JP2011142709A - 保護継電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】事故相の電圧を精度よく計測することが可能な保護継電装置を提供すること。
【解決手段】電力系統から入力される3相の電圧から事故相を判定して事故相電圧11を出力可能な事故相判定部10と、この事故相判定部10と並列的に設けられ、前記3相の電圧から健全相を判定して健全相電圧13を出力可能な健全相判定部12と、健全相判定部12から出力された健全相電圧13が2相存在する場合に、前記2相の健全相電圧13のベクトル和として基準電圧15を作成する基準電気量作成部14と、事故相電圧11と基準電圧15との積の絶対値を半サイクルの整数倍の期間で積分した値に基づいて、事故相電圧11の振幅値を求める振幅値演算部17と、を備える保護継電装置を提供する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電力系統を保護する保護継電装置に関する。
従来、保護継電装置では、電気量の振幅値演算が行われ、この演算結果に基づいて保護継電装置を動作させることで電力系統の保護が図られている。また、振幅値演算は、事故相も含めて各相に対して同一の振幅値演算が行なわれている。
非特許文献1の111ページには、振幅値演算の基本的な演算アルゴリズムの例が紹介されている。これらの例では、サンプリングされたデータに加算・減算・乗算等を施して振幅値を求めている。また、同文献の100ページには、ディジタルリレーの演算構成の一般例が示されている。さらに、事故時電圧の様相について、42,44ページに一般的事例が示され、39ページには詳細検討事例が示されている。
また、特許文献1では、保護継電装置の一例として母線保護装置が記載されている。
特開平3−082333号公報
大浦好文編、「保護リレーシステム工学」、(社)電気学会
しかしながら、従来の保護継電装置では、事故相の電圧は微小であるため、その振幅値演算の誤差が大きくなるという問題があった。
例えば、非特許文献1に記載された振幅値演算のアルゴリズムを用いた場合、サンプリングされたデータに含まれる誤差・雑音の影響を受けるため、事故相の電圧のように微小電圧の演算に於いては誤差が増大する傾向にあった。
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、事故相の電圧を精度よく計測することが可能な保護継電装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る保護継電装置は、電力系統から入力される3相の電圧から事故相を判定して事故相電圧を出力可能な事故相判定部と、この事故相判定部と並列的に設けられ、前記3相の電圧から健全相を判定して健全相電圧を出力可能な健全相判定部と、前記健全相判定部から出力された前記健全相電圧が2相存在する場合に、前記2相の健全相電圧のベクトル和として基準電圧を作成する基準電気量作成部と、前記事故相電圧と前記基準電圧との積の絶対値を半サイクルの整数倍の期間で積分した値に基づいて、前記事故相電圧の振幅値を求める振幅値演算部と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、事故相電圧と基準電圧との積の絶対値を半サイクルの整数倍の期間積分した値に基づいて事故相電圧の振幅値を得るようにしたので、微小電圧となる事故相電圧を高精度で計測できるという効果を奏する。特に、振幅値の演算は、電力系統の基本周波数を選択的に抜き出すフィルタ演算であるので、事故相に重畳された雑音信号を抑制することができ、電圧を精度よく求めることができる。
図1は、実施の形態1に係る保護継電装置と電力系統の関係を示す構成図である。 図2は、実施の形態1に係る保護継電装置の保護演算部の内部構成例を示す図である。 図3は、実施の形態1の基準電気量作成部による基準電圧の作成方法を示す図である。 図4は、実施の形態1の振幅値演算部の出力する振幅値の位相特性を示す図である。 図5は、実施の形態2に係る保護継電装置の保護演算部の内部構成例を示す図である。 図6は、実施の形態2の基準電気量作成部による基準電圧の作成方法を示す図である。 図7は、実施の形態3に係る保護継電装置の保護演算部の内部構成例を示す図である。 図8は、実施の形態3の振幅値演算部の出力する振幅値の位相特性を示す図である。 図9は、実施の形態4に係る保護継電装置の保護演算部の内部構成例を示す図である。
以下に、本発明に係る保護継電装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る保護継電装置と電力系統の関係を示す構成図である。図1において、例えば変電所に配設された3相の母線1a,1b,1cが示されており、これらの母線1a〜1cからはそれぞれ引き出し線2a,2b,2cが引き出されている。また、引き出し線2a,2b,2cには、それぞれ遮断器3a,3b,3cが設けられている。図示例では、例えば引き出し線2aにて事故が発生しており、事故の発生箇所を事故点4により示している。
引き出し線2a,2b,2cは、線路側に設けられた計器用変圧器(VT:Voltage Transformer)5a,5b,5cにそれぞれ接続され、さらに計器用変圧器5a,5b,5cは保護継電装置9に接続されている。
保護継電装置9は、入力変換器群6と保護演算部7と出力回路8とを有する。入力変換器群6は、保護継電装置9における引き込み口に設けられ、計器用変圧器5a〜5cにてそれぞれ検出された各相の電圧に対して例えばディジタル化等の入力変換を行う。保護演算部7は、この入力変換器群6からの出力に基づいて後述の保護演算を行う。出力回路8は、保護演算部7の演算結果に基づいて保護継電装置9の出力を行う回路である。
次に、保護継電装置9の全体的な動作について説明する。保護継電装置9は、保護対象である引き出し線2a〜2cのうち例えば引き出し線2aにて事故が発生すると(事故点4)、図示しない計器用変流器により、引き出し線2aの事故電流を検出し、遮断器3aに対して遮断指令信号を送出する。遮断器3aは、遮断指令信号を受けると、遮断動作を行い、これにより事故電流が遮断され、電力系統の健全性が保たれる。
遮断器3a〜3cへの遮断指令信号は、例えば、1線地絡事故(図1の例など)の場合は、健全相(事故が発生していない相)による電力の継続的送電が可能なため、事故相のみを遮断する方法がとられる(遮断器3aのみに対して遮断指令信号を送出)。
保護継電装置9は、事故様相を的確に判断するため、計器用変圧器5a〜5cを介して系統側の電圧を観測する。すなわち、計器用変圧器5a〜5cの出力は保護継電装置9に入力され、入力変換器群6によりディジタル化された後、保護演算部7に入力されて電圧の計測が行われる。この電圧の計測結果は、例えば、事故相のアーク除去などの観測に使用されるが、事故相の電圧は微小電圧であるため、誤差が増大する傾向にあり、精度良く計測するためには特別の工夫が必要となる。
図2は、保護継電装置9における保護演算部7の内部構成例を示す図である。図2に示すように、保護演算部7は、事故相を判定して事故相電圧11を出力可能な事故相判定部10と、この事故相判定部10と並列的に設けられ、健全相を判定して健全相電圧13を出力可能な健全相判定部12と、健全相電圧13から基準電圧15を作成する基準電気量作成部14と、事故相電圧11と基準電圧15との積の絶対値の半サイクル積算に基づいて事故相電圧11の振幅値を演算する振幅値演算部16と、この振幅値演算部16の演算結果などに基づき、振幅値演算処理以降の所定の演算を行う演算部17と、を備えている。
図3は、基準電気量作成部14による基準電圧15の作成方法を示す図である。図3は、非特許文献1の図3.20のVbF,VcFを健全相電圧として抜き出したものである。図3では、各電圧はベクトル表現され、基準電圧15は2相の健全相電圧13a,13bのベクトル和として作成される。なお、以下では、事故は1相で発生する場合を想定する。したがって、事故が発生した場合、健全相電圧13は、図3のように2相の健全相電圧13a,13bからなるものとする。
次に、動作について説明する。まず、事故相判定部10は、例えば、各相の入力に対して適用される不足電圧演算により、不足電圧を呈した相に事故が発生したと判定すると、入力変換器群6からのその相の電圧出力を事故相電圧11とする。また、健全相判定部12は、例えば、前述の不足電圧演算により、不足電圧を呈しなかった相を健全相として判定すると、入力変換器群6からのその相の電圧出力を健全相電圧13とする。なお、事故相判定部10の不足電圧演算の検出値と、健全相判定部12の不足電圧演算の検出値とは、同一であることを要しないのが一般的である。
健全相電圧13の様相は、図3に示す通り、ベクトルとして健全相電圧13a,13bのようになっており、基準電気量作成部14により、これらのベクトル和として基準電圧15が作成される。この場合、図示はしていないが、事故相電圧11は、非特許文献1の42ページの図3.20の如く、図3の基準電圧15のほぼ反対側に存在する。すなわち、事故相電圧11は健全相電圧13a,13bに対してそれぞれ略120°の位相関係にあると想定され、この場合、事故相電圧11と基準電圧15との位相差は略180°となる。このように基準電圧15は、事故相電圧11との相関が高くなるように設定される。
続いて、振幅値演算部16は、
Figure 2011142709
なる演算を行う。ここで、Vk(i)はサンプリングされた基準電圧15、Vf(i)はサンプリングされた事故相電圧11、iは時間に関するサンプリング列を示す自然数、nは半サイクルに対応するサンプリング数、Vtは振幅値演算部16の出力する振幅値を表す。また、
Figure 2011142709
である。(1)式では、基準電圧15と事故相電圧11との同一サンプリング点における乗算の絶対値を半サイクル積分した値に基づき、事故相電圧11の振幅値Vtを求めている。
ここで、(1)式について詳細に説明する。基準電圧15を時間tの関数として表すと、例えばVk=(√2)*Vk0*sin(wt)で与えられ、事故相電圧11を時間tの関数として表すと、例えばVf=(√2)*Vf0*sin(wt+θ)で与えられる。ここで、Vk0は基準電圧15の振幅値、wは電力系統の基本周波数、Vf0は事故相電圧11の振幅値、θは基準電圧15と事故相電圧11との位相差である。なお、Vk(i)は、時間tを例えばΔtの間隔でサンプリングしたときに、Vk(i)=(√2)*V0*sin(wΔt*i)と表される。同様に、Vf(i)=(√2)*Vf0*sin(wΔt*i+θ)である。
また、上記(1)式のVtは、|Vk(t)*Vf(t)|の半サイクル積分を、|Vk(t)*Vk(t)|の半サイクル積分で除することにより与えられることから、Vtは下記の(3)式で表される。

Vf0/Vk0*{(π−2θ)*cos(θ)+2sin(θ)}/π・・・・(3)

なお、この積分と同様の積分については、特許文献1の197ページの下段および198ページ上段にわたって詳細に説明されているので、ここではその説明を省略する。また、特許文献1では、母線保護装置の抑制量の導出演算に零相電圧と零相差動電流との積の絶対値を半サイクル積分する方式が用いられているが、零相有効分差動電流の大きさと零相抑制電流の大きさとの関係を求めることを目的としており、本実施の形態のように大きさそのものを求めることを目的とするものとは異なる。
上記(3)式に示すように、振幅値演算部16の出力する振幅値Vtは、Vf0に比例し、事故相電圧11と基準電圧15の位相差θに依存する。この位相特性を図4に示す。図4は、振幅値演算部16の出力する振幅値Vtの位相特性を示す図であり、特許文献1の第3図に対応する図である。図4では、基準電圧15のベクトルとしての方向をOP方向に固定し(基準相)、上記(3)式のVf0/Vk0を除く部分をその大きさとするOQベクトルを事故相として表している。すなわち、振幅値Vtは、位相差θに依存して図4のOQベクトルのように変化する。これからわかるように、位相差θが90°のときでもOQベクトルの大きさは2/π〜0.637であって、0とはならないので、仮に事故相電圧11と基準電圧15との相関が低い場合(すなわち、位相差θが90°に近い場合)でも、(1)式を用いて事故相電圧11の振幅値を定義することができる。
上記のように、本実施の形態では、健全相電圧13a,13bから作成された基準電圧15と事故相電圧11との乗算の絶対値を半サイクル積分した値に基づいて事故相電圧11の振幅値を得るようにしている。この際、基準電圧15は、事故相電圧11との相関が高くなるように健全相電圧13a,13bのベクトル和として設定されている。これは実質的に事故相電圧11に関する位相情報を利用したものであり、これにより1サイクルの積分ではなく半サイクルの積分に基づいて振幅値を得ている。また、(1)式では、乗算の絶対値を積分することにより、基準電圧15と事故相電圧11との相関が仮に低い場合でも振幅値が0にならないように保障している。さらに、基準電圧15は、電力系統の基本周波数wを有する例えば正弦関数であるので、上記(1)式は、事故相電圧11に対するフィルタ演算であり、基本周波数wを選択的に抜き出す特性を有する。したがって、(1)式によれば、事故相電圧11に含まれる雑音(ランダムで広帯域の周波数成分を有する)が抑制され、事故相電圧11と基準電圧15との間に一定の位相差がある場合でも、振幅値に対して、誤差を抑制する効果がある。
以上のように、本実施の形態によれば、微小電圧となる事故相電圧11の振幅値を高精度で計測できるという効果がある。
なお、上記(1)式、および(2)式における積分範囲は、一般に、半サイクルの整数倍であってよい。半サイクルの複数倍の期間について積分する場合、(1)式による振幅値Vtは、Kの逆数を含むことから、この期間における平均値を求めることに相当する。すなわち、振幅値Vtは、半サイクル期間の各積分値の平均値を求めることになる。
実施の形態2.
実施の形態1では、基準電圧15を健全相電圧13a,13bから作成しているが、電力系統から検出された健全相電圧13a,13bには電圧歪みが存在する可能性がある。一般に、電圧歪みの少ない方がより正確な事故相の振幅値演算が可能となる。そこで、本実施の形態では、基準電圧として保護継電装置9内に保有する基準波形を利用するものである。このようにすれば、事故相に対し、健全相電圧13a,13bの電圧歪みの程度に影響されない普遍的な対応が可能となる。
図5は、本実施の形態に係る保護継電装置の保護演算部の内部構成例を示す図である。図5に示すように、保護演算部7は、事故相を判定して事故相電圧11を出力する事故相判定部10と、健全相を判定して健全相電圧13を出力する健全相判定部12と、健全相電圧13から基準電圧21を作成する基準電気量作成部20と、事故相電圧11と基準電圧21との積の絶対値の半サイクル積算に基づいて事故相電圧11の振幅値を演算する振幅値演算部16と、この振幅値演算部16の演算結果などに基づき、振幅値演算処理以降の所定の演算を行う演算部17と、を備えている。
図6は、基準電気量作成部20による基準電圧21の作成方法を示す図である。図6において、基準電気量作成部20は、その内部に例えば正弦波データである基準データ群22を備えている。具体的には、基準データ群22は、少なくとも半サイクル分の正弦波のサンプリングデータ:

sin(wt1),sin(wt2),sin(wt3),・・・,sin(wtn)

からなる。ここで、t1,t2,t3,・・・,tnは半サイクルにおけるサンプリング時間を表し、wは電力系統の基本周波数を表す。
また、基準電気量作成部20は、図3に示すようにして健全相電圧13a,13bから基準電圧15を算出した後、基準データ群22と基準電圧15とを比較することにより基準データ群22と基準電圧15との位相差を求める。この位相差をφとすると、これを時間換算した時間オフセットjはj=φ/(2π)*T/Δtで与えられる。ここで、Δtはサンプリング間隔を表す。基準電気量作成部20は、基準データ群22の位相を位相差φ分シフトしたものを基準電圧21として、基準電圧15と基準電圧21との位相差が0になるように調整する。例えば、図6のように基準データ群22が半サイクル分のみ用意されている場合、sin{w(t1+tj)}を先頭に基準データ群22を循環的に並び替えたものが基準電圧21となる。
次に、図5を参照して、本実施の形態の動作について説明する。事故相判定部10による事故相電圧11の判定、および健全相判定部12による健全相電圧13の判定までは実施の形態1と同様である。次に、基準電気量作成部20は、健全相電圧13a,13bのベクトル和を求め、当該ベクトル和に相当する電圧(実施の形態1の基準電圧15)と自身の保持する基準データ群22との位相差φを求める。そして、基準電気量作成部20は、基準データ群22に対してこの位相差φに相当する時間オフセットj分位相シフトさせたデータを基準電圧21として振幅値演算部16に出力する。
従って、振幅値演算部16にて行う演算は同じであるが、結果的な演算式としては、
Figure 2011142709
となる。ここで、Vl(j+i)はサンプリングされた基準電圧21、Vf(i)はサンプリングされた事故相電圧11、iは時間に関するサンプリング列を示す自然数、nは半サイクルに対応するサンプリング数、jは前記時間オフセット、Vtは振幅値演算部16の出力する振幅値を表す。また、
Figure 2011142709
である。上記(4)式では、基準電圧21と事故相電圧11との同一サンプリング点における乗算の絶対値を半サイクル分積分することにより、事故相電圧11の振幅値Vtを求めている。振幅値Vtの位相特性、すなわち、事故相電圧11と基準電圧21との間の位相差θに関する特性は、図4に示すとおりである。
本実施の形態の形態によれば、事故相電圧11に乗算される基準電圧21の作成に、保護継電装置9の内部に保持された基準データ群22を使用しているので、系統電圧よりも歪みの少ない波形を用いることとなり、より正確な振幅値を求めることができるという効果がある。
なお、基準データ群22は、上記のように、系統の基本周波数wを有する例えば正弦波の一部であって、事故相電圧11と同じサンプリング間隔のデータ列からなり、そのデータ列の範囲が基本周波数の半サイクル分をなすものであればよいとしたが、サンプリング間隔は揃っていなくとも、補間等により対応するサンプリング点のデータを作成し使用することもできる。また、正弦波データの代わりに余弦波データを用いることもできるが、双方を同時に用いる必要はない。
なお、上記(4)式、および(5)式における積分範囲は、一般に、半サイクルの整数倍であってよい。半サイクルの複数倍の期間について積分する場合、(4)式による振幅値Vtは、Kの逆数を含むことから、この期間における平均値を求めることに相当する。すなわち、振幅値Vtは、半サイクル期間の各積分値の平均値を求めることになる。
ところで、基準データ群22の周波数wは、厳密に言えば、実際の系統の基本周波数ではなく、保護継電装置9内で生成された周波数であるため、双方の差は極めて小さいものの微小な誤差が存在する場合がある。この実際の系統の基本周波数を保護継電装置9が有する周波数で代用したことによる誤差は、半サイクルの積分値ごとに脈動となって現れる。この脈動は、その周波数の2倍の周波数で現れることが知られており、上述した半サイクル期間の各積分値の平均化は、このような脈動の抑制に効果があり、より正確な振幅値を求めることが可能となる。本実施の形態のその他の効果等は実施の形態1と同様である。
実施の形態3.
実施の形態1,2では、振幅値の演算方法として、事故相電圧11と基準電圧との乗算の絶対値を半サイクル積分する方法を提案している。これは、「絶対値相関」を採用することにより、事故相電圧11と基準電圧との位相差が90°に近いときでも相関値としての振幅値が一定値以下に下がらないという利点を有する。
本実施の形態では、事故相電圧11と基準電圧とが略180°の関係にあると仮定し、この仮定のもとでは上記積分において絶対値をとらなくても同様の結果を得ることができることに着目する。
図7は、本実施の形態に係る保護継電装置の保護演算部の内部構成例を示す図である。図7に示すように、本実施の形態における保護演算部7の構成は、図2に示す実施の形態1の構成と比較して、振幅値演算部26のみが異なり、その他の構成は同じである。具体的には、振幅値演算部26において次のような演算がなされる。
Figure 2011142709
ここで、Vk(i)はサンプリングされた基準電圧15、Vf(i)はサンプリングされた事故相電圧11、iは時間に関するサンプリング列を示す自然数、nは半サイクルに対応するサンプリング数、Vtは振幅値演算部26の出力する振幅値を表す。また、
Figure 2011142709
である。
次に、実施の形態1と同様に、Vk(t)=(√2)*Vk0*sin(wt)、Vf(t)=(√2)*Vf0*sin(wt+θ)とすると、上記(6)式のVtは、Vk(t)*Vf(t)の半サイクル積分をVk(t)*Vk(t)の半サイクル積分で除することにより与えられることから、Vt=Vf0/Vk0×cos(θ)で与えられる。このように、VtはVf0に比例している。なお、この積分と同様の積分については、特許文献1の197ページの下段に詳細に説明されているので、ここではその説明を省略する。Vtの位相特性を図8に示す。図8は、振幅値演算部26の出力する振幅値Vtの位相特性を示す図であり、特許文献1の第10図に対応する図である。
図8では、基準電圧15のベクトルとしての方向をOP方向に固定し(基準相)、cos(θ)の絶対値をその大きさとするOSベクトルを事故相として表している。すなわち、振幅値Vtは、位相差θに依存して図8のOSベクトルのように変化する。これからわかるように、位相差θが90°のときは、OSベクトルの大きさは0となるが、位相差θが180°付近であれば実施の形態1と同じ大きさの振幅値を得ることができる。
なお、上記(6)式、および(7)式における積分範囲は、一般に、半サイクルの整数倍であってよい。
また、実施の形態1で説明したように、基準電圧15は、健全相電圧13a,13bのベクトル和として求めているので、事故相電圧11と基準電圧15とは略180°の位相関係にあることが想定され、本実施の形態による演算方法によれば、実施の形態1と同様の精度で振幅値を求めることが可能となる。
さらに、本実施の形態によれば、振幅値演算部26にて事故相電圧11と基準電圧15との乗算の半サイクル積分をするようにしたので、絶対値を計算する場合に比べて演算が簡略化され、CPU負担を軽減できるという効果がある。
実施の形態4.
本実施の形態は、実施の形態3の演算方法を実施の形態2の構成に適用するものである。図9は、本実施の形態に係る保護継電装置の保護演算部の内部構成例を示す図である。図9に示すように、本実施の形態における保護演算部7の構成は、図5に示す実施の形態2の構成と比較して、振幅値演算部26のみが異なり、その他の構成は同じである。なお、振幅値演算部26による演算内容は、実施の形態3と同様である。具体的には、振幅値演算部26において次のような演算がなされる。
Figure 2011142709
ここで、Vl(j+i)はサンプリングされた基準電圧21、Vf(i)はサンプリングされた事故相電圧11、iは時間に関するサンプリング列を示す自然数、nは半サイクルに対応するサンプリング数、jは前記時間オフセット、Vtは振幅値演算部26の出力する振幅値を表す。また、
Figure 2011142709
である。
振幅値Vtの位相特性、すなわち、事故相電圧11と基準電圧21との間の位相差θに関する特性は、図8に示すとおりである。
なお、上記(8)式、および(9)式における積分範囲は、一般に、半サイクルの整数倍であってよい。
また、実施の形態2で説明したように、基準電圧11は健全相電圧13a,13bのベクトル和に基づいて位相が調整されているので、事故相電圧11と基準電圧21とは略180°の位相関係にあることが想定され、本実施の形態による演算方法によれば、実施の形態2と同様の精度で振幅値を求めることが可能となる。
さらに、本実施の形態によれば、振幅値演算部26にて事故相電圧11と基準電圧21との乗算の半サイクル積分をするようにしたので、絶対値を計算する場合に比べて演算が簡略化され、CPU負担を軽減できるという効果がある。
なお、実施の形態1〜4では、事故相電圧11を対象とした振幅値の計測について説明したが、同様の方法が一般の電圧に対して適用できることはいうまでもない。
本発明は、事故相の電圧を正確に把握する必要のある用途の保護継電装置に有用である。
1a〜1c 母線
2a〜2c 引き出し線
3a〜3c 遮断器
5a〜5c 計器用変圧器
4 事故点
6 入力変換器群
7 保護演算部
8 出力回路
9 保護継電装置
10 事故相判定部
11 事故相電圧
12 健全相判定部
13 健全相電圧
13a,13b 健全相電圧
14 基準電気量作成部
15 基準電圧
16 振幅値演算部
17 演算部
20 基準電気量作成部
21 基準電圧
22 基準データ群
26 振幅値演算部

Claims (6)

  1. 電力系統から入力される3相の電圧から事故相を判定して事故相電圧を出力可能な事故相判定部と、
    この事故相判定部と並列的に設けられ、前記3相の電圧から健全相を判定して健全相電圧を出力可能な健全相判定部と、
    前記健全相判定部から出力された前記健全相電圧が2相存在する場合に、前記2相の健全相電圧のベクトル和として基準電圧を作成する基準電気量作成部と、
    前記事故相電圧と前記基準電圧との積の絶対値を半サイクルの整数倍の期間で積分した値に基づいて、前記事故相電圧の振幅値を求める振幅値演算部と、
    を備えることを特徴とする保護継電装置。
  2. 電力系統から入力される3相の電圧から事故相を判定して事故相電圧を出力可能な事故相判定部と、
    この事故相判定部と並列的に設けられ、前記3相の電圧から健全相を判定して健全相電圧を出力可能な健全相判定部と、
    前記電力系統の基本周波数の正弦波データまたは余弦波データからなる少なくとも半サイクル分の基準データを有し、前記健全相判定部から出力された前記健全相電圧が2相存在する場合に、前記2相の健全相電圧のベクトル和と前記基準データとの位相差に基づき前記基準データの位相を前記位相差分シフトさせたものを基準電圧として作成する基準電気量作成部と、
    前記事故相電圧と前記基準電圧との積の絶対値を半サイクルの整数倍の期間で積分した値に基づいて、前記事故相電圧の振幅値を演算する振幅値演算部と、
    を備えることを特徴とする保護継電装置。
  3. 前記振幅値演算部は、前記事故相電圧と前記基準電圧との積の絶対値を半サイクルの複数倍の期間で積分する場合に、半サイクルごとの積分値の平均を求めることにより、前記事故相電圧の振幅値を演算することを特徴とする請求項2に記載の保護継電装置。
  4. 電力系統から入力される3相の電圧から事故相を判定して事故相電圧を出力可能な事故相判定部と、
    この事故相判定部と並列的に設けられ、前記3相の電圧から健全相を判定して健全相電圧を出力可能な健全相判定部と、
    前記健全相判定部から出力された前記健全相電圧が2相存在する場合に、前記2相の健全相電圧のベクトル和として基準電圧を作成する基準電気量作成部と、
    前記事故相電圧と前記基準電圧との積を半サイクルの整数倍の期間で積分した値に基づいて、前記事故相電圧の振幅値を求める振幅値演算部と、
    を備えることを特徴とする保護継電装置。
  5. 電力系統から入力される3相の電圧から事故相を判定して事故相電圧を出力可能な事故相判定部と、
    この事故相判定部と並列的に設けられ、前記3相の電圧から健全相を判定して健全相電圧を出力可能な健全相判定部と、
    前記電力系統の基本周波数の正弦波データまたは余弦波データからなる少なくとも半サイクル分の基準データを有し、前記健全相判定部から出力された前記健全相電圧が2相存在する場合に、前記2相の健全相電圧のベクトル和と前記基準データとの位相差に基づき前記基準データの位相を前記位相差分シフトさせたものを基準電圧として作成する基準電気量作成部と、
    前記事故相電圧と前記基準電圧との積を半サイクルの整数倍の期間で積分した値に基づいて、前記事故相電圧の振幅値を演算する振幅値演算部と、
    を備えることを特徴とする保護継電装置。
  6. 前記振幅値演算部は、前記事故相電圧と前記基準電圧との積を半サイクルの複数倍の期間で積分する場合に、半サイクルごとの積分値の平均を求めることにより、前記事故相電圧の振幅値を演算することを特徴とする請求項5に記載の保護継電装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013195166A (ja) * 2012-03-16 2013-09-30 Sumitomo Heavy Ind Ltd 可動子の回転角の検出回路、検出方法およびそれを用いた搬送機

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013195166A (ja) * 2012-03-16 2013-09-30 Sumitomo Heavy Ind Ltd 可動子の回転角の検出回路、検出方法およびそれを用いた搬送機

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