは、g=4kとして、Pg=4k/k=4となる。したがって、式(17)および式(18)に従って誤差計算を行うと、位相誤差が5.2°、振幅誤差が22%となる。このように位相誤差は5°を超えて無視できない角度になる。
一方、第2の実施形態では、入力周波数fが定格周波数fnに対して5%ずれている場合に位相誤差が0となるようにすると、g=4kの場合の補正係数Pは4.926となる。この場合、振幅誤差は31%に増加するが、位相角誤差は零である。なお、入力周波数fが定格周波数fnに対して3%ずれている場合には、位相誤差=2.4°、振幅誤差=12.2%となり、位相誤差は保護リレー装置の特性上問題ないレベルに低減される。
<第3の実施形態>
第2の実施形態では、入力周波数fが定格周波数fnよりも予め定められた周波数だけずれた場合に(たとえば、5%ずれた場合)、保護リレー装置の周波数特性を改善できる補正方法を示した。第3の実施形態では、入力された電圧データまたは電流データから入力周波数fの値を算出し、算出した入力周波数fに応じて最適な補正を行うようにしたものである。以下、図面を参照して具体的に説明する。
図11は、第3の実施形態によるデジタル保護リレー装置10Aの構成を示すブロック図である。図11の演算処理部16Aは、周波数演算部36をさらに含む点で図1の演算処理部16Aと異なる。
周波数演算部36は、補正前データ格納部24に格納された電圧データまたは電流データに基づく公知の方法で周波数演算を行う。たとえば、周波数演算部36は、
A={V(m-3)・V(m-6)−V(m)・V(m-9)}
/{V(m-3)・V(m-3)−V(m)・V(m-6)} …(20)
f={cos-1(A)/2)}・2・fn/π …(21)
に従って、入力周波数fを算出する。式(21)において、πは円周率を表す。
なお、電力系統の周波数は、系統故障時でも通常は急激に変化しない。したがって、系統故障が無い状況下では、上記の周波数の演算はサンプリング周期Ts(=1/fs)ごとに実行する必要はない。
補正演算部26は、現時点よりもg個前の電圧値V(m−g)を補正する際に、さらにk個前の電圧値V(m−g−k)と補正係数Pf1,Pf2とを用いて、
V*(m-g)=V(m-g)+V(m-g)・Pf1+V(m-g-k)・Pf2 …(22)
に従って補正する。すなわち、電圧値V(m−g)を補正する補正項は、電圧値V(m−g)と電圧値V(m−g−k)との線形結合によって得られる。
上式(22)の補正係数Pf1およびPf2は、種々の入力周波数fにそれぞれ対応して補正係数記憶部28に予め記憶されている。周波数演算部36によって算出された入力周波数fに対応する補正係数Pf1およびPf2が補正係数記憶部28から読み出されて、補正演算に使用される。
図11のその他の点は図1の場合と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
図12は、第3の実施形態において補正係数Pf1,Pf2を決定する方法を説明するためのベクトル図である。図12のベクトル図は、図5および図9のベクトル図に対応するものである。ただし、図12の場合には、電圧値V(m−g)に乗算される補正係数Pf1と、電圧値V(m−g−k)に乗算される補正係数Pf2とが別々に設けられる。さらに、算出された入力周波数fにおいて、補正後の電圧値V*(m−g)の位相誤差および振幅誤差がいずれも零となるように補正係数Pf1,Pf2が定められる。すなわち、図12において、電圧ベクトルV*(m−g)は電圧ベクトルV(m−g・φ)に一致する。
補正係数Pf1,Pf2を決定するために、電圧ベクトル(1+Pf1)×V(m−g)、Pf2×V(m−g−k)、およびV(m−g)によって構成される三角形に対して正弦定理を適用する。これによって、
1/sinΔθ(f)=Pf2/sinθ1(f)
=(1+Pf1)/sin(180°−θ1(f)−Δθ(f)) …(23)
で表される関係式が得られる。
ここで、入力周波数fが分かっていると、前述の式(13)および(15)に従ってθ1(f)およびΔθ(f)が計算できる。したがって、上式(23)を用いることによって、補正係数Pf1およびPf2を決定することができる。
図13は、入力周波数fが定格周波数fnに対して1〜5%ずれている場合にそれぞれ計算された補正係数Pf1,Pf2の値を表形式で示す図である。図13の表は、定格周波数でのサンプリング周期Tsに相当する電気角φを30°として(すなわち、k=6)、現時点よりも3個前の電圧値V(m−3)を補正する場合(すなわち、g=3)の補正係数Pf1,Pf2の計算結果を示している。
図14は、図11の補正係数記憶部28に格納される補正テーブルの例を示す図である。図14の補正テーブルは、図13に示す補正係数の計算結果に基づいて作成したものである。図14の補正テーブルを参照することによって、φ=30°(k=6)、g=3の場合において、算出された入力周波数fに対応する補正係数Pf1,Pf2が決定される。他のφおよびgの値に対応した補正テーブルも同様に作成され、図11の補正係数記憶部28に格納される。
なお、図14の例では、入力周波数が1%ずれる毎に新たな補正係数Pf1,Pf2が設定されているが、リレー演算に要求される誤差の程度に応じて、入力周波数の刻み幅を変更しても構わない。
図15は、第3の実施形態によるデジタル保護リレー装置の動作を示すフローチャートである。図15のフローチャートは、図8のフローチャートに対応するものであるが、ステップS200およびS210がさらに設けられている点で図8のフローチャートと異なる。
図11および図15を参照して、第3の実施形態では、周波数演算部36は、補正前データ格納部24に格納されている電圧データまたは電流データを用いて現時点の入力周波数fを算出する(ステップS200)。算出された入力周波数fに対応する補正係数Pf1,Pf2が、補正係数記憶部28に格納された補正テーブルに基づいて決定される(ステップS210)。なお、電力系統の周波数は急激には変化しないので、周波数の算出はサンプリング周期Ts毎に行わなくても構わない。
次に、補正演算部26は、決定された補正係数Pf1,Pf2を用いて、補正前データ格納部24に格納されたデータを補正する(ステップS300A)。その後のステップは、図8の場合と同じであるので、同一または相当するステップには同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
上記のとおり、第3の実施形態によるデジタル保護リレー装置によれば、電力系統の周波数fに応じて補正係数Pf1,Pf2を選択するようにしたので、電圧データまたは電流データを補正する際に位相誤差および振幅誤差をほぼ零にすることができ、保護リレー装置の周波数特性をさらに改善できる。
今回開示された各実施形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 電線路、4 電圧変成器、6 電流変成器、10,10A デジタル保護リレー装置、12 アナログ回路、14 AD変換器、16,16A 演算処理部、18 出力処理部、22 フィルタ処理部、24 補正前データ格納部、26 補正演算部、28 補正係数記憶部、30 補正後データ格納部、32 リレー演算部、34 ロジック処理部、36 周波数演算部。

Claims (7)

  1. 電力系統から検出された電気量の瞬時値をデジタル値に変換するAD(Analog to Digital)変換器と、
    前記AD変換器の出力に基づいて、定格周波数の2×k倍(kは1以上の整数)の周波数に対応したサンプリング周期ごとに前記電気量のデジタル値を順次格納するデータ格納部と、
    前記電力系統の周波数変動の影響を抑制するために、前記データ格納部に格納された電気量のデジタルデータを補正する補正演算部と、
    前記補正された電気量のデジタルデータに基づいてリレー演算を行うリレー演算部とを備え、
    前記補正演算部は、現時点よりもg個前(gは1以上の整数)に前記データ格納部に格納された電気量のデジタル値を補正する場合には、現時点よりも(g+k)個前に前記データ格納部に格納された電気量のデジタル値を用いて、前記g個前に格納された電気量のデジタル値を補正するように構成される、デジタル保護リレー装置。
  2. 前記補正演算部は、前記g個前に格納された電気量のデジタル値に補正項を加算することによって、前記g個前に格納された電気量のデジタル値を補正するように構成され、
    前記補正項は、前記g個前に格納された電気量のデジタル値と前記(g+k)個前に格納された電気量のデジタル値との線形結合によって表される、請求項1に記載のデジタル保護リレー装置。
  3. 前記補正項は、前記g個前に格納された電気量のデジタル値と前記(g+k)個前に格納された電気量のデジタル値とを加算した値に、補正係数を乗算することによって得られる、請求項2に記載のデジタル保護リレー装置。
  4. 前記補正係数はg/kに等しい、請求項3に記載のデジタル保護リレー装置。
  5. 前記電力系統の周波数のずれ量が予め定められた値のときに、前記g個前に格納された電気量のデジタル値を補正することによって得られる値の位相誤差が0となるように、前記補正係数が定められる、請求項3に記載のデジタル保護リレー装置。
  6. 前記デジタル保護リレー装置は、前記データ格納部に格納された電気量のデジタルデータに基づいて前記電力系統の周波数を算出する周波数演算部をさらに備え、
    前記補正項は、前記g個前に格納された電気量のデジタル値に第1の補正係数を乗算した値と、前記(g+k)個前に格納された電気量のデジタル値に第2の補正係数を乗算した値とを加算することによって得られ、
    前記第1および第2の補正係数は、算出された前記電力系統の周波数に従って決定される、請求項2に記載のデジタル保護リレー装置。
  7. 前記補正演算部によって補正された電気量のデジタルデータを格納するための補正データ格納部をさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載のデジタル保護リレー装置。
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