JP3185356B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物

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克彦 安
英二 大森
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエポキシ樹脂組成物に関
し、さらに詳しくは電気機器の絶縁材料として好適なエ
ポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エポキシ樹脂組成物は、優れた絶
縁特性及び機械特性を有し、各種電気絶縁材料として幅
広く利用されているが、近年、電気機器の小型化や軽量
化及び動作温度上昇の傾向にあるため、エポキシ樹脂組
成物に対して注入作業性、耐クラック性の向上が要求さ
れている。耐クラック性を向上するためには、充てん剤
の配合量を増やし、熱膨張係数を小さくする方法が用い
られているが、エポキシ樹脂組成物の粘度が著しく上昇
するため、注入作業性が低下する。最近では、無機短繊
維を充てん剤に用い耐クラック性を向上している場合も
あるが、貯蔵安定性に劣り、無機短繊維が沈降するため
使用する前に予め分散する必要がある。また、加熱硬化
する際にも無機短繊維が沈降するため上部と下部の熱膨
張係数が異なり、耐クラック性が低下する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の従来
技術の欠点を解決し、注入作業性、耐クラック性に優れ
たエポキシ樹脂組成物を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、エポキシ樹
脂、希釈剤、酸無水物、硬化促進剤及び充てん剤を含有
するエポキシ樹脂組成物において、充てん剤として平均
粒子径が5〜20μmのシリカ(A)と平均直径20μ
m以下で平均長さ100μm以下のガラス短繊維(B)
を重量比、(B)/{(A)+(B)}が0.05〜
0.20の範囲として配合された充てん剤を、エポキシ
樹脂またはエポキシ樹脂および希釈剤100重量部に対
して200〜400重量部配合してなるエポキシ樹脂組
成物に関する。
【0005】本発明に用いられるエポキシ樹脂には特に
制限はなく、1分子中に少なくとも1個のエポキシ基を
有するものであり、例えばビスフェノールA型エポキシ
樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルAD型エポキシ樹脂、多価アルコールのポリグリシジ
ルエステルなどが挙げられる。これらの樹脂てしては常
温で液状のものが好ましく、市販品としてはエピコート
828(シェル化学社製商品名)、GY−260(チバ
ガイギ−社製商品名)、DER−331(ダウケミカル
社製商品名)等が挙げられる。これらは併用してもよ
い。希釈剤としてはモノグリシジルエーテル、ジグリシ
ジルエーテル、ポリプロピレングリコール等が用いられ
る。希釈剤はエポキシ樹脂100重量部に対して5〜4
0重量部が好ましい。
【0006】本発明に用いられる酸無水物にも特に制限
はないが、常温で液体のものが好ましく、例えばメチル
テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フ
タル酸、メチルエンドメチレン無水フタル酸、ドデセニ
ル無水フタル酸等が用いられる。市販品としてはHN−
2200(日立化成社製商品名)、QH−200(日本
ゼオン社製商品名)等が挙げられる。これらは併用して
もよい。酸無水物の配合量は、エポキシ樹脂またはエポ
キシ樹脂および希釈剤100重量部に対して50〜15
0重量部が好ましい。
【0007】本発明に用いられる硬化促進剤としては、
例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シア
ノエチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2
−エチルイミダゾール等のイミダゾールおよびその誘導
体、トリスジメチルアミノフェノール、ベンジンメチル
アミン等の第3級アミン類などが用いられる。市販品と
しては2E4MZ(四国化成社製商品名)、BDMA
(花王社製商品名)等が挙げられる。硬化促進剤の配合
量は、酸無水物100重量部に対して0.1〜5.0重
量部が好ましい。
【0008】本発明に用いられる充てん剤のシリカ
(A)は、平均粒子径が5〜20μmとされる。平均粒
子径が5μm未満では、粘度が著しく上昇し、揺変性が
増大して作業性が低下する。また20μmを超えると、
組成物の貯蔵安定性が低下し、また硬化時に無機充填剤
が沈降し、上部と下部の熱膨張係数が異なる硬化物が得
られ、耐クラック性が低下する。市販品としては、CR
T−AA、CRT−AI、CRT−C66、RD−8
(いずれも龍森社製商品名)などがあげられる。本発明
に用いられる充てん剤のガラス短繊維(B)は平均直径
20μm以下、平均長さ100μm以下とされる。平均
直径が20μmを越える場合と平均長さが100μmを
越える場合は組成物の貯蔵安定性が低下し、さらに硬化
時にもガラス繊維が沈降するため上部と下部の熱膨張係
数が異なる硬化物が得られ、耐クラック性が低下する。
市販品としては、MF−A(旭ファイバーグラス社
製)、REV−1、REV−4、REV−6、REV−
7、REV−8、REV−9(日本硝子板社製商品名)
などがあげられる。
【0009】本発明に用いられる充てん剤においては、
シリカ(A)とガラス短繊維(B)が重量比で(B)/
{(A)+(B)}=0.05〜0.20の範囲とされ
る。0.05未満では、耐クラック性が劣り、0.20
を越えると組成物の貯蔵時及び硬化時の沈降性に劣る。
【0010】本発明に用いられる充てん剤の配合量は、
エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂および希釈剤100重
量部に対して200〜400重量部とされる。200重
量部未満では、硬化物の熱膨張係数が大きいため耐クラ
ック性が劣り、400重量部を越えると組成物の粘度が
著しく上昇し揺変性が増大して作業性が低下する。
【0011】本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に
応じて赤リン、ヘキサブロモベンゼン、ジブロモフェニ
ルグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリンジルエ
ーテル、三酸化アンチモン等の難燃剤、ベンガラ、酸化
第2鉄、カーボン、チタンホワイト等の着色剤、シラン
系カップリング剤、シリコーン剤等の消泡剤などを配合
することができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。下記
例中の「部」は重量部を意味する。表3に示す配合物お
よび配合量でそれぞれエポキシ樹脂組成物を調製し、所
定の型に注入して80℃で3時間ついで140℃で3時
間硬化させ、硬化物を得た。調製した組成物の粘度、硬
化物の線膨張係数、耐クラック性、硬化中の充填剤の沈
降性を下記のようにして測定し、その結果を表1に示し
た。 (1)粘度:エポキシ樹脂組成物の粘度を25℃の恒温
槽中で、JIS C 2105に準じて東京計器社製B
型回転粘度計を用い測定した。 (2)線膨張係数:エポキシ樹脂組成物を80℃で3時
間ついで140℃で3時間硬化させ直径50mm、長さ
80mmの硬化物を作製し、5mm×5mm×5mmの
試験片を切り出し、リガク社製熱物理試験機で測定し
た。 (3)耐クラック性:直径60mmの金属シャーレに1
/2インチの鉄製スプリングワッシャーをセットし、エ
ポキシ樹脂組成物をワッシャーの上端まで注入、硬化し
て試験片とした。その後、金属シャーレをはずし、JI
S C 2105のヒートサイクル条件(表1に示す)
に従ってヒートサイクル試験を行い、クラックの発生状
況を観察し、クラックが発生するサイクル数で示した。 (4)硬化時の充てん剤の沈降性:内径16mmの試験
管に10cm高さのエポキシ樹脂組成物を注入、硬化
し、上部と下部10mmずつを切り出し試験片とした。
試験片は燃焼させ残った灰分(%)を求め、上部と下部
の差をとった。差が大きいほど沈降性が大きい。
【0013】
【表1】
【0014】実施例1〜5 充てん剤として表2に示すシリカ(A)(CRT−D、
CRT−AA)とガラス短繊維(B)(MF3A、RE
V−7)を用い、表3に示す配合で調整したエポキシ樹
脂組成物を用いて上記試験方法に従って諸特性を調べ、
その結果を表3に示した。実施例はいずれも作業性(低
粘度)、耐クラック性、硬化物の沈降性に優れているこ
とが示される。
【0015】
【表2】
【0016】比較例1〜8 充てん剤として表2に示すシリカ(A)(CRT−5
X、EC−40)とガラス短繊維(B)(MF−DP、
MF−S)を用い、さらに表1に示す配合で調整したエ
ポキシ樹脂組成物を用いて上記試験方法に従って諸特性
を調べ、その結果を表3に示した。充てん剤として
(B)/{(A)+(B)}が0.05未満の比較例1
では耐クラック性が劣り、0.20を越える比較例2で
は沈降性、耐クラック性に劣る。ガラス短繊維(B)と
して平均直径が20μmを超える比較例3と平均長さが
100μmを越える比較例4では、いずれも沈降性、耐
クラック性に劣る。充てん剤の含有量がエポキシ樹脂と
希釈剤100部に対し200部未満の比較例5では耐ク
ラック性に劣り、400部を越える比較例6では作業性
に劣る。シリカ(A)として平均粒子径が5μmより小
さい比較例7では配合ができず、20μmより大きい比
較例8では沈降性、耐クラック性に劣る。
【0017】
【表3】
【0018】
【発明の効果】本発明のエポキシ樹脂組成物は、低粘度
で作業性に優れ、硬化中の沈降もなく、これによって均
一な、耐クラック性にも優れた硬化物が得られる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−18445(JP,A) 特開 昭63−254122(JP,A) 特開 昭64−60625(JP,A) 特開 昭61−73722(JP,A) 特開 昭64−54022(JP,A) 特開 昭62−74954(JP,A) 特開 平1−96243(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 63/00 - 63/10 C08K 3/36 C08K 7/14 H01B 3/40

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂、希釈剤、酸無水物、硬化
    促進剤及び充てん剤を含有するエポキシ樹脂組成物にお
    いて、充てん剤として平均粒子径が5〜20μmのシリ
    カ(A)と平均直径20μm以下で平均長さ100μm
    以下のガラス短繊維(B)を重量比、(B)/{(A+
    (B)}が0.05〜0.20の範囲として配合された
    充てん剤を、エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂および希
    釈剤100重量部に対して200〜400重量部配合し
    てなるエポキシ樹脂組成物。
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