JP2663440B2 - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

偏光フィルムの製造方法

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    • G02B5/30Polarising elements
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は耐久性と偏光能に優れた偏光フィルムを効率
よく製造する方法に関する。 近年、液晶表示装置の使用範囲の拡大傾向に伴って偏
光フィルムの需要は大幅に増大している。 特に車載用の液晶表示装置が潜在需要の非常に大きい
ものであり、それに用いる偏光フィルムには今まで以上
に高耐久性と高偏光度が要求されている。 〔従来の技術〕 従来公知のポリビニルアルコール系フィルムを基材と
する偏光フィルムとしては、次のものが知られている。
即ち、 (1) ポリビニールアルコール系フィルムを脱水処理
してポリエンを形成させ、実質的に1方向に配向させた
もの。 (2) ポリビニールアルコール系フィルムにヨー素を
吸着配向せしめたもの。 (3) ポリビニールアルコール系フィルムに2色性染
料を吸着配向させたもの。 である。 〔発明が解決しようとしている問題点〕 これらの内、(1)のものは、偏光性能において他の
2つに劣り、耐熱性において(3)に劣っている。 (2)のものは、偏光性能は優れているが、耐熱性が
極めて低く、又色相の調節が困難である。 (3)のものは、(2)のものに比べて偏光性能は低
いが、耐熱性に優れ、又色相の調節が容易である利点を
有している。しかし、このものは耐湿性が低く、保護フ
ィルムのラミネート等を施す必要があるが、それでもな
お、耐湿熱性が十分ではなく、高温高湿下に長時間曝さ
れると光学性能の低下、剥離、気泡の発生等が起こり、
「そり」が生じやすい等の欠点がある。 而して、本発明はこれら従来公知の技術の欠点を払拭
した、高耐久性と高偏光度を持った偏光フィルムを効率
良く得ることを目的とする。 〔問題を解決するための手段〕 本発明者らは特願昭61−84306号明細書に記載の如
く、これら従来法の欠点に鑑み鋭意研究の結果、上記
(3)のものに金属イオン及びホウ酸を含浸させ、その
後緊張状態で加熱処理することにより、偏光性能、寸法
安定性、耐湿熱性を大幅に向上させることに成功した。 しかし、その後の更に詳細な検討の結果、特願昭61−
84306号の方法はきわめて性能のすぐれた偏光フィルム
が得られるが、加熱処理工程でフィルムの「裂け」の生
ずる場合のあることがわかった。 そこでその欠点を克服するため鋭意研究の結果、「裂
け」の発生を抑制すると同時に光学特性、耐久性をも向
上出来る方法を見出し、本発明に至ったものである。 即ち本発明は2色性染料で染色したポリビニルアルコ
ール系フィルムを金属イオン及びホウ酸を含む水溶液に
浸漬して金属イオン及びホウ酸を含浸せしめ、次いで室
温もしくは50℃以下の温和な加熱条件のもとで、そのま
ゝその水溶液中にて、実質的に一軸方向に延伸し、その
後緊張状態を保持しながら乾燥および加熱処理を行なう
偏光フィルムの製造方法である。 本発明に於いて使用するポニビニルアルコール系フィ
ルムとしては、ポニビニルアルコールフィルム及びポリ
ビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィ
ルム、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)共重合体ケン化フ
ィルムの如きポリビニルアルコール誘導体フィルム等を
挙げることが出来る。 これらのポリビニルアルコール系フィルムを染色する
方法としては2色性を有する直接染料、酸性染料等の水
溶液中にフィルムを室温〜50℃の加温下で浸漬するのが
適当である。 本発明で使用する金属イオンとしては、クロム、マン
ガン、鉄、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、銅、
銀、錫、アルミニウム等のイオンが好ましく、これらは
混合して使用してもよい。これらの金属の塩酸塩、硫酸
塩、硝酸塩、酢酸塩等の塩とホウ酸とを適当な濃度で溶
解した水溶液を処理溶液として用いる。 偏光フィルム中に於けるこれらの金属イオン及びホウ
酸の含浸量は金属としてフィルム1g当たり0.2mg〜20m
g、特に1〜5mgが、ホウ素としてフィルム1g当たり0.3m
g〜30mg、特に1〜10mgが適当であり、処理液中へのフ
ィルムの浸漬条件はこれをみたすように設定される。通
常、室温〜50℃、5〜15分間浸漬処理される。 次いでフィルムは延伸されるが、フィルムの延伸は、
1軸方向のみの場合の他、強度を高めるために、更に他
軸(直角)方向に若干延伸する場合も含まれる。この場
合、他軸方向への延伸は、同時でも1軸方向に延伸した
後でも良く、またその延伸倍率は1軸方向への延伸倍率
の1/2以下であることが好ましい。 次に延伸された緊張状態での加熱処理は、90℃以上、
好ましくは100〜120℃の温度で、1〜120分間、好まし
くは5〜40分間加熱することによって行なわれる。 〔作用および効果〕 本発明によって得られる偏光フィルムは光学特性に優
れると共に、耐熱性、耐湿性が高いので、液晶表示装置
等の各種光学機器、サングラス、自動車のフロントガラ
ス、窓等の種々の分野で使用することができる。 〔実施例〕 以下実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明
する。 尚、実施例および比較例において、透過率は分光光度
計(日立製作所製、商品名:HITACHI330)を用いて測定
した。又単板透過率、平行位透過率(Ho:フィルムを2
枚、その分子配向が互いに平行になるように重ね合わせ
た時の光透過率)、直交位透過率(H90:フィルムを2
枚、その分子配向が互いに垂直になるように重ね合わせ
た時の光透過率)は、カラー偏光フィルムの場合はその
極大吸収波長における値であり、中性色偏光フィルムの
場合は可視部領域400〜700mmにおける視感度補正を行な
った平均値である。 偏光度は次式により求めた。 色相は色差計(東京電色社製、商品名:TC−1500MC)
を用いて測定した。色相測定における平行位、直交位の
意味は透過率の場合と同じである。 実施例 1 ポリビニルアルコールフィルム(クラレ株式会社製、
商品名:クラレビニロン#7500)をクロランチンファス
トレッド 0.40g/、ブリリアントブルー6B 0.30g/
、ダイレクトコッパーブルー2B 0.30g/、プリムラ
ブルー6GL 1.00g/、クリソフエニン 0.30g/を含
む水溶液(染色液)中で35℃にて8分間染色した。 次いで当該フィルムを酢酸ニッケル4水塩0.30g/、
ホウ酸 12.2g/を含む水溶液(処理液)中に室温で10
分間浸漬した後、同液中で1軸方向に5倍延伸した。 液中より取り出し緊張状態を保持したまゝ、水洗、乾
燥を行なった後110℃で10分間加熱処理した。 なおこのフィルムにはフィルム1gあたりホウ素が1.80
mg、ニッケルが1.04mg含まれていた。 得られたフィルムの両面にウレタン系接着剤を用いて
厚さ70μmのポリカーボネートフィルムをラミネートす
ることにより第1表に記載した性能を有する中性フィル
ムが得られた。 又このフィルムを温度100℃の雰囲気下に1000hrs曝し
た後(耐熱テスト)及び80℃、95%RHの雰囲気下に1000
rhs曝した後(耐湿テスト)の性能は第1表に記載した
如くであった。 実施例 2 実施例1と同様のフィルムを使用し、染色液として実
施例1と同じ組成の溶液を用い、処理液として酢酸コバ
ルト4水塩 1.20g/、ホウ酸 18.0g/を含む水溶液
を用いた以外は実施例1と同様の処理を行なった。 得られたフィルムの性能は第1表のようであった。 実施例 3〜10 実施例1と同様のフィルムを使用し、処理液として、
酢酸マンガン、硫酸第一鉄、塩化コバルト、硫酸ジルコ
ニル、硫酸銅(II)、硫酸銀、塩化第二錫、又は硫酸ア
ルミニウムを0.2〜1.50g/、ホウ酸 10.0〜20.0g/
を含む水溶液を使用した以外は実施例2と同様に実施し
たところ、何れの場合も得られたフィルムの△Lは48以
上であった。 実施例 11 実施例1と同様のフィルムを使用し、染色液としてク
ロランチンファストレッド 0.81gr/を含む水溶液を
用い40℃で15min染色した以外は実施例1と同様に実施
して赤色の偏光フィルムを得た。 このフィルムの510nmにおける単板透過率は40.5%、
偏光度は98.7%であり、又実施例1で得られたフィルム
と同様の耐湿熱性を有していた。 比較例 1 市販品の中性色偏光フィルム(ポリビニルアルコール
系フィルムにヨウ素を吸着配向させ、保護膜としてトリ
アセチルセルロースを貼り合わせたもの)及びこのフィ
ルムを温度100℃の雰囲気下に60時間曝した後(耐熱テ
スト)の性能は第1表に記載した如くであった。尚、こ
の場合、フィルムは60時間以内に甚しく変色した。 又、このフィルムを温度80℃、相対湿度95%の雰囲気
下に曝した場合、淡色化が進行し、20時間以内に実質的
に透明となって、全く偏光能を示さなくなった。 比較例 2 実施例14と同様のフィルムを使用し、処理液としてホ
ウ酸 12.5g/のみを含む水溶液を使用した以外は実施
例14と同様の処理を行なった。 得られたフィルムの性能は、510nmでの単板透過率40.
2%、偏光度87.4%であり、実施例14の場合と比較して
光学特性が劣っていた。 又、このフィルムを100℃の雰囲気下に300hr曝すと単
板透過率が34.8%まで低下し、また著しい変色が見られ
た。 比較例 3 実施例1と同様のフィルムを使用し、処理液として単
なるイオン交換水を用いた以外は実施例1と同様に行な
った。 得られたフィルムの可視部領域での単板透過率は39.0
%、偏光度は78.7%であり、実施例1のフィルムよりは
るかに劣った光学特性しか示さなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−76171(JP,A) 特開 昭55−126202(JP,A) 特開 昭54−16575(JP,A) 特開 昭56−48601(JP,A) 特開 昭61−175602(JP,A) 特開 昭61−255304(JP,A) 特開 昭58−107505(JP,A) 特開 昭62−226104(JP,A) 特開 昭62−223704(JP,A) 特開 昭62−240905(JP,A)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.ポリビニルアルコール系フィルムに2色性染料を吸
    着させた後、該フィルムを金属イオン及びホウ酸を含む
    水溶液中に浸漬して金属イオン及びホウ酸を含侵させ、
    そのままその溶液中で1軸方向に延伸し、ついで緊張状
    態で乾燥および加熱処理を行なう偏光フィルムの製造方
    法。
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