JP2607146Y2 - 車両の後軸操舵装置 - Google Patents

車両の後軸操舵装置

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JP2607146Y2
JP2607146Y2 JP1993009496U JP949693U JP2607146Y2 JP 2607146 Y2 JP2607146 Y2 JP 2607146Y2 JP 1993009496 U JP1993009496 U JP 1993009496U JP 949693 U JP949693 U JP 949693U JP 2607146 Y2 JP2607146 Y2 JP 2607146Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、操舵のために特別な動
力を必要としない車両の後軸操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】左右両輪を1本のリヤアクスルで連結し
たいわゆるリジッドアクスル式の懸架装置を備えた車両
においては、特別な動力を必要とせずに後軸を操舵して
車両の旋回中の安定性を増大する装置として、本願出願
人により提案された実開平4−45106号公報に開示
される装置が知られており、車体に対して水平方向で変
位可能に支持されたリヤアクスルの後方に立設した軸と
車体に支持されたロッドとをブッシュを介して結合し、
車両の旋回時にリヤアクスルへ加わるコーナリングフォ
ース(横方向の加速度)に基づくリヤアクスルと車体の
相対変位によってブッシュを変形させることでリヤアク
スルを前軸操舵方向と同位相、すなわち、アンダーステ
ア側へ操舵するものである。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の装置では、リヤアクスルの操舵方向が前軸の操舵方
向と同位相であるため、旋回中の安定性は向上する一
方、旋回開始時の立ち上がり(車両のヨー軸回りの運
動)は後軸操舵装置を持たない車両と同様に遅れてしま
うという問題点があった。
【0004】そこで本考案は、特別な動力を必要とせず
に車両の旋回中の安定性を向上させるとともに、旋回開
始時の立ち上がりも向上させた車両の後軸操舵装置を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本考案は、リアアクスル
を車体に対して変位可能に支持する懸架装置において、
リヤアクスルにその中心線上でアクスル軸線よりも前方
に位置して車体の上下方向に立設される第1の軸と、リ
ヤアクスルにその中心線上でアクスル軸線よりも後方に
位置して同じく上下方向に立設される第2の軸と、リア
アクスル前方の車体にV字形状の両端部で上下方向へ回
動可能に支持される第1のロッドと、このV字形状の中
央部に形成される第1のホルダと、リアアクスル後方を
車幅方向へ延びて車体に基端部で上下方向へ回動可能に
支持される第2のロッドと、この先端部に形成される第
2のホルダと、第1のホルダに第1の軸を変位可能に支
持する弾性部材からなる第1のブッシュと、第2のホル
ダに第2の軸を変位可能に支持する第1のブッシュより
もバネ定数の低い弾性部材からなる第2のブッシュと第
2の軸の最大許容変位量を第1の軸の最大許容変位量よ
りも小さく規制する手段と、を備える。
【0006】
【作用】車両の旋回に伴って発生するコーナリングフォ
ース(車両の横方向の加速度)が増大し、車体とこれに
対して変位可能に支持されたリアアクスルは、車体を横
切る方向(アクスル軸方向)へ相対変位し、第1のブッ
シュおよび第2のブッシュを変形させる。第2のブッシ
ュの方が第1のブッシュよりもバネ定数が小さく、コー
ナリングフォースが比較的小さいうちは、第2の軸の変
位量が第1の軸の変位量よりも(第2のブッシュの変形
量が第1のブッシュの変形量よりも)大となり、この変
位量の差に基づいてリアアクスルは旋回方向に対して逆
位相(すなわち、オーバステア側)に操向され、操舵開
始時の立ち上がりを向上させる。
【0007】コーナリングフォースがさらに増大する
と、第2の軸は規制手段により最大許容変位量に制限さ
れるが、第1の軸はその最大許容変位量が第2の最大許
容変位量よりも大きいため、その規制位置へ第1のブッ
ショをさらに変形させながら変位する。このため、第2
の軸の変位量と第1の軸の変位量が逆転し、第1の軸の
変位量が大となり、この変位量の差に基づいてリアアク
スルは旋回方向に対して同位相(すなわち、アンダース
テア側)に操向され、旋回中の安定性を向上させる。
【0008】
【実施例】図1〜6にリジッドアクスル懸架装置を備え
たトラックのリヤアクスルに本考案を適用した実施例を
示す。
【0009】図1〜3に示すように、1は図示しないト
ラックの車体で、後輪21を支持するリヤアクスル2は
車体1とほぼ平行に後輪21に近接して配設されたリー
フスプリング3、3で構成されたいわゆるリジッドアク
スル懸架装置により支持される。
【0010】リヤアクスル2の車体1を横断する方向、
すなわち、軸方向の中央には図示しないディファレンシ
ャルギアを収装したハウジング20が一体に形成され
る。
【0011】このハウジング20のリヤアクスル2より
前方の上部には車体1の上下方向(路面に対する鉛直方
向)に軸6(第1の軸)が、ハウジング20のリヤアク
スル2より後方の上部には同じく上下方向に軸7(第2
の軸)が、車体中心線上でそれぞれ所定の高さに立設さ
れる。
【0012】リヤアクスル2より前方の車体1の所定の
位置にはほぼV字状に形成されたV字ロッド4が配設さ
れ、V字ロッド4の基端を車体1の上下方向で回動可能
に支持するためのブラケット11、12がリヤアクスル
2とほぼ平行な所定の位置でそれぞれ固設される。
【0013】V字ロッド4は図4に示すように、車体1
の前方に向けて基端を所定の角度で開いたロッド4a、
4bにより構成され、ロッド4a、4bの途中には車体
1を横断する方向に配設された支持部材4cが結合す
る。
【0014】そして、ロッド4a、4bの基端にはブッ
シュ44を介して円筒部材で形成されたカラー43を収
装する円筒状のホルダ42をそれぞれ固設し、このホル
ダ42が車体1のホルダ11、12と係合するととも
に、ホルダ11、12及びカラー43に挿通した図示し
ないピンによりV字ロッド4は車体1の上下方向で回動
可能に支持される。なお、V字ロッド4の回動軸はブラ
ケット11、12を結ぶ線、すなわち、リヤアクスル2
とほぼ平行な軸となる。
【0015】さらに、V字ロッド4の自由端には、ほぼ
長円形の断面を備えた筒状部材で形成されるホルダ40
(第1ホルダ)を固設する。ホルダ40は長円形の長軸
を車体1を横断する方向に配設するとともに、その筒の
軸線を車体1のほぼ上下方向に向けて配設され、ホルダ
40の内側には所定のバネ定数(弾性)を備えたブッシ
ュ8(第1のブッシュ)が固設される。
【0016】ブッシュ8はホルダ40の相似形により形
成され、長円形の長軸の中心には貫通孔80を備えてお
り、この貫通孔80にハウジング20に立設した軸6を
挿通させ、図示しない締結手段により結合することでV
字ロッド4とリヤアクスル2とを連結する。
【0017】V字ロッド4は軸6を介してリヤアクスル
2の軸方向の変位をブッシュ8の弾性変形の範囲内で許
容する一方、車体1の前後方向へのリヤアクスル2の変
位を規制し、リーフスプリング3の作動に伴うリヤアク
スル2の上下方向への変位に追従する。
【0018】一方、リヤアクスル2より後方の車体1の
所定の位置には、リヤアクスル2とほぼ平行に配設され
たロッド5を車体1の上下方向で回動可能に支持するた
めのブラケット13が固設される。
【0019】ロッド5は図5、図6に示すように、円筒
状部材により形成されており、基端にはブッシュ51を
介して円筒部材で形成されたカラー53を収装する円筒
状のホルダ52を固設し、このホルダ52が車体1のホ
ルダ13と係合するとともに、ホルダ13及びカラー5
3に挿通したピン14によりロッド5は車体1で上下方
向に回動可能に連結される。
【0020】さらに、ロッド5の自由端には、前記ホル
ダ40と同様にほぼ長円形の断面を備えた筒状部材で形
成されるホルダ50(第2ホルダ)を固設する。ホルダ
50は長円形の長軸を車体1を横断する方向に配設する
とともに、その筒の軸線を車体1のほぼ上下方向に向け
て配設され、内周には所定のバネ定数(弾性)を備えた
ブッシュ9(第2のブッシュ)が固設される。このブッ
シュ9のバネ定数はホルダ40に収装されたブッシュ8
より低い値に予め設定され、また、ホルダ50の長軸は
ホルダ40の長軸より短い所定の値に設定される。
【0021】ブッシュ9はホルダ50の相似形により形
成され、長円形の長軸方向の中心には貫通孔90を備え
ており、この貫通孔90にハウジング20に立設した軸
7を挿通させ、ボルト60により結合することでロッド
5とリヤアクスル2とを連結する。ロッド5は軸7を介
してリヤアクスル2の軸方向の変位をブッシュ9の弾性
変形の範囲内で許容するとともに、リーフスプリング3
の作動に伴うリヤアクスル2の上下方向への変位に追従
する。
【0022】ブッシュ9に設けた貫通孔90の左右には
半円状の断面で形成される貫通孔91がそれぞれ設けら
れ、軸7の水平方向の変位(リヤアクスル2の軸方向の
変位)によるブッシュ9の変形を促進する。
【0023】リヤアクスル2とリーフスプリング3との
間にはリヤアクスル2を車体1に対して変位可能に支持
する手段としてのスプリングシート10が介装される。
【0024】スプリングシート10は図2に示すよう
に、車体1の前後方向に長穴状の貫通孔16を備えた角
柱部材で形成され、この貫通孔16にリヤアクスル2が
前後方向には摺動可能に収装する一方、リヤアクスル2
の回動を規制する。
【0025】以上のように構成され、次に作用について
説明する。
【0026】車両の直進時ではリヤアクスル2はV字ロ
ッド4のブッシュ8及びロッド5のブッシュ9の弾性付
勢力により車体1の中心線と直交するニュートラル位置
(操舵角=0)に保持されるとともに、リヤアクスル2
に加わる駆動力はV字ロッド4を介して車体1に伝達さ
れて車両は直進する。
【0027】図示しない操向輪としての前輪が操舵され
ると車体1は操舵方向に回頭して旋回を開始する。旋回
に伴ってリヤアクスル2には図7に示すようにコーナリ
ングフォース(横加速度)が加わり、車体1には旋回半
径の求心力の反力としての遠心力が加わって、リヤアク
スル2と車体1はリヤアクスル2の軸方向に相対変位を
生じる。
【0028】このリヤアクスル2と車体1との相対変位
に基づいてリヤアクスル2の前後に突設された軸6、7
がブッシュ8、9を変形することによりリヤアクスル2
の操舵が行われる。この様子を図8のモデルを参照して
詳述する。
【0029】旋回が開始されると図8において、コーナ
リングフォースによってリヤアクスル2と車体1との間
に相対変位が発生し、リヤアクスル2の軸6、7がV字
ロッド4とロッド5の端部に設けたブッシュ8、9を圧
縮変形させる。
【0030】ここで、ブッシュ8のバネ定数をK1、ブ
ッシュ9のバネ定数をK2とすると、これらバネ定数は
1>K2に設定されているため、ブッシュ8の変形量よ
りブッシュ9の変形量が大となって軸6の変位量より軸
7の変位量が大となる。軸6と軸7の変位量に差が発生
し、この変位量の差に基づいてリヤアクスル2はスプリ
ングシート10を介して図中−方向、すなわち、操向輪
と逆位相のオーバーステア側に回動する。
【0031】この逆位相への操舵により車体1にはヨー
軸(車体1の重心位置を鉛直方向に貫通する軸)回りの
回転が加えられ、車体1は旋回が開始されると旋回方向
に素早く回頭して旋回開始時における操舵の応答性を向
上することができる。
【0032】さらに、V字ロッド4及びロッド5の端部
に設けられた長円形のホルダ40、50の長軸の長さ
(軸6、7が変位可能な長さ)をそれぞれL1、L2とす
ると、L1>L2という関係を備えているため、旋回半径
の継続によりコーナリングフォースが増大すると、変位
量の大きい軸7はロッド5のホルダ50にその変位を規
制される一方、軸6はL1まで変位するため上記逆位相
への操舵時とは逆方向の軸6、7の変位量の差が発生
し、リヤアクスル2は図中+方向に回動して操向輪と同
位相であるアンダーステア側への操舵を行う。なお、こ
のアンダーステア側への操舵はホルダ40及びブッシュ
8が許容する軸6の最大変位量まで行われる。
【0033】したがって、図9に示すように、操舵開始
直後に操向輪と逆位相であるオーバーステア側(−側)
に操舵されたリヤアクスル2は、コーナリングフォース
の増大に伴って、今度は操向輪と同位相であるアンダー
ステア側(+側)へ操舵され、旋回中は所定の同位相側
の操舵角を確保することが可能となり、図10に示すよ
うに、旋回開始時には旋回方向へ素早く車両の向きを変
えることが可能となって操舵の応答性を向上させるとと
もに、旋回中には所定の同位相の操舵角を確保して車両
の安定性を向上することが可能となる。
【0034】図11は他の実施例を示し、上記実施例に
おいてはV字ロッド4の回動を上下方向のみ許容してい
たが、V字ロッド4とほぼ同様に構成されたV字ロッド
41の基端をブッシュ82を介して車体1に固設された
ブラケット11a、12aで支持し、V字ロッド41を
リヤアクスル2の軸方向にも変位可能にしたもので、V
字ロッド41は自由端に設けた円筒状のカラー42を介
して軸6に結合されるとともに、ブッシュ82のバネ定
数をブッシュ9より大きく設定され、その他の構成は前
記第1の実施例と同様である。
【0035】V字ロッド41のカラー42はリヤアクス
ル2の軸方向及び車体1の上下方向に変位可能となり、
前記第1の実施例と同様にコーナリングフォースに応じ
た軸6、7の変位量の差に基づいてリヤアクスル2の操
舵を行うことができる。
【0036】
【考案の効果】以上のように本考案は、特別な動力を必
要とせずに操舵開始直後にリヤアクスルを旋回方向の逆
位相に操舵した後、コーナリングフォースの増大に伴っ
て旋回方向と同位相へリヤアクスルを操舵するため、旋
回開始時には旋回方向へ素早く車両の向きを変えること
が可能となって操舵の応答性を向上させるとともに、旋
回中には所定の同位相の操舵角を確保して車両の安定性
を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例を示す平面図である。
【図2】リーフスプリングとリヤアクスルの連結部を示
す側面図である。
【図3】同じく背面図である。
【図4】V字ロッドの拡大図である。
【図5】ロッドの正面図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】作用を説明する概念図である。
【図8】同じくリヤアクスルまわりの概念図である。
【図9】コーナリングフォースと操舵角の関係を示す図
である。
【図10】作用を説明する操舵の概念図である。
【図11】他の実施例を示すV字ロッドの概略図であ
る。
【符号の説明】
1 車体 2 リヤアクスル 4 V字ロッド 5 ロッド 6 軸 7 軸 8 ブッシュ 9 ブッシュ 10 スプリングシート 50 ホルダ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60G 9/00 - 9/04

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】リアアクスルを車体に対して変位可能に支
    持する懸架装置において、リヤアクスルにその中心線上
    でアクスル軸線よりも前方に位置して車体の上下方向に
    立設される第1の軸と、リヤアクスルにその中心線上で
    アクスル軸線よりも後方に位置して同じく上下方向に立
    設される第2の軸と、リアアクスル前方の車体にV字形
    状の両端部で上下方向へ回動可能に支持される第1のロ
    ッドと、このV字形状の中央部に形成される第1のホル
    ダと、リアアクスル後方を車幅方向へ延びて車体に基端
    部で上下方向へ回動可能に支持される第2のロッドと、
    この先端部に形成される第2のホルダと、第1のホルダ
    に第1の軸を変位可能に支持する弾性部材からなる第1
    のブッシュと、第2のホルダに第2の軸を変位可能に支
    持する第1のブッシュよりもバネ定数の低い弾性部材か
    らなる第2のブッシュと、第2の軸の最大許容変位量を
    第1の軸の最大許容変位量よりも小さく規制する手段
    と、を備えたことを特徴とする車両の後軸操舵装置。
JP1993009496U 1993-03-08 1993-03-08 車両の後軸操舵装置 Expired - Fee Related JP2607146Y2 (ja)

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