JP2665710B2 - カーペツトの製造方法 - Google Patents

カーペツトの製造方法

Info

Publication number
JP2665710B2
JP2665710B2 JP4337875A JP33787592A JP2665710B2 JP 2665710 B2 JP2665710 B2 JP 2665710B2 JP 4337875 A JP4337875 A JP 4337875A JP 33787592 A JP33787592 A JP 33787592A JP 2665710 B2 JP2665710 B2 JP 2665710B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
carpet
backing material
material composition
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP4337875A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06154070A (ja
Inventor
直行 加藤
謙三 市橋
Original Assignee
三菱化学ビーエーエスエフ株式会社
株式会社泉州ストリーム
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 三菱化学ビーエーエスエフ株式会社, 株式会社泉州ストリーム filed Critical 三菱化学ビーエーエスエフ株式会社
Priority to JP4337875A priority Critical patent/JP2665710B2/ja
Priority to US08/028,144 priority patent/US5332457A/en
Priority to EP19930103843 priority patent/EP0560325B1/en
Priority to DE1993623103 priority patent/DE69323103T2/de
Priority to SG1996004882A priority patent/SG48988A1/en
Publication of JPH06154070A publication Critical patent/JPH06154070A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2665710B2 publication Critical patent/JP2665710B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カーペットの製造方
法、特に起伏などのある床面に対しても容易に密着させ
ることができ、可撓性及び寸法安定性に優れ、反りの少
ないカーペットの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カーペット用バッキング材にはアスファ
ルト系のものや塩化ビニル系のものなどがあるが、アス
ファルト系のものは臭気があるばかりでなく、使用中、
特に冬期に硬化してパリパリになるし、高温では軟化し
て周囲を汚したり、熱劣化を起すなどの問題があった。
また、塩化ビニル系のものは、カーペットの破棄時の焼
却の際に有害な塩素ガスを発生するという環境汚染上の
問題があった。
【0003】従来のカーペット用バッキング材の上記の
問題点を解決するために、セメントと熱可塑性樹脂のエ
マルジョンからなる組成物から予め成形しておいたシー
ト上に、接着剤を用いてカーペット用表基材の裏面を貼
り合わせて裏打ちしたカーペットを製造することが提案
された(特公昭60−58347号公報)。しかし、こ
の方法では、その製造時にセメントが急激に高温にさら
されると脆くなるため、シートをゆっくりと加熱して硬
化・乾燥させる必要があるために生産性に劣るし、製品
カーペットが硬すぎて可撓性に欠けるなどの問題があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、柔軟性、可
撓性、耐収縮性及び寸法安定性に優れ、比較的に軽く、
起伏のある床面等に対しても容易に密着させることがで
き、使用中の反り上がりなどの少ないカーペットを容易
に製造する方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のカーペットの製
造方法は、ガラス転移点5〜−50℃の樹脂の水性エマ
ルジョンに該樹脂固形分100重量部に対して水硬性無
機質セメント粉末160〜360重量部及び非水硬性無
機質粉末160〜460重量部を含有せしめてなるバッ
キング材組成物の層と、ガラス転移点−10〜30℃の
樹脂の水性エマルジョン塗布剤の塗布されたカーペット
用表基材とを、前記のバッキング材組成物の硬化・乾燥
前でかつ前記塗布剤の乾燥後に該塗布剤塗布面を介して
重ねられた構造の積層物を形成せしめ、次いで前記の積
層物を85〜135℃の温度に加熱して該バッキング材
組成物層を硬化・乾燥させることを特徴とする方法であ
る。
【0006】本発明で用いられるカーペット用表基材と
しては、種々の合成繊維、たとえばポリプロピレン、ポ
リエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンな
ど、天然繊維、たとえば木綿、麻、羊毛等のタフテッド
カーペット、ニードルパンチカーペット、スパンボン
ド、不織布、雑フェルト、織布、織物等、さらにはガラ
ス繊維の不織布や織布等があげられる。同基材はバッキ
ング材組成物の硬化・乾燥時の乾燥性を高めるために
は、透水性である必要がある。
【0007】本発明のバッキング材組成物に用いられる
ガラス転移点5〜−50℃の樹脂の水性エマルジョン、
或いはカーペット用表基材に塗布する塗布剤に用いられ
るガラス転移点−10〜30℃の樹脂の水性エマルジョ
ンは、種々のガラス転移温度のホモ重合体を与える種々
の不飽和単量体、たとえばアクリル酸2−エチルヘキシ
ル{そのホモ重合体のガラス転移点が−85℃である
(ここでは、これを「Tg −85℃」のように略記す
る)}、アクリル酸n・ブチル(Tg −54℃)、ア
クリル酸エチル(Tg −22℃)、塩化ビニリデン
(Tg −18℃)、アクリル酸イソプロピル(Tg
−5℃)、メタクリル酸2エチルヘキシル(Tg −5
℃)、アクリル酸n・プロピル(Tg 8℃)、メタク
リル酸n・ブチル(Tg 20℃)、酢酸ビニル(Tg
30℃)、アクリル酸(Tg 87℃)、メタクリル
酸n・プロピル(Tg 81℃)、スチレン(Tg 1
00℃)、アクリロニトリル(Tg 100℃)、メタ
クリル酸メチル(Tg 105℃)、メタクリル酸(T
g 130℃)、無水マレイン酸、イタコン酸(Tg1
30℃)、アクリル酸アミド(Tg 153℃)、メタ
クリル酸エチル(Tg65℃)、塩化ビニル(Tg 7
9℃)、エチレン及びブタジエンなどから適宜に選ばれ
た不飽和単量体の1種又は2種以上を乳化重合させるこ
とにより得られる。
【0008】なお、前記の樹脂水性エマルジョン調製用
の不飽和単量体に付記したガラス転移点(Tg)は、前
記のように、その単量体のホモ重合体のTgの値である
が、一般に、共重合体のTgは、単量体のホモ重合体の
Tgと単量体の共重合比率から、その概略値を容易に推
測できる。したがって、本発明で使用するバッキング材
組成物用のガラス転移点5℃〜−50℃の樹脂の水性エ
マルジョン、或いはカーペット用表基材塗布剤用のガラ
ス転移点−10〜30℃の樹脂の水性エマルジョンは、
かかる推測される概略値にもとづいてポリマー設計を
し、実験を繰返すことにより、容易に所望のTg値を有
する樹脂水性エマルジョンを製造することができる。
【0009】バッキング材組成物用の樹脂エマルジョン
用の樹脂のガラス転移点は、5〜−50℃であり、その
樹脂はホモ重合体であってもよいし、共重合体であって
もよい。また、その樹脂エマルジョンは、2種以上の樹
脂エマルジョンの混合物であってもよいし、さらには、
樹脂エマルジョンより製造された水再分散性の樹脂粉末
を水性媒体中に再分散せしめて得られた樹脂エマルジョ
ン(俗称 パウダーエマルジョン)であってもよい。
【0010】バッキング材組成物用の樹脂エマルジョン
は、その樹脂のガラス転移点が5℃より高くなると、得
られるカーペットが硬くなるので好ましくない。またそ
の樹脂のガラス転移点が−50℃よりも低くなると、カ
ーペットの寸法安定性や耐水変形性が悪くなるので好ま
しくない。
【0011】また、カーペット用表基材の塗布剤用の樹
脂水性エマルジョンは、樹脂のガラス転移点が−10〜
30℃、好ましくは5〜25℃である。その樹脂のガラ
ス転移点が30℃を超えると、可塑剤を併用しても塗布
樹脂が硬くなり、カーペットの折り曲げ時に表基材から
充填剤等が脱落するおそれがあり、好ましくない。ま
た、その樹脂のガラス転移点が低くなりすぎると、得ら
れるカーペットは、耐水性が低下したり、耐収縮性が悪
くなったり、抜糸強度が低下したり、ブロッキングを起
して汚染の原因になりやすい。そして、その樹脂のガラ
ス転移点は、バッキング材組成物用の樹脂水性エマルジ
ョンの樹脂のガラス転移点より10℃以上高いことが望
ましい。
【0012】ガラス転移点5〜−50℃の樹脂水性エマ
ルジョン、或いはガラス転移点−10〜30℃の樹脂水
性エマルジョンは、種々の商品名のものとして広く市販
されているから、本発明はかかる市販の樹脂エマルジョ
ンを使用して実施することができる。
【0013】次に、本発明のバッキング材組成物調製用
の水硬性無機質セメント粉末としては、ポルトランドセ
メントと称されるもの(たとえば普通セメント、白色セ
メント、早強セメント、超早強セメントなど)、混合セ
メントと称されるもの(たとえば高炉セメント、シリカ
セメント、フライアッシュセメントなど)、その他アル
ミナセメント、水硬性石膏粉末などがあるが、一般的に
はポルトランドセメント、特に普通セメント、白色セメ
ントが好ましい。
【0014】水硬性無機質セメント粉末は、樹脂水性エ
マルジョンの樹脂固形分100重量部に対して160〜
360重量部、好ましくは180〜300重量部であ
る。セメント粉末の割合が少なすぎると、カーペットの
柔軟性はよくなるが、弾性が乏しくなり、かつ強度及び
寸法安定性が悪くなる。また、セメント粉末の割合が多
すぎるとカーペットが硬くなるとともに、耐水変形性が
悪くなる。
【0015】本発明のバッキング材組成物用の非水硬性
無機質粉末としては種々のものが使用できる。たとえ
ば、炭酸カルシウム、硅砂、タルク、クレー、水酸化ア
ルミニウム、その他各種の無機質体質顔料等があげられ
る。
【0016】非水硬性無機質粉末は、樹脂水性エマルジ
ョンの樹脂固形分100重量部に対して160〜460
重量部である。その割合が少なすぎると、カーペットが
柔らかくなり、粘着性を帯びてくるし、寸法安定性が悪
くなる。また、その割合が多くなりすぎると、カーペッ
トが硬くなり、耐水変形性が悪くなる。なお、非水硬性
無機質粉末には、着色を目的とする無機質顔料も含まれ
るが、その添加量は、通常、比較的に少量である。
【0017】本発明のバッキング材組成物には、必要に
応じて、シラスバルーンのような発泡体粒子を配合する
ことができるが、かかる発泡体粒子は体積濃度が大きい
ので、その配合量は、非水硬性無機質粉末に対して15
重量%未満とするのが望ましい。
【0018】本発明のバッキング材組成物には、適量の
水が含有されている。水は樹脂エマルジョンにもとづく
水のみであってもよいが、通常は、さらに追加の水を添
加することが多い。一般に、水の量が少なすぎると組成
物が流動性に乏しくなり、塗布時の作業性が悪くなる
し、水の量が多すぎると樹脂水性エマルジョンと他の成
分との分離を起し、好ましくないばかりでなく、硬化・
乾燥後のカーペットに割れが発生したり、収縮が起き
る。バッキング材組成物中の水の量は、樹脂固形分10
0重量部に対して100〜200重量部が好ましい。
【0019】本発明のバツキング材組成物には、さらに
必要に応じて、すなわち任意成分として、着色用の顔料
や染料、各種の繊維粉末、消泡剤、可塑剤、増粘剤、防
カビ剤、減水剤、流動剤、硬化調整剤、湿潤剤、分散
剤、乳化剤、凍結防止剤、難燃剤等を配合することがで
きるが、これらは公知技術であるのでその詳しい説明を
省略する。なお、着色用の無機質顔料は非水硬性無機質
粉末に含まれること及びその配合量は通常、少量である
ことは前述のとおりである。
【0020】さらに、本発明のバッキング材組成物に
は、場合によって、前記樹脂のエマルジョン以外の他の
樹脂水性エマルジョンを添加することも可能であるが、
他の樹脂エマルジョンを添加する場合にも、前記の樹脂
水性エマルジョンの添加量は、樹脂固形分量で全樹脂固
形分量に対して60重量%以上になるようにする。
【0021】次に、本発明のカーペットの製造方法につ
いて詳述すると、前記のバッキング材組成物の層と前記
の塗布剤の塗布されたカーペット用表基材との積層物を
形成せしめる方法には、種々の方法が可能であるが、そ
の代表的な方法として、前記のバッキング材組成物を
予めシート状に成形したバッキング材組成物シートと、
予め塗布剤の塗布されたカーペット用表基材とを、該塗
布剤塗布面を介して重ね合わせて積層物とする方法があ
げられる。しかし、そのほかの方法、たとえば塗布剤
の塗布されたカーペット用表基材の該塗布剤塗布面上
に、直接にバッキング材組成物を塗布するか又は展延せ
しめて積層物を形成する方法もある。しかし、の方法
は最も代表的な方法で、かつ簡便な方法であるので、以
下主としてこのの方法について詳述する。
【0022】まず、前記の樹脂水性エマルジョン、水硬
性無機質粉末及び非水硬性無機質粉末、さらには必要に
応じて配合する他の添加剤を含有せしめてなるバッキン
グ材組成物を、まずシート状に成形する。その成形方法
には格別の制限がないが、通常は、適当な離型剤を塗布
して離型性を付与した板状体、フィルムやシート等の面
上にバッキング材組成物を塗布する方法により行なうの
が便利である。その板状体としては、たとえば鉄板等の
金属板、ガラス板、セラミック板、合成樹脂板、合板等
があげられる。また、そのフィルムやシートとしては、
たとえば合成樹脂のフィルムやシート、さらには紙や織
物からなるシート、ガラスクロス、炭素繊維クロス等が
あげられる。また、離型性を付与するために、前記の板
状体、フィルム、シート等の面上に塗布する離型剤とし
ては、たとえばモルタルやコンクリートの施工時に使用
されるような離型油や離型グリースなどがあげられる
し、合成樹脂フィルムやシートの場合には、それらの表
面にシリコーン樹脂やフッ素樹脂処理を施すことによっ
て、また紙や織物のシートの場合には、シリコン樹脂や
フッ素樹脂処理や、さらにはフィルムのラミネートによ
っても、離型性を付与することができる。
【0023】離型性を付与した板状体、フィルムやシー
ト等の面上にバッキング材組成物を塗布する際の同組成
物の塗布量は、硬化・乾燥前の塗布厚さ、すなわち湿潤
厚さで0.5〜2.5mm、好ましくは0.8〜2.3
mmである。その塗布厚さが薄すぎると製品カーペット
のクッション性が悪くなり、下地の凹凸になじまず、歩
行時の感触が悪くなる。また、その塗布厚さが厚くなり
すぎると硬化・乾燥に長時間を要し、生産性が低下す
る。
【0024】次いで、上記のようにしてバッキング材組
成物を塗布することにより成形されたシート状成形体上
に、該バッキング材組成物乾燥・硬化前に、前記のガラ
ス転移点−10〜30℃の樹脂水性エマルジョン塗布剤
が塗布されたカーペット用表基材を、該塗布剤の塗布面
がシート状成形体に接するように重ね、圧接して85〜
135℃の温度に加熱して該シート状成形体を硬化・乾
燥させる。
【0025】前記のカーペット用表基材に塗布するガラ
ス転移点−10〜30℃の樹脂エマルジョン塗布剤は、
樹脂エマルジョンのみであってもよいが、この樹脂エマ
ルジョンの樹脂固形分100重量部に対して40〜50
0重量部、好ましくは100〜300重量部の体質顔料
等の充填剤(たとえば炭酸カルシウム、水酸化アルミニ
ウム、タルク、クレー、硅砂等)を添加したものが好ま
しい。かかる充填剤を添加した樹脂エマルジョンを使用
すると、カーペットの収縮防止に有効であり、かつカー
ペットの腰(硬さ)や打抜き加工性を向上させることが
できる。
【0026】カーペット用表基材に対する前記の樹脂エ
マルジョン塗布剤(充填剤を含有しうることは前述のと
おりである)の塗布量は、固形分量で80〜400g/
2が好ましい。かかる塗布量で塗布すると、バッキン
グ材組成物のシート状成形体との密着性がよくなり、カ
ーペットの強度が向上するし、カーペットのパイル抜糸
強度も向上する。樹脂エマルジョン塗布剤の塗布された
カーペット用表基材とバッキング材組成物のシート状成
形体との重ね合わせは、バッキング材組成物の硬化・乾
燥前に行なわないと、両者の接着力及びカーペットの抜
糸強度の点において充分な性能が得られない。
【0027】バッキング材組成物のシート状成形体と樹
脂エマルジョン塗布剤の塗布されたカーペット用表基材
とを重ねた後の圧接は、通常、ニップロールを通して軽
く圧接する程度で充分である。また、その圧接後の硬化
・乾燥させる温度は85〜135℃、好ましくは90〜
125℃とする。これは、硬化・乾燥温度が低すぎると
硬化・乾燥に長時間を要し、生産性が低下するし、また
硬化・乾燥温度が高すぎると得られるカーペットのバッ
キング材層と表面基材間にふくれが生じやすくなる、か
らである。
【0028】本発明の製造方法によると、バッキング材
組成物のシート状成形体とカーペット用表基材とが強固
に一体的に接着した強度か大で、可撓性(柔軟性)、寸
法安定性(耐収縮性)、床面に対するなじみ性、施工性
等がバランスよく優れたカーペットが効率よく製造でき
る。
【0029】すなわち、本発明においてはバッキング材
組成物のシート状成形体と樹脂エマルジョン塗布剤の塗
布された表基材との圧接時の硬化・乾燥を85〜135
℃の比較的高温で行なわせるので、硬化・乾燥時間が短
縮され、生産性が向上するにもかかわらず、成形される
バッキング材層の強度低下を起さない。一般に、通常の
セメント成形品を高温加熱により硬化・乾燥させるに
は、加湿したり、オートクレーブを使用したりする必要
がある。これは、高温加熱時に含水セメントがドライ・
アウトして水硬を妨げるのを防止するためである。とこ
ろが、本発明の方法においては、含水状態のセメントが
樹脂エマルジョン中に包み込まれた状態で加熱されるの
で、硬化・乾燥のための加熱温度が比較的に高くても、
水硬に必要な水が直ちに揮散してしまうことがないとと
もに、適度に皮膜化した樹脂エマルジョン層も水の揮散
を抑制して水を一定時間保持する作用をする。さらに、
比較的高温の硬化・乾燥であるので、水硬に必要な時間
も短縮されることになるから、これらが相まって、比較
的に高温の加熱であっても、含水状態のセメントのドラ
イ・アウトを防止しながら、速やかに水硬反応及び乾燥
を終了して、強度に優れた樹脂含有硬化セメントのバッ
キング材層を短時間に形成できることになる。
【0030】さらに、バッキング材組成物の硬化層は、
その高温加熱によって発生する水蒸気によって無数の気
泡が形成されているので、密度が0.8〜1.2g/c
3と軽く、クッション性に優れ、歩行時の感触性が良
好である。
【0031】なお、その硬化・乾燥温度が85℃未満に
なると、硬化・乾燥に時間がかかり、生産性が低下して
くるし、カーペットのバッキング材層の硬化物が気泡の
少ない、軽量性及び感触性、歩行性等に劣るものとな
る。また、その硬化・乾燥温度が135℃よりも高くに
ると、含水状態のセメントの水分が急速に揮散してしま
って、水硬反応を充分に進行させることができないばか
りでなく、バッキング材層と表面基材層との間にふくれ
が生じやすくなるので、好ましくない。
【0032】さらに、本発明の製造方法で得られるカー
ペットは、現在広く使用されているバッキング材がアス
ファルト系のもの、塩化ビニル系のもの、又はアモルフ
ァスポリプロピレン系のもののように、裏基材(裏基
布)を必要としないし、かつ裏基材が使用されていない
ので、打抜加工性に優れているし、生産工程が少なくて
生産性に優れているし、廃棄のための焼却時に有毒ガス
が発生せず、発熱量も低くて廃棄処理が容易である。
【0033】
【実施例】以下に、実施例及び比較例をあげてさらに詳
述する。これらの例に記載された部及び%は、いずれも
重量基準による。
【0034】実施例1 表基材:ホリエステル不織布を一次基布とするポリエス
テルタフテツドカーペツト(坪量1000g/m2
(以下これを「PET/PETタフテツド」という)を
表基材用の基布として使用し、この基布に下記の組成の
表基材用塗布剤を、固形分量が350g/m2 になるよ
うに塗布し、乾燥させた。
【0035】 表基材用塗布剤: アクロナールYJ−2716D *1 (固形分量で)100部 炭酸カルシウム *2 100部 消泡剤 *3 0.4部 10%トリポリリン酸ソーダ水溶液 10部 水 100部 増粘剤 *4 (液粘度が4000cpsになる量) 注)*1・・・ 三菱油化バーディッシェ株式会社商品名、
アクリル酸エステル−スチレン共重合体樹脂の水性エマ
ルジヨン、固形分濃度48%、樹脂のTg 24℃ *2・・・ 同和鉱業株式会社商品名 KD−1200 *3・・・ サンノプコ社商品名 ノプコ8034 *4・・・ 三菱油化バーディッシェ株式会社商品名、ラテ
コールD
【0036】 バッキング剤組成物: アクリル酸ブチル・スチレン共重合体樹脂水性エマルジョン *1 (固形分量で)100部 普通ポルトランドセメント 100部 炭酸カルシウム *2 250部 水 80部 注)*1・・・ 以下において、樹脂エマルジョンとい
う。固形分50%樹脂のTg −30℃ *2・・・ 同和鉱業株式会社商品名 KD−80
【0037】上記のバッキング材組成物を攪拌機で凝集
物が認められなくなるまで混合した(約15分)。得ら
れたバッキング材組成物スラリーを、テフロンシート上
にナイフコーターで湿潤厚さで2.0mmに塗布し、シ
ート状に成形し、その未硬化シート面上に直ちに、上記
の塗布剤を塗布して乾燥させた表基材の塗布剤塗布面を
重ね、ニップロールで軽く加圧して貼り合わせた。
【0038】得られた積層物を、表面温度100℃に加
熱した鉄板上に、テフロンシート面が鉄板に接触するよ
うに載置し、25分間同温度に加熱してバッキング材の
塗布層を硬化・乾燥させてから、直ちに室温に放置して
冷却した。
【0039】得られたカーペットの表基材のパイル糸の
抜糸強度は3.0Kg/本であり、優れていた。
【0040】また、得られたカーペットを50×50c
mサイズに打抜き加工し、タフテッド・タイルカーペッ
トとした。この実施例1のバッキング材組成物の組成、
及びそのカーペット製造条件を表1に摘記した。
【0041】実施例2 表基材:ホリエステル不織布を一次基布とするポリエス
テル/ナイロン・タフテッド・タイルカーペツト(坪量
1000g/m2 )(以下、これを「PET/PET−
ナイロン・タフテッド」という)を表基材として用い、
また表基材塗布剤用の樹脂水性エマルジョンとしてアク
ロナールYJ−3042D(三菱油化バーディッシェ株
式会社商品名、アクリル酸エステル−スチレン共重合体
樹脂の水性エマルジョン、固形分濃度50%、樹脂のT
gが3℃)を用い、そのほかは実施例1と同様にして樹
脂水性エマルジョン塗布剤の塗布された表基材を調製し
た。
【0042】 バッキング剤組成物: アクリル酸ブチル・スチレン共重合体樹脂水性エマルジョン *1 (樹脂固形分量で)100部 白色セメント 200部 硅砂8号 400部 酸化鉄 *2 1部 水 80部 注)*1・・・ 以下において、樹脂エマルジョンとい
う。固形分50%樹脂のTg −45℃ *2・・・ 日本弁柄工業株式会社商品名 NB−500
【0043】上記のようにして得た表基材及びバッキン
グ材組成物を用い、そのほかは実施例1に記載の方法に
準じてタフテッドタイルカーペットを製造した。そのバ
ッキング材組成物の組成、及びその他のカーペット製造
条件等を表1に摘記した。
【0044】実施例3〜7 比較例1〜9 バッキング材組成物、及びカーペット製造条件を表1〜
表5に記載のように変更し、そのほかは実施例1の方法
に準じてタイル・カーペットを製造した。
【0045】実施例8 実施例1においてバッキング材組成物シートの成形に用
いたテフロンシートの代りに、ステンレススチール板
(厚さ1mm)を用い、そのほかは実施例1と同様の方
法でカーペットを製造した。この場合には、成形したバ
ッキング材組成物シートがステンレススチール板に付着
したために、同シート層に多少の破壊を生じたが、得ら
れたカーペットの性能は実施例1のものと変わりがなか
った。
【0046】比較例10 実施例1の方法において、表基材に樹脂水性エマルジョ
ン塗布剤を全く塗布しないで、そのほかは実施例1と同
様の方法でカーペットを製造したところ、得られたカー
ペットの表基材の抜糸強度は1.8Kg/本であり、劣
るものであった。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】表1〜表5の注: *1・・・ 同和鉱業株式会社商品名 KD−80 *2・・・ 日本弁柄工業株式会社商品名 NB−500 *3・・・ アクリル酸ブチル・スチレン共重合体樹脂の水
性エマルジョン、固形分濃度50%、樹脂のTgが−3
0℃ *4・・・ ポリエステル不織布を一次基布とするポリエス
テルタフテッドカーペット(坪量1000g/m2 ) *5・・・ 三菱油化バーディッシェ株式会社商品名、アク
リル酸エステル・スチレン共重合体樹脂の水性エマルジ
ョン、固形分濃度48%、樹脂のTgが24℃ *6・・・ アクリル酸ブチル・スチレン共重合体樹脂の水
性エマルジョン、固形分濃度50%、樹脂のTgが−4
5℃ *7・・・ ポリエステル不織布を一次基布とするポリエス
テル/ナイロン・タフテッドカーペット(坪量1000
g/m2 ) *8・・・ 三菱油化バーディッシェ株式会社商品名、アク
リル酸エステル・スチレン共重合体樹脂の水性エマルジ
ョン、固形分濃度50%、樹脂のTgが3℃ *9・・・ バッキング材組成物シートと表基材間にふくれ
が生じ、表基材が充分に密着していなかった。 *10・・・ 三菱油化バーディッシェ株式会社商品名、アク
リル酸エステル・スチレン共重合体樹脂の水性エマルジ
ョン、固形分濃度49%、樹脂のTgが8℃ *11・・・ アクリル酸ブチル重合体樹脂の水性エマルジョ
ン、固形分濃度50%、樹脂のTgが−54℃
【0053】上記の実施例1〜7、及び比較例1〜10
で得られた各カーペットについて、その物性試験をした
結果は表6及び表7に示すとおりであった。
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】表6及び表7の注: *1 柔軟度 タイルカーペットの表基材上に直径20mmの筒を置
き、その筒に沿ってカーペツトを180°折り曲げたと
きの状態を目視により調べ、下記の基準によって評価し
た。 ◎・・・全く異常なし ○・・・各層とも異常がないが、曲げ部分が元に戻るの
に若干の時間を要する △・・・曲げ部分にクセが残る ×・・・折れる
【0057】*2 床なじみ性 タイルカーペツト(50×50cm)を丸めて2時間置
いたのち、自然に開放し、厚さ10mmの合板上に置
き、20℃で2時間放置したときの状態を調べ、下記の
基準により評価した。 ◎・・・完全に下地(合板)になじむ ○・・・殆んど完全に下地になじむ △・・・下地から若干浮き上る ×・・・下地から浮き上り、上から押すと音がする
【0058】*3 収縮性 タイルカーペツト(50×50cm)を、50℃、10
0%RHの空気中に7日又は14日間放置後、及び20
℃の水中に1日又は3日間浸漬後の各状態を調べ、下記
の基準により評価した。 ◎・・・変化なし ○・・・若干変化(膨潤等) △・・・膨潤やそりがあるが、乾燥すれば元にもどる ×・・・膨潤やそりが著しい
【0059】*4 指触風合い タイルカーペツトの裏面を上にして、合板(厚さ10m
m)の上に置き、2Kg/cm2 で押圧してから放圧し
た後の圧縮変形を調べ、下記の基準により評価した。 H・・・圧縮変形なし(硬い) S・・・圧縮変形あり(柔かい)
【0060】*5 床面への耐ブロッキング性 コンクリート面にカーペットを施工後、50℃で5日
間、15Kg/(50cm×50cm)の荷重で加圧し
たのち、室温に戻すとともに荷重も除いてからカーペッ
トを床面から剥離したときの状態を調べ、下記の基準に
より評価した。 ◎・・・床面にのり残りが全くない ○・・・床面にのり残りが殆どない △・・・床面にのり残りがあまりないが、べたつく ×・・・床面にのり残りがある
【0061】表6及び表7における対比から明らかなよ
うに、実施例で得られたカーペットは、比較例で得られ
たカーペットに比べて、柔軟性、床なじみ性、耐収縮
性、指触風合い、施工性及び床面への耐ブロッキング性
等の諸物性がバランスよく優れている。なお、比較例
1、比較例6、及び比較例8で得られたカーペットは物
性が比較的に良好であるが、比較例1は、硬化・乾燥に
時間がかかりすぎ、生産性に劣る。比較例6は、非水硬
性無機質粉末が少ないため、耐水性が弱く、ブロッキン
グ性が著しい。比較例8は、バッキング材組成物用エマ
ルジョンの樹脂のTgが低いために、耐水性が弱く、ブ
ロッキング性が著しい。
【0062】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、柔軟性、可
撓性、寸法安定性(耐収縮性)、床なじみ性、指触風合
等に優れたカーペットを効率よく製造することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−299582(JP,A) 特開 平4−244844(JP,A) 特開 昭58−180677(JP,A) 特開 昭58−104280(JP,A) 特開 昭57−192442(JP,A) 特開 昭57−19465(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス転移点5〜−50℃の樹脂の水性
    エマルジョンに該樹脂固形分100重量部に対して水硬
    性無機質セメント粉末160〜360重量部及び非水硬
    性無機質粉末160〜460重量部を含有せしめてなる
    バッキング材組成物の層と、ガラス転移点−10〜30
    ℃の樹脂の水性エマルジョン塗布剤の塗布されたカーペ
    ット用表基材とを、前記のバッキング材組成物の硬化・
    乾燥前でかつ前記塗布剤の乾燥後に該塗布剤塗布面を介
    して重ねられた構造の積層物を形成せしめ、次いで前記
    の積層物を85〜135℃の温度に加熱して該バッキン
    グ材組成物層を硬化・乾燥させることを特徴とするカー
    ペットの製造方法。
JP4337875A 1992-03-12 1992-11-26 カーペツトの製造方法 Expired - Fee Related JP2665710B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4337875A JP2665710B2 (ja) 1992-11-26 1992-11-26 カーペツトの製造方法
US08/028,144 US5332457A (en) 1992-03-12 1993-03-09 Process for producing carpet
EP19930103843 EP0560325B1 (en) 1992-03-12 1993-03-10 Process for producing carpet
DE1993623103 DE69323103T2 (de) 1992-03-12 1993-03-10 Verfahren zur Herstellung eines Teppiches
SG1996004882A SG48988A1 (en) 1992-03-12 1993-03-10 Process for producing carpet

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4337875A JP2665710B2 (ja) 1992-11-26 1992-11-26 カーペツトの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06154070A JPH06154070A (ja) 1994-06-03
JP2665710B2 true JP2665710B2 (ja) 1997-10-22

Family

ID=18312817

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4337875A Expired - Fee Related JP2665710B2 (ja) 1992-03-12 1992-11-26 カーペツトの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2665710B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2796914B2 (ja) * 1992-12-09 1998-09-10 三菱化学ビーエーエスエフ株式会社 カーペツトの製造法
JP2002119408A (ja) 2000-10-17 2002-04-23 Emulsion Technology Co Ltd タイル調カーペットの加工方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0651947B2 (ja) * 1986-06-19 1994-07-06 三菱油化バ−デイツシエ株式会社 弾性の優れた不織布の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06154070A (ja) 1994-06-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5776259B2 (ja) 複合防水構造体の施工方法
JP2665710B2 (ja) カーペツトの製造方法
JP2010120377A (ja) 化粧シート
EP0560325B1 (en) Process for producing carpet
US2907677A (en) Article of manufacture and process of making same
JP2796914B2 (ja) カーペツトの製造法
JPWO2010067787A1 (ja) 積層シート
JP2767374B2 (ja) カーペツトの製造方法
JP2520817B2 (ja) カ―ペツトの製造方法
JP2520818B2 (ja) カ―ペツトの製造法
JP3792607B2 (ja) 吸着性床材
JPH09285381A (ja) カーペット用バッキング材組成物およびカーペットの製造方法
JP2747957B2 (ja) 樹皮状及び木板状シート注型成形用組成物
JPS60108483A (ja) 剥離性付与組成物およびそれを使用する床材シ−ト
JPH0629389B2 (ja) ウレタンフォーム用接着剤組成物
JPS642514B2 (ja)
JP3223680B2 (ja) ラテックス型コーティング材
JPH0215561B2 (ja)
JPH11293119A (ja) 水性の樹脂分散体組成物
JPH11178701A (ja) カーペットの製造方法
JPH0598227A (ja) 接着兼下地用弾性調整材組成物
JPS6397672A (ja) 水性接着剤用ラテツクス
JP2873677B2 (ja) ポリマ−セメント系組成物
JPH09291691A (ja) カーペット及びその製造方法
JP2018053553A (ja) 床用再剥離型密着シート

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080627

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090627

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100627

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100627

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110627

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120627

Year of fee payment: 15

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees