JPH0213247Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両緊急時の乗員保護用シートベルト
装置を車体へ取りつけるためのシートベルトアン
カ支持用車体構造に関する。

シートベルト装置は乗員がウエビングを装着
し、車両緊急時にこのウエビングで乗員を拘束し
て安全を確保するようになつている。このウエビ
ングはアンカープレート等を介して車体へボルト
締着されるようになつており、これによつて車両
緊急時に乗員の慣性力で生ずるウエビング張力を
確実に車体へ支持させるようになつている。従つ
てアンカープレートが取りつけられる付近の車体
には大きな荷重が作用するので、このシートベル
ト取付部の近傍にカーペツト取付用穴部を有する
場合にはこの穴部付近に大きな荷重が集中して穴
部が変形し、場合によつては車体が穴部付近から
き裂を発生することも考えられる。このためカー
ペツト取付用の穴部はシートベルト取付部から離
間した場所に穿設する必要がある。

本考案は上記事実を考慮し、車体に穿設された
穴部がシートベルト取付部近傍に穿設された場合
にも、この穴部へ大きな荷重を作用させることが
ないシートベルトアンカ支持用車体構造を得るこ
とが目的である。

本考案に係るシートベルトアンカ支持用車体構
造は、穴部とシートベルトアンカ取付部との間に
長手軸線が穴部とシートベルトアンカ取付部とを
結ぶ直線と略直角方向とされたビード状屈曲部を
形成し、車両緊急時の大荷重発生時にビード状屈
曲部の伸長により穴部への応力集中を解除するよ
うになつている。

以下本考案の実施例を図面に従い説明する。

第１図に示される如く車体１０のフロア１２へ
は後席乗員用シートベルトラツプインナアンカレ
ツジ１４及びシートベルトラツプアウタアンカレ
ツジ１６がそれぞれ取りつけられて後席乗員の装
着用となつている。このインナアンカレツジ１４
及びアウタアンカレツジ１６は第３図に示される
如くそれぞれウエビング１８の基部がアンカープ
レート２０へ係止されており、このアンカープレ
ート２０へ取付ボルト２２が挿入されている。こ
の取付ボルト２２はフロア１２の取付穴２４を貫
通し、フロア１２の反対側（車体底側）へ当接さ
れるシートベルトアンカリーンフオースメント２
６を貫通したのちにこのリーンフオースメント２
６へ溶着されているナツト２８と螺合している。
これによつてアンカープレート２０はリーンフオ
ースメント２６と共にフロア１２を挟持してウエ
ビング１８をフロア１２へ係止している。

ラツプインナアンカレツジ１４にはウエビング
１８の先端部にタングプレート３０が、ラツプア
ウタアンカレツジ１６にはウエビング１８の先端
部にバツクル装置３２がそれぞれ取りつけられて
おり、乗員は着座後にタングプレート３０をバツ
クル装置３２へ係合させればウエビング１２の装
着状態となることができる。

なお第１図では後席乗員用シートが図示省略さ
れているが、このシートが取りつけられたのちに
タングプレート３０及びバツクル装置３２はシー
ト上へ引き出されて乗員が操作し易いようになつ
ている。

第２図に示される如く取付穴２４の近傍で取付
穴２４が穿設されたフロア部分よりも若干高くな
つたフロア部分にはカーペツト取付穴３４が穿設
されている。この取付穴３４へはカーペツトから
突出したピンを挿入することによりカーペツトが
フロア１２上へ固定されるようになつている。

この実施例ではカーペツト取付穴３４とシート
ベルトのアンカープレート取付部である取付穴２
４との間にビード状屈曲部３６，３８が設けられ
ている。屈曲部３６は取付穴３４の近くに、屈曲
部３８はこの取付穴３６よりも取付穴２４の近く
に配置されて互に平行状となつている。

これらの屈曲部３６，３８は第３図に示される
如く車両下方向に向けて変形されたＵ字状の突起
であり、平面図での長手軸線は取付穴２４，３４
を結ぶ直線とほぼ直角方向とされている。

このように構成される本実施例では、バツクル
装置３２とタングプレート３０の係合によりウエ
ビング１８を装着した乗員が車両緊急時に車両衝
突方向に慣性力で移動する結果、ウエビング１８
に大きな張力が発生し、この張力はアンカープレ
ート２０を介してフロア１２へウエビング１８の
長手方向引つ張り力となつて作用する。

この引つ張り力によつて取付穴２４，３４間の
フロア１２は２点鎖線で示される如く持ち上げら
れて変形するが、カーペツト取付穴３４付近には
屈曲部３６，３８が形成されているため、これら
の屈曲部３６，３８が伸長し、フロアの伸びを吸
収する。

このように本実施例ではフロア１２の屈曲部３
６，３８が車両緊急時の大荷重を吸収するため、
フロア１２の各部に大きな変形を生じてき裂が発
生することはなく、ウエビング１８は確実にフロ
ア１２へ係止されて乗員の安全が確保できる。

上記実施例では取付穴２４，３４間に２個の屈
曲部３６，３８を設けたが、本考案のビード状屈
曲部は必要に応じて単数又は複数のビード状屈曲
部とすることができ、また屈曲部３６，３８の形
状も上記実施例の形状に限らず各種の変形例が考
えられる。

また上記実施例では本考案が車体フロアへ適用
された構造を示したが、本考案はフロアのみなら
ず、シートベルトアンカを取りつけることができ
る場所、例えばセンターピラー等の他の車体部分
へも適用可能である。更に本考案はカーペツト取
付穴がシートベルトアンカ取付部の近傍に設けら
れる場合以外にも他の目的で車体へ穿設される穴
部がシートベルトアンカ取付部近くへ設けられる
場合には全て適用可能であることは言うまでもな
い。

以上説明した如く本考案に係るシートベルトア
ンカ支持用車体構造は車体に穿設された穴部とシ
ートベルトアンカ取付部との間へビード状屈曲部
を設け、このビード状屈曲部はアンカ取付部への
大荷重作用時に伸長可能とするので、車両緊急時
に車体の伸びを吸収して車体に穿設された穴部の
大きな変形、き裂を防止して車体を確実に保護す
ることができる優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るシートベルトアンカ支持
用車体構造が適用された車体を示す断面側面図、
第２図はラツプインナアンカレツジの取付部を示
すフロアの平面図、第３図は第２図−線断面
図である。 １０……車体、１２……フロア、１４……ラツ
プインナアンカレツジ、１６……ラツプアウタア
ンカレツジ、２０……アンカープレート、２４…
…取付穴、２６……シートベルトアンカリーンフ
オースメント、３４…カーペツト取付穴、３６，
３８……屈曲部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車体に穿設された穴部近傍へシートベルトアン
   カを取付けるシートベルトアンカ支持用車体構造
   において、前記穴部とシートベルトアンカ取付部
   との間に長手軸線が前記穴部と前記シートベルト
   アンカ取付部とを結ぶ直線と略直角方向とされた
   ビード状屈曲部が形成され、前記アンカ取付部へ
   の大荷重作用時に前記ビード状屈曲部が伸長可能
   とされたことを特徴としたシートベルトアンカ支
   持用車体構造。