JP2600343B2 - 防菌防黴剤組成物 - Google Patents

防菌防黴剤組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、防菌防黴剤組成物に関し、更に詳しくは、
水分や水性汚れ、油汚れ、黴、バクテリアなどの発生を
防止すべき対象物、例えば皮革製品、靴類、雨具類、衣
類および浴室内壁、更に屋内外の建材等に適用して、こ
れら対象物を雨や水滴、湿気等の水分から保護し、かつ
不快感を生じる黴やバクテリアが原因で発生する悪臭を
同時に防除することのできる防菌防黴剤組成物に関す
る。
〈従来の技術〉 日常利用する皮革製品、特に皮靴、皮製ジャンパー、
皮製バック等や、スニーカー、ブーツを含む靴類、レイ
ンコート、傘等の雨具類およびスポーツ衣類を含む洋服
や和服の衣類は、屋外での雨や、水たまりおよび水しぶ
き等の汚れを含んだ水滴等にさらされる機会が非常に多
い。これらの水や汚れの害から上記のような日用品を簡
易的に保護する目的で、種々の撥剤によりスプレー等で
表面処理する為の組成物が既に市販され、普及してい
る。これらの撥剤は撥水効果を有すると共に泥汚れや、
油汚れを軽減することもできる。
一方、上記日用品や、浴室内壁および屋内外の建材等
では、雨や水滴の付着や高湿に伴い黴やバクテリアによ
る素材の品質劣化や不快感が大きな問題となる。これら
を防ぐ目的で、防菌防黴剤を加えたスプレー製剤、ある
いは樹脂、塗料等に練り込んだ塗布用製剤が既に普及し
ている。
しかし、上記の二つの作用を同時にしかも簡易に利用
できるような表面処理剤は、一般消費者より切望されて
いるにもかかわらず、未だ十分にその要望を満たす製品
の開発は行なわれていない。
〈発明が解決しようとする課題〉 本発明の課題は、素材(被表面処理材)の品質を損な
うことなく、素材に防菌防黴効果と撥水および/または
撥油効果とを同時にしかも簡便に付与できる防菌防黴組
成物を提供することにある。
〈課題を解決するための手段〉 本発明は、上記課題を解決する為、(A)防菌防黴
剤、(B)フッ素系撥剤および/またはシリコーン系撥
剤ならびに(C)有機溶剤からなり、(A)と(B)と
の重量比が100:1〜1:100であり、(A)および(B)が
合計で(C)に対して0.001〜50重量%の割合で溶解さ
れていることを特徴とする防菌防黴剤組成物を提供する
ものである。
本発明の防菌防黴剤組成物に配合する防菌防黴剤とし
ては、既知のものがいずれも好適に使用できるが、好ま
しい例としては以下の化合物を挙げることができる。
N−ハロメチル基を有する化合物(例えば、N−トリ
クロルメチルチオテトラヒドロフタルイミド、N−トリ
クロルメチルチオフタルイミド、N−フルオロジクロル
メチルチオフタルイミド、N−1,1,2,2−テトラクロル
エチルチオテトラヒドロフタルイミド、N,N−ジメチル
−N′−(フルオロジクロルメチルチオ)−N′−フェ
ニルスルファミド等)、 ベンズイミダゾール系およびベンゾチアゾール系化合
物(例えば、チアベンダゾール、2−(4−チオシアノ
メチルチオ)ベンゾチアゾール等)、 フェノール系化合物(例えば、2,5−ジクロル−4−
ブロムフェノール、p−クロル−m−キシレノール、p
−ニトロフェノール、2−クロル−4−ニトロフェノー
ル、o−フェニルフェノール、ビス−(4−ニトロフェ
ニル)カーボネート、2,4,5−トリクロルフェノール
等、およびこれらのナトリウム塩、カプリン酸またはウ
リン酸などとのエステル類)、 α−ブロムシンナムアルデヒド、有機スズ化合物、テ
トラチルチウラムジスルフィド、サリチルアニリド類、
ヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、2−ピリジンチオ
−ルナトリウム−1−オキシド、α−ブロム−p−クロ
ルベンザルアセトン、ヘキシルフェノール、ヘキシルフ
ゾルシン等の化合物。
これらの防菌防黴剤は、単独であるいは2種以上の混
合物として使用することができる。
本発明で用いるフッ素系撥剤として、例えば以下のよ
うなフッ素系化合物を挙げることができる。
すなわち、3〜20個、好ましくは6〜12個の炭素原子
を有するフルオロアルキル基を有する化合物である。
このような有機フッ素化合物の具体例を挙げれば次の
通りである。
(1)炭素数3〜20のフルオロアルキル基を有するビニ
ル単量体の単独重合体またはフッ素を含まないビニル単
量体との共重合体。
フルオロアルキル基を有するビニル単量体の例として
は次のものが挙げられる。
C7F15CH2OCOCH=CH2 C8F17SO2N(C3H7)CH2CH2OCOCH=CH2 C8F17SO2N(CH3)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2 C7F15CON(C2H5)CH2CH2OCOC(CH3)=CH2 CF3(CF28CH2CH2OCOCH=CH2 CF3(CF29CH2CH2OCH=CH2 C8F17(CH211OCOC(CH3)=CH2 (CF32CFO(CH25OCOCH=CH2 C2F5(OCF2CF23OCF2CF2CON(CH3)CH2CH2OCOCH=CH2 C8F17SO2N(CH2CH2OCOCH=CH2 C8F17SO2N(CH3)(CH210COOCH2CH=CH2 C8F17SO2N(C2H5)CH2CH2OCOCH=CHCOOC4H9 C6F13SO2N(CH3)CH2CH2OCOCH=CH2 C8F17SO2NHCH2CH2SO2CH=CH2 フッ素を含まないビニル単量体の例としては、エチレ
ン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン、
クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレ
ン、(メタ)アクリル酸のアルコールまたはアルキルア
ミン(いずれも炭素数20以下)とのエステルまたはアミ
ド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリ
ルアミド、アクリロニトリル、アクリルアミド、ビニル
アセテート、シロキサン結合を有するビニル化合物など
が挙げられる。いずれの単量体も混合して使用すること
もできる。
これらの単独重合体あるいは共重合体はビニル重合の
公知の方法によって行うことができるが、例えばラジカ
ル開始剤を使用した溶液重合、エマルジョン重合が一般
的である。重合体の分子量は開始剤濃度、連鎖移動剤の
種類と濃度によって好ましい範囲に調整できるが、一般
に3000以上が好ましい。
(2)炭素数3〜20のフルオロアルキル基含有の一価も
しくは多価アルコールとフッ素化されていてもよい一価
もしくは多価カルボン酸との(ポリ)エステル。フッ素
化されていてもよい一価もしくは多価アルコールと炭素
数3〜20のフルオロアルキル基を有する一価もしくは多
価カルボン酸との(ポリ)エステル。
この場合使用される成分の例を次に挙げる。
C9F19CH2CH2OH C8F17SO2N(C3H7)CH2CH2OH C8F17SO2N(CH2CH2OH) C8F17SO2N(C2H5)CH2CH(OH)CH2OH C7F15COOH C8F17SO2N(C3H7)CH2COOH 安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、マレ
イン酸、トリメリット酸エチレングリコールモノメチル
エーテル、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジエチレングリコール、グリセリン、ポリプロピレ
ングリコール、2−エチルヘキサノール、ステアリルア
ルコール、該(ポリ)エステルは分子量が1000以上が好
ましい。
(3)炭素数3〜20のフルオロアルキル基を有する一価
または多価アルコール(場合によってはフッ素を含まな
い一価または多価アルコールを混ぜても良い)と一価ま
たは多価イソシアネート、例えばフェニルイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリ
メチレンポリフェニルイソシアネートとの(ポリ)ウレ
タン。
該(ポリ)ウレタンは分子量が700以上のものが好ま
しい。
(4)炭素数3〜20のフルオロアルキル基を有するエポ
キシ化合物、例えば の単独重合体および好ましくはプロピレンオキサイド、
エピクロルヒドリンなどのフッ素不含有エポキシ化合物
との共重合体。
このような重合体の分子量は3000以上が好ましい。
このようなフッ素系撥剤として、以下のような製品が
市販されている。テックスガードTG−620(ダイキン工
業株式会社製)、アサヒガードAG−670(旭硝子(株)
製)、FC−905(スリーエム社製)等。
フッ素系撥剤に他、撥剤として、シリコーン系化合物
として、シリコーンオイル並びにシリコーンオイルのエ
マルジョンおよびディスバージョン、例えばトーレシク
ロンSD−8000(東レ株式会社製)等も使用することもで
きる。
防菌防黴剤と撥剤との割合は、100:1〜1:100(重量)
であるのが好ましい。
本発明の防菌防黴剤組成物は、有機溶剤(例えば、n
−ヘキサン、n−ヘプタン、ガソリン、石油ベンゼン、
ベンゼン、トルエン、イソプロピルアルコール、ブタノ
ール、メチルエチルケトン、1,1,1−トリクロルエタ
ン、トリクロルエチレン、ジエチルエーテル、塩化メチ
レン、フロン類等またはこれらの混合物)に溶解して、
スプレー剤、塗布剤等の表面処理剤として適用する。有
機溶剤には、通常表面処理に用いられるシリコーン類や
ワックス類を添加してもよい。
本発明の組成物においては、防菌防黴剤および撥剤は
合計で、有機溶剤に対して、0.001〜50重量%の割合で
溶解される。シリコーン類やワックス類を添加する場
合、その量は、全組成物に対して0.001〜50重量%が望
ましい。
本発明の防菌防黴剤組成物は、防菌防黴剤およびフッ
素系撥剤またはシリコーン系撥剤をそれぞれ単独で使用
することによっては得られない複合効果を発揮すること
はもとより、防菌防黴剤単用に比較し、単独使用では予
期することのできない高い防菌防黴活性が得られる。
本発明の防菌防黴剤組成物は、皮革製品、靴類、雨具
類、バック類、衣類、あるいは浴室内壁や屋内外の建材
等の表面処理に用いることにより、素材(被処理材)の
品質を損なうことなく撥水もくしは撥水撥油効果に加
え、防菌防黴剤単独使用に比べはるかに高い防菌防黴活
性を同時にかつ簡易に得ることができる。
実施例 以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。
実施例1 2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール(チア
ベンダゾール)とフッ素系撥剤AG−670との混合効果 (A)供試皮革片の準備 1.5×1.5cm2の大きさに切断した皮革片をボテトデキ
ストロース溶液培地(PDS培地)に浸漬し、培養液を十
分吸収させた後、60℃の乾燥器中で乾燥した。
(B)供試菌株胞子懸濁液の調製 供試2菌株、すなわちアルタナリア・アルタナータ
(Alternaria alternata)およびペニシリウム・エスピ
ー(penicilium sp.)をPDA平板培地上に植菌し、28
℃、暗条件下で10日間培養した。得られた胞子を10ppm
S.A.A.可溶滅菌水〔10ppmのトゥイーン(Tween)20(ポ
リオキシエチレンソルビタンモノラウレート)含有〕に
懸濁させ、2重ガーゼで濾過した。これにS.A.A.可溶滅
菌水を加えて胞子濃度をそれぞれ1×106個/mlに調整し
た。
(C)供試組成物の調整と処理 S−3(1,1,2−トリクロロ−1,1,2−トリフルオロエ
タン)とクロロセン(1,1,1−トリクロロエタン)を50
重量%ずつ含んだ混合溶剤を用いてチアベンダゾール、
AG−670およびそれらの混合物を所定濃度に希釈調整
し、3ml/100cm2の液量でミクロスプレーヤーを用いて、
(A)で得た皮革片を均一に噴霧処理した。処理した皮
革片を乾燥後、ミクロスプレーヤーにより10ml/100cm2
の水を均一噴霧した後、撥水効果を下記(D)の評価基
準に従って評価した。
また、(B)で得た懸濁液を10μ滴下接種し、温度
28℃,湿度98%で7日培養した後、下記(D)の評価基
準に従って防菌効果を評価した。結果を第1表に示す。
(D)評価基準 防菌効果評価基準(目視評価)菌糸の生育度 評価値 皮革片の接種した部分に菌糸の発育が認められ ない 3 皮革片の接種した部分に認められる菌糸の発育 部分の面積は全面積の1/4を越えない 2 皮革片の接種した部分に認められる菌糸の発育 部分を面積は全面積の1/2を越えない 1 皮革片の接種した部分に認められる菌糸の発育 部分の面積は全面積の1/2を越える 0 撥水効果評価基準(目視評価) 撥水効果は実用的に十分認められる + 撥水効果は認められるが実用的には弱い ± 撥水効果は全く認められない − 実施例2 p−クロル−m−キシレノール(PCMX)とフッ素系撥
剤TG−620との混合効果 (A)供試皮革片の準備および(B)供試菌株胞子懸濁
液調整は、実施例1と同様に行なった。
(C)供試組成物の調整と処理 防菌防黴剤としてp−クロル−m−キシレノールを、
フッ素系撥剤としてTG−620を用いた以外は実施例1
(C)項と同様に行なった。
防菌効果および撥水効果を実施例1の評価基準(D)
に従って評価した。結果を第2表に示す。
実施例3 p−クロル−m−キシレノールとシリコーン系撥剤SD
−8000との混合効果 (A)供試皮革片の準備および(B)供試菌株胞子懸濁
液調整は、実施例1と同様に行なった。
(C)供試組成物の調整と処理 防菌防黴剤としてp−クロル−m−キシレノールを、
シリコーン系撥剤としてSD−8000を用いた以外は実施例
1(C)項と同様に行なった。
防菌効果および撥水効果を実施例1の評価基準(D)
に従って評価した。結果を第3表に示す。
〈発明の効果〉 本発明によれば、防菌防黴剤とフッ素系撥剤とを混合
することにより、それぞれ単独では得られない複合効果
を得られる。加えて、防菌防黴剤単用に比較し、単独使
用からは予期することのできない高い防菌防黴活性が得
られる。このことにより、水分や水滴、汚れと同時に
黴、バクテリア等の微生物をより効果的に防除でき、あ
るいは素材を保護することが可能になる。本組成物を、
スプレー剤等種々の塗布形態に調製することにより、極
めて簡単に上記効果が得られる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)防菌防黴剤、(B)フッ素系撥剤お
    よび/またはシリコーン系撥剤ならびに(C)有機溶剤
    からなり、(A)と(B)との重量比が100:1〜1:100で
    あり、(A)および(B)が合計で(C)に対して0.00
    1〜50重量%の割合で溶解されていることを特徴とする
    防菌防黴剤組成物。
  2. 【請求項2】撥剤がフッ素系撥剤である特許請求の範囲
    第1項記載の防菌防黴剤組成物。
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