JP3601518B2 - 分散電源の単独運転検出方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、系統に接続された分散電源の系統停止時の単独運転を検出する分散電源の単独運転検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電力系統の事故停電等による停止時に需要家のこの種分散電源の単独運転を検出してその運転を停止するため、本出願人は、例えば特開平10−248168号公報(H02J 3/38)等に記載されているように、電力系統に系統基本波の非整数倍周波数の次数間高調波(中間次数調波)の電流を注入し、系統の電圧,電流の計測信号から注入次数の次数間高調波の電圧,電流を検出し、この電圧,電流から、系統の注入次数の次数間高調波のインピーダンス又はアドミタンスを検出し、これらの変化(変動)から、系統停止時の分散電源の単独運転を検出する発明を、既に出願している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の単独運転検出方法においては、3相系統に適用する場合、前記既出願の明細書,図面等にも記載されているように、注入電源(中間調波電流注入装置)を3相電源とし、系統各相に注入次数の次数間高調波の3相電流を注入する必要がある。
【0004】
したがって、次数間高調波の注入電源として、高価かつ大型の3相電源を要する問題点がある。
【0005】
そこで、注入電源を単相電源にしてコストダウン及び小型化を図り、系統の2相間に次数間高調波を単相注入して系統停止時の分散電源の単独運転を検出することが考えられるが、この単相注入による具体的な単独運転の検出手法は発明されておらず、単相注入した場合には系統のバンクトランス等での相順変化による注入相と検出相のずれ等が問題となる。
【0006】
さらに、注入次数の次数間高調波の電圧,電流が、系統の負荷変動等による基本波の変動等の影響を受け、誤検出するおそれもある。
【0007】
そして、単独運転の誤検出を極力防止し、系統正常時に分散電源を系統から誤って切離さないようにすることが望まれる。
【0008】
本発明は、次数間高調波の単相注入により、系統の相順変化等を気にすることなく、しかも、系統基本波の変動の影響を受けにくくしてこの変動による誤検出を確実に防止し、負荷変動の大きい系統等においても、系統停止時にのみ分散電源の単独運転を検出し得るようにすることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、本発明の分散電源の単独運転検出方法は、分散電源が接続された系統に系統基本波の非整数倍周波数の次数間高調波を注入し、系統の注入次数の次数間高調波の計測に基づき、系統の注入次数の次数間高調波のインピーダンス又はアドミタンスを検出し、
系統の注入次数の次数間高調波の検出インピーダンス又は検出アドミタンスの変化から、系統停止時の分散電源の単独運転を検出する分散電源の単独運転検出方法であって、
系統に注入次数の次数間高調波を単相注入し、
系統各相の前記注入次数の次数間高調波の計測された電圧,電流それぞれを対称成分に分解して前記電圧,前記電流それぞれの正相分,逆相分を検出し、
前記電圧,前記電流の正相分から、系統の注入次数の次数間高調波の正相インピーダンス又は正相アドミタンスを、正相演算側の検出インピーダンス又は検出アドミタンスとして算出し、
前記電圧,前記電流の逆相分から、系統の注入次数の次数間高調波の逆相インピーダンス又は逆相アドミタンスを逆相演算側の検出インピーダンス又は検出アドミタンスとして算出し、
正相演算側の検出インピーダンス又は前記検出アドミタンスの変化からの分散電源の単独運転検出と、逆相演算側の検出インピーダンス又は前記検出アドミタンスの変化からの分散電源の単独運転検出とが同時に発生するときにのみ、分散電源の単独運転を検出する。
【0010】
したがって、例えば3相系統であっても次数間高調波は単相注入すればよく、注入電源として3相電源より安価かつ小型の単相電源を用いることができる。
【0011】
つぎに、単相注入に基づく系統各相の注入次数の次数間高調波の計測された電圧,電流それぞれの正相分又は逆相分が検出される。
【0012】
ところで、負荷変動等により、系統基本波の正相分の変化量が逆相分の変化量以下になるときは、系統に注入された次数間高調波の正相分が、逆相分より系統基本波の変動の影響を受けにくく、逆に、系統基本波の正相分の変化量が逆相分の変化量より大きくなるとき、換言すれば、系統基本波の逆相分の変化量が正相分の変化量より小さくなるときは、系統に注入された次数間高調波の逆相分が正相分より系統基本波の変動を受けにくいことが判明した。
【0013】
このことから、注入次数の次数間高調波の正相分の変化に基づいて分散電源の単独運転を検出すれば、系統基本波の正相分の変化量が大きいときに、系統基本波の変動による誤検出が生じ易く、注入次数の次数間高調波の逆相分の変化に基づいて分散電源の単独運転を検出すれば、系統基本波の正相分の変化量が小さく、逆相分の変化量が大きいときに、系統基本波の変動による誤検出が生じ易いことが判明した。
【0014】
そして、注入次数の次数間高調波の正相インピーダンス又は正相アドミタンスの変化からの単独運転の検出と、注入次数の次数間高調波の逆相インピーダンス又は逆相アドミタンスの変化からの単独運転の検出とが同時に発生し、正相,逆相のいずれからも分散電源の単独運転が検出されたときにのみ、分散電源の単独運転を検出するため、検出が二重化されて系統基本波成分の変動の影響を極めて受けにくくなり、この変動による誤検出が確実に防止され、負荷変動の大きい系統等においても、系統停止時にのみ分散電源の単独運転が検出される。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の1形態につき、図1〜図5を参照して説明する。
図1は電力系統の1例である3相配電系統の単線結線図であり、上位系統1に変電所2の1又は複数の変圧器3の1次側が接続され、各変圧器3の2次側から遮断器4を介して1又は複数の下位系統5が分枝状に引出される。
【0016】
これらの系統5は、分散電源6を有する需要家設備7,分散型電源6が設けられていない一般需要家設備8等の複数の需要家設備が接続される。
【0017】
そして、需要家設備7は他の需要家設備と同様、系統5に引込線9の遮断器10を介して負荷母線11が接続され、この負荷母線11に各負荷フィーダ12の変圧器13を介してそれぞれの負荷が接続される。
【0018】
また、負荷母線11に遮断器14が接続され、この遮断器14に解列用の開閉器15を介して分散電源6が接続されるとともに、次数間高調波の単相の電流注入装置16が接続される。
【0019】
この電流注入装置16は次数間高調波の単相の注入電流を出力するインバータ等の安価かつ小型の単相の電源部17,この電源部17と負荷母線11との間に設けられた単相注入用の変圧器18により形成される。
【0020】
また、引込線9の遮断器10より負荷母線11側に、それぞれ3相の変圧器19及び変流器20が設けられ、それらの各相の電圧,電流の計測信号が系統停止検出処理装置21のサンプル・ホールド回路22に供給される。
【0021】
このサンプル・ホールド回路22はタイミング指令部23の一定周波数のサンプリング指令のタイミング信号により、電圧,電流の計測信号をサンプル・ホールドし、その出力が後段のA/D変換回路24によりデジタル信号に変換されて電圧,電流のサンプリングデータとなり、この電圧,電流のサンプリングデータが演算処理部25に供給される。
【0022】
そして、演算処理部25はマイクロコンピュータ等で形成され、そのソフトウェア処理により、両サンプリングデータの公知のフーリエ変換のデジタルフィルタ演算を実行して電流注入装置16から系統5に注入された注入次数の次数間高調波を検出し、その変化から、遮断器4が開放する系統停止時の分散電源6の単独運転を監視して検出する。
【0023】
さらに、この単独運転を検出すると、演算処理部25は開閉器15に解列の指令を供給し、開閉器15を開放して分散電源6を系統5から切離す。
【0024】
ところで、系統正常時は、遮断器4,10,14及び開閉器15がいずれも閉成され、上位系統1の電力が系統5に給電され、系統5は電力供給状態にある。
【0025】
このとき、分散電源6は系統5に連系して運転され、その出力は自設備7内で消費されるとともに余剰分が引込線9を介して系統5に出力される。
【0026】
一方、前記の変圧器19,変流器20は、図1の受電点Pの各相(3相)の電圧,受電点Pの各相の引込線9の電流を常時計測する。
【0027】
そして、演算処理部25がタイミング指令部23の一定周波数のタイミング信号に同期して電源部17に周期的に起動指令を出力し、この指令に基づき、電源部17が前記タイミング信号に同期した1又は複数の周波数(チャンネル)の次数間高調波の単相の電流を形成し、これらの単相の注入電流が変圧器18,負荷母線11,引込線9を介して受電点Pから系統5の適当な2相間に注入される。
【0028】
この注入に基づき、変圧器19,変流器20の各相の計測信号には、注入次数の次数間高調波の計測電圧,計測電流が含まれる。
【0029】
つぎに、演算処理部25による単独運転の検出処理について説明する。
まず、系統5の停止により遮断器4が開放されると、電圧,電流の計測点である受電点Pからみた系統上流側のインピーダンスいわゆる短絡インピーダンスから開放インピーダンスに増大変化し、受電点Pからみた系統5の注入次数の次数間高調波についての検出インピーダンス又は検出アドミタンス(以下検出インピーダンス等という)が変化するため、この検出インピーダンス等の変化から、系統5の停止時に、分散電源6の単独運転を検出できる。
【0030】
そこで、演算処理部25は、系統5の注入次数の次数間高調波のインピーダンス又はアドミタンスを検出し、その変化から系統停止時の分散電源6の単独運転を監視して検出する。
【0031】
ところで、系統に単相注入される電流は、基本波を含むn次高調波(n:1以上の整数)とn+1次高調波との間の本来系統には存在しない非整数次数M(n<M<n+1)の次数間高調波の電流であり、検出結果が系統に存在するコンデンサ設備の入,切等の影響を受けないようにするため、例えば、2<M<3の2次高調波と3次高調波との間の次数間高調波の電流である。
【0032】
具体的には、次数間高調波の注入チャンネルの周波数単位間隔であるベース周波数をf,系統基本波周波数(60Hz又は50Hz)をfとし、注入次数Mの次数間高調波の周波数(注入周波数)をfとすると、f=60Hzの系統において、例えば、f=2Hzに設定し、120(=2・60)Hz<f(=120+2・A)<180(=3・60)Hz,(1≦A≦k(k=f/f=60/2=30))の単相電流を受電点Pから系統5に注入する。
【0033】
このとき、A=15の注入次数M=2.5(=n+(A/30))の次数間高調波の電流であれば、その注入周波数fは150Hzである。
【0034】
つぎに、受電点Pからみた系統上流側は、一般に、系統の線路インピーダンス等の抵抗分が極めて小さいため、図2の単結線の等価回路図に示すように、系統電源Sと受電点Pとの間に、それぞれ誘導性リアクタンスの電源インピーダンスZ,配電線路インピーダンスZを直列接続した回路で表わされる。
【0035】
この図2の等価回路図において、インピーダンスZ,ZのリアクタンスをX,Xとし、受電点Pからみた系統上流側のインピーダンスをZとすれば、Z=jX,Z=jXであり、Z=R+jX≒j(X+X),(R:抵抗分,X:リアクタンス分)となる。
【0036】
また、アドミタンスY(=1/Z)は、Y=G+j(−B)≒−j(1/(X+X)),(G:コンダクタンス分,(−B):サセプタンス分)となる。
【0037】
一方、受電点Pからみた系統下流側(負荷側)のインピーダンスは、上流側(電源側)より十分に大きい。
【0038】
そして、受電点Pの注入次数Mの次数間高調波の電圧(注入電圧)をVi,注入電流をIiとし、注入次数Mの次数間高調波についてのインピーダンスZ,アドミタンスYをZPM,YPMとすれば、他の需要家等の影響がない理想的な場合、2PM,YPMは、それぞれZPM=Vi/Ii,YPM=Ii/Viから求まり、実用上は、インピーダンスZPMとして、そのリアクタンス分XPMを、Vi/Iiの虚数部Image(V/I)から求めればよく、アドミタンスYPMとして、そのサセプタンス(−BPM)を、Ii/Viの(−虚数部Image(Ii/Vi))から求めれば十分である。
【0039】
このとき、系統5の3相を相順のa,b,cとし、電源部17からb相,c相間に次数間高調波の単相電流を注入する場合、注入次数Mの次数間高調波についての受電点Pからみた系統上流側の3相等価回路は、図3のΔ形の3相負荷回路26で表わされる。
【0040】
そのため、次数間高調波の単相電流を注入すると、系統上流側には、その次数間高調波の3相電流が流れる。
【0041】
そして、注入次数Mの次数間高調波についての負荷回路26のΔ結線されたアドミタンス(インピーダンス)をYab(Zab),Ybc(Zbc),Yca(Zca)とし、各相の線電圧をVa,Vb,Vc,線電流をIa,Ib,Icとすると、それぞれ対称成分に分解して得られる対称座標法での零相分Y,V,I,正相分Y,V,I,逆相分Y,V,Iは、つぎのようにして求めることができる。
【0042】
なお、電圧Va〜Vc,電流Ia〜Ic等は、実数部と虚数部とを有するベクトル値である。
【0043】
そして、電圧Va〜Vcはつぎの数1の式で表され、式中のαはα=exp(j・(2π/3))の定数である。
【0044】
【数1】
Figure 0003601518
【0045】
そのため、各対称成分V〜Vは、電圧Va〜Vcを成分V〜Vに分解するつぎの数2の式の演算から求めることができる。
【0046】
【数2】
Figure 0003601518
【0047】
同様に、各対称成分I〜Iは、電流Ia〜Icを成分I〜Iに分解するつぎの数3の式の演算から求めることができる。
【0048】
【数3】
Figure 0003601518
【0049】
さらに、対称成分V〜V,I〜Iが求まれば、対称成分Y〜Yは、つぎの数4の式の演算から求めることができる。
【0050】
【数4】
Figure 0003601518
【0051】
そして、配電系統のような非接地系統にあっては、零相分Iが0になることから、数4の式の演算により、受電点Pからみた注入次数Mの次数間高調波のアドミタンスYpとして、正相アドミタンスY=I/V,逆相アドミタンスY=I/Vが得られる。
【0052】
このとき、正相分Y,逆相分Yは系統停止によって共に変化し、この変化を監視すれば、系統停止時の分散電源6の単独運転を検出することができる。
【0053】
ところで、アドミタンスY,Yはいずれもサセプタンス分が大きく、実用上は、アドミタンスY,Yとして、それぞれの虚数部―Image(I/V),−Image(I/V)を求めればよい。
【0054】
つぎに、系統5の各需要家の負荷設備の入,切等により、そのインピーダンス(アドミタンス)が変化して系統基本波が変動し、系統特性が変わるときは、注入次数の次数間高調波に対してそのような負荷設備等が例えば図2に示す変動発生源NGとして作用する。
【0055】
そして、図2に示すように、受電点Pから系統5に注入される注入次数Mの次数間高調波の電流Iiに対して、変動発生源NGから等価的に系統5に注入される注入次数Mの次数間高調波の電流をIgとする。
【0056】
この場合、変動時の受電点Pの注入電圧Viは、変動発生源NGがないため、つぎの数5の式の演算から求まる。
【0057】
【数5】
Vi=ZPM・Ii
【0058】
そして、変動前のサセプタンス分を(−BPM)とすれば、この変動前のサセプタンス(−BPM)は、つぎの数6の式の演算から求まる(Image:虚数部の関数)。
【0059】
【数6】
−BPM=−Image(Ii/Vi
【0060】
一方、変動により電流Igが注入されると、この電流IgもインピーダンスZ,Zを流れるため、電流Igによって、つぎの数7の式で示される注入次数Mの次数間高調波の電圧Vgが発生する。
【0061】
【数7】
Vg=ZPM・Ig
【0062】
そして、インピーダンスZPMに電圧Vi,Vgの直列電圧が印加された状態になり、このとき注入電流はIiであるから、変動後のサセプタンス分を(−BPM’)とすれば、変動後のサセプタンス(−BPM’)は、つぎの数8の式の演算から求まる。
【0063】
【数8】
−BPM’=−Image(Ii/(Vi+Vg))
【0064】
そして、数6の式の絶対値(大きさ)|Ii/Vi|と数8の式の絶対値(大きさ)|Ii/(Vi+Vg)|とを比較すると、数8の式の分母(Vi+Vg)が数6の式の分母Vgより大きくなることから、変動後のサセプタンス(−BPM’)の絶対値は変動前のサセプタンス(−BPM)の絶対値より小さくなり、系統停止時の値に近づく。
【0065】
そして、系統基本波の変動により、受電点Pからみた系統上流側の注入次数Mの次数間高調波についてのサセプタンス分が(−BPM)から(−BPM’)に減少変化すると、系統停止でないにもかかわらず、分散電源6の単独運転を誤検出する。
【0066】
ところで、この誤検出は、前記したように、注入次数Mの次数間高調波の電流が系統基本波の変動の影響を受けてIiからIi+Igに変化することで発生する。
【0067】
一方、単相注入の場合、前記数2〜数4の式から、次数間高調波の電流、電圧の大きさがほぼ等しくなることが、次のようにしてわかる。
【0068】
例えば、a相、b相間に単相注入する場合は、a相、b相の線電流は位相が反転しており、c相の線電流は零である。この時、数3の式にこの条件をあてはめると、正相電流と逆相電流は、位相は異なるが、大きさは等しくなる。
【0069】
また、電圧に関しては、数4の式より、正相アドミタンスと逆相アドミタンスが等しければ、正相電圧と逆相電圧の大きさは等しくなる事がわかる。なぜなら、単相注入の場合、正相電流と逆相電流の大きさは等しいからである。また、受電点Pからみた系統の3相負荷回路は、概ね3相間でバランスしていると考えてよいため、アドミタンス(インピーダンス)の正相と逆相はほぼ等しい。
【0070】
以上より、単相注入の場合は次数間高調波の電圧、電流の大きさがほぼ等しくなるといえる。
【0071】
そして、変圧器19,変流器20の3相の計測信号のフーリエ変換で系統5の注入次数Mの次数間高調波の電圧、電流を検出(抽出)した場合、その検出における系統基本波の影響は、具体的には、正相分と逆相分とに分けて考案する必要がある。
【0072】
つぎに、次数間高調波抽出における系統基本波の変動の影響について、具体的に説明する。
まず、以下の説明においては、前記のようにベース周波数,系統基本波周波数(商用基本波周波数)をf,fとし、注入次数Mの代わりに、ベース周波数fを基準(基本波)にした整数次数m=f/fを使用し、周波数f=fとする。
【0073】
(イ)系統基本波の変動がない場合
この場合、周波数f,f,fの各周波数ω,ω,ωは、ω=2πf,ω=2πf=kω,ω=2πf=mω,(m,k:m>kの整数)になる。
【0074】
そして、次数mの次数間高調波の電流Iiの注入により、変流器20の計測信号に基づく時刻tの3相の計測電流(線電流)を、ベクトル値の電流Ia(t),Ib(t),Ic(t)とすると、これらの電流Ia(t)〜Ic(t) は、系統基本波周波数に次数mの次数間高調波が重畳しているため、つぎの数9の3式で表すことができ、それぞれの右辺第1項が系統基本波の成分であり、右辺第2項が次数間高調波の成分である。
【0075】
【数9】
Ia(t)=I1a・sin(ωt+φ1a)+ Ima・sin(ωt+φma
Ib(t)=I1b・sin(ωt+φ1b)+ Imb・sin(ωt+φmb
Ic(t)=I1c・sin(ωt+φ1c)+ Imc・sin(ωt+φmc
【0076】
なお、数9の各式中のI1a,I1b,I1c,Ima,Imb,Imcは最大値であり、φ1a,φ1b,φ1c,φma,φmb,φmcは初期位相である。
【0077】
そして、この9式の電流Ia(t)〜Ic(t) から注入次数Mの次数間高調波を検出(抽出)する場合、一般につぎのフーリエ変換が用いられる。
【0078】
いま、ベクトル値の電流I(t)を周期信号とし、その基本の角周波数をωとすると、電流I(t)に含まれるn次高調波の成分(高調波成分)は、その正弦成分をInS,余弦成分をInCとして、つぎの数10の2式のフーリエ変換式から算出される。
【0079】
【数10】
Figure 0003601518
【0080】
なお、式中のωはn次高調波の角周波数、S字状の記号は積分記号である。そして、数10の2式に基づくn次高調波の成分をI(n)とするとこの高調波成分I(n)は、つぎの数11の複素数表現の式で表される。
【0081】
【数11】
Figure 0003601518
【0082】
ところで、電流I(t)=I・sin(ωt+φ)のときには、電流I(t)がつぎの数12のベクトル式で表される。
【0083】
【数12】
I(t)=I・sin(ωt+φ)=(1/2j)・[I・exp(j(ωt+φ))−I・exp(−j(ωt+φ))]
【0084】
そのため、つぎの数13の式が成立する。
【0085】
【数13】
Figure 0003601518
【0086】
そして、数9の式の電流Ia(t)から次数mの次数間高調波を検出(抽出)する場合は、つぎの数14の式の演算を行えばよい。
【0087】
【数14】
Figure 0003601518
【0088】
この数14の式の演算を実際に行うと、数13の式の関係を用いることにより、つぎの数15の式が得られる。
【0089】
【数15】
Figure 0003601518
【0090】
さらに、数13の式において、ω−ω=(k−m)ω,ω+ω=(k+m)ω,ω−ω=0,ω+ω=2mωであり、k−m,k+m,2mが整数になるため、数15の式において、つぎの数16の4式が成立する。
【0091】
【数16】
Figure 0003601518
【0092】
したがって、数15の式の演算結果は、Ima・exp(jφma)となる。
そして、数9の式の電流Ib(t),Ic(t)についても同様の演算を行うことにより、電流Ia(t),Ib(t),Ic(t)の次数mの次数間高調波の成分Ia(m),Ib(m),Ic(m)は、系統基本波の成分に変動がない場合、つぎの数17の3式のフーリエ変換の演算により、系統基本波の影響を受けることなく検出することができる。
【0093】
【数17】
Figure 0003601518
【0094】
(ロ)系統基本波が変動した場合
つぎに、時刻tに負荷変動等が発生して系統基本波が変動したとすると、t前(t<t)には前記数9の3式で表される各相の電流Ia(t)〜Ic(t)が、t以後(t≧t)は、つぎの数18の3式で表されるようになる。
【0095】
【数18】
(t)=I1a’・sin(ωt+φ1a’)+ Ima・sin(ωt+φma
(t)=I1b’・sin(ωt+φ1b’)+ Imb・sin(ωt+φmb
(t)=I1c’・sin(ωt+φ1c’)+ Imc・sin(ωt+φmc
【0096】
なお、数18の各式中の右辺第1項が変動後の系統基本波の成分であり、I1a’,I1b’,I1c’は変動後の最大振幅、φ1a’,φ1b’,φ1c’は変動後の初期位相である。
また、数18の各式の右辺第2項の次数間高調波の成分は変化しない。
【0097】
そして、数18の各式で表される電流Ia(t)〜Ic(t)につき、(t−2π/ω)≦t≦tの範囲で前記数17の各式のフーリエ変換を施して電流Ia(m)〜Ic(m)を求める。
このとき、例えばa相の電流Ia(m)は、つぎの数19の式で表される。
【0098】
【数19】
Figure 0003601518
【0099】
さらに、この数19の式に数12の式の関係を適用すると、ω=kω,ω=mω,k−m,k+mが整数であることから、数19の式の最右辺の第1項につき、つぎの数20の式が成立する。
【0100】
【数20】
Figure 0003601518
【0101】
また、数19の式の最右辺の第2項につき、つぎの数21の式が成立する。
【0102】
【数21】
Figure 0003601518
【0103】
そのため、数19の式の電流Ia(m)は、つぎの数22の式に示すようになる。
【0104】
【数22】
Figure 0003601518
【0105】
この数22の式において、I1a’・exp(jφ1a’)−I1a・exp(jφ1a)は系統基本波の電流成分の変化による差分ベクトルであり、これをΔIとし、その共役量を*を付けてΔI とすると、つぎの数23の2式が成立する。
【0106】
【数23】
ΔI=I1a’・exp(jφ1a’)−I1a・exp(jφ1a
ΔI =I1a’・exp(−jφ1a’)−I1a・exp(−jφ1a
【0107】
そして、b相の電流Ib(m),c相の電流Ic(m)についても同様であることから、t−2π/ω≦t≦tにおける、次数mの次数間高調波成分の検出量(抽出量)は、つぎの数24の3式に示すようになる。
【0108】
【数24】
Figure 0003601518
【0109】
なお、数24の各式中の*を付したものは共役量を示し、ζ,ξは、つぎの数25の2式それぞれに示す成分である。
【0110】
【数25】
Figure 0003601518
【0111】
そして、数24の式の各相の電流Ia(m),Ib(m),Ic(m)から、次数mの次数間高調波を対称成分に分解したときの正相分(正相検出量)I(m),逆相分(逆相検出量)I(m)を求めると、一般に3相電流Ia,Ib,Icに基づく正相分I,逆相分IがI=(1/3)(I+αI+α),I=(1/3)(I+α+αI),(但し、α=exp(j2/3π),α=exp(j4/3π)) になることから、つぎの数26の2式に示すようになる。
【0112】
【数26】
(m)=ζ・(ΔI11)−ξ・(ΔI12+Im1
(m)=ζ・(ΔI12)−ξ・(ΔI11+Im2
【0113】
この数26の2式において、(ΔI11,(ΔI12は(ΔI11),(ΔI12)の共役量を示し、右辺の成分ζ,ξを含む第1,第2項が系統基本波の変動の影響により生じる誤差成分ΔIm1,ΔIm2であり、右辺の第3項が本来の注入成分である。
【0114】
そして、成分ζ,ξは、数25の2式の演算により、つぎの数27の2式に示すようになる。
【0115】
【数27】
Figure 0003601518
【0116】
この数27の2式に基づき、成分ζ,ξの大きさ|ζ|,|ξ|は、つぎの数28の2式に示すようになる。
【0117】
【数28】
|ζ|≦|(1/(k−m)π)・sin[(k−m)ω(t−t)/2]|≦(1/(m−k)π)
|ξ|≦|(1/(k+m)π)・sin[(k+m)ω(t−t)/2]|≦(1/(m+k)π)
【0118】
したがって、前記数26の2式で示される正相分I(m),逆相分I(m)は系統基本波の変動の影響を受け、その変動による誤差成分の大きさ|ΔIm1|,|ΔIm2|は、前記数28の2式に基づき、つぎの数29の2式それぞれで示される。
【0119】
【数29】
Figure 0003601518
【0120】
この数29の2式の最右辺に示すように、誤差成分|ΔIm1|,|ΔIm2|は、誤差成分|ΔIm1|の式中の分子のk(|ΔI11|―|ΔI12|)が、誤差成分|ΔIm2|では、k(|ΔI12|―|ΔI11|)になっている点で異なる。
【0121】
そして、前記数29の2式中の|ΔI11|,|ΔI12|は、|ΔI11|が系統基本波の変動により生じたその正相分の変化量(変動量)であり、|ΔI12|が系統基本波の変動により生じたその逆相分の変化量(変動量)である。
【0122】
また、前記数29の2式のm,kは、f=2Hz,f=60Hz,f=150Hzであれば、m=150/2=75,k=60/2=30であり、このとき、m−k=45,m+k=105になる。
【0123】
以上より、系統5の負荷変動等で系統基本波が変動した場合は、数24の3式で示される次数mの次数間高調波の電流Ia(m),Ib(m),Ic(m)が系統基本波の変動の影響を受け、それらを対称成分に分解すると、数26の2式で示される正相分I(m),逆相分I(m)は、単相注入に基づく本来の成分Im1,Im2だけでなく、数29に示す系統基本波成分の変動に基づくそれぞれの誤差成分ΔIm1,ΔIm2それぞれを含むことが判明した。
【0124】
さらに、誤差成分ΔIm1,ΔIm2により、例えば、変動後のサセプタンス(−Bm’)(=−BPM)’)が変動前のサセプタンス(−Bm)(=−BPM)から変動し、このときサセプタンスBim’の変動の大きさがその正相分と逆相分とで異なることも判明した。
【0125】
(ハ)系統基本波の影響
まず、前記数26の2式で示される正相分I(m),逆相分I(m)において、本来の注入成分の正相量Im1と逆相量Im2とは、単相注入であるため、その大きさ|Im1|,|Im2|は等しく、|Im1|=|Im2|である。
【0126】
つぎに、誤差成分ΔIm1,ΔIm2の大きさ|ΔIm1|,|ΔIm2|は、前記数29の2式で示され、系統基本波の正相分の変化量|ΔI11|と逆相分の変化量|ΔI12|との大小関係によって異なる。
【0127】
そして、正相分I(m)と逆相分I(m)の系統基本波の変動の影響は、変化量ΔI11,ΔI12の大小関係によって変化し、つぎの(i),(ii)のようになる。
【0128】
(i)|ΔI11|≦|ΔI12|のときは、正相分I(m)の誤差成分ΔIm1が逆相分I(m)の誤差成分ΔIm2より小さく、正相分I(m)の方が系統基本波の変動の影響を受けにくい。
(ii)|ΔI11|>|ΔI12|のときは、逆相分I(m)の誤差成分ΔImが正相分I(m)の誤差成分ΔImより小さく、逆相分I(m)の方が系統基本波の変動の影響を受けにくい。
【0129】
そして、|ΔI11|≦|ΔI12|,|ΔI11|>|ΔI12|のいずれであっても、系統基本波の変動の影響を受けないようにするため、本発明においては、正相分I(m)を用いた単独運転の検出と、逆相分I(m)を用いた単独運転の検出とを組合わせて二重化し、両検出の積アンドにより単独運転を検出する。
【0130】
つぎに、この積検出(アンド検出)の有効性について説明する。
まず、前記数7の式の電圧Vgの各相成分をVga,Vgb,Vgcとすると、電圧Vgのもつエネルギー(これを便宜上|Vgとして表わす)は、つぎの数30の式に示すように、各相成分Vga〜Vgcの絶対値の二乗和で示すことができ、これを3pu(pu:任意単位)とする。
【0131】
【数30】
|Vg=|Vga|+|Vgb|+|Vgc|=3pu
【0132】
つぎに、数30の式の各相成分Vga〜Vgcの絶対値の二乗和は、電圧Vgの正相分をVg,逆相分をVgとすると、つぎの数31の式に示すようになる。ここで零相分Vg=0である事を用いている。
【0133】
【数31】
Figure 0003601518
【0134】
この数31の式に基づき、正相分Vg,逆相分Vgは図4の|Vg|=1の円周線γ上の値をとる。
【0135】
そして、基本波の変動の影響が無視できる限界レベルを1puとすると、前記の正相分I(m),逆相分I(m)のいずれか一方,例えば正相分I(m)のみを用いて単独運転検出する場合は、(Vg,Vg)=(0,1)を通る半径1puの円周γの電圧Vg,(|Vg|=1pu)までしか単独運転検出は有効ではないが、正相分I(m),逆相分I(m)の両方を用いて積検出する場合は、(Vg,Vg)=(1,1)の点を通る半径√2puの円周γ’の電圧Vg,(|Vg|=√2(=√(1+1))pu)まで単独運転の検出が有効になり、基本波の変動に対する耐量が√2倍(約1.4倍)に上昇する。
【0136】
換言すれば、電圧Vgの基本波変動に対して、正相分I(m),逆相分I(m)の積検出では、正相分I(m),逆相分I(m)のいずれか一方の検出より、約4割の余裕があることになる。
【0137】
したがって、演算処理部25は、まず、変圧器19,変換器20の各相の計測信号に含まれた注入次数mの次数間高調波の計測電圧,計測電流それぞれを抽出するため、前記のフーリエ変換のデジタルフィルタ演算として、例えば回帰形DFT演算を実行する。
【0138】
このとき、過去NサンプリングのデータでDFT演算するため、各相のサンプリングされた計測信号の電圧,電流を、電圧V(q),電流I(q),(q:0,1,2,…,N−1)とすると、直前の変化結果を利用するつぎの数30の2式の演算から、各相の注入次数Mの次数間高調波の計測電圧Vm(q),計測電流Im(q)を求める。
【0139】
【数32】
Vm(q)=(2/N)・(Vm(q−1)−V(q−N)+V(q))・x−1
Im(q)=(2/N)・(Im(q−1)−I(q−N)+I(q))・x−1
【0140】
なお、データ数Nは、例えば系統基本波1サイクル当り64サンプリングで32波長分とすると、(64×32=)4096個である。
また、数5の式中のxはx=exp(−j2πm/N)のパラメータである。
【0141】
つぎに、前記数32の式の演算により抽出された系統各相の次数mの次数間高調波の電圧,電流を、Vam(q),Vbm(q),Vcm(q),Iam(q),Ibm(q),Icm(q)とすると、正相分Y,V,IをYm(q),Vm(q),Im(q)として、つぎの数31の2式の正相演算により、電圧Vm(q),電流Im(q)それぞれの正相分Vm(q),Im(q)を求める。
【0142】
【数33】
Vm(q)=(Vam(q)+α・Vbm(q)+α・Vcm(q))/3
Im(q)=(Iam(q)+α・Ibm(q)+α・Icm(q))/3
【0143】
また、逆相分Y,V,IをYm(q),Vm(q),Im(q)として、つぎの数34の2式の逆相演算により、電圧Vm(q),電流Im(q)それぞれの逆相分Vm(q),Im(q)を求める。
【0144】
【数34】
Vm(q)=(Vam(q)+α・Vbm(q)+α・Vcm(q))/3
Im(q)=(Iam(q)+α・Ibm(q)+α・Icm(q))/3
【0145】
そして、Im(q)/Vm(q)から次数Mの次数間高調波の正相アドミタンスYm(q)を算出することができ、Im(q)/Vm(q)から次数Mの次数間高調波の逆相アドミタンスYm(q)を算出することができ、この形態では、正相分Vm(q),Im(q)に基づくつぎの数35の式の演算から、正相アドミタンスYm(q)のサセプタンス分(−Bm(q))を正相演算側の検出アドミタンスとして算出する。
【0146】
【数35】
(−Bm(q))=−Image(Im(q)/Vm(q))
【0147】
同様に、逆相分Vm(q),Im(q)に基づくつぎの数36の式の演算から、逆相アドミタンスYm(q)のサセプタンス分(−Bm(q))を、逆相演算側の検出アドミタンスとして算出する。
【0148】
【数36】
(−Bm(q))=−Image(Im(q)/Vm(q))
【0149】
そして、サセプタンス分(−Bm(q)),(−Bm(q))の算出をくり返すとともに、算出したサセプタンス分(−Bm(q)),(−Bm(q))と設定された正相側,逆相側それぞれの判定値とを比較し、サセプタンス分(−Bm(q)),(−Bm(q))の変化を監視する。
【0150】
すなわち、算出したサセプタンス分(−Bm(q)),(−Bm(q))の各々の絶対値が、それぞれの設定された継続整定値の期間連続して判定値より小さくなり、受電点Pからみた系統上流側のインピーダンスが系統停止によって開放インピーダンスに増大変化するか否かを監視する。
【0151】
そして、サセプタンス分(−Bm(q))側からの系統停止による分散電源6の単独運転の検出と、サセプタンス分(−Bm(q))側からの系統停止による分散電源6の単独運転の検出との積(アンド)が演算され、サセプタンス分(−Bm(q))の変化から系統停止による分散電源6の単独運転が検出され、同時に、サセプタンス分(−Bm(q))の変化からも分散電源6の単独運転が検出され、アンド条件が成立するときにのみ、系統停止による分散電源6の単独運転であることを検出し、開閉器15を開放して分散電源6を系統5から切離す。
【0152】
なお、この単独運転の検出処理は、具体的には、演算処理部25が図5に示す正相検出処理のフローチャートの各ステップS〜Sを実行することで実現される。
【0153】
したがって、単独運転検出が正相側と逆相側とで二重化され、系統5の基本波の正相分,逆相分のいずれの変動の影響も極力受けないようにして系統停止時の分散電源6の単独運転を確実に検出することができ、系統5が負荷変動の大きい系統等であっても、負荷変動等による系統基本波の変動による誤検出を極力少なくして分散電源6の単独運転を検出することができ、信頼性が著しく向上する。
【0154】
そして、注入次数Mの次数間高調波の電流を受電点Pから系統5の例えばb相,c相間に単相注入すればよいため、注入電源(電源部17)等が3相注入の場合より極めて安価かつ小型になる。
【0155】
また、対称成分アドミタンスYm(q),Ym(q)のサセプタンス分(−Bm(q)),(−Bm(q))を算出し、それらの変化から単独運転を検出したため、系統の相順変化等の影響を受けることなく系統停止側の分散電源6の単独運転を検出することができ、系統の相順変化等を気にする必要がない。
【0156】
さらに、検出の二重化により、検出処理装置21のとくに演算処理部25の故障に対する信頼性も向上する。
【0157】
ところで、正相演算側及び逆相演算側の検出アドミタンスとして、正相アドミタンスYm(q),逆相アドミタンスYm(q)の実数部のコンダクタンス及び虚数部のサセプタンスの両方を求め、アドミタンスYm(q),Ym(q)のベクトル変化からそれぞれ分散電源6の単独運転を検出するようにしてもよい。
【0158】
また、検出アドミタンスの逆数の正相演算側及び逆相演算側の検出インピーダンスの変化から分散電源6の単独運転を検出してもよく、この場合は、正相演算側及び逆相演算側の検出インピーダンスとして、正相インピーダンスZm(q),逆相インピーダンスZm(q)を、Zm(q)=Vm(q)/Im(q),Zm(q)=Vm(q)/Im(q)から算出すればよい。
【0159】
さらに、サセプタンス分Bm(q),Bm(q)に対応するリアクタンスXm(q),Xm(q)は、つぎの数37の式から算出すればよい。
【0160】
【数37】
Xm(q)=Image(Vm(q)/Im(q))
Xm(q)=Image(Vm(q)/Im(q))
【0161】
つぎに、正相演算側と逆相演算側の前記判定値は、系統5の状態等に応じて設定すればよく、このとき、両演算側の判定値は、同じ値でなくてもよい。
【0162】
そして、本発明は、3相系統以上の多相の種々の電力系統の分散電源の単独運転検出に適用することができ、その際、次数間高調波の単相電源は系統の任意の2相間に注入すればよい。
【0163】
【発明の効果】
本発明は、以下に記載する効果を奏する。
まず、例えば3相系統であっても次数間高調波を単相注入すればよく、注入電源として、3相電源より安価かつ小型の単相電源を用いることができる。
【0164】
つぎに、注入次数の次数間高調波の正相インピーダンス又は正相アドミタンスの変化からの単独運転の検出と、注入次数の次数間高調波の逆相インピーダンス又は逆相アドミタンスの変化からの単独運転の検出とが同時に発生し、正相,逆相のいずれからも分散電源6の単独運転が検出されたときにのみ、系統停止時の分散電源6の単独運転として検出したため、検出が二重化されて系統5の基本波成分の変動の影響を極めて受けにくくなり、この変動による誤検出が確実に防止され、系統5の負荷変動の大きい場合等にも、系統停止時にのみ、分散電源6の単独運転を検出して分散電源6を系統5から切離すことができ、信頼性が著しく向上する。
【0165】
したがって、コストダウン及び小型化を図った次数間高調波の単相注入により、系統5の相順変化等を気にすることなく、系統基本波の変動の影響を極力排除して、系統5の注入次数の次数間高調波のインピーダンス又はアドミタンスの変化から、系統停止時の分散電源6の単独運転を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の1形態の単線結線図である。
【図2】図1の次数間高調波についての等価回路図である。
【図3】図2の単相注入時の3相結線の等価回路図である。
【図4】図1の検出の有効性説明用のノイズ電圧特性図である。
【図5】図1の検出処理説明用のフローチャートである。
【符号の説明】
1,5 系統
6 分散電源
16 電流注入装置
17 電源部
21 系統停止検出処理装置
25 演算処理部

Claims (1)

  1. 分散電源が接続された系統に系統基本波の非整数倍周波数の次数間高調波を注入し、
    系統の注入次数の次数間高調波の計測に基づき、系統の前記注入次数の次数間高調波のインピーダンス又はアドミタンスを検出し、
    系統の前記注入次数の次数間高調波の検出インピーダンス又は検出アドミタンスの変化から、系統停止時の前記分散電源の単独運転を検出する分散電源の単独運転検出方法であって、
    系統に前記注入次数の次数間高調波を単相注入し、
    系統各相の前記注入次数の次数間高調波の計測された電圧,電流それぞれを対称成分に分解して前記電圧,前記電流それぞれの正相分,逆相分を検出し、
    前記電圧,前記電流の正相分から、系統の前記注入次数の次数間高調波の正相インピーダンス又は正相アドミタンスを、正相演算側の検出インピーダンス又は検出アドミタンスとして算出し、
    前記電圧,前記電流の逆相分から、系統の前記注入次数の次数間高調波の逆相インピーダンス又は逆相アドミタンスを逆相演算側の検出インピーダンス又は検出アドミタンスとして算出し、
    前記正相演算側の検出インピーダンス又は検出アドミタンスの変化からの前記分散電源の単独運転検出と、前記逆相演算側の検出インピーダンス又は検出アドミタンスの変化からの前記分散電源の単独運転検出とが同時に発生するときにのみ、前記分散電源の単独運転を検出する
    ことを特徴とする分散電源の単独運転検出方法。
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