JP2010136548A - 分散電源の単独運転検出装置 - Google Patents

分散電源の単独運転検出装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010136548A
JP2010136548A JP2008310760A JP2008310760A JP2010136548A JP 2010136548 A JP2010136548 A JP 2010136548A JP 2008310760 A JP2008310760 A JP 2008310760A JP 2008310760 A JP2008310760 A JP 2008310760A JP 2010136548 A JP2010136548 A JP 2010136548A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
integer
order
component
discrete fourier
fourier transform
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008310760A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuhiko Kochi
勝彦 胡内
Shinobu Inoue
忍 井上
Soji Nishimura
荘治 西村
Nobuyuki Kitano
信之 北野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kansai Electric Power Co Inc
Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Kansai Electric Power Co Inc
Nissin Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kansai Electric Power Co Inc, Nissin Electric Co Ltd filed Critical Kansai Electric Power Co Inc
Priority to JP2008310760A priority Critical patent/JP2010136548A/ja
Publication of JP2010136548A publication Critical patent/JP2010136548A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】系統周波数変動の影響を受けにくくして単独運転検出を精度良く行うことができ、しかも高速で高価な演算手段を必要としない装置を提供する。
【解決手段】装置20は、連系点Pの測定電圧Vt、測定電流Itを固定サンプリング周波数方式でサンプリングするサンプリング回路26、28と、そのサンプリングデータを所定の整数次高調波成分、その上側の非整数次数の上側次数成分及び下側の非整数次数の下側次数成分をそれぞれ抽出する離散フーリエ変換回路30、32と、前記二つの成分の重みつき平均から、前記整数次高調波成分に含まれる電力系統10の基本波周波数成分に基づく誤差を補間演算し、かつ前記整数次高調波成分から当該誤差を減算して、前記整数次高調波の電圧、電流を抽出する補正演算回路34、36と、その電圧、電流に基づいて前記整数次高調波のアドミタンスを算出するアドミタンス演算回路38とを備えている。
【選択図】図1

Description

この発明は、電力系統に連系している分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転検出装置に関する。
この種の単独運転検出装置の検出方式には、大別して、受動的方式と能動的方式とがある(非特許文献1参照)。
受動的方式に属するものであって、検出精度の高い単独運転検出装置の例として、特許文献1には、電力系統と分散電源との連系点における電圧および電流を測定し、その測定電圧および測定電流に基づいて所定の整数次高調波(例えば3次、5次、7次等)の電圧および電流を抽出し、その抽出した電圧および電流に基づいて前記整数次高調波のアドミタンスを算出し、当該アドミタンスの変化から、分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転検出装置が記載されている。
「分散型電源系統連系技術指針(電気技術指針分散型電源系統連系編)」、JEAG 9701−2001、社団法人日本電気協会 分散型電源系統連系専門部会、平成14年4月15日第3版第2刷発行、38−45頁 特開2006−204069号公報(段落0010、0011、図1、図2)
電力系統の基本波周波数(系統基本波周波数)には必ず幾らかの変動があり、特に単独運転検出後は系統が乱れるために系統基本波周波数の変動が大きく、従って上記電圧および電流の測定を、サンプリング周波数が一定の固定周波数サンプリング方式で行っている場合には、電力系統の基本波のリーケージエラー(これは簡単に言えば、離散フーリエ変換を行うためにサンプリングデータを時間窓で切り取るときに生じる誤差であり、時間窓の長さが基本波周期の整数倍の場合には発生しないがそうでないと発生する。)によって、上記整数次高調波成分の抽出が乱される。ひいては、上記整数次高調波のアドミタンスの算出精度が低下し、単独運転検出精度が低下する。
上記リーケージエラーの課題を解決するためには、上記整数次高調波成分の抽出に、離散フーリエ変換を用いる代わりに、例えば、上記特許文献1にも記載されているように、公知のウェーブレット変換(これは簡単に言えば、離散的にサンプリングされたウェーブレット(小さな波)を用いる変換)を用いることが考えられるが、ウェーブレット変換における膨大な積和演算に多くの時間がかかってしまい、高速な(例えば毎サンプリングごとの)上記整数次高調波成分の抽出処理ができなくなってしまうという課題がある。
敢えて高速で上記積和演算を行おうとすると、演算速度が非常に速い演算手段が必要になり、そのような演算手段は一般的に高価であるので、単独運転検出装置が高価になるという課題がある。
また、上記リーケージエラーの課題を避けるために、固定周波数サンプリング方式を止めて、系統基本波の周波数変動に合わせて(同期させて)サンプリング周波数を変化させるという同期サンプリング方式を採用する案もあるが、そのためにはPLL(フェーズロックループ)回路が必要になり、測定回路が複雑化するという課題がある。
そこでこの発明は、固定周波数サンプリング方式を用いつつ、系統周波数変動の影響を受けにくくして単独運転検出を精度良く行うことができ、しかもウェーブレット変換を用いる場合のような高速で高価な演算手段を必要としない単独運転検出装置を提供することを主たる目的としている。
この発明に係る単独運転検出装置は、電力系統と分散電源との連系点における電圧および電流を測定し、その測定電圧および測定電流に基づいて、所定の整数次高調波のアドミタンスを算出し、当該アドミタンスの変化から、前記分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転検出装置において、前記連系点における測定電圧を、サンプリング周波数一定の固定周波数サンプリング方式でサンプリングして前記測定電圧のサンプリングデータを出力する第1のサンプリング手段と、前記連系点における測定電流を、サンプリング周波数一定の固定周波数サンプリング方式でサンプリングして前記測定電流のサンプリングデータを出力する第2のサンプリング手段と、前記第1のサンプリング手段からの前記測定電圧のサンプリングデータを離散フーリエ変換して、前記整数次高調波成分、当該整数次高調波成分の上側の非整数次数の上側次数成分および前記整数次高調波成分の下側の非整数次数の下側次数成分をそれぞれ抽出する第1の離散フーリエ変換手段と、前記第2のサンプリング手段からの前記測定電流のサンプリングデータを離散フーリエ変換して、前記整数次高調波成分、当該整数次高調波成分の上側の、前記第1の離散フーリエ変換手段におけるものと同じ非整数次数の上側次数成分および前記整数次高調波成分の下側の、前記第1の離散フーリエ変換手段におけるものと同じ非整数次数の下側次数成分をそれぞれ抽出する第2の離散フーリエ変換手段と、前記第1の離散フーリエ変換手段で抽出した前記上側次数成分および下側次数成分の重みつき平均から、前記抽出した整数次高調波成分に含まれる前記電力系統の基本波周波数成分に基づく誤差を補間演算し、かつ前記抽出した整数次高調波成分から当該誤差を減算して除去して、前記整数次高調波の電圧を抽出する第1の補正演算手段と、前記第2の離散フーリエ変換手段で抽出した前記上側次数成分および下側次数成分の重みつき平均から、前記抽出した整数次高調波成分に含まれる前記電力系統の基本波周波数成分に基づく誤差を補間演算し、かつ前記抽出した整数次高調波成分から当該誤差を減算して除去して、前記整数次高調波の電流を抽出する第2の補正演算手段と、前記第1の補正演算手段からの前記整数次高調波の電圧および前記第2の補正演算手段からの前記整数次高調波の電流に基づいて、前記整数次高調波のアドミタンスを算出するアドミタンス演算手段とを備えていることを特徴としている。
この単独運転検出装置によれば、固定周波数サンプリング方式を採用しているけれども、上記第1、第2の離散フーリエ変換手段と第1、第2の補正演算手段とをそれぞれ組み合わせたことによって、抽出した上記整数次高調波成分から電力系統の基本波周波数成分に基づく誤差を除去することができるので、即ちリーケージエラーを除去することができるので、系統周波数変動の影響を受けにくくして、上記整数次高調波の電圧および電流を精度良く抽出することができる。
しかも、高調波成分の抽出に離散フーリエ変換手段を用いているので、ウェーブレット変換を用いる場合のような高速で高価な演算手段を必要としない。
前記第1および第2の離散フーリエ変換手段は、それぞれ、前記離散フーリエ変換の演算を繰り返して行う際に一つ前の演算結果を次の演算結果に用いる回帰型離散フーリエ変換器によって構成されていても良い。
前記第1および第2のサンプリング手段は、前記連系点における3相の電圧および電流をそれぞれサンプリングするものであり、前記第1および第2の離散フーリエ変換手段ならびに前記第1および第2の補正演算手段は、3相の電圧および電流をそれぞれ処理するものであり、前記第1の補正演算手段の後段に、3相の前記整数次高調波の電圧に基づいて、当該整数次高調波の次数における主要対称成分の電圧を算出する第1の対称成分演算手段を有しており、前記第2の補正演算手段の後段に、3相の前記整数次高調波の電流に基づいて、当該整数次高調波の次数における主要対称成分の電流を算出する第2の対称成分演算手段を有しており、前記アドミタンス演算手段は、前記第1および第2の対称成分演算手段からの前記主要対称成分の電圧および電流に基づいて、前記整数次高調波のアドミタンスを算出するものである、という構成を採用しても良い。
請求項1に記載の発明によれば、固定周波数サンプリング方式を採用しているけれども、上記第1、第2の離散フーリエ変換手段と第1、第2の補正演算手段とをそれぞれ組み合わせたことによって、抽出した上記整数次高調波成分から電力系統の基本波周波数成分に基づく誤差を除去することができるので、即ちリーケージエラーを除去することができるので、系統周波数変動の影響を受けにくくして、上記整数次高調波の電圧および電流を精度良く抽出することができる。ひいては、上記整数次高調波のアドミタンスを精度良く算出することができるので、単独運転検出を精度良く行うことができる。
また、系統基本波周波数の変動に伴って上記整数次高調波の周波数も変動するけれども、上記第1、第2の離散フーリエ変換手段と第1、第2の補正演算手段とをそれぞれ組み合わせたことによって、その組み合わせた手段の通過帯域幅が広くなるので、上記整数次高調波の周波数変動にも対応しやすくなるという利点がある。
また、上記第1、第2の離散フーリエ変換手段と第1、第2の補正演算手段とを組み合わせた手段の周波数特性は必ずしも平坦ではないので、上記整数次高調波の周波数変動に伴って、上記第1および第2の補正演算手段から出力される上記整数次高調波の電圧および電流のゲインは通常は変化する。しかしその場合でも、当該電圧および電流は互いに同じ割合で変化するので、当該電圧に対する電流の比であるアドミタンスは変化しない。即ち、系統基本波および上記整数次高調波の周波数変動(即ち系統周波数変動)の影響を受けない。この発明は、このような系統周波数変動の影響を受けない上記整数次高調波のアドミタンスを算出してそれを用いて単独運転検出を行うので、系統周波数が変動しても単独運転検出を精度良く行うことができる。
しかも、固定周波数サンプリング方式を採用しているので、PLL回路を用いた同期サンプリング方式に比べて測定回路が簡単になる。更に、高調波成分の抽出に離散フーリエ変換手段を用いているので、ウェーブレット変換を用いる場合のような高速で高価な演算手段を必要としない。
従って、単独運転検出の精度が高く、しかも構成が簡単で安価な単独運転検出装置を実現することができる。
請求項2に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、第1および第2の離散フーリエ変換手段を回帰型離散フーリエ変換器によって構成しており、回帰型離散フーリエ変換器は通常の離散フーリエ変換器に比べて、時間のかかる複素数の掛算回数を大幅に減らすことができ、ひいては演算時間を大幅に短縮することができるので、上記第1および第2の離散フーリエ変換に高速で高価な演算手段を用いる必要も、処理データのサンプル数を減らす必要もない。従って、単独運転検出の精度が高く、しかも構成がより簡単でより安価な単独運転検出装置を実現することができる。
請求項3に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、電力系統の主要対称成分は、高調波次数に応じて、零相成分、正相成分および逆相成分の内のどれかに集中するので、上記整数次高調波の次数における主要対称成分の電圧および電流に基づいて上記整数次高調波のアドミタンスを算出することによって、当該アドミタンス算出のSN比が向上する。ひいては単独運転検出の精度がより向上する。
図1は、この発明に係る単独運転検出装置の一実施形態を電力系統の一例と共に示す図である。電力系統は単線接続図で示している。
商用電源2に変電所4を介して接続された電力系統10があり、それに負荷12が接続されている。この負荷12は、多数の負荷をまとめて図示したものである。変電所4は、変圧器6および遮断器8を有している。何らかの事故等によってこの遮断器8が開放されると、下記の分散電源18は単独運転になる。
更にこの電力系統10に、引込線14および遮断器16を介して、分散電源18が接続されている。分散電源18は、例えば、コージェネレーション発電設備、太陽電池発電設備、燃料電池発電設備、風力発電設備等である。
引込線14には、電力系統10と分散電源18との連系点Pにおける3相の電圧および電流を測定する計器用変圧器22および計器用変流器24が接続されており、これらで測定して得られる3相の測定電圧Vt および測定電流It が、分散電源18用の単独運転検出装置20に供給される。連系点は引込線14上にあるが、通常は、計器用変圧器22および計器用変流器24の近くの箇所を連系点Pとして扱っている。
なお、引込線14には、通常は、図示以外の遮断器、変圧器等が接続されているが、ここでは詳しい説明の必要がないので図示を省略している。
単独運転検出装置20は、上記連系点Pにおける電圧および電流を測定し、その測定電圧Vt および測定電流It に基づいて、所定の整数次高調波のアドミタンスを算出し、当該アドミタンスの変化から、分散電源18が単独運転になったことを検出するものである。上記所定の整数次高調波は、電力系統10の基本波に対するものであり、例えば、3次、5次、7次、9次、11次、13次等の奇数の整数次高調波の内の少なくとも一つである。
単独運転検出装置20は、第1のサンプリング回路26(第1のサンプリング手段)、第2のサンプリング回路28(第2のサンプリング手段)、第1の離散フーリエ変換回路30(第1の離散フーリエ変換手段)、第2の離散フーリエ変換回路32(第2の離散フーリエ変換手段)、第1の補正演算回路34(第1の補正演算手段)、第2の補正演算回路36(第2の補正演算手段)、アドミタンス演算回路38(アドミタンス演算手段)および単独運転判定回路40を備えている。図1中のDFTは離散フーリエ変換を表している(他の図等においても同様)。この単独運転検出装置20のより具体例は、後で図2〜図4等を参照して詳述する。
サンプリング回路26は、上記連系点Pにおける測定電圧Vt を、サンプリング周波数一定の固定周波数サンプリング方式でサンプリングして上記測定電圧Vt のサンプリングデータを出力する。このサンプリングデータはディジタル信号(離散信号)である。
サンプリング回路28は、上記連系点Pにおける測定電流It を、サンプリング周波数一定の固定周波数サンプリング方式でサンプリングして上記測定電流It のサンプリングデータを出力する。このサンプリングデータもディジタル信号(離散信号)である。
離散フーリエ変換回路30は、サンプリング回路26からの上記測定電圧Vt のサンプリングデータを離散フーリエ変換して、上記整数次高調波成分、当該整数次高調波成分の上側の非整数(換言すれば帯小数。以下同様)次数の上側次数成分および上記整数次高調波成分の下側の非整数次数の下側次数成分をそれぞれ抽出する。
次数の例を挙げると、上記整数次高調波の次数(これの符号を後でn1としている)を例えば5次とすると、下側次数(これの符号を後でn2としている)は例えば4.9次、上側次数(これの符号を後でn3としている)は例えば5.1次である。上記整数次高調波の次数を例えば7次とすると、下側次数は例えば6.9次、上側次数は例えば7.1次である。但しこれらの次数に限られるものではない。次の離散フーリエ変換回路32における次数の例も上記と同様である。
離散フーリエ変換回路32は、サンプリング回路28からの上記測定電流It のサンプリングデータを離散フーリエ変換して、上記整数次高調波成分、当該整数次高調波成分の上側の、離散フーリエ変換回路30におけるものと同じ非整数次数の上側次数成分および上記整数次高調波成分の下側の、離散フーリエ変換回路30におけるものと同じ非整数次数の下側次数成分をそれぞれ抽出する。
補正演算回路34は、離散フーリエ変換回路30で抽出した上記上側次数成分および下側次数成分の重みつき平均から、上記抽出した整数次高調波成分に含まれる上記電力系統10の基本波周波数成分に基づく誤差を補間演算し、かつ上記抽出した整数次高調波成分から当該誤差を減算して除去して、上記整数次高調波の電圧を抽出する。
補正演算回路36は、離散フーリエ変換回路32で抽出した上記上側次数成分および下側次数成分の重みつき平均から、上記抽出した整数次高調波成分に含まれる上記電力系統10の基本波周波数成分に基づく誤差を補間演算し、かつ上記抽出した整数次高調波成分から当該誤差を減算して除去して、上記整数次高調波の電流を抽出する。
アドミタンス演算回路38は、補正演算回路34からの上記整数次高調波の電圧および補正演算回路36からの上記整数次高調波の電流に基づいて、上記整数次高調波のアドミタンスを算出する。
単独運転判定回路40は、アドミタンス演算回路38からの上記アドミタンスに基づいて、当該アドミタンスの変化から、分散電源18が単独運転になったことを検出して、単独運転検出信号DSを出力する。
次に、上記単独運転検出装置20のより具体例を、図2〜図4等を参照して詳述する。なお、この単独運転検出装置20においては、各電圧、電流およびアドミタンスは、複素数の形で表されるベクトルとして扱っている。但し、以下の説明および図面においては、、ベクトルを表す記号は省略している。
図2においては、上記測定電圧Vt 、測定電流It 等を3相で表現している。図2等における電圧V、電流Iの添字のa、b、cは、当該3相のa相、b相、c相をそれぞれ表しており、ab、bc、caは線間をそれぞれ表している。また、図2等における電圧V、電流I等の添字n1〜n3、k、k1〜k3は、次数n1〜n3、次数k、次数k1〜k3におけるものであることを表している。
この単独運転検出装置20は、一定周波数のクロック信号CSを発生させるクロック信号発生器62を有しており、このクロック信号CSは、サンプリング回路26、28および離散フーリエ変換回路44〜49にそれぞれ供給される。このクロック信号発生器62は、一定周波数のクロック信号CSを発生させれば良いので、PLL回路に比べて構成が簡単である。
上記サンプリング回路26は、3相の上記測定電圧Vtab 、Vtbc tca (これらは線間電圧である)を受けて、それを、上記クロック信号CSに基づいて、固定周波数サンプリング方式でサンプリングして、サンプリングデータとしてディジタルの電圧Vab、Vbc、Vca(これらも線間電圧である)を出力する。
上記サンプリング回路28は、3相の上記測定電流Ita、Itbtc(これらは線間電流である)を受けて、それを、上記クロック信号CSに基づいて、固定周波数サンプリング方式でサンプリングして、サンプリングデータとしてディジタルの電流Ia 、Ib 、Ic (これらも線間電流である)を出力する。
両サンプリング回路26、28は、それぞれ例えば、公知のサンプルホールド回路およびA/D変換器によって構成されている。
サンプリング回路26の出力部には、公知の次式に従って線間電圧Vab、Vbc、Vcaを相電圧Va 、Vb 、Vc に変換する変換回路42が設けられている。相電圧に変換するのは、それを後述するアドミタンス演算に用いるためである。
[数1]
a =(Vab−Vbc)/3
b =(Vbc−Vca)/3
c =(Vca−Vab)/3
上記離散フーリエ変換回路30は、各相の電圧Va 、Vb 、Vc をそれぞれ離散フーリエ変換する三つの離散フーリエ変換回路44〜46で構成されている。上記離散フーリエ変換回路32も、各相の電流Ia 、Ib 、Ic をそれぞれ離散フーリエ変換する三つの離散フーリエ変換回路47〜49で構成されている。各離散フーリエ変換回路44〜49は、通常の離散フーリエ変換器で構成しても良いけれども、この実施形態ではそれぞれ、離散フーリエ変換の演算を繰り返して行う際に一つ前の演算結果をその次の演算に用いる回帰型離散フーリエ変換器によって構成している。
各離散フーリエ変換回路44〜49は、この実施形態では互いに実質的に同じ構成をしているので、以下においては離散フーリエ変換回路44を例にして説明する。
上記のような回帰型離散フーリエ変換は、例えば特許第3921235号公報にも記載されているが、これを説明すると次のとおりである。
以下においては下記のような定義の符号を用いる。kとnの間には数2の関係がある。このような次数kを用いると、次数nが非整数次数(例えば4.9次、5.1次)であっても、それを、離散フーリエ変換を行うことができる整数次数にして扱うことができる。
n:計測高調波の次数(基本波1サイクルでの次数。例えば5次)
b:計測期間における基本波のサイクル数(例えば10)
k:計測期間(基本波bサイクル)での次数(例えば50次)
N:計測期間におけるサンプル数(例えば480)
[数2]
k=b・n
時刻tでの離散信号をx(t)、それをサンプル数Nに相当する時間(N)だけ遅延させた離散信号をx(t−(N))、抽出次数がk次の離散フーリエ変換をXk(t)、それを単位時間遅延させた信号をXk(t−1 )とすると、離散フーリエ変換Xk(t)は数3で表すことができる。aは数4で表される回転因子、jは虚数単位である。
[数3]
k(t)=(2/N){Xk(t−1)+x(t)−x(t−(N))}a-1
[数4]
a=exp(−j2πk/N)
上記数3の演算は、離散フーリエ変換の演算を繰り返して行う際に、一つ前の演算結果Xk(t−1)をその次の演算(即ちXk(t)の演算)に用いるので、回帰型離散フーリエ変換と呼ばれている。この演算を行うのが回帰型離散フーリエ変換器である。
上記数3から、その演算においては、1サイクルの演算時に実行する複素数の掛算は1回で済むことが分かる。従って、通常の離散フーリエ変換に比べて、時間のかかる複素数の掛算回数を大幅に減らすことができ、ひいては演算時間を大幅に短縮することができる。その結果、離散フーリエ変換に高速で高価な演算手段を用いる必要も、処理データのサンプル数を減らす必要もない。
従って、離散フーリエ変換回路44〜49(即ち離散フーリエ変換回路30、32)に高速で高価な演算手段を用いる必要も、処理データのサンプル数を減らす必要もない。その結果、単独運転検出の精度が高く、しかも構成がより簡単でより安価な単独運転検出装置20を実現することができる。
図3に、回帰型離散フーリエ変換器の構成例を示す。この回帰型離散フーリエ変換器70は、上記信号x(t)を上記のように遅延させて上記信号x(t−(N))を出力する遅延回路74と、上記信号x(t)に上記信号Xk(t−1)を加算したものから上記信号x(t−(N))を減算する加減算器72と、この加減算器72の出力信号にa-1、2/Nをそれぞれ掛けて上記数3で表される離散フーリエ変換Xk(t)を出力する演算器78、80と、演算器78の出力信号を単位時間遅延させて上記信号Xk(t−1)を出力する遅延回路76とを有している。Zは単位遅延演算子である。
上記離散フーリエ変換回路44は、図4に示すように、上記回帰型離散フーリエ変換器70と実質的に同じ構成の三つの回帰型離散フーリエ変換器701〜703を有している。ここでは上記信号x(t)、Xk(t)を具体的に電圧V、電圧成分Vk1〜Vk3にそれぞれ置き換えている。
上記計測高調波の次数nを、上記所定の整数次高調波の次数n1(これを所定整数次数n1と略称する場合がある。これは例えば5次である)、その下側の上記非整数次数n2(これを下側次数n2と略称する場合がある。これは例えば4.9次である)および次数n3の上側の上記非整数次数n3(これを上側次数n3と略称する場合がある。これは例えば5.1次である)に分けると、数3と同様の離散フーリエ変換によって、回帰型離散フーリエ変換器701は入力電圧Vから所定整数次数n1に相当する次数k1の高調波成分Vk1を、回帰型離散フーリエ変換器702は下側次数n2に相当する次数k2の下側次数成分Vk2を、回帰型離散フーリエ変換器703は上側次数n3に相当する次数k3の上側次数成分Vk3を、それぞれ抽出する。次数k1〜k3は、上記数2に従って数5で表される。上記回転因子aに代る回転因子a1〜a3は、上記数3に従って数6で表される。
[数5]
k1=b・n1
k2=b・n2
k3=b・n3
[数6]
a1=exp(−j2πk1/N)
a2=exp(−j2πk2/N)
a3=exp(−j2πk3/N)
もっとも、上記数5に示すように次数n1〜n3と次数k1〜k3とは一義的な関係にあるので、基本波1サイクルでの次数nで言えば、上記回帰型離散フーリエ変換器701は上記所定整数次数n1の整数次高調波成分Vn1を、回帰型離散フーリエ変換器702は上記下側次数n2の下側次数成分Vn2を、回帰型離散フーリエ変換器703は上記上側次数n3の上側次数成分Vn3を、それぞれ抽出していると言うことができる。以下においては、この基本波1サイクルでの次数n1〜n3を用いて説明する方が分かりやすいのでそのようにする。
上記のような抽出演算を、離散フーリエ変換回路44〜46は上記各相の電圧Va 〜Vc についてそれぞれ行い、離散フーリエ変換回路47〜49は上記各相の電流Ia 〜Ic についてそれぞれ行う。電流の場合は、図4およびその説明の電圧Vを電流Iと読み替えれば良い。
上記補正演算回路34は、各相の離散フーリエ変換回路44〜46でそれぞれ抽出した電圧成分に基づいて補正演算をそれぞれ行う三つの補正演算回路54〜56で構成されている。上記補正演算回路36も、各相の離散フーリエ変換回路47〜49でそれぞれ抽出した電流成分に基づいて補正演算をそれぞれ行う三つの補正演算回路57〜59で構成されている。各補正演算回路54〜59は、この実施形態では互いに実質的に同じ構成をしているので、以下においては補正演算回路54を例にして説明する。
補正演算回路54は、図4を参照して、離散フーリエ変換回路44で抽出した上記下側次数成分Vn2および上側次数成分Vn3の重みつき平均から、上記整数次高調波成分Vn1に含まれる電力系統10の基本波周波数成分に基づく誤差を補間演算し、かつ上記整数次高調波成分Vn1から当該誤差を減算して除去して、所定整数次数n1の整数次高調波の電圧Vcn1 を算出して出力する。
より具体的には、補正演算回路54は、図4に示す例では、上記回帰型離散フーリエ変換器702、703からの信号をそれぞれ1/2倍して出力する演算器82、84と、上記回帰型離散フーリエ変換器701からの信号から両演算器82、84からの信号を減算することによって、次式の演算を行って、所定整数次数n1の整数次高調波の電圧Vcn1 を出力する。この数7の右辺第2項は、下側次数成分Vn2および上側次数成分Vn3に共に1/2の重みをつけて平均を求める場合の例である。
[数7]
cn1 =Vn1−(Vn2+Vn3)/2
上記のような補正演算を、各補正演算回路54〜56は各離散フーリエ変換回路44〜46からの信号に基づいてそれぞれ行って、各相の上記整数次高調波の電圧Vcan1、Vcbn1、Vccn1をそれぞれ算出して出力する(図2参照)。
同様に、上記のような補正演算を、各補正演算回路57〜59は各離散フーリエ変換回路47〜49からの信号に基づいてそれぞれ行って、各相の上記整数次高調波の電流Ican1、Icbn1、Iccn1をそれぞれ算出して出力する(図2参照)。電流の場合は、図4およびその説明の電圧Vを電流Iと読み替えれば良い。
上記離散フーリエ変換回路44〜46と補正演算回路54〜56とを、かつ離散フーリエ変換回路47〜49と補正演算回路57〜59をそれぞれ組み合わせたことによって、即ち離散フーリエ変換回路30、32と補正演算回路34、36とをそれぞれ組み合わせたことによって、固定周波数サンプリング方式を採用しているけれども、抽出した上記整数次高調波成分Vn1、In1から、電力系統10の基本波周波数成分に基づく誤差を除去することができる。
これを図5を参照して説明する。上記所定整数次数n1付近まで、電力系統10の基本波のリーケージエラーEが及んでいるものとする。上記下側次数n2、上側次数n3は所定整数次数n1を挟んでおりかつ所定整数次数n1に近いので、リーケージエラーEは、当然、下側次数n2および上側次数n3にも及んでおり、また下側次数n2と上側次数n3との間ではぼ線形変化すると考えても良い。各次数n1、n2、n3におけるリーケージエラーEの大きさをそれぞれEn1、En2、En3とする。
所定整数次数n1のリーケージエラーEの大きさEn1は、例えば次式の補間演算によって求めることができる。この式は、上記数7と同様に、リーケージエラーEn2およびEn3に共に1/2の重みをつけて平均を求める場合の例である。このEn1が、上記所定整数次数n1の整数次高調波成分Vn1に含まれる、電力系統10の基本波周波数成分に基づく誤差である。
[数8]
n1≒(En2+En3)/2
従って、上記のようなリーケージエラーEを含めて考えると、上記数7は次式で表すことができる。
[数9]
cn1 =(Vn1+En1)−(En2+En3)/2
≒Vn1
この数9の第1行右辺第2項がリーケージエラーEn2、En3のみになっているのは、上記下側次数n2および上側次数n3は前述したように非整数次数(例えば4.9次、5.1次)であるのに対して、電力系統10の高調波成分は基本的に整数次(より具体的には奇数次)のみであるので、上記下側次数n2および上側次数n3ではリーケージエラーEのみになり、これが上記下側次数成分Vn2および上側次数成分Vn3として抽出されるからである。この数9の第1行に上記数8を適用すると第2行となる。
この数9から分かるように、n1次(換言すればk1次)の回帰型離散フーリエ変換器701によって上記整数次高調波成分Vn1と共に抽出されるリーケージエラーEn1を補正演算回路54によって除去して、上記整数次高調波の電圧Vn1を抽出して電圧Vcn1 として出力することができる。これを各相の電圧および電流について行うことができる。従って、固定周波数サンプリング方式を採用しているけれども、リーケージエラーを排除することができる。
また、前述したように系統基本波周波数には変動があり、この系統基本波周波数の変動に伴って上記整数次(n1)高調波の周波数も変動するけれども、上記のように離散フーリエ変換回路30、32と補正演算回路34、36とを(具体的には離散フーリエ変換回路44〜46と補正演算回路54〜56、および、離散フーリエ変換回路47〜49と補正演算回路57〜59)それぞれ組み合わせたことによって、その組み合わせた回路の通過帯域幅が広くなるので、上記整数次(n1)高調波の周波数変動にも対応しやすくなるという利点がある。
これをより詳しく説明すると、通常の5次の離散フーリエ変換器の周波数(次数)特性は図7に示す例のようなものであり、メインローブの通過帯域幅は4.9次から5.1次であり狭い。このような離散フーリエ変換器では、上記整数次(n1)高調波の周波数がこの通過帯域外にまで変動すると、上記整数次高調波を抽出することができなくなる。計測窓の期間を短くすれば通過帯域幅を広げることはできるけれども、そのようにすると基本波のリーケージエラーの影響が大きくなってしまう。従って、通過帯域幅を広くすることと、基本波のリーケージエラーの影響を受けにくくすることとは両立しない。
これに対して、図4に示すように離散フーリエ変換回路44と補正演算回路54とを組み合わせた回路構成の周波数(次数)特性は図8に示す例のようになり、メインローブの帯域幅は4.8次から5.2次であり、図7に比べて広くなっている。これは簡単に言えば、上記数7に示した演算(これは実際はベクトル演算である)を行うことによって、中心周波数が次数n1(この例では5次)のフィルタ波形に、中心周波数が次数n2(この例では4.9次)と次数n3(この例では5.1次)でゲインが共に0.5のフィルタ波形を加えたのと同様の特性になるからである。数7の式上では減算しているが、ベクトルで考えて位相を考えれば実際は加えたことになる。
従って、図4で代表して説明したような離散フーリエ変換回路44等と補正演算回路54等との組み合わせの回路構成によれば、計測窓の期間を短くしなくても通過帯域幅が広くなるので、計測窓の期間を短くすることによって基本波のリーケージエラーの影響が大きくなることを防止することができる。更に先に図5を参照して説明したような原理によって、リーケージエラーを除去することができる。従って、通過帯域幅を広げることと、基本波のリーケージエラーの影響を受けにくくすることとをうまく両立させることができる。即ち、系統基本波周波数の変動およびそれに伴う上記整数次(n1)高調波の周波数変動の両方にうまく対応することができるので、単独運転検出を精度良く行うことができる。
なお、上記次数n2およびn3は、必ずしも上記例のように、所定整数次数n1を挟んで上下対称である必要はない。例えば図6に示す例のように上下非対称にしても良い。例えば、所定整数次数n1を5次とすると、下側次数n2を4.8次、上側次数n3を5.1次等としても良い。またそれに応じて、平均を取る場合の重みを変えれば良い。例えばリーケージエラーEの大きい下側次数n2側の重みを1/3にし、リーケージエラーEの小さい上側次数n3側の重みを2/3としても良い。この例の場合は、上記数7の代わりに次式の補正演算を行えば良い。
[数10]
cn1 =Vn1−(Vn2+2Vn3)/3
また、複数の下側次数成分および複数の上側次数成分を抽出して、それらの重みつき平均を用いて、所定整数次数n1におけるリーケージエラーEを除去するようにしても良い。
次に、上記所定整数次数n1のアドミタンスYn1の算出について再び図2を参照して説明する。
この実施形態では、上記補正演算回路34の後段に、3相の上記整数次高調波の電圧Vcan1、Vcbn1、Vccn1に基づいて、当該整数次高調波の次数n1における主要対称成分の電圧Vsn1 を算出する第1の対称成分演算回路64(第1の対称成分演算手段)を有している。
更に、上記補正演算回路36の後段に、3相の上記整数次高調波の電流Ican1、Icbn1、Iccn1に基づいて、当該整数次高調波の次数n1における主要対称成分の電流Isn1 を算出する第2の対称成分演算回路66(第2の対称成分演算手段)を有している。
3相の相電圧をVa 、Vb 、Vc とすると、3相回路の対称成分である零相成分V0 、正相成分V1 および逆相成分V2 は、公知の次式で表される。
[数11]
0 =(Va +Vb +Vc )/3
1 =(Va +a・Vb +a2 ・Vc )/3
2 =(Va +a2 ・Vb +a・Vc )/3
a=exp(j2π/3)
更に、電力系統における対称成分は、良く知られているように、高調波次数nに応じて、零相成分、正相成分および逆相成分の内のどれかに集中する。これを主要対称成分と呼ぶ。具体的には次式のとおりである。
[数12]
n=1、7、13・・・ならば正相成分
n=3、9、15・・・ならば零相成分
n=5、11、17・・・ならば逆相成分
従って、上記対称成分演算回路64、66は、上記所定整数次数n1に応じた(数12参照)主要対称成分の電圧Vsn1 、電流Isn1 を上記数11に従って算出する。例えば、所定整数次数n1が5次であれば逆相成分を、所定整数次数n1が7次であれば正相成分を算出する。
上記アドミタンス演算回路38は、対称成分演算回路64からの上記電圧Vsn1 および対称成分演算回路66からの上記電流Isn1 に基づいて、次式に従って、上記整数次(n1)高調波のアドミタンスYn1を算出する。より具体的には、当該アドミタンスYn1の絶対値|Yn1|を算出しても良く、この実施形態ではそのようにする。
[数13]
n1=Isn1 /Vsn1
上記単独運転判定回路40は、アドミタンス演算回路38からのアドミタンスYn1の変化から、分散電源18が単独運転になったことを検出する。より具体的には、単独運転判定回路40は、アドミタンス演算回路38から与えられるアドミタンスの絶対値|Yn1|を所定の基準値Yjuと比較して、前者|Yn1|が後者Yjuよりも小さくなった状態が所定時間以上継続したときに、分散電源18が単独運転になったことを検出して単独運転検出信号DSを出力する。このような継続判定を行うと、単独運転以外の何らかの原因によるアドミタンスの絶対値|Yn1|の瞬時変動による誤検出を防止することができる。
上記基準値Yjuの大きさは、例えば、連系運転時のアドミタンスの絶対値|Yn1|の1/2程度にすれば良い。上記継続判定時間は、例えば0.3秒〜10秒の間の所定時間にすれば良い。
上記単独運転検出から更に進めて、上記単独運転検出信号DSによって遮断器16を開放して、分散電源18の単独運転を防止するようにしても良い。但し、この発明は単独運転検出が主目的であるので、遮断器16を開放する構成は必須ではない。
上記のような3相計測および主要対称成分算出を行わずに、いずれかの相の、所定整数次数n1の上記のような補正後の電圧Vcn1 および電流Icn1 を用いて、両者に基づいて、アドミタンス演算回路38において上記数13と同様の関係式でアドミタンスYn1またはその絶対値|Yn1|を求めても良いけれども、上記のように3相計測を行って主要対称成分算出を行うと次の効果が得られる。
即ち、前述したように電力系統の主要対称成分は、高調波次数に応じて、零相成分、正相成分および逆相成分の内のどれかに集中するので、上記整数次高調波の次数n1における主要対称成分の電圧および電流に基づいて上記整数次高調波のアドミタンスYn1を算出することによって、当該アドミタンス算出のSN比が向上する。ひいては単独運転検出の精度がより向上する。
また、この単独運転検出装置20は、上記補正演算回路34、36から出力される上記整数次(n1)高調波の電圧Vcan1等または電流Ican1等を用いて単独運転検出を行うのではなく、それらに基づいてアドミタンス演算回路38で上記所定整数次数n1のアドミタンスYn1を算出してそれを用いて単独運転検出を行うので、次の効果が得られる。
即ち、図4で代表して説明したような離散フーリエ変換回路44等と補正演算回路54等との組み合わせの回路構成の周波数特性は、図8に示した例のように平坦ではないので、上記整数次(n1)高調波の周波数変動に伴って、補正演算回路34、36から出力される上記整数次高調波の電圧Vcan1等および電流Ican1等のゲイン(大きさ)は変化する。しかしその場合でも、当該電圧と電流との間には一定の関係があって(簡単に言えば、電圧=電流×系統インピーダンス)両者は互いに同じ割合で変化するので、当該電圧に対する電流の比であるアドミタンスYn1は上記理由では変化しない(但し、単独運転になった場合は変化する)。例えば、電圧Vcan1が30%変化すれば電流Ican1も30%変化するので、アドミタンスYn1は変化しない。即ち、系統基本波および上記整数次高調波の周波数変動(即ち系統周波数変動)の影響を受けない。この単独運転検出装置20は、このような系統周波数変動の影響を受けない上記整数次高調波のアドミタンスYn1を算出してそれを用いて単独運転検出を行うので、系統周波数が変動しても単独運転検出を精度良く行うことができる。
このようなアドミタンスYn1を用いる効果は、上記所定整数次数n1の電圧または電流を用いて単独運転検出を行ったのでは得ることができない。またこのようなアドミタンスYn1を用いる効果は、上述した主要対称成分算出を行わない場合にも同様に得ることができる。
以上のようにこの単独運転検出装置20は、系統基本波周波数変動の影響を受けると共に、当該基本波変動に伴ってそれ自身の周波数も変動する上記整数次(n1)高調波の電圧および電流を固定周波数サンプリング方式によって測定する構成であるにも拘わらず、系統基本波周波数および上記整数次高調波周波数の変動の影響を受けにくくして、上記整数次高調波の電圧および電流を精度良く抽出することができる。ひいては上記整数次高調波のアドミタンスYn1を精度良く算出することができるので、単独運転検出を精度良く行うことができる。
しかも、固定周波数サンプリング方式を採用しているので、PLL回路を用いた同期サンプリング方式に比べて測定回路が簡単になる。更に、高調波成分の抽出に離散フーリエ変換手段を用いているので、ウェーブレット変換を用いる場合のような高速で高価な演算手段を必要としない。
従って、単独運転検出の精度が高く、しかも構成が簡単で安価な単独運転検出装置20を実現することができる。
この単独運転検出装置20で採用している方式(本実施例)と従来の他の方式の評価を表1に簡単にまとめて示す。
Figure 2010136548
次に、系統周波数が変動したときのアドミタンスのシミュレーション結果を図9〜図12に示す。これらの図の(A)に示したように、系統基本波周波数を1秒間に1Hz変動(減少)させた場合を検証した。
図9は、通常の離散フーリエ変換器によって抽出した電圧および電流を用いて算出した5次のアドミタンスを示しており、図10は、7次のアドミタンスを示している。いずれの場合も、系統周波数の変動に伴ってアドミタンスが激しく上下に変動しており、理論値2.5[S]から大きく外れている。これでは、系統周波数変動の影響を受けて、正確な単独運転検出はできない。
図11は、図4に示した回路構成によって抽出した電圧および電流を用いて算出した5次のアドミタンスを示しており、図12は、7次のアドミタンスを示している。いずれの場合も、アドミタンスは理論値2.5[S]のままである。従って、系統周波数変動の影響を排除して、正確な単独運転検出が可能になる。
この発明に係る単独運転検出装置の一実施形態を電力系統の一例と共に示す図である。 図1中の単独運転検出装置のより具体例を示すブロック図である。 回帰型離散フーリエ変換器の構成例を示すブロック図である。 図2中の一つの離散フーリエ変換回路および一つの補正演算回路の構成例を示すブロック図である。 電力系統の基本波のリーケージエラーを除去する動作の一例を説明するための図である。 電力系統の基本波のリーケージエラーを除去する動作の他の例を説明するための図である。 通常の離散フーリエ変換器のゲインの周波数特性の一例を示す図である。 図4に示す回路構成のゲインの周波数特性の一例を示す図である。 通常の離散フーリエ変換器を用いている場合において系統周波数が変動したときの5次のアドミタンスのシミュレーション結果の一例を示す図である。 通常の離散フーリエ変換器を用いている場合において系統周波数が変動したときの7次のアドミタンスのシミュレーション結果の一例を示す図である。 図4に示す回路構成を用いている場合において系統周波数が変動したときの5次のアドミタンスのシミュレーション結果の一例を示す図である。 図4に示す回路構成を用いている場合において系統周波数が変動したときの7次のアドミタンスのシミュレーション結果の一例を示す図である。
符号の説明
10 電力系統
18 分散電源
20 単独運転検出装置
26 第1のサンプリング回路
28 第2のサンプリング回路
30 第1の離散フーリエ変換回路
32 第2の離散フーリエ変換回路
34 第1の補正演算回路
36 第2の補正演算回路
38 アドミタンス演算回路
40 単独運転判定回路
64 第1の対称成分演算回路
66 第2の対称成分演算回路
70、701、702、703 回帰型離散フーリエ変換器

Claims (3)

  1. 電力系統と分散電源との連系点における電圧および電流を測定し、その測定電圧および測定電流に基づいて、所定の整数次高調波のアドミタンスを算出し、当該アドミタンスの変化から、前記分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転検出装置において、
    前記連系点における測定電圧を、サンプリング周波数一定の固定周波数サンプリング方式でサンプリングして前記測定電圧のサンプリングデータを出力する第1のサンプリング手段と、
    前記連系点における測定電流を、サンプリング周波数一定の固定周波数サンプリング方式でサンプリングして前記測定電流のサンプリングデータを出力する第2のサンプリング手段と、
    前記第1のサンプリング手段からの前記測定電圧のサンプリングデータを離散フーリエ変換して、前記整数次高調波成分、当該整数次高調波成分の上側の非整数次数の上側次数成分および前記整数次高調波成分の下側の非整数次数の下側次数成分をそれぞれ抽出する第1の離散フーリエ変換手段と、
    前記第2のサンプリング手段からの前記測定電流のサンプリングデータを離散フーリエ変換して、前記整数次高調波成分、当該整数次高調波成分の上側の、前記第1の離散フーリエ変換手段におけるものと同じ非整数次数の上側次数成分および前記整数次高調波成分の下側の、前記第1の離散フーリエ変換手段におけるものと同じ非整数次数の下側次数成分をそれぞれ抽出する第2の離散フーリエ変換手段と、
    前記第1の離散フーリエ変換手段で抽出した前記上側次数成分および下側次数成分の重みつき平均から、前記抽出した整数次高調波成分に含まれる前記電力系統の基本波周波数成分に基づく誤差を補間演算し、かつ前記抽出した整数次高調波成分から当該誤差を減算して除去して、前記整数次高調波の電圧を抽出する第1の補正演算手段と、
    前記第2の離散フーリエ変換手段で抽出した前記上側次数成分および下側次数成分の重みつき平均から、前記抽出した整数次高調波成分に含まれる前記電力系統の基本波周波数成分に基づく誤差を補間演算し、かつ前記抽出した整数次高調波成分から当該誤差を減算して除去して、前記整数次高調波の電流を抽出する第2の補正演算手段と、
    前記第1の補正演算手段からの前記整数次高調波の電圧および前記第2の補正演算手段からの前記整数次高調波の電流に基づいて、前記整数次高調波のアドミタンスを算出するアドミタンス演算手段とを備えていることを特徴とする分散電源の単独運転検出装置。
  2. 前記第1および第2の離散フーリエ変換手段は、それぞれ、前記離散フーリエ変換の演算を繰り返して行う際に一つ前の演算結果を次の演算結果に用いる回帰型離散フーリエ変換器によって構成されている請求項1記載の分散電源の単独運転検出装置。
  3. 前記第1および第2のサンプリング手段は、前記連系点における3相の電圧および電流をそれぞれサンプリングするものであり、
    前記第1および第2の離散フーリエ変換手段ならびに前記第1および第2の補正演算手段は、3相の電圧および電流をそれぞれ処理するものであり、
    前記第1の補正演算手段の後段に、3相の前記整数次高調波の電圧に基づいて、当該整数次高調波の次数における主要対称成分の電圧を算出する第1の対称成分演算手段を有しており、
    前記第2の補正演算手段の後段に、3相の前記整数次高調波の電流に基づいて、当該整数次高調波の次数における主要対称成分の電流を算出する第2の対称成分演算手段を有しており、
    前記アドミタンス演算手段は、前記第1および第2の対称成分演算手段からの前記主要対称成分の電圧および電流に基づいて、前記整数次高調波のアドミタンスを算出するものである請求項1または2記載の分散電源の単独運転検出装置。
JP2008310760A 2008-12-05 2008-12-05 分散電源の単独運転検出装置 Pending JP2010136548A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008310760A JP2010136548A (ja) 2008-12-05 2008-12-05 分散電源の単独運転検出装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008310760A JP2010136548A (ja) 2008-12-05 2008-12-05 分散電源の単独運転検出装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010136548A true JP2010136548A (ja) 2010-06-17

Family

ID=42347225

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008310760A Pending JP2010136548A (ja) 2008-12-05 2008-12-05 分散電源の単独運転検出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010136548A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112011102026T5 (de) 2010-06-15 2013-03-21 Honda Motor Co., Ltd. Fahrzeugantriebssystem und Steuerverfahren für Fahrzeugantriebssystem
JP2013090438A (ja) * 2011-10-18 2013-05-13 Daihen Corp 単独運転検出装置、系統連系インバータシステム、および、単独運転検出方法
CN116068452A (zh) * 2023-03-08 2023-05-05 石家庄科林电气股份有限公司 基于电源特征的供电类别判断方法、双源电能计量方法及双源计量电能表

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001045666A (ja) * 1999-08-04 2001-02-16 Kansai Electric Power Co Inc:The 分散電源の単独運転検出装置
JP2002040067A (ja) * 2000-07-27 2002-02-06 Nissin Electric Co Ltd 次数間高調波検出方法
JP2003250226A (ja) * 2002-02-25 2003-09-05 Nissin Electric Co Ltd 分散電源の単独運転検出方法
JP2006204069A (ja) * 2005-01-24 2006-08-03 Kansai Electric Power Co Inc:The 単独運転検出方法および単独運転検出装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001045666A (ja) * 1999-08-04 2001-02-16 Kansai Electric Power Co Inc:The 分散電源の単独運転検出装置
JP2002040067A (ja) * 2000-07-27 2002-02-06 Nissin Electric Co Ltd 次数間高調波検出方法
JP2003250226A (ja) * 2002-02-25 2003-09-05 Nissin Electric Co Ltd 分散電源の単独運転検出方法
JP2006204069A (ja) * 2005-01-24 2006-08-03 Kansai Electric Power Co Inc:The 単独運転検出方法および単独運転検出装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112011102026T5 (de) 2010-06-15 2013-03-21 Honda Motor Co., Ltd. Fahrzeugantriebssystem und Steuerverfahren für Fahrzeugantriebssystem
JP2013090438A (ja) * 2011-10-18 2013-05-13 Daihen Corp 単独運転検出装置、系統連系インバータシステム、および、単独運転検出方法
CN116068452A (zh) * 2023-03-08 2023-05-05 石家庄科林电气股份有限公司 基于电源特征的供电类别判断方法、双源电能计量方法及双源计量电能表
CN116068452B (zh) * 2023-03-08 2023-06-06 石家庄科林电气股份有限公司 基于电源特征的供电类别判断方法、双源电能计量方法及双源计量电能表

Similar Documents

Publication Publication Date Title
de Souza et al. A method for extracting the fundamental-frequency positive-sequence voltage vector based on simple mathematical transformations
JP5855886B2 (ja) 周波数検出装置
WO2018122391A1 (en) Precise real-time advanced grid monitoring
EP2859635A1 (en) Method for identifying fault by current differential protection and device thereof
Sarıbulut A novel average filter based phase-locked loop for FACTS devices
JP5560730B2 (ja) 電力変換装置の制御方法,無停電電源装置,並列型瞬低補償装置
JP2010136548A (ja) 分散電源の単独運転検出装置
Salor Spectral correction-based method for interharmonics analysis of power signals with fundamental frequency deviation
JP6432358B2 (ja) 分散電源の単独運転検出装置
JP2006317435A (ja) 位相・振幅検出装置および方法
JP2008064684A (ja) 電力系統のインピーダンス測定装置
Ukil et al. Power systems frequency estimation using amplitude tracking square wave for low-end protective relays
CN111398884B (zh) 一种时分割功率乘法器及其实现方法
JP5816530B2 (ja) 分散電源の単独運転検出装置
CN106324342B (zh) 一种基于查表的谐波检测方法
KR101768800B1 (ko) 3상 계통연계형 인버터의 전원 위상각 검출에 따른 옵셋 및 스케일 오차영향 저감 방법
Guajardo Prony filter vs conventional filters for distance protection relays: An evaluation
Destro et al. Implementation aspects of adaptive window moving average filter applied to PLLs—Comparative study
Ferreira et al. Adaptive real-time power measurement based on IEEE standard 1459-2010
Tarasiuk A few remarks about assessment methods of electric power quality on ships–present state and further development
JP5850709B2 (ja) 系統連系インバータ装置の単独運転検出装置
CN115051334A (zh) 一种距离保护纳米继电器
JP2002186167A (ja) サンプリングデータ処理方法及び該処理方法を用いた継電器
Bradaschia et al. A method for extracting the fundamental frequency positive-sequence voltage vector based on simple mathematical transformations
JP2000059995A (ja) 電力用高調波・無効電力補償装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120327

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120724