JP6432358B2 - 分散電源の単独運転検出装置 - Google Patents

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Description

この発明は、分散電源を有する分散電源保有設備が配電系統に接続された構成のシステム(これは分散電源連系システムと呼ぶこともできる。以下同様)に用いられて、分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転検出装置に関する。
配電系統には、太陽光発電(略称PV)、風力発電、廃棄物発電、小水力発電、コジェネレーション(複合発電)等の発電設備が接続されることが盛んになってきた。このような発電設備は、分散電源と呼ばれる。
分散電源を配電系統に接続して運転(これを連系運転と呼ぶ)している場合に、系統事故等によって電力会社の変電所の遮断器が開放されて上位系統からの電力供給が停止したとき、分散電源が運転(即ち単独運転)を続けていると、上位系統からの電力供給が停止したにもかかわらず配電線に電圧が印加され続けることになるので、感電事故等が発生する恐れがある。そこで、第1ステップとして、このような上位系統からの電力供給の停止、即ち分散電源の単独運転を確実に検出する必要がある。更に第2ステップとして、当該分散電源を配電系統から切り離す(解列する)必要がある。
分散電源の単独運転を検出する単独運転検出装置の例として、特許文献1には、連系運転状態における過渡現象時の誤検出の可能性を抑えつつ単独運転を検出することができる装置として、配電系統に基本波の非整数倍の注入次数(例えば2.25次〜2.75次)の注入電流を単相注入し、3相の計測電圧および計測電流から、注入次数の正相および逆相のアドミタンスならびに正相および逆相のサセプタンスを算出し、両サセプタンスの少なくとも一方が判定値以下となっても、両アドミタンスの少なくとも一方が基準値以上の場合は、両アドミタンスの不一致度が判定値以下の場合にのみ分散電源の単独運転状態であると判定する方式の単独運転検出装置が記載されている。
特許第4299829号公報
(1)複数台連系の場合の課題
近年、同一の変電所の下流側の配電系統に、複数台の分散電源(即ち分散電源保有設備)が接続されるようになってきている(これを複数台連系と呼ぶ)。
複数台連系された各分散電源保有設備が、例えば特許文献1に記載のような単独運転検出装置を有していて、各分散電源保有設備から配電系統に注入電流を注入すると、各注入電流の注入次数が同じ場合、これらの注入電流によって、各分散電源保有設備の受電点における注入次数の電圧が上昇して、見かけ上は注入次数のインピーダンスが大きく見えてしまうため、注入次数のインピーダンスのレベルによる正確な単独運転判定が困難になり、誤検出(この場合は、単独運転ではないのに単独運転と判定する不要検出)をする可能性が生じる。
これを図1を参照してより詳しく説明すると、配電系統100に、複数台(n台)の分散電源保有設備102が接続されていて、各分散電源保有設備102内の単独運転検出装置を構成する電流注入装置104から同一の注入次数mの注入電流Im1、Im2、・・・Imnを配電系統100に注入すると、配電系統100の注入次数mのインピーダンスをZm とすると、注入電流による当該インピーダンスZm の両端の電圧Vm 、即ち各受電点Pにおける注入次数mの電圧Vm は次式で表され、連系台数が増えるほど、合計した注入電流Im が大きくなるので、注入次数電圧Vm の値が上昇する。
[数1]
m =Im ・Zm
ここで、Im =Im1+Im2+・・・+Imn
ところが、各分散電源保有設備102(具体的にはその中の単独運転検出装置)において、例えば分散電源保有設備102aを例に取ると当該分散電源保有設備102aにおいて測定する注入次数mのインピーダンスZm1は、自設備からの注入電流Im1とその受電点Pの上記注入次数電圧Vm とを用いて、次式に従って算出されるので、注入電流Im1の大きさが一定でも上記注入次数電圧Vm の変化(上昇)によって、当該注入次数インピーダンスZm1の大きさも変化(増大)してしまう。
[数2]
m1=Vm /Im1
単独運転発生時にも、変電所の遮断器の開放によって配電系統の注入次数インピーダンスZm は大きくなり、これを検出する必要上、インピーダンス判定の基準値をあまり高く設定することはできないので、複数台連系によって、単独運転発生ではないのに、上記のように注入次数インピーダンスZm1が増大すると、当該注入次数インピーダンスZm1のレベルによる単独運転判定では、上述したように誤検出(この場合は不要検出)をする可能性が生じる。連系台数が増えるほど誤検出の可能性が高まる。
なお、単独運転判定に、注入次数のインピーダンスの代わりに、上記特許文献1に記載の技術のように、注入次数のアドミタンスまたはその成分であるサセプタンスを用いる場合もあるけれども、アドミタンスはインピーダンスの逆数であるので、複数台連系によって上記のように注入次数のインピーダンスが見かけ上大きくなるということは、注入次数のアドミタンス(またはサセプタンス)が見かけ上小さくなることである。そうなると、非常に小さいレベルにおけるアドミタンス(またはサセプタンス)の変化を判定して、単独運転か否かを判定しなければならなくなるので、やはり正確な単独運転判定は困難になり、誤検出する可能性が生じる。連系台数が増えるほど誤検出の可能性が高まる。
上記のような課題は、例えば、各分散電源保有設備102内の単独運転検出装置において使用(注入および測定)する次数mを互いに重複しないように異ならせることによって解決することができる。連系台数が少ない場合はこれでも良い。
しかし近年は、多数台の分散電源保有設備を配電系統に接続する傾向にある(これを多数台連系と呼ぶ)。例えば、近年は分散電源として太陽光発電設備が注目されており、太陽光発電設備の場合は他の発電設備に比べて特に多数台の発電設備が配電系統に接続される傾向にある。より具体例を挙げると、メガソーラーと呼ばれる、出力がメガワット級の大規模な太陽光発電システムの場合は、分散電源保有設備としての太陽光発電設備が例えば20〜30台程度も配電系統に接続される場合があり、通常はそのそれぞれに単独運転検出装置を備えている。
しかし、上記特許文献1中にも記載されているように(例えば段落0033参照)、注入次数mは、例えば配電線の電圧が7kV以下の高圧の場合は1<m<2.75(但しm≠2)の範囲内が好ましいことが当該技術分野において知られており、具体例として注入次数mは2.25次〜2.75次の範囲内であり、従って注入次数mとして別個に選択することのできる次数には限りがある。
従って、複数台連系の場合は、特に多数台連系の場合は、上記のように各分散電源保有設備内の単独運転検出装置において使用(注入および測定)する次数mを互いに重複しないように異ならせることは、現実的には難しい。
更に、多数台の単独運転検出装置において使用(注入および測定)する次数mを互いに重複しないように設定するためには、次数mについての仕様をそれぞれ異ならせなければならず、各単独運転検出装置の汎用性、製作コスト等の観点からも、現実的には難しい。
(2)注入次数電圧および注入次数電流の両方を測定する場合の課題
特許文献1に記載の技術は、単独運転判定に、注入次数のアドミタンス(およびサセプタンス)を算出して用いるために、注入次数電圧および注入次数電流の両方を測定して用いる必要があり、その分、単独運転検出装置の構成が複雑になり、コストも嵩む、という課題もある。
そこでこの発明は、複数台連系時の誤検出の可能性および連系運転状態における過渡現象時の誤検出の可能性を抑えることができ、しかも構成の簡素化を図ることができる単独運転検出装置を提供することを主たる目的としている。
この発明に係る単独運転検出装置の一つは、分散電源を有する分散電源保有設備が配電系統に接続されており、かつ前記配電系統と前記分散電源とを接続する配電線上であって前記分散電源の単独運転検出のための電流注入点と電圧測定点との間に、前記配電系統側を1次とすると1次−2次の結線がY−Δ結線の絶縁変圧器が存在する構成のシステムに用いられて、前記分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転検出装置であって、
前記電流注入点に、前記配電系統の基本波の1倍よりも大きい非整数倍の注入次数(m)の注入電流を単相注入する電流注入装置(42)と、
前記電圧測定点における前記注入次数の電圧を測定して当該注入次数の電圧を用いて、前記分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転監視装置(44)とを備えており、
かつ前記単独運転監視装置(44)は、
前記電圧測定点における前記注入次数の電圧(Vm )が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す電圧変化率(dVm )を算出する電圧変化率演算手段と、
前記電圧測定点における前記注入次数の電圧の正相電圧(V1m)および逆相電圧(V2m)を算出する正・逆相電圧演算手段と、
前記正・逆相電圧演算手段からの前記正相電圧と逆相電圧との互いの不一致の度合を表す不一致度(dV12m )を算出する不一致度演算手段と、
前記電圧変化率演算手段からの前記電圧変化率(dVm )を所定の電圧変化率基準値(Rfc )と比較し、かつ前記不一致度演算手段からの前記不一致度(dV12m )を所定の不一致度基準値(Rfd1)と比較して、前記電圧変化率(dVm )が前記電圧変化率基準値(Rfc )よりも大きく、かつ前記不一致度(dV12m )が前記不一致度基準値(Rfd1)以下の場合にのみ前記分散電源は単独運転状態であると判定する単独運転判定手段とを備えている、ことを特徴としている。
前記電圧変化率(dVm )は所定時間前からの変化率を表しているので、注入次数が同一の分散電源保有設備が複数台連系していても、定常運転時は前記電圧変化率(dVm )は実質的に一定である。単独運転発生時には、その分散電源保有設備が接続されている配電系統のインピーダンスが急に増大するので、前記電圧変化率(dVm )も急に増大する。これによって単独運転発生を検出することができる。しかし、連系運転状態における過渡現象時にも、前記電圧変化率(dVm )が急に増大する可能性はある。従って、単独運転の高速検出のために前記電圧変化率基準値(Rfc )を低く設定すると、前記電圧変化率(dVm )のみの判定では、誤検出(不要検出)をする可能性がある。
一方、前記不一致度(dV12m )は、定常運転時および単独運転時は小さく(換言すれば一致度は大きく)、連系運転状態における過渡現象時に大きく(換言すれば一致度は小さく)なる。従って、この不一致度の判定を用いれば、連系運転状態における過渡現象時の影響を排除することができる。
前記単独運転判定手段は、前記電圧変化率(dVm )の判定と、前記不一致度(dV12m )の判定とを組み合わせているので、複数台連系時の誤検出の可能性および連系運転状態における過渡現象時の誤検出の可能性を抑えつつ、単独運転を高速検出することができる。
前記電流注入点と電圧測定点との間に、絶縁変圧器が存在しないかまたは前記配電系統側を1次とすると1次−2次の結線がY−Y結線、Δ−Δ結線もしくはΔ−Y結線の絶縁変圧器が存在する構成のシステムに用いられる単独運転検出装置の単独運転監視装置(44)は、
前記電圧測定点における前記注入次数の電圧(Vm )が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す電圧変化率(dVm )を算出する電圧変化率演算手段と、
前記電圧測定点における前記注入次数の電圧の正相電圧(V1m)および逆相電圧(V2m)を算出する正・逆相電圧演算手段と、
前記正・逆相電圧演算手段からの前記正相電圧(V1m)および逆相電圧(V2m)のいずれか一方の位相を変化させて、定常運転時に両電圧の位相を実質的に一致させて出力する位相一致手段と、
前記位相一致手段からの前記正相電圧と逆相電圧との互いの不一致の度合を表す不一致度(dV12m )を算出する不一致度演算手段と、
前記電圧変化率演算手段からの前記電圧変化率(dVm )を所定の電圧変化率基準値(Rfc )と比較し、かつ前記不一致度演算手段からの前記不一致度(dV12m )を所定の不一致度基準値(Rfd2)と比較して、前記電圧変化率(dVm )が前記電圧変化率基準値(Rfc )よりも大きく、かつ前記不一致度(dV12m )が前記不一致度基準値(Rfd2)以下の場合にのみ前記分散電源は単独運転状態であると判定する単独運転判定手段とを備えている。
前記電流注入点と電圧測定点との間に、(ア)前記配電系統側を1次とすると1次−2次の結線がY−Δ結線の絶縁変圧器が存在する構成の第1のシステムと、(イ)前記電流注入点と電圧測定点との間に絶縁変圧器が存在しないかまたは1次−2次の結線がY−Y結線、Δ−Δ結線もしくはΔ−Y結線の絶縁変圧器が存在する構成の第2のシステムとに切り換えて用いられる単独運転検出装置の単独運転監視装置(44)は、
前記電圧測定点における前記注入次数の電圧(Vm )が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す電圧変化率(dVm )を算出する電圧変化率演算手段と、
前記電圧測定点における前記注入次数の電圧の正相電圧(V1m)および逆相電圧(V2m)を算出する正・逆相電圧演算手段と、
前記正・逆相電圧演算手段からの前記正相電圧と逆相電圧との互いの不一致の度合を表す不一致度(dV12m )を算出する第1の不一致度演算手段と、
前記正・逆相電圧演算手段からの前記正相電圧(V1m)および逆相電圧(V2m)のいずれか一方の位相を変化させて、定常運転時に両電圧の位相を実質的に一致させて出力する位相一致手段と、
前記位相一致手段からの前記正相電圧と逆相電圧との互いの不一致の度合を表す不一致度(dV12m )を算出する第2の不一致度演算手段と、
(ア)前記第1のシステムに用いる場合は、前記電圧変化率演算手段からの前記電圧変化率(dVm )を所定の電圧変化率基準値(Rfc )と比較し、かつ前記第1の不一致度演算手段からの前記不一致度(dV12m )を第1の所定の不一致度基準値(Rfd1)と比較して、前記電圧変化率(dVm )が前記電圧変化率基準値(Rfc )よりも大きく、かつ前記不一致度(dV12m )が前記第1の不一致度基準値(Rfd1)以下の場合にのみ前記分散電源は単独運転状態であると判定し、(イ)前記第2のシステムに用いる場合は、前記電圧変化率演算手段からの前記電圧変化率(dVm )を所定の電圧変化率基準値(Rfc )と比較し、かつ前記第2の不一致度演算手段からの前記不一致度(dV12m )を第2の所定の不一致度基準値(Rfd2)と比較して、前記電圧変化率(dVm )が前記電圧変化率基準値(Rfc )よりも大きく、かつ前記不一致度(dV12m )が前記第2の不一致度基準値(Rfd2)以下の場合にのみ前記分散電源は単独運転状態であると判定する単独運転判定手段とを備えている。
前記単独運転監視装置(44)は、前記電圧測定点における系統電圧の少なくとも2次高調波電圧および3次高調波電圧を含む複数個の整数次高調波電圧の合成の実効値の、系統基本波電圧の実効値に対する比である高調波ひずみ率(HDまたはΔHD)を演算する高調波ひずみ率演算手段と、当該高調波ひずみ率(HDまたはΔHD)を更に組み合わせて単独運転の判定を行う構成の単独運転判定手段とを備えていても良い。
請求項1、2に記載の発明によれば、単独運転判定の一つの要素として前記電圧変化率(dVm )を用いるので、注入次数が同一の分散電源保有設備が複数台連系していても、誤検出の可能性を抑えることができる。また、単独運転判定のもう一つの要素である前記不一致度(dV12m )は、定常運転時および単独運転時は小さく、連系運転状態における過渡現象時に大きくなるので、この不一致度の判定を用いることによって、連系運転状態における過渡現象時の影響を排除することができる。
前記単独運転判定手段は、前記電圧変化率(dVm )の判定と、前記不一致度(dV12m )の判定とを組み合わせているので、複数台連系時の誤検出の可能性および連系運転状態における過渡現象時の誤検出の可能性を抑えつつ、単独運転を高速検出することができる。
しかも、注入次数の電圧を用いて前記判定を行うことができ、先行技術の場合と違って注入次数の電流を用いる必要はないので、その分、単独運転検出装置の構成の簡素化を図ることができ、ひいてはコスト低減も可能になる。
請求項3に記載の発明によれば、前記電流注入点と電圧測定点との間に、(ア)前記配電系統側を1次とすると1次−2次の結線がY−Δ結線の絶縁変圧器が存在する構成の第1のシステムと、(イ)前記電流注入点と電圧測定点との間に絶縁変圧器が存在しないかまたは1次−2次の結線がY−Y結線、Δ−Δ結線もしくはΔ−Y結線の絶縁変圧器が存在する構成の第2のシステムとに切り換えて用いることができるので、請求項1、2記載の発明の前記効果と同様の効果を奏することができると共に、単独運転検出装置の汎用性を高めることができる。
請求項4に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、前記第1の不一致度基準値(Rfd1)と前記第2の不一致度基準値(Rfd2)とを互いに同じ値にしているので、適用するシステムを切り換える場合に不一致度基準値を切り換える必要がなくなり、単独運転判定手段における判定が簡単になり、ひいては単独運転判定手段の構成も簡単になる。
請求項5、6、7に記載の発明によれば、それぞれ、請求項1、2、3に記載の発明が奏する前記効果と同様の効果に加えて、次の更なる効果を奏する。即ち、前記高調波ひずみ率(HDまたはΔHD)は、電圧フリッカを発生させるフリッカ負荷や、L負荷(誘導性負荷。以下同様)とC負荷(容量性負荷。以下同様)のバランスが悪い負荷が配電系統に接続されている場合の連系運転時に比べて、単独運転発生時の変化の方が大きいので、前記単独運転判定手段において、当該高調波ひずみ率を更に組み合わせて単独運転の判定を行うことによって、電圧フリッカやバランスの悪い負荷に起因する場合と単独運転発生の場合とを区別することが容易になる。その結果、フリッカ負荷や、L負荷とC負荷のバランスが悪い負荷が接続されている配電系統においても、誤検出(不要検出)を防止しつつ、分散電源の単独運転をより確実に検出することができる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項4に記載の発明が奏する前記効果と同様の効果を奏する。
請求項9に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、前記注入次数(m)を、2.25次から2.75次の範囲内にすると、この注入次数は前記高調波ひずみ率(HDまたはΔHD)の演算に用いる系統電圧の2次高調波電圧および3次高調波電圧に次数が近いので、単独運転発生時に当該注入次数の電圧が増大すると、そのことが前記高調波ひずみ率を増大させることに更に寄与する。従って、電圧フリッカやバランスの悪い負荷に起因する場合と単独運転発生の場合とを区別することがより容易になる。その結果、フリッカ負荷や、L負荷とC負荷のバランスが悪い負荷が接続されている配電系統においても、誤検出(不要検出)を防止しつつ、分散電源の単独運転をより一層確実に検出することができる。
先行技術の課題を説明するための配電系統の概略図である。 この発明に係る単独運転検出装置を有する分散電源保有設備が配電系統に接続された構成のシステムの一例を示す単線接続図である。 図2中の単独運転監視装置の構成の一例を示すブロック図である。 図3中の単独運転判定器の構成の一例を示すブロック図である。 単独運転発生時の、電圧測定点における注入次数電圧およびその電圧変化率の変化の一例を示す概略図である。 図2のシステム中の一つの分散電源保有設備周りを抜き出して示す図であり、電流注入点と電圧測定点との間に、1次(系統側)−2次の結線がY−Δ結線の絶縁変圧器が存在する第1のシステムの例を示す。 ab相に単相注入した注入次数電流に着目した図6の簡易等価回路図である。 図6の構成の場合の、電圧測定点における注入次数の相電圧の例を示すベクトル図である。 図6の構成の場合の、電圧測定点における注入次数の正相電圧および逆相電圧の例を示すベクトル図であり、(A)は定常運転時および単独運転時の例を示し、(B)は連系運転状態における過渡現象時の例を示す。 図2のシステム中の一つの分散電源保有設備周りを抜き出して示す図であり、電流注入点と電圧測定点との間に、1次(系統側)−2次の結線がY−Y結線またはΔ−Δ結線の絶縁変圧器が存在する場合の第2のシステムの例を示す。 図2のシステム中の一つの分散電源保有設備周りを抜き出して示す図であり、電流注入点と電圧測定点との間に絶縁変圧器が存在しない場合の第2のシステムの例を示す。 ab相に単相注入した注入次数電流に着目した図10および図11の簡易等価回路図である。 図10および図11の構成の場合の、電圧測定点における注入次数の相電圧の例を示すベクトル図である。 図10および図11の構成の場合の、電圧測定点における注入次数の正相電圧および逆相電圧の例を示すベクトル図であり、(A)は定常運転時および単独運転時の例を示し、(B)は連系運転状態における過渡現象時の例を示す。 図2のシステム中の一つの分散電源保有設備周りを抜き出して示す図であり、電流注入点と電圧測定点との間に、1次(系統側)−2次の結線がΔ−Y結線の絶縁変圧器が存在する場合の第2のシステムの例を示す。 ab相に単相注入した注入次数電流に着目した図15の簡易等価回路図である。 図15の構成の場合の、電圧測定点における注入次数の相電圧の例を示すベクトル図である。 図15の構成の場合の、電圧測定点における注入次数の正相電圧および逆相電圧の例を示すベクトル図であり、(A)は定常運転時および単独運転時の例を示し、(B)は連系運転状態における過渡現象時の例を示す。 単独運転発生時の系統電圧に含まれる高調波電圧の変化の一例を示す図である。 図2中の単独運転監視装置の構成の他の例を示すブロック図である。 図20中の単独運転判定器の構成の一例を示すブロック図である。 図20中の単独運転判定器の構成の他の例を示すブロック図である。 2次および3次の高調波電圧を用いて高調波ひずみ率を演算する例において、単独運転発生時をシミュレーションしたときの不一致度および高調波ひずみ率の差分の変化の一例を示す概略図である。 2次および3次の高調波電圧を用いて高調波ひずみ率を演算する例において、高圧配電線にフリッカ負荷が接続されている場合の連系運転時をシミュレーションしたときの不一致度および高調波ひずみ率の差分の変化の一例を示す概略図である。 2次から7次までの整数次高調波電圧を用いて高調波ひずみ率を演算する例において、単独運転発生時をシミュレーションしたときの高調波ひずみ率の差分の変化の一例を示す概略図である。 2次から7次までの整数次高調波電圧を用いて高調波ひずみ率を演算する例において、高圧配電線にフリッカ負荷が接続されている場合の連系運転時をシミュレーションしたときの高調波ひずみ率の差分の変化の一例を示す概略図である。
(1)システム全体の構成について
図2に、この発明に係る単独運転検出装置40を有する複数の分散電源保有設備20が配電系統1に接続された構成のシステムの一例を示す。
配電系統1は、この例では、上位系統2に変電所4の変圧器6および遮断器8を介して高圧の配電線10が接続され、この高圧配電線10に配電用変圧器14を介して低圧の配電線16が接続された構成をしていて、この低圧配電線16に各分散電源保有設備20が接続されている。高圧配電線10には、負荷12が接続されている。負荷12は、通常は複数あるけれども、ここではそれらを一括して図示している。高圧配電線10の電圧は例えば6.6kV、低圧配電線16の電圧は例えば200Vである。
各分散電源保有設備20は、この実施形態では、スイッチ22、絶縁変圧器24、分散電源30、単独運転検出装置40等を備えている。
分散電源30は、この実施形態では、太陽電池28と、その出力を交流電力に変換するインバータ26とを有している。即ち、太陽光発電設備(略称PV)である。但しこれに限られるものではなく、分散電源30は前述した他の発電設備でも良い。
絶縁変圧器24は、この実施形態では、配電系統1と分散電源30とを接続する配電線16上であって分散電源30の単独運転検出のための電流注入点32と電圧測定点34との間に(より具体的にはスイッチ22の下流側に)設けられている。この絶縁変圧器24の3相結線の種類には様々なものが採り得る。これについては後述する。
単独運転検出装置40は、変電所4の遮断器8が開放されて、自設備20内の分散電源30が単独運転になったことを検出するものであり、電流注入装置42と単独運転監視装置44とを備えている。
電流注入装置42は、上記電流注入点32に、配電系統1の基本波の1倍よりも大きい非整数倍(即ち帯小数)の注入次数mの注入電流Im を単相注入するものである。即ち、単相の注入電流Im を、3相の配電線16の任意の2相間に注入するものである。以下の実施形態では、ab相間に注入する例を示している。この注入電流Im 、後述する電圧V、電流I、インピーダンスZ等の符号に付した添字のmは上記注入次数を示す。
前述したように、注入次数mは、単独運転の検出精度を高めるためには、例えば配電線16の電圧が7kV以下の場合は1<m<2.75(但しm≠2)の範囲内が好ましいことが当該技術分野において知られている。より具体的には、この実施形態では、一例として2.25次〜2.75次の範囲内の注入次数mを用いる。
以下の説明では、説明を分りやすくするために、電流注入装置42を独立して設けている場合を例に説明しているけれども、分散電源30がインバータ26を有している場合、電流注入装置42を独立して設ける代わりに、インバータ26に電流注入装置42を兼ねさせても良い。即ち、インバータ26に電流注入装置42の機能を持たせて、インバータ26の出力電流(基本波電流)に上記注入次数mの注入電流Im を重畳させて注入しても良い。
単独運転監視装置44は、上記電圧測定点34における注入次数mの電圧を測定して当該注入次数mの電圧を用いて、分散電源30が単独運転になったことを検出するものであり、これの具体的な構成の例は以下で説明する。36は計器用変圧器である。単独運転監視装置44は、分散電源30の単独運転を検出すると単独運転検出信号S2 を出力する。この例では、単独運転検出信号S2 に応答してスイッチ22が開放される。但し、この発明は分散電源30の単独運転検出までを目的としているので、スイッチ22を開放する処理を行うことはこの発明に必須ではない。
(2)単独運転監視装置44の構成について
単独運転監視装置44の構成の一例を図3に示す。この単独運転監視装置44は、次の(ア)および(イ)の二つのシステムに切り換えて用いる場合の例を示す。(ア)、(イ)いずれか一方のシステムに用いる場合については後述する。
(ア)前記電流注入点32と電圧測定点34との間に、配電系統1側を1次とすると1次−2次の結線がY−Δ結線の絶縁変圧器24が存在する構成の第1のシステム。
(イ)前記電流注入点32と電圧測定点34との間に絶縁変圧器が存在しないかまたは1次−2次の結線がY−Y結線、Δ−Δ結線もしくはΔ−Y結線の絶縁変圧器24が存在する構成の第2のシステム。
なお、以下に述べると共に、図中に記載している電圧V、電流Iの符号に付した添字のaはa相を、bはb相を、cはc相をそれぞれ示す。また、電圧V、電流Iの符号に付した添字mの前の1は正相を、2は逆相をそれぞれ示す。mは前述したように注入次数を示す。また、各添字付きの電圧V、同電流I、インピーダンスZは、いずれも、断わりのない限りベクトルであるが、この明細書および図面では、文字の上に付すドットのような、ベクトルを表す記号は省略している。
図3に示す単独運転監視装置44は、離散フーリエ変換器50、記憶装置52、移動平均値演算器54および電圧変化率演算器56を有しており、これらが電圧変化率演算手段を構成している。
離散フーリエ変換器50は、上記電圧測定点34における電圧、この例では線間電圧Vabを受けて、それを離散フーリエ変換(例えば回帰型離散フーリエ変換。以下同様)して、注入次数mの電圧Vm を抽出して出力する。なお、この実施形態では、電圧V、電流I等の測定、演算データを離散量で扱っている。ここでは上記注入次数電圧Vm に着目してそれをサンプリングデータの形で表すと、Vm(0)は現在の電圧、Vm(n)はnサンプル前の電圧、Vm(n+i)はn+iサンプル前の電圧を示す。
記憶装置52は、離散フーリエ変換器50からの現在の電圧値(即ち絶対値。以下同様)|Vm(0)|の保存、および、n〜n+iサンプル前の電圧値|Vm(n)|〜|Vm(n+i)|の読み込みを行う。
移動平均値演算器54は、n〜n+iサンプル前の電圧値の平均値(即ちiポイント間の移動平均値)|Vmave(n)|を算出する。移動平均値を用いると、定常運転時に、ノイズに対して、下記の電圧変化率dVm の値を安定させることができる。
電圧変化率演算器56は、離散フーリエ変換器50からの現在の電圧値|Vm(0)|と移動平均値演算器54からの平均値|Vmave(n)|とを用いて、次式に従って、注入次数電圧Vm が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す電圧変化率dVm を算出する。
[数3]
dVm =|Vm(0)|/|Vmave(n)|
単独運転発生時の上記注入次数電圧|Vm |と電圧変化率dVm の一例を図5に示す。変電所4の遮断器8(図2参照)が開放されて単独運転が発生すると、その分散電源保有設備20が接続されている配電系統の注入次数mのインピーダンスが急に増大するので、図5に示すように、上記注入次数電圧|Vm |および電圧変化率dVm も急に増大する。従って、この電圧変化率dVm を所定の電圧変化率基準値Rfc と比較することによって、単独運転発生を検出することができる。この比較は、後述する単独運転判定器74において行う。
再び図3を参照して、単独運転監視装置44は、相電圧演算器58、離散フーリエ変換器60〜62および正・逆相電圧演算器64を有しており、これらが正・逆相電圧演算手段を構成している。更に第1の不一致度演算器66を有しており、これが第1の不一致度演算手段を構成している。
相電圧演算器58は、前記電圧測定点34の線間電圧Vab、Vbcに基づいて、次式に従って、a相、b相、c相の相電圧Va 、Vb 、Vc をそれぞれ算出する。
[数4]
a =(Vab−Vca)/3
b =(Vbc−Vab)/3
c =(Vca−Vbc)/3
ここで、Vca=−(Vab+Vbc
離散フーリエ変換器60、61、62は、それぞれ、相電圧演算器58からの相電圧Va 、Vb 、Vc を受けて、それを離散フーリエ変換して、注入次数mの相電圧Vam、Vbm、Vcmを抽出して出力する。
正・逆相電圧演算器64は、離散フーリエ変換器60〜62からの相電圧Vam、Vbm、Vcmに基づいて、次式に従って、注入次数mの正相電圧V1mおよび逆相電圧V2mを算出する。aはベクトルオペレータであり、a=exp(j2π/3)で表される。
[数5]
1m=(1/3)(Vam+a・Vbm+a2 ・Vcm
2m=(1/3)(Vam+a2 ・Vbm+a・Vcm
(2−1)第1のシステムに用いる場合の例
第1の不一致度演算器66は、単独運転検出装置40を前記(ア)に示した第1のシステムに用いる場合のものであり、当該第1のシステムの例を図6に示す。前記電流注入点32と電圧測定点34との間に1次(配電系統1側)−2次の結線がY−Δ結線の絶縁変圧器24が設けられている。絶縁変圧器24は、例えば、安全性を高めると共に、インバータ26からのノイズの伝搬を抑制する働きをする。インバータ26の出力側に設けられているLCフィルタ27も、上記ノイズを低減させる働きをする。なお、図6中のインバータ26から計器用変圧器36までの破線で囲んだ要素を含む装置46は、パワーコンディショナと呼ばれる場合もある。後述する他の例においても同様。
図6の構成において、前述したように電流注入装置42から電流注入点32のab相に注入電流Im を単相注入する場合、絶縁変圧器24の1次側(配電系統1側)での注入次数mの各相電流Iam、Ibm、Icmに着目した簡易等価回路は図7に示すものとなり、各相電流Iam、Ibm、Icmは次式で表される。等価電流源86は、絶縁変圧器24を1次側から見たときの上記電流注入装置42(または前述したようにインバータ26の注入電流発生機能)である。Zm は、絶縁変圧器24の1次側での注入次数mのインピーダンスである。後述する他の例においても同様である。
[数6]
am=(2/3)Im
bm=−(1/3)Im
cm=−(1/3)Im
従って、この例の場合の上記電圧測定点34における注入次数mの各相電圧Vam、Vbm、Vcmは次式で表される。また、これらをベクトル図で表したものを図8に示す。
[数7]
am=Zm ・Iam=(2/3)Zm ・Im
bm=Zm ・Ibm=−(1/3)Zm ・Im
cm=Zm ・Icm=−(1/3)Zm ・Im
上記数5にこの数7を代入すると次式となる。
[数8]
1m=(1/3)(Vam+a・Vbm+a2 ・Vcm
=(1/3){(2/3)Zm ・Im +a(−1/3)Zm ・Im
+a2(−1/3)Zm ・Im
=(1/3)Zm ・Im
2m=(1/3)(Vam+a2 ・Vbm+a・Vcm
=(1/3){(2/3)Zm ・Im +a2(−1/3)Zm ・Im
+a(−1/3)Zm ・Im
=(1/3)Zm ・Im
この式から分るように、上記注入次数mの正相電圧V1mと逆相電圧V2mとは、定常運転時は互いに実質的に同一ベクトルとなる。分散電源30の単独運転時も、変電所4の遮断器8(図2参照)が開放される以外の系統条件は変らないので、定常運転時と同様である。この場合のベクトル図の例を図9(A)に示す。なお、上記のように定常運転時の正相電圧V1m、逆相電圧V2mと、単独運転時の正相電圧V1m、逆相電圧V2mとが実質的に同じであることは、後述する他の例においても同様である。
一方、連系運転状態における過渡現象時の注入次数mの正相電圧V1mと逆相電圧V2mとの一致度は低下する(換言すれば、後述する不一致度は増大する)。これと同様のことが、例えば、特許第3601518号公報にも記載されている(例えば段落0118、0123参照)。その場合のベクトル図の例を図9(B)に示す。
なお、上記数6〜数8の説明は、定常運転時および単独運転時に注入次数mの正相電圧V1mと逆相電圧V2mとが互いに実質的に同一ベクトルになることを説明するためのものであり、これらの式を図3に示す単独運転監視装置44内で演算するのではない。図3中の離散フーリエ変換器60〜62の出力の相電圧Vam、Vbm、Vcmは、実は、上記数7に示す内容のものが抽出され、正・逆相電圧演算器64の出力の正相電圧V1m、逆相電圧V2mは、実は、上記数8に示す内容のものが抽出される、ということである。
上記不一致度演算器66は、正・逆相電圧演算器64からの上記注入次数mの正相電圧V1mと逆相電圧V2mとの互いの不一致度を表す不一致度dV12m を次式に従って算出する。場合分けをするのは、単に、不一致度dV12m として負の値が出ないようにするためである。
[数9]
|V1m|≧|V2m|のとき、dV12m =|V1m−V2m|/|V1m
|V1m|<|V2m|のとき、dV12m =|V2m−V1m|/|V2m
この不一致度dV12m は、上記説明および図9に示すように、定常運転時および単独運転時は実質的に0になり(図9(A)参照)、連系運転状態における過渡現象時は0よりも大きくなる(図9(B)参照)。従って、この不一致度dV12m を第1の所定の不一致度基準値Rfd1と比較することによって、過渡現象時か否かを判定することができる。この比較は、後述する単独運転判定器74において行う。
なお、図9中で不一致度基準値Rfd1を円で表しているのは、図中において不一致度dV12m が大きくなる向きは色々あり、それとの大きさの関係を表す上で便利だからである。他の図における不一致度基準値Rfd1、Rfd2についても同様である。
(2−2)第2のシステムに用いる場合の例
再び図3を参照して、単独運転監視装置44は、位相補正係数設定器68および掛算器70を有しており、これらが位相一致手段を構成している。更に第2の不一致度演算器72を有しており、これが第2の不一致度演算手段を構成している。これらは、単独運転検出装置40を前記(イ)に示した第2のシステムに用いる場合のものであり、当該第2のシステムの一例を図10に示す。前記電流注入点32と電圧測定点34との間に1次(配電系統1側)−2次の結線がY−Y結線またはΔ−Δ結線の絶縁変圧器24が設けられている。
更に、第2のシステムの他の例を図11に示す。前記電流注入点32と電圧測定点34との間に絶縁変圧器は存在しない。換言すれば、パワーコンディショナ46は前記絶縁変圧器24に相当する絶縁変圧器を内蔵していない。この場合、電圧測定点34よりも上流側に絶縁変圧器24が設けられていても良いし(その場合の当該絶縁変圧器24の結線は問わない)、設けられていなくても良い。
図10または図11の構成において、前述したように電流注入装置42から電流注入点32のab相に注入電流Im を単相注入する場合、絶縁変圧器24の1次側(配電系統1側)での注入次数mの各相電流Iam、Ibm、Icmに着目した簡易等価回路は図12に示すものとなり、各相電流Iam、Ibm、Icmは次式で表される。
[数10]
am=Im
bm=−Im
cm=0
従って、この例の場合の上記電圧測定点34における注入次数mの各相電圧Vam、Vbm、Vcmは次式で表される。即ち、相電圧VamとVbmは180度の位相差を有している。また、これらをベクトル図で表したものを図13に示す。
[数11]
am=Zm ・Iam=Zm ・Im
bm=Zm ・Ibm=−Zm ・Im
cm=Zm ・Icm=0
上記数5にこの数11を代入すると次式となる。
[数12]
1m=(1/3)(Vam+a・Vbm+a2 ・Vcm
=(1/3)(1−a)Zm ・Im
=(√3/3)Zm ・Im ・exp(−jπ/6)
2m=(1/3)(Vam+a2 ・Vbm+a・Vcm
=(1/3)(1−a2 )Zm ・Im
=(√3/3)Zm ・Im ・exp(jπ/6)
このように、注入次数mの正相電圧V1mと逆相電圧V2mとは互いにπ/3の位相差を持つ関係となり、定常運転時のみならず、単独運転時もこの関係は維持される。そこで、判定を容易にするために、更に下記の第2の不一致度基準値Rfd2を上記第1の不一致度基準値Rfd1と同じ値にすることができるように、正相電圧V1mおよび逆相電圧V2mのいずれか一方のベクトルをπ/3回転させて、両者のベクトルを実質的に一致させる。この実施形態では、次式の演算を行って、逆相電圧V2mの位相を時計方向(即ちマイナス方向)にπ/3回転させ、それを逆相電圧V2m′とする。従って、定常運転時および単独運転時に、正相電圧V1mと逆相電圧V2m′の位相は実質的に一致する。この場合のベクトル図の例を図14(A)に示す。
[数13]
2m′=V2m・exp(−jπ/3)
=(√3/3)Zm ・Im ・exp(jπ/6)・exp(−jπ/3)
=(√3/3)Zm ・Im ・exp(−jπ/6)
図3中に示す位相補正係数設定器68は、位相補正係数φを設定するものであり、掛算器70は、この位相補正係数φと正・逆相電圧演算器64からの逆相電圧V2mとの次式に示す掛算を行って上記逆相電圧V2m′を算出する。位相補正係数φは、この例ではφ=exp(−jπ/3)であり、従ってこの場合は数14は数13と同じになる。
[数14]
2m′=V2m・φ
一方、連系運転状態における過渡現象時の注入次数mの正相電圧V1mと逆相電圧V2m′との一致度は低下する(換言すれば、後述する不一致度は増大する)。その場合のベクトル図の例を図14(B)に示す。
上記不一致度演算器72は、正・逆相電圧演算器64からの上記注入次数mの正相電圧V1mと上記掛算器70からの逆相電圧V2m′との互いの不一致度を表す不一致度dV12m を次式に従って算出する。場合分けをするのは、単に、不一致度dV12m として負の値が出ないようにするためである。
[数15]
|V1m|≧|V2m′|のとき、dV12m =|V1m−V2m′|/|V1m
|V1m|<|V2m′|のとき、dV12m =|V2m′−V1m|/|V2m′|
この不一致度dV12m は、上記説明および図14に示すように、定常運転時および単独運転時は実質的に0になり(図14(A)参照)、連系運転状態における過渡現象時は0よりも大きくなる(図14(B)参照)。従って、この不一致度dV12m を第2の所定の不一致度基準値Rfd2と比較することによって、過渡現象時か否かを判定することができる。この比較は、後述する単独運転判定器74において行う。
前記(イ)に示した第2のシステムの更に他の例を図15に示す。前記電流注入点32と電圧測定点34との間に1次(配電系統1側)−2次の結線がΔ−Y結線の絶縁変圧器24が設けられている。
図15の構成において、前述したように電流注入装置42から電流注入点32のab相に注入電流Im を単相注入する場合、絶縁変圧器24の1次側(配電系統1側)での注入次数mの各相電流Iam、Ibm、Icmに着目した簡易等価回路は図16に示すものとなり、各相電流Iam、Ibm、Icmは次式で表される。
[数16]
am=Im
bm=−2Im
cm=Im
従って、この例の場合の上記電圧測定点34における注入次数mの各相電圧Vam、Vbm、Vcmは次式で表される。また、これらをベクトル図で表したものを図17に示す。
[数17]
am=Zm ・Iam=Zm ・Im
bm=Zm ・Ibm=−2Zm ・Im
cm=Zm ・Icm=Zm ・Im
上記数5にこの数17を代入すると次式となる。
[数18]
1m=(1/3)(Vam+a・Vbm+a2 ・Vcm
=(1/3){Zm ・Im +a(−2Zm ・Im )+a2(Zm ・Im )}
=Zm ・Im ・exp(−jπ/3)
2m=(1/3)(Vam+a2 ・Vbm+a・Vcm
=(1/3){Zm ・Im +a2(−2Zm ・Im )+a(Zm ・Im )}
=Zm ・Im ・exp(jπ/3)
このように、注入次数mの正相電圧V1mと逆相電圧V2mとは互いに2π/3の位相差を持つ関係となり、定常運転時のみならず、単独運転時もこの関係は維持される。そこで、判定を容易にするために、更に第2の不一致度基準値Rfd2を上記第1の不一致度基準値Rfd1と同じ値にすることができるように、正相電圧V1mおよび逆相電圧V2mのいずれか一方のベクトルを2π/3回転させて、両者のベクトルを実質的に一致させる。この実施形態では、次式の演算を行って、逆相電圧V2mの位相を時計方向(即ちマイナス方向)に2π/3回転させ、それを逆相電圧V2m′とする。従って、定常運転時および単独運転時に、正相電圧V1mと逆相電圧V2m′の位相は実質的に一致する。この場合のベクトル図の例を図18(A)に示す。
[数19]
2m′=V2m・exp(−j2π/3)
=Zm ・Im ・exp(jπ/3)・exp(−j2π/3)
=Zm ・Im ・exp(−jπ/3)
従ってこの場合は、図3中の位相補正係数設定器68によって、位相補正係数φとして、φ=exp(−j2π/3)を設定する。従ってこの場合は、上記数14は数19と同じになる。
一方、連系運転状態における過渡現象時の注入次数mの正相電圧V1mと逆相電圧V2m′との一致度は低下する(換言すれば不一致度は増大する)。その場合のベクトル図の例を図18(B)に示す。
上記不一致度演算器72における演算は、上記数15に示したものと同じである。
この場合も不一致度dV12m は、上記説明および図18に示すように、定常運転時および単独運転時は実質的に0になり(図18(A)参照)、連系運転状態における過渡現象時は0よりも大きくなる(図18(B)参照)。従って、この不一致度dV12m を上記第2の不一致度基準値Rfd2と比較することによって、過渡現象時か否かを判定することができる。この比較は、次に述べる単独運転判定器74において行う。
(2−3)単独運転判定器74について
再び図3を参照して、単独運転監視装置44は、単独運転判定器74を有しており、これが単独運転判定手段を構成している。
この単独運転判定器74は、前記(ア)に示した第1のシステムに用いる場合は、前記電圧変化率演算器56からの前記電圧変化率dVm を前記電圧変化率基準値Rfc と比較し、かつ前記第1の不一致度演算器66からの前記不一致度dV12m を前記第1の不一致度基準値Rfd1と比較して、電圧変化率dVm が電圧変化率基準値Rfc よりも大きく、かつ不一致度dV12m が不一致度基準値Rfd1以下の場合にのみ前記分散電源30は単独運転状態であると判定して、それを表す単独運転検出信号S1 を出力する。この判定内容を表1にまとめて示す。
Figure 0006432358
また単独運転判定器74は、前記(イ)に示した第2のシステムに用いる場合は、前記電圧変化率演算器56からの前記電圧変化率dVm を前記電圧変化率基準値Rfc と比較し、かつ前記第2の不一致度演算器72からの前記不一致度dV12m を前記第2の不一致度基準値Rfd2と比較して、電圧変化率dVm が電圧変化率基準値Rfc よりも大きく、かつ不一致度dV12m が不一致度基準値Rfd2以下の場合にのみ前記分散電源30は単独運転状態であると判定して、それを表す単独運転検出信号S1 を出力する。この判定内容を表2にまとめて示す。
Figure 0006432358
単独運転判定器74の上記機能を実現する具体的な構成としては、幾つかの構成が採り得る。その一例を図4に示す。この単独運転判定器74は、比較器78、スイッチ回路80、切換スイッチ82および比較器84を有している。
比較器78は、上記表1または表2にまとめた電圧変化率dVm に関する比較を行って、dVm >Rfc の場合に上記単独運転検出信号S1 を出力する。この単独運転検出信号S1 は、スイッチ回路80を経由して単独運転判定器74から出力される。
スイッチ回路80は、次に述べる阻止信号S3 が与えられている時はオフになって単独運転検出信号S1 の出力を阻止し(換言すればブロックし)、それ以外の時はオンになって単独運転検出信号S1 を通過させて出力する。スイッチ回路80は、例えば、半導体を有する電子回路、論理回路、メカニカルなスイッチを有する回路等でも良く、特定のものに限定されない。
切換スイッチ82は、上記(ア)に示した第1のシステムに用いる場合は、比較器84の入力部を上記第1の不一致度演算器66側に切り換え、上記(イ)に示した第2のシステムに用いる場合は、比較器84の入力部を上記第2の不一致度演算器72側に切り換える。
比較器84は、上記(ア)に示した第1のシステムに用いる場合は、上記表1にまとめた不一致度dV12m に関する比較を行って、dV12m >Rfd1の場合に上記阻止信号S3 を出力する。これに応答して、上述したように、スイッチ回路80は単独運転検出信号S1 の出力を阻止する。また、比較器84は、上記(イ)に示した第2のシステムに用いる場合は、上記表2にまとめた不一致度dV12m に関する比較を行って、dV12m >Rfd2の場合に上記阻止信号S3 を出力する。これに応答して、上述したように、スイッチ回路80は単独運転検出信号S1 の出力を阻止する。
比較器84に与える上記二つの不一致度基準値Rfd1とRfd2とは、例えば、切換スイッチ82の切り換えに連動して切り換えれば良い。
また、切換スイッチ82を設ける代わりに、表1中の不一致度dV12m に関する比較を行って上記阻止信号S3 を出力する比較器と、表2中の不一致度dV12m に関する比較を行って上記阻止信号S3 を出力する比較器とを別に設けても良い。
いずれにしても、表1または表2中に示した○印の場合にのみ、単独運転判定器74から上記単独運転検出信号S1 が出力される。
上記単独運転検出信号S1 を単独運転監視装置44からそのまま出力するよりも、図3に示す例のように、継続時間判定器76によって、単独運転検出信号S1 が所定の継続確認時間だけ継続していることを判定して継続したときに前記単独運転検出信号S2 を出力するのが好ましい。そのようにすると、単独運転以外の何らかの原因による注入次数電圧等の瞬時の変動による誤検出を防止することができる。継続確認時間は例えば0.2秒程度にすれば良い。
上記電圧変化率基準値Rfc の値は、図5をも参照して、1[p. u.]以上とし、より具体的には系統条件等に応じた適切な値とすれば良い。例えば、単独運転発生時の上記電圧変化率dVm が20[p. u.]程度になる場合は、その半分の10[p. u.]に設定すれば良い。
上記第1の不一致度基準値Rfd1の値は、例えば、0.3[p. u.]に設定すれば良い。上記第2の不一致度基準値Rfd2の値も、例えば、0.3[p. u.]に設定すれば良い。両不一致度基準値Rfd1、Rfd2は、必ずしも互いに同じ値にする必要はないけれども、互いに同じ値にすると、適用するシステムを切り換える場合に不一致度基準値Rfd1とRfd2とを切り換える必要がなくなり、しかも単独運転判定器74における判定が簡単になり、ひいては単独運転判定器74の構成も簡単になる。
前述したように、単独運転判定の一つの要素としての前記電圧変化率dVm は所定時間前からの変化率を表しているので、注入次数mが同一の分散電源保有設備20が複数台連系していても、定常運転時は前記電圧変化率dVm は実質的に一定(例えば1)である。単独運転発生時には、その分散電源保有設備20が接続されている配電系統1のインピーダンスが急に増大するので、図5に例示したように、前記電圧変化率dVm も急に増大する。これによって単独運転発生を検出することができる。従って、注入次数mが同一の分散電源保有設備20が複数台連系していても、誤検出の可能性を抑えることができる。むしろ、注入次数mが同一の分散電源保有設備20が複数台連系していて注入次数mの電圧(電圧変化率dVm ではなく、その元になる前述した電圧Vm や相電圧Vam、Vbm、Vcm)が大きくなると、電圧レベルが大きくなって扱いやすくなるという利点もある。
しかし、連系運転状態における過渡現象時にも、前記電圧変化率dVm が急に増大する可能性はある。従って、単独運転の高速検出のために前記電圧変化率基準値Rfc を低く設定すると、前記電圧変化率dVm のみの判定では、誤検出(不要検出)をする可能性がある。
一方、単独運転判定のもう一つの要素である上記不一致度dV12m は、定常運転時および単独運転時は小さく(換言すれば一致度は大きく)、連系運転状態における過渡現象時に大きく(換言すれば一致度は小さく)なるので、この不一致度の判定を用いることによって、連系運転状態における過渡現象時の影響を排除することができる。
前記単独運転判定器74は、上述したように、前記電圧変化率dVm の判定と、前記不一致度dV12m の判定とを組み合わせているので、複数台連系時の誤検出の可能性および連系運転状態における過渡現象時の誤検出の可能性を抑えつつ、分散電源30の単独運転を高速検出することができる。
しかも、注入次数mの電圧Vm 、V1m、V2mを用いて前記判定を行うことができ、先行技術の場合と違って注入次数mの電流を用いる必要はないので、その分、単独運転検出装置40の構成の簡素化を図ることができ、ひいてはコスト低減も可能になる。
更に、図3を参照して説明した単独運転監視装置44を有する単独運転検出装置40は、上記(ア)に示した第1のシステムと、上記(イ)に示した第2のシステムとに切り換えて用いることができるので、単独運転検出装置40の汎用性を高めることができる。
単独運転検出装置40が、上記(ア)に示した第1のシステムのみに用いるものである場合は、単独運転監視装置44は、図3中に示した位相補正係数設定器68、掛算器70および第2の不一致度演算器72を有している必要はなく、また単独運転判定器74は、表2に示した判定を行う必要はなく、それ用の手段を有している必要もない。
単独運転検出装置40が、上記(イ)に示した第2のシステムのみに用いるものである場合は、単独運転監視装置44は、図3中に示した第1の不一致度演算器66を有している必要はなく、また単独運転判定器74は、表1に示した判定を行う必要はなく、それ用の手段を有している必要もない。
(3)単独運転監視装置44の他の例
配電系統1(図2等参照)に接続される負荷の状況を詳しく検討すると、電圧フリッカを発生させるフリッカ負荷が接続されていたり、L負荷(誘導性負荷)とC負荷(容量性負荷)のバランスが悪い負荷が接続されている場合がある。
そのような場合、図3、図4等を参照して説明した上記不一致度基準値Rfd1、Rfd2の値の選定が難しくなることがある。例えば、フリッカ負荷や、L負荷とC負荷のバランスが悪い負荷が配電系統1に接続されている場合、連系運転時でも、電圧フリッカ等によって不一致度dV12m は大きくなるけれども、不一致度基準値Rfd1、Rfd2が大き過ぎると比較器84から阻止信号S3 が出力されず、しかも電圧変化率dVm が電圧変化率基準値Rfc を超えて比較器78から単独運転検出信号S1 が出力される可能性があり、この場合は当該単独運転検出信号S1 はスイッチ回路80で阻止(ブロック)されずに単独運転判定器74から出力される。従ってこの場合は、単独運転発生ではないのに単独運転発生だと検出する、つまり誤検出(不要検出)する可能性がある。
逆に、不一致度基準値Rfd1、Rfd2が小さ過ぎると、フリッカ負荷や、L負荷とC負荷のバランスが悪い負荷が配電系統1に接続されていると、単独運転発生時にも不一致度dV12m が大きくなって不一致度基準値Rfd1、Rfd2を超えて比較器84から阻止信号S3 が出力される可能性があり、そうなると比較器78が単独運転検出信号S1 を出力してもそれがスイッチ回路80で阻止(ブロック)されて単独運転判定器74から出力されなくなる。つまり、単独運転発生を検出できない可能性がある。
そこで、上記のような点を更に改善した単独運転監視装置44の例を、図20等を参照して以下に説明する。以下においては、図2〜図4等を参照して先に説明した例と同一または相当する部分には同一符号を付し、先に説明した例との相違点を主に説明する。
以下に説明する単独運転監視装置44は、簡単に言えば、前記電圧測定点34(図2等参照)における系統電圧の少なくとも2次高調波電圧および3次高調波電圧を含む複数個の整数次高調波電圧の合成の実効値の、系統基本波電圧の実効値に対する比である高調波ひずみ率HDまたはその差分ΔHDを更に組み合わせて単独運転の判定を行うものである。
上記高調波ひずみ率HDは、式を用いて表すと、次の数20でも良いし、数21でも良い。ここで、V1 は系統基本波電圧の実効値、V2 、V3 、Vn は、それぞれ、2次高調波電圧の実効値、3次高調波電圧の実効値、n次高調波電圧の実効値である。nは4以上の整数であり、例えばn=7であるが、n>7でも良い。例えばn=40でも良い。
[数20]
HD=√(V2 2 +V3 2 )/V1
[数21]
HD=√(V2 2 +V3 2 +・・・+Vn 2 )/V1
上記のような高調波ひずみ率HDを更に組み合わせて単独運転の判定を行うことにしたのは、次の知見に基づくものである。
次の非特許文献1には、単独運転が発生すると、系統電圧に含まれる2次以上の高調波電圧が増大することが記載されている(例えば757頁および763頁参照)。その763頁の図3.6.2−56中の回転機負荷併設 三相2台/相、高圧解列(即ち単独運転発生)の場合の高調波電圧のグラフを抜粋して図19に示す。
非特許文献1: 平成15年度〜平成19年度成果報告書、「集中連系型太陽光発電システム実証研究」、平成20年5月、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、(委託先)株式会社関電工
この図19からも分るように、単独運転が発生すると、高調波電圧が増大する。特に、2次、3次、5次、7次の高調波電圧が増大する。これは、簡単に言えば、単独運転になると、上位系統からの高調波電圧含有の少ない電力が供給されなくなり、負荷側からの高調波電圧の影響が相対的に大きくなるからであると考えられる。
従って上記のような現象を利用して、高調波電圧が増大したときは単独運転が発生した可能性が高いのでその場合は前記単独運転検出信号S1 の阻止(ブロック)を解除すれば良く、高調波電圧が増大していないときは当該阻止(ブロック)を解除しなければ良い。具体的には、この高調波電圧の増大を上記高調波ひずみ率HDを用いて判定し、その判定を更に組み合わせて単独運転の判定を行えば良い。このようなことに本願の発明者達は思い至った。
より具体的には、前述した例のように電圧変化率dVm を所定の電圧変化率基準値Rfc と比較し、かつ不一致度dV12m を所定の不一致度基準値Rfd1(またはRfd2)と比較することに加えて、前記高調波ひずみ率HDを所定の高調波ひずみ率基準値RfHDと比較して、次の(a)および(b)である場合にのみ、前記分散電源30は単独運転状態であると判定することにした。
(a)電圧変化率dVm が電圧変化率基準値Rfc よりも大きい。
(b)不一致度dV12m が不一致度基準値Rfd1(またはRfd2)以下であることおよび高調波ひずみ率HDが高調波ひずみ率基準値RfHD以上であることの少なくとも一方である。
高調波ひずみ率HDの比較判定は、上記高調波ひずみ率HDそのままの形で行っても良いし、以下に述べる例のように当該高調波ひずみ率HDの差分ΔHDの形で行っても良く、後者の場合は上記高調波ひずみ率HDをその差分ΔHDに置き換えれば良い。
上記のような思想に基づく単独運転監視装置44の例を図20を参照して説明する。この単独運転監視装置44は、図3に示した構成に加えて、離散フーリエ変換器110、高調波ひずみ率演算器112、移動平均演算器114、116および差分演算器118を有しており、これらがこの例では高調波ひずみ率演算手段を構成している。
離散フーリエ変換器110は、前記電圧測定点34(図2等参照)における電圧、この例では上記注入電流Im を単相注入したab相間の線間電圧Vabを受けて、それを離散フーリエ変換して、系統電圧の基本波電圧V1 、2次高調波電圧V2 および3次高調波電圧V3 を抽出して出力する。これらの電圧V1 〜V3 はいずれも実効値である。
なお、離散フーリエ変換器110に注入相以外の線間電圧を取り込んで上記電圧V1 〜V3 を抽出するようにしても良いけれども、この例のように注入相間の線間電圧を用いる方が好ましい場合もある。その理由は後述する。
高調波ひずみ率演算器112は、上記電圧V1 〜V3 を受けて、上記数20に示した演算を行って、上記高調波ひずみ率HDを演算して出力する。
移動平均演算器114は、現在に直近の第1の測定期間における高調波ひずみ率HDの第1の移動平均値(絶対値)|HDave1|を演算して出力する。例えば、0.2秒前から現在までの0.2秒間の移動平均値を算出する。
移動平均演算器116は、上記第1の測定期間よりも更に前の第2の測定期間における高調波ひずみ率HDの第2の移動平均値(絶対値)|HDave2|を演算して出力する。例えば、1.5秒前から1.0秒前までの0.5秒間の移動平均値を算出する。
差分演算器118は、高調波ひずみ率HDの差分ΔHD、具体的には上記移動平均値|HDave1|と|HDave2|との間の差分ΔHDを演算して出力する。より具体的には、差分演算器118はこの例では減算器であり、次式に従って差分ΔHDを算出する。
[数22]
ΔHD=|HDave1|−|HDave2
高調波ひずみ率HDの増大の判定に、高調波ひずみ率HDそのものを用いても良いけれども、上記のような移動平均値および差分ΔHDを用いる方が好ましい。その理由は次のとおりである。即ち、配電系統1(図2等参照)で発生する高調波電圧は通常は常に変動しているため、上記高調波ひずみ率HDも通常は常に変動しており、単独運転発生時はその変動が更に大きくなる。従って、このような変動している高調波ひずみ率HDの移動平均値を用いて平滑化を行うことによって、単独運転発生時の高調波ひずみ率HDの変化をより正確に検出することができる。
また、配電系統1の系統条件の違いによって定常時の高調波ひずみ率HDの値が異なるため、高調波ひずみ率HDそのものを判定する場合は判定のための基準値、即ち上記高調波ひずみ率基準値RfHDを一定に定めにくい。そこで、上記のように高調波ひずみ率HDの差分ΔHDを算出して判定することによって、系統条件の違いによる定常時の高調波ひずみ率HDの値の違いに影響されなくなるので、高調波ひずみ率基準値RfHDを一定に定めておいても、定常時と単独運転発生時とを正確に区別することが可能になる。
移動平均演算器114および116における上記各測定期間(時間幅)は、長くするほど高調波ひずみ率HDの変化を検出しにくくなり、短くするほど高調波ひずみ率HDのちょっとした変化を検出してしまうので、上述した程度の測定期間が好ましい。
図20中の単独運転判定器74(単独運転判定手段)の構成の一例を図21に示す。図4に示した単独運転判定器74との相違点を主に説明すると、この単独運転判定器74は、図4に示した構成に加えて、比較器120およびスイッチ回路122を更に有している。
比較器120は、上記差分演算器118からの高調波ひずみ率の差分ΔHDを所定の高調波ひずみ率基準値RfHDと比較して、当該差分ΔHDが高調波ひずみ率基準値RfHD以上(即ちΔHD≧RfHD)の場合に阻止解除信号S4 を出力する。
スイッチ回路122は、上記阻止解除信号S4 が与えられている時はオフになって、前記比較器84からの阻止信号S3 がスイッチ回路80に供給されるのを阻止し、それ以外の時はオンになって阻止信号S3 を通過させて出力する。スイッチ回路122は、例えば、半導体を有する電子回路、論理回路、メカニカルなスイッチを有する回路等でも良く、特定のものに限定されない。
即ち、比較器120およびスイッチ回路122は、前記比較器84およびスイッチ回路80と協働して、前記比較器78からの単独運転検出信号S1 がこの単独運転判定器74から出力されるのを阻止する(換言すればブロックする)、または阻止しない(換言すればブロック解除する)働きをする。
この単独運転判定器74における判定内容の一例を表3および表4にまとめて示す。この内、比較器84における不一致度dV12m の判定および比較器78における電圧変化率dVm の判定については、先に表1および表2等を参照して説明したとおりであるので、ここでは重複説明を省略する。
Figure 0006432358
Figure 0006432358
表3に示すように、dV12m ≦Rfd1およびΔHD≧RfHDの少なくとも一方である場合は、上記単独運転検出信号S1 がこの単独運転判定器74から出力されるのを阻止しない(換言すればブロック解除する)。そうでない場合は阻止する(換言すればブロックする)。
従って表4中に○印で示すように、dVm >Rfc であり、なおかつ表3に示した「阻止しない」場合にのみ、即ち(a)電圧変化率dVm が電圧変化率基準値Rfc よりも大きく、なおかつ(b)不一致度dV12m が不一致度基準値Rfd1以下および高調波ひずみ率の差分ΔHDが高調波ひずみ率基準値RfHD以上の少なくとも一方である場合にのみ、比較器78から上記単独運転検出信号S1 が出力され、かつそれが阻止(ブロック)されずにこの単独運転判定器74から出力される。即ちこの場合にのみ、単独運転判定器74は前記分散電源30(図2等参照)は単独運転状態であると判定して、それを表す単独運転検出信号S1 を出力する。それ以降については前述したとおりである。
上記単独運転判定器74は、論理回路を用いて構成しても良い。その一例を図22に示す。図21に示した例との相違点を主に説明すると、この単独運転判定器74は、上記スイッチ回路80および122の代わりに、AND回路124およびOR回路126を有している。また、比較器84は、図21に示す例とは逆の比較を行って、dV12m ≦Rfd1の場合に阻止解除信号S3 ′(これは上記阻止信号S3 と逆論理の信号である)を出力する。従って、この阻止解除信号S3 ′および上記阻止解除信号S4 の少なくとも一方が出力されている時は、OR回路126から論理値「1」の信号がAND回路124に与えられるので、上記単独運転検出信号S1 がこの単独運転判定器74から出力されるのを阻止しない(換言すればブロック解除する)。そうでない場合は阻止する(換言すればブロックする)。即ちこの単独運転判定器74も、図21に示した例の単独運転判定器74と同じ内容の判定を行って、即ち表3および表4に示した内容の判定を行って、表4中に示した○印の場合にのみ、単独運転検出信号S1 を出力する。
上記高調波ひずみ率の差分ΔHDは、定常時には状況によって負の値になることがあるけれども、単独運転発生時には前述したように高調波成分が増大するため基本的には負の値にはならない。従って、高調波ひずみ率基準値RfHDは正の値に設定すれば良い。例えば、0.3[p.u.]に設定すれば良い。但し、これに限られるものではない。
上記判定の内、不一致度dV12m の判定については、図3、図4等を参照して先に説明した例と同じである。
即ち、この単独運転監視装置44を前記(ア)に示した第1のシステムに用いる場合は、前記第1の不一致度演算器66からの不一致度dV12m を前記第1の不一致度基準値Rfd1と比較して前記表1に示した判定を行えば良い。表3はこの場合を示す。
また、この単独運転監視装置44を前記(イ)に示した第2のシステムに用いる場合は、前記第2の不一致度演算器72からの不一致度dV12m を前記第2の不一致度基準値Rfd2と比較して表2に示した判定を行えば良い。次の表5はこの場合を示す。表4は共通である。即ちこの場合の単独運転判定器74は、(a)電圧変化率dVm が電圧変化率基準値Rfc よりも大きく、なおかつ(b)不一致度dV12m が第2の不一致度基準値Rfd2以下および高調波ひずみ率の差分ΔHDが高調波ひずみ率基準値RfHD以上の少なくとも一方である場合にのみ前記分散電源30は単独運転状態であると判定して、それを表す単独運転検出信号S1 を出力する。
Figure 0006432358
更に、この単独運転監視装置44を前記(ア)に示した第1のシステムと、前記(イ)に示した第2のシステムとに切り換えて用いる場合は、上記二つの判定を切り換えて行えば良い。即ちこの場合の単独運転判定器74は、(ア)前記第1のシステムに用いる場合は、(a)電圧変化率dVm が電圧変化率基準値Rfc よりも大きく、なおかつ(b)不一致度dV12m が第1の不一致度基準値Rfd1以下および高調波ひずみ率の差分ΔHDが高調波ひずみ率基準値RfHD以上の少なくとも一方である場合にのみ前記分散電源30は単独運転状態であると判定し、(イ)前記第2のシステムに用いる場合は、(a)電圧変化率dVm が電圧変化率基準値Rfc よりも大きく、なおかつ(b)不一致度dV12m が第2の不一致度基準値Rfd2以下および高調波ひずみ率の差分ΔHDが高調波ひずみ率基準値RfHD以上の少なくとも一方である場合にのみ前記分散電源30は単独運転状態であると判定して、それを表す単独運転検出信号S1 を出力する。
上記図20等を参照して説明した単独運転監視装置44を備えていることによって、図3、図4等を参照して先に説明した単独運転監視装置44を備えている場合に比べて、次の更なる効果を奏する。即ち、前記高調波ひずみ率HDは、フリッカ負荷や、L負荷とC負荷のバランスが悪い負荷が配電系統1に接続されている場合の連系運転時に比べて、単独運転発生時の変化の方が大きいので、単独運転発生時の方が高調波ひずみ率の差分ΔHDも大きくなる。従って、単独運転判定器74において、当該高調波ひずみ率の差分ΔHDを更に組み合わせて上記のようにして単独運転の判定を行うことによって、電圧フリッカやバランスの悪い負荷に起因する場合と単独運転発生の場合とを区別することが容易になる。
即ち、前記不一致度基準値Rfd1、Rfd2の値を小さく選定しておいても良く、そのようにすると、単独運転発生時に不一致度dV12m が大きくなって不一致度基準値Rfd1、Rfd2を超えて比較器84から阻止信号S3 が出力される(即ち単独運転検出をブロックする)可能性が生じるかもしれないけれども、単独運転発生時の高調波ひずみ率の差分ΔHDも大きくなって高調波ひずみ率基準値RfHD以上になって上記阻止信号S3 が阻止される(即ちブロック解除される)ので、単独運転発生をより確実に検出することができる。
しかも、フリッカ負荷や、L負荷とC負荷のバランスが悪い負荷が配電系統1に接続されている場合も、単独運転でない系統連系運転時には不一致度dV12m が大きくなって不一致度基準値Rfd1、Rfd2を超えて阻止信号S3 が確実に出力されると共に、連系運転時には高調波ひずみ率の差分ΔHDは小さいままであって高調波ひずみ率基準値RfHD以上にはならず、従って上記阻止信号S3 が阻止されない(即ちブロック解除されない)ので、誤検出(不要検出)を防止することができる。
上記の結果、フリッカ負荷や、L負荷とC負荷のバランスが悪い負荷が接続されている配電系統1においても、誤検出(不要検出)を防止しつつ、分散電源30の単独運転をより確実に検出することができる。
図2に示したシステムを模擬したシミュレーションモデルを用いてシミュレーションを行った結果の例を図23〜図26に示す。これらの例では、一例として、上記不一致度基準値Rfd1は0.3[p.u.]に、上記高調波ひずみ率基準値RfHDは0.3[%]に設定している。
図23および図24は、2次高調波電圧V2 および3次高調波電圧V3 を用いて上記数20に従って高調波ひずみ率HDを算出し、更にその差分ΔHDを算出した場合のシミュレーション結果である。
変電所4の遮断器8が開放されて低圧配電線16に接続されている分散電源30が単独運転になった場合(図2参照)、前記図5(B)に示すように、点aの時点で電圧変化率dVm >Rfc になるので、前記比較器78から単独運転検出信号S1 が出力される。また、図23(A)に示すように、点b他の時点で不一致度dV12m >Rfd1になり、前記比較器84から阻止信号S3 が出力される時点がある。しかし、図23(B)に示すように、点cの時点で高調波ひずみ率の差分ΔHD≧RfHDになるので、前記比較器120から阻止解除信号S4 が出力されて阻止信号S3 が阻止される(即ちブロック解除される)。従って、先に図21、表3、表4等を参照して説明したように、前記単独運転判定器74から単独運転検出信号S1 が出力される。即ち、分散電源30の単独運転を検出することができる。
一方、高圧配電線10にフリッカ負荷が接続されている場合で、分散電源30が連系運転している場合(即ち遮断器8が閉じられていて単独運転でない場合)、図24(A)に示すように、多くの時点で不一致度dV12m >Rfd1になり、前記比較器84から阻止信号S3 が出力される。しかし、図24(B)に示すように、全ての時点で高調波ひずみ率の差分ΔHD<RfHDであるので、前記比較器120から阻止解除信号S4 は出力されず、阻止信号S3 は阻止されない(即ちブロック解除されない)。従って、仮に電圧変化率dVm >Rfc になって前記比較器78から単独運転検出信号S1 が出力されることがあったとしても、先に図21、表3、表4等を参照して説明したように、当該単独運転検出信号S1 はスイッチ回路80等で阻止されて前記単独運転判定器74から出力されることはない。即ち、誤検出(不要検出)を防止することができる。
前記数21の所で説明したように、高調波ひずみ率HDの算出に、2次高調波電圧V2 および3次高調波電圧V3 に加えて、それよりも大きいn次高調波電圧Vn (n≧4の整数)までを用いても良い。例えば、2次から7次までの整数次高調波電圧を用いて上記数21に従って高調波ひずみ率HDを算出し、更にその差分ΔHDを算出した場合のシミュレーション結果を図25、図26に示す。図25は単独運転発生時のものであり、図26はフリッカ負荷が接続されている場合の連系運転時のものであり、これらはそれぞれ、上記図23(B)、図24(B)に対応している。高調波の次数以外は同じ条件である。図23(B)、図24(B)の場合と殆ど同じ傾向であることが分る。更にこのことから、高調波ひずみ率HDおよびその差分ΔHDの算出に、7次よりも更に大きい整数次高調波電圧までを用いても、上記と殆ど同じ傾向であると推定される。
従って、少なくとも2次高調波電圧V2 および3次高調波電圧V3 を含む複数個の整数次高調波電圧を用いた高調波ひずみ率HDやその差分ΔHDを更に組み合わせて上記のようにして単独運転の判定を行うことによって、フリッカ負荷や、L負荷とC負荷のバランスが悪い負荷が接続されている配電系統1においても、誤検出(不要検出)を防止しつつ、分散電源30の単独運転をより確実に検出することができることが分る。
前述したように、高調波ひずみ率HDの増大の判定に、高調波ひずみ率HDそのものを用いても良い。その場合は、図20中の移動平均演算器114、116および差分演算器118を設ける必要はなく、離散フーリエ変換器110および高調波ひずみ率演算器112が高調波ひずみ率演算手段を構成している。そして、この高調波ひずみ率演算器112からの高調波ひずみ率HDを単独運転判定器74に供給して、当該単独運転判定器74において、上記高調波ひずみ率の差分ΔHDの代わりにこの高調波ひずみ率HDを用いてそれを高調波ひずみ率基準値RfHDと比較して、上記と同様の判定を行えば良い。その場合、高調波ひずみ率基準値RfHDは、判定対象の高調波ひずみ率HDに応じたものにすれば良い。
前記注入次数mを、2.25次から2.75次の範囲内にしても良い、そのようにすると、この注入次数は前記高調波ひずみ率HDまたはその差分ΔHDの演算に用いる系統電圧の2次高調波電圧V2 および3次高調波電圧V3 に次数が近いので、単独運転発生時に当該注入次数mの電圧が増大すると、そのことが前記高調波ひずみ率HDまたはその差分ΔHDを増大させることに更に寄与する。これは、次数が近いため、上記2次高調波電圧V2 および3次高調波電圧V3 等を高調波ひずみ率演算手段において抽出する際の出力に、注入次数mの電圧成分も含まれるようになり、そのことが高調波ひずみ率HDまたはその差分ΔHDを増大させることに更に寄与するからである。従って、電圧フリッカやバランスの悪い負荷に起因する場合と単独運転発生の場合とを区別することがより容易になる。その結果、フリッカ負荷や、L負荷とC負荷のバランスが悪い負荷が接続されている配電系統1においても、誤検出(不要検出)を防止しつつ、分散電源30の単独運転をより一層確実に検出することができる。
注入次数mを上記範囲内にする場合は、前記高調波ひずみ率HDまたはその差分ΔHDを演算する回路への、電圧測定点34における系統電圧の取り込みは、図20に示した例のように、注入電流Im の注入相(この例の場合はab相)間の線間電圧(この例の場合はVab)にする方が好ましい。これは、注入次数mの電圧Vm は、注入電流Im の注入相間の電圧の方が他の相間の電圧よりも大きいので(約2倍)、単独運転発生時の注入次数電圧の増大が、上記高調波ひずみ率HDまたはその差分ΔHDを増大させることに寄与しやすくなるからである。
1 配電系統
16 配電線
20 分散電源保有設備
24 絶縁変圧器
30 分散電源
32 電流注入点
34 電圧測定点
40 単独運転検出装置
42 電流注入装置
44 単独運転監視装置
56 電圧変化率演算器
64 正・逆相電圧演算器
66 第1の不一致度演算器
72 第2の不一致度演算器
74 単独運転判定器
112 高調波ひずみ率演算器
118 差分演算器
m 注入次数
m 注入電流
dVm 電圧変化率
dV12m 不一致度
Rfc 電圧変化率基準値
Rfd1、Rfd2 不一致度基準値
HD 高調波ひずみ率
ΔHD 高調波ひずみ率の差分
RfHD 高調波ひずみ率基準値

Claims (9)

  1. 分散電源を有する分散電源保有設備が配電系統に接続されており、かつ前記配電系統と前記分散電源とを接続する配電線上であって前記分散電源の単独運転検出のための電流注入点と電圧測定点との間に、前記配電系統側を1次とすると1次−2次の結線がY−Δ結線の絶縁変圧器が存在する構成のシステムに用いられて、前記分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転検出装置であって、
    前記電流注入点に、前記配電系統の基本波の1倍よりも大きい非整数倍の注入次数(m)の注入電流を単相注入する電流注入装置(42)と、
    前記電圧測定点における前記注入次数の電圧を測定して当該注入次数の電圧を用いて、前記分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転監視装置(44)とを備えており、
    かつ前記単独運転監視装置(44)は、
    前記電圧測定点における前記注入次数の電圧(Vm )が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す電圧変化率(dVm )を算出する電圧変化率演算手段と、
    前記電圧測定点における前記注入次数の電圧の正相電圧(V1m)および逆相電圧(V2m)を算出する正・逆相電圧演算手段と、
    前記正・逆相電圧演算手段からの前記正相電圧と逆相電圧との互いの不一致の度合を表す不一致度(dV12m )を算出する不一致度演算手段と、
    前記電圧変化率演算手段からの前記電圧変化率(dVm )を所定の電圧変化率基準値(Rfc )と比較し、かつ前記不一致度演算手段からの前記不一致度(dV12m )を所定の不一致度基準値(Rfd1)と比較して、前記電圧変化率(dVm )が前記電圧変化率基準値(Rfc )よりも大きく、かつ前記不一致度(dV12m )が前記不一致度基準値(Rfd1)以下の場合にのみ前記分散電源は単独運転状態であると判定する単独運転判定手段とを備えている、ことを特徴とする分散電源の単独運転検出装置。
  2. 分散電源を有する分散電源保有設備が配電系統に接続されており、かつ前記配電系統と前記分散電源とを接続する配電線上であって前記分散電源の単独運転検出のための電流注入点と電圧測定点との間に、絶縁変圧器が存在しないかまたは前記配電系統側を1次とすると1次−2次の結線がY−Y結線、Δ−Δ結線もしくはΔ−Y結線の絶縁変圧器が存在する構成のシステムに用いられて、前記分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転検出装置であって、
    前記電流注入点に、前記配電系統の基本波の1倍よりも大きい非整数倍の注入次数(m)の注入電流を単相注入する電流注入装置(42)と、
    前記電圧測定点における前記注入次数の電圧を測定して当該注入次数の電圧を用いて、前記分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転監視装置(44)とを備えており、
    かつ前記単独運転監視装置(44)は、
    前記電圧測定点における前記注入次数の電圧(Vm )が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す電圧変化率(dVm )を算出する電圧変化率演算手段と、
    前記電圧測定点における前記注入次数の電圧の正相電圧(V1m)および逆相電圧(V2m)を算出する正・逆相電圧演算手段と、
    前記正・逆相電圧演算手段からの前記正相電圧(V1m)および逆相電圧(V2m)のいずれか一方の位相を変化させて、定常運転時に両電圧の位相を実質的に一致させて出力する位相一致手段と、
    前記位相一致手段からの前記正相電圧と逆相電圧との互いの不一致の度合を表す不一致度(dV12m )を算出する不一致度演算手段と、
    前記電圧変化率演算手段からの前記電圧変化率(dVm )を所定の電圧変化率基準値(Rfc )と比較し、かつ前記不一致度演算手段からの前記不一致度(dV12m )を所定の不一致度基準値(Rfd2)と比較して、前記電圧変化率(dVm )が前記電圧変化率基準値(Rfc )よりも大きく、かつ前記不一致度(dV12m )が前記不一致度基準値(Rfd2)以下の場合にのみ前記分散電源は単独運転状態であると判定する単独運転判定手段とを備えている、ことを特徴とする分散電源の単独運転検出装置。
  3. 分散電源を有する分散電源保有設備が配電系統に接続されており、かつ前記配電系統と前記分散電源とを接続する配電線上であって前記分散電源の単独運転検出のための電流注入点と電圧測定点との間に、(ア)前記配電系統側を1次とすると1次−2次の結線がY−Δ結線の絶縁変圧器が存在する構成の第1のシステムと、(イ)前記電流注入点と電圧測定点との間に絶縁変圧器が存在しないかまたは1次−2次の結線がY−Y結線、Δ−Δ結線もしくはΔ−Y結線の絶縁変圧器が存在する構成の第2のシステムとに切り換えて用いられて、前記分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転検出装置であって、
    前記電流注入点に、前記配電系統の基本波の1倍よりも大きい非整数倍の注入次数(m)の注入電流を単相注入する電流注入装置(42)と、
    前記電圧測定点における前記注入次数の電圧を測定して当該注入次数の電圧を用いて、前記分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転監視装置(44)とを備えており、
    かつ前記単独運転監視装置(44)は、
    前記電圧測定点における前記注入次数の電圧(Vm )が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す電圧変化率(dVm )を算出する電圧変化率演算手段と、
    前記電圧測定点における前記注入次数の電圧の正相電圧(V1m)および逆相電圧(V2m)を算出する正・逆相電圧演算手段と、
    前記正・逆相電圧演算手段からの前記正相電圧と逆相電圧との互いの不一致の度合を表す不一致度(dV12m )を算出する第1の不一致度演算手段と、
    前記正・逆相電圧演算手段からの前記正相電圧(V1m)および逆相電圧(V2m)のいずれか一方の位相を変化させて、定常運転時に両電圧の位相を実質的に一致させて出力する位相一致手段と、
    前記位相一致手段からの前記正相電圧と逆相電圧との互いの不一致の度合を表す不一致度(dV12m )を算出する第2の不一致度演算手段と、
    (ア)前記第1のシステムに用いる場合は、前記電圧変化率演算手段からの前記電圧変化率(dVm )を所定の電圧変化率基準値(Rfc )と比較し、かつ前記第1の不一致度演算手段からの前記不一致度(dV12m )を第1の所定の不一致度基準値(Rfd1)と比較して、前記電圧変化率(dVm )が前記電圧変化率基準値(Rfc )よりも大きく、かつ前記不一致度(dV12m )が前記第1の不一致度基準値(Rfd1)以下の場合にのみ前記分散電源は単独運転状態であると判定し、(イ)前記第2のシステムに用いる場合は、前記電圧変化率演算手段からの前記電圧変化率(dVm )を所定の電圧変化率基準値(Rfc )と比較し、かつ前記第2の不一致度演算手段からの前記不一致度(dV12m )を第2の所定の不一致度基準値(Rfd2)と比較して、前記電圧変化率(dVm )が前記電圧変化率基準値(Rfc )よりも大きく、かつ前記不一致度(dV12m )が前記第2の不一致度基準値(Rfd2)以下の場合にのみ前記分散電源は単独運転状態であると判定する単独運転判定手段とを備えている、ことを特徴とする分散電源の単独運転検出装置。
  4. 前記第1の不一致度基準値(Rfd1)と前記第2の不一致度基準値(Rfd2)とを互いに同じ値にしている請求項3記載の分散電源の単独運転検出装置。
  5. 分散電源を有する分散電源保有設備が配電系統に接続されており、かつ前記配電系統と前記分散電源とを接続する配電線上であって前記分散電源の単独運転検出のための電流注入点と電圧測定点との間に、前記配電系統側を1次とすると1次−2次の結線がY−Δ結線の絶縁変圧器が存在する構成のシステムに用いられて、前記分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転検出装置であって、
    前記電流注入点に、前記配電系統の基本波の1倍よりも大きい非整数倍の注入次数(m)の注入電流を単相注入する電流注入装置(42)と、
    前記電圧測定点における電圧を測定して前記注入次数の電圧を用いて、前記分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転監視装置(44)とを備えており、
    かつ前記単独運転監視装置(44)は、
    前記電圧測定点における前記注入次数の電圧(Vm )が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す電圧変化率(dVm )を算出する電圧変化率演算手段と、
    前記電圧測定点における前記注入次数の電圧の正相電圧(V1m)および逆相電圧(V2m)を算出する正・逆相電圧演算手段と、
    前記正・逆相電圧演算手段からの前記正相電圧と逆相電圧との互いの不一致の度合を表す不一致度(dV12m )を算出する不一致度演算手段と、
    前記電圧測定点における系統電圧の少なくとも2次高調波電圧および3次高調波電圧を含む複数個の整数次高調波電圧の合成の実効値の、系統基本波電圧の実効値に対する比である高調波ひずみ率(HDまたはΔHD)を演算する高調波ひずみ率演算手段と、
    前記電圧変化率演算手段からの前記電圧変化率(dVm )を所定の電圧変化率基準値(Rfc )と比較し、前記不一致度演算手段からの前記不一致度(dV12m )を所定の不一致度基準値(Rfd1)と比較し、かつ前記高調波ひずみ率演算手段からの前記高調波ひずみ率(HDまたはΔHD)を所定の高調波ひずみ率基準値(RfHD)と比較して、(a)前記電圧変化率(dVm )が前記電圧変化率基準値(Rfc )よりも大きく、なおかつ(b)前記不一致度(dV12m )が前記不一致度基準値(Rfd1)以下および前記高調波ひずみ率(HDまたはΔHD)が前記高調波ひずみ率基準値(RfHD)以上の少なくとも一方である場合にのみ前記分散電源は単独運転状態であると判定する単独運転判定手段とを備えている、ことを特徴とする分散電源の単独運転検出装置。
  6. 分散電源を有する分散電源保有設備が配電系統に接続されており、かつ前記配電系統と前記分散電源とを接続する配電線上であって前記分散電源の単独運転検出のための電流注入点と電圧測定点との間に、絶縁変圧器が存在しないかまたは前記配電系統側を1次とすると1次−2次の結線がY−Y結線、Δ−Δ結線もしくはΔ−Y結線の絶縁変圧器が存在する構成のシステムに用いられて、前記分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転検出装置であって、
    前記電流注入点に、前記配電系統の基本波の1倍よりも大きい非整数倍の注入次数(m)の注入電流を単相注入する電流注入装置(42)と、
    前記電圧測定点における電圧を測定して前記注入次数の電圧を用いて、前記分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転監視装置(44)とを備えており、
    かつ前記単独運転監視装置(44)は、
    前記電圧測定点における前記注入次数の電圧(Vm )が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す電圧変化率(dVm )を算出する電圧変化率演算手段と、
    前記電圧測定点における前記注入次数の電圧の正相電圧(V1m)および逆相電圧(V2m)を算出する正・逆相電圧演算手段と、
    前記正・逆相電圧演算手段からの前記正相電圧(V1m)および逆相電圧(V2m)のいずれか一方の位相を変化させて、定常運転時に両電圧の位相を実質的に一致させて出力する位相一致手段と、
    前記位相一致手段からの前記正相電圧と逆相電圧との互いの不一致の度合を表す不一致度(dV12m )を算出する不一致度演算手段と、
    前記電圧測定点における系統電圧の少なくとも2次高調波電圧および3次高調波電圧を含む複数個の整数次高調波電圧の合成の実効値の、系統基本波電圧の実効値に対する比である高調波ひずみ率(HDまたはΔHD)を演算する高調波ひずみ率演算手段と、
    前記電圧変化率演算手段からの前記電圧変化率(dVm )を所定の電圧変化率基準値(Rfc )と比較し、前記不一致度演算手段からの前記不一致度(dV12m )を所定の不一致度基準値(Rfd2)と比較し、かつ前記高調波ひずみ率演算手段からの前記高調波ひずみ率(HDまたはΔHD)を所定の高調波ひずみ率基準値(RfHD)と比較して、(a)前記電圧変化率(dVm )が前記電圧変化率基準値(Rfc )よりも大きく、なおかつ(b)前記不一致度(dV12m )が前記不一致度基準値(Rfd2)以下および前記高調波ひずみ率(HDまたはΔHD)が前記高調波ひずみ率基準値(RfHD)以上の少なくとも一方である場合にのみ前記分散電源は単独運転状態であると判定する単独運転判定手段とを備えている、ことを特徴とする分散電源の単独運転検出装置。
  7. 分散電源を有する分散電源保有設備が配電系統に接続されており、かつ前記配電系統と前記分散電源とを接続する配電線上であって前記分散電源の単独運転検出のための電流注入点と電圧測定点との間に、(ア)前記配電系統側を1次とすると1次−2次の結線がY−Δ結線の絶縁変圧器が存在する構成の第1のシステムと、(イ)前記電流注入点と電圧測定点との間に絶縁変圧器が存在しないかまたは1次−2次の結線がY−Y結線、Δ−Δ結線もしくはΔ−Y結線の絶縁変圧器が存在する構成の第2のシステムとに切り換えて用いられて、前記分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転検出装置であって、
    前記電流注入点に、前記配電系統の基本波の1倍よりも大きい非整数倍の注入次数(m)の注入電流を単相注入する電流注入装置(42)と、
    前記電圧測定点における電圧を測定して前記注入次数の電圧を用いて、前記分散電源が単独運転になったことを検出する単独運転監視装置(44)とを備えており、
    かつ前記単独運転監視装置(44)は、
    前記電圧測定点における前記注入次数の電圧(Vm )が所定時間前の値からどの程度変化したかの割合を表す電圧変化率(dVm )を算出する電圧変化率演算手段と、
    前記電圧測定点における前記注入次数の電圧の正相電圧(V1m)および逆相電圧(V2m)を算出する正・逆相電圧演算手段と、
    前記正・逆相電圧演算手段からの前記正相電圧と逆相電圧との互いの不一致の度合を表す不一致度(dV12m )を算出する第1の不一致度演算手段と、
    前記正・逆相電圧演算手段からの前記正相電圧(V1m)および逆相電圧(V2m)のいずれか一方の位相を変化させて、定常運転時に両電圧の位相を実質的に一致させて出力する位相一致手段と、
    前記位相一致手段からの前記正相電圧と逆相電圧との互いの不一致の度合を表す不一致度(dV12m )を算出する第2の不一致度演算手段と、
    前記電圧測定点における系統電圧の少なくとも2次高調波電圧および3次高調波電圧を含む複数個の整数次高調波電圧の合成の実効値の、系統基本波電圧の実効値に対する比である高調波ひずみ率(HDまたはΔHD)を演算する高調波ひずみ率演算手段と、
    (ア)前記第1のシステムに用いる場合は、前記電圧変化率演算手段からの前記電圧変化率(dVm )を所定の電圧変化率基準値(Rfc )と比較し、前記第1の不一致度演算手段からの前記不一致度(dV12m )を第1の所定の不一致度基準値(Rfd1)と比較し、かつ前記高調波ひずみ率演算手段からの前記高調波ひずみ率(HDまたはΔHD)を所定の高調波ひずみ率基準値(RfHD)と比較して、(a)前記電圧変化率(dVm )が前記電圧変化率基準値(Rfc )よりも大きく、なおかつ(b)前記不一致度(dV12m )が前記第1の不一致度基準値(Rfd1)以下および前記高調波ひずみ率(HDまたはΔHD)が前記高調波ひずみ率基準値(RfHD)以上の少なくとも一方である場合にのみ前記分散電源は単独運転状態であると判定し、(イ)前記第2のシステムに用いる場合は、前記電圧変化率演算手段からの前記電圧変化率(dVm )を所定の電圧変化率基準値(Rfc )と比較し、前記第2の不一致度演算手段からの前記不一致度(dV12m )を第2の所定の不一致度基準値(Rfd2)と比較し、かつ前記高調波ひずみ率演算手段からの前記高調波ひずみ率(HDまたはΔHD)を所定の高調波ひずみ率基準値(RfHD)と比較して、(a)前記電圧変化率(dVm )が前記電圧変化率基準値(Rfc )よりも大きく、なおかつ(b)前記不一致度(dV12m )が前記第2の不一致度基準値(Rfd2)以下および前記高調波ひずみ率(HDまたはΔHD)が前記高調波ひずみ率基準値(RfHD)以上の少なくとも一方である場合にのみ前記分散電源は単独運転状態であると判定する単独運転判定手段とを備えている、ことを特徴とする分散電源の単独運転検出装置。
  8. 前記第1の不一致度基準値(Rfd1)と前記第2の不一致度基準値(Rfd2)とを互いに同じ値にしている請求項7記載の分散電源の単独運転検出装置。
  9. 前記注入次数(m)を、2.25次から2.75次の範囲内にしている請求項5から8のいずれか一項に記載の分散電源の単独運転検出装置。
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