JP2796914B2 - カーペツトの製造法 - Google Patents

カーペツトの製造法

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JP2796914B2 JP4351530A JP35153092A JP2796914B2 JP 2796914 B2 JP2796914 B2 JP 2796914B2 JP 4351530 A JP4351530 A JP 4351530A JP 35153092 A JP35153092 A JP 35153092A JP 2796914 B2 JP2796914 B2 JP 2796914B2
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Mitsubishi Chemical BASF Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カーペットの製造法、
特に起伏などのある床面に対しても容易に密着させるこ
とができ、可撓性及び寸法安定性に優れ、反りの少ない
カーペットの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カーペット用バッキング材にはアスファ
ルト系のものや塩化ビニル系のものなどがあるが、アス
ファルト系のものは臭気があるばかりでなく、使用中、
特に冬期に硬化してパリパリになるし、高温では軟化し
て周囲を汚したり、熱劣化を起すなどの問題があった。
また、塩化ビニル系のものは、カーペットの廃棄時の焼
却の際に有害な塩素ガスを発生するという環境汚染上の
問題があった。
【0003】従来のカーペット用バッキング材の上記の
問題点を解決するために、セメントと熱可塑性樹脂のエ
マルジョンからなる組成物から予め成形しておいたシー
ト上に、接着剤を用いてカーペット用表基材の裏面を貼
り合わせて裏打ちしたカーペットを製造することが提案
された(特公昭60−58347号公報)。しかし、こ
の方法では、その製造時にセメントが急激に高温にさら
されると脆くなるため、シートをゆっくりと加熱して硬
化・乾燥させる必要があるために生産性に劣るし、製品
カーペットが硬すぎて可撓性に欠けるなどの問題があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、柔軟性、可
撓性、耐収縮性及び寸法安定性に優れ、比較的に軽く、
起伏のある床面等に対しても容易に密着させることがで
き、使用中の反り上がりなどの少ないカーペットを容易
に製造する方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のカーペットの製
造法は、ガラス転移点−50〜5℃の樹脂の水性エマル
ジョンに該樹脂固形分100重量部に対して水硬性無機
質セメント粉末120〜400重量部及び非水硬性無機
質粉末160〜600重量部を含有せしめてなるバッキ
ング材組成物の層と、ガラス転移点−10〜30℃の樹
脂の水性エマルジョン塗布剤の塗布されたカーペット用
表基材とを、前記のバッキング材組成物の硬化・乾燥前
でかつ前記の塗布剤の乾燥前に該塗布剤塗布面を介して
重ねられた構造の積層物を形成せしめ、次いで前記の積
層物を85〜170℃の温度に加熱して前記のバッキン
グ材組成物の硬化・乾燥及び前記の塗布剤の乾燥を行な
わせることを特徴とする方法である。
【0006】本発明で用いられるカーペット用表基材と
しては、種々の合成繊維、たとえばポリプロピレン、ポ
リエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンな
ど、天然繊維、たとえば木綿、麻、羊毛等のタフテッド
カーペット、ニードルパンチカーペット、スパンボン
ド、不織布、雑フェルト、織布、織物等、さらにはガラ
ス繊維の不織布や織布等があげられる。
【0007】また、本発明で製造されるカーペットに
は、裏基材を用いてもよい。その裏基材には、前記の表
基材として使用できるものと同様のもののほかに、さら
に和紙などの紙も用いることができる。
【0008】表基材及び裏基材は、硬化・乾燥時の乾燥
性を高めるためにその少なくとも一方の基材として、好
ましくは重ね合わせて圧接し硬化・乾燥させる際に上側
にくる基材として、透水性のあるものを用いるのが望ま
しい。さらに、裏基材を用いる場合の表基材と裏基材に
は、熱収縮率が互いに同程度であるか、又は裏基材の方
が表基材より収縮率の大きい組合わせを用いるのが、製
品カーペットの反りを防止できるので、好ましい。
【0009】本発明におけるバッキング材組成物に用い
られるガラス転移点−50〜5℃の樹脂の水性エマルジ
ョン、或いはカーペット用表基材に塗布する塗布剤に用
いられるガラス転移点−10〜30℃の樹脂の水性エマ
ルジョンは、種々のガラス転移点を有するホモ重合体を
与える種々の不飽和単量体、たとえばアクリル酸2−エ
チルヘキシル{そのホモ重合体のガラス転移点が−85
℃である(ここでは、これを「Tg −85℃」のよう
に略記する)}、アクリル酸n・ブチル(Tg−54
℃)、アクリル酸エチル(Tg −22℃)、塩化ビニ
リデン(Tg−18℃)、アクリル酸イソプロピル(T
g −5℃)、メタクリル酸2エチルヘキシル(Tg
−5℃)、アクリル酸n・プロピル(Tg 8℃)、メ
タクリル酸n・ブチル(Tg 20℃)、酢酸ビニル
(Tg 30℃)、アクリル酸(Tg 87℃)、メタ
クリル酸n・プロピル(Tg 81℃)、スチレン(T
g100℃)、アクリロニトリル(Tg 100℃)、
メタクリル酸メチル(Tg 105℃)、メタクリル酸
(Tg 130℃)、無水マレイン酸、イタコン酸(T
g 130℃)、アクリル酸アミド(Tg 153
℃)、メタクリル酸エチル(Tg 65℃)、塩化ビニ
ル(Tg 79℃)、エチレン及びブタジエンなどから
適宜に選ばれた不飽和単量体の1種又は2種以上を乳化
重合させることにより得られる。
【0010】なお、前記の樹脂水性エマルジョン調製用
の不飽和単量体に付記したガラス転移点(Tg)は、前
記のように、その単量体のホモ重合体のTgの値である
が、一般に、共重合体のTgは、単量体のホモ重合体の
Tgと単量体の共重合比率から、その概略値を容易に推
測できる。したがって、本発明で使用するバッキング材
組成物用のガラス転移点−50〜5℃の樹脂の水性エマ
ルジョン、或いはカーペット用表基材塗布剤用のガラス
転移点−10〜30℃の樹脂の水性エマルジョンは、か
かる推測される概略値にもとづいてポリマー設計をし、
実験を繰返すことにより、容易に所望のTg値を有する
樹脂水性エマルジョンを製造することができる。
【0011】バッキング材組成物用の樹脂エマルジョン
用の樹脂のガラス転移点は、−50〜5℃であり、その
樹脂はホモ重合体であってもよいし、共重合体であって
もよい。また、その樹脂エマルジョンは、2種以上の樹
脂エマルジョンの混合物であってもよいし、さらには、
樹脂エマルジョンより製造された水再分散性の樹脂粉末
を水性媒体中に再分散せしめて得られた樹脂エマルジョ
ン(俗称 パウダーエマルジョン)であってもよい。
【0012】バッキング材組成物用の樹脂エマルジョン
は、その樹脂のガラス転移点が5℃より高くなると、得
られるカーペットが硬くなるので好ましくない。またそ
の樹脂のガラス転移点が−50℃よりも低くなると、カ
ーペットの寸法安定性や耐水変形性が悪くなるので好ま
しくない。
【0013】また、カーペット用表基材の塗布剤用の樹
脂水性エマルジョンは、樹脂のガラス転移点が−10〜
30℃、好ましくは5〜25℃である。その樹脂のガラ
ス転移点が30℃を超えると、可塑剤を併用しても塗布
樹脂が硬くなり、カーペットの折り曲げ時に表基材から
充填剤等が脱落するおそれがあり、好ましくない。ま
た、その樹脂のガラス転移点が低くなりすぎると、得ら
れるカーペットは、耐水性が低下したり、耐収縮性が悪
くなったり、抜糸強度が低下したり、ブロッキングを起
して汚染の原因になりやすい。そして、その樹脂のガラ
ス転移点は、バッキング材組成物用の樹脂水性エマルジ
ョンの樹脂のガラス転移点より10℃以上高いことが望
ましい。
【0014】ガラス転移点−50〜5℃の樹脂水性エマ
ルジョン、或いはガラス転移点−10〜30℃の樹脂水
性エマルジョンは、種々の商品名のものとして広く市販
されているから、本発明はかかる市販の樹脂エマルジョ
ンを使用して実施することができる。
【0015】次に、本発明のバッキング材組成物調製用
の水硬性無機質セメント粉末としては、ポルトランドセ
メントと称されるもの(たとえば普通セメント、白色セ
メント、早強セメント、超早強セメントなど)、混合セ
メントと称されるもの(たとえば高炉セメント、シリカ
セメント、フライアッシュセメントなど)、その他アル
ミナセメント、水硬性石膏粉末などがあるが、一般的に
はポルトランドセメント、特に普通セメント、白色セメ
ントが好ましい。
【0016】水硬性無機質セメント粉末は、樹脂水性エ
マルジョンの樹脂固形分100重量部に対して120〜
400重量部、好ましくは160〜300重量部であ
る。セメント粉末の割合が少なすぎると、カーペットの
柔軟性はよくなるが、弾性が乏しくなり、かつ強度及び
寸法安定性が悪くなる。また、セメント粉末の割合が多
すぎるとカーペットが硬くなるとともに、耐水変形性が
悪くなる。
【0017】本発明のバッキング材組成物用の非水硬性
無機質粉末としては種々のものが使用できる。たとえ
ば、炭酸カルシウム、硅砂、タルク、クレー、水酸化ア
ルミニウム、その他各種の無機質体質顔料等があげられ
る。
【0018】非水硬性無機質粉末は、樹脂水性エマルジ
ョンの樹脂固形分100重量部に対して160〜600
重量部である。その割合が少なすぎると、カーペットが
柔らかくなり、粘着性を帯びてくるし、寸法安定性が悪
くなる。また、その割合が多くなりすぎると、カーペッ
トが硬くなり、耐水変形性が悪くなる。なお、非水硬性
無機質粉末には、着色を目的とする無機質顔料も含まれ
るが、その添加量は、通常、比較的に少量である。
【0019】本発明のバッキング材組成物には、必要に
応じて、シラスバルーンのような発泡体粒子を配合する
ことができるが、かかる発泡体粒子は体積濃度が大きい
ので、その配合量は、非水硬性無機質粉末に対して15
重量%未満とするのが望ましい。
【0020】本発明のバッキング材組成物には、適量の
水が含有されている。水は樹脂エマルジョンにもとづく
水のみであってもよいが、通常は、さらに追加の水を添
加することが多い。一般に、水の量が少なすぎると組成
物が流動性に乏しくなり、塗布時の作業性が悪くなる
し、水の量が多すぎると樹脂水性エマルジョンと他の成
分との分離を起し、好ましくないばかりでなく、硬化・
乾燥後のカーペットに割れが発生したり、収縮が起き
る。バッキング材組成物中の水の量は、樹脂固形分10
0重量部に対して100〜200重量部が好ましい。
【0021】本発明のバツキング材組成物には、さらに
必要に応じて、すなわち任意成分として、着色用の顔料
や染料、各種の繊維粉末、消泡剤、可塑剤、増粘剤、防
カビ剤、減水剤、流動剤、硬化調整剤、湿潤剤、分散
剤、乳化剤、凍結防止剤、難燃剤等を配合したり、ガラ
スネットや樹脂ネットを補強材として使用することがで
きるが、これらは公知技術であるのでその詳しい説明を
省略する。なお、着色用の無機質顔料は非水硬性無機質
粉末に含まれること及びその配合量は通常、少量である
ことは前述のとおりである。
【0022】さらに、本発明のバッキング材組成物に
は、場合によって、前記樹脂のエマルジョン以外の他の
樹脂水性エマルジョンを添加することも可能であるが、
他の樹脂エマルジョンを添加する場合にも、前記の樹脂
水性エマルジョンの添加量は、樹脂固形分量で全樹脂固
形分量に対して60重量%以上になるようにする。
【0023】なお、本発明で製造されるカーペットに裏
基材を用いない場合には、離型性を有する板状体やシー
トやフィルムの面に直接にバッキング材組成物を塗布し
てシート状成形体に成形するのが望ましい。そして、こ
の場合に用いるバッキング材組成物の組成は、樹脂水性
エマルジョンの樹脂固形分100重量部に対して、水硬
性無機質セメント粉末160〜360重量部、非水硬性
無機質粉末160〜460重量部とするのが好ましい。
【0024】次に、本発明においてカーペット用表基材
に塗布されるガラス転移点−10〜30℃の樹脂の水性
エマルジョン塗布剤は、同樹脂水性エマルジョンのみか
らなっていてもよいが、一般には充填材としての体質顔
料を、樹脂固形分100重量部に対して600重量部以
下、好ましくは160〜400重量部添加したものが望
ましい。体質顔料を添加すると、得られるカーペットは
収縮が少なく、硬さが付与され、打抜き加工性が良好と
なる。樹脂水性エマルジョン塗布剤の塗布量は、固形分
量で80〜450g/m2 である。樹脂水性エマルジョ
ン塗布剤を塗布した未乾燥の状態で、未硬化・未乾燥の
セメント含有バッキング材組成物層と重ね合わせること
により、密着性及びカーペットのパイル抜糸強度を向上
させることができる。
【0025】次に、本発明のカーペットの製造法につい
て詳述すると、前記のバッキング材組成物の層と前記の
塗布剤の塗布されたカーペット用表基材との積層物を形
成せしめる方法には、種々の方法が可能であるが、その
代表的な方法として、前記のバッキング材組成物を予
めシート状に成形したバッキング材組成物シートと、予
め塗布剤の塗布されたカーペット用表基材とを、該塗布
剤塗布面を介して重ね合わせて積層物とする方法があげ
られる。しかし、そのほかの方法、たとえば塗布剤の
塗布されたカーペット用表基材の該塗布剤塗布面上に、
直接にバッキング材組成物を塗布するか又は展延せしめ
て積層物を形成する方法もある。しかし、の方法は最
も代表的な方法で、かつ簡便な方法であるので、以下主
としてこのの方法について詳述する。
【0026】まず、前記の樹脂水性エマルジョン、水硬
性無機質粉末及び非水硬性無機質粉末、さらには必要に
応じて配合する他の添加剤を含有せしめてなるバッキン
グ材組成物を、まずシート状に成形する。その成形方法
には格別の制限がないが、通常は、適当な離型剤を塗布
して離型性を付与した板状体、フィルムやシート等の面
上にバッキング材組成物を塗布する方法で行なうのが便
利である。
【0027】前記のバッキング材組成物を塗布する板状
体としては、たとえば鉄板等の金属板、ガラス板、セラ
ミックス板、合成樹脂板、合板等があげられる。また、
そのフィルムやシートとしては、たとえば合成樹脂のフ
ィルムやシート、さらには紙や織物からなるシート、ガ
ラスクロス、炭素繊維クロス等があげられる。また、離
型性を付与するために、前記の板状体、フィルム、シー
ト等の面上に塗布する離型剤としては、たとえばモルタ
ルやコンクリートの施工時に使用されるような離型油や
離型グリースなどがあげられるし、合成樹脂フィルムや
シートの場合には、それらの表面にシリコーン樹脂やフ
ッ素樹脂処理を施すことによって、紙や織物のシートの
場合にはシリコーン樹脂やフッ素樹脂処理、或いは離型
性を付与したフィルムのラミネートによっても離型性を
付与することができる。
【0028】離型性を付与した板状体、フィルムやシー
ト等の面上、又は裏基材上にバッキング材組成物を塗布
してバッキング材シートを成形する際の同組成物の塗布
量は、硬化・乾燥前の塗布厚さ、すなわち湿潤厚さで
0.5〜3.0mm、好ましくは0.8〜2.5mmで
ある。その塗布厚さが薄すぎると製品カーペットのクッ
ション性が悪くなり、下地の凹凸になじまず、歩行時の
感触が悪くなる。また、その塗布厚さが厚くなりすぎる
と硬化・乾燥に長時間を要し、生産性が低下する。
【0029】次に、このようにして成形したバッキング
材組成物のシート状成形体に、前記した樹脂水性エマル
ジョン塗布剤の塗布されたカーペット用表基材の該塗布
剤塗布面を、そのバッキング組成物成形体の硬化・乾燥
前で、かつ前記の塗布剤の乾燥前に重ねて圧接し、85
〜170℃、好ましくは130〜155℃の温度に加熱
してシート状成形体を硬化・乾燥させるとともに、塗布
剤を乾燥させる。すると、硬化・乾燥したバッキング材
組成物のシート状成形体にカーペット用表基材が強固に
一体的に接着されたカーペット、すなわちバッキング材
層で裏打ちされた製品カーペットが得られる。
【0030】前記の硬化・乾燥及び乾燥処理時の加熱温
度が低すぎると処理に長時間を要するし、高すぎると得
られるカーペットのバッキング材層と表基材間にフクレ
が生じやすくなる。
【0031】本発明の製造法によると、樹脂水性エマル
ジョンが表基材の繊維間に浸透した状態でバッキング材
成形体の硬化物と強固に一体的に接着した強度が大で、
可撓性(柔軟性)、寸法安定性(耐収縮性)、床面に対
するなじみ性及び施工性等がバランスよく優れたカーペ
ットを効率よく、容易に製造できる。
【0032】すなわち、本発明においてはバッキング材
組成物のシート状成形体と樹脂エマルジョン塗布剤の塗
布された表基材との圧接後の硬化・乾燥を85〜170
℃の高温で行なわせるので、硬化・乾燥時間が短縮さ
れ、生産性が向上するにもかかわらず、成形されるバッ
キング材層の強度低下を起さない。一般に、通常のセメ
ント成形品を高温加熱により硬化・乾燥させるには、加
湿したり、オートクレーブを使用したりする必要があ
る。これは、高温加熱時に含水セメントがドライ・アウ
トして水硬を妨げるのを防止するためである。ところ
が、本発明の方法においては、含水状態のセメントが樹
脂エマルジョン中に包み込まれた状態で加熱されるの
で、硬化・乾燥のための加熱温度が比較的に高くても、
水硬に必要な水が直ちに揮散してしまうことがないとと
もに、適度に皮膜化した樹脂エマルジョン層も水の揮散
を抑制して水を一定時間保持する作用をする。さらに、
比較的高温の硬化・乾燥であるので、水硬に必要な時間
も短縮されることになるから、これらが相まって、比較
的に高温の加熱であっても、含水状態のセメントのドラ
イ・アウトを防止しながら、速やかに水硬反応及び乾燥
を終了して、強度に優れた樹脂含有硬化セメントのバッ
キング材層を短時間に形成できることになる。
【0033】さらに、バッキング材組成物の硬化層は、
その高温加熱によって発生する水蒸気によって無数の気
泡が形成されているので、密度が0.8〜1.2g/c
3と軽く、クッション性に優れ、歩行時の感触性が良
好である。
【0034】なお、その硬化・乾燥温度が85℃未満に
なると、硬化・乾燥に時間がかかり、生産性が低下して
くるし、カーペットのバッキング材層の硬化物が気泡の
少ない、軽量性及び感触性、歩行性等に劣るものとな
る。また、その硬化・乾燥温度が170℃よりも高くな
ると、含水状態のセメントの水分が急速に揮散してしま
って、水硬反応を充分に進行させることができないばか
りでなく、バッキング材層と表面基材層との間にふくれ
が生じやすくなるので、好ましくない。
【0035】さらに、本発明の製造法で得られるカーペ
ットは、現在広く使用されているバッキング材がアスフ
ァルト系のもの、塩化ビニル系のもの、又はアモルファ
スポリプロピレン系のもののように、必ずしも裏基材
(裏基布)を必要としないし、かつ裏基材が使用されて
いないので、打抜加工性に優れているし、生産工程が少
なくて生産性にも優れているし、廃棄のための焼却時に
有毒ガスが発生せず、発熱量も低くて廃棄処理が容易で
ある。
【0036】
【実施例】以下に、実施例及び比較例をあげてさらに詳
述する。これらの例に記載された部及び%は、いずれも
重量基準による。
【0037】実施例1 ポリエステル不織布を一次基布とするポリエステル・ナ
イロンタフテッドカーペツト(坪量1000g/m2
(以下これを「PET/PETタフテッド」という)を
表基材用の基布として使用し、この基布に下記の組成の
表基材用塗布剤を、固形分量が350g/m2 になるよ
うに連続的に塗布し、得られた塗布剤未乾燥のPET/
ナイロンタフテッドを連続的に供給する。
【0038】 表基材用塗布剤: アクロナールYJ−2716D *1 (固形分量で)100部 炭酸カルシウム *2 100部 消泡剤 *3 0.4部 10%トリポリリン酸ソーダ水溶液 10部 水 100部 増粘剤 *4 (剤粘度が4000cpsになる部数) 注)*1・・・ 三菱油化バーディッシェ株式会社商品名、
アクリル酸エステル・スチレン共重合体樹脂の水性エマ
ルジョン、固形分濃度48%、樹脂のTgが24℃ *2・・・ 同和鉱業株式会社商品名 KD−1200 *3・・・ サンノプコ社商品名 サンノプコ8034 *4・・・ 三菱油化バーディッシェ株式会社商品名、ラテ
コールD
【0039】他方、500μmの離型剤処理をしたポリ
エステルフィルム上に、下記の組成のバッキング剤組成
物を攪拌機で凝集物が認められなくなるまで混合したの
ち(約15分)、湿潤厚さ2.0mmにナイフコーター
で連続的に塗布して、バッキング剤組成物シートに成形
し、そのシート上に直ちに、前述の連続的に供給される
塗布剤未乾燥のPET/ナイロンタフテッドを、塗布剤
塗布面を重なる側にして重ね、ロールで圧接したのち、
ポリエステルフィルム側を、表面温度140℃に加熱し
た鉄板上に接触させて15分間加熱し、バッキング剤組
成物シートの硬化・乾燥及び塗布剤の乾燥を行なわせ
た。
【0040】 バッキング剤組成物: アクリル酸ブチル・スチレン共重合体樹脂水性エマルジョン *1 (樹脂固形分で)100部 普通ポルトランドセメント 200部 炭酸カルシウム *2 250部 水 80部 注)*1・・・ 固形分50%、樹脂のTgが−30℃、以
下この樹脂エマルジョンを「樹脂エマルジョン」とい
う。 *2・・・ 同和鉱業株式会社商品名 KD−80
【0041】表1にバッキング材組成物の組成及びその
他の製造条件を摘記した。
【0042】実施例2 実施例1で用いたポリエステルフィルムの代りに、裏基
材としてポリエステルスパンボンド(坪量60g/
2 )を用い、この裏基材上にバッキング材組成物を塗
布する方法を用い、さらにバッキング材組成物用の樹脂
水性エマルジョンとしてアクリルクリル酸ブチル・スチ
レン共重合体樹脂水性エマルジョン(固形分50%、樹
脂のTgが−45℃)(以下、この樹脂エマルジョンを
「樹脂エマルジョン」という)を用い、そのほかは実
施例1の方法に準じてカーペットを製造した。表1にそ
のバッキング材組成物の組成及びその他の製造条件を摘
記した。
【0043】実施例3 台板と該台板の上表面に隣接して回転可能に設けられた
ロールとの間に、離型剤処理をした厚さ500μmのポ
リエステルフィルムと、実施例1の場合と同様の方法で
同様の塗布剤を連続的に塗布して得られるPET/ナイ
ロンタフテッドとを重ねて供給して引取りながら、該ロ
ールの前方における該ポリエステルフィルムと該塗布剤
未乾燥のPET/ナイロンタフテッドとの間に、実施例
1で用いたのと同一のバッキング材組成物を供給し、か
つ該ロールと台板間の間隙を調節することにより、該バ
ッキング材組成物を湿潤厚さが2mmのシート状成形体
に成形すると同時に、その成形されたバッキング材組成
物シート状成形体を前記の塗布剤未乾燥のPET/ナイ
ロンタフテッドと該ロールによって圧接して一体化させ
て連続的に引取り、さらにその成形体をポリエステルフ
ィルム面側から実施例1の場合と同様の方法で140℃
に15分間加熱して、バッキング材組成物シートを硬化
・乾燥させるとともに塗布剤を乾燥させ、バッキング材
組成物裏打ちカーペットを得た。
【0044】表2に、この実施例3で用いたバッキング
材組成物の組成、及びその他の製造条件の要点を摘記し
た。
【0045】実施例4〜12 比較例1〜12 バッキング材組成物及びその他の製造条件を表1〜表6
に記載のように変更し、そのほかは実施例1の方法に準
じてカーペットを製造した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】表1〜表6の注: *1・・・ 同和鉱業株式会社商品名 KD−80 *2・・・ 充填剤配合有の場合は、実施例1の場合と同様
の充填剤を同量配合しているものである。 *3・・・ アクリル酸ブチル・スチレン共重合体樹脂水性
エマルジョン、固形分56%、樹脂のTgが−30℃ *4・・・ ポリエステル不織布を一次基布とするナイロン
タフテッドカーペット、坪量1000g/m2 *5・・・ 三菱油化バーディッシェ株式会社商品名、アク
リル酸エステル・スチレン共重合体樹脂水性エマルジョ
ン、固形分48%、樹脂のTgが24℃ *6・・・ アクリル酸ブチル・スチレン共重合体樹脂水性
エマルジョン、固形分57%、樹脂のTgが−45℃ *7・・・ 三菱油化バーディッシェ株式会社商品名、アク
ロナールYJ−3042Dアクリル酸エステル・スチレ
ン共重合体樹脂水性エマルジョン、固形分50%、樹脂
のTgが3℃ *8・・・ 三菱油化バーディッシェ株式会社商品名、アク
ロナールYJ−1650Dアクリル酸エステル・スチレ
ン共重合体樹脂水性エマルジョン、固形分49%、樹脂
のTgが8℃ *9・・・ アクリル酸ブチル重合体樹脂水性エマルジョ
ン、固形分50%、樹脂のTgが−54℃
【0053】以上の各実施例及び比較例で得られた各カ
ーペットについて物性試験をした結果等は表7及び表8
に示すとおりであった。
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【0056】表7及び表8の注: *1 柔軟度 タイルカーペットの表基材上に直径20mmの筒を置
き、その筒に沿ってカーペツトを180°折り曲げたと
きの状態を目視により調べ、下記の基準によって評価し
た。 ◎・・・全く異常なし ○・・・各層とも異常がないが、曲げ部分が元に戻るの
に若干の時間を要する △・・・曲げ部分にクセが残る ×・・・折れる
【0057】*2 床なじみ性 タイルカーペツト(50×50cm)を丸めて2時間置
いたのち、自然に開放し、厚さ10mmの合板上に置
き、20℃で2時間放置したときの状態を調べ、下記の
基準により評価した。 ◎・・・完全に下地(合板)になじむ ○・・・殆んど完全に下地になじむ △・・・下地から若干浮き上る ×・・・下地から浮き上り、上から押すと音がする
【0058】*3 収縮性 タイルカーペツト(50×50cm)を、50℃、10
0%RHの空気中に7日又は14日放置後、及び20℃
の水中に1日又は3日間浸漬後の各状態を調べ、下記の
基準により評価した。 ◎・・・変化なし ○・・・若干変化(膨潤等) △・・・膨潤やそりがあるが、乾燥すれば元にもどる ×・・・膨潤やそりが著しい
【0059】*4 指触風合い タイルカーペツトの裏面を上にして、合板(厚さ10m
m)の上に置き、2Kg/cm2 で押圧してから放圧し
た後の圧縮変形を調べ、下記の基準により評価した。 H・・・圧縮変形なし(硬い) S・・・圧縮変形あり(柔かい)
【0060】*5 床面への耐ブロッキング性 コンクリート面にカーペットを施工後、50℃で5日
間、15Kg/(50cm×50cm)の荷重で加圧し
たのち、室温に戻すとともに荷重も除いてからカーペッ
トを床面から剥離したときの状態を調べ、下記の基準に
より評価した。 ◎・・・床面にのり残りが全くない ○・・・床面にのり残りが殆どない △・・・床面にのり残りがあまりないが、べたつく ×・・・床面にのり残りがある
【0061】*6 抜糸強度 JIS L−1021−1979(敷物試験方法)のパ
イル糸引抜強さ(Kg/本)により測定した。
【0062】表7及び表8の対比から明らかなように、
各実施例で得られたカーペットは、比較例で得られたカ
ーペットに比べて、柔軟性、耐収縮性、指触風合い、施
工性及び床面への耐ブロッキング性等の諸物性がバラン
スよく優れている。なお、比較例2、比較例4、及び比
較例11で得られたカーペットは諸物性が比較的にバラ
ンスよく優れているが、比較例2、及び比較例11で得
られたカーペットはいずれも抜糸強度が著しく低いし、
比較例4は硬化・乾燥に長時間を要するので、生産性に
劣る。
【0063】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、カーペット用
表基材とバッキング材組成物層(多孔性で軽くて可撓性
及びクッション性を有する水硬セメント硬化物層)が一
体的に結合されたカーペットを効率よく製造でき、得ら
れるカーペットは、可撓性(柔軟性)、寸法安定性(耐
収縮性)、床面へのなじみ性(施工性)、パイル糸引抜
強さ等がバランスよく優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A47G 27/00 E04F 15/00 D06M 15/00 D06M 17/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス転移点−50〜5℃の樹脂の水性
    エマルジョンに該樹脂固形分100重量部に対して水硬
    性無機質セメント粉末120〜400重量部及び非水硬
    性無機質粉末160〜600重量部を含有せしめてなる
    バッキング材組成物の層と、ガラス転移点−10〜30
    ℃の樹脂の水性エマルジョン塗布剤の塗布されたカーペ
    ット用表基材とを、前記のバッキング材組成物の硬化・
    乾燥前でかつ前記の塗布剤の乾燥前に該塗布剤塗布面を
    介して重ねられた構造の積層物を形成せしめ、次いで前
    記の積層物を85〜170℃の温度に加熱して前記のバ
    ッキング材組成物の硬化・乾燥及び塗布剤の乾燥を行な
    わせることを特徴とするカーペットの製造法。
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