JP2621817B2 - 油種判定機能を備えた給油装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車燃料タンクに滞
留している燃料油の蒸気を分析して自動車燃料タンク内
の燃料油の種類を自動的に判定するようにした給油装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車燃料タンク内の燃料蒸気、いわゆ
るベーパを分析して給油すべき燃料油の種類を自動的に
判定するように構成された給油装置は、特開昭64-58697
号公報に開示されたように、自動車燃料タンク内のベー
パを吸引する管路の途中にガスセンサーを配置し、ガス
センサーからの信号が出力した時点で、燃料油の種類を
判定するように構成されている。

【０００３】しかしながら、自動車燃料タンクとガスセ
ンサーを比較的長い管路で接続した場合、つまり給油装
置本体にガスセンサーを配置した場合には、ベーパがガ
スセンサーに到達するまでに時間がかかり、ガスセンサ
ーの出力を判定するために信号を取り込むタイミングが
不確定となって油種の判定にミスを起したり、また判定
のために取り込んだベーパが管路に滞留して、次の給油
時に判定ミスを起こす虞がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題に鑑みてなされたものであって、その目的とするとこ
ろはガスセンサーからの信号の取り込み時点を明確化す
るとともに、判定後に管路内に停滞しているベーパを確
実に排出することができる新規な油種判定機能を備えた
給油装置を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】このような問題を解消す
るために本発明においては、給油ポンプ、流量計測手
段、及び給油ノズルからなる給油機構と、前記給油ノズ
ルの先端に開口し、途中にガスセンサーを備えたべーパ
吸引管と、前記ガスセンサーの出力に基づいて油種を判
定する油種判定手段と、油種判定までは前記べーパ吸引
管に陰圧を供給し、また油種判定後に陽圧を供給する陰
圧陽圧発生千段と、前記べーパ吸引管の途中に設けら
れ、前記給油ノズルの給油レバーに連動して開弁する弁
手段と、前記べーパ吸引管に供給される陽圧により開弁
する弁手段とを備えようにした。

【０００６】

【作用】レバーにより開弁されることによりベーパ吸引
管の圧力が上昇するから、これを検知することにより油
種判定までの時間を正確に設定でき、また判定後にはベ
ーパ吸引管に陽圧を供給することによりベーパ吸引管路
を大気に開放してベーパが排気させる。

【０００７】

【実施例】そこで以下に本発明の詳細を図示した実施例
に基づいて説明する。図１は本発明の一実施例を示すも
のであって、図中符号１は、地下タンク燃料油を給油ノ
ズルに給送する給油ポンプで、流量計２を介して給油ホ
ース３の一端に接続されている。流量計２には流量パル
ス発信器４が取付けられていて、これからの信号は制御
装置５により給油量に変換されて表示器６に表示され
る。

【０００８】符号７は、陰圧発生手段で、この実施例に
おいてはエジェクタ８が使用されている。エジェクタ８
は、圧縮空気流入口が電磁弁９を介して図示しない圧縮
空気源に、また吐出口が電磁弁１０を介して大気に開放
され、さらに吸引口がセンサー室１１を介して管路１２
により給油ノズル１２まで延長されている。

【０００９】エジェクタ８の吸引口とセンサー室１１の
間には圧力検出器１４が接続されていて、管路１２の圧
力を検出できるように構成されている。なお、図中符号
１８は、制御装置５からの信号により作動する警報器
を、また符号１９は給油ポンプ１を駆動するポンプ駆動
モータを示す。

【００１０】図２は、前述した陰圧発生手段７からガス
センサー室１１に至るまでの管路の構造を示すものであ
って、図中符号８は、前述のエジェクタ本体で、圧縮空
気流入口２０と吐出口２１にはそれぞれ電磁弁９、１０
が接続されている。これら電磁弁９、１０は、弁体９
ａ、１０ａがバネ９ｂ、１０ｂにより付勢されており、
またソレノイド９ｃ、１０ｃが励磁されると、バネ９
ｂ、１０ｂに抗して弁体９ａ、１０ａを移動させるよう
に構成されている。

【００１１】管路１２の途中に接続された圧力センサー
１４は、ダイヤフラム１４ａによりケースを２つの部屋
１４ｂ、１４ｃに分割し、一方の部屋１４ｂが開口１４
ｄにより管路と接続している。ケースにはダイヤフラム
１４ａの変形位置を検出する陰圧スイッチ手段２６が設
けられ、管路１２が陰圧になった状態ではダイヤフラム
１４ａがスイッチ手段２６に当接して、これを作動させ
るように構成されている。

【００１２】センサー室１１には、ベーパを構成してい
る炭化水素系のガスに感応して信号を出力するガスセン
サー１５が収容されている。

【００１３】図３は、給油ノズルの一実施例を示すもの
であって、、図中符号３０は、主弁３１を収容する本体
胴部で、一端がホース３を介して給油ポンプ２に接続さ
れ、また他端がノズル管３２に接続されている。主弁３
１は、ラッチ３３により開弁状態を維持可能にする給油
レバー３４に接続されている。

【００１４】またレバー３４には、後述するベーパ吸引
管３５に接続する止弁３６を開閉する操作部３７が、常
時バネ３８により弾接さている。

【００１５】３５は、前述のベーパ吸引管で、一端が管
路１２により陰圧発生手段７に、また他端がノズル管３
２の先端に延びている。

【００１６】３６は、前述の止弁で、給油停止時には弁
体を開口側に突出させて管路を閉塞し、また給油時には
開弁するように構成されている。４０は、止弁３６をバ
イパスする管で、ここには管路１２側の圧力が陽圧とな
ったときに開弁する逆止弁４１が設けられている。

【００１７】次ぎにこのように構成した装置の動作を図
４に示したフローチャートに基づいて説明する。ノズル
掛け１６から給油ノズル１３が外されてノズルスイッチ
１７がオンになると（ステップ イ）、制御装置５は、
表示器６を帰零させるとともに、圧縮空気供給源に接続
する弁９を励磁して開放させる（ステップ ロ）。これ
によりエジェクタ８に圧縮空気が流れ込んで吸引口２３
に負圧が発生する。

【００１８】この状態においてはレバー３４が下げられ
ているので、ベーパ吸引管３５に連通する弁３６は閉じ
られた状態となっている。このため、管路１２に強力な
陰圧が作用することになって、圧力センサー１４のダイ
ヤフラム１４ａが陰圧スイッチ手段２６の側に引き寄せ
られて陰圧スイッチ手段２６から信号が出力することに
なる（ステップ ハ）。

【００１９】この状態でノズル管３２を自動車燃料タン
クに挿入して給油レバー３４を引き上げると、ベーパ吸
引管３５の弁３６が開放されて、吸引管３５が自動車燃
料タンクに連通して吸引管１２の陰圧の絶対値が低下す
る。

【００２０】これにより圧力センサー１４のダイヤフラ
ム１４ａが元の位置に復帰して陰圧スイッチ手段２６か
らの信号が消失する（ステップ ニ）。

【００２１】この状態ではエジェクタ８の陰圧を受けて
自動車燃料タンク内のベーパが吸引管３５、管路１２を
通ってセンサー室１１流れ込む。

【００２２】制御装置５は、スイッチ手段２６の信号が
消失した時点から一定の時間Ｔ１、例えば３秒が経過し
た段階（ステップ ホ）、ガスセンサー１５からの信号
を取り込んで自動車燃料タンク内の燃料油の種類を判定
する（ステップ ヘ）。

【００２３】もとよりこの時点では自動車燃料タンクの
ベーパが確実にガスセンサー１５に到達しているから、
自動車燃料タンクに収容されている燃料油の種類を確実
に判定することができる。

【００２４】判定の結果、予め登録されている油種と一
致する場合には（ステップ ト）、エジェクタ８の圧縮
空気供給元弁９を消勢して閉じ、ベーパの吸引を終了
し、モータ１９を作動させる（ステップ チ）。

【００２５】給油量が所定値に達して給油レバー３４が
下げられると、主弁３１が閉じて燃料油の吐出が停止
し、同時にベーパ吸引管３５の弁３６が閉じられる。

【００２６】ノズル１３がノズル掛け１６にセットされ
てノズルスイッチ１７がオフになると（ステップ
リ）、制御装置５はモータ１９をオフにした後（ステッ
プ ヌ）、エジェクタ８の圧縮空気供給用元弁９を励磁
して開弁するとともに、吐出側の弁１０を励磁して閉じ
る（ステップ オ）。

【００２７】これにより、圧縮空気は吸引口２３からベ
ーパ吸引管３５に流れ込み、逆止弁４１を開弁させて大
気に流出する。この過程でセンサー室１１に残留してい
たベーパが排出され、ガスセンサー１５が新鮮な空気で
掃気される。このようにして所定時間Ｔ２、例えば５秒
が経過した段階で（ステップ ワ）、エジェクタ８の圧
縮空気供給用元弁９を閉じるとともに、吐出側の弁１０
を開放し（ステップカ）、次の給油に備える。

【００２８】ステップ（ト）の油種判定の結果、予め登
録されている油種と相違した場合には、制御装置は、エ
ジェクタ８の圧縮空気供給用元弁９を閉じてガスセンサ
ー室１１へのベーパの流入を阻止するとともに、警報器
１８を作動させてオペレータに油種の確認を促す（ステ
ップ ヨ）。

【００２９】油種判定の結果、給油を実行することなく
給油ノズル１３がノズル掛け１６にセットされてノズル
スイッチ１７がオフになった時点で（ステップ タ）、
警報器１８の動作を停止させ（ステップ レ）、エジェ
クタ８の圧縮空気供給用元弁９を開くとともに、吐出側
の弁１０を閉じる（ステップ オ）。

【００３０】これにより、圧縮空気は、エジェクタ８の
吸引口２３から吸引管３５に流れ込み、逆止弁４１を開
いて先端から大気に吐出する。この過程でガスセンサー
室１１に残留していたベーパが排出される。このように
して所定時間Ｔ２が経過した時点で、エジェクタ８の圧
縮空気供給用元弁９を閉じるとともに、吐出側の弁１０
を開ける（ステップ カ）。

【００３１】一方、自動車燃料タンクの燃料油が満タン
の場合に誤って給油ノズル１３を挿入すると、ベーパ吸
引管３５の先端が燃料油に浸漬されることになる。

【００３２】この状態で給油レバー３４を引くと、吸引
管３５は燃料油を吸い上げることになるため、ベーパに
比較して吸引負荷が大きくなって吸引管３５が直ちに陰
圧となる。この結果、陰圧スイッチ手段２６が直ちに信
号を出力する（ステップ ソ）。

【００３３】制御装置５は、エジェクタ８の吐出側の弁
１０を閉じて、吸引管１２に圧縮空気を供給して吸引さ
れた燃料油を排出させる一方、警報器１８を作動させて
オペレータに注意を促す（ステップ ツ）。

【００３４】このようにして燃料油が全て排出されるに
要する時間Ｔ３、例えば２秒が経過した時点で（ステッ
プ ネ）、エジェクタ８の圧縮空気供給用元弁９を閉じ
る（ステップ ナ）。これによりガスセンサー１５が燃
料油に浸漬されしまうといった事故を未然に防止するこ
とができる。

【００３５】自動車燃料タンクから給油ノズル１３が引
き出されてノズルスイッチ１６がオフになると（ステッ
プ タ）、警報器１８の動作を停止させる（ステップ
レ）。

【００３６】ついで制御装置５は、エジェクタ８の圧縮
空気供給用元弁９を開くとともに、吐出側の弁１０を閉
じる（ステップ オ）。これにより、圧縮空気は吸引口
２３からベーパ吸引管３５に流れ込み、逆止弁４１を開
いて先端から吐出する。

【００３７】このようにして所定時間Ｔ２が経過した時
点で（ステップ ワ）、エジェクタ８の圧縮空気供給用
元弁９を閉じるとともに、吐出口側の弁１０を開放する
（ステップ カ）。

【００３８】なお、この実施例においてはベーパ吸引管
への陰圧、陽圧の供給をエジェクタにより行っている
が、排気ポンプの流流入口と吐出口に切換弁を介してベ
ーパ吸引管を接続しても同様の作用を奏することは明ら
かである。

【００３９】

【発明の効果】以上説明したように本発明おいては、給
油ポンプ、流量計測手段、及び給油ノズルからなる給油
機構と、給油ノズルの先端に開口し、途中にガスセンサ
ーを備えたべーパ吸引管と、ガスセンサーの出力に基づ
いて油種を判定する油種判定手段と、油種判定までは前
記べーパ吸引管に陰圧を供給し、また油種判定後に陽圧
を供給する陰圧陽圧発生千段と、べーパ吸引管の途中に
設けられ、給油ノズルの給油レバーに連動して開弁する
弁手段と、べーパ吸引管に供給される陽圧により開弁す
る弁手段とを備えたので、給油レバーにより開弁されて
ベーパ吸引管の圧力が上昇するから、これを検知するこ
とにより油種判定までの時間を正確に設定でき、また油
種判定後にはベーパ吸引管に供給される陽圧より管路を
大気に開放して吸引されたベーパを確実に排出すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す装置の構成図である。

【図２】陰圧発生手段からガスセンサー室に至るまでの
構成を示す図である。

【図３】給油ノズルの一実施例を示す要部断面図であ
る。

【図４】同上装置の動作を示すフローチャートである。

【符号の説明】

１ 給油ポンプ ２ 流量計 ３ 給油ホース ４ 流量パルス発信器 ５ 制御装置 ６ 表示器 ７ 陰圧発生手段 ８ エジェクタ ９ 圧縮空気供給用元弁 １０ 弁 １１ ガスセンサー室 １２ 管路 １４ 圧力センサー １５ ガスセンサー １７ ノズルスイッチ ２６ 陰圧スイッチ手段 ３１ 主弁 ３４ 給油レバー ３５ ベーパ吸引管 ３６ 弁 ４０ バイパス管 ４１ 逆止弁

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 給油ポンプ、流量計測手段、及び給油ノ
   ズルからなる給油機構と、前記給油ノズルの先端に開口
   し、途中にガスセンサーを備えたべーパ吸引管と、前記
   ガスセンサーの出力に基づいて油種を判定する油種判定
   手段と、油種判定までは前記べーパ吸引管に陰圧を供給
   し、また油種判定後に陽圧を供給する陰圧陽圧発生千段
   と、前記べーパ吸引管の途中に設けられ、前記給油ノズ
   ルの給油レバーに連動して開弁する弁手段と、前記べー
   パ吸引管に供給される陽圧により開弁する弁手段とから
   なる油種判定機能を備えた給油装置。