JP2873677B2 - ポリマ−セメント系組成物 - Google Patents
ポリマ−セメント系組成物Info
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Description
モルタルやポリマ−セメントコンクリ−トとして特にコ
テ仕上げ性に優れたポリマ−セメント系組成物に関す
る。
トランドセメント等の水硬性セメントを用いたセメント
モルタルやセメントコンクリ−トは、一般的な土木建築
材料であるが、その結合材であるセメント水和物に起因
する欠点、例えば、遅い硬化、小さい引張強度、大きい
乾燥収縮性、あるいは低い耐薬品性等の欠点を有するも
のである。このようなセメントモルタル等の欠点を改善
する目的で、従来よりセメントに対して5〜15重量
%、好ましくは5〜10重量%のスチレンブタジエンゴ
ムラテックス、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン酢
酸ビニルエマルジョン、アクリル系エマルジョンなどの
樹脂水性エマルジョンを配合し、セメント水和物の一部
を代替せしめたポリマ−セメントモルタル等が提案され
ている。そして、かかるポリマ−セメントモルタル等
は、従来のセメントモルタル等に比してワ−カビリテ
ィ、保水性、引張および曲げ強度、伸び能力、接着性、
防水性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐薬品性など各種の優れ
た性質を有するものであって、舗装材、床材、防水材、
接着材、化粧仕上げ材、補修材、あるいは防食材などの
土木建築材料として一般に広く多用せられている。
ル等における樹脂水性エマルジョンの使用比率は5〜1
0重量%と低く抑えられている。もともと、樹脂水性エ
マルジョンのポリマ−セメント比(P/C)を高くする
ほど性能が安定して好結果を得ることが出来るものであ
るが、反面、樹脂水性エマルジョンの使用比率が高くな
るにつれて表面乾燥性が速く、非常に上乾きしやすいの
みならず、塗膜が厚い場合には中心が未乾燥となってク
ラックを発生しやすく、また、コテ塗りやコテ押え性な
どコテ仕上げ性が著しく低下しやすいものであって、コ
テ塗り用途では自ずとポリマ−セメント比は低く設定せ
ざるを得ないものである。
ボキシルメチルセルロ−ス、カルボキシルエチルセルロ
−ス、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルピロリドンメ
チルセルロ−ス、ポリアクリルアミド等の水溶性ポリマ
−や増粘剤を配合したり、水溶性ポリマ−を乳化剤とす
るエマルジョンや親水性モノマ−を使用するエマルジョ
ンの使用が提案されている。しかしながら、かかる場合
においても、塗膜の耐水性の低下や乾燥性の遅れを招来
せしめるものであって、満足すべき効果を得ることは出
来ないものである。このため、骨材量のアップやより粗
い骨材を使用することにより改良がなされているが、ポ
リマ−セメント比の低下に伴う悪影響を及ぼすのみなら
ず、薄い仕上げ作業が出来にくい等の新たな問題点を提
起するものとなっている。
ため鋭意研究を行った結果、樹脂水性エマルジョンと共
に水再分散性樹脂粉末を使用することにより、塗装厚さ
を自由に行うことが出来るのみならず、ポリマ−セメン
ト比が高くてポリマ−の特性を十分に発揮せしめなが
ら、乾燥性が良く、乾燥時にクラック等を生じにくく、
極めてコテ塗り性やコテ押え性などコテ仕上げ性に優
れ、又、コテのかわりにロ−ルやバ−コ−タ−塗工も容
易に出来るポリマ−セメント系組成物を提供しようとす
るものである。
分散性樹脂粉末100重量部と、樹脂水性エマルジョン
(固形成分として)15〜200重量部と、水再分散性
樹脂粉末と樹脂水性エマルジョンとの総和が水硬性セメ
ントに対して15〜100重量%と、水硬性セメントに
対して150〜500重量%の無機フィラ−とよりなる
ことを特徴とする、ポリマ−セメント系組成物である。
表面層に樹脂水性エマルジョンの乳白色液が出てきにく
い為、コテ性が良い。この理由については明らかでない
が、樹脂水性エマルジョンと水再分散性樹脂粉末を特定
範囲で併用し、水硬性セメント等と使用すると水再分散
性樹脂の効果で樹脂水性エマルジョンの表層へのマイグ
レ−ションが押えられる為と思われる。
成物は、ポリマ−セメントモルタルのみならず、ポリマ
−セメントコンクリ−トにも適用せしめることが出来る
ものである。
は、ポリ酢酸ビニル系、酢酸ビニルエチレン共重合体、
あるいはアクリル樹脂系のエマルジョンを噴霧乾燥する
ことによって得られる、所謂水再分散性樹脂粉末を使用
する。かかる水再分散性樹脂粉末は、水を加えると容易
に再乳化して元の水性ポリマ−に戻る特徴をもつもの
で、後記する水硬性セメントに直接プレミックスとして
使用するとよい。また、この水再分散性樹脂粉末は、硬
いものを使用すると硬く強い皮膜が、また、柔らかいも
のを使用すると柔らかい皮膜が得られるが、造膜温度
(MFT)が+25〜−50℃のものを用いることによ
り、通常の使用温度範囲(+35〜−10℃)下では硬
いようでも軟さをもつ皮膜を得ることが出来る。このさ
い、後記する樹脂水性エマルジョンとの総和が水硬性セ
メントに対して15重量%以上なければその効果は小さ
い。本発明で使用する水再分散性樹脂粉末は、住友化学
工業株式会社製のスミカフレックス(登録商標)RP−
100S、RP−110、三菱化学ビ−エ−エスエフ株
式会社製のアクロナ−ル(登録商標)DS−6029、
DS−6031、ヘキスト合成株式会社製のモビニル
(登録商標)DM−200、DM−289、843、S
A、E45等の商品名で市販されている。なお、かかる
水再分散性樹脂粉末の製造方法については、特開昭47
−8188号公報、特開昭59−199703号公報、
特開平6−24820号公報、特願平4−185606
号公報,特開平7−53730号公報,特公平7−30
221号公報,特開平7−138062号公報,特開平
7−187741号公報,特開平7−18086号公
報、米国特許第4704416号明細書,米国特許第3
784648号明細書,米国特許第5118751号明
細書等や文献に開示されている。
とえばアクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n・
ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、
メタクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸n・プロピ
ル、メタクリル酸n・ブチル、酢酸ビニル、アクリル
酸、メタクリル酸n・プロピル、スチレン、アクリロニ
トリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、無水マレ
イン酸、イタコン酸、アクリル酸アミド、メタクリル酸
エチル、エチレン、ブタジエンなどより選ばれた不飽和
単量体の1種又は2種以上を乳化重合させて得られるホ
モ重合体又は共重合体のエマルジョン、さらにはこれら
の重合体エマルジョンの2種以上の混合物が用いられ
る。また、水性エポキシエマルジョンのような硬化性樹
脂の水性エマルジョンも使用することができる。これら
樹脂水性エマルジョンは、住友化学工業株式会社製のス
ミカフレックス(登録商標)S−420、三菱化学ビ−
エ−エスエフ株式会社製のアクロナ−ル(登録商標)S
−400、80DN、YJ3042D、YJ3031D
等の商品名で市販されている。なお、上記のアクロナ−
ルS−400、アクロナ−ルYJ3042Dはアクリル
酸エステル−スチレン共重合体樹脂の水性エマルジョン
であり、アクロナ−ル80DNはアクリロニトリル−ア
クリル酸エステル共重合体樹脂の水性エマルジョンであ
る。柔らかい性能が要求される場合は樹脂のTgは5℃
以下が好ましく、硬い風合の場合にはこの限りではない
が、造膜性の点からTg30℃以下が好ましい。
ンの比率は、水再分散性樹脂粉末100重量部に対して
15〜200重量部であり、15重量部より少ないとコ
テへの付着性がなくて良いが、スラリ−の粘性の面から
作業上コテが重く、水を多く加えてもあまり良くなら
ず、より多くの水を加えると逆に骨材の分離を招きやす
い。さらに、水量のアップでクラックを発生しやすくな
る。又、200重量部を超すと、コテへの付着やコテ作
業でのしまりがなく、作業性低下、乾燥のおくれ、コテ
押え性が低下する。樹脂エマルジョンのみを使用する従
来のポリマ−セメントモルタルでは、P/C比で5〜1
0%が一般的である。P/Cが5%未満では、ポリマ−
による改質効果が小さくて効果がなく、P/Cが10%
以上では性能が安定してよいが、逆にコテ性が悪くなる
為である。しかしながら、吹付施工や流し塗りでは、流
動性を良くする為にP/C比が50〜200%が使用さ
れるが、表面乾燥しやすく、通常1mm程度で数回の重
ね塗りが必要となる。本発明では、P/C比が15〜1
00%で水再分散性樹脂粉末と樹脂水性エマルジョンを
100:15〜200重量比とすることでコテ塗り、厚
塗りが可能である。本発明にかかる組成物は、湿潤面や
乾いた素地に直接塗付しても充分に効果が発揮される
が、適度の乾燥面でシ−ラ−処理や下地調整することは
より好ましいことである。また、コテ仕上げ時におい
て、コテを水で湿めらせて仕上げることでよりきれいな
仕上げ面を得ることが出来るが、これは全く問題のない
ものである。
メント、早強セメント、高炉セメント、シリカセメン
ト、フライアッシュセメント、白色セメント、アルミナ
セメントなどの単独、または組合せて使用する。かかる
水硬性セメントは、水再分散性樹脂粉末および樹脂水性
エマルジョンの総和に対してポリマ−セメント比で15
〜100重量%の比率で使用する。水硬性セメントの使
用比率が100重量%を越える場合には、粘りが出てコ
テ仕上げ性や乾燥性が悪くなり、15重量%以下の場合
には、コテ仕上げ性は良いが、コテが重くなると共に、
ポリマ−セメント比の低下に伴う性状の悪化を招来せし
めるものである。
砂、硅砂、硅石粉、陶砂、炭カル、酸化マグネシウム、
半水石膏、無水石膏、活性シリカ、フライアッシュ、寒
水、しらすバル−ン、発泡シリカ、ド−ソナイト、パ−
ライト、酸化鉄、焼却灰、顔料等を使用する。また、水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミン酸カ
ルシウム、二水和石膏、ほう酸亜鉛など結晶水を100
〜400℃で放出するものも好適に使用することが出来
る。かかる無機フィラ−は、水硬性セメントに対して1
50〜500重量%、好ましくは180〜400重量%
である。かかる無機フィラ−の使用比率が150重量%
以下の場合には、樹脂の柔らかさが出すぎてコテ仕上げ
性に悪影響を及ぼし、また、500重量%を越える場合
には皮膜がもろくなる。
水、増粘剤、可塑剤、消泡剤、分散剤などを必要に応じ
て適宜使用する。コテ仕上げ性の為には、水スラリ−の
粘度がBH型回転粘度計で4万〜6万cps(NO.6ロ
−タ−、6rpm)が好ましい。また、コテのかわりにロ
−ルやバ−コ−タ−等で塗りひろげるには、粘度は好ま
しくは5万±0.8万cpsに下げる必要がある。
はこれに限定されるものではない。
末、樹脂水性エマルジョン(固形成分で表示)、水硬性
セメント、無機フィラ−、及び水を加え、ミキサ−によ
り混練りしてポリマ−セメントモルタルを調製した。こ
のさい、粘度は(5万±0.2万)cpsとした。次い
で、調製したポリマ−セメントモルタルをコテにより2
mm,10mmの厚さでもって各々スレ−ト板面に塗
り、付着性、及び作業性の点についてコテ性を調べた。
そして、2時間を経過した後にコテ押えを行い、コテ押
え性について調べた。更に、3時間を経過したのち、乾
燥性、クラックの有無、付着性、及び表面の平滑度につ
いて検査した。その結果を表1〜表3に併せて示した。
なお、表1〜表3中、 ◎:極めて良 ○:良 △:やや不良 ×:不良 を表わす。素地としては、10mm厚さのスレ−ト板を
室温下に20hr以上放置したものを使用した。なお、
実施例1の配合でスレ−ト板を水中に3hr浸漬し、水
中より引き上げた直後のものに塗付したものについても
何ら問題はなかった。
ント比(P/C)を極めて高く設定することができ、ポ
リマ−の特性を充分に安定発揮せしめることが出来るの
みならず、塗装厚さを自由に行うことができ、しかも、
極めてコテ塗り性やコテ押え性などコテ仕上げ性に優れ
たポリマ−セメントモルタルやポリマ−セメントコンク
リ−トを得ることが出来る。
Claims (1)
- 【請求項1】水再分散性樹脂粉末100重量部と、樹脂
水性エマルジョン(固形成分として)15〜200重量
部と、水再分散性樹脂粉末と樹脂水性エマルジョンとの
総和が水硬性セメントに対して15〜100重量%と、
水硬性セメントに対して150〜500重量%の無機フ
ィラ−とよりなることを特徴とする、ポリマ−セメント
系組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20916396A JP2873677B2 (ja) | 1996-07-19 | 1996-07-19 | ポリマ−セメント系組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20916396A JP2873677B2 (ja) | 1996-07-19 | 1996-07-19 | ポリマ−セメント系組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1036158A JPH1036158A (ja) | 1998-02-10 |
JP2873677B2 true JP2873677B2 (ja) | 1999-03-24 |
Family
ID=16568375
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20916396A Expired - Lifetime JP2873677B2 (ja) | 1996-07-19 | 1996-07-19 | ポリマ−セメント系組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2873677B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6171060B1 (ja) * | 2016-07-29 | 2017-07-26 | 株式会社フッコー | ポリマーセメント系組成物 |
JP2018062742A (ja) * | 2016-10-11 | 2018-04-19 | 株式会社クラシコ | 屋外構造物 |
-
1996
- 1996-07-19 JP JP20916396A patent/JP2873677B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1036158A (ja) | 1998-02-10 |
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