JP2595825B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物

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JP2595825B2
JP2595825B2 JP6155391A JP6155391A JP2595825B2 JP 2595825 B2 JP2595825 B2 JP 2595825B2 JP 6155391 A JP6155391 A JP 6155391A JP 6155391 A JP6155391 A JP 6155391A JP 2595825 B2 JP2595825 B2 JP 2595825B2
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克彦 安
光雄 小原
泰典 岡田
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日立化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエポキシ樹脂組成物に関
し、さらに詳しくは電気機器の絶縁材料として好適なエ
ポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エポキシ樹脂組成物は、優れた絶
縁特性および機械特性を有し、各種電気絶縁材料として
幅広く利用されているが、近年、電気機器の小型化や軽
量化および動作温度上昇の傾向にあるため、エポキシ樹
脂組成物に対して耐クラック性の向上および低比重化が
要求されている。
【0003】耐クラック性を向上するためには、充填剤
の配合量を増やし、熱膨脹係数を小さくして内部応力を
小さくする方法が用いられている。しかし、この方法で
は、エポキシ樹脂組成物の比重が大きくなり、注型した
電気機器が重くなるという欠点があった。
【0004】最近では、エポキシ樹脂組成物の一部にシ
ラスバルーンやフィライトなどの中空球状充填剤を無機
充填剤と混合して用い、比重を小さくする方法が採用さ
れている。しかしながら、シラスバルーンやフィライト
などは、エポキシ樹脂に濡れにくいため、混合して貯蔵
すると、貯蔵中に中空球状充填剤が浮遊し、これを再混
合して硬化剤を加えて注型、硬化すると、硬化中に中空
球状充填剤の浮遊が進行し、上部に中空体が多く、下部
に無機充填剤が多い硬化物が得られるため、硬化物の耐
クラック性が低下するという問題があった。
【0005】またシラスバルーンやフィライトは、原料
を天然品に依存するため、品質の変動が大きく、さらに
エポキシ樹脂との混合作業中に中空体が破壊することが
あり、期待するような低比重化の効果が充分に得られな
い場合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
の従来技術の欠点を解決し、耐クラック性に優れ、低比
重のエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、充填剤とし
て、平均粒子径5〜20μmの無機充填剤と、エポキシ
樹脂またはエポキシ樹脂および希釈剤100重量部に対
して3〜20重量部の中空球状の充填剤であるガラスバ
ルーンを含有してなるエポキシ樹脂組成物に関する。
【0008】本発明に用いられるエポキシ樹脂には特に
制限はなく、1分子中に少なくとも1個のエポキシ基を
有するものであり、例えばビスフェノールA型エポキシ
樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルAD型エポキシ樹脂、多価アルコールのポリグリシジ
ルエステルなどが挙げられる。これらの樹脂としては常
温で液状のものが好ましく、市販品としてはエピコート
828(シェル化学社製商品名)、GY−260(チバ
ガイギー社製商品名)、DER−331(ダウケミカル
社製商品名)等が挙げられる。これらは併用してもよ
い。希釈剤としてはモノグリシジルエーテル、ジグリシ
ジルエーテル、ポリプロピレングリコール等が用いられ
る。
【0009】本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化には、
硬化剤として酸無水物またはアミン化合物が用いられ
る。酸無水物としては特に制限はないが、常温で液体の
ものが好ましく、例えばメチルテトラヒドロ無水フタル
酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメ
チレン無水フタル酸、ドデセニル無水フタル酸等が用い
られる。市販品としてはHN−2200(日立化成社製
商品名)、QH−200(日本ゼオン社製商品名)等が
挙げられる。これらは併用してもよい。該酸無水物の配
合量は、エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂および希釈剤
100重量部に対して50〜150重量部が好ましい。
【0010】酸無水物を使用する際には硬化促進剤が用
いられる。この硬化促進剤としては、例えば2−エチル
−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−4−メ
チルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾ
ール等のイミダゾールおよびその誘導体、トリスジメチ
ルアミノフェノール、ベンジンメチルアミン等の第3級
アミン類などが用いられる。市販品としては2E4MZ
(四国化成社製商品名)、BDMA(花王社製商品名)
等が挙げられる。該硬化促進剤の配合量は、酸無水物1
00重量部当たり0.1〜5.0重量部が好ましい。
【0011】アミン化合物としては、芳香族ポリアミン
とその変性物、脂肪族ポリアミンとその変性物が挙げら
れ、例えばジアミノジフェニルメタンとエポキシ樹脂の
付加物等が用いられる。市販品としてはEH−520
(旭電化社製商品名)、EH−551(アデカ社製商品
名)、アンカミン2007(アンカーケミカル社製)等
が挙げられる。これらは併用してもよい。該アミノ化合
物の配合量は、エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂および
希釈剤100重量部に対して5〜50重量部が好まし
い。
【0012】本発明に用いられる無機充填剤としては、
例えば結晶シリカ、溶融シリカ、水和アルミナ、酸化ア
ルミナ、タルク、水酸化マグネシウム等が挙げられ、市
販品としてCRT−AA、RD−8(龍森社製商品
名)、C−315H、C−308(住友化学社製商品
名)などが挙げられる。無機充填剤の平均粒子径は5〜
20μmとされる。平均粒子径が5μm未満では、中空
球状の充填剤を配合した場合に粘度が著しく上昇し、揺
変性が増大して作業性が低下する。また20μmを超え
ると、組成物の貯蔵安定性が低下し、また硬化時に無機
充填剤が沈降し、上部と下部の熱膨脹係数が異なる硬化
物が得られ、耐クラック性が低下する。無機充填剤の使
用量はエポキシ樹脂またはエポキシ樹脂および希釈剤1
00重量部に対して50〜400重量部が好ましい。
【0013】本発明に用いられる中空球状の充填剤には
ガラスバルーンが用いられる。該ガラスバルーンの市販
品としては、グラスバブルス(住友スリーエム社製商品
名)、CEL−STAR(旭硝子社製商品名)などが挙
げられる。ガラスバルーン以外のシラスバルーンやフィ
ライトなどを使用すると、エポキシ樹脂との濡れ性が悪
く、混合後の貯蔵中にこれらが浮遊し、また再混合して
硬化剤を加えて注型、硬化した場合にも中空球状充填剤
が浮遊して上部に中空体が多く、下部に無機充填剤の多
い2層構造の硬化物が得られ、耐クラック性が低下す
る。
【0014】ガラスバルーンの使用量は、エポキシ樹脂
またはエポキシ樹脂および希釈剤100重量部に対して
3〜20重量部である。配合量が20重量部を超えると
揺変性が増大して流動性を失い、著しく作業性が低下す
る。また5重量部未満では低比重化の効果がない。
【0015】本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に
応じて赤リン、ヘキサブロモベンゼン、ジブロモフェニ
ルグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエ
ーテル、三酸化アンチモン等の難燃剤、ベンガラ、酸化
第2鉄、カーボン、チタンホワイト等の着色剤、シラン
系カップリング剤、シリコーン剤等の消泡剤などを配合
することができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳しく説明す
る。なお、例中の部および%は特に断りのない限りそれ
ぞれ重量部および重量%を意味する。 実施例1〜5および比較例1〜8 表1に示す配合物および配合量でそれぞれエポキシ樹脂
組成物を調製し、所定の型に注入して80℃で6時間硬
化させ、硬化物を得た。調製した組成物の粘度、比重、
硬化物の線膨張係数、耐クラック性、貯蔵中の無機充填
剤の沈降性および貯蔵中の中空球状の充填剤(中空体)
の浮遊性を下記のようにして測定し、その結果を表1に
示した。
【0017】(1)粘度:エポキシ樹脂組成物の粘度を
25℃の恒温槽中で、JIS C 2105に準じて東
京計器社製B型回転粘度計を用い測定した。 (2)比重:エポキシ樹脂組成物の比重をJIS C
2105に準じてハバート比重びんを用いて測定した。 (3)線膨脹係数:エポキシ樹脂組成物を80℃で6時
間硬化させ直径50mm、長さ80mmの硬化物を作製し、
5mm×5mm×5mmの試験片を切り出し、リガク社製熱物
理試験材で測定した。 (4)耐クラック性:直径60mmの金属シャーレに1/
2インチの鉄製スプリングワッシャーをセットし、エポ
キシ樹脂組成物をワッシャーの上端まで注入、硬化して
試験片とした。その後、金属シャーレをはずし、JIS
C 2105のヒートサイクル条件(表2に示す)に
従ってヒートサイクル試験を行い、クラックの発生状況
を観察し、クラックが発生するサイクル数で示した。 (5)硬化中の無機充填剤の沈降性:直径70mm、長さ
80mmの金属缶にエポキシ樹脂組成物を300ml注入
し、40℃で30日間放置した後、無機充填剤の沈降層
高さを測定した。 (6)貯蔵中の中空体の浮遊性:直径70mm、長さ80
mmの金属缶にエポキシ樹脂組成物を300ml注入し、4
0℃で30日間放置した後、表面層の5mlと底部の5ml
を採取して比重を測定し、その差を調べた。数値の大き
い方が沈降が大きい。
【0018】
【表1】
【表2】
【0019】また表1で用いた無機充填剤の平均粒子径
をミクロメリティックス社製のSEDIGRAPH 5
000ETを用いて試料濃度約8%、スタート粒子径5
0μm、分散液ヘキサメタリン酸ソーダ0.1%および
予備分散として超音波洗浄を1分間行って測定し、その
結果を表3に示した。
【表3】
【0020】表1の結果から、実施例1〜5で得られた
エポキシ樹脂組成物は、いずれも低比重で、無機充填剤
の沈降および中空体の浮きがほとんど発生しないため、
上部と下部の線膨脹係数の均一な硬化物が得られ、耐ク
ラック性に優れることが示される。
【0021】これに対し、比較例1では、無機充填剤お
よび中空体を含まないため、その硬化物の線膨脹係数が
大きく、耐クラック性に劣っている。比較例2では、中
空体を含んでいないため、低比重化できない。比較例3
では、平均粒子径5μm未満の無機充填剤を含むため、
ペースト状になり、注入作業ができない。比較例4で
は、平均粒子径20μmを超える無機充填剤を含むた
め、貯蔵中の充填剤の沈降が大きく、硬化物の上部と下
部の線膨脹係数が異なり、耐クラック性に劣っている。
比較例5、6では、ガラスバルーン以外の中空体を含む
ため、貯蔵中に中空体が浮遊し、また硬化物の上部と下
部の線膨脹係数が異なり、耐クラック性に劣っている。
比較例7では、エポキシ樹脂100部に対して20部以
上の中空体を含むため、ペースト状になり、注入作業が
できない。比較例8では、エポキシ樹脂100部に対し
て3部未満の中空状充填剤を含むため、低比重化できな
い。
【0022】
【発明の効果】本発明のエポキシ樹脂組成物によれば、
貯蔵中および硬化中の無機充填剤の沈降と中空体を浮き
が防止できるため、上部と下部の線膨脹係数が均一で耐
クラック性に優れるとともに低比重の硬化物を得ること
ができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 充填剤として、平均粒子径5〜20μm
    の無機充填剤と、エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂およ
    び希釈剤100重量部に対して3〜20重量部の中空球
    状の充填剤であるガラスバルーンを含有してなるエポキ
    シ樹脂組成物。
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US20070104943A1 (en) * 2005-11-10 2007-05-10 3M Innovative Properties Company Filled polymer composites
EP2614039B1 (en) 2010-09-08 2019-01-09 3M Innovative Properties Company Glass bubbles, composites therefrom, and method of making glass bubbles

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