JPH0131566Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は乗用車に設けられているシートベルト
の取付装置に関する。

一般に、乗用車には、衝突時あるいは急制動時
の衝撃や慣性作用から乗員を保護するために乗員
を拘束するシートベルトが装備されている。

シートベルトの構造としては、特にワゴン型の
乗用車の後席に用いられるベンチシートの場合、
長尺状の紐帯の一端を車室床面に固着し、その他
端を、車室床面に固着されているバツクルに着脱
できるようにしたものが知られている。

ここで、従来知られているシートベルトの取付
構造の一例を図面に示して説明する。

第１図はベンチシートの斜視図を示すものであ
り、同図において、ベンチシートBSは、車室床
面Ｆに固着形成されたフロアステーメンバFMの
枠体FM１に載置固定されており、ベンチシート
BSの両端部の床面には、シートベルト１の一端
を固着する保持部２が、そしてシートBSの長手
方向背面の中央寄りの床面には、シートベルトア
ンカ３がそれぞれ設けられている。

保持部２に一端が固着されたシートベルト１
は、乗員を拘束するに足る長さをもつ紐帯で形成
され、他端にタング１ａが取付られており、一
方、シートベルトアンカ３には、一端にシートベ
ルト１のタング１ａを着脱できるバツクル４ａを
備えたベルト４の他端が固着されている。

以上の如く構成されたシートベルトの取付構造
においてシートベルト１は、乗員の身体に掛け回
されてその端部のタング１ａをベルト４のバツク
ル４ａに装着することによつて、乗員の拘束を行
なうものである。

ところで、シートは、乗員の背面に位置するバ
ツクシートと乗員が腰掛ける位置に設けられてい
るクツシヨンシートとを有し、これら各シートに
は、シートスプリングあるいはそれに相当するク
ツシヨン材を直接あるいは間接的に保持するとと
もに、上張りを付けてシートの形状を保つ基盤に
なる構造物としてバツクフレームおよびクツシヨ
ンフレームがそれぞれ配備されているが、これら
フレーム特に、クツシヨンフレームによる衝撃
力、慣性力の吸収は充分に行なわれないという虞
れがある。

つまり、これらフレーム、特に、クツシヨンフ
レームは、乗員の体重を支えるに足る強度設計に
基いて構成されているものであつて、乗員の体重
の幾倍かの作用力を生じる衝突時あるいは急制動
時に対する剛性にはあまり着目されていなかつ
た。

従つて、シートベルト１がバツク、およびクツ
シヨンの各シートの交差部を通して床面からシー
トの前に差し出されているようなベンチシートの
場合、衝突や急制動時に乗員が前方へ移動する
と、クツシヨンシート背部に当接しているシート
ベルトが前に引張られることによつて、シートが
前方へ移動する負荷を受け、その結果、シートの
変形によつて乗員を保護することができない危険
が生じる。

また、かようなベンチシートが、例えば、ワゴ
ン車やバン等の如く、荷物収容のスペースを確保
するために畳まれて取り外された場合、シートベ
ルトアンカが床面に残り、これが邪魔になる不具
合があつた。

本考案は、上記に鑑みてなされたものであつ
て、その目的とするところは、上記欠点を解消で
きるシートベルトの取付装置を提供することにあ
る。

本考案の特徴は、乗員を拘束した状態でのシー
トベルトの端部、特に、バツクルを備えたベルト
の端部を、車体床面に設けられたシート取付用の
フロアステーメンバに固設できるようになし、か
つ、車体構造物として高強度を有するフロアステ
ーメンバに対してクツシヨンシートのフレームを
実質一体に形成したことにある。

以下、図面に示された実施例を参考に本考案を
説明する。

第２図は、シート、特に、クツシヨンシートに
配備されるクツシヨンフレームをフロアステーメ
ンバに取付ける状態を概略的に示したものであ
る。

同図において、床面Ｆに固設されたフロアステ
ーメンバ１０は、シートの長手方向の長さに相当
する間隔をおいて配置された逆Ｕ字状の脚１０ａ
と、この脚１０ａ間に両端が固着された横架材１
０ｂとで構成されている。

横架材１０ｂのうちのシート背面側に位置する
ものの、シート長手方向の中央部には、ボルト挿
通用孔を穿設したシートベルトアンカブラケツト
１１が固着されている。

このブラケツト１１は、下端をフロアステーメ
ンバ１０の横架材１０ｂに巻き付けた状態（第３
図参照）で溶接固定されたものであつて、バツク
ル４ａ（第１図参照）を備えたベルト４（第１図
参照）の端部がボルトを介して固定されるように
なつている。

一方、クツシヨンフレーム１２は、シート背面
側が開放し、シートの前部および側部を囲繞する
ように折曲形成した枠部１２ａと、その枠部１２
ａの開放端が固着された補強部１２ｂとで構成さ
れている。なお図中の符号Ｓは、枠部１２ａと補
強部１２ｂとに架設されたクツシヨン材である。

クツシヨンフレーム１２の補強部１２ｂは、枠
部１２ａに比し大きい寸法に設定され、これによ
つて、剛性が高められており、その下面は第３図
に示すようにシートベルトアンカブラケツト１１
の上面部の上方に配設されている。

また、クツシヨンフレーム１２の枠部１２ａの
両側片には、この枠部１２ａをフロアステーメン
バ１０の脚部１０ａに一体的に取付けるための接
合部たる取付用座板１３が固着されており、この
取付用座板１３は、上記脚部１０ａに係合する係
合部１３ａをもち、この係合部１３ａに穿設され
た孔にボルトを挿通して脚部１０ａにクツシヨン
フレーム１２を固定するようになつている。

以上、述べた実施例からも明らかなように本考
案のシートベルトの取付装置によれば、シートベ
ルト特に、バツクルを有するベルトの組付けは、
従来のように、床面に対して行なうのでなく、シ
ートを構成する部材に対して行なうことになるの
で、シート組立時に一貫して行なうことができ、
これによつてシートベルト組付けとシート組立て
とを同時作業でき、作業時間の短縮が可能とな
る。

また、シート組付時において、クツシヨンフレ
ームとフロアステーメンバの脚部とを係合させた
状態で互いに固定するので、上記フレームとフロ
アステーメンバとの位置合わせも上記両部によつ
て形成されている接合部を介して確実に行なえ
る。

さらに加えて、バツクルを有するベルトに対し
衝突時や急制動時に車両前方への過大な引張力が
加わると、シートベルトアンカブラケツト１１の
上面部が補強部１２ｂの下面に圧接係合する。こ
の場合、クツシヨンフレームの補強部の剛性およ
び、クツシヨンフレームと実質一体になつている
フロアステーメンバの剛性とによつてベルトにか
かる荷重を受けるようになつているので、シート
の変形や破壊を防止することも可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来知られているシートの一例を示
す斜視図、第２図および第３図は本考案の一実施
例を示す斜視図および側断面図である。 １０……フロアステーメンバ、１１……シート
ベルトアンカブラケツト、１２……クツシヨンフ
レーム、１２ｂ……補強部、１３……接合部とな
る取付座板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体床面に固設されシートを載置固定するフロ
   アステーメンバと、上記シートのクツシヨンフレ
   ームのシート背面側に設けられたクツシヨンフレ
   ーム補強部と、上記フロアステーメンバと上記ク
   ツシヨンフレームのシート背面側以外の部分とを
   結合する接合部と、上記フロアステーメンバのシ
   ート背面側をなし車幅方向に延びる横架材に対し
   て固着されると共に上面部が上記補強部の下方に
   所定の間隔を保つて配設されるアンカブラケツト
   と、一端が上記アンカブラケツトに連結され、他
   端が上記シートのクツシヨン及びシートバツクの
   間をとおり上記シートクツシヨン上に延びるシー
   トベルトを具備し、車体前方への過大な引張力が
   上記シートベルトに加わるのに応じて上記アンカ
   ブラケツトの上面部と上記補強部の下面が圧接係
   合するよう構成されたことを特徴とするシートベ
   ルトの取付装置。