JPH023955Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、車輌（自動車）用シートにおけるシ
ートクツシヨンの改良に関する。

（従来の技術及び問題点） 従来の一般的なシートクツシヨンは、車輌（例
えば自動車）が急停車した場合には、乗員は進行
方向の慣性力により前方に投出されるので、シー
トベルトにより人体を拘束するが、慣性力が更に
強い場合には人体の重心がベルトより下方にある
ために、乗員の尻部に進行方向斜下方に負荷がか
かり、この負荷によつて尼部はシートクツシヨン
に沈み込みながら移動するため、前ズレを招き、
シートベルトの効果を半減せしめる不具合を有し
ていた。

（考案が解決しようとする課題） 本考案は、従来技術の有するこのような問題点
に鑑みなされたものであり、その目的とするとこ
ろは、車輌が急停車した場合における乗員の尻部
の前ズレを防止し、確実な乗員の保護を図らしめ
ることである。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案がなした技術
的手段は、発泡材製のクツシヨン部材と、該クツ
シヨン部材を上面内部に載置する略受皿状の金属
製フレームとからなり、該金属製フレームは尻部
支持部から上方かつ前方に向けて傾斜する隆起部
を設け、かつ下面における進行方向左右端付近に
スライドレール取付用の取付部材を設け、前記左
右の取付部材間にわたつて金属製の補強部材を両
端固着状に架設すると共に座席の前後方で前記隆
起部の裏面に固着してフレーム裏面と補強部材と
の接続を閉塞状に形成してなることである。

（作用） 上記せる技術的手段により、車輌が急停車等
し、乗員に車輌の進行方向の慣性力が作用する
と、乗員の尻部はシートクツシヨン内に斜め前方
に沈み込み、該尻部はフレームの隆起部によつて
支持される。

そして、隆起部にかかる負荷は補強部材，取付
部材を介してスライドレールで支持される。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
ると、第１図は本考案に係るシートクツシヨンＡ
を示し、図中ａは受皿状のフレーム、ｂは補強部
材、ｃ，c′はフレームａにスライドレールｄ，
d′を固定するための取付部材、Ｂはシートバツク
を夫々示す。

前記フレームａは内部にクツシヨン部材ｅが載
置されるように略受皿状に板金で形成されてお
り、シートバツクＢ側より車両の進行方向に、尻
部支持部a₁，前ズレ防止用の隆起部a₂，サイ支持
部a₃が設けてある。

クツシヨン部材ｅは、発泡材等からなり、前記
フレームａの上面内部に載置される。

前ズレ防止用の隆起部a₂は尻部支持部a₁から上
方かつ前方へ向けて徐々に高く傾斜せしめ、その
頂部はサイ支持部a₃と略同一の高さに形成されて
いる。図中１０ａ，１０ｂ，１０ｃは補強用のビ
ード、１１ａ，１１ｂ，１１ｃは肉抜孔、１２
ａ，１２ｂ…は表皮部材ｆの端末を固定する固定
部を夫々示す。

補強部材ｂは長尺状で断面が略コ字状に板金で
形成され、その長手方向の両端が取付部材ｃ，
c′に溶接によつて固着されると共に、その短手方
向の両端部が前記隆起部a₂の裏面に固着される。
そして隆起部a₂との接続が閉塞状になるため、隆
起部a₂が補強されその座屈を防止できる。

そして補強部材ｂの両端部（長手方向）は、取
付部材ｃ，c′に溶接する際、同時にフレームａに
溶接される。

取付部材ｃ，c′はフレームａの底部左右に、車
両の進行方向に向けて配設され、その底部に、シ
ートクツシヨンＡの前後方向の位置を調整するス
ライドレールｄ，d′が固定されており、第３図に
示す取付部材ｃはその全長が略スライドレールｄ
のそれと略同一で、短手方向の断面が略コ字状に
形成され、その底部c₁がスライドレールｄの上面
に固定され一方の起立部c₂がフレームａに、また
他方の起立部c₃が前記補強部材ｂと共にフレーム
ａの隆起部a₂に溶接されている。そしてこの取付
部材ｃにリクライニングアジヤスタ１３を固定し
て、リクライニングアジヤスタ１３にかかる負荷
がスライドレール全体で支持されるようになつて
いる。

他方の取付部材c′はスライドレールd′の前後に
夫独立状にボルトなどで固定され、その前部に位
置する取付部材c′はその一辺が前記補強部材ｂと
共にフレームａに溶接によつて、固着されてい
る。なお後部側の取付部材（図示せず）はフレー
ムａの後部側に溶接によつて固着されている。

図中１４，１４は取付部材ｃ，c′をスライドレ
ールｄ，d′に固定する取付孔を示す。

第６図は車両が急停車した場合の乗員の動きを
示すものであり、乗員（イ）は実線の状態より尻
部が急停車により、シートクツシヨンＡ内に沈み
込みながら前方に移動する。しかし、一点鎖線に
示すようにフレームａの隆起部a₂によつて、その
移動が一定範囲に規制される。

（考案の効果） 本考案は、上記せる構成を有するので下記の効
果を奏する。

車輌が急停車等した時、乗員に車輌の進行方向
の慣性力が作用し、乗員の尻部はシートクツシヨ
ン内に斜め前方に沈み込むが、尻部支持部から上
方かつ前方に傾斜して設けられた隆起部によつて
乗員の尻部は支持され尻部の前ズレ防止が図れる
ため、従来の如き尻部が前ズレし、シートベルト
を着用していてもその効果が半減されてしまうと
いう不具合は解消され、結果として乗員の確実な
保護が図れ大変有用である。

また、フレームが金属製で、かつそのフレーム
の裏面に固着された金属製の補強部材とにより、
フレーム裏面と補強部材とで閉塞状の空間が形成
され、フレームの断面係数があがりフレーム自体
の剛性が強くなると共に、前記補強部材の両端が
取付部材に固着されており、隆起部にかかる負荷
はスライドレールへ衝撃を伝達できるため、フレ
ームの座屈防止が有効に図れ、またフレーム自体
の肉厚を厚くする必要もない。

更に、受皿状フレームはクツシヨンの保持性，
フレームの成形性は良いが、フレームそのもので
シートにかかる負荷を吸収しようとすると板厚を
増大し、重量UPとならざるを得ないという不具
合を有しているが、本願はシートバツクを介して
フレームにかかる負荷を左右の取付部材間に架設
した補強部材をフレームの隆起部裏面に固着し
て、スライドレールへ衝撃を伝達するものとした
ため、フレームの薄肉，軽量化が図れ大変有用で
ある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図はその
縦断面図、第２図は底面を上向きにした状態のフ
レームの一部を示す斜視図、第３図はフレームの
平面図、第４図はＸ−Ｘ線に沿える断面図、第５
図はＹ−Ｙ線に沿える断面図、第６図は車両が急
停車した場合における乗員の動きを示す図であ
る。 尚、図中、Ａ：シートクツシヨン、ａ：金属製
フレーム、a₁：尻部支持部、a₂：隆起部、ｂ：補
強部材、ｃ：取付部材、ｄ，d′：スライドレー
ル、ｅ：クツシヨン部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 発泡材製のクツシヨン部材と、該クツシヨン部
   材を上面内部に載置する略受皿状の金属製フレー
   ムとからなり、該金属製フレームは尻部支持部か
   ら上方かつ前方に向けて傾斜する隆起部を設け、
   かつ下面における進行方向左右端付近にスライド
   レール取付用の取付部材を設け、前記左右の取付
   部材間にわたつて金属製の補強部材を両端固着状
   に架設すると共に座席の前後方で前記隆起部の裏
   面に固着してフレーム裏面と補強部材との接続を
   閉塞状に形成してなることを特徴とする車輌用シ
   ートにおけるシートクツシヨン。