JP2602680B2 - 起泡性組成物及びその製造法 - Google Patents

起泡性組成物及びその製造法

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JP2602680B2 JP62334609A JP33460987A JP2602680B2 JP 2602680 B2 JP2602680 B2 JP 2602680B2 JP 62334609 A JP62334609 A JP 62334609A JP 33460987 A JP33460987 A JP 33460987A JP 2602680 B2 JP2602680 B2 JP 2602680B2
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伍呂 山本
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、分岐サイクロデキストリンによりモノグリ
セライドを可溶化した、起泡性組成物及びその製造法に
関するものである。
「従来技術と問題点」 モノグリセライドは、一般に水に溶解せず分散し難い
が、水との混合比を変え、さらに温度を変えると種々な
相図ができる。例えば飽和モノグリセライドの1つであ
る1−モルパルミチンの場合、常温では固体(β−結
晶)であるが、水を20〜30重量%加え、約60℃に加熱す
ると中間相が得られる。これはニート層といわれ、モノ
パルミチン2分子が脂肪酸基を互いに内側に向けたミセ
ル構造を呈し、2分子同志の間に水分子が存在する状態
となっている。このニート層が冷却されるとゲル状とな
る。この構造はやはりラメウ層であるが、脂肪酸基が結
晶する温度である。この温度は約54℃で、これ以下では
準安定ゲルがα−結晶と水になり、次第にβ−結晶と水
に戻る。ニート層をさらに加熱すると、相転移が起こり
立方相(粘性イソトロピック相)になる。一般にモノグ
リセライド等の親油性乳化剤は起泡力が弱いが、モノグ
リセライドはラメウ層、α−結晶のものに起泡力があ
る。β−結晶は起泡力が弱い。前述したように、モノグ
リセライドを溶融すると冷却直後はα−結晶であるが、
β−結晶へ速やかに移行する。発明者等のX線測定結果
によれば、飽和モノグリセライド(理研ビタミン(株)
エコルジーMS)は溶融直後はα−結晶であるが、25℃、
2日後ではβ−結晶由来の回折像を示し、7日後はほと
んどβ−結晶になっている。このモノグリセライドのα
−結晶を保持するために種々の工夫がなされている。
例えば、親水性ショ糖脂肪酸エステルとの併用により
ラメウ型の液晶分散させたり、プロピレングリコール脂
肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチ
ン、ソルビタン脂肪酸エステル等と組み合わせてα−結
晶、又はラメウ構造を保持する多くの試みがなされてい
る。
しかし乍ら、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレン脂肪
酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチ
ン、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤は独特のいや
な味があり、多量に使用するには支障が多く、モノグリ
セライド単独で良好な起泡性を発揮させることが望まれ
てきた。
「問題点を解決するための手段」 本発明者らは、かかる実情に鑑み、モノグリセライド
の起泡性を向上させるべく鋭意検討した結果、分岐サイ
クロデキストリンにより可溶化されたモノグリセライド
が良好な起泡性を発揮することを見出し、本発明を完成
させた。
即ち、本発明の第1は、分岐サイクロデキストリンを
含有する水溶液に可溶化したモノグリセライドからな
る、起泡性組成物を、 本発明の第2は、分岐サイクロデキストリン及びモノ
グリセライドの粉末状混合物であり、該モノグリセライ
ドが水に可溶性である、起泡性粉末状組成物を、 本発明の第3は、分岐サイクロデキストリンを含有す
る水溶液にモノグリセライドを添加・混合することを特
徴とするモノグリセライドが可溶化した、起泡性組成物
の製造法を、 本発明の第4は、分岐サイクロデキストリンを含有す
る水溶液にモノグリセライドを添加・混合し、生成する
不溶物を除去することを特徴とするモノグリセライドが
可溶化した、起泡性組成物の製造法を、 本発明の第5は、分岐サイクロデキストリンを含有す
る水溶液にモノグリセライドを添加・混合し、生成する
不溶物を除去した後、さらにモノグリセライドを添加・
混合することを特徴とするモノグリセライドが可溶化し
た、起泡性組成物の製造法を、 本発明の第6は、分岐サイクロデキストリンを含有す
る水溶液にモノグリセライドを添加・混合してモノグリ
セライドを可溶化し、得られた混合物を乾燥させること
を特徴とする、起泡性粉末状組成物の製造法を、 本発明の第7は、分岐サイクロデキストリンを含有す
る水溶液にモノグリセライドを添加・混合し、生成する
不溶物を除去した後、さらにモノグリセライドを添加・
混合してモノグリセライドを可溶化し、得られた混合物
を乾燥させることを特徴とする、起泡性粉末状組成物の
製造法を、それぞれ内容とするものである。
本発明に使用する分岐サイクロデキストリンは、他の
サイクロデキストリン等を含有するものであっても差し
支えない。
サイクロデキストリンにはブドウ糖が6個環状に結合
したα−サイクロデキストリン、7個環状に結合したβ
−サイクロデキストリン、8個環状に結合したγ−サイ
クロデキストリン、又、9個以上環状に結合したδ−サ
イクロデキストリン、ε−サイクロデキストリン等が知
られている。又α−、β−、γ−等のサイクロデキスト
リンにブドウ糖1個を結合させたG1−α−サイクロデキ
ストリン、G1−β−サイクロデキストリン、G1−γ−サ
イクロデキストリン等のグルコシルサイクロデキストリ
ン、ブドウ糖2個のマルトースを結合させたG2−α−サ
イクロデキストリン、G2−β−サイクロデキストリン、
G2−γ−サイクロデキストリン等のマルトシルサイクロ
デキストリン、ブドウ糖3個のマルトトリオースを結合
させたG3−α−サイクロデキストリン、G3−β−サイク
ロデキストリン、G3−γ−サイクロデキストリン等のマ
ルトトリオシルサイクロデキストリン、グルコシル基、
マルトシル基、マルトトリオシル基をサイクロデキスト
リンの2位以上に結合させたG1・G1−、G1・G2−、G2
G2−等のサイクロデキストリンに代表される分岐サイク
ロデキストリンが知られている。
分岐サイクロデキストリンの製造法としては、プルラ
ナーゼの逆反応を利用して、サイクロデキストリンにマ
ルトースをα−1,6結合させ、マルトシルサイクロデキ
ストリン等の分岐サイクロデキストリンを製造する方
法、高濃度のマルトースとサイクロデキストリンの溶液
にBacillus sp.の生産する耐熱性プルラナーゼを高温で
長時間作用させることにより、マルトシルサイクロデキ
ストリンを製造する方法、イソアミラーゼの逆反応を利
用してサイクロデキストリンにマルトトリオースをα−
1,6結合させてマルトトリオシルサイクロデキストリン
を製造する方法等があり、「イソエリート(商品名)、
塩水港精糖(株)製」等が商品化されている。これらの
方法で製造される市販されている分岐サイクロデキスト
リンの1つにα−サイクロデキストリン、β−サイクロ
デキストリン、γ−サイクロデキストリン等の非分岐サ
イクロデキストリン、分岐−α−サイクロデキストリ
ン、分岐−β−サイクロデキストリン、分岐−γ−サイ
クロデキストリン、グルコース、マルトース、マルトト
リオース、デキストリンの混合物がある。第1表に、代
表的な市販品「イソエリート」の組成分析例(カタログ
値)を示す。
本発明に使用するモノグリセライドは特に限定されな
い。例えばモノパルミチン、モノステアリン、モノラウ
リン等の飽和モノグリセライド、モノオレイン、モノリ
ノール等の不飽和モノグリセライド、及びそれらの混合
物等が使用される。又、モノグリセライドは位置異性体
としてグリセリンの1−位に脂肪酸基がついているも
の、2−位に脂肪酸基がついているものがあるが、いず
れも使用される。モノグリセライドは水に溶けないが、
水との混合比を変え、更に温度を変えると、いろんな相
図ができる。
例えば飽和モノグリセライドの場合、常温では固体
(β−結晶)であり、温度が上昇するとα−ゲル構造を
とり、更に温度が上昇すると水との比率によってニート
構造、ラメウ構造、Dispersion構造、Viscous Isotropi
c構造、Fluid Isotropic構造等をとる。
本発明においては、分岐サイクロデキストリンを含有
するサイクロデキストリンとモノグリセライドの混合
は、モノグリセライドがどういう構造をとっていても良
いが、好ましくは溶融状態、即ち、α−ゲル構造、ニー
ト構造、ラメウ構造、Dispersion構造、Viscous Isotro
pic構造、Fluid Isotropic構造等の状態で行う。
本発明においては、分岐サイクロデキストリンを含有
するサイクロデキストリン水溶液にモノグリセライドを
添加・混合し生成する不溶物を除去することがあるが、
この際生成する不溶物はα−サイクロデキストリンとモ
ノグリセライドの不溶性包接物と考えられる。この不溶
性包接物は分岐サイクロデキストリンによるモノグリセ
ライドの可溶化及び起泡性を阻害しないと考えられる
が、得られるペーストの透明感を妨げることがあるの
で、好ましくは除去した方が良い。この場合、α−サイ
クロデキストリンとモノグリセライドの包接による、サ
イクロデキストリン中のα−サイクロデキストリン含量
を5%(HPCC分析面積比)以下程度にまで減少させると
透明感を妨げることがない。上記不溶物を除去した後、
更にモノグリセライドを添加・混合すると一層容易に可
接化される。本発明において達せられる分岐サイクロデ
キストリンによるモノグリセライドの可溶化量は、分岐
サイクロデキストリン水溶液の濃度に依存するが、60重
量%イソエリート濃度においては約5重量%程度と考え
られる。分岐サイクロデキストリン濃度が高くなると一
層可溶化し、分岐サイクロデキストリン濃度が低いと可
溶化量も低下する。本発明において、上記の如く可溶化
して得られた混合物を乾燥させ粉末化しても良い。
「作用・効果」 本発明により、起泡性に優れた組成物を得ることが可
能となる。
本発明において、モノグリセライドは分岐サイクロデ
キストリン水溶液により可溶化の状態として、又はモノ
グリセライドと分岐サイクロデキストリンを含む粉末状
混合物を水に溶解した時にモノグリセライドは分岐サイ
クロデキストリンに可溶化する状態として存在する。
前述したように、従来モノグリセライドの起泡性を向
上させるためには、ラメウ層又はα−結晶として保持さ
せる必要があり、他の風味の面からは好ましくない他の
乳化剤を併用させる必要があったが、本発明は分岐サイ
クロデキストリンに可溶化したモノグリセライドが示す
良好な起泡性に基づくものであり、他の乳化剤の併用を
基本的には必要とせず、又、モノグリセライドの温度に
よる相図の変化等を考慮する必要もない。即ち、本発明
においては、起泡性は低温(0℃付近)から高温(90℃
付近)まで基本的には大差ない。
本発明の起泡性組成物はモノグリセライド等の起泡性
を要するもの、例えば食パン、ケーキ、ホイップクリー
ム、マーガリン、ショートニング等の製造等に広く利用
できる。
「実施例」 以下、本発明を実施例にて説明するが、本発明はこれ
のみに限定されるものではない。
実施例1 イソエリート粉末品(塩水港精糖(株)、全サイクロ
デキストリン含量約80%)600gに水400g、エマルジーMS
〔理研ビタミン(株)製、モノステアリン70%、モノパ
ルミチン30%〕15gを加え、60〜90℃の温度でT.Kホモミ
キサー〔特殊機化工業(株)〕で30分間混合し、室温ま
で冷却してペーストを得た。
実施例2 実施例1で得た混合品中の不溶物をメンブランフィル
ターで濾別除去した。
実施例3 イソエリート粉末品600gに水400g、エマルジーMS15g
を加え、60〜90℃の温度でT.Kホモミキサーで30分間混
合した。この混合物を20倍重量の水で希釈し、希釈前か
ら存在していた不溶物及び希釈により生成した不溶物を
濾別分離した。得られた水相を凍結乾燥により粉末化し
た。
実施例4 実施例3で得られた粉末600gに水を400g加え、更にエ
マルジーMS30gを加え、60〜90℃の温度でT.Kホモミキサ
ーで30分間混合し、室温まで冷却してペーストを得た。
実施例5 実施例4で得られたペーストを凍結乾燥して粉末を得
た。
実施例6 実施例3で得られた粉末600gに水を400g加え、更にエ
マルジーMS10gを加え、60〜90℃の温度でT.Kホモミキサ
ーで30分間混合し、室温まで冷却してペーストを得た。
実施例7 実施例6で得られたペーストを凍結乾燥して粉末を得
た。
上記実施例1〜7で得られたペースト又は粉末の起泡
性を評価するため、適量の水を添加してホバートミキサ
ーを用いホイッパー撹拌ペラ中速にて常温でホイップさ
せ、比重の変化を測定した。又、対照としてイソエリー
ト60重量%水溶液、及び水300gにエマルジーMS粉末9gを
加えたものの常温での起泡性を測定した。その結果を第
2表に示す。
第2表から明らかなように、本発明の分岐サイクロデ
キストリンにより可溶化したモノグリセライドは、常温
で良好な起泡性を示す。一方、エマルジーMS等のモノグ
リセライド粉末(即ち、β−結晶)は同条件下で全く起
泡性を示さない。
又、実施例2、3において、不溶物を除去した後のサ
イクロデキストリンの組成をHPCCで分析した。その結
果、α−サイクロデキストリンは各々2%(面積比)程
度にまで減少していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01F 17/42 B01F 17/42

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分岐サイクロデキストリンを含有する水溶
    液により可溶化したモノグリセライドからなる、起泡性
    組成物。
  2. 【請求項2】分岐サイクロデキストリンを含有するサイ
    クロデキストリン中のα−サイクロデキストリン含量が
    5重量%以下である特許請求の範囲第1項記載の組成
    物。
  3. 【請求項3】分岐サイクロデキストリン及びモノグリセ
    ライドの粉末状混合物であり、該モノグリセライドが水
    に可溶性である、起泡性粉末状組成物。
  4. 【請求項4】分岐サイクロデキストリンを含有する水溶
    液にモノグリセライドを添加・混合することを特徴とす
    るモノグリセライドが可溶化した、起泡性組成物の製造
    法。
  5. 【請求項5】分岐サイクロデキストリンを含有する水溶
    液にモノグリセライドを添加し、該モノグリセライドが
    溶融している温度域で混合し、その後常温まで冷却する
    特許請求の範囲第4項記載の製造法。
  6. 【請求項6】分岐サイクロデキストリンを含有する水溶
    液にモノグリセライドを添加・混合し、生成する不溶物
    を除去することを特徴とするモノグリセライドが可溶化
    した、起泡性組成物の製造法。
  7. 【請求項7】分岐サイクロデキストリンを含有する水溶
    液とモノグリセライドの混合を、モノグリセライドが溶
    融している温度域で行う特許請求の範囲第6項記載の製
    造法。
  8. 【請求項8】分岐サイクロデキストリンを含有する水溶
    液にモノグリセライドを添加・混合し、生成する不溶物
    を除去した後、さらにモノグリセライドを添加・混合す
    ることを特徴とするモノグリセライドが可溶化した、起
    泡性組成物の製造法。
  9. 【請求項9】分岐サイクロデキストリンを含有する水溶
    液とモノグリセライドの混合、及び該操作により生じた
    不溶物を除去した後のモノグリセライドの混合を、モノ
    グリセライドが溶融している温度域で行う特許請求の範
    囲第8項記載の製造法。
  10. 【請求項10】分岐サイクロデキストリンを含有する水
    溶液にモノグリセライドを添加・混合してモノグリセラ
    イドを可溶化し、得られた混合物を乾燥させることを特
    徴とする起泡性粉末状組成物の製造法。
  11. 【請求項11】分岐サイクロデキストリンを含有する水
    溶液にモノグリセライドを添加・混合し、生成する不溶
    物を除去した後、さらにモノグリセライドを添加・混合
    してモノグリセライドを可溶化し、得られた混合物を乾
    燥させることを特徴とする、起泡性粉末状組成物の製造
    法。
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