JP2660198B2 - コルチコステロイド含有外用クリーム製剤 - Google Patents

コルチコステロイド含有外用クリーム製剤

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はコルチコステロイド含有外用クリーム製剤、
更に詳細には、有効成分としてデプロドンプロピオネー
トを含有し、その効力を最大限かつ持続的に発揮させる
ことができ、皮膚刺激性も無く、物理化学的に安定なコ
ルチコステロイド含有外用クリーム製剤に関する。
〔従来の技術及びその課題〕
従来、コルチコステロイドは炎症性及びアレルギー性
皮膚疾患に対し、少量で強力な治療効果を示し、かつ他
の薬剤に比べて速効性であるために治療薬として皮膚科
領域において広く用いられている。
また、皮膚科領域において局所疾患の外用剤としてコ
ルチコステロイドを使用する場合は、皮膚の保護作用及
び消炎作用に優れ、刺激やかぶれが非常に少ないことか
ら、軟膏剤が多く用いられているが、これは経皮吸収性
がやや劣るという欠点があった。
一方、クリーム製剤は軟膏剤よりも皮膚への薬物の浸
透性が優れており、かつ塗布したときの感触が良く、伸
びも良好で、使用後水で容易に洗い落とすことができ
る。更に、皮膚表面の水分を吸収し、速やかにその水分
を蒸散するという作用を有するため皮膚を冷却し、炎症
を抑え、また痒みも著しく緩和することができるという
利点を有することから、近年軟膏剤以上に広く用いられ
ている。
しかし、クリーム製剤の経皮吸収性は軟膏剤より優れ
ているものの、未だ充分に満足し得るものではなかっ
た。
そこでこれを改良するために、近年、例えば1−ドデ
シルアザシクロヘプタン−2−オン、ジメチルスルホキ
シド、ジメチルホルムアミド等の各種経皮吸収促進剤を
配合することが行なわれているが、これらは安全性及び
使用感の点で充分なものとは言い難い。
また、一時的に経皮吸収性を良くするために、効力の
強いコルチコステロイドを用いたり、コルチコステロイ
ドの濃度を高くして治療効果を上げる方法もとられてい
るが、この方法もコルチコステロイドの効力及び濃度に
比例して全身及び局所への影響が大きくなるため、副作
用が問題となってくる。
そこで、治療効果が高く、局所並びに全身への副作用
が少なくて安全性の高いコルチコステロイド含有外用ク
リーム製剤の開発が望まれていた。
しかし、同一の有効成分を同じ濃度で含有するクリー
ム製剤であっても、その基剤の種類等によって治療効果
が大きく相違し、有効成分と基剤の物理化学的性質がよ
く整合した場合に、初めて治療効果に優れかつ副作用の
少ないクリーム製剤が得られるものである。
〔課題を解決するための手段〕
斯かる実情において本発明者らは、個々のコルチコス
テロイドと基剤との関係について鋭意検討した結果、後
記式で表わされるデプロドンプロピオネートを特定の基
剤に配合すればその治療効果を最大限かつ持続的に発揮
させることができ、皮膚刺激性等の副作用もなく、物理
化学的に安定な外用クリーム製剤が得られることを見出
し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は次の成分(a)、(b)、
(c)、(d)及び(e) (a)デプロドンプロピオネート 0.1〜 0.5重量% (b)白色ワセリン2〜15重量%、セタノール4〜8重
量%、並びに、アジピン酸ジイソプロピル0.5〜10重量
%及び/又はクロタミトン0.1〜5重量%を含有する油
性成分 10〜35 重量% (c)プロピレングリコール 2〜10 重量% (d)非イオン性界面活性剤 2〜10 重量% (e)水 45〜85 重量% を含有することを特徴とする外用クリーム製剤を提供す
るものである。
本発明における(a)成分のデプロドンプロピオネー
トはプレドニゾロン骨格の17位をプロピオン酸エステル
化、21位を脱酸素化した化合物で、下記式で表わされる
構造を有するものである。
(a)成分は全組成中に0.1〜0.5重量%(以下、単に
%で示す)配合される。
(b)成分の油性成分としては、白色ワセリン2〜15
%及びセタノール4〜8%を含有し、更にアジピン酸ジ
イソプロピル0.5〜10%又はクロタミトン0.1〜5%の少
なくとも一方を含有することが必要である。
また(b)成分には前記必須成分以外に一般にクリー
ム製剤において使用される油性成分の1種又は2種以上
を配合することができ、これらのものとしては、例えば
流動パラフィン、パラフィン、スクワラン等の液状、固
形状の炭化水素類;ステアリルアルコール等の固形の高
級アルコール類;ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸
類;ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル等
のエステル類;サラシミツロウ、ラノリン等のロウ類;
落花生油等の液状油脂類などが挙げられる。
(b)成分は、全組成中に10〜35%配合される。
(c)成分のプロピレングリコールは全組成中に2〜
10%配合される。
(d)成分の非イオン性界面活性剤としては、例えば
ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリ
コール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル
等が用いられ、具体的にはモノオレイン酸ソルビタン、
モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセ
リン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタ
ン、ポリオキシエチレンセチルエーテル、モノステアリ
ン酸ポリエチレングリコール、デカグリセリンペンタオ
レイン酸等が挙げられる。(d)成分は全組成中に2〜
10%配合される。
(e)成分の水は全組成中に45〜85%配合される。
また、本発明においては安定剤を配合することが好ま
しく、安定化剤としては、例えばブチルヒドロキシアニ
ソール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等の酸化
防止剤;パラオキシ安息香酸エステル類、デヒドロ酢酸
等の防腐剤が用いられる。
更に、本発明のクリーム製剤は、例えばクエン酸緩衝
液等の外用製剤に通常用いられる緩衝剤を用いて、製剤
の最終pHが3.5〜6.5となるように調整するのが好まし
い。
〔作用〕
本発明において油性成分は皮膚の水分蒸散をおさえ、
皮膚を保護する役目を果しているとともに、経皮吸収性
を高めて薬物の皮膚への残留性を高めることにより、持
続的な治療効果を与えている。
また、プロピレングリコールもこれと同様の作用を持
ち、更にはクリーム製剤の乳化安定性にも寄与してい
る。
更に、クリーム製剤のpHを3.5〜6.5という皮膚pHに近
い弱酸性にすることにより、皮膚刺激性を軽減すること
ができ、かつ薬効成分であるデプロドンプロピオネート
の安定性を高めることもできる。
〔発明の効果〕
本発明のコルチコステロイド含有外用クリーム製剤は
長期間保存しても物理化学的に安定で、かつ皮膚刺激性
や副作用も無く、使用感も非常に良好で優れた治療効果
を有する。
〔実施例〕
以下に実施例、比較例及び試験例を挙げて本発明を更
に詳細に説明する。
実施例1 デプロドンプロピオネート 0.3 g セタノール 5.0 g 白色ワセリン 7.0 g クロタミトン 1.0 g プロピレングリコール 5.0 g モノステアリン酸グリセリン 5.0 g ポリオキシエチレン(25)セチルエーテル 2.5 g パラオキシ安息香酸メチル 0.2 g パラオキシ安息香酸ブチル 0.1 g BHT 0.02g 緩衝剤 適量 精製水 全量100 g 上記油相成分を60〜70℃で溶解させ、これにデプロド
ンプロピオネートを溶解したプロピレングリコールを加
えて攪拌する。緩衝剤を精製水に溶解させたものを70〜
80℃で加え、乳化後、室温まで冷却して外用クリーム製
剤を製造した。
実施例2 デプロドンプロピオネート 0.3 g セタノール 4.0 g 白色ワセリン 14.5 g アジピン酸ジイソプロピル 1.0 g クロタミトン 1.0 g プロピレングリコール 10.0 g モノステアリン酸グリセリン 3.0 g ポリオキシエチレン(25)セチルエーテル 1.5 g パラオキシ安息香酸メチル 0.2 g パラオキシ安息香酸ブチル 0.1 g BHT 0.02g 緩衝剤 適量 精製水 全量100 g 実施例1と同様の方法により、外用クリーム製剤を製
造した。
実施例3 デプロドンプロピオネート 0.3 g セタノール 8.0 g 白色ワセリン 10.0 g アジピン酸ジイソプロピル 3.0 g プロピレングリコール 10.0 g モノステアリン酸グリセリン 5.0 g ポリオキシエチレン(25)セチルエーテル 2.5 g パラオキシ安息香酸メチル 0.2 g パラオキシ安息香酸ブチル 0.1 g BHT 0.02g 緩衝剤 適量 精製水 全量100 g 実施例1と同様の方法により、外用クリーム製剤を製
造した。
比較例1 デプロドンプロピオネート 0.3g ステアリン酸 6.0g ステアリルアルコール 4.0g 流動パラフィン 8.0g モノステアリン酸グリセリン 1.5g ポリオキシエチレン(25)セチルエーテル 3.5g プロピレングリコール 5.0g パラオキシ安息香酸メチル 0.2g パラオキシ安息香酸プロピル 0.1g 緩衝剤 適量 精製水 全量100 g 実施例1と同様の方法により、外用クリーム製剤を製
造した。
比較例2 デプロドンプロピオネート 0.3 g ステアリン酸 6.0 g ステアリルアルコール 4.0 g 流動パラフィン 8.0 g モノステアリン酸グリセリン 1.5 g ポリオキシエチレン(25)セチルエーテル 3.5 g プロピレングリコール 5.0 g 1,3−ブチレングリコール 5.0 g パラオキシ安息香酸メチル 0.2 g パラオキシ安息香酸プロピル 0.1 g BHT 0.005g 緩衝剤 適量 精製水 全量100 g 実施例1と同様の方法により、外用クリーム製剤を製
造した。
比較例3 デプロドンプロピオネート 0.3 g ステアリルアルコール 7.5 g ミリスチン酸イソプロピル 5.0 g モノステアリン酸グリセリン 5.0 g ポリオキシエチレン(25)セチルエーテル 2.5 g パラオキシ安息香酸メチル 0.2 g パラオキシ安息香酸プロピル 0.1 g BHT 0.005g 緩衝剤 適量 精製水 全量100 g 実施例1と同様の方法により、外用クリーム製剤を製
造した。
比較例4 デプロドンプロピオネート 0.3 g ステアリルアルコール 10.0 g 中鎖脂肪酸トリグリセライド 5.0 g モノオレイン酸ソルビタン 3.0 g ステアリン酸ポリオキシル40 3.0 g パラオキシ安息香酸メチル 0.2 g パラオキシ安息香酸プロピル 0.1 g BHT 0.005g 緩衝剤 適量 精製水 全量100 g 実施例1と同様の方法により、外用クリーム製剤を製
造した。
試験例1 実施例1〜3及び比較例1〜4で得られたクリーム製
剤について、下記試験方法により、ヒト健常皮膚におけ
る開放系での血管収縮試験を行なった。
(試験方法) 内径10mmの穴を開けた絆創膏(横30mm、長さ17cm、厚
さ1mm)を被験者の中した背部に貼付し、被験薬剤30mg
を2スポットずつ、2時間塗布する。2時間後薬剤を除
去し、薬剤除去後2、4、6、8、10、12時間後の血管
収縮による皮膚蒼白の程度又は有無を判定した。顕著な
蒼白化を認める場合を2点、明らかな蒼白化を認める場
合を1点、微弱な蒼白化を認める場合を0.5点、蒼白化
を認めない場合を0点として得点し、各被験者30名の得
点の平均値を求めた。この結果を第1図に示す。
この試験において、プロピレングリコールに白色ワセ
リン、セタノール、アジピン酸ジイソプロピル、クロタ
ミトンを併用したクリーム製剤は第1図に示した如く、
平均値が高く、デプロドンプロピオネートの効果が持続
的であることがわかる。
尚、実施例1〜3及び比較例1〜4の各検体からデプ
ロドンプロピオネートを除いた基剤を用いて、健常人30
名の中下背部に2スポットずつ塗布し、48時間後、基剤
の刺激性を見たところ第1表に示す如く比較例2には刺
激性(わずかな紅斑)が見られたが、実施例1〜3には
同様の刺激性はほとんど見られなかった。
また、物理化学的安定性については、第2表に示す如
く比較例1は変色、デプロドンプロピオネートの安定性
ともに実施例1〜6に比べて劣っていた。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1〜3及び比較例1〜4のクリーム製剤
の血管収縮試験の結果を示す図面である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−139315(JP,A) 特開 昭63−255228(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の成分(a)、(b)、(c)、(d)
    及び(e) (a)デプロドンプロピオネート 0.1〜 0.5重量% (b)白色ワセリン2〜15重量%、セタノール4〜8重
    量%、並びに、アジピン酸ジイソプロピル0.5〜10重量
    %及び/又はクロタミトン0.1〜5重量%を含有する油
    性成分 10〜35 重量% (c)プロピレングリコール 2〜10 重量% (d)非イオン性界面活性剤 2〜10 重量% (e)水 45〜85 重量% を含有することを特徴とする外用クリーム製剤。
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