JP2661055B2 - 電子写真用コロナ放電転写装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、電子写真複写機等において、感光体ドラム
上のトナーを紙上に転写するために用いる電子写真用コ
ロナ放電転写装置に関する。 ［従来技術］ 電子写真複写機等において、感光体ドラム上のトナー
を紙面に転写する方法としては、該トナー上に転写紙を
重ね、該転写紙の背面からコロナ電流を放電して電荷を
注入し、感光体ドラム上に該転写紙が密着すると同時
に、トナーが転写紙に静電吸着する方法が知られてい
る。 ところが、この方法では、コロナ放電により、放電電
極からオゾンが発生し、感光体に障害をもたらし、画像
に悪影響を与えることがある。 そこで、このオゾンを除くために、例えば特公昭51−
10785号記載のように放電電極の両側面、底面の三方が
覆われ、上方のみ開口しているコロナ放電転写装置の底
面にオゾン抜き穴（排気用開口部）を設け、このオゾン
抜き穴よりこのコロナ放電転写装置の下方に設けられた
サクションファンで装置内に発生したオゾンを空気とと
もに吸い出すようにしたものが報告されている。第７図
はこの公報記載のコロナ放電転写装置を示す。 この従来のコロナ放電転写装置２は、感光体ドラム61
の下方に位置するように、遮蔽材17をはさんでハウジン
グ18の上に設置されている。一方、転写紙21は感光体ド
ラム61の回転により、図の左方から右方へ（矢印22）と
搬送される。この場合、空気は矢印25のように、上方開
口14からオゾン抜き穴（排気用開口部）11を経て、ハウ
ジング18の左右に設けられた図示しないサクションファ
ンの吸引により、装置外へ流れ出る。ところが、サンク
ションファンの吸引力が強いと転写紙がこのコロナ放電
転写装置上を通過する際に、上方開口14からの空気の供
給が妨げられて、コロナ放電転写装置内が負圧の状態と
なる。従って該転写紙21の後端24が続いてコロナ放電転
写装置上を通過する際、その装置内へ吸引されて第７図
に示すように感光体ドラムから離れるため、その転写紙
後端24に転写不良（画像抜け）が生じるという問題点が
あった。特に薄い転写紙を用いた場合に転写不良が発生
しやすかった。また第８図に示したコロナ放電転写装置
３は、第７図の従来のコロナ放電転写装置２の上方の一
側部を覆ったもので、従来技術とはなっていない（未公
開）がこの場合にも転写紙21がコロナ放電転写装置上を
通過する際にコロナ放電転写装置内へ吸引されて同様な
問題点が生じる。この場合は、上方開口14が狭いため、
コロナ放電転写装置内が負圧になる傾向が強い。 ［発明が解決しようとする問題点］ 本発明は、上記問題点のない、すなわちコロナ放電転
写装置内が負圧となることを防ぎ、転写紙の後端がコロ
ナ放電転写装置内へ吸引されることにより発生する転写
不良（画像抜け）を防止し、感光体上のトナーを確実に
転写紙上に転写できる電子写真用コロナ放電転写装置を
提供することを目的とするものである。 ［問題点を解決するための手段］ 本発明に係る電子写真用コロナ放電転写装置は、コロ
ナ電流を放電するコロナ放電電極と、該コロナ放電電極
の少なくとも両側面と底面を覆う安定板とを備えた電子
写真用コロナ放電転写装置であって、前記安定板は、前
記底面の適所に少なくとも１個の排気用開口部を有し、
前記側面の適所に少なくとも１個の孔状の吸気用開口部
を有することを特徴とする。 すなわち、本発明においては、上記の位置に少なくと
も１個の吸気用開口部を設けて上方開口からの既存の空
気の流れとは別に、該吸気用開口部から底面排気用開口
部への新たな空気の流れを創出し、コロナ放電転写装置
装置内が負圧になることを防止するものである。従っ
て、転写紙の後端は、コロナ放電転写装置内に吸引され
ないので、感光体ドラムに密着して転写が確実に行なわ
れる。 ［実施例］ 以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。 まず、本発明の電子写真用コロナ放電転写装置を組み
込んだ複写機本体の構成を第１図に基づいて説明する。 この複写機は、原稿を露光走査して像を伝送する走査
系５（51〜55）と、該伝送された像を電子写真プロセス
によって複写用紙上に再現する作像部６（61〜68）と、
複写用紙の供給及び画像の定着を行なう給排紙系７（71
〜76、711〜721）と、ガラス製の原稿台８と、を有す
る。この複写機において、図示しない光源による原稿か
らの反射光は、ミラー51〜54及びレンズ55を通り、感光
体ドラム61表面に光源を形成する。 ドラム61の表面には感光体層が形成されており、該感
光体層は、イレーサランプ62、64、及び帯電チャージャ
63、65を通過することにより増感帯電され、前記光源に
対応した静電潜像を形成する。形成された静電潜像は、
現像装置66においてトナーが付着され、該付着されたト
ナーは、電子写真用コロナ放電転写装置１において複写
用紙（給排紙系７のタイミングローラ73を介して供給さ
れる）上に転写される。転写後、分離爪67によって感光
体ドラム61の表面から分離され、搬送ベルト74にて定着
装置75に送り込まれ、トナー画像の溶融定着を施された
後、排紙ローラ76により排出される。また、分離爪67の
上方には、ブレード方式のクリーニング装置68が配設さ
れている。 ここまでに説明した構成は、電子写真用コロナ放電転
写装置１を除いて、従来の複写機と変るところはない。 次に、電子写真用コロナ放電転写装置について説明す
る。 この電子写真用コロナ放電転写装置１は、第２図に拡
大して示すように、安定板10とコロナ放電電極を構成す
る放電ワイヤ13等、とからなる。 安定板10は、両側を覆う側面部10A、10Bおよび底面を
覆う底面部10Cと、上方の一側部を覆う上側部10Dとから
なり、上側部10Dの他側端部に上方開口14、底面部10Cに
その中央で長手方向にそって設けられた５個の長方形の
排気用開口部11、側面部10Aの高さ方向距離の上方より1
/4以内の高さの部分に長手方向にそって設けられた５個
の長方形の吸気用開口部12を有する。 コロナ放電ワイヤー13は、上記安定板10により覆われ
たコロナ放電転写装置１の内側に張設され、コロナ放電
転写装置１の両端の絶縁ブロック15a、15bにセットビス
16a、16bで固定されている。 次に第３図に基づいて本発明のコロナ放電転写装置１
の作用について説明する。ここでコロナ放電転写装置１
は感光体ドラム61の下方に位置するように、遮蔽材17を
はさんでハウジング18の上に設置されている。またコロ
ナ放電転写装置１の左方には、転写前ガイド板19が、右
方には搬送ベルト74が配置されている。一方、転写紙21
は感光体ドラム61の回転によって図の左方から右方へ、
即ち矢印22方向へ搬送される。第３図において、空気
は、ハウジング18の右方に設けられた図示しないサクシ
ョンファンにより吸引され上方開口14と吸気用開口部12
から底面の排気用開口部11を経てコロナ放電転写装置外
へ流れる。矢印23A、23Bは、その空気の流れを示す。こ
の場合、転写紙21が転写のために搬送されて、コロナ放
電装置１上を通過する際に、たとえ矢印23Aの示す空気
の流れが遮断されても、矢印32Bの示す空気の流れが該
吸気用開口部12からコロナ放電転写装置１内に入るの
で、装置内は負圧状態にはならない。従って、該転写紙
21の後端24が装置内へ吸引されずに感光体ドラム61に密
着して転写が行なわれるので、転写不良（画像抜け）は
生じない。 ところで、第３図に示したように、本発明の吸気用開
口部12は、コロナ放電電極の側面を覆う部分の上方部分
に、さらに詳しくは、側面を覆う部分の高さ方向距離の
上方より1/4以内の高さの部分に設けられている。この
位置であれば、前述したように、転写紙21がコロナ放電
転写装置１上を通過する際、上方開口14からの空気の供
給が遮断されて、コロナ放電転写装置１内が負圧になる
ことを該吸気用開口部12から新たに空気を供給すること
によって防止し、かつ第３図の矢印23に示すように上方
から下方へという空気の流れが創出されるためコロナ放
電転写装置１内のオゾンをすべて排除することができ
る。さらにこの場合、電気力線図は、第４図Ａであり、
転写領域における転写電流値は第５図Ａに示されてい
る。これらは、上方の一側部を覆った未公開の先行技術
のコロナ放電転写装置の電気力線図（第４図Ｂに示す）
と転写電流値（第５図Ｂに示す）とほとんど変わりな
く、転写効率においても本発明の電子写真用コロナ放電
転写装置１は、上方の一側部を覆った未公開の先行技術
のコロナ放電転写装置をほとんど変わりがないことがわ
かる。 ところで、上記した位置以外の吸気用開口部の位置に
ついては、例えば第３図において、本発明の吸気用開口
部12の位置の下方、即ち、側面部10Aの中央部分、下方
部分あるいは上側部10Dが考えられる。しかしながら、
側面部10Aの中央部分または下方部分の場合には、コロ
ナ放電転写装置１内の上部に滞留するオゾンを排除でき
ず不適当である。また、上側部10Dは、早期転写を防止
するために設けられており、ここに吸気用開口部を設け
ることも転写効率に影響を与えることになり、不適当で
ある。 ［効果］ 以上、詳述したように、本発明の少なくとも１個の吸
気用開口部を有する電子写真用コロナ放電転写装置によ
れば、コロナ放電転写装置内のオゾンを排除でき、かつ
コロナ放電転写装置内が負圧になることを防ぐことがで
きる。従って転写紙の後端がコロナ放電転写装置内へ吸
引されずに感光体ドラムに密着して転写が行なわれるの
で、従来の電子写真用コロナ放電転写装置や上方の一側
部を覆った未公開の先行技術の電子写真用コロナ放電転
写装置において発生した転写紙の後端転写不良を防ぐこ
とができる。

【図面の簡単な説明】 第１図は、本発明の電子写真用コロナ放電転写装置を組
み込んだ複写機本体の構成を示す模式図である。第２図
は、本発明の電子写真用コロナ放電転写装置の部分断面
斜視図である。第３図は、本発明の電子写真用コロナ放
電転写装置の作用についての説明図である。第４図Ａ
は、本発明の電子写真用コロナ放電転写装置の電気力線
図で、第４図Ｂは、上方の一側部を覆った未公開の先行
技術の電子写真用コロナ放電転写装置の電気力線図であ
る。第５図Ａは、本発明の電子写真用コロナ放電転写装
置の転写領域における転写電流値を示すグラフで、第５
図Ｂは、上方の一側部を覆った未公開の先行技術の電子
写真用コロナ放電転写装置の転写電流値を示すグラフで
ある。第６図は、従来の電子写真用コロナ放電転写装置
を使用した場合の空気の流れ、転写紙の動きについての
説明図である。第７図は上方の一側部を覆った未公開の
先行技術の電子写真用コロナ放電転写装置を使用した場
合の空気の流れ、転写紙の動きについての説明図であ
る。 １……電子写真用コロナ放電転写装置 10……安定板、11……排気用開口部 12……吸気用開口部 13……コロナ放電ワイヤー 14……上方開口

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−119577（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−198960（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−77148（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−54153（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−77149（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．コロナ電流を放電するコロナ放電電極と、該コロナ
   放電電極の少なくとも両側面と底面を覆う安定板とを備
   えた電子写真用コロナ放電転写装置であって、 前記安定板は、前記底面の適所に少なくとも１個の排気
   用開口部を有し、前記側面の適所に少なくとも１個の孔
   状の吸気用開口部を有することを特徴とする電子写真用
   コロナ放電転写装置。 ２．上記吸気用開口部は、上記安定板の側面の高さ方向
   距離の上方より1/4以内の高さの部分に設けられている
   特許請求の範囲第１項記載の電子写真用コロナ放電転写
   装置。