JP2593617Y2 - リアシートクッションの取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は自動車用シートの取付構
造、詳しくは、線材製フレームをからなるリアシートク
ッションの車床に対する取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種のリアシートクッション
は、軽量化を図るために、線材（ワイヤ）製のフレーム
を発泡体（例えばウレタンフォーム）製クッション体と
一体発泡するか、或いは、モールド成形した発泡体製ク
ッション体の底部に設けた凹溝内に嵌合している。そし
て、このリアシートクッションはフレームの前、後部に
取付片を一体に設け、この取付片を車床に締結すること
により、リアシートクッションを車床に固定している。
一方、フロントシートクッションはフレームの前側に隆
起部を設けて、衝突時等の大荷重が加わった際、着座者
の尻部の前方移動を防止している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところで、リアシート
クッションは前述の如く構造であるため、衝突時等の大
荷重が加わった際、その荷重によって、着座者の尻部が
前方に移動（尻ずれ）する。一方、着座者は、車床側に
固定したシートベルトによって拘束されている。そのた
め、前述の如く衝突時においては、シートベルトによっ
て着座者の腰部等が局部的に圧迫され、シートベルトの
乗員拘束性能が損なわれる不具合がある。そこで、本考
案は、リアシートクッションにおいて、衝突時等の大荷
重が加わった際における尻ずれの防止を図ることを目的
とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めの本考案は、リアシートクッションを構成する発泡体
製クッション体の尻部支持部に対して、前方の底面に凹
窪部を設け、該凹窪部に嵌合する尻部移動防止体を、ク
ッション体を載置する車床上に固定してなるものであ
る。以上の尻部移動防止体は、鋼板を略へ字状に折曲し
たものであり、この尻部移動防止体は、ビス等でリアシ
ートクッションを車床に取付ける前に締結する。

【０００５】

【作用】車床上に取付けたリアシートクッションは、そ
の前側底部に尻部移動防止体が配設され、この尻部移動
防止体は、リアシートクッションに着座した着座者の尻
部前方に位置している。従って、前方向の大荷重が加わ
った際に、その荷重を尻部移動防止体で受ける。

【０００６】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。図中（ＳＣ）はリアシートクッションを示し、
このリアシートクッション（ＳＣ）は線材（ワイヤ）を
縦横に組み合わせて溶接したフレーム（１）と、このフ
レーム（１）を一体発泡はた発泡体製クッション体
（２）と、このクッション体（２）を被覆し端末をフレ
ーム（１）の外枠線にホッグリングで一体に結着した表
皮とから構成されている。そして、前記クッション体
（２）はモールド成形時に底面左右に凹窪部（２１）
（２１）が同時に成形されている。この凹窪部（２１）
（２１）は左右の着座者の尻部を支持するクッション体
（２）の尻部支持部（２Ａ）に対して前方に設けてあ
る。そして、この凹窪部（２１）（２１）の形状は、後
述する尻部移動防止体（４）（４）の外面形状と一致す
るように形成されている。なお、前記フレーム（１）に
は、車床（Ｆ）に固定する略Ｕ字状のワイヤ製取付杆
（１１）（１１）と、板金製の取付片（１２）（１２）
が一体に設けてある。

【０００７】以上のリアシートクッション（ＳＣ）を載
置する車床（Ｆ）にはあらかじめ尻部移動防止体（４）
（４）が、リアシートクッション（ＳＣ）の凹窪部（２
１）（２１）に対応する位置にビス止めされている。図
中（Ｔ）は、タイヤハウスを示す。図示する尻部移動防
止体（４）（４）は鋼板、硬質合成樹脂などの剛性を有
する部材で、略へ字状に折曲し、その一辺は着座状態で
異物感が生じないように、尻部支持部（２Ａ）方向に低
く傾斜するように、また、他辺は略垂直状に夫々形成さ
れている。この尻部移動防止体（４）（４）が、図２に
示すようにリアシートクッション（ＳＣ）に設けた凹窪
部（２１）（２１）に嵌合するように、リアシートクッ
ション（ＳＣ）を取付ける。この取付けはリアシートク
ッション（ＳＣ）の前記取付杆（１１）（１１）、取付
片（１２）（１２）を車床（Ｆ）の取付孔（５１）（５
１）（５２）（５２）にビス止めすることにより行う。

【０００８】斯くして、尻部移動防止体（４）（４）
が、クッション体（２）の尻部支持部（２Ａ）に対して
前方に配設されているため、リアシートクッション（Ｓ
Ｃ）に着座状態において、自動車の衝突時等前方に大荷
重が加わると、着座者の尻部は尻部移動防止体（４）に
間接的に突き当たり、前方への移動が抑止され、また、
斯かる尻部移動防止体（４）に加わる荷重は車床（Ｆ）
側に分散される。

【０００９】

【考案の効果】本考案は前述の如く、衝突などの大荷重
が加わった際の着座者の尻ずれを車床側に設けた尻部移
動防止体で防止できる。従って、リアシートクッション
に備えたシートベルトに着座者の腰部が局部的に拘束さ
れないので、シートベルトが外れたりすることがない
し、また、着座者の腰部を局部的に圧迫することもな
く、シートベルトの乗員拘束性が向上する。また、従来
のリアシートクッションの底部に凹窪を設け、車床に尻
部移動防止体を設けるのみでよいため、構造が簡単で、
しかも、着座者の尻部に加わる前方荷重を車床側に有効
に分散させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示し、リアシートクッショ
ンを車床に取付ける前の状態の斜視図である。

【図２】リアシートクッションを車床に取付けた状態の
断面図である。

【符号の説明】

ＳＣ リアシートクッション Ｆ 車床 １ フレーム ２ クッション体 ３ 表皮 ４ 尻部移動防止体 ２１ クッション体の凹窪部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 線材製のフレームと、このフレームと一
   体又は別体で表皮に被覆され後部側に尻部支持部を有す
   る発泡体製のクッション体とからなるリアシートクッシ
   ョンにおいて、前記クッション体の尻部支持部に対して
   前方のクッション体底部に凹窪部を設け、該凹窪部に嵌
   合する尻部移動防止体を前記クッション体を載置する車
   床上に固定してなることを特徴とするリアシートクッシ
   ョンの取付構造。