JP2663465B2 - 感光体 - Google Patents

感光体

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JP2663465B2
JP2663465B2 JP62298514A JP29851487A JP2663465B2 JP 2663465 B2 JP2663465 B2 JP 2663465B2 JP 62298514 A JP62298514 A JP 62298514A JP 29851487 A JP29851487 A JP 29851487A JP 2663465 B2 JP2663465 B2 JP 2663465B2
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    • G03G5/00Recording members for original recording by exposure, e.g. to light, to heat, to electrons; Manufacture thereof; Selection of materials therefor
    • G03G5/02Charge-receiving layers
    • G03G5/04Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor
    • G03G5/06Photoconductive layers; Charge-generation layers or charge-transporting layers; Additives therefor; Binders therefor characterised by the photoconductive material being organic
    • G03G5/0664Dyes
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はチタニルフタロシアニン電荷発生層を有する
感光体に関する。 従来の技術 一般に電子写真においては、感光体の感光層表面に帯
電、露光を行なって静電潜像を形成し、これを現像剤で
現像して可視化させ、その可視像をそのまま直接感光体
上に定着させて複写像を得る直接方式、また感光体上の
可視像を紙などの転写材上に転写し、その転写像を定着
させて複写像を得る粉像転写方式あるいは感光体上の静
電潜像を転写紙上に転写し、転写紙上の静電潜像を現
像、定着する潜像転写方式等が知られている。 この種の電子写真法に使用される感光体の感光層を構
成する材料として、従来よりセレン、硫化カドミウム、
酸化亜鉛等の無機光導電性材料が知られている。これら
の光導電性材料は数多くの利点、例えば暗所で電荷の逸
散が少ないこと、あるいは光照射によって速やかに電荷
を逸散できることなどの利点を持っている反面、各種の
欠点を持っている。例えば、セレン系感光体では、製造
する条件が難しく、製造コストが高く、また熱や機械的
な衝撃に弱いため取り扱いに注意を要する。硫化カドミ
ウム系感光体や酸化亜鉛感光体では、多湿の環境下で安
定した感度が得られない点や、増感剤として添加した色
素がコロナ帯電による帯電劣化や露光による光退色を生
じるため、長期に渡って安定した特性を与えることがで
きないという欠点を有している。 一方、ポリビニルカルバゾールをはじめとする各種の
有機光導電性ポリマーが提案されてきたが、これらのポ
リマーは、前述の無機系光導電材料に比べ、成膜性、軽
量性などの点で優れているが、未だ充分な感度、耐久性
および環境変化による安定性の点で無機系光導電材料に
比べ劣っている。 近年、電荷の発生と輸送という機能を分離した積層型
感光体が提案され、有機系光導電性材料を使用した従来
の感光体の欠点が大幅に改良された結果、有機感光体が
実用化され、急速な進歩を遂げつつある。 積層型感光体は金属アルミニウム、銅等の導電性基板
上に電荷発生層と電荷輸送層を順次積層した構成を有す
る。 これらの積層型感光体は、電荷保持性、高感度、繰り
返し安定性、耐絶縁破壊性、耐摩耗性、耐久性、耐湿
性、転写性、クリーニング性、保存安定性などの基本的
な条件を満足することが要求される。 さらに、積層型感光体は発光波長780nm付近を光源と
したレーザープリンタ用としても使用され、反転現像時
での高い画像信頼性、繰り返し安定性が要求されるよう
になった。 このような積層型感光体の電荷発生層に使用される有
機系光導電材料の1つとしてフタロシアニン系顔料が知
られている。 しかし、フタロシアニン系顔料は長波長域での光感度
に劣るため、例えば発光波長780nm付近の長波長光を光
源とするルーザープリンタ用の感光体への適用には不適
であり、感度が悪く、画像カブリが生じたりする。 フタロシアニンの光感度域を長波長域に持たせ感度特
性の改善を図る技術が、例えば特開昭59−166959号公報
に記載されている。 上記技術は、チタニルフタロシアニンを蒸着し、次い
で、可溶性溶剤の蒸気に接触させて得られるチタニルフ
タロシアニン膜であり、かつある特定の赤外吸収スペク
トルおよびX線回折スペクトルを呈する結晶構造をした
チタニルフタロシアニン膜を電荷発生層に使用すると75
0nm以上の長波長域においても、優れた光感度を有する
感光体が得られると開示している。 本願が開示しようとするチタニルフタロシアニン蒸着
膜はその結晶構造が上記技術に開示されるチタニルフタ
ロシアニン膜の結晶構造とはX線回折的に全く異なる構
造で構成されている。 発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、積層型感光体に要求される電荷保持
性、高感度、繰り返し安定性、耐絶縁破壊性、耐摩耗
性、耐久性、耐湿性、転写性、クリーニング性、保存安
定性等の良好な基本的特性を有するフタロシアニン感光
層から構成される積層型感光体を提供することにある。 特に本発明の目的はフタロシアニンの長波長域の光に
対する感度の低さを解決し、780nmの長波長レーザー光
を使用するレーザープリンター等への感光体として使用
しても良好な感度を有しかつ画像カブリ等が発生しない
フタロシアニン感光層を提供することを目的とする。 問題点を解決するための手段 本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重
ねた結果、X線回折的にある特定の結晶構造を有するチ
タニルフタロシアニン膜が、長波長域に今までにない高
感度を有することを見出し、本発明を完成するに至っ
た。 すなわち、本発明は導電性基板上に少なくとも電荷発
生層と電荷輸送層とを有する感光体において、該電荷発
生層が、ブラック角(2θ)5〜30゜の範囲におけるX
線回折測定において、少なくともブラック角(2θ)7.
3゜に最大強度の回折ピークを有し、さらに22.9゜およ
び27.4゜の位置に小さなX線回折ピークを示す結晶構造
をしたチタニルフタロシアニン蒸着膜であることを特徴
とする感光体に関する。 本発明感光体は少なくとも電荷発生層と電荷輸送層よ
りなる。 本発明感光体の電荷発生層はX線回折的に表わして、
ブラッグ角(2θ)7.3゜、22.9゜および27.4゜の位置
に回折ピークを呈する結晶構造をしている蒸着膜よりな
り、係る膜を電荷発生層に使用した感光体は、650〜850
nmの光に良好な感度を有し、従来低感度であり、実用に
供し得なかった700〜800nmの長波長域まで高感度である
ことは驚くべきことであり、例えば780nmのレーザー光
を使用するレーザープリンタ等へも有効に利用できる。 本発明においてブラッグ角は、薄膜X線回折法によっ
て測定したX線回折スペクトルに基づいて得られた数字
を示してある。さらに具体的には、ブラッグ角はアルミ
基板上に蒸着したチタニルフタロシアニンを薄膜X線回
折装置;TFDシステム(理学電機(株)製)により測定し
て得られた値である。 第1図に、上記方法によりブラッグ角5゜から30゜の
範囲で測定されたチタニルフタロシアニン蒸着膜のX線
回折スペクトル図の1例を示す。本発明のチタニルフタ
ロシアニン蒸着膜のX線回折スペクトルは、7.3゜、22.
9゜および27.4゜の3つのピークによって特徴付けら
れ、そのベースラインは小角側になる程上昇し、平滑な
ものとしては得らない。 上記ブラッグ角の内、22.9゜、27.4゜は、本発明フタ
ロシアニン蒸着膜に特に特徴的である。また、上記X線
回折スペクトル図において21.9゜、22.3゜、24.1゜のピ
ークはAl基板によるピークである。 本発明のチタニルフタロシアニン蒸着膜を特徴付ける
別の特性としては、イオン化ポテンシャルを挙げること
ができる。 本発明の目的達成のためにはチタニルフタロシアニン
蒸着膜がイオン化ポテンシャルとして4.9〜5.5eV、好ま
しくは5.0〜5.4eV、より好ましくは5.1〜5.3eVを示すも
のが望ましい。 イオン化ポテンシャルが4.9eVより小さい場合は、ベ
ースとの注入障壁が確保されにくくなるため必ずしも好
適な帯電能が保証されるとは限らなくなり、5.5eVより
大きいときはキャリアの発生効率が低下することから、
必ずしも好適な感度が保証されるとは限らなくなる。 イオン化ポテンシャルは、公知の手段例えば表面分析
装置(理研計器(株)製;AC−1)を使用し測定するこ
とができる。 本発明のチタニルフタロシアニン蒸着膜を特徴付ける
さらに別の特性としては、量子収率を挙げることができ
る。 本発明の目的達成のためにはチタニルフタロシアニン
蒸着膜が量子収率として0.07〜0.35、好ましくは0.09〜
0.3、より好ましくは0.1〜0.25を示すものが望ましい。 量子収率が0.07より小さい場合は光励起キャリア数の
減少により低感度化し、0.35より大きい場合は一般に熱
励起キャリアの発生に伴う帯電能並びに電荷保持能の低
下を招く。 なお、量子収率は公知の方法で測定することができる
が、例えばアール・エム・シャファート著、井上英一監
訳、「電子写真」、第196頁ないし第198頁、共立出版
(1973年)を参考にすることができる。 本発明のチタニルフタロシアニン蒸着膜は、厚さ50Å
〜1μm、好ましくは100Å〜5000Å、最も好ましくは3
00Å〜1000Åに形成する。膜厚が50Åより薄いと、電荷
発生層における光吸収量が低下するため光励起キャリア
数が減り、感度低下を招く。膜厚が1μmより厚い場合
には、電荷発生層中での熱励起キャリアの影響が無視で
きなくなり、帯電能の低下を招く。また、電荷発生層中
での電荷輸送効率の低下も発生しやすくなり、必ずしも
好適な感度が保証されなくなる。 蒸着方法としては、抵抗加熱蒸着法、クラスター蒸着
法、イオンプレーティング法、クラスターイオン蒸着
法、スパッタ法等が有用である。 電荷輸送層は、それ自体公知の電荷輸送物質を適当な
樹脂に分散させた樹脂分散型膜等を3〜30μm、好まし
くは5〜25μmの厚さに形成すればよく、膜厚が30μm
より厚いと電荷輸送層の正孔の移動度に起因する感度低
下が引き起こされ、また繰り返し安定性が悪くなる。 電荷輸送層中に使用する電荷輸送物質としてはヒドラ
ゾン化合物、ピラゾリン化合物、スチリル化合物、トリ
フェニルメタン化合物、オキサゾール、オキサジアゾー
ル化合物、カルバゾール化合物、スチルベン化合物、エ
ナミン化合物、オキサゾール化合物、トリフェニルアミ
ン化合物、テトラフェニルベンジジン化合物、アジン化
合物等色々なものを使用することができるが、例えばカ
ルバゾール、N−エチルカルバゾール、N−ビニルカル
バゾール、N−フェニルカルバゾール、テトラセン、ク
リセン、ピレン、ペリレン、2−フェニルナフタレン、
アザピレン、2,3−ベンゾクリセン、3,4−ベンゾピレ
ン、フルオレン、1,2−ベンゾフルオレン、4−(2−
フルオレニルアゾ)レゾルシノール、2−p−アニソー
ルアミノフルオレン、p−ジエチルアミノアゾベンゼ
ン、カジオン、N,N−ジメチル−p−フェニルアゾアニ
リン、p−(ジメチルアミノ)スチルベン、1,4−ビス
(2−メチルスチリル)ベンゼン、9−(4−ジエチル
アミノスチリル)アントラセン、2,5−ビス(4−ジエ
チルアミノフェニル)−1,3,5−オキサジアゾール、1
−フェニル−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5
−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−フ
ェニル−3−フェニル−5−ピラゾロン、2−(m−ナ
フチル)−3−フェニルオキサゾール、2−(p−ジエ
チルアミノスチリル)−6−ジエチルアミノベンズオキ
サゾール、2−(p−ジエチルアミノスチリル)−6−
ジエチルアミノベンゾチアゾール、ビス(4−ジエチル
アミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、1,1−
ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−2−エチルフェニ
ル)ヘプタン、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチ
リデン−10−エチルフェノキサジン、N,N−ジフェニル
ヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノチアジ
ン、1,1,2,2,テトラキス−(4−N,N−ジエチルアミノ
−2−エチルフェニル)エタン、p−ジエチルアミノベ
ンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジ
フェニルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒ
ドラゾン、N−エチルカルバゾール−N−メチル−N−
フェニルヒドラゾン、p−ジエチルアミノベンズアルデ
ヒド−N−α−ナフチル−N−フェニルヒドラゾン、p
−ジエチルアミノベンズアルデヒド−3−メチルベンズ
チアゾリノン−2−ヒドラゾン、2−メチル−4−N,N
−ジフェニルアミノ−β−フェニルスチルベン、α−フ
ェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチルベン、さら
に下記一般式[I]で示されるスチリル化合物; [式中Ar1、Ar2、Ar3、Ar4は置換基を有してよいアリー
ル基を示す。nは0又は1を示す。]または下記一般式
[II]で示されるヒドラゾン化合物; [式中、XおよびYはそれぞれ独立して、水素、低級ア
ルキル基、メトキシ基、またはエトキシ基Zは低級アル
キル基、ベンジル基、低級アルコキシ基、フエノキシ基
またはベンジルオキシ基、Z′は水素、アルキル基また
はアルコキシ基、Rは低級アルキル基、置換基を有して
もよいアリール基、またはベンジル基を示す。] 等を挙げることができる。これらの電荷輸送物質は単独
または2種以上混合して用いられる。 上記電荷輸送物質の中では、一般式[I]で示される
スチリル化合物および一般式[II]で示されるヒドラゾ
ン化合物が好ましく、特に一般式[I]で示されるスチ
リル化合物が好ましい。 一般式[I]で示されるスチリル化合物の具体例とし
ては以下の化合物; が挙げられ、[3]、[4]、[5]、[7]、
[8]、[9]で表わされる化合物が好ましい。 一般式[II]で示されるヒドラゾン化合物の具体例と
しては以下の化合物が挙げられる; 電荷輸送層に使用する樹脂(以下バインダー樹脂とい
う)としては飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、
アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン
架橋オレフイン共重合体(アイオノマー)、スチレン−
ブタジエンブロック共重合体、ポリアクリレート、ポリ
カーボネート、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セル
ロースエステル、ポリイミド、スチロール樹脂等の熱可
塑性結着剤;エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン
樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、
アルキッド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等の熱硬化結着
剤;光硬化性樹脂;ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポ
リビニルピレン、ポリビニルアントラセン等の光導電性
樹脂等を使用することができる。 電荷輸送層は、上記した電荷輸送物質をメタノール、
エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、ア
セトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどの
ケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドな
どのスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエー
テル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、ク
ロロホルム、塩化メチレン、ジクロルエチレン、四塩化
炭素、トリクロルエチレンなどの脂肪族ハロゲン化炭化
水素類あるいはベンゼン、トルエン、キシレン、リグロ
イン、モノクロルベンゼン、シクロルベンゼンなどの芳
香族類などの有機溶剤に結着剤樹脂と共に分散あるいは
溶解させて調製された感光塗液を導電性支持体上に塗
布、乾燥させて形成することができる。塗布方法として
は、公知の方法、例えば浸漬コーティング法、スプレー
コーティング法、スピナーコーティング法、ブレードコ
ーティング法、ローラーコーティング法、ワイヤーバー
コーティング法等を採ることができる。 ここで、電荷輸送層中の電荷輸送物質とバインダー樹
脂の混合比率はバインダー樹脂1重量部に対し、0.02〜
2重量部、好ましくは0.03〜1.3重量部とするのが好適
である。電荷輸送物質の混合比が0.02重量部より少ない
場合には、好適な輸送性が確保されず感度低下を招く。
2重量部より多い場合には、電荷輸送物質の結晶析出に
基く、耐刷安定性の低下を招く。 本発明感光体は、さらに最表面に炭化水素化合物をプ
ラズマで重合した非晶質炭素膜(以下、a−C膜と略
す)を表面保護層として設けてもよい。表面保護層とし
てのa−C膜は例えば、気相状態の分子を減圧下で放電
分解し、発生したプラズマ雰囲気中に含まれる活性中性
種あるいは荷電種を基板上に拡散、電気力、あるいは磁
気力等により誘導し、基板上での再結合反応により固相
として堆積させる、所謂プラズマ重合反応から生成させ
てもよく、100Å〜3μm、好ましくは500Å〜1μm、
より好ましくは1000Å〜5000Åの厚さに設ける。膜厚が
100Åより薄いと好適な表面硬度並びに耐久性を得るこ
とができず、膜厚が3μmより厚いと入射光を下部層ま
で必ずしも好適に導入できなくなる。 a−C膜形成に使用する炭化水素の相状態は常温常圧
において必ずしも気相である必要は無く、加熱或は減圧
等により溶融、蒸発、昇華等を経て気化し得るものであ
れば、液相でも固相でも使用可能である。該炭化水素と
しては、例えば、飽和炭化水素、不飽和炭化水素、脂環
式炭化水素、芳香族炭化水素、等が用いられる。 使用可能な炭化水素には種類が多いが、飽和炭化水素
としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタ
ン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソブ
タン、イソペンタン、ネオペンタン、イソヘキサン、ネ
オヘキサン、ジメチルブタン、メチルヘキサン、エチル
ペンタン、ジメチルペンタン、トリブタン、メチルヘプ
タン、ジメチルヘキサン、トリメチルペンタン、イソナ
ノン、等が用いられる。不飽和炭化水素としては、例え
ば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブテン、ペ
ンテン、メチルブテン、ヘキセン、テトラメチルエチレ
ン、ヘプテン、オクテン、アレン、メチルアレン、ブタ
ジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、シクロペンタジ
エン、オシメン、アロシメン、ミルセン、ヘキサトリエ
ン、アセチレン、ジアセチレン、メチルアセチレン、ブ
チン、ペンチン、ヘキシン、ヘプチン、オクチン等が用
いられる。脂環式炭化水素としては、例えば、シクロプ
ロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサ
ン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロプロペ
ン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、
シクロヘプテン、シクロオクテン、リモネン、テルビノ
レン、フェランドレン、シルベストレン、ツエン、カレ
ン、ピネン、ボルニレン、カンフェン、フェンチェン、
シクロフェンチェン、トリシクレン、ビサボレン、ジン
ギベレン、クルクメン、フムレン、カジネンセスキベニ
ヘン、セリネン、カリオフィレン、サンタレン、セドレ
ン、カンホレン、フィロクラデン、ボドカルプレン、ミ
レン等が用いられる。芳香族炭化水素としては、例え
ば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘミメリテン、プ
ソイドクメン、メシチレン、プレニテン、イソジュレ
ン、ジュレン、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベ
ンゼン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、
スチレン、ビフェニル、テルフェニル、ジフェニルメタ
ン、トリフェニルメタン、ジベンジル、スチルベン、イ
ンデン、ナフタリン、テトラリン、アントラセン、フェ
ナントレン等が単独であるいは混合して用いられる。 本発明におけるa−C膜中に含有される水素原子の量
は、用いる原料ガス、製造装置、成膜条件、並びにグロ
ー放電法という製法から必然的に定まるが、その量は炭
素原子と水素原子の総量に対して概ね10〜60atomic%
(以下atm.%と略す)である。 表面保護層としてのa−C膜中には炭素、水素以外の
ヘテロ原子、例えばフッ素、塩素、臭素あるいはヨウ素
等のハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、導電性支配物
質としての周期律表第III族元素(B、Al、Ga、In、
等)、周期律表第V族元素(P、As、Sb等)を含有させ
てもよい。 ハロゲン原子の導入は、特にa−C電荷輸送層を最表
面に設ける構成の感光体に有効で、表面の滑り性を良く
し、複写機内での接触部材に対する耐摩耗性を向上する
ことができる。 酸素原子または窒素原子の導入は、本発明の電荷輸送
層とa−C表面保護層との接着性をより向上させるのに
有効である。 III族、あるいはV族元素は、感光体を+帯電で使用
するときは、相対的に表面側をN型にし、−帯電で用い
るときは相対的に表面側をP型になるように導入する。
そうすることにより、逆バイアス効果をもたせることが
でき、帯電能の向上、暗減衰の低減および感度の向上等
が達成される。 これらのヘテロ原子は複数用いてもよいし、目的によ
り表面保護層内で特定の位置だけに混入してもよいし、
濃度分布等を有してもよい。 第2図から第13図は本発明感光体の一態様を示す模式
的断面図である。図中(1)は基板、(2)は電荷輸送
層、(3)はチタニルフタロシアニンからなる電荷発生
層を示している。第2図に示す態様の感光体において、
例えば+帯電し続いて画像露光すると、電荷発生層
(3)でチャージキャリアが発生し電子は表面電荷を中
和する。一方、正孔は電荷輸送層(2)の優れた電荷輸
送性に保証されて基板(1)側へ輸送される。第2図の
感光体を−帯電で用いるときは、上記と反対に電荷輸送
層(2)中を電子が輸送される。 第3図の感光体は電荷輸送層(2)を最上層として用
いた例で、+帯電で用いるときは、電荷輸送層(2)中
を電子が、−帯電で用いるときは電荷輸送層(2)中を
正孔が輸送される。 第4図に示す感光体は、電荷輸送層(2)を電荷発生
層(2)の上下に用いた例で、+帯電で使用する時は、
上層の電荷輸送層(2)中を電子が、下層の電荷輸送層
(2)中を正孔が輸送され、−帯電で用いるときは、上
層の電荷輸送層(2)中を正孔が、下層の電荷輸送層
(2)中を電子が輸送される。 第5〜7図に示す感光体は、第1図から第3図におい
て示した感光体においてさらにオーバーコート層(4)
として厚さ0.01〜3μmのa−C表面保護層を設けた例
で、感光体が使用されるシステムおよび環境に応じて電
荷発生層(3)あるいは電荷輸送層(2)の保護と初期
表面電位の向上を図ったものである。本発明感光体は耐
久性の面から表面保護膜を設けてもよく、表面保護層は
公知の物質を用いることができる。特に本発明において
は耐久性の面からa−C膜を用いることが最適である。
a−C膜を保護層(4)として使用する場合には必要に
より前述のごとくヘテロ原子を混入してもよく、該ヘテ
ロ原子は表面保護層中で分布を持ってもよい。例えば酸
素原子を表面保護層の下部に多く分布させ、接着性を向
上させ、上部にフッ素原子を多く分布させ、滑り性をよ
くすることができる。第8〜10図に示す感光体は、第2
図から第4図において示した感光体においてさらにアン
ダーコート層(5)として厚さ0.01〜5μmの接着層あ
るいは障壁層を設けた例で、用いる基板(1)またはそ
の処理方法に応じて接着性または注入防止効果を図った
ものである。 アンダーコート層は有機、無機いずれの材料で構成し
てもよく、a−C膜を適用してもよい。 アンダーコート層に用いられる有機材料としては、ポ
リイミド、ポリアミド、ニトロセルロース、ポリビニル
ブチラール、ポリビニルアルコール等が適当で、また膜
厚は1μm以下が望ましい。 アンダーコート層に用いられる無機材料としては、Al
2O3、CaO、CeO、CeO2、CdO、CoO、Cr2O3、CuO、Cu2O、F
e2O3、In2O3、MgO、MnO2、MoO3、NiO、PbO、SiO、Si
O2、SnO2、Ta2O5、TiO、TiO2、Ti2O3、WO3、Y2O3、Zn
O、ZrO2等の酸化物やZnS、CdS、PbS等の硫化物の他にCd
Se、CdTe、ZnSe等の合金、MgF2、CaF2等のフッ化物、Si
C等を用いることができる。 アンダーコート層として用いる無機物薄膜の作製手法
としては、一般的な手法、例えば抵抗加熱、電子ビーム
加熱等による真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプ
レーティング法いずれでもよく、また特殊な場合にはプ
ラズマCVD法も適用することができる。 a−C膜をアンダーコート層として用いる場合は、さ
らにヘテロ原子を混入してもよく、該アンダーコート層
中で分布をもたせてもよい。 更に、第8〜第10図の感光体には、第5〜第7図で示
したオーバーコート層を設けてもよい(第11図〜第13
図)。 本発明感光体は少なくとも電荷発生層と電荷輸送層と
を有する。従ってこれを製造するには少なくとも二工程
を必要とする。 チタニルフタロシアニン蒸着膜を形成する装置として
抵抗加熱法によるものを第14図に示した。 第14図に示した抵抗加熱法による蒸着装置を使用する
場合、本発明のチタニルフタロシアニン蒸着膜は、例え
ば次の手順で形成される。 まず、所定の量のチタニルフタロシアニンを入れたボ
ート(14)を電極(16)に、導電性円筒基板(13)を基
板回転モーター(19)により回転可能なシャフト(12)
にそれぞれ取り付ける。真空槽(11)内を排気ポンプ
(15)により減圧する。次に電極(16)を通じてボート
(14)に電流を流し、ボート(14)を抵抗加熱の手段で
所定の温度まで加熱する。減圧下に加熱されたボート
(14)中のチタニルフタロシアニンは蒸発し、円筒基板
(13)上に凝着する。基板(13)上への蒸発量はシャッ
ター回転治具(17)によりシャッター(18)を開閉する
ことによって調節することができる。 蒸着時の減圧度、ボート温度、蒸着時間、ボートへの
チタニルフタロシアニンの装填量等は、所望する電荷発
生層の膜厚等に適合させ、適宜設定すればよい。 具体的には、真空度;10-4〜10-6Torr、ボート温度;35
0〜550℃、基板温度;常温〜100℃の条件下で行なわれ
る。特に、真空槽内に水素、酸素、窒素、アルゴン、ヘ
リウム等のガスが存在し、また真空度が2×10-4Torr程
度と低い場合でも、良好なチタニルフタロシアニン蒸着
膜が得られるため、生産上の許容幅が大きい。 チタニルフタロシアニン蒸着膜をクラスター蒸着法で
作製する場合は、第14図に示した抵抗加熱蒸着装置中の
ボート(14)に代え、例えば第15図に示したクラスター
るつぼ(22)を使用すればよい。 クラスターるつぼ(22)内に装入されたチタニルフタ
ロシアニン(24)はコイル状にまかれた加熱ヒーター線
(23)により加熱可能で該チタニルフタロシアニン蒸着
源温度は、るつぼ内に装着した熱電対(図示せず)によ
り測定可能である。 クラスター核形成量、およびクラスター核成長領域
(21)は、るつぼに設けられた小孔(オリフィス)の直
径と深さとの比で表わされるアスペクト比、加熱温度、
真空槽内の真空度、ノズル(25)の直径、および厚みに
より調整可能である。 具体的には、クラスター蒸着法は、るつぼのアスペク
ト比;1以上、るつぼ内の蒸発源温度;300〜500℃、真空
槽内減圧度10-4〜10-6Torrの条件下で行うことが好まし
い。 さらに、大面積蒸着を行ないたい時は、るつぼを複数
個並べて蒸着を行なえばよい。上記クラスターるつぼ
は、例えば応用物理、第55巻、第8号、第743頁(1986
年)、第2図に記載のるつぼ等を参考にすることができ
る。 また、チタニルフタロシアニン蒸着膜はクラスターイ
オンビーム蒸着法によっても設けることができ、かかる
装置としては例えば、応用物理、第55巻、第8号、第75
1頁(1986年)、第10図に記載の如き装置(図示せず)
を用いることができる。 クラスターイオンビーム蒸着は、具体的にはイオン加
速電極電圧:10〜500V;イオン化用電子電流:10〜30mA;イ
オン化電子引き出しグリッド電圧:50〜100V程度の条件
下で行なうことが好ましい。 本発明チタニルフタロシアニン膜は、さらなるX線回
折ピークを有してもよい。例えば、クラスター蒸着法に
おいては、蒸着条件により更に26.1゜にX線回折ピーク
を有するが、少なくとも7.3゜、22.9゜及び27.4゜にピ
ークを有する事が、本発明においては重要である。 電荷輸送層は前述の如き各種コーティング法によれば
よい 第16図および第17図に、本発明感光体に更にa−C表
面保護膜を設ける場合のa−C膜製造装置で容量結合型
プラズマCVD装置を示す。第16図は平行平板型プラズマC
VD装置、第17図は円筒型プラズマCVD装置を示す。 まず、第16図を用いて説明する。 第16図中、(701)〜(706)は常温において気相状態
にある原料化合物及びキャリアガスを密封した第1乃至
第6タンクで、各々のタンクは第1乃至第6調節弁(70
7)〜(712)と第1乃至第6流量制御器(713)〜(71
8)に接続されている。 図中、(719)〜(721)は常温において液相または固
相状態にある原料化合物を封入した第1乃至第3容器
で、各々の容器は気化のため第1乃至第3加熱器(72
2)〜(724)により与熱可能であり、さらに各々の容器
は第7乃至第9調節弁(725)〜(727)と第7乃至第9
流量制御器(728)〜(730)に接続されている。 これらのガスは混合器(731)で混合された後、主管
(732)を介して反応室(733)に送り込まれる。 途中の配管は、常温において液相または固相状態にあ
った原料化合物が気化したガスが、途中で凝結しないよ
うに、適宜配置された配管加熱器(734)により、与熱
可能とされている。 反応室内には接地電極(735)と電力印加電極(736)
が対向して設置され、各々の電極は電極加熱器(737)
により与熱可能とされている。 電力印加電極には、高周波電力用整合器(738)を介
して高周波電源(739)、低周波電力用整合機(740)を
介して低周波電源(741)、ローパスフィルタ(742)を
介して直流電源(743)が接続されており、接続選択ス
イッチ(744)により周波数の異なる電力が印加可能と
されている。 反応室内の圧力は圧力制御弁(745)により調整可能
であり、反応室内の減圧は排気系選択弁(746)を介し
て、拡散ポンプ(747)、油回転ポンプ(748)、或いは
冷却除外装置(749)、メカニカルブースターポンプ(7
50)、油回転ポンプにより行われる。 排ガスについては、さらに適当な除外装置(753)に
より安全無害化した後、大気中に排気される。 これら排気系配管についても、常温において液相また
は固相状態にあった原料化合物が気化したガスが、途中
で凝結しないように、適宜配置された配管加熱器によ
り、与熱可能とされている。 反応室も同様の理由から反応室加熱器(751)により
与熱可能とされ、内部に配された電極上に導電性基板
(752)が設置される。 第16図において基板(752)は接地電極(735)に固定
して配されているが、電力印加電極(736)に固定して
配されてもよく、更に双方に配されていてもよい。 第17図に示した装置も基本的には第16図に示した装置
と同様であり、反応室(733)内の形態が基板(752)が
円筒形であることに応じて、変更されているものであ
る。基板は接地電極(735)を兼ね、電力印加電極(73
6)及び電極加熱器(737)共に円筒形態をなしている。 以上の構成において、反応室は、拡散ポンプ(747)
により予め10-4乃至10-6Torr程度にまで減圧し、真空度
の確認と装置内部に吸着したガスの脱着を行う。 同時に電極加熱器(737)により、電極(736)並びに
電極に固定して配された基板(752)を所定の温度まで
昇温する。 次いで、第1乃至第6タンク(701)〜(706)及び第
1乃至第3容器(719)〜(721)から原料ガスを第1乃
至第9流量制御器(713)〜(718)、(728)〜(730)
を用いて定流量化しながら反応室(733)に導入し、圧
力調節弁により反応室(733)内を一定の減圧状態に保
つ。 ガス流量が安定化した後、接続選択スイッチ(744)
により、たとえば高周波電源(739)を選択し、電力印
加電極(736)に高周波電力を投入する。 両電極間には放電が開始され、時間と共に基板(75
2)上に固相のa−C膜が形成される。 本発明においてa−C膜中に含まれる水素原子の量
は、成膜装置の形態並びに成膜時の条件により変化し、
水素量が低くなる場合としては、例えば、基板温度を高
くする、圧力を低くする、原料炭化水素ガスの希釈率を
低くする、水素含有率の低い原料ガスを用いる、印加電
力を高くする、交番電界の周波数を低くする、交番電界
に重畳せしめた直流電界強度を高くする、等の場合が挙
げられる。 ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、周期律表第III
族元素あるいは周期律表第V族元素等のヘテロ原子をa
−C膜に混入させるには、これらの元素を含む適当なガ
ス状化合物を炭化水素ガスと共に、プラズマ状態にして
成膜すればよい。 少なくともハロゲン原子を含む分子としては、例え
ば、F2、HF、HCl、CF4、CCl4、C3F8、C3F6、CF2CH2、CF
HCFH等を用いることができる。 酸素原子および窒素原子の少なくともいずれか一方を
含む分子としては、例えば、O2、H2O、N2、NH3、N2O、N
O、CO、CO2、NH2NH2、CH3OH、CH3COCH3、CH3OCH3、HCOO
H、HCHO、CH3NH2、(CH33N、等を用いることができ
る。これらの分子は複数用いてもよい。 少なくとも周期律表第III族元素を含む分子として
は、例えば、B2H6、BCl3、BBr3、BF3、B(OC2H5
AlCl3、Al(CH3、Al(Oi−C3H7、Ga(C
2H5、In(C2H5等を用いることができる。 少なくとも周期律表第V族元素を含む分子としては、
例えば、PH3、PF3、PF5、PCl2F、PCl2F3、PCl3、PBr3
PO(OCH3、P(C2H5、POCl3、AsH3、AsCl3、As
Br3、AsF3、AsF5、AsCl3、SbH3、SbF3、SbCl3、Sb(OC2
H5等を用いることができる。 a−C膜中に含まれる上記ヘテロ原子の量は、プラズ
マCVD反応に用いるヘテロ原子を含む分子の量を増減す
ることにより調整することができる。a−C膜に含まれ
るヘテロ原子の量をa−C膜の深さ方向に対して不均一
に分布させるには、プラズマCVD反応中にヘテロ原子を
含む分子の量を増減することにより調整すればよい。こ
こで、ヘテロ原子の添加は0.1atm.%以上で効果が現わ
れる。上限は特に制限はなく、使用する原料と、グロー
放電法という製法により必然的に定まる。 特に、a−C膜形成により該a−C膜より先に形成さ
れた電荷発生層、電荷輸送層あるいはアンダコート層の
各層の機能を害し、感光体特性の低下を招くおそれがあ
る場合には、グロー放電を真空度;0.05〜5Torr、放電周
波数;10KHz〜30MHz、印加電力;10〜1KW、基板温度;100
℃以下の条件下で行なうことが好ましい。 a−C膜の堆積速度を速くしたいときは、原料ガスと
してブタジエン、プロピレンを使用し、0.1〜3Torrの真
空度、10KHz〜1MHzの周波数、30〜300Wの印加電力の条
件下でグロー放電を行なうことが好ましい。 なお、本発明においてチタニルフタロシアニン蒸着膜
を形成する前に、基板のボンバード処理が必要とされる
ような感光体の製造においては、第14図において説明し
た抵抗加熱蒸着装置と平行平板型プラズマ装置(第16
図)又は円筒形プラズマCVD装置(第17図)とを適当な
手段で組み合わせた装置とすることにより、電荷発生層
形成とボンバード処理の両工程を連続的に行うこともで
きる。 係る手段としては、例えば抵抗加熱蒸着装置とプラズ
マCVD装置とをゲートバルブを介して接続する手段、あ
るいは基板の装脱着のための予備室を介して接続する手
段等を挙げることができる。さらに本発明の感光体を効
率よく連続生産するために、基板の移動を適当な搬送装
置に行なわせることも可能である。 以下実施例を挙げて本発明を説明する。実施例中
「部」は特にことわらない限り「重量部」を表わすもの
とする。 なお、実施例において使用するアルミニウム基板は、
洗浄及びイオンボンバード処理することが帯電能の面か
ら好ましく、本実施例においては、すべてのアルミニウ
ム基板をアセトンで洗浄した後、以下のごとく水素イオ
ンボンバード処理を施してある。 (水素イオンボンバード処理) 第17図に示すグロー放電分解装置において、まず、反
応室(733)の内部を10-6Torr程度の高真空にした後、
第1調整弁(707)を開放し、第1タンク(701)よりH2
ガスを出力圧ゲージ1Kg/cm2の下でマスフローコントロ
ーラ(713)内へ流入させた。そして、カスフローコン
トローラの目盛を調整して、H2の流量を300sccm、とな
るように設定して反応室(733)内へ流入した。流量が
安定した後に、反応室(733)の内圧が0.2Torrとなるよ
うに調整した。一方、導電性基板(752)としては、直
径60mm×長さ280mmの円筒型アルミニウム板を電極間距
離10cmに設定して、50℃に予じめ加熱しておき、ガス流
量が安定し、内圧が安定した状態で直流電流(743)を
投入して+60Vのバイアス電圧および高周波電源(739)
を投入し電力印加電極(736)に42wattsの電力(周波数
13.56MHz)を印加して水素プラズマを発生させ、約5分
間アルミニウム基板表面の水素イオンボンバード処理を
行なった。イオンボンバード処理は、H2ガスに代えO2
スでも可能である。 実施例 感光体の構成 導電性円筒形アルミニウム基板(直径60mm×長さ280m
m)上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した感光体
(第3図に示した構成)、さらにオーバーコート層を積
層した感光体(第5図に示した構成)を作製した。 電荷発生層 電荷発生層としては、下記のごとく作製する電荷発生
層G1または電荷発生層G2を適宜選定して設けた。 (電荷発生層G1の作製) 電荷発生層G1は第15図に示したクラスター蒸着装置を
使用し、1×10-5Torr以下にまで排気した真空槽内でク
ラスターるつぼ(22)に装填したチタニルフタロシアニ
ンを蒸発源温度400℃となるように加熱用ヒーター線で
加熱し、基板温度20℃の円筒型アルミニウム基板上に蒸
着し、膜厚が500Åとなるように作製した。 (電荷発生層G2の作製) 電荷発生層G2は、第14図に示した抵抗加熱装置により
1×10-5Torr以下にまで排気した真空槽内でチタニルフ
タロシアニンをボート温度480℃に加熱し、基板温度20
℃の円筒形アルミニウム基板上に蒸着し、膜厚が500Å
となるように作製した。 電荷輸送層 電荷輸送層としては、下記のごとく作製する電荷輸送
層T1、T2、T3またはT4を適宜選定して設けた。 (電荷輸送層T1の作製) 電荷輸送層T1は前記したスチリル化合物[1]〜[1
7]、ヒドラゾン化合物[18]〜[29]の中から選択し
た電荷輸送物質10部、バインダー樹脂としてポリカーボ
ネート樹脂(パンライトK−1300;帝人化成(株)製)
を10部、テトラヒドロフラン80部に溶解させた塗布液
を、乾燥後の膜厚が15μmとなるように電荷発生層の上
に塗布して、形成した。 (電荷輸送層T2の作製) バインダー樹脂として、アクリル樹脂(アクリディッ
クA405;大日本インキ(株)製)12部を使用した以外
は、電荷輸送層T1と同様に電荷輸送層を形成した。 (電荷輸送層T3の作製) 電荷輸送層T3はバインダー樹脂として、ポリアリレー
ト樹脂(U−100;ユニチカ(株)製)10部を使用した以
外は、電荷輸送層T1と同様に作製した。 (電荷輸送層T4の作製) 電荷輸送層T4は電荷輸送物質として下記構造式で示さ
れる化合物[30]; を使用した以外は電荷輸送層T1と同様に作製した。 オーバーコート層 オーバーコート層としては下記のごとく作製するオー
バーコート層C、F、P、O、N、NOを適宜選定して設
けた。 (オーバーコート層Cの作製) 第17図に示すグロー放電分解装置において、まず、反
応室(733)の内部を10-6Torr程度の高真空にした後、
第1および第2調整弁(707)および(708)を開放し、
第1タンク(701)よりブタジエンガス、第2タンク(7
02)よりH2ガスを出力圧ゲージ1Kg/cm2の下でマスフロ
ーコントローラ(713)および(714)内へ流入させた。
そして、各マスフローコントローラの目盛を調整して、
ブタジエンの流量を30sccm、H2を300sccmとなるように
設定して反応室(733)内へ流入した。夫々の流量が安
定した後に、反応室(733)の内圧が0.5Torrとなるよう
に調整した。一方、導電性円筒基板(752)としては、
電荷発生層、電荷輸送層が順次積層された直径60mm×長
さ280mmのアルミニウム管を用いて50℃に予め加熱して
おき、各ガス流量が安定し、内圧が安定した状態で低周
波電源(739)を投入し電力印加電極(741)に100watts
の電力(周波数50KHz)を印加して約2分間ブラズマ重
合を行ない、導電性円筒基板(752)上に、膜組成比
(C:H)が65:35の厚さ約0.2μmのオーバーコート層を
形成した。 オーバーコート層F、P、O、N、NOは、オーバーコ
ート層Cの場合と略同様に設けた。その時の原料ガス、
添加化合物ガスの種類を表1に示した。なお、表1には
オーバーコート層Cの作製条件をも示してある。感光体の評価 前述した電荷発生層、電荷輸送層およびオーバーコー
ト層を適宜選択して構成した感光体を、光源をレーザ光
学系(波長780nm)に代えた電子複写機(EP−470Z;ミノ
ルタカメラ(株)製)を用い、−6KVでコロナ帯電さ
せ、初期表面電位Vo(V)、初期電位(Vo)を1/2にす
るために要した露光量E1/2(erg/cm2)、1秒間暗所に
放置したときの初期電位の減衰率DDR1(%)について測
定した。 結果を表2中に示した。なお表中「画像」欄に示した
「10万良」は10万枚の耐刷試験後も良好な画像が得られ
ることを、また「40万良」は40万枚の耐刷試験後も良好
な画像が得られることを示す。 比較例1 電荷発生物質として銅フタロシアニン(CuPc)(東洋
インキ(株)製)を用い、ボート温度560℃とした以外
は電荷発生層G2と同様の方法で電荷発生層を作製し、そ
の上に、電荷輸送層T4を積層して感光体を作製した。 得られた感光体を実施例と同様に評価し、結果を表3
に示した。 比較例2 ε型銅フタロシアニン(東洋インキ(株)製)10部、
ポリエステル樹脂(バイロン200:東洋紡(株)製)10部
に溶剤テトラヒドロフラン30部を加えて、ボールミルを
用いて48時間混練して、光導電性塗料を調製し、アルミ
ニウム基板上に膜厚が約1μmになるように塗布し、電
荷発生層を形成した以外は、比較例1と同様に感光体を
作製し、評価した。結果を表3に示した。 比較例3 無金属フタロシアニン(BASF社製)10部と熱硬化性ア
クリル樹脂(アクリデックA405;大日本インキ製)32
部、メラミン樹脂(スーパーベッカミンJ820)8部、酢
酸ブチル:セロソルブアセテート(1:1)50部からなる
組成物をボールミルにて24時間混練して光導電性塗料を
調製し、この塗料をアルミニウム基体上に約1μmにな
るように塗布し、電荷発生層を作製し、該電荷発生層の
上に電荷輸送物質として下記構造式で示される化合物
[31]; を使用した以外は電荷輸送層T1と同様に電荷輸送層(電
荷輸送層T5とする)を形成し、感光体を得た。感光体の
評価は実施例と同様におこなった。結果を表3に示し
た。 発明の効果 本発明に従い得られる感光体は650〜850nmの長波長光
に対しても高感度であり、特に、780nmレーザー光等の
長波長光を使用するレーザープリンター用感光体として
有用である。 また、本発明の感光体は、帯電能に優れ、さらに高耐
久性を付与することも容易である。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明の代表的なチタニルフタロシアニン蒸
着膜のX線回折スペクトルを示す図である。 第2図から第13図は本発明感光体の模式的断面図を示
す。 第14図および第15図は蒸着装置の概略構成の一例を示す
図である。 第16図および第17図はグロー放電分解装置の一例を示す
図である。 (1)……基板、(2)……電荷輸送層 (3)……電荷発生層、(4)……オーバーコート層 (5)……アンダーコート層 (11)……ベルジャー、(12)……シャフト (13)……基板、(14)……ボート (15)……排気ポンプ、(16)……電極 (17)……シャッター回転治具 (18)……シャッター、(19)……基板回転モーター (20)……蒸着材料 (21)……クラスター核形成、成長領域 (22)……クラスターるつぼ (23)……加熱ヒーター線、(24)……蒸着材料 (25)……ノズル (701)〜(706)……タンク (707)〜(712)及び(725)〜(727)……調節弁 (713)〜(718)及び(728)〜(730)……流量制御器
(マスフロコントローラ) (719)〜(721)……容器、(722)〜(724)……温調
器 (731)……混合器、(732)……主管 (733)……反応室、(734)……配管加熱器 (735)……接地電極、(736)……電力印加電極 (737)……電力加熱器、(738)……高周波電力整合器 (739)……高周波電源 (740)……低周波電力用整合器 (741)……低周波電源、(742)……ローパスフィルタ (743)……直流電源、(744)……接続選択スイッチ (745)……圧力制御弁、(746)……排気系選択弁 (747)……拡散ポンプ、(748)……油回転ポンプ (749)……冷却除外装置 (750)……メカニカルブースタポンプ (751)……反応加熱器、(752)……基板 (753)……除外装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内野 文子 大阪府大阪市東区安土町2丁目30番地 大阪国際ビル ミノルタカメラ株式会社 内 (72)発明者 植田 秀昭 大阪府大阪市東区安土町2丁目30番地 大阪国際ビル ミノルタカメラ株式会社 内 (72)発明者 太田 和夫 大阪府大阪市東区安土町2丁目30番地 大阪国際ビル ミノルタカメラ株式会社 内 (56)参考文献 特開 平1−120564(JP,A) 特開 昭63−210942(JP,A) 特開 昭59−49544(JP,A) 特開 昭59−30541(JP,A) 特開 昭59−214034(JP,A)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.導電性基板上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層
    とを有する感光体において、該電荷発生層が、ブラック
    角(2θ)5〜30゜の範囲におけるX線回折測定におい
    て、少なくともブラック角(2θ)7.3゜に最大強度の
    回折ピークを有し、さらに22.9゜および27.4゜の位置に
    小さなX線回折ピークを示す結晶構造をしたチタニルフ
    タロシアニン蒸着膜であることを特徴とする感光体。
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